JP3501476B2 - 塩化ビニリデン系樹脂積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

塩化ビニリデン系樹脂積層フィルム及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塩化ビニリデン系樹脂積
層フィルム及びその製造方法に関し、より詳しくは、例
えば、各種の食品,薬品等の包装、特にハム、ソーセー
ジなどの加工肉類食品に好適な包装材として利用するこ
とのできる塩化ビニリデン系樹脂積層フィルム及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニリデン系樹脂フィルム、即ち塩
化ビニリデンを主体とする共重合体に適量の安定剤や可
塑剤等の各種変性剤を混合して押出し成形して得たフィ
ルムは、光沢等の視覚特性に優れ、表面印刷や製袋等の
二次加工が容易であり、かつガス及び水蒸気バリアー性
が高いことから、食品包装をはじめとする種々の包装材
料として用いられている。
【0003】一方プラスチックフィルム成形において
は、押出成形開始後製品を得るまでの不良品や耳部トリ
ミング屑等の多量のスクラップが発生するため、省資
源、経済性、廃棄物量削減といった見地から、回収した
スクラップ屑を利用したリサイクル成形が一般に行われ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スクラ
ップ回収においては異物の混入は避け難く、さらに塩化
ビニリデン系樹脂の場合は熱安定性に劣るため、塩化ビ
ニリデン系樹脂スクラップを再度押出成形すると、熱劣
化による炭化物、ゲルが発生しスクラップを単体でフィ
ルムにすることは困難である。
【0005】また一方、塩化ビニリデン系樹脂(以下バ
ージンポリマーと記す。)と塩化ビニリデン系樹脂スク
ラップ(以下リサイクルポリマーと記す。)を混合して
使用しようとする場合では、リサイクルポリマーとバー
ジンポリマーの嵩密度差あるいはリサイクルポリマー自
体の嵩密度差による分散不良に起因する未溶融物も発生
しやすくなる。このためフィルム成形時にインフレーシ
ョンバブルがパンクし成形不能になったり、ダイスリッ
トに目やに等の汚れ(以下ダイ汚れと記す。)が生じ、
生産効率が低下する。また異物、炭化物、ゲル、未溶融
物等のフィルムへの混入は応力集中に起因する引張強伸
度、引裂強度等の機械的特性が低下するという問題も引
き起こす。さらに製品の表面状態が物理的、化学的に悪
化し、外観品位の低下や、例えば自動製袋包装機におけ
る高周波シールの適性悪化、金属部材との滑り性不良な
どの二次加工における機械処理時に問題を起こす。
【0006】そのためリサイクルポリマーとバージンポ
リマーを混合するだけの従来の方法では、いかなる熱安
定剤等の添加剤を加えても上記の問題の解決にはなら
ず、製品中のリサイクルポリマーの占める重量分率(以
下リサイクル率と記す。)はせいぜい5%、多くても1
0%が限度であった。本発明の目的は、塩化ビニリデン
系樹脂を再利用した時の上記欠点を解消し、光沢等の視
覚特性に優れ、表面印刷や製袋等の二次加工適性を有
し、かつガス及び水蒸気バリアー性が高い、食品包装を
はじめとする種々の包装材料となる特性を維持した積層
フィルムを提供することであり、上記フィルムが省資
源、廃棄物削減、経済性に優れた状態で供給できる製造
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明は、塩化ビニリデン系樹脂リサイクル層Aの少
なくとも片面に肉厚み2μm以上10μm以下の塩化ビ
ニリデン系樹脂層Bが積層されていることを特徴とする
インフレーション2軸延伸された塩化ビニリデン系樹脂
積層フイルムであり、また塩化ビニリデン系樹脂リサイ
クル層Aの少なくとも片面に、フィルムになった後の肉
厚みが2μm以上10μm以下になる塩化ビニリデン系
樹脂層Bを積層した積層物を共押出しし、その後インフ
レーション2軸延伸することを特徴とする塩化ビニリデ
ン系樹脂積層フイルムの製造方法である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられる塩化ビニリデン系樹脂(バージンポリマー)
は塩化ビニリデンを主成分とし、これと共重合し得る単
量体との共重合体であり、塩化ビニリデン成分が70〜
98重量%であることが好ましい。塩化ビニリデン量が
70%未満になるとバリアー性が低下するし、98重量
%を越えると加工が困難となるからである。またこれと
共重合し得る単量体としては、例えば塩化ビニル、アク
リロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸アルキル基の
炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステル、アル
キル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルエス
テル、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸アルキ
ルエステル、イタコン酸、イタコン酸アルキルエステ
ル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イソブチレ
ン、ブタジエン等の不飽和単量体の一種以上より選ばれ
たものが挙げられる。
【0009】一般に塩化ビニリデン系樹脂は熱安定剤や
可塑剤が添加される。熱安定剤としては金属石鹸、燐化
合物、硫黄化合物、フェノール系化合物、L−アスコル
ビン酸、エポキシ系化合物など、可塑剤としては脂肪族
二塩基酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステ
ル、脂肪酸エステル、ポリエステル系化合物、燐酸エス
テル等が挙げられる。
【0010】必要に応じてMBS樹脂、ABS樹脂、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体等のゴム質樹脂による耐衝
撃付与剤、さらに顔料、無機微粉末、有機滑剤、添加剤
分散剤等の助剤を添加する。塩化ビニリデン系樹脂スク
ラップ(リサイクルポリマー)は上述したバージンポリ
マーより得られる製品の生産過程で生じる不良品や耳部
トリミング屑等を原料とするものである。またリサイク
ルポリマーに熱安定剤、可塑剤等の助剤を追添してもよ
い。
【0011】本発明において、リサイクル効果を十分に
発揮させるため塩化ビニリデン系樹脂リサイクル層Aは
リサイクルポリマーのみからなることが望ましいが、諸
特性が高度に要求されるときなどは必要に応じて塩化ビ
ニリデン系樹脂バージンポリマーを所望量混ぜてもよ
い。本発明で重要な要件は、塩化ビニリデン系樹脂リサ
イクル層A(以下、A層)の少なくとも片面に塩化ビニ
リデン系樹脂層Bを積層することである。この塩化ビニ
リデン系樹脂層B(以下、B層)は、バージンポリマー
による通常の塩化ビニリデン系樹脂フィルム並みの二次
加工性、表面特性、機械的特性を与へ、さらに製造時に
おいては、リサイクルポリマーの熱分解物によるダイス
リット部の汚れや異物等によるフィルムのインフレーシ
ョンバブルのパンク発生を防ぐ役割をする。ここで、ダ
イスリット部の目やに等の汚れを防ぐためには、溶融状
積層管は2層よりも、ダイス内の流壁に接する層をB層
とした3層のものがより好ましい。
【0012】このB層は、リサイクルポリマーを使用す
ることに起因する前記の生産性、二次加工性、表面特
性、機械的特性の問題を解決できる厚みであればよい。
リサイクル効果を高めるためには該B層の厚みは薄い方
が良いが、2μmより薄いとリサイクル層に起因する上
記の問題を解決できない。よってB層の厚みは2μm以
10μm以下望ましくは5μm以上が好ましい。こう
して得られる積層フィルムは、食品包装フィルムとして
用いられるとき、バリア性、機械的強度、二次加工適性
等の観点から10〜90μmのフィルム厚みとなる。
【0013】上記の積層フィルムは一般に以下に示す方
法により生産される。一方の押出機にバージンポリマー
を、他方の押出機にリサイクルポリマーあるいはリサイ
クルポリマーとバージンポリマーの混合物を入れ、2台
の押出機の押出物の流路が1つの多層サーキュラーダイ
に接続された多層押出機により溶融状で2層または3層
の積層管に形成して押出し、過冷却した後、インフレー
ションにより2軸延伸してフィルムとなり、ピンチロー
ルで折り畳まれ巻き取られる。その後必要に応じて適当
な巾に裁断し、重ねられたまま4層または6層のダブル
プライのフィルムとして用いてもよいし、折り畳まれ重
なった2枚のフィルムを一枚ずつに引き剥がした2層ま
たは3層フィルムとして用いてもよい。A層をA、B層
をBとして表すとA層とB層の効果を考えたとき、この
積層フィルムの使い方は以下に示す通りにすることが望
ましい。すなわち、積層フィルムが2層のときは、外観
や二次加工性を考慮して内容物に接しない層をB層とす
ることである。
【0014】具体例を以下に示す。B/A/被包装物、
B/A/B/被包装物、B/A/A/B/被包装物、B
/A/B/B/A/B/被包装物
【0015】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明
する。
【0016】
【参考例1】この参考例1は、リサイクルポリマーを含
まない樹脂組成物Xのみからなる単層フィルムを作製
し、実施例を比較評価するための基準とするものであ
る。塩化ビニリデン90重量%と塩化ビニル10重量%
からなる共重合体100重量部に対し、熱安定剤として
エポキシ化大豆油1重量部、可塑剤としてジブチルセバ
ケート4.5重量部、無機微粉末としてシリカ0.1重
量部、有機滑剤としてステアリン酸アミド0.1重量
部、橙色顔料として0.5重量部を添加した樹脂組成物
Xを得た。Xを押出機にて溶融押出し単層サーキュラー
ダイにて過冷却管を形成し、インフレーションによる2
軸延伸した後、ピンチロールで折り畳んで重ねられた全
体厚み80μm、折巾750mmのダブルプライのフィ
ルムを得た。その後80mm巾に裁断してから、折り畳
まれ重ねられた2枚のフィルムを1枚ずつに引き剥が
し、全体厚み40μmの単層フィルムを得て評価した。
結果を以下に示す。
【0017】 項目 測定方法 測定値 備考 グロス ASTM−D2457準拠 70% ヘイズ ASTM−D1003準拠 29% 動摩擦係数 ASTM−D1894準拠 0.15 梨地処理金属との摩擦 引裂強度 ASTM−D1992準拠 30g タテ、ヨコの平均 引張伸度 ASTM−D638準拠 111% タテ、ヨコの平均 引張強度 ASTM−D638準拠 1.4Kg タテ、ヨコの平均 以下、本発明で用いている評価方法、評価尺度を示す。
【0018】(a)Δグロス[単位 %]ASTM−D
2457準拠 この評価項目はフィルム表面の平滑性、視覚特性の劣化
度合の指標である。評価方法は内容物に接しない外層
(B層)を測定し、上記参考例1の値70%からの低下
値で判断した。 (評価尺度) 評価記号 低下値 ◎; 2%未満 ○; 2%以上〜 5%未満 △; 5%以上〜10%未満 ×; 10%以上 (b)ADPによるシール性 この評価項目はフィルムの2次加工性適性の指標の1つ
で自動製袋包装機における高周波シール適性、金属部材
との滑り性の指標である。
【0019】評価方法は市販の包装機の旭化成工業
(株)製自動充填結紮機(ADP)を用い、室温約20
℃、フィルム送り速度30m/min.の条件で、B層
が外側になるような筒状フィルムとして魚肉を充填し、
得られた包装物を120℃、20分間レトルト処理を行
った。その後、魚肉を取り出してからJISZ0238
に準じてフィルムのシール強度を測定した。2.3Kg
f/15mm以上を良好シールとし、良好シールをしめ
す高周波発信器の1次電流値の範囲(mA)で判断し
た。
【0020】 (評価尺度) 評価記号 電流値の範囲 ADP適性 ◎; 15mA以上 優良 ○; 9mA以上〜15mA未満 使用可 △; 3mA以上〜 9mA未満 使用困難 ×; 3mA未満 使用不可 (c)Δ動摩擦係数 ASTM−D1894準拠 この評価項目は2次加工性適性、フィルム表面の平滑性
の劣化度合の指標である。
【0021】評価方法は内容物に接しない外層(B層)
と梨地処理した金属との動摩擦係数を測定し、上記参考
例1の値0.15からの上昇値で判断した。 (評価尺度) 評価記号 上昇値 ◎; 0.03未満 ○; 0.03以上〜0.10未満 △; 0.10以上〜0.15未満 ×; 0.15以上 (d)Δ引裂強度[単位 g]ASTM−D1922準
拠 この評価項目は機械的特性の劣化度合の指標である。
【0022】評価方法はタテ、ヨコの平均値で求め、上
記参考例1の値30gからの低下値で判断した。 (評価尺度) 評価記号 低下値 ◎; 5g未満 ○; 5g以上〜10g未満 △; 10g以上〜15g未満 ×; 15g以上 (e)Δ引張伸度[単位 %]ASTM−D638準拠 この評価項目は機械的特性の劣化度合の指標である。
【0023】評価方法はタテ、ヨコの平均値で求め、上
記参考例1の値111%からの低下値で判断した。 (評価尺度) 評価記号 低下値 ◎; 10%未満 ○; 10%以上〜20%未満 △; 20%以上〜30%未満 ×; 30%以上 (f)Δ引張強度[単位 kg/mm2 ]ASTM−D
638準拠 この評価項目は機械的特性の劣化度合の指標である。
【0024】評価方法はタテ、ヨコの平均値で求め、上
記参考例1の値1.4kg/mm2 からの低下値で判断
した。 (評価尺度) 評価記号 低下値 ◎; 0.2kg/mm2 未満 ○; 0.2kg/mm2 以上〜0.3kg/mm2 未満 △; 0.3kg/mm2 以上〜0.4kg/mm2 未満 ×; 0.4kg/mm2 以上 (g)パンク回数[単位 回/t] この評価項目は生産効率の指標である。
【0025】評価方法は成形時の原料押出量1トン
(t)あたりに生じるインフレーションバブルのパンク
回数を求め判断した。 (評価尺度) 評価記号 水準値 大量生産性 ◎; 2.0回/t未満 通常領域 ○; 2.0回/t以上〜3.0回/t未満 許容限界 △; 3.0回/t以上〜5.0回/t未満 生産困難 ×; 5.0回/t以上 生産不可 (h)ダイ掃除回数[単位 回/t] この評価項目は生産効率の指標である。
【0026】ダイ汚れがフィルムに付着し始めるときに
行うダイスリットの掃除回数を評価する。評価方法は成
形時の原料押出量1トン(t)あたりに生じるダイスリ
ットの掃除回数を求め判断した。 (評価尺度) 評価記号 水準値 大量生産性 ◎; 2.5回/t未満 通常領域 ○; 2.5回/t以上〜3.5回/t未満 許容限界 △; 3.5回/t以上〜5.0回/t未満 生産困難 ×; 5.0回/t以上 生産不可 (i)総合評価 この評価項目はフィルムが問題なく工業的に生産され、
かつ市場で使用されるか否かを念頭においた、フィルム
とその製造方法の総合評価である。
【0027】すなわち、上記(a)〜(h)の結果よ
り、生産性の指標となるパンク回数、ダイ掃除回数、2
次加工性の指標となるADPシール性、Δ動摩擦係数の
項目を重視し評価した。以下、パンク回数、ダイ掃除回
数、ADPシール性、Δ動摩擦係数を重視項目と記す。 (評価尺度) 評価記号 ◎;重視項目が◎のみのもの、且つその他項目がいずれ
も◎または○のもの。(参考例1と同等レベルのもの) ○;全項目がいずれも◎または○のもの、且つ重視項目
に1つ以上○があるもの。
【0028】(参考例1にやや劣るが工業製品として許
容範囲にあるもの。) △;全項目のいずれかに1つ以上の△または×があるも
の、且つ重視項目が△以上のもの。 (参考例1とかなり差があり工業製品としての生産や使
用が難しいもの。) ×;重視項目に1つ以上×があるもの。
【0029】(生産やフィルムとしての取扱いがかなり
困難、あるいは不可能なもの。)
【0030】
【実施例1】塩化ビニリデン90重量%と塩化ビニル1
0重量%からなる共重合体100重量部に対し、熱安定
剤としてエポキシ化大豆油1重量部、可塑剤としてジブ
チルセバケート4.5重量部、無機微粉末としてシリカ
0.1重量部、有機滑剤としてステアリン酸アミド0.
1重量部、橙色顔料として0.5重量部を添加した樹脂
組成物Xを得た。また、Xをフィルム成型する際に生じ
たフィルム屑を粉砕し、リサイクルポリマーYを得た。
さらにA層に用いる樹脂として、上記XとYとを、Xと
Yの合計量に対するYの重量分率(以下A層のスクラッ
プ率と記す。)が10重量%になるように配合し、それ
に熱安定剤としてエポキシ化大豆油1重量部を追添した
リサイクル組成物Zを得た。XとZを別々の押出機に供
給して、溶融押出し、3層サーキュラーダイにてXをス
キン層(B層)、Zをコア層(A層)とした積層体を押
出し、過冷却管を形成し、インフレーションによる2軸
延伸した後、ピンチロールで折り畳んで重ねられた全体
厚み80μm、折巾750mmのダブルプライのフィル
ムを得た。その後80mm巾に裁断してから、折り畳ま
れ重ねられた2枚のフィルムを1枚ずつに引き剥がし、
A層36μm、B層2μmの構成をもつ、全体厚み40
μmの3層フィルムを得た。
【0031】上記過程及びフィルムについて上記評価項
目の全てを評価し、その結果を表2に示す。
【0032】
【実施例2〜15】この実施例はA層のスクラップ率と
B層の厚みによる効果を実証するためのものである。即
ち、A層のスクラップ率と、A層とB層の厚みを表1に
示すように変更した他は実施例1と同じ操作を繰り返
し、その結果を表1に併記した。表2の実施例1〜15
の結果によると、B層の役割は積層フィルムの表面を大
幅に改良し、リサイクル率が例えば75%に高められた
もの(実施例14)でも、参考例1と比べ、生産性、二
次加工性、表面特性、機械的特性の全ての面で遜色のな
いフィルムを得ることができることを示している。
【0033】
【実施例16】この実施例は2層フィルムの場合を評価
するためのものである。即ち、ダイを2層サーキュラー
ダイに変更してXをインフレーションバブルの外面(B
層)、Zをインフレーションバブルの内面(A層)と
し、実施例1〜15と同じ手法でA層のリサイクル率が
10%、B層の厚みが5μm、A層の厚みが35μm、
全体厚み40μmである2層フィルムを得た。上記過程
及びフィルムについて上記評価項目の全てを評価し、そ
の結果を表2に併記する。
【0034】A層がダイス流路に接しているためA層側
のダイスリットにダイ汚れが生じる。また、A層の表面
が若干荒れていた。しかし、他の全評価項目については
B層厚みが片側5μmである実施例2と比べ、ほぼ同程
度の性能を持つフィルムが得られ、B層の効果が発揮さ
れることがわかる。
【0035】
【比較例1】この比較例はB層の厚みの効果を実証する
ためのものである。表1に示すようにA層のリサイクル
率を10%とした上でB層の厚みを1μmとした他は実
施例1と同じ操作を繰り返し、その結果を表2に併記し
た。B層の厚みが1μmと薄いためB層の効果が十分に
発揮されなく、A層のスクラップ率が10%においても
製造時にパンクが多発し、ADPシール性も良くなかっ
た。
【0036】
【比較例2〜4】この比較例はB層が存在しない場合を
示すためのものである。それぞれ、スクラップ率が10
%、50%、100%である実施例記載のリサイクル組
成物Zのみからなる40μmの単層フィルムを、参考例
1と同じ製造方法で生産し、実施例と同じ評価を行っ
た。
【0037】A層のスクラップ率が10%(比較例2)
においても参考例1と比べ明白な差が生じた。この差は
A層のスクラップ率が大きくなるにつれて広がり、特に
生産性、二次加工性、表面特性において劣る。上述の実
験から、リサイクルポリマーを使用してもB層が配され
ていることにより、生産においては、パンク回数、ダイ
掃除回数の増加を抑え、そしてフィルムになった状態で
は、グロス(表面特性、視覚特性)、ADPによるシー
ル性、動摩擦係数(2次加工特性)、引裂強度、引張伸
度、引張強度(機械的特性)などの品質劣化を抑えるこ
とができる。特に、ADPによるシール性、パンク回数
といった重要な特性において実施例が比較例1〜4に比
べ優位性が明白になっている。つまり、従来よりも大幅
にリサイクル率を上昇させても、実用可能なフィルムを
得られることがわかる。
【0038】これは、表1の総合評価結果を解析すれば
より明らかになる。すなわち、実用レベルの○を得るに
はB層の厚みが2μm以上あれば良いことがわかる(実
施例4、6、12参照)。さらに、望ましい◎を得るに
は、B層の厚みをx(μm)、A層のスクラップ率をy
(%)としたとき、下記の式 y=30x−50 を満たすx(μm)以上の厚みがあれば、◎が得られる
ことが分かった(実施例1、2、5、8、9、10、1
4参照)。要するに、B層の厚みが5μm以上あればA
層のスクラップ率が100%であっても◎が得られるこ
とが明らかとなった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明は上述の構成をもつことにより、
バージンポリマー単独のフィルムに比べ生産性、二次加
工性、表面特性、機械的特性の全ての面で遜色のないフ
ィルムを提供できる。また、リサイクルポリマーの回収
率が高められる効果が発揮されるので、省資源、廃棄物
削減、経済性に寄与し、産業上有益な発明である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 47/00 - 47/96 B29C 55/00 - 55/30 B32B 27/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニリデン系樹脂リサイクル層Aの
    少なくとも片面に肉厚み2μm以上10μm以下の塩化
    ビニリデン系樹脂層Bが積層されていることを特徴とす
    インフレーション2軸延伸された塩化ビニリデン系樹
    脂積層フィルム。
  2. 【請求項2】 塩化ビニリデン系樹脂リサイクル層Aの
    少なくとも片面に、フィルムになった後の肉厚みが2μ
    m以上10μm以下になる塩化ビニリデン系樹脂層Bを
    積層した積層物を共押出しし、その後インフレーション
    2軸延伸することを特徴とする塩化ビニリデン系樹脂積
    層フィルム製造方法。
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