JP3511338B2 - 音響拡声装置 - Google Patents

音響拡声装置

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JP3511338B2
JP3511338B2 JP03554996A JP3554996A JP3511338B2 JP 3511338 B2 JP3511338 B2 JP 3511338B2 JP 03554996 A JP03554996 A JP 03554996A JP 3554996 A JP3554996 A JP 3554996A JP 3511338 B2 JP3511338 B2 JP 3511338B2
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勲 角張
賢一 寺井
忠司 田村
裕之 橋本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は騒音環境下における
能動的騒音制御を用いた音響拡声装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、環境騒音のなかでSN良く音響再
生を行うために、スピーカアレイや放物面形状の音響反
射板を用いた超指向性スピーカによる音響拡声装置が提
案されている。以下、その従来例について図面を参照し
ながら説明する。図20は例えば特願平3−19786
4号に示されている音響再生装置であり、101aa,
・・・101ccは同一方向に向けられたスピーカアレ
イ,102aa,・・・102ccはフィルタである。
この装置では音響入力を各フィルタ102aa〜102
ccに入力して、各フィルタに適当な重み付けを行うこ
とにより指向性を得るものである。
【0003】又図21は例えば特願昭63−23895
2号に示される別の従来例を示しており、凹曲面形状の
反射板103の内側にスピーカ104を設置して、この
スピーカからの放射音の指向性を鋭くするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図20
に示した従来の音響再生装置では低周波領域の指向性を
得るため、スピーカやフィルタの数が多くなるに従って
フィルタのハードウェアの規模が大きくなる問題点と、
スピーカの特性のばらつき,経年変化等の要因で指向特
性を精度良く実現できないという問題点がある。又図2
1に示した従来の音響再生装置では、低周波領域で指向
性を得るためには形状が大きくなる問題点があった。
【0005】本発明は上記問題点を解決するものであ
り、形状やハードウェアの規模が小さく、経年変化の影
響を受けずに低周波領域まで指向性を得ることができる
音響拡声装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するた
め、請求項1の発明は、一端が閉じられ、他端が開放さ
れた音響ホーンと、前記音響ホーン内部の中心部に設置
され、音響信号を出力する拡声スピーカと、前記音響ホ
ーンの開口側の周辺部に前記拡声スピーカから等距離に
設置され、前記拡声スピーカから前記音響ホーンの外部
に放射される音声を抑圧するための制御音を出力する複
数個の制御スピーカと、前記各制御スピーカの近傍に夫
々配置され、前記拡声スピーカと前記制御スピーカとの
合成音を誤差として検出する複数の誤差検出器と、前記
各誤差検出器の出力を加算する加算器と、音響信号が入
力され、前記音響信号を所定の伝達関数で変換してその
出力を前記各制御スピーカに出力する適応フィルタと、
前記複数の制御スピーカ各々からこれと近接する前記各
誤差検出器までの伝達関数の和に等しい伝達関数で音響
信号を変換するFXフィルタと、前記FXフィルタの出
力する基準信号及び前記加算器の出力する誤差信号が入
力され、前記加算器の出力信号が小さくなるように前記
適応フィルタの係数を演算して更新する係数更新器と、
を具備することを特徴とするものである。
【0007】このような構成では、拡声スピーカと各制
御スピーカを当距離に設置し、且つ制御スピーカと各誤
差検出器を等距離に設置した構成により拡声スピーカか
ら各誤差検出器に至る伝達関数をお互いに等しく、又制
御スピーカから各誤差検出器に至る伝達関数を等しくし
て、各伝達関数の和をフィルタに設定することにより、
少ないハードウェアで広い制御エリアを実現できる。
【0008】また請求項2の発明は、一端が閉じられ、
他端が開放された音響ホーンと、前記音響ホーン内部の
中心部に設置され、音響信号を出力する拡声スピーカ
と、前記音響ホーンの開口側の周辺部に前記拡声スピー
カから等距離に設置され、前記拡声スピーカから前記音
響ホーンの外部に放射される音声を抑圧するための制御
音を出力する複数個の制御スピーカと、前記制御スピー
カの各々の近傍に配置され、前記拡声スピーカと前記制
御スピーカとの合成音を誤差として検出する第1群の誤
差検出器と、前記第1群の誤差検出器の出力を加算する
第1の加算器と、音響信号が入力され、前記音響信号を
所定の伝達関数で変換してその出力を前記各制御スピー
カに出力する第1の適応フィルタと、前記複数の制御ス
ピーカ各々からこれと近接する前記各誤差検出器までの
伝達関数の和に等しい伝達関数で音響信号を変換する第
1のFXフィルタと、前記第1のFXフィルタの出力す
る基準信号及び前記第1の加算器の出力する誤差信号が
入力され、前記第1の加算器の出力信号が小さくなるよ
うに前記第1の適応フィルタの係数を演算して更新する
第1の係数更新器と、前記音響ホーンの外側であって、
騒音の到来方向に設置した騒音検出器と、前記音響ホー
ンの内側に位置する受聴者の近傍に設置され、前記音響
ホーンの内側の音圧を検出する第2の誤差検出器と、前
記騒音検出器の検出信号を所定の伝達関数で変換する第
2の適応フィルタと、前記騒音検出器の検出信号が入力
され、前記拡声スピーカから前記第2の誤差検出器まで
の伝達関数と前記各制御スピーカから前記第2の誤差検
出器までの伝達関数との和に等しい伝達関数を有する第
2のFXフィルタと、前記第2のFXフィルタの出力す
る基準信号及び前記第2の誤差検出器の出力する誤差信
号が入力され、前記第2の誤差検出器の出力が小さくな
るように係数を演算して前記第2の適応フィルタの係数
を更新する第2の係数更新器と、入力音響信号と前記第
2の適応フィルタの出力信号とを加算し、その加算値を
拡声すべき音響信号として前記拡声スピーカに与える第
2の加算器と、を具備することを特徴とするものであ
る。
【0009】また請求項3の発明は、一端が閉じられ、
他端が開放された音響ホーンと、前記音響ホーン内部の
中心部に設置され、音響信号を出力する拡声スピーカ
と、前記音響ホーンの開口側の周辺部に前記拡声スピー
カから等距離に設置され、前記拡声スピーカから前記音
響ホーンの外部に放射される音声を抑圧するための制御
音を出力する複数個の制御スピーカと、前記制御スピー
カの各々の近傍に配置され、前記拡声スピーカと前記制
御スピーカとの合成音を誤差として検出する第1群の誤
差検出器と、前記第1群の誤差検出器の出力を加算する
第1の加算器と、音響信号が入力され、その出力を前記
各制御スピーカに出力する第1の適応フィルタと、前記
複数の制御スピーカ各々からこれと近接する前記各誤差
検出器までの伝達関数の和に等しい伝達関数で音響信号
を変換する第1のFXフィルタと、前記第1のFXフィ
ルタの出力する基準信号及び前記第1の加算器の出力す
る誤差信号が入力され、前記第1の加算器の出力信号が
小さくなるように前記第1の適応フィルタの係数を演算
して更新する第1の係数更新器と、前記音響ホーンの外
側であって、騒音の到来方向に設置した騒音検出器と、
前記音響ホーンの内側に位置する受聴者の近傍に設置さ
れ、前記音響ホーンの内側の音圧を検出する第2の誤差
検出器と、前記騒音検出器の検出信号を所定の伝達関数
で変換する第2の適応フィルタと、前記騒音検出器の検
出信号が入力され、前記拡声スピーカから前記第2の誤
差検出器までの伝達関数と前記各制御スピーカから前記
第2の誤差検出器までの伝達関数との和に等しい伝達関
数を有する第2のFXフィルタと、前記第2のFXフィ
ルタの出力する基準信号及び前記第2の誤差検出器の出
力する誤差信号が入力され、前記第2の誤差検出器の出
力が小さくなるように係数を演算して前記第2の適応フ
ィルタの係数を更新する第2の係数更新器と、前記第1
及び第2の適応フィルタの出力を加算し、その出力を前
記各制御スピーカに出力する第2群の加算器と、を具備
することを特徴とするものである。
【0010】このような構成では、音響ホーンの外側の
中心部に周囲の騒音を検出する騒音検出器を設け、又受
聴者の近傍に第2の誤差検出器を設置し、誤差検出器に
得られる出力が小さくなるよう、騒音検出器の出力を第
2の適応フィルタを介して出力し、これを拡声スピーカ
又は制御スピーカより出力するようにしている。こうす
れば音響ホーンの上部より到来する騒音については合成
音の伝達方向と一致するため、上下方向に広い環境騒音
を消音できることとなる。
【0011】また請求項4の発明では、前記第2の誤差
検出器は、受聴者の送話用マイクロフォンを兼ねること
を特徴とするものである。
【0012】このような構成では、誤差検出器を電話の
送話器とすることにより、送話者の声の検出音のみを電
話で送信できるようにしている。
【0013】また請求項5の発明は、一端が閉じられ、
他端が開放された音響ホーンと、前記音響ホーン内部の
中心部に設置され、音響信号を音声に変換する拡声スピ
ーカと、入力された音響信号を遅延して前記拡声スピー
カに与える遅延器と、前記音響ホーンの開口側の周辺部
に前記拡声スピーカから等距離且つ正多角形の略頂点位
置に配置され、前記拡声スピーカから前記音響ホーンの
外部に放射される音声を抑圧するための第1の制御音を
出力する第1群の複数の制御スピーカと、前記音響ホー
ンの開口側の周辺部に前記第1群の制御スピーカと隣合
わせに配置され、前記拡声スピーカの放射音を補正する
ための第2の制御音を出力する第2群の複数の制御スピ
ーカと、前記第1群の制御スピーカの各々の近傍に配置
した第1群の誤差検出器と、前記第1群の誤差検出器の
出力を加算する第1の加算器と、前記遅延器の出力する
音響信号を所定の音響特性に補正する音響補正手段と、
前記音響ホーンの内側に位置する受聴者の近傍に設置さ
れ、前記拡声スピーカの拡声音と前記第1及び第2の制
御スピーカの制御音との合成音を検出する第2の誤差検
出器と、前記第2の誤差検出器の出力と前記音響補正手
段の出力を加算する第2の加算器と、前記第1群の制御
スピーカ各々からこれと近接する前記第1群の誤差検出
器までの伝達関数の和に等しい伝達関数で音響信号を変
換する第1のFXフィルタと、音響信号を適応制御して
前記第1群の制御スピーカに与える第1の適応フィルタ
と、前記第1のFXフィルタの出力する基準信号及び前
記第1の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記第
1の加算器の出力信号が小さくなるように前記第1の適
応フィルタの係数を演算更新する第1の係数更新器と、
前記第1群の制御スピーカ各々から前記第2の誤差検出
器までの伝達関数の和に等しい伝達関数で音響信号を変
換する第2のFXフィルタと、前記第2のFXフィルタ
の出力する基準信号及び前記第2の加算器の出力する誤
差信号が入力され、前記第2の加算器の出力信号が小さ
くなるように前記第1の適応フィルタの係数を演算更新
する第2の係数更新器と、前記第1の係数更新器の出力
及び前記第2の係数更新器の出力を加算してフィルタ係
数を前記第1の適応フィルタに与える第3の加算器と、
音響信号を適応制御して前記第2群の制御スピーカに与
える第2の適応フィルタと、前記第2の制御スピーカ各
々からこれと近接する前記第1群の誤差検出器までの伝
達関数の和に等しい伝達関数で音響信号を変換する第3
のFXフィルタと、前記第3のFXフィルタの出力する
基準信号及び前記第1の加算器の出力する誤差信号が入
力され、前記第1の加算器の出力信号が小さくなるよう
に前記第2の適応フィルタの係数を演算更新する第3の
係数更新器と、前記第2群の制御スピーカ各々からこれ
と近接する前記第2の誤差検出器までの伝達関数の和に
等しい伝達関数で音響信号を変換する第4のFXフィル
タと、前記第4のFXフィルタの出力する基準信号及び
前記第2の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記
第2の加算器の出力信号が小さくなるように前記第2の
適応フィルタの係数を演算更新する第4の係数更新器
と、前記第3の係数更新器の出力及び前記第4の係数更
新器の出力を加算してフィルタ係数を前記第2の適応フ
ィルタに与える第4の加算器と、を具備することを特徴
とするものである。
【0014】また請求項6の発明は、一端が閉じられ、
他端が開放された音響ホーンと、前記音響ホーン内部の
中心部に設置され、音響信号を出力する拡声スピーカ
と、入力された音響信号を遅延して前記拡声スピーカに
与える遅延器と、前記音響ホーンの開口側の周辺部に前
記拡声スピーカから等距離になるよう正多角形状に配置
され、前記拡声スピーカから前記音響ホーンの外部に放
射される音声を抑圧するための第1の制御音を出力する
第1群の複数の制御スピーカと、前記音響ホーンの開口
側の周辺部に前記第1群の制御スピーカと隣合わせに配
置され、前記拡声スピーカの放射音を補正するための第
2の制御音を出力する第2群の複数の制御スピーカと、
前記第1群の制御スピーカの各々の近傍に配置した第1
群の誤差検出器と、前記第1群の誤差検出器の出力を加
算する第1の加算器と、前記遅延器の出力する音響信号
を所定の音響特性に補正する音響補正手段と、前記音響
ホーンの内側に位置する受聴者の近傍に設置され、前記
拡声スピーカの放射音と前記第1群及び第2群の制御ス
ピーカの制御音との合成音を検出する第2の誤差検出器
と、前記第2の誤差検出器の出力と前記音響補正手段の
出力を加算する第2の加算器と、前記第1群の制御スピ
ーカ各々からこれと近接する前記第1群の誤差検出器ま
での伝達関数の和に等しい伝達関数で音響信号を変換す
る第1のFXフィルタと、音響信号を適応制御して前記
第1群の制御スピーカに与える第1の適応フィルタと、
前記第1のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
1の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記第1の
加算器の出力信号が小さくなるように前記第1の適応フ
ィルタの係数を演算更新する第1の係数更新器と、前記
第1群の制御スピーカ各々からこれと前記第2の誤差検
出器までの伝達関数の和に等しい伝達関数で音響信号を
変換する第2のFXフィルタと、前記第2のFXフィル
タの出力する基準信号及び前記第2の加算器の出力する
誤差信号が入力され、前記第2の加算器の出力信号が小
さくなるように前記第1の適応フィルタの係数を演算更
新する第2の係数更新器と、前記第1の係数更新器の出
力及び前記第2の係数更新器の出力を加算してフィルタ
係数を前記第1の適応フィルタに与える第3の加算器
と、音響信号を適応制御して前記第2群の制御スピーカ
に与える第2の適応フィルタと、前記第2群の制御スピ
ーカ各々からこれと近接する前記第1群の誤差検出器ま
での伝達関数の和に等しい伝達関数で音響信号を変換す
る第3のFXフィルタと、前記第3のFXフィルタの出
力する基準信号及び前記第1の加算器の出力する誤差信
号が入力され、前記第1の加算器の出力信号が小さくな
るように前記第2の適応フィルタの係数を演算更新する
第3の係数更新器と、前記第3の係数更新器の出力及び
前記第2の係数更新器の出力を加算してフィルタ係数を
前記第2の適応フィルタに与える第4の加算器と、を具
備することを特徴とするものである。
【0015】このような構成により、音響補正手段の伝
達関数を特定の周波数帯のゲインを持ち上げたり、減衰
させることにより、音響ホーンの音質を任意に設定する
ことができる。特に第1群の制御スピーカは音響ホーン
の外部に漏れる音を消音し、第2群の制御スピーカは受
聴者に最適の音場を再現する。
【0016】また請求項8の発明では、前記第1の制御
スピーカは、音響放射面を垂直下向きに対して90度を
上限として前記音響ホーン内側に向くように設置された
ものであり、前記第1の誤差検出器は、前記第1の制御
スピーカの音響放射面の中心を通る法線上に設けられ、
前記音響放射面から10cmを上限として離れた位置に
設置されたことを特徴とするものである。
【0017】このように、第1の制御スピーカの音響放
射面を鉛直下向きに対して90度を上限として音響ホー
ン内側に向くように設置し、第1の制御スピーカの音響
放射面中心を通る法線上に第1の誤差検出器を設置する
ことで、拡声スピーカによる音波の広がりを抑制し、よ
り広い音の制御エリアを実現できる。
【0018】また請求項9の発明では、前記音響ホーン
は、その開口端の内周部に吸音材が固着されたことを特
徴とするものである。
【0019】このように、音響ホーン開口端の内周部に
吸音材を固着することによって、第1および第2の制御
スピーカから放射した音波が音響ホーンの内壁で反射す
ることによる伝達関数の乱れるのを防ぐようにしてい
る。
【0020】また請求項10の発明では、前記音響ホー
ンは、前記拡声スピーカの音声放射方向に沿って開口面
積が増加するホーンと、前記ホーンを背後から覆うと共
に、前記制御スピーカのバックキャビティーとなる中空
部と、を有することを特徴とするものである。
【0021】このような構成では、音響ホーンの中空部
をバックキャビティーとし、この空間に制御スピーカを
設けることで、装置を大きくすることなく低周波数帯域
から音場を制御することができる。
【0022】また請求項11の発明は、音響信号の低域
成分を抽出する第1の音響補正手段と、音響信号の中域
以上の成分を抽出する第2の音響補正手段と、を更に設
け、前記拡声スピーカは、前記ホーンの反射面と対向す
るよう焦点部に取り付けられ、前記第2の音響補正手段
で補正された音響信号を音声に変換する第1の拡声スピ
ーカ、及び前記中空部の中央部であって、前記ホーンの
開口方向に向けて取り付けられ、前記第1の音響補正手
段で補正された音響信号を音声に変換する第2の拡声ス
ピーカ、を含むことを特徴とするものである。
【0023】また請求項12の発明では、前記音響ホー
ンは、前記拡声スピーカの音声放射方向に沿って開口面
積が増加し、音響信号の中域以上の成分を出力する第2
の拡声スピーカの反射面となるホーンと、前記ホーンを
背後から覆うと共に、前記制御スピーカのバックキャビ
ティーとなる第1の中空部と、音響信号の低成分を出力
する第1の拡声スピーカのバックキャビティーとなる第
2の中空部と、を有することを特徴とするものである。
【0024】このような構成では、制御スピーカのバッ
クキャビティーとして音響ホーンの中空部を用いること
で、音響ホーン内での拡声スピーカによる拡声音の反射
を低減し、かつ装置の寸法を大きくすることなく、低周
波数帯域から音場を制御することができる。
【0025】また請求項13の発明では、前記第1の中
空部は、開口断面積が音波の進行方向に向かって徐々に
縮小する音響管を有することを特徴とするものである。
【0026】このような構成では、断面積が音波の進行
方向に向かって徐々に縮小する音響管を用いているの
で、装置の寸法を大きくすることなく大口径の制御スピ
ーカを用いることができ、低周波数帯域から音場を制御
することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)以下本発明の第1実施形態の音響拡声
装置について、図1を参照しながら説明する。本実施形
態の音響拡声装置は少ないハードウェアで低周波領域ま
で指向性制御エリアを実現できる特徴を有する。本図に
おいて、音響ホーン1は円錐状の部材であって、下面が
開放されており、その頂点内部に拡声スピーカ2が取付
けられる。そして音響ホーン1の下面周囲には複数の制
御スピーカ3a,3b,3c・・3nが拡声スピーカ2
から等距離に設置されている。又各制御スピーカ3a,
3b,3c・・・3nに隣接する位置に誤差検出器4
a,4b,4c・・・4nが夫々取付けられる。
【0028】これらの誤差検出器は拡声スピーカの拡声
音に制御スピーカからの制御音を作用させ、その誤差音
を検出するマイクロホンである。各誤差検出器の出力は
加算器5に入力される。加算器5はこれらの出力を加算
するものであって、その加算値は係数更新器8に入力さ
れる。又音響信号Sの入力端子には適応フィルタ6が接
続され、係数更新器8からその係数値が逐次切換えられ
る。適応フィルタ6の出力は各制御スピーカ3a,3b
・・・3nに入力されている。又入力端子にはフィルタ
ードXフィルタ(以下、FXフィルタという)7が接続
される。FXフィルタ7は制御スピーカ3a,3b・・
・3nから各誤差検出器4a,4b・・・4nまでの伝
達関数の和に等しい特性に設定されたフィルタであっ
て、その出力は係数更新器8に入力される。係数更新器
8はFXフィルタ7からの基準出力に基づいて誤差検出
器4a,4b・・・4nの加算出力が0となるように、
適応フィルタ6の係数値を逐次更新するものである。
【0029】次に本実施形態の音響拡声装置の動作につ
いて説明する。入力端子に音響信号Sが入力されると、
その信号は拡声スピーカ2より音響ホーン1から下方向
に音声として出力される。又適応フィルタ6を介して各
制御スピーカ3a〜3nが駆動され、夫々制御音を出力
する。そしてこの拡声音に制御音を作用させ、その合成
音を誤差信号として誤差検出器4a,4b,4c・・・
4nで検出する。加算器5は各検出信号を加算し、この
加算値を係数更新器8に誤差入力として与える。
【0030】一方、音響信号Sを適応フィルタ6とFX
フィルタ7とに入力する。そしてFXフィルタ7の出力
信号を基準入力として係数更新器8に与える。係数更新
器8はLMS(Least Mean Square)アルゴリズム等によ
り誤差入力が常に小さくなるように係数更新演算を行
い、適応フィルタ6の係数を更新する。尚LMSアルゴ
リズムは、National technical report vol.40 No.3,
1994,pp.131-132等に示されているように、フィルタ係
数の変化分に負の比例定数を乗じて評価関数が小さくな
るように更新するものである。適応フィルタ6の出力信
号は制御スピーカ3a,3b,3c・・・3nに入力さ
れる。
【0031】こうすれば拡声スピーカ2から例えば誤差
検出器4aまでの伝達関数Gaと、拡声スピーカ2から
誤差検出器4bまでの伝達関数Gbとは等しくなり、他
についても同様である。つまり Ga=Gb =・・=Gn =G となる。
【0032】又拡声スピーカ2から加算器5の出力まで
の伝達関数は次式で示される。 Ga+Gb+・・+Gn=nG 更に制御スピーカ3aからその近傍の誤差検出器4aま
での伝達関数Caと、制御スピーカ3bからその近傍の
誤差検出器4bまでの伝達関数Cbとは等しくなり、他
についても同様である。つまり Ca=Cb=・・=Cn=C となる。
【0033】一方、FXフィルタ7の特性は次式で示す
値となる。 Ca+Cb+・・+Cn=nC ここで係数更新器8を動作して適応フィルタ6を収束さ
せることにより、加算器5の出力信号は0に近づき、適
応フィルタ6は −nG/nC=−G/C の特性に収束する。
【0034】従って、音響信号Sに対して各誤差検出器
に入力される拡声スピーカ2からの放射音はSGとな
り、制御スピーカ3a〜3nからの放射音は S・(−G/C)C=−SG となり、拡声スピーカ2からの放射音と合成され消音さ
れる。
【0035】これは各誤差検出器について同時に行われ
る。従って拡声スピーカ2の放射音と制御スピーカの放
射音の伝幡方向が揃う音響ホーン1の周辺方向につい
て、広い範囲にわたってこの消音効果を得ることができ
る。一方、音響ホーン1の中央では拡声スピーカ2から
の伝達関数も制御スピーカ3a〜3nからの伝達関数も
上記誤差検出器までの値とは異なるために合成音は消音
されない。従って音響信号Sがそのまま出力される。こ
れは低周波領域についても成立するため、この音響ホー
ン1の形状に関らずホーンの中心方向に指向性を有し、
周囲方向には拡散しない音響拡声装置が実現できる。し
かも一般的に演算量の多い係数更新器、適応フィルタ、
FXフィルタが各々1つで済む構成なので、ハードウェ
ア規模が小さくなるという特徴がある。
【0036】(実施の形態2)次に本発明の第2実施形
態の音響拡声装置について、図2を参照しながら説明す
る。本実施形態の音響拡声装置は、少ないハードウェア
で低周波領域まで指向性制御エリアを実現し、且つ環境
騒音を指向性エリア内部で消音できる特徴を有する。本
実施形態において前述した第1実施形態と同一部分は同
一符号を付して詳細な説明を省略する。本実施形態にお
いても音響ホーン1の頂点に拡声スピーカ2を配置し、
その開口部分に複数の制御スピーカ3a〜3nを配置す
る。又第1群の誤差検出器4a〜4n、第1の加算器
5、第1の適応フィルタ6、第1のFXフィルタ7、第
1の係数更新器8の構成についても第1実施形態と同様
である。
【0037】本実施形態では音響ホーン1の上部に、周
囲の騒音を検出する騒音検出器11を配置する。そして
その出力を第2の適応フィルタ12及び第2のFXフィ
ルタ14に入力する。又音響ホーン1の開口側下方に第
2の誤差検出器13を設ける。FXフィルタ14は、拡
声スピーカ2と制御スピーカ3a,3b,3c・・・3
nの合成音の誤差検出器13までの伝達関数に等しくな
るよう設定したものであって、係数更新器15の参照信
号として出力される。係数更新器15は誤差検出器13
からの誤差入力が常に小さくなるように、LMSアルゴ
リズム等により係数更新演算を行うものであって、その
出力は適応フィルタ12に係数値として設定される。適
応フィルタ12の出力は第2の加算器16に入力され
る。加算器16は音響信号Sと適応フィルタ12の出力
とを加算するものであって、その出力は拡声スピーカ
2、適応フィルタ6、FXフィルタ7に出力される。
【0038】次に本実施形態の音響拡声装置の動作につ
いて説明する。入力端子に音響信号Sが入力されると、
その信号は加算器16を介して拡声スピーカ2よりホー
ン1から下方向に音声として出力される。又適応フィル
タ6を介して各制御スピーカ3a〜3nが駆動され、夫
々制御音を出力する。そして拡声音にこの制御音を作用
させ、その合成音を誤差として誤差検出器4a,4b,
4c・・・4nで検出する。加算器5は各検出信号を加
算し、この加算値を誤差入力として係数更新器8に与え
る。
【0039】一方、音響信号Sを適応フィルタ6とFX
フィルタ7に入力する。そしてFXフィルタ7の出力信
号を基準入力として係数更新器8に与える。係数更新器
8はLMSアルゴリズム等により誤差入力が常に小さく
なるように係数更新演算を行い、適応フィルタ6の係数
を更新する。適応フィルタ6の出力信号は制御スピーカ
3a,3b,3c・・・3nに入力される。
【0040】こうすれば拡声スピーカ2から例えば誤差
検出器4aまでの伝達関数Gaと、拡声スピーカ2から
誤差検出器4bまでの伝達関数Gbとは等しくなり、他
についても同様である。つまり Ga=Gb =・・=Gn =G となる。
【0041】又拡声スピーカ2から加算器5の出力まで
の伝達関数は次式で示される。 Ga+Gb+・・+Gn=nG 更に制御スピーカ3aからその近傍の誤差検出器4aま
での伝達関数Caと、制御スピーカ3bからその近傍の
誤差検出器4bまでの伝達関数Cbとは等しくなり、他
についても同様である。つまり Ca=Cb=・・=Cn=C となる。
【0042】一方、FXフィルタ7の特性を次式で示す
値とする。 Ca+Cb+・・+Cn=nC ここで係数更新器8を動作して適応フィルタ6を収束さ
せることにより、加算器5の出力信号は0に近づき、適
応フィルタ6は −nG/nC=−G/C の特性値に収束する。従って、音響信号Sに対して各誤
差検出器に入力される拡声スピーカ2からの放射音はS
Gとなり、制御スピーカ3a〜3nからの放射音は S・(−G/C)C=−SG となり、拡声スピーカ2からの放射音と合成され消音さ
れる。
【0043】これは各誤差検出器について同時に行われ
る。従って拡声スピーカ2の放射音と制御スピーカの放
射音の伝幡方向が揃う音響ホーン1の周辺方向につい
て、広い範囲にわたってこの消音効果を得ることができ
る。一方、音響ホーン1の中央では拡声スピーカ2から
の伝達関数も制御スピーカ3a〜3nからの伝達関数も
上記誤差検出器までの値とは異なるために、合成音は消
音されない。従って音響ホーン1の中央下では音響信号
Sがそのまま音声に変換される。これは低周波領域につ
いても成立するため、この音響ホーン1の形状に関らず
ホーンの中心方向に指向性を有し、周囲方向には拡散し
ない音響拡声装置が実現できる。
【0044】又音響ホーン1の外部に存在する騒音源の
騒音を音響ホーン1の上部の騒音検出器11で検出し、
その信号Nを適応フィルタ12とFXフィルタ14に入
力する。FXフィルタ14の出力信号は参照入力として
係数更新器15に与えられ、誤差検出器13の出力信号
は誤差入力として係数更新器15に与えられる。係数更
新器15はLMSアルゴリズムなどにより誤差入力が常
に小さくなるように係数更新演算を行い、適応フィルタ
12の係数を更新する。適応フィルタ12の出力信号と
音響信号Sとを加算器16で加算する。
【0045】この音響ホーン1の上部の騒音検出器11
から誤差検出器13までの伝達関数をGmとし、加算器
16の出力から拡声スピーカ2と各制御スピーカの合成
音による誤差検出器13までの伝達関数をCmとする。
そして環境騒音に対して、係数更新器15と適応フィル
タ12を動作させると、誤差検出器13の信号は0に近
づき、適応フィルタ12の特性は −Gm/Cm に収束する。
【0046】こうして誤差検出器13の位置で環境騒音
の消音が行われる。特に音響ホーン1の上部より到来す
る騒音については上記指向性を有する合成音の伝達方向
と一致するため、上下方向に広い環境騒音の消音エリア
が得られる。しかも一般的に演算量の多い係数更新器、
適応フィルタ、FXフィルタが各々2つで済む構成なの
で、ハードウェア規模が小さなる特徴がある。
【0047】(実施の形態3)次に本発明の第3実施形
態の音響拡声装置について、図3を参照しながら説明す
る。本実施形態の音響拡声装置は、少ないハードウェア
で低周波領域まで指向性制御エリアを実現し、且つ環境
騒音を指向性エリア内部で消音できる特徴を有する。本
実施形態において前述した第1実施形態と同一部分は同
一符号を付して詳細な説明を省略する。図3に示すよう
に音響ホーン1の頂点に拡声スピーカ2を配置し、その
開口部分に複数の制御スピーカ3a〜3nを配置する。
又第1群の誤差検出器4a〜4n、第1の加算器5、第
1の適応フィルタ6、第1のFXフィルタ7、第1の係
数更新器8の構成についても第1実施形態と同様であ
る。
【0048】本実施形態では音響ホーン1の上部に周囲
の騒音を検出する騒音検出器11を配置し、その出力を
第2の適応フィルタ12及び第2のFXフィルタ14に
入力する。又音響ホーン1の開口側下方には第2の誤差
検出器13を設ける。FXフィルタ14は拡声スピーカ
2と制御スピーカ3a,3b,3c・・・3nとの合成
音の誤差検出器13までの伝達関数に設定したものであ
って、係数更新器15に参照信号を出力する。第2の係
数更新器15は誤差検出器13からの誤差入力が常に小
さくなるようにLMSアルゴリズム等により係数更新の
演算を行うものであって、その出力は適応フィルタ12
に係数値として設定される。適応フィルタ12の出力は
加算器17a,17b・・・17nに入力される。第2
群の加算器17a・・・17nは適応フィルタ6、12
の出力を夫々加算するものであって、その出力は制御ス
ピーカ3a,3b・・・3nに出力される。
【0049】次に本実施形態の音響拡声装置の動作につ
いて説明する。入力端子に音響信号Sが入力されると、
その出力は拡声スピーカ2より音響ホーン1から下方向
に音声が出力される。又適応フィルタ6を介して各制御
スピーカ3a〜3nが駆動され、夫々制御音が出力され
る。そしてこの拡声音に制御音を作用させ、その誤差音
を誤差検出器4a,4b,4c・・・4nで検出する。
加算器5は各検出信号を加算し、この加算値を誤差入力
として係数更新器8に与える。
【0050】一方、音響信号Sを適応フィルタ6とFX
フィルタ7に入力して、FXフィルタ7の出力信号を基
準入力として係数更新器8に与える。係数更新器8はL
MSアルゴリズム等により誤差入力が常に小さくなるよ
うに係数更新演算を行い、適応フィルタ6の係数を更新
する。適応フィルタ6の出力信号は制御スピーカ3a,
3b,3c・・・3nに入力される。
【0051】こうすれば拡声スピーカ2から例えば誤差
検出器4aまでの伝達関数Gaと、拡声スピーカ2から
誤差検出器4bまでの伝達関数Gbとは等しくなり、他
についても同様である。つまり Ga=Gb =・・=Gn =G となる。
【0052】又拡声スピーカ2から加算器5の出力まで
の伝達関数は次式で示される。 Ga+Gb+・・+Gn=nG 更に制御スピーカ3aからその近傍の誤差検出器4aま
での伝達関数Caと、制御スピーカ3bからその近傍の
誤差検出器4bまでの伝達関数Cbとは等しくなり、他
についても同様である。つまり Ca=Cb=・・=Cn=C となる。
【0053】一方、FXフィルタ7の特性を次式で示さ
れるものとする。 Ca+Cb+・・+Cn=nC ここで係数更新器8を動作して適応フィルタ6を収束さ
せることにより、加算器5の出力信号は0に近づき、適
応フィルタ6は −nG/nC=−G/C の特性に収束する。従って、音響信号Sに対して各誤差
検出器に入力される拡声スピーカ2からの放射音はSG
となり、制御スピーカ3a〜3nからの放射音は S・(−G/C)C=−SG となる。このため拡声スピーカ1からの放射音と合成さ
れ消音される。
【0054】これは各誤差検出器について同時に行われ
る。従って拡声スピーカ2の放射音と制御スピーカの放
射音の伝幡方向が揃う音響ホーン1の周辺方向につい
て、広い範囲にわたってこの消音効果を得ることができ
る。一方、音響ホーン1の中央では拡声スピーカ2から
の伝達関数も制御スピーカ3a〜3nからの伝達関数も
上記誤差検出器までのものと異なるため、合成音は消音
されない。従って音響信号Sがそのまま出力される。こ
れは低周波領域についても成立するため、この音響ホー
ン1の形状に関らずホーンの中心方向に指向性を有し、
周囲方向には拡散しない音響拡声装置が実現できる。
【0055】又音響ホーン1の外部に存在する騒音源の
騒音を、音響ホーン1の上部に設置した騒音検出器11
で信号Nとして検出し、その信号を適応フィルタ12と
FXフィルタ14に入力する。FXフィルタ14の出力
信号は参照入力として係数更新器15に与えられ、誤差
検出器13の出力信号は誤差入力として係数更新器15
に与えられる。係数更新器15はLMSアルゴリズムな
どにより誤差入力が常に小さくなるように係数更新演算
を行い、適応フィルタ12の係数を更新する。そして適
応フィルタ6,12の出力信号を加算器17a〜17n
で加算する。
【0056】この音響ホーン1の上部の騒音検出器11
から誤差検出器13までの伝達関数をGmとし、各制御
スピーカ3a〜3nの合成音による誤差検出器13まで
の伝達関数をCmとする。そして環境騒音に対して、係
数更新器15と適応フィルタ12を動作させると、誤差
検出器13の信号は0に近づき、適応フィルタ12の特
性は −Gm/Cm に収束する。
【0057】こうして誤差検出器13の位置で環境騒音
の消音が行われる。特に音響ホーン1の上部より到来す
る騒音については上記指向性を有する合成音の伝達方向
と一致するため、上下方向に広い環境騒音の消音エリア
が得られる。しかも一般的に演算量の多い係数更新器、
適応フィルタ、FXフィルタが各々2つで済む構成なの
で、ハードウェア規模が小さくなる特徴がある。
【0058】(実施の形態4)次に本発明の第4実施形
態の音響拡声装置について、図4を参照しながら説明す
る。前述した第2実施形態と同一部分は同一符号を付し
て詳細な説明を省略する。本実施形態の音響拡声装置
は、少ないハードウェアで低周波領域まで指向性制御エ
リアを実現し、且つ環境騒音を指向性エリア内部で消音
でき、電話をかける送受話者が受話器を用いずに通話で
き、且つ受話音の回りへの漏れ音を低減する特徴を有す
る。本図において送受話者18は電話機19を用いて通
話するものとし、電話機19には送話信号入力端子19
a、受話信号出力端子19bが設けられている。
【0059】送話用マイクロフォンを兼ねる誤差検出器
13の出力は加算器20に入力され、又前述した係数更
新器15にも入力される。この受話信号出力端子19b
からの信号は前述した加算器16及び適応フィルタ6、
FXフィルタ7に出力される。係数更新器21は加算器
20の出力信号を誤差入力とし、誤差入力が最も小さく
なるようにLMSアルゴリズム等によって適応フィルタ
22の係数値を演算して更新するものである。適応フィ
ルタ22の出力は加算器20に入力されている。その他
の構成は前述した第2実施形態と同様である。
【0060】以下本実施形態の音響拡声装置の動作につ
いて説明する。電話器19の受話信号は拡声スピーカ2
から出力され、第2実施形態の動作と同様に音響ホーン
1の中心方向にのみ放射される。このため周囲方向には
拡散しない音響特性が実現でき、且つ誤差検出器13と
して送話用のマイクロフォンを用いることにより、送受
話者の付近の環境騒音を低減することができる。又、拡
声スピーカ2と制御スピーカ3a〜3nの合成音が誤差
検出器13にフィードバックする弊害を防止するため
に、受話信号を適応フィルタ22に入力し、その出力と
誤差検出器13の出力とを加算器20で加算し、この加
算値を誤差入力として係数更新器21に与える。
【0061】係数更新器21はこの誤差信号が小さくな
るようにLMSアルゴリズム等によって係数を演算し、
適応フィルタ22の係数を更新する。これにより、誤差
検出器13に含まれていた受話信号成分が取り除かれ、
送受話者の声の検出音のみを電話器19の送話信号入力
端子19aに与えることができる。これによって、送受
話者は音響フィードバックエコーのない通話が可能とな
る。
【0062】尚、本実施形態は前述した第2実施形態に
電話機を組合せた音響拡声装置について説明している
が、前述した第3実施形態に電話機を組合せるようにし
た音響拡声装置とすることも可能である。
【0063】(実施の形態5)次に本発明の第5実施形
態の音響拡声装置について、図5及び図6を参照しなが
ら説明する。図5及び図6は本実施形態における音響拡
声装置の構成を示す概念図である。この音響拡声装置
は、少ないハードウェアで低周波領域まで指向性制御エ
リアを実現し、かつ優れた音響特性を指向性エリア内部
で実現する特徴を有する。ここでは前述した第1〜第4
実施形態と同一部分は同一の符号を付けて詳細な説明は
省略する。本実施形態においても、音響ホーン1の頂点
に拡声スピーカ2を配置し、その開口部分に第1の制御
スピーカ3a〜3nを配置し、制御スピーカ3a〜3n
に近接する部分に第1群の誤差検出器4a〜4nを夫々
配置する。更に音響ホーン1の開口部の下側中央に第2
の誤差検出器13を設ける。
【0064】これまでの実施形態と異なり、各制御スピ
ーカ3a〜3nの間に、第2の制御スピーカ21a〜2
1nを配置する。このように音響ホーン1の開口周辺部
に多数の制御スピーカを拡声スピーカ2から等距離にな
るよう正多角形状に配列する。また音響信号Sの入力端
子と拡声スピーカ2との間に信号のタイミング調整用の
遅延器35を設けると共に、遅延器35を介して出力さ
れる音響信号を音響補正手段34に与えるようにしてい
る。音響補正手段34は入力音響信号に対して所定の伝
達関数Hで所望の補正を行う回路である。加算器22は
音響補正手段34の出力と誤差検出器13の出力とを加
算をして、後述する係数更新器に与えるようにしてい
る。
【0065】第1実施形態と同様に、第1の加算器5は
誤差検出器4a〜4nの出力信号を加算する回路であ
る。図6に示す第1の適応フィルタ6は、複数の係数更
新器からの係数値に基づいて音響信号Sを適応的に制御
し、その出力を制御スピーカ3a〜3nに与えるフィル
タである。
【0066】第1のFXフィルタ26は制御スピーカ3
a、3b、3c・・・3nから各誤差検出器4a、4
b、4c・・・4nまでの伝達関数の和に等しい特性に
設定したフィルタである。第2のFXフィルタ27は制
御スピーカ3a、3b、3c・・・3nから誤差検出器
13までの伝達関数の和に等しい特性に設定したフィル
タである。第3のFXフィルタ28は制御スピーカ21
a、21b、21c・・・21nから各誤差検出器4
a、4b、4c・・・4nまでの夫々の伝達関数の和に
等しい特性に設定したフィルタである。第4のFXフィ
ルタ29は制御スピーカ21a、21b、21c・・・
21nから誤差検出器13までの伝達関数の和に等しい
特性に設定したフィルタである。
【0067】第1の係数更新器30はFXフィルタ26
の信号を基準入力とし、加算器5の信号を誤差入力とし
て、この誤差入力の値が0となるよう係数値を更新する
回路である。第2の係数更新器31はFXフィルタ27
の信号を基準入力とし、第2の加算器22の信号を誤差
入力として、この誤差入力の値が0となるよう係数値を
更新する回路である。係数更新器30、31の各出力は
第3の加算器23で加算され、加算値が適応フィルタ6
に与えられる。
【0068】第3の係数更新器32はFXフィルタ28
の信号を基準入力とし、加算器5の信号を誤差入力とし
て、この誤差入力の値が0となるよう係数値を更新する
回路である。第4の係数更新器33はFXフィルタ29
の信号を基準入力とし、加算器22の信号を誤差入力と
して、この誤差入力の値が0となるよう係数値を更新す
る回路である。係数更新器32、33の各出力は第4の
加算器24で加算され、加算値が適応フィルタ25に与
えられる。
【0069】次に本実施形態の音響拡声装置の動作につ
いて説明する。図5の入力端子に音響信号Sが入力され
ると、その出力は遅延器35で所定時間だけ遅延され、
拡声スピーカ2と音響補正手段34に与えられる。遅延
器35は、拡声音が拡声スピーカ2から出力され誤差検
出器13に入力するのに要する時間と同等の遅延時間だ
け入力信号を遅延させる。拡声スピーカ2はホーン1か
ら下方向に音声を出力し、例えば受聴者に対して所望の
音声メッセージを与える。また音響信号Sは適応フィル
タ6を介して各制御スピーカ3a〜3nに与えられ、更
に図6の適応フィルタ25を介して各制御スピーカ21
a〜21nに与えられ、夫々制御音に変換される。そし
て拡声スピーカ2の拡声音にこの制御音を作用させ、そ
の合成音である誤差音が誤差検出器4a,4b,4c・
・・4nで検出される。
【0070】加算器5は各検出信号を加算し、係数更新
器30と32とに加算値を誤差入力として与える。音響
補正手段34は遅延器35の信号を入力して所定の補正
処理を行う。一方、音響信号Sが入力されると、FXフ
ィルタ26は係数更新器30の基準入力を生成し、FX
フィルタ27は係数更新器31の基準入力を生成する。
係数更新器30、31はLMSアルゴリズムなどにより
誤差入力が常に小さくなるように係数更新の演算を行
う。係数更新器30、31の出力を加算器23で加算
し、加算値によって適応フィルタ6の係数を更新する。
適応フィルタ6の出力信号は制御スピーカ3a、3b、
3c・・・3nに与えられる。
【0071】また、音響信号Sが入力されると、FXフ
ィルタ28は係数更新器32の基準入力を生成し、FX
フィルタ29は係数更新器33の基準入力を生成する。
係数更新器32、33はLMSアルゴリズムなどにより
誤差入力が常に小さくなるように係数更新の演算を行
う。係数更新器32、33の出力を加算器24で加算
し、加算器24の出力によって適応フィルタ25の係数
を更新する。適応フィルタ25の出力信号は制御スピー
カ21a、21b、21c・・・21nに与えられる。
【0072】ここで、制御スピーカ3a、3b、3c・
・・3nは拡声スピーカ2から等距離に設置され、かつ
誤差検出器4a、4b、4c・・・4nは制御スピーカ
3a、3b、3c・・・3nの近傍に一つずつ等距離に
設置されているので、例えば拡声スピーカ2から誤差検
出器4aまでの伝達関数Gaと、拡声スピーカ2から誤
差検出器4bまでの伝達関数Gbは等しくなり、他につ
いても同様である。つまり Ga=Gb=・・=Gn=G1 となる。
【0073】また加算器5の出力までの伝達関数は次式
で示される。 Ga+Gb+・・+Gn=nG1
【0074】また、拡声スピーカ2から誤差検出器13
までの伝達関数をG2とする。一方、制御スピーカ3a
からその近傍の誤差検出器4aまでの伝達関数Caと、
制御スピーカ3bからその近傍の誤差検出器4bまでの
伝達関数Cbとは等しくなり、他についても同様であ
る。つまり、 Ca=Cb=・・=Cn=C となる。またFXフィルタ26の特性は、 Ca+Cb+・・+Cn=nC となる。
【0075】また、誤差検出器13は制御スピーカ3
a、3b、3c・・・3nから等距離に設置されている
ので、例えば制御スピーカ3aから誤差検出器13まで
の伝達関数Daと、制御スピーカ3bから誤差検出器1
3までの伝達関数Dbは等しくなり、他についても同様
である。即ち、 Da=Db=・・=Dn=D となる。またFXフィルタ27の特性は、 Da+Db+・・+Dn=nD となる。
【0076】また、制御スピーカ21aから誤差検出器
4a、4b・・・4nまでの夫々の伝達関数E1a、E2a
・・・Enaの和をEaとすると、 E1a+E2a+・・+Ena=Ea となる。
【0077】一方、制御スピーカ21bから誤差検出器
4a、4b・・・4nまでの夫々の伝達関数E1b、E2b
・・・Enbの和をEbとすると、 E1b+E2b+・・+Enb=Eb となる。
【0078】同様に、制御スピーカ21nから誤差検出
器4a、4b・・・4nまでの夫々の伝達関数E1n、E
2n・・・Ennの和をEnとすると、 E1n+E2n+・・+Enn=En となる。
【0079】制御スピーカ21a、21b・・・21n
は、拡声スピーカ2から等距離であり、また拡声スピー
カ2から等距離な制御スピーカ3a、3b・・・3nの
設置点を頂点とした正多角形と相似形かつ平行の正多角
形の頂点に相当する位置に各々設置されている。
【0080】一方、第1の誤差検出器4a、4b・・・
4nと制御スピーカ3a、3b・・・3nは各々等距離
である。このような構成から、例えば制御スピーカ21
aから誤差検出器4a、4b・・・4nまでの夫々の伝
達関数の和Eaと、制御スピーカ21bから誤差検出器
4a、4b・・・4nまでの夫々の伝達関数の和Ebは
等しくなり、他についても同様である。つまり Ea=Eb=・・=En=E となる。
【0081】FXフィルタ28の特性は、 Ea+Eb+・・+En=nE となる。また、誤差検出器13は制御スピーカ21a、
21b、21c・・・21nから等距離に設置されてい
るので、例えば制御スピーカ21aから誤差検出器13
までの伝達関数Faと、制御スピーカ21bから誤差検
出器13までの伝達関数Fbは等しくなり、他について
も同様である。つまり Fa=Fb=・・=Fn=F となる。
【0082】FXフィルタ29の特性は、 Fa+Fb+・・+Fn=nF となる。
【0083】ここで、係数更新器30、31の出力を加
算器23で加算し、加算値によって適応フィルタ6の係
数を更新し収束させている。また、係数更新器32、3
3の出力を加算器24で加算し、加算値によって適応フ
ィルタ25の係数を更新し収束させている。こうして制
御スピーカ3a、3b、3c・・・3nと、21a、2
1b、制御スピーカ21c・・・21nとを夫々駆動さ
せることにより、加算器5及び加算器22の出力信号は
0に近づく。
【0084】音響補正手段34の伝達関数をHとする
と、適応フィルタ6は次式、 −(nFG0+nE(H−G1 ))/(nCnF−nD
nE) の特性に収束する。また、適応フィルタ25は次式、 (nDG0+nC(H−G1 ))/(nCnF−nDn
E) の特性に収束する。
【0085】誤差検出器4a、4b、4c・・・4nで
検出した制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nから
の放射音は、次式で与えられる。 −SnC(nFG0+nE(H−G1 ))/(nCnF−nDnE) =−SC(FG0+E(H−G1 ))/(CF−DE)
【0086】誤差検出器4a、4b、4c・・・4n各
々での制御スピーカ21a、21b、21c・・・21
nからの放射音は、次式で与えられる。 SnE(nDG0+nC(H−G1 ))/(nCnF−nDnE) =SE(DG0+C(H−G1 ))/(CF−DE)
【0087】従って誤差検出器4a、4b、4c・・・
4n各々での制御スピーカ3a、3b、3c・・・3n
と、制御スピーカ21a、21b、21c・・・21n
の合成音は、次式で与えられる。 −SC(FG0+E(H−G1 ))/(CF−DE) +SE(DG0+C(H−G1 ))/(CF−DE) =−SG0(CF−DE)/(CF−DE) =−SG0
【0088】音響信号Sに対して誤差検出器4a、4
b、4c・・・4n各々での拡声スピーカ2からの放射
音はS・G0であるから、拡声スピーカ2からの放射音
と合成され消音される。これは各誤差検出器について同
時に行われ、かつ拡声スピーカの放射音と制御スピーカ
の放射音の伝幡方向が揃う方向、即ち音響ホーンの周辺
方向の広い範囲にわたってこの消音効果を得ることがで
きる。
【0089】一方、誤差検出器13での制御スピーカ3
a、3b、3c・・・3nからの放射音は、次式で与え
られる。 −SnD(nFG0+nE(H−G1 ))/(nCnF−nDnE) =−SD(FG0+E(H−G1 ))/(CF−DE)
【0090】誤差検出器4a、4b、4c・・・4n各
々での制御スピーカ21a、21b、21c・・・21
nからの放射音は、次式で与えられる。 SnF(nDG0+nC(H−G1 ))/(nCnF−nDnE) =SF(DG0+C(H−G1 ))/(CF−DE)
【0091】従って誤差検出器13での制御スピーカ3
a、3b、3c・・・3nと制御スピーカ21a、21
b、21c・・・21nとの合成音は、次式で与えられ
る。 −SD(FG0+E(H−G1 ))/(CF−DE) +SF(DG0+C(H−G1 ))/(CF−DE) =S(H−G1 )(CF−DE)/(CF−DE) =S(H−G1 )
【0092】拡声スピーカ2から誤差検出器13までの
伝達関数はG1 であるから、音響信号Sに対して誤差検
出器13での拡声スピーカ2からの放射音はSG1とな
り、制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nと制御ス
ピーカ21a、21b、21c・・・21nからの放射
音が合成し、次式となる。 SG1 +S(H−G1 )=SH このように誤差検出器13では音響補正手段34で補正
した音響特性SHが実現されることが判る。
【0093】以上の説明のように本実施形態の音響拡声
装置によれば、音響ホーン1の形状に関らず、音響ホー
ンの中心方向に指向性を有し、周囲方向には拡散しない
音響特性が実現できる。また、受聴エリア内では音響補
正手段34を動作させることにより受聴者に最適の音響
特性を実現できる。
【0094】(実施の形態6)次に本発明の第6実施形
態の音響拡声装置について、図7及び図8を参照しなが
ら説明する。図7及び図8は本実施形態の音響拡声装置
の構成を示す概念図であり、第5実施形態と同一部分は
同一の符号を付け、詳細な説明は省略する。この音響拡
声装置は、少ないハードウェアで低周波領域まで指向性
制御エリアを実現し、かつ優れた音響特性を指向性エリ
ア内部で実現する特徴を有する。
【0095】図7において、音響ホーン1に拡声スピー
カ2、制御スピーカ3a、3b、3c・・・3n、制御
スピーカ21a、21b、21c・・・21n、誤差検
出器4a、4b、4c・・・4nが夫々設けられている
ことは第5実施形態と同様である。また、誤差検出器1
3、加算器5、22、及び図8に示す加算器23、適応
フィルタ6、25、FXフィルタ26、27、28、係
数更新器30、31、33、図7に示す音響補正手段3
4、遅延器35の接続関係も第5実施形態と同様であ
る。第5実施形態と異なる部分は、加算器24に入力さ
れる係数値が係数更新器33と31の出力を用いている
ことである。
【0096】第1のFXフィルタ26は、制御スピーカ
3a、3b、3c・・・・3nから各誤差検出器4a、
4b、4c・・・4nまでの伝達関数の和に等しい特性
に設定したフィルタである。第2のFXフィルタ27
は、制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nから誤差
検出器13までの伝達関数の和に等しい特性に設定した
フィルタである。第3のFXフィルタ28は、制御スピ
ーカ21a、21b、21c・・・21nから各誤差検
出器4a、4b、4c・・・4nまでの伝達関数の和に
等しい特性に設定したフィルタである。
【0097】次に本実施形態の音響拡声装置の動作につ
いて説明する。図7の遅延器35は、音響信号Sが入力
されると、第1の適応フィルタ6から拡声スピーカ2を
経て制御スピーカ3a、3b、3c・・・3n、制御ス
ピーカ21a、21b、21c・・・21nに検出され
るまでの時間だけ音響信号Sを遅延させる。各制御スピ
ーカから制御音が出力されると、拡声スピーカ2の音と
相互作用が働く。その誤差音は誤差検出器4a、4b、
4c・・・4nで検出され、これらの検出信号は加算器
5で加算される。ここでの加算信号は係数更新器30、
32に誤差入力として与えられる。また、拡声スピーカ
2による拡声音に制御スピーカ3a、3b、3c・・・
3n、及び制御スピーカ21a、21b、21c・・・
21nからの制御音が作用し、この合成音が受聴者に提
供されると共に、この合成音が誤差音として誤差検出器
13で検出される。
【0098】音響補正手段34は遅延器35の信号を入
力し、所定の補正処理を行う。ここで音響補正された信
号は加算器22に与えられ、誤差検出器13の出力する
誤差信号と加算される。ここでの加算値は誤差入力とし
て図8の係数更新器31に与えられる。
【0099】一方、入力端子の音響信号Sは適応フィル
タ6、25、FXフィルタ26、27、28に与えられ
る。FXフィルタ26の出力信号は基準入力として第1
の係数更新器30に与えられ、FXフィルタ27の出力
信号は基準入力として第2の係数更新器31に与えられ
る。係数更新器30、31はLMSアルゴリズムなどに
より、加算器5の信号を誤差入力として、この値が常に
小さくなるように係数更新の演算を行う。係数更新器3
0、31の出力は加算器23で加算され、ここでの加算
値に基づいて適応フィルタ6の係数が更新される。そし
て適応フィルタ6の出力信号は制御信号として制御スピ
ーカ3a、3b、3c・・・3nに与えられる。
【0100】また、音響信号Sは適応フィルタ25とF
Xフィルタ28に与えられる。FXフィルタ28の出力
信号は基準入力として係数更新器32に与えられると、
第3の係数更新器32はLMSアルゴリズムなどにより
誤差入力が常に小さくなるように係数更新の演算を行
う。係数更新器31、32の出力を加算器24で加算
し、加算値に基づいて適応フィルタ25の係数を更新す
る。適応フィルタ25の出力信号は制御信号として制御
スピーカ21a、21b、21c・・・21nに与えら
れる。
【0101】ここで、制御スピーカ3a、3b、3c・
・・3nは拡声スピーカ2から等距離に設置され、かつ
誤差検出器4a、4b、4c・・・4nは制御スピーカ
3a、3b、3c・・・・3n各々の近傍に一つずつ等
距離に設置されている。このため、例えば拡声スピーカ
2から誤差検出器4aまでの伝達関数Gaと拡声スピー
カ2から誤差検出器4bまでの伝達関数Gbは等しくな
り、他についても同様である。つまり、 Ga=Gb=・・=Gn=G1 となる。
【0102】加算器5の出力までの伝達関数は、次式で
示される。 Ga+Gb+・・+Gn=nG1 また、拡声スピーカ2から誤差検出器13までの伝達関
数をG2とする。一方、制御スピーカ3aからその近傍
の誤差検出器4aまでの伝達関数Caと制御スピーカ3
bからその近傍の誤差検出器4bまでの伝達関数Cbは
等しくなり、他についても同様である。つまり、 Ca=Cb=・・=Cn=C となる。
【0103】FXフィルタ26の特性は、次式で示され
る。 Ca+Cb+・・+Cn=nC また、誤差検出器13は制御スピーカ3a、3b、3c
・・・3n、制御スピーカ21a、21b、21c・・
・21nから等距離に設置されているので、例えば制御
スピーカ3aから誤差検出器13までの伝達関数Da
と、制御スピーカ3bから誤差検出器13までの伝達関
数Dbは等しくなり、他についても同様である。つまり Da=Db=・・=Dn=D となる。
【0104】また、制御スピーカ21aから誤差検出器
13までの伝達関数Faと、制御スピーカ21bから誤
差検出器13までの伝達関数Fbとは等しくなり、他に
ついても同様である。つまり Fa=Fb=・・=Fn=F となる。誤差検出器13と制御スピーカ3a、3b、3
c・・・3nの距離と、誤差検出器13と制御スピーカ
21a、21b、21c・・・21nは等距離であるの
で、例えば制御スピーカ3aから誤差検出器13までの
伝達関数Daと、制御スピーカ21aから誤差検出器1
3までの伝達関数Faとは等しくなり、他についても同
様である。つまり Da=Fa=Db=Fb=・・=Dn=Fn=D となる。またFXフィルタ27の特性は、次式で示され
る。 Da+Db+・・+Dn=nD
【0105】また、制御スピーカ21aから誤差検出器
4a、4b・・・4nまでの夫々の伝達関数E1a、E2a
・・・Enaの和をEaとすると、次式が成り立つ。 E1a+E2a+・・+Ena=Ea 一方、制御スピーカ21bから誤差検出器4a、4b・
・・4nまでの夫々の伝達関数E1b、E2b・・・Enbの
和をEbとすると、次式が成り立つ。 E1b+E2b+・・+Enb=Eb 同様に制御スピーカ21nから誤差検出器4a、4b・
・・4nまでの夫々の伝達関数E1n、E2n・・・Ennの
和をEnとすると、次式が成り立つ。 E1n+E2n+・・+Enn=En
【0106】制御スピーカ21a、21b・・・21n
は、拡声スピーカ2から各々等距離であり、また拡声ス
ピーカ2から各々等距離にある制御スピーカ3a、3b
・・・3nを頂点とした正多角形と同一形状かつ同一平
面上の正多角形の頂点に相当する位置に各々設置されて
いる。一方、第1の誤差検出器4a、4b・・・4nと
制御スピーカ3a、3b・・・3nは各々等距離であ
る。このため例えば制御スピーカ21aから誤差検出器
4a、4b・・・4nまでの夫々の伝達関数の和Ea
と、制御スピーカ21bから誤差検出器4a、4b・・
・4nまでの夫々の伝達関数の和Ebとは等しくなり、
他についても同様である。つまり、 Ea=Eb=・・=En=E となる。
【0107】FXフィルタ28の特性は、次式で示され
る。 Ea+Eb+・・+En=nE ここで、係数更新器30、31の出力を加算器23で加
算し、その加算値に基づいて適応フィルタ6の係数を更
新して収束させ、制御スピーカ3a、3b、3c・・・
3nを駆動する。また係数更新器31、32の出力を加
算器24で加算し、その加算値に基づいて適応フィルタ
25の係数を更新して収束させ、制御スピーカ21a、
21b、21c・・・21nを駆動する。このように制
御すると、加算器5及び加算器22の出力信号は零に近
づく。
【0108】音響補正手段34の伝達関数をHとする
と、適応フィルタ6は、 −(nDG0+nE(H−G1))/(nCnD−nD
nE) の特性に収束する。また、適応フィルタ25は、 (nDG0+nC(H−G1))/(nCnD−nDn
E) の特性に収束する。
【0109】誤差検出器4a、4b、4c・・・4n各
々での制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nからの
放射音は、次式で示される。 −SnC(nDG0+nE(H−G1))/(nCnD−nDnE) =−SC(DG0+E(H−G1))/(CD−DE)
【0110】誤差検出器4a、4b、4c・・・4n各
々での制御スピーカ21a、21b、21c・・・21
nからの放射音は、次式で示される。 SnE(nDG0+nC(H−G1))/(nCnD−nDnE) =SE(DG0+C(H−G1))/(CD−DE)
【0111】従って、誤差検出器4a、4b、4c・・
・4n各々での制御スピーカ3a、3b、3c・・・3
nと、制御スピーカ21a、21b、21c・・・21
nとの合成音は、次式で示されるような値になる。 −SC(DG0+E(H−G1))/(CD−DE) +SE(DG0+C(H−G1))/(CD−DE) =−SG0(CD−DE)/(CD−DE) =−SG0 この結果、音響信号Sに対して誤差検出器4a、4b、
4c・・・4n各々での拡声スピーカ2からの放射音は
S・G0となるから、拡声スピーカ2からの放射音と合
成され消音される。
【0112】これは各誤差検出器について同時に行わ
れ、かつ拡声スピーカの放射音と制御スピーカの放射音
の伝幡方向が揃う音響ホーン1の周辺方向について、広
い範囲にわたってこの消音効果を得ることができる。
【0113】一方、誤差検出器13での制御スピーカ3
a、3b、3c・・・3nからの放射音は、次式で示さ
れる値となる。 −SnD(nDG0+nE(H−G1))/(nCnD−nDnE) =−SD(DG0+E(H−G1))/(CD−DE)
【0114】誤差検出器4a、4b、4c・・・4n各
々での制御スピーカ21a、21b、21c・・・21
nからの放射音は、次式で示される値となる。 SnD(nDG0+nC(H−G1))/(nCnD−nDnE) =SD(DG0+C(H−G1))/(CD−DE)
【0115】従って、誤差検出器13での制御スピーカ
3a、3b、3c・・・3nと、制御スピーカ21a、
21b、21c・・・21nとの合成音は、次式で示さ
れる値となる。 −SD(DG0+E(H−G1))/(CD−DE) +SD(DG0+C(H−G1))/(CD−DE) =S(H−G1)(CD−DE)/(CD−DE) =S(H−G1) となる。
【0116】拡声スピーカ2から誤差検出器13までの
伝達関数はG1であるから、音響信号Sに対して誤差検
出器13での拡声スピーカ2からの放射音はSG1とな
り、制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nと、制御
スピーカ21a、21b、21c・・・21nからの制
御音と拡声スピーカ2の拡声音とが合成され、次式で示
される値となる。 SG1+S(H−G1)=SH このように誤差検出器13では音響補正手段34で補正
した音響特性SHが実現されることが判る。
【0117】以上のように本実施形態の音響拡声装置に
よれば、音響ホーン1の形状に関らず、ホーンの中心方
向に指向性を有し、周囲方向には拡散しない音響特性が
実現できる。また、受聴エリア内では音響補正手段34
を動作させることにより、受聴者に対して任意の音響特
性を実現できる。
【0118】なお、本実施形態ではFXフィルタ27の
特性を、 Da+Db+・・+Dn=nD としたが、制御スピーカ21a、21b・・・21nか
ら誤差検出器13までの伝達関数Fa、Fb・・・Fn
の和nFでも、同様な効果が得られる。
【0119】(実施の形態7)次にこれまで説明した音
響拡声装置の回路の一部を具体化したものを本発明の第
7実施形態として説明する。図9は本実施形態の音響拡
声装置における音響補正手段34の構成を示したもので
ある。ここでは第5及び第6実施形態の音響補正手段3
4を、フィルタ36及び第2の遅延器37で構成し、そ
の他の回路部は第5及び第6実施形態と同一とする。本
実施形態の音響拡声装置も、少ないハードウェアで低周
波領域まで指向性制御エリアを実現し、かつ優れた音響
特性を指向性エリア内部で実現する特徴を有するもので
ある。
【0120】ここでは音響補正手段34の動作について
のみ説明する。音響補正手段34に入力された信号は、
フィルタ36での信号処理によって周波数特性を補正さ
れ、遅延器37に入力される。遅延器37では、拡声ス
ピーカ2から拡声音が出力されて誤差検出器13に入力
するのに要する時間と、フィルタ36の信号処理時間と
の差分の時間を遅延時間として設定している。このため
遅延器37の出力信号と誤差検出器13の出力信号とが
加算器22に入力するタイミングは同期し、第5及び第
6実施形態の場合と同様な効果が得られる。
【0121】(実施の形態8)次に音響拡声装置の制御
スピーカの取り付け角度を具体化したものを本発明の第
8実施形態として説明する。図10は本実施形態におけ
る音響ホーン1の開口端部の垂直断面図である。例えば
第7実施形態の制御スピーカ3a、3b、3c・・・3
nの音響放射面を、垂直方向に対して角度aだけ傾斜さ
せる。角度aを90度を上限として音響ホーン1の内側
に向くように制御スピーカ(ここでは制御スピーカ3n
しか図示していない)を設置する。そして第1の誤差検
出器4a、4b、4c・・・4nを制御スピーカ3a、
3b、3c・・・3nの音響放射面の中心を通る法線上
で、かつ音響放射方向に音響放射面からb=10cmを
上限とした離れた位置に設置する。
【0122】このような方向に制御スピーカ3a、3
b、3c・・・3nを取り付けた場合の音響ホーン1の
音場制御効果について図11及び図12を用いて説明す
る。制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nの音響放
射面を垂直下向きに対して例えばa=45度、90度、
135度になるよう設置する。いずれの場合も、誤差検
出器4a、4b、4c・・・4nを制御スピーカ3a、
3b、3c・・・3nの音響放射面の中心を通る法線上
で、かつ音響放射方向に設置しているため、音響ホーン
1の内側でより広範囲な制御エリアを実現できる。
【0123】図11は、有限要素法を用いて制御スピー
カ3a、3b、3c・・・3nの音響放射面方向を変化
させ、第2の誤差検出器13と同一水平面内における音
圧レベルを解析した結果である。図11の曲線Aは図1
2(a)に示すように、音響放射面を垂直下向きに対し
て45度傾斜させて取り付け、音響ホーン1の内側に向
くようにした場合を示す。曲線Bは図12(b)に示す
ように、音響放射面を垂直下向きに対して90度傾斜さ
せて取り付けた場合を示す。曲線Cは図12(c)に示
すように、音響放射面を垂直下向きに対して135度傾
斜させて取り付けた場合を示す。更に曲線Dは第1の制
御スピーカ3a、3b、3c・・・3nを動作させなか
った場合を示す。いずれの曲線も第2の誤差検出器13
からの水平距離と音圧レベルとの関係を示す。
【0124】図11の曲線Dで示すように、拡声スピー
カ2のみ動作させた場合、第2の誤差検出器13から例
えば1m離れた点で、第2の誤差検出器13の設置点と
の相対音圧レベル差が5dBしかない。これに対して、
第1の制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nを動作
させた場合、曲線Aでは7.1dB、曲線Bでは8.3
dB、曲線Cでは13.5dBも音圧が低下することが
判る。このように第2の誤差検出器13から1m離れた
点で、受聴者の位置である第2の誤差検出器13の設置
点との相対音圧レベル差が大きくなっており、広範囲な
消音制御エリアを実現できる。
【0125】(実施の形態9)次に音響拡声装置の音響
ホーンの一部に吸音材を取り付けたものを本発明の第9
実施形態として説明する。図13は本実施形態における
音響ホーン1の垂直断面図である。本図に示すように例
えば第4実施形態の音響ホーン1の開口端の内周部に吸
音材38を環状に固着する。第1の制御スピーカ3a、
3b、3c・・・3nの取り付け角度aを45度にす
る。
【0126】このように音響ホーン1に吸音材38を取
り付けた場合の音響効果について図14を用いて説明す
る。仮に吸音材がなければ、第1の制御スピーカ3a、
3b、3c・・・3nから放射した音波の一部は、図1
3の破線で示すように制御スピーカ3a、3b、3c・
・・3nに対向する音響ホーン1の内壁で反射し、第1
の誤差検出器4a、4b、4c・・・4nに入る。その
際、第1の制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nか
ら放射され、反射せずに直接第1の誤差検出器4a、4
b、4c・・・4nに入る音波と干渉する。このため第
1の制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nと、第1
の誤差検出器4a、4b、4 c・・・4n間の伝達関
数が乱される。
【0127】本実施形態では例えば第4実施形態の音響
ホーン1の開口端の内周部に吸音材38を固着している
ので、制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nに対向
する音響ホーン1の内壁で反射する反射音を吸音材38
により低減させることができる。このため、第1の制御
スピーカ3a、3b、3c・・・3nと、第1の誤差検
出器4a、4b、4c・・・4n間の伝達関数の乱れを
改善することができる。図14に第1の制御スピーカ3
a、3b、3c・・・3nと第1の誤差検出器4a、4
b、4c・・・4n間の伝達関数の周波数特性を示す。
図中の曲線Fは吸音材38を固着した場合を示し、曲線
Fは吸音材がない場合を示す。吸音材38を固着するこ
とによって250Hz前後の周波数帯域でディップが改
善されることが判る。
【0128】(実施の形態10)次に音響拡声装置の音
響ホーンの背面に中空部を設け、この空間に制御スピー
カを取り付けたものを本発明の第10実施形態として説
明する。図15は本実施形態における音響ホーンの構造
を示す断面図である。本実施形態の音響拡声装置は、規
模の小さい装置を用いて広周波数帯域で指向性制御エリ
アを実現することを特徴とするものである。図15に示
すように、音響ホーン1全体を箱型にし、その内部に円
錐状又はパラボラ状のホーン1aを設ける。ホーン1a
の背部は中空部39となり、この中空部の下周辺部に第
1の制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nを下向き
に取り付ける。
【0129】このように音響ホーン1を構成すると、中
空部39は制御スピーカ3a、3b、3c・・・3nの
バックキャビティーとなるため、特に低域の周波数帯で
優れた音響再生特性が得られる。このため音響拡声装置
の寸法を大きくすることなく充分な実効容積を得ること
ができる。従って、制御スピーカ3a、3b、3c・・
・3nは小口径のものであっても、低周波数帯域から充
分な出力が得られ、広周波数帯域で優れた指向特性を実
現できる。
【0130】(実施の形態11)次に音響拡声装置の音
響ホーンの背面に中空部を設けると共に、この空間に第
1の拡声スピーカを取り付け、ホーンの焦点に第2の拡
声スピーカを取り付けたたものを本発明の第11実施形
態として説明する。本実施形態の音響拡声装置は規模の
小さい装置を用いて広周波数帯域で指向性制御エリアを
実現する特徴を有するものである。
【0131】図16は本実施形態の音響拡声装置の要部
構造を示す概念図である。本図に示すように、音響ホー
ン1全体を箱型にし、その内部に円錐状又はパラボラ状
のホーン1aを設ける。ホーン1aの背部は中空部39
となり、この中空部の中央に第1の拡声スピーカ40を
下向きに取り付け、拡声音がホーン1aから下向きに放
射されるようにする。またホーン1aの焦点に相当する
位置に第2の拡声スピーカ41を上向きに取り付ける。
そして音響信号Sの入力端子と第2の拡声スピーカ41
の間に第1の音響補正手段42を設け、第1の拡声スピ
ーカ40の間に第2の音響補正手段43を設ける。
【0132】このように構成した音響拡声装置の動作を
説明する。第1の拡声スピーカ40は中空部39をバッ
クキャビティーとし、音響信号Sに対して音響補正手段
43で所定の音響補正をした音を放射する。一方、第2
の拡声スピーカ41から放射された拡声音が第1の拡声
スピーカ40の部分に到達するのに多少の時間を要す
る。このため音響補正手段43はこの時間だけ入力信号
を遅延させると共に、音響信号Sの低周波数帯域を抽出
して音声を出力する。第2の拡声スピーカ41はその振
動板が第1の拡声スピーカ40と対向しており、第2の
音響補正手段43で音響信号Sの中高周波数帯域を抽出
して出力する。第2の拡声スピーカ41より放射された
拡声音は波長が短いので、ホーン1aで反射され易くな
り、指向性の高い音波となって音響ホーン1から下方向
に放射される。
【0133】第1の拡声スピーカ40はバックキャビテ
ィーとして中空部39を用いているため、装置の寸法を
大きくすることなく充分な音響容積を確保することがで
きる。従って、第1の拡声スピーカ40は小口径であっ
ても低周波数帯域から充分な音圧を出力することができ
る。また、中高周波数帯域を再生する第2の拡声スピー
カ41は小容積のもので良いため、第1の拡声スピーカ
40および第2の拡声スピーカ41から放射された拡声
音の第2の拡声スピーカ41での反射による波面の乱れ
を低減させることもできる。
【0134】(実施の形態12)次に音響拡声装置の音
響ホーンの背面に中空部を設けると共に、この中空部を
小空間に分割し、各小空間に拡声スピーカ又は制御スピ
ーカを取り付たものを本発明の第12実施形態として説
明する。本実施形態の音響拡声装置は、小さい規模の装
置を用いて広周波数帯域で指向性制御エリアを実現する
ものである。
【0135】図17は本実施形態の音響拡声装置の要部
構造を示す断面図であり、図18は一部切り欠き平面図
である。図17に示すように、音響ホーン1全体を箱型
にし、その内部に円錐状又はパラボラ状のホーン1aを
設ける。ホーン1aの背部は中空部39となり、図1
7、図18に示すようにこの中空部39に間仕切り44
a、44b・・・44nを設け、小空間45a、45b
・・・45nに分割する。そして中央の小空間に第1の
拡声スピーカ40を下向きに取り付け、拡声音がホーン
1aから放射されるようにする。またホーン1aの焦点
に相当する位置に第2の拡声スピーカ41を上向きに取
り付ける。そして周囲の小空間に制御スピーカ3a、3
b、3c・・・3nを下向きに取り付ける。
【0136】このように構成された音響拡声装置の動作
を説明する。第1の拡声スピーカ40と制御スピーカ3
a、3b、3c・・・3nは、小空間45a、45b、
45c・・・45nをバックキャビティーとして拡声
音、制御音を夫々放射する。バックキャビティーが間仕
切44a、44b、44c・・・44nで音響的に遮断
されることによって、第1の拡声スピーカ40と制御ス
ピーカ3a、3b、3c・・・3nは相互の干渉が無く
なる。このため、低周波数帯域から安定した駆動を実現
することができる。
【0137】(実施の形態13)次に音響拡声装置の音
響ホーンの背面に中空部を設けると共に、この中空部を
小空間に分割し、周辺部の小空間の端を開放すべく出口
を設け、この小空間に制御スピーカを取り付たものを本
発明の第13実施形態として説明する。本実施形態の音
響拡声装置は、少ないハードウェアで広周波数帯域で指
向性制御エリアを実現するものである。
【0138】図19は本実施形態の音響拡声装置の要部
構造を示す部分断面図である。本図に示すように、音響
ホーン1全体を箱型にし、その内部に円錐状又はパラボ
ラ状のホーン1aを設ける。ホーン1aの背部は中空部
となり、この中空部39に間仕切り44a、44b・・
・44nを設け、小空間45a、45b・・・45nに
分割する。音響ホーン1の下部周辺の特定の小空間を4
5nとすると、この小空間45nの形状は絞り形の出口
を有するものとなり、その背部にやや大きな空間が確保
される。この絞り部は音響管46となり、出口は音響管
開口部47になる。そして音響管46の背部に制御スピ
ーカ3nを取り付ける。
【0139】このように構成した音響拡声装置の動作を
説明する。制御スピーカ3nは間仕切り44nで仕切ら
れた小空間45nをバックキャビティーとしているの
で、制御音は音響管46を通って誤差検出器4n近傍の
音響管開口部47から放出される。こうすると装置の寸
法を大きくすることなく、大きな口径の制御スピーカを
用いることができる。従って、低周波数帯域から充分な
制御用の音圧が得られ、広周波数帯域で優れた指向特性
を実現できる。
【0140】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明では、拡声
用のスピーカから等距離に設置した制御スピーカと、そ
の各々の制御スピーカの近傍に等距離に誤差検出器とを
設置することにより、拡声用スピーカから各誤差検出器
までの伝達関数を各々等しく、且つ各制御スピーカから
誤差検出器に至る伝達関数を等しくしている。そのため
少ないハードウェアで広い音場制御エリアが実現でき、
音響ホーンの開口側にのみ指向性を有する音響拡声装置
を実現することができる。
【0141】又請求項2,3の発明では、請求項1の発
明の効果に加えて、周囲の環境騒音の影響を除くことが
でき、かつ指向性の高い音響信号を出力することができ
る。
【0142】又に請求項4の発明では、音響拡声装置を
電話機に設け、第2の誤差検出器を送話器として用いる
ことにより、音響フィードバックエコーのない通話が可
能になる。
【0143】又に請求項5の発明では、音響ホーンの形
状に関らず、音響ホーンの中心方向に指向性を有し、周
囲方向には拡散しない音響特性が実現できる。特に受聴
エリア内では音響補正手段を動作させることにより、受
聴者に最適の音響特性を実現できる。
【0144】又に請求項6、7の発明では、音響ホーン
の形状に関らず、音響ホーンの中心方向に指向性を有
し、周囲方向には拡散しない音響特性が実現できる。特
に受聴エリア内では音響補正手段を動作させることによ
り、より少ないハードウェア構成で受聴者に最適の音響
特性を実現できる。
【0145】又に請求項8の発明では、制御スピーカの
取り付け方向をある範囲の角度にすることにより、音響
ホーンの内側でより広範囲な音の制御エリアを実現でき
る。
【0146】又に請求項9の発明では、第1の制御スピ
ーカと第1の誤差検出器間の伝達関数の乱れを改善する
ことができる。
【0147】又に請求項10の発明では、特に低域の周
波数帯で優れた音響再生特性が得られる。このため音響
拡声装置の寸法を大きくすることなく、充分な実効容積
を得ることができる。
【0148】又に請求項11の発明では、第1の拡声ス
ピーカは小口径であっても低周波数帯域から充分な音圧
を出力することができる。また、中高周波数帯域を再生
する第2の拡声スピーカは小容積のもので良い。
【0149】又に請求項12の発明では、間仕切によっ
て複数のバックキャビティーが形成されるため、第1の
拡声スピーカと制御スピーカの相互の干渉が無くなる。
このため、低周波数帯域から安定した駆動を実現するこ
とができる。
【0150】又に請求項13の発明では、音響ホーンの
寸法を大きくすることなく、大きな口径の制御スピーカ
を用いることができる。従って、低周波数帯域から充分
な制御用の音圧が得られ、広周波数帯域で優れた指向特
性を実現できる。
【0151】又いずれの本発明も、経年変化により拡声
スピーカや制御スピーカの特性が変化しても、その入力
を適応フィルタを介してダイナミックに変化させること
によって、経年変化の影響のない音響拡声装置が実現で
きるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による音響拡声装置の構
成図である。
【図2】本発明の第2実施形態による音響拡声装置の構
成図である。
【図3】本発明の第3実施形態による音響拡声装置の構
成図である。
【図4】本発明の第4実施形態による音響拡声装置の構
成図である。
【図5】本発明の第5実施形態による音響拡声装置の構
成図(その1)である。
【図6】本発明の第5実施形態による音響拡声装置の構
成図(その2)である。
【図7】本発明の第6実施形態による音響拡声装置の構
成図(その1)である。
【図8】本発明の第6実施形態による音響拡声装置の構
成図(その2)である。
【図9】本発明の第7実施形態における音響補正手段の
構成図である。
【図10】本発明の第8実施形態における音響ホーン開
口端部の垂直断面図である。
【図11】第8実施形態の音響ホーンにおいて、第1の
制御スピーカの音響放射特性を有限要素法により解析し
た説明図である。
【図12】第8実施形態の音響ホーンにおいて、第1の
制御スピーカの音響放射面方向と第1の誤差検出器の位
置を示した説明図である。
【図13】本発明の第9実施形態における音響ホーンの
垂直断面図である。
【図14】第9実施形態の音響ホーンにおいて、第1の
制御スピーカと第1の誤差検出器間の伝達関数を示す説
明図である。
【図15】本発明の第10実施形態における音響ホーン
の垂直断面図である。
【図16】本発明の第11実施形態における音響ホーン
の垂直断面図である。
【図17】本発明の第12実施形態における音響ホーン
の垂直断面図である。
【図18】第12実施形態の音響ホーンの一部切り欠き
平面図である。
【図19】本発明の第13実施形態における音響ホーン
の部分断面図である。
【図20】第1従来例の音響再生装置の構成図である。
【図21】第2従来例の音響再生装置の構成図である。
【符号の説明】
1 音響ホーン 1a ホーン 2,40,41 拡声スピーカ 3a,3b・・・3n,21a〜21n 制御スピーカ 4a,4b・・・4n,13 誤差検出器 5,16,17a〜17n,20,22,23,24
加算器 6,12,22,25 適応フィルタ 7,14,26,27,28,29 フィルタードXフ
ィルタ(FXフィルタ) 8,15,21,30,31,32,33 係数更新器 11 騒音検出器 18 送受話者 19 電話器 19a 送話信号入力端子 19b 受話信号入力端子 34,42,43 音響補正手段 35,37 遅延器 36 フィルタ 38 吸音材 39 中空部 44a〜44n 間仕切り 45a〜45n 小空間 46 音響管 47 音響管開口部 S 音響信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 裕之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−43886(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 1/30 G10K 11/178 H04R 1/32 310 H04R 27/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端が閉じられ、他端が開放された音響
    ホーンと、 前記音響ホーン内部の中心部に設置され、音響信号を出
    力する拡声スピーカと、 前記音響ホーンの開口側の周辺部に前記拡声スピーカか
    ら等距離に設置され、前記拡声スピーカから前記音響ホ
    ーンの外部に放射される音声を抑圧するための制御音を
    出力する複数個の制御スピーカと、 前記各制御スピーカの近傍に夫々配置され、前記拡声ス
    ピーカと前記制御スピーカとの合成音を誤差として検出
    する複数の誤差検出器と、 前記各誤差検出器の出力を加算する加算器と、 音響信号が入力され、前記音響信号を所定の伝達関数で
    変換してその出力を前記各制御スピーカに出力する適応
    フィルタと、 前記複数の制御スピーカ各々からこれと近接する前記各
    誤差検出器までの伝達関数の和に等しい伝達関数で音響
    信号を変換するFXフィルタと、 前記FXフィルタの出力する基準信号及び前記加算器の
    出力する誤差信号が入力され、前記加算器の出力信号が
    小さくなるように前記適応フィルタの係数を演算して更
    新する係数更新器と、を具備することを特徴とする音響
    拡声装置。
  2. 【請求項2】 一端が閉じられ、他端が開放された音響
    ホーンと、 前記音響ホーン内部の中心部に設置され、音響信号を出
    力する拡声スピーカと、 前記音響ホーンの開口側の周辺部に前記拡声スピーカか
    ら等距離に設置され、前記拡声スピーカから前記音響ホ
    ーンの外部に放射される音声を抑圧するための制御音を
    出力する複数個の制御スピーカと、 前記制御スピーカの各々の近傍に配置され、前記拡声ス
    ピーカと前記制御スピーカとの合成音を誤差として検出
    する第1群の誤差検出器と、 前記第1群の誤差検出器の出力を加算する第1の加算器
    と、 音響信号が入力され、前記音響信号を所定の伝達関数で
    変換してその出力を前記各制御スピーカに出力する第1
    の適応フィルタと、 前記複数の制御スピーカ各々からこれと近接する前記各
    誤差検出器までの伝達関数の和に等しい伝達関数で音響
    信号を変換する第1のFXフィルタと、 前記第1のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
    1の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記第1の
    加算器の出力信号が小さくなるように前記第1の適応フ
    ィルタの係数を演算して更新する第1の係数更新器と、 前記音響ホーンの外側であって、騒音の到来方向に設置
    した騒音検出器と、 前記音響ホーンの内側に位置する受聴者の近傍に設置さ
    れ、前記音響ホーンの内側の音圧を検出する第2の誤差
    検出器と、 前記騒音検出器の検出信号を所定の伝達関数で変換する
    第2の適応フィルタと、 前記騒音検出器の検出信号が入力され、前記拡声スピー
    カから前記第2の誤差検出器までの伝達関数と前記各制
    御スピーカから前記第2の誤差検出器までの伝達関数と
    の和に等しい伝達関数を有する第2のFXフィルタと、 前記第2のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
    2の誤差検出器の出力する誤差信号が入力され、前記第
    2の誤差検出器の出力が小さくなるように係数を演算し
    て前記第2の適応フィルタの係数を更新する第2の係数
    更新器と、 入力音響信号と前記第2の適応フィルタの出力信号とを
    加算し、その加算値を拡声すべき音響信号として前記拡
    声スピーカに与える第2の加算器と、を具備することを
    特徴とする音響拡声装置。
  3. 【請求項3】 一端が閉じられ、他端が開放された音響
    ホーンと、 前記音響ホーン内部の中心部に設置され、音響信号を出
    力する拡声スピーカと、 前記音響ホーンの開口側の周辺部に前記拡声スピーカか
    ら等距離に設置され、前記拡声スピーカから前記音響ホ
    ーンの外部に放射される音声を抑圧するための制御音を
    出力する複数個の制御スピーカと、 前記制御スピーカの各々の近傍に配置され、前記拡声ス
    ピーカと前記制御スピーカとの合成音を誤差として検出
    する第1群の誤差検出器と、 前記第1群の誤差検出器の出力を加算する第1の加算器
    と、 音響信号が入力され、その出力を前記各制御スピーカに
    出力する第1の適応フィルタと、 前記複数の制御スピーカ各々からこれと近接する前記各
    誤差検出器までの伝達関数の和に等しい伝達関数で音響
    信号を変換する第1のFXフィルタと、 前記第1のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
    1の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記第1の
    加算器の出力信号が小さくなるように前記第1の適応フ
    ィルタの係数を演算して更新する第1の係数更新器と、 前記音響ホーンの外側であって、騒音の到来方向に設置
    した騒音検出器と、 前記音響ホーンの内側に位置する受聴者の近傍に設置さ
    れ、前記音響ホーンの内側の音圧を検出する第2の誤差
    検出器と、 前記騒音検出器の検出信号を所定の伝達関数で変換する
    第2の適応フィルタと、 前記騒音検出器の検出信号が入力され、前記拡声スピー
    カから前記第2の誤差検出器までの伝達関数と前記各制
    御スピーカから前記第2の誤差検出器までの伝達関数と
    の和に等しい伝達関数を有する第2のFXフィルタと、 前記第2のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
    2の誤差検出器の出力する誤差信号が入力され、前記第
    2の誤差検出器の出力が小さくなるように係数を演算し
    て前記第2の適応フィルタの係数を更新する第2の係数
    更新器と、 前記第1及び第2の適応フィルタの出力を加算し、その
    出力を前記各制御スピーカに出力する第2群の加算器
    と、を具備することを特徴とする音響拡声装置。
  4. 【請求項4】 前記第2の誤差検出器は、受聴者の送話
    用マイクロフォンを兼ねるものであることを特徴とする
    請求項2又は3記載の音響拡声装置。
  5. 【請求項5】 一端が閉じられ、他端が開放された音響
    ホーンと、 前記音響ホーン内部の中心部に設置され、音響信号を音
    声に変換する拡声スピーカと、 入力された音響信号を遅延して前記拡声スピーカに与え
    る遅延器と、 前記音響ホーンの開口側の周辺部に前記拡声スピーカか
    ら等距離且つ正多角形の略頂点位置に配置され、前記拡
    声スピーカから前記音響ホーンの外部に放射される音声
    を抑圧するための第1の制御音を出力する第1群の複数
    の制御スピーカと、 前記音響ホーンの開口側の周辺部に前記第1群の制御ス
    ピーカと隣合わせに配置され、前記拡声スピーカの放射
    音を補正するための第2の制御音を出力する第2群の複
    数の制御スピーカと、 前記第1群の制御スピーカの各々の近傍に配置した第1
    群の誤差検出器と、 前記第1群の誤差検出器の出力を加算する第1の加算器
    と、 前記遅延器の出力する音響信号を所定の音響特性に補正
    する音響補正手段と、 前記音響ホーンの内側に位置する受聴者の近傍に設置さ
    れ、前記拡声スピーカの拡声音と前記第1及び第2の制
    御スピーカの制御音との合成音を検出する第2の誤差検
    出器と、 前記第2の誤差検出器の出力と前記音響補正手段の出力
    を加算する第2の加算器と、 前記第1群の制御スピーカ各々からこれと近接する前記
    第1群の誤差検出器までの伝達関数の和に等しい伝達関
    数で音響信号を変換する第1のFXフィルタと、 音響信号を適応制御して前記第1群の制御スピーカに与
    える第1の適応フィルタと、 前記第1のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
    1の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記第1の
    加算器の出力信号が小さくなるように前記第1の適応フ
    ィルタの係数を演算更新する第1の係数更新器と、 前記第1群の制御スピーカ各々から前記第2の誤差検出
    器までの伝達関数の和に等しい伝達関数で音響信号を変
    換する第2のFXフィルタと、 前記第2のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
    2の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記第2の
    加算器の出力信号が小さくなるように前記第1の適応フ
    ィルタの係数を演算更新する第2の係数更新器と、 前記第1の係数更新器の出力及び前記第2の係数更新器
    の出力を加算してフィルタ係数を前記第1の適応フィル
    タに与える第3の加算器と、 音響信号を適応制御して前記第2群の制御スピーカに与
    える第2の適応フィルタと、 前記第2の制御スピーカ各々からこれと近接する前記第
    1群の誤差検出器までの伝達関数の和に等しい伝達関数
    で音響信号を変換する第3のFXフィルタと、 前記第3のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
    1の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記第1の
    加算器の出力信号が小さくなるように前記第2の適応フ
    ィルタの係数を演算更新する第3の係数更新器と、 前記第2群の制御スピーカ各々からこれと近接する前記
    第2の誤差検出器までの伝達関数の和に等しい伝達関数
    で音響信号を変換する第4のFXフィルタと、 前記第4のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
    2の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記第2の
    加算器の出力信号が小さくなるように前記第2の適応フ
    ィルタの係数を演算更新する第4の係数更新器と、 前記第3の係数更新器の出力及び前記第4の係数更新器
    の出力を加算してフィルタ係数を前記第2の適応フィル
    タに与える第4の加算器と、を具備することを特徴とす
    る音響拡声装置。
  6. 【請求項6】 一端が閉じられ、他端が開放された音響
    ホーンと、 前記音響ホーン内部の中心部に設置され、音響信号を出
    力する拡声スピーカと、 入力された音響信号を遅延して前記拡声スピーカに与え
    る遅延器と、 前記音響ホーンの開口側の周辺部に前記拡声スピーカか
    ら等距離になるよう正多角形状に配置され、前記拡声ス
    ピーカから前記音響ホーンの外部に放射される音声を抑
    圧するための第1の制御音を出力する第1群の複数の制
    御スピーカと、 前記音響ホーンの開口側の周辺部に前記第1群の制御ス
    ピーカと隣合わせに配置され、前記拡声スピーカの放射
    音を補正するための第2の制御音を出力する第2群の複
    数の制御スピーカと、 前記第1群の制御スピーカの各々の近傍に配置した第1
    群の誤差検出器と、 前記第1群の誤差検出器の出力を加算する第1の加算器
    と、 前記遅延器の出力する音響信号を所定の音響特性に補正
    する音響補正手段と、 前記音響ホーンの内側に位置する受聴者の近傍に設置さ
    れ、前記拡声スピーカの放射音と前記第1群及び第2群
    の制御スピーカの制御音との合成音を検出する第2の誤
    差検出器と、 前記第2の誤差検出器の出力と前記音響補正手段の出力
    を加算する第2の加算器と、 前記第1群の制御スピーカ各々からこれと近接する前記
    第1群の誤差検出器までの伝達関数の和に等しい伝達関
    数で音響信号を変換する第1のFXフィルタと、 音響信号を適応制御して前記第1群の制御スピーカに与
    える第1の適応フィルタと、 前記第1のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
    1の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記第1の
    加算器の出力信号が小さくなるように前記第1の適応フ
    ィルタの係数を演算更新する第1の係数更新器と、 前記第1群の制御スピーカ各々からこれと前記第2の誤
    差検出器までの伝達関数の和に等しい伝達関数で音響信
    号を変換する第2のFXフィルタと、 前記第2のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
    2の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記第2の
    加算器の出力信号が小さくなるように前記第1の適応フ
    ィルタの係数を演算更新する第2の係数更新器と、 前記第1の係数更新器の出力及び前記第2の係数更新器
    の出力を加算してフィルタ係数を前記第1の適応フィル
    タに与える第3の加算器と、 音響信号を適応制御して前記第2群の制御スピーカに与
    える第2の適応フィルタと、 前記第2群の制御スピーカ各々からこれと近接する前記
    第1群の誤差検出器までの伝達関数の和に等しい伝達関
    数で音響信号を変換する第3のFXフィルタと、 前記第3のFXフィルタの出力する基準信号及び前記第
    1の加算器の出力する誤差信号が入力され、前記第1の
    加算器の出力信号が小さくなるように前記第2の適応フ
    ィルタの係数を演算更新する第3の係数更新器と、 前記第3の係数更新器の出力及び前記第2の係数更新器
    の出力を加算してフィルタ係数を前記第2の適応フィル
    タに与える第4の加算器と、を具備することを特徴とす
    る音響拡声装置。
  7. 【請求項7】 前記音響補正手段は、 音響信号を遅延する遅延器と、音響信号を所定の音響特
    性に変換するフィルタとの直列接続体であることを特徴
    とする請求項5又は請求項6記載の音響拡声装置。
  8. 【請求項8】 前記第1の制御スピーカは、 音響放射面を垂直下向きに対して90度を上限として前
    記音響ホーン内側に向くように設置されたものであり、 前記第1の誤差検出器は、 前記第1の制御スピーカの音響放射面の中心を通る法線
    上に設けられ、前記音響放射面から10cmを上限とし
    て離れた位置に設置されたものであることを特徴とする
    請求項7記載の音響拡声装置。
  9. 【請求項9】 前記音響ホーンは、 その開口端の内周部に吸音材が固着されたものであるこ
    とを特徴とする請求項8記載の音響拡声装置。
  10. 【請求項10】 前記音響ホーンは、 前記拡声スピーカの音声放射方向に沿って開口面積が増
    加するホーンと、 前記ホーンを背後から覆うと共に、前記制御スピーカの
    バックキャビティーとなる中空部と、を有するものであ
    ることを特徴とする請求項1、2、3、5、6のいずれ
    か1項記載の音響拡声装置。
  11. 【請求項11】 音響信号の低域成分を抽出する第1の
    音響補正手段と、 音響信号の中域以上の成分を抽出する第2の音響補正手
    段と、を更に設け、 前記拡声スピーカは、 前記ホーンの反射面と対向するよう焦点部に取り付けら
    れ、前記第2の音響補正手段で補正された音響信号を音
    声に変換する第1の拡声スピーカ、及び前記中空部の中
    央部であって、前記ホーンの開口方向に向けて取り付け
    られ、前記第1の音響補正手段で補正された音響信号を
    音声に変換する第2の拡声スピーカ、を含むものである
    ことを特徴とする請求項10記載の音響拡声装置。
  12. 【請求項12】 前記音響ホーンは、 前記拡声スピーカの音声放射方向に沿って開口面積が増
    加し、音響信号の中域以上の成分を出力する第2の拡声
    スピーカの反射面となるホーンと、 前記ホーンを背後から覆うと共に、前記制御スピーカの
    バックキャビティーとなる第1の中空部と、音響信号の
    低成分を出力する第1の拡声スピーカのバックキャビテ
    ィーとなる第2の中空部と、を有するものであることを
    特徴とする請求項1、2、3、5、6のいずれか1項記
    載の音響拡声装置。
  13. 【請求項13】 前記第1の中空部は、 開口断面積が音波の進行方向に向かって徐々に縮小する
    音響管を有するものであることを特徴とする請求項12
    記載の音響拡声装置。
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