JP3508419B2 - 希土類、遷移金属を含む合金粉末の還元拡散法による製造方法 - Google Patents
希土類、遷移金属を含む合金粉末の還元拡散法による製造方法Info
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Description
池材料、永久磁石材料として有用な希土類、遷移金属を
含む合金粉末の還元拡散法による製造方法に関し、より
詳細には、上記の製造を行うに際して、還元拡散反応を
行わせる焼成工程後の焼成物の崩壊性を改善して、焼成
物の粉砕工程を不要とし、洗浄効率や回収率を向上さ
せ、かつ不純物含有量を低減させるための新規な還元拡
散法による前記合金粉末の製造方法に関するものであ
る。
廉であり、熱処理温度が低く、得られた合金の組織が緻
密で、かつ組成の調整がしやすく、その上合金塊の表面
処理、粉砕工程などが不要であるなど、多くの利点を有
するので、希土類系永久磁石の製造などに多用されてい
る。
希土類酸化物粉末、遷移金属粉末、その他の原料粉末を
秤量して混合し、さらに前記希土類酸化物粉末を還元す
るたに必要な還元剤、例えば金属カルシウムなどを添加
混合し、該混合物を酸素が実質的に存在しない雰囲気、
例えばアルゴン気流中や真空中で還元剤が溶融する温
度、例えば還元剤に金属カルシウムを使用した場合には
820℃以上の温度で、かつ所望の合金が溶解しない程
度の温度(通常は、900〜1200℃)まで昇温焼成
し、前記希土類酸化物を希土類金属に還元した後、これ
を前記遷移金属粉末に拡散させて所望の合金とし、室温
まで冷却した後得られた焼成物を水中に投入して残留還
元剤および生成した酸化還元剤を溶解させ、撹拌とデカ
ンテーションを繰り返し行って水洗し、沈殿した合金粉
末を分離回収し、乾燥して所望の希土類、遷移金属を含
む合金粉末を得るものである。
て焼成炉として一般にステンレススチール製反応容器が
用いられ、これに上記の各酸化物を含む原料混合物を充
填して焼成が行われ、これによって原料粉末混合物にお
ける還元拡散反応が進行するが、焼成後は混合物は収縮
し、また強固に塊状に固まってしまうためにその回収が
困難であるといった問題がある。
e−B系の永久磁石用合金を還元拡散法による製造のよ
うに合金の一部組成が溶融するほどに焼成温度を高くし
て還元拡散法による合金の製造が行われる場合には、焼
成物は極めて強固に固まってしまうので、これを水洗工
程に移行させるためには、ハンマーなどにより大割り
し、さらにジョークラッシャーなどの粉砕機で約1cm
角大の大きさまで粗粉砕しなければならなかった。そし
て、これら破砕、粉砕の作業はそれ自体危険な作業であ
るばかりでなく、発火防止や酸化防止のための処置を講
ずる必要がある上に、製品収率の低下や破砕、粉砕の作
業中において不純物混入による品質低下などを招く恐れ
があるので好ましくなかった。
成温度で製造が行われるSm−Co系合金などの場合に
おいては、焼成物は一昼夜放置すれば自然崩壊するが、
これも完全に崩壊するわけでなく、季節、天候、気温な
どの放置環境の違いによって崩壊度が異なり、品質管理
上問題があるし、崩壊時間が一昼夜と長いために、大気
中の塩素分、窒素酸化物などを吸収して最終製品の品質
を劣化させるといった問題もあった。
金の製造における上記の問題を解決し、焼成物の水中崩
壊性を向上させることによって粉砕工程を省略し、これ
によって製品の収率を向上させると共に品質の高い合金
製品を得る方法を提供することを目的とするものであ
る。
決すべく鋭意研究を重ねた結果、還元拡散法により希土
類/遷移金属を含む合金粉末を製造する際に、焼成工程
を経て得られた焼成物を冷却する間にまたはその後に、
水素ガスにより水素処理を行うと、驚くべきことには、
焼成物の崩壊性が著しく改善し、その結果、焼成物の粉
砕工程が不要となるばかりでなく、洗浄効率や回収率が
向上し、しかも不純物含有量も低減できるということを
見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
の第1の発明によれば、希土類酸化物粉末、遷移金属粉
末およびその他の原料粉末に、希土類酸化物粉末を還元
するのに十分な還元剤を混合する工程(A)、得られた
混合物を酸素が実質的に存在しない雰囲気下、還元剤が
溶融する温度以上でかつ所望の合金が溶解しない温度に
加熱し、希土類酸化物を希土類金属に還元すると共に生
成した希土類金属を遷移金属粉末に拡散させる焼成工程
(B)、不活性ガスを流通して、得られた焼成物を冷却
する冷却工程(C)、さらには、冷却された焼成物中に
含まれる残留還元剤および生成した酸化還元剤を水と接
触させることにより溶解除去した後、所望の合金粉末を
分離回収する工程(D)を包含する、還元拡散法により
希土類/遷移金属を含む合金粉末を製造する方法におい
て、冷却工程(C)の間にまたは冷却工程(C)の後
に、不活性ガスの一部または全部を水素に置換し、得ら
れた焼成物を水素雰囲気下に100〜600℃で水素処
理し、その後再び不活性ガスに置換することにより、水
素処理された焼成物の水中崩壊性を向上させることを特
徴とする希土類/遷移金属を含む合金粉末の製造方法が
提供される。また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、前記水素処理は、焼成炉内で行われる
ことを特徴とする希土類/遷移金属を含む合金粉末の製
造方法が提供される。さらに、本発明の第3の発明によ
れば、第1又は2の発明において、前記希土類/遷移金
属を含む合金粉末は、Sm−Co系合金粉末、Sm−F
e系合金粉末またはNd−Fe−B系合金粉末であるこ
とを特徴とする希土類/遷移金属を含む合金粉末の製造
方法が提供される。
応生成物は、水中崩壊性が格段に向上するので、粉砕工
程を省略することができる上に、デカンテーションの繰
り返し操作回数を大幅に低減させることができ、これに
よって、廃液処理量の削減や合金粉末製品の回収率の一
層の向上を図ることができる。
成による還元拡散後の反応生成物の冷却工程中に焼成炉
内で行うことが好ましい。これは工程が簡略化でき、か
つエネルギー消費量も削減できるからである。また、前
記水素処理は、100〜600℃の温度範囲で行うこと
が好ましい。100℃未満では効果が小さく、一方60
0℃を超えるとエネルギー消費量が大きくなり、かつ目
的の合金化合物が分解したり副生成物が生じることがあ
るからである。さらに、焼成後は室温まで冷却してから
水素処理する必要はなく、水素処理の加熱に焼成処理の
余熱を利用してもよい。
属を含む合金粉末を製造する方法においては、工程
(A)では、希土類酸化物粉末、遷移金属粉末、その他
の原料粉末を秤量して混合し、さらに前記希土類酸化物
粉末を還元するのに十分な還元剤を添加混合し、次い
で、焼成工程(B)では、該混合物を酸素が実質的に存
在しない雰囲気中で還元剤が溶融する温度以上でかつ所
望の合金が溶解しない温度まで昇温保持することにより
焼成を行い、前記希土類酸化物を希土類金属に還元した
後、これを前記遷移金属粉末に拡散させて所望の合金と
し、次いで、冷却工程(C)では、不活性ガスを流通し
て、高温にあった焼成物を室温まで冷却し、最後に、工
程(D)では、冷却された焼成物を水中に投入して残留
還元剤および生成した酸化還元剤を溶解させ、攪拌とデ
カンテーションを繰り返し行って水洗し、沈殿した合金
粉末を分離回収し、乾燥して所望の希土類、遷移金属を
含む合金粉末を製造する。本発明は、上記したような還
元拡散法により希土類/遷移金属を含む合金粉末を製造
する方法において、焼成による還元拡散により得られた
反応生成物を、冷却工程(C)の間にまたは冷却工程
(C)の後に引き続いて、不活性ガスの一部または全部
を水素に置換し、水素雰囲気下に100〜600℃で水
素処理し、その後再び不活性ガスに置換することによ
り、反応生成物の崩壊性を向上させて、デカンテーショ
ン繰り返し操作回数を削減させ、これにより合金粉末製
品の収率を向上させるとともに製品の品質向上を図るこ
とに成功したものである。
は希土類(イットリウムを含むランタノイド元素)、遷
移金属(鉄、コバルト、ニッケル)を含む合金粉末であ
れば、いずれの合金粉末の還元拡散法においても応用す
ることができる。例えば、水素貯蔵合金、電池材料、永
久磁石用合金(例えば、Sm−Co系、Sm−Fe−N
系合金の製造に供するSm−Fe系合金、Nd−Fe−
B系、La−Ni系、Tb−Fe−Co系、Nd−Co
系など)などがあるが、特に、Sm−Co系およびNd
−Fe−B系の永久磁石用合金の製造に適用した場合に
おいて本発明の製造方法は著しい効果を発揮させること
ができる。
の還元拡散法における焼成工程後の冷却期間をアルゴン
ガスなどの不活性ガスを流通して行っていたのを、所定
の冷却温度に達したときに、適当な時間アルゴンガス流
通の一部または全部を水素ガスに置換して流通させるよ
うにするのみでよい。
は、室温に冷却された後大気中に曝されるだけで自然崩
壊が進行し、従来必要であった焼成物の1cm角大程度
への粗粉砕工程を省略することができるばかりでなく、
従来の粗粉砕工程後の粒度よりも細粒に崩壊するので、
その後の水洗分離工程における時間短縮を図ることがで
き、篩分け、デカンテーション繰り返し操作回数などを
大幅に削減することができる。そして、これによって廃
液処理量の削減、合金粉末製品の回収率の向上並びに製
品純度の向上を果たすことができるのである。また、水
素処理にロータリーキルンなどを用いれば、粉状化した
焼成体が得られる。
する。実施例1〜実施例9および比較例1〜比較例2に
おいてはSm−Co系合金粉末の製造例について、また
実施例10〜実施例19および比較例3〜比較例4にお
いてはNd−Fe−B系の製造例について示した。
粉末460g、コバルト粉末660g、金属カルシウム
198g(酸化サマリウムの還元に必要な化学量論量の
1.25倍)および無水塩化カルシウム46g(いずれ
の原料も純度99%以上)をアルゴン雰囲気中で混合
し、混合物をステンレススチール製反応容器(焼成炉)
内に封入し、アルゴンガス気流中で1150℃まで約1
時間かけて昇温し、同温度で約4時間保持しさらに10
00℃で2時間保持して還元拡散反応を行わせた後50
0℃まで冷却し、この時点でアルゴンガスを水素ガスに
置換した。この状態で2時間放置後、さらに反応容器内
を再びアルゴンガスで置換し、次いで室温まで冷却して
塊状の反応生成物を容器から取り出して50リットルの
水中に投入し、1時間撹拌して該塊状反応生成物を十分
に水中崩壊させてスラリー状にし、得られたスラリーか
らCa(OH)2を含む懸濁物を分離し、残部を48メ
ッシュの篩で篩分けして篩下を回収した。回収量を表1
に示す。
50リットルの純水を注水後、合金粉末が沈降するのを
確認してデカンテーションにより排水する操作をスラリ
ーのpHが10以下になるまで繰り返し行った。このデ
カンテーション繰り返し回数を表1に示す。次いで、さ
らに48メッシュの篩で篩分けして篩下の合金粉末を回
収し、吸引濾過後エタノールで洗浄し、50℃、10
−2Torrの真空中において8時間乾燥を行いSm−
Co系合金粉末製品を得た。最終製品回収量を表1に示
す。
条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られた反
応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷却し
た後、さらにアルゴンガス中で100℃に加熱し、同温
度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時間水
素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られた反
応生成物を実施例1と同様の手順で湿式処理してSm−
Co系合金粉末製品を得た。本実施例における反応生成
物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH10以下に
至るまでのデカンテーション回数および最終製品回収量
を表1に示す。
条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られた反
応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷却し
た後、さらにアルゴンガス中で200℃に加熱し、同温
度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時間水
素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られた反
応生成物を実施例1と同様の手順で湿式処理してSm−
Co系合金粉末製品を得た。本実施例における反応生成
物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH10以下に
至るまでのデカンテーション回数および最終製品回収量
を表1に示す。
条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られた反
応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷却し
た後、さらにアルゴンガス中で300℃に加熱し、同温
度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時間水
素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られた反
応生成物を実施例1と同様の手順で湿式処理してSm−
Co系合金粉末製品を得た。本実施例における反応生成
物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH10以下に
至るまでのデカンテーション回数および最終製品回収量
を表1に示す。
条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られた反
応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷却し
た後、さらにアルゴンガス中で400℃に加熱し、同温
度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時間水
素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られた反
応生成物を実施例1と同様の手順で湿式処理してSm−
Co系合金粉末製品を得た。本実施例における反応生成
物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH10以下に
至るまでのデカンテーション回数および最終製品回収量
を表1に示す。
条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られた反
応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷却し
た後、さらにアルゴンガス中で500℃に加熱し、同温
度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時間水
素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られた反
応生成物を実施例1と同様の手順で湿式処理してSm−
Co系合金粉末製品を得た。本実施例における反応生成
物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH10以下に
至るまでのデカンテーション回数および最終製品回収量
を表1に示す。
条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られた反
応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷却し
た後、反応容器内を10−2Torrになるまで排気
し、次いで反応容器内に水素ガスを0.1Torrにな
るまで導入し、2時間水素雰囲気中放置した。これによ
り得られた反応生成物を実施例1と同様の手順で湿式処
理してSm−Co系合金粉末製品を得た。本実施例にお
ける反応生成物の水中投入後篩分けした篩下回収量、p
H10以下に至るまでのデカンテーション回数および最
終製品回収量を表1に示す。
粉末460g、コバルト粉末660g、金属カルシウム
198g(酸化サマリウムの還元に必要な化学量論量の
1.25倍、いずれの原料も純度99%以上)をアルゴ
ン雰囲気中で混合し、混合物をステンレススチール製反
応容器内に封入し、アルゴンガス気流中で1150℃ま
で約1時間かけて昇温し、同温度で約4時間保持しさら
に1000℃で2時間保持して還元拡散反応を行わせた
後室温まで冷却し、アルゴンガスを水素ガスに置換し
た。この状態で2時間放置後、さらに容器内をアルゴン
ガスで置換し、次いで塊状の反応生成物を容器から取り
出して50リットルの水中に投入し、1時間撹拌を行っ
て該塊状の反応生成物を十分に水中崩壊させてスラリー
状にし、得られたスラリーからCa(OH)2の懸濁物
を分離し、残部を48メッシュの篩で篩分けして篩下を
回収した。篩下回収量を表1に示す。
て、50リットルの純水を注水後、合金粉末が沈降する
のを確認してデカンテーションにより排水する操作をス
ラリーのpHが10以下になるまで繰り返し行った。こ
のデカンテーション繰り返し回数を表1に示す。次い
で、さらに48メッシュの篩で篩分けして篩下の合金粉
末を回収し、吸引濾過後エタノールで洗浄し、50℃、
10−2Torrの真空中において8時間乾燥を行いS
m−Co系合金粉末製品を得た。最終製品回収量を表1
に示す。
条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られた反
応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷却し
た後、反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、水素ガ
ス雰囲気内での保持を行わずにただちに反応容器内から
取り出した反応生成物を実施例1と同様の手順で湿式処
理して合金粉末製品を得た。本比較例における反応生成
物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH10以下に
至るまでのデカンテーション回数および最終製品回収量
を表1に示す。
条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られた反
応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷却し
た後、さらにアルゴンガス中で650℃に加熱し、同温
度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時間水
素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られた塊
状反応生成物を実施例1と同様の手順で湿式処理してS
m−Co系合金粉末製品を得た。本実施例における反応
生成物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH10以
下に至るまでのデカンテーション回数および最終製品回
収量を表1に示す。
条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られた塊
状反応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷
却した後、該反応生成物を実施例1と同様の手順で湿式
処理してSm−Co系合金粉末製品を得た。本比較例に
おける反応生成物の水中投入後篩分けした篩下回収量、
pH10以下に至るまでのデカンテーション回数および
最終製品回収量を表1に示す。
施例1〜実施例8によるものは、比較例1および2によ
るものに比べて水中崩壊後の篩下回収量が多く、またデ
カンテーションの繰り返し操作回数が少なくて済み、さ
らに最終製品回収量も高い。また、実施例9の結果で
は、水中崩壊後の回収量、デカンテーション操作回数、
製品回収量は、本発明の他の実施例のものと殆ど変わり
はないが、反応生成物中において主相を構成するSm1
Co5相が分解を起こし、コバルトおよびサマリウム水
酸化物などが生成し、そのままでは良好な磁石粉末製品
を得ることができない場合があった。
粉末405g、鉄粉末608g、硼素含有量19.0%
のフェロボロン粉末65g、金属カルシウム217g
(酸化ネオジウムの還元に必要な化学量論量の1.5
倍)および無水酸化カルシウム46g(いずれの原料も
純度99%以上)をアルゴン雰囲気中で混合し、混合物
をステンレススチール製反応容器(焼成炉)内に封入
し、アルゴンガス気流中で1000℃まで約1時間かけ
て昇温し、同温度で約2時間保持して還元拡散反応を行
わせた後500℃まで冷却し、この時点で反応容器内の
アルゴンガスを水素ガスに置換した。この状態で2時間
放置後、さらに反応容器内を再びアルゴンガスで置換
し、次いで室温まで冷却して塊状の反応生成物を容器か
ら取り出して50リットルの水中に投入し、1時間撹拌
して該塊状生成物を十分に水中崩壊させてスラリー状と
し、得られたスラリーからCa(OH)2を含む懸濁物
を分離し、残部を48メッシュの篩で篩分けして篩下を
回収した。該篩下回収量を表2に示す。
50リットルの純水を注水後、合金粉末が沈降するのを
確認してデカンテーションにより排水する操作をスラリ
ーのpHが10以下になるまで繰り返し行った。このデ
カンテーション繰り返し回数を表2に示す。次いで、さ
らに48メッシュの篩で篩分けして篩下の合金粉末を回
収し、吸引濾過後エタノールで洗浄し、50℃、10
−2Torrの真空中で8時間乾燥を行いNd−Fe−
B系合金粉末製品を得た。最終製品回収量を表2に示
す。
反応条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られ
た反応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷
却した後、さらにアルゴンガス中で100℃に加熱し、
同温度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時
間水素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られ
た反応生成物を実施例10と同様の手順で湿式処理して
Nd−Fe−B系合金粉末製品を得た。本実施例におけ
る反応生成物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH
10以下に至るまでのデカンテーション回数および最終
製品回収量を表2に示す。
反応条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られ
た反応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷
却した後、さらにアルゴンガス中で200℃に加熱し、
同温度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時
間水素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られ
た反応生成物を実施例10と同様の手順で湿式処理して
Nd−Fe−B系合金粉末製品を得た。本実施例におけ
る反応生成物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH
10以下に至るまでのデカンテーション回数および最終
製品回収量を表2に示す。
反応条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られ
た反応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷
却した後、さらにアルゴンガス中で300℃に加熱し、
同温度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時
間水素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られ
た反応生成物を実施例10と同様の手順で湿式処理して
Nd−Fe−B系合金粉末製品を得た。本実施例におけ
る反応生成物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH
10以下に至るまでのデカンテーション回数および最終
製品回収量を表2に示す。
反応条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られ
た反応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷
却した後、さらにアルゴンガス中で400℃に加熱し、
同温度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時
間水素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られ
た反応生成物を実施例10と同様の手順で湿式処理して
Nd−Fe−B系合金粉末製品を得た。本実施例におけ
る反応生成物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH
10以下に至るまでのデカンテーション回数および最終
製品回収量を表2に示す。
反応条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られ
た反応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷
却した後、さらにアルゴンガス中で500℃に加熱し、
同温度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時
間水素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られ
た反応生成物を実施例10と同様の手順で湿式処理して
Nd−Fe−B系合金粉末製品を得た。本実施例におけ
る反応生成物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH
10以下に至るまでのデカンテーション回数および最終
製品回収量を表2に示す。
反応条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られ
た反応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷
却した後、さらにアルゴンガス中で600℃に加熱し、
同温度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時
間水素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られ
た反応生成物を実施例10と同様の手順で湿式処理して
Nd−Fe−B系合金粉末製品を得た。本実施例におけ
る反応生成物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH
10以下に至るまでのデカンテーション回数および最終
製品回収量を表2に示す。
反応条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られ
た反応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷
却した後、反応容器内を10−2Torrになるまで排
気し、次いで反応容器内に水素ガスを0.1Torrに
なるまで導入し、2時間水素雰囲気中で放置した。これ
により得られた反応生成物を実施例10と同様の手順で
処理してNd−Fe−B系合金粉末製品を得た。本実施
例における反応生成物の水中投入後篩分けした篩下回収
量、pH10以下に至るまでのデカンテーション回数お
よび最終製品回収量を表2に示す。
粉末405g、鉄粉末608g、硼素含有量19.0%
のフェロボロン粉末65g、金属カルシウム217g
(酸化ネオジウムの還元に必要な化学量論量の1.5
倍、いずれの原料も純度99%以上)をアルゴン雰囲気
中で混合し、混合物をステンレススチール製反応容器内
に封入し、アルゴンガス気流中で1000℃まで約1時
間かけて昇温し、同温度で約2時間保持して還元拡散反
応を行わせた後室温まで冷却し、この時点で反応容器内
のアルゴンガスを水素ガスに置換した。この状態で2時
間放置後、さらに反応容器内を再びアルゴンガスで置換
し、塊状の反応生成物を容器から取り出して50リット
ルの水中に投入し、1時間撹拌して該塊状反応生成物を
十分に水中崩壊させてスラリー状にし、得られたスラリ
ーからCa(OH)2を含む懸濁物を分離し、残部を4
8メッシュの篩で篩分けして篩下を回収した。該篩下回
収量を表2に示す。
50リットルの純水を注水後、合金粉末が沈降するのを
確認してデカンテーションにより排水する操作をスラリ
ーのpHが10以下になるまで繰り返し行った。このデ
カンテーション繰り返し回数を表2に示す。次いで、さ
らに48メッシュの篩で篩分けして篩下の合金粉末を回
収し、吸引濾過後エタノールで洗浄し、50℃、10
−2Torrの真空中で8時間乾燥を行い、Nd−Fe
−B系合金粉末製品を得た。最終製品回収量を表2に示
す。
反応条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られ
た反応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷
却した後、反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、水
素ガス雰囲気内での保持を行わずに、ただちに反応容器
内から取り出した反応生成物を実施例10と同様の手順
で湿式処理して、Nd−Fe−B系合金粉末製品を得
た。本比較例における反応生成物の水中投入後篩分けし
た篩下回収量、pH10以下に至るまでのデカンテーシ
ョン回数および最終製品回収量を表2に示す。
反応条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られ
た反応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷
却した後、さらにアルゴンガス中で650℃に加熱し、
同温度で反応容器内の雰囲気を水素ガスに置換し、2時
間水素雰囲気中での熱処理を行った。これにより得られ
た反応生成物を実施例10と同様の手順で湿式処理して
Nd−Fe−B系合金粉末製品を得た。本実施例におけ
る反応生成物の水中投入後篩分けした篩下回収量、pH
10以下に至るまでのデカンテーション回数および最終
製品回収量を表2に示す。
反応条件で反応容器内で還元拡散反応を行わせて得られ
た反応生成物を、そのままアルゴンガス中で室温まで冷
却して、得られた反応生成物を実施例10と同様の手順
で湿式処理してNd−Fe−B系合金粉末製品を得た。
本比較例における反応生成物の水中投入後篩分けした篩
下回収量、pH10以下に至るまでのデカンテーション
回数および最終製品回収量を表2に示す。
施例10〜18によるものは、比較例3および4による
ものに比べて水中崩壊後の篩下回収量が多く、またデカ
ンテーションの繰り返し操作回数が少なくて済み、さら
に最終製品回収量も高い。また、実施例19の結果で
は、水中崩壊後の回収量、デカンテーション操作回数、
製品回収量は、本発明の他の実施例のものとその値が殆
ど変わりがないが、反応生成物中の主相を構成するNd
2Fe14B相が分解を起こし、αFe、Fe2B、ネ
オジウム水素化物などが生成し、そのままでは良好な磁
石粉末製品を得ることができなかった。
還元拡散反応後の反応生成物に水素処理を施すことによ
って、該反応生成物の崩壊性が向上し、デカンテーショ
ン工程でのpH低下速度が早く排水−注水の繰り返し回
数が少なくて済むために、アルカリ廃液処理量が少なく
なる。また、それに伴い合金粉末製品の回収率も向上
し、かつ湿式処理の工程を大幅に短縮することができる
などその利点は大きい。
Claims (3)
- 【請求項1】 希土類酸化物粉末、遷移金属粉末および
その他の原料粉末に、希土類酸化物粉末を還元するのに
十分な還元剤を混合する工程(A)、得られた混合物を
酸素が実質的に存在しない雰囲気下、還元剤が溶融する
温度以上でかつ所望の合金が溶解しない温度に加熱し、
希土類酸化物を希土類金属に還元すると共に生成した希
土類金属を遷移金属粉末に拡散させる焼成工程(B)、
不活性ガスを流通して、得られた焼成物を冷却する冷却
工程(C)、さらには、冷却された焼成物中に含まれる
残留還元剤および生成した酸化還元剤を水と接触させる
ことにより溶解除去した後、所望の合金粉末を分離回収
する工程(D)を包含する、還元拡散法により希土類/
遷移金属を含む合金粉末を製造する方法において、冷却
工程(C)の間にまたは冷却工程(C)の後に、不活性
ガスの一部または全部を水素に置換し、得られた焼成物
を水素雰囲気下に100〜600℃で水素処理し、その
後再び不活性ガスに置換することにより、水素処理され
た焼成物の水中崩壊性を向上させることを特徴とする希
土類/遷移金属を含む合金粉末の製造方法。 - 【請求項2】 前記水素処理は、焼成炉内で行われるこ
とを特徴とする請求項1に記載の希土類/遷移金属を含
む合金粉末の製造方法。 - 【請求項3】 前記希土類/遷移金属を含む合金粉末
は、Sm−Co系合金粉末、Sm−Fe系合金粉末また
はNd−Fe−B系合金粉末であることを特徴とする請
求項1又は2に記載の希土類/遷移金属を含む合金粉末
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26252296A JP3508419B2 (ja) | 1996-01-05 | 1996-09-11 | 希土類、遷移金属を含む合金粉末の還元拡散法による製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1716696 | 1996-01-05 | ||
JP8-17166 | 1996-01-05 | ||
JP26252296A JP3508419B2 (ja) | 1996-01-05 | 1996-09-11 | 希土類、遷移金属を含む合金粉末の還元拡散法による製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09241708A JPH09241708A (ja) | 1997-09-16 |
JP3508419B2 true JP3508419B2 (ja) | 2004-03-22 |
Family
ID=26353651
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26252296A Expired - Lifetime JP3508419B2 (ja) | 1996-01-05 | 1996-09-11 | 希土類、遷移金属を含む合金粉末の還元拡散法による製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3508419B2 (ja) |
-
1996
- 1996-09-11 JP JP26252296A patent/JP3508419B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09241708A (ja) | 1997-09-16 |
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