JP3496401B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JP3496401B2
JP3496401B2 JP19668596A JP19668596A JP3496401B2 JP 3496401 B2 JP3496401 B2 JP 3496401B2 JP 19668596 A JP19668596 A JP 19668596A JP 19668596 A JP19668596 A JP 19668596A JP 3496401 B2 JP3496401 B2 JP 3496401B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車輪にロック傾向
が生じた際に推定車体速に基づいブレーキ圧力の制限
によりアンチスキッド制御を行なう、アンチスキッド制
御装置に関し、特に、車体速の推定精度を向上させるこ
とによりアンチスキッド制御の性能向上を図った、アン
チスキッド制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、アンチスキッドブレーキシステム
又はアンチロックブレーキシステム(略して、ABS)
と称されるシステムが開発され実用化されており、この
ような装置(ABS)では、車両のブレーキ操作により
車輪がロックしようとした時にブレーキ圧力を制限して
車輪のロックやロックによるスキッドの発生を防止す
る。
【0003】この装置(ABS)では、ブレーキ操作時
(即ち、ドライバのブレーキペダル踏み込みによるブレ
ーキ操作が行なわれた時)に、車輪がロックしようとし
ていること、即ち、車輪のロック傾向が検出されたら、
ブレーキ圧力を、ドライバのブレーキペダル踏込量(ブ
レーキ操作量)に対応した圧力よりも減少させるように
して、車輪のロックやスキッドの発生を防止する。
【0004】ここで、このような車輪のロックやスキッ
ドの発生を防止するためのブレーキ圧力の減圧制御を、
アンチスキッド制御(又は、ABS制御)と称すること
にすると、このアンチスキッド制御(ABS制御)は、
車輪にロック傾向が生じたら開始させて車輪がロック傾
向から脱出したら終了させる必要あり、車輪がロック
傾向にあるか否かの判定が重要になる。
【0005】車輪がロック傾向にあるか否かの判定のう
ち、ロック傾向が始まったか否かの判定は、車輪にスリ
ップがなく車輪速が車体速と対応している状態から、車
輪にスリップ(ロック傾向)が生じていく状態を検出す
ることになるので、例えば車輪速のみに着目しても、ブ
レーキ操作時に車輪速が急減した場合にロック傾向が始
まった、或いは、ロック傾向が始まったおそれがあると
判定することができる。なお、車輪速が急減したか否か
は、車輪速の時間微分値を設定値(負の加速度値、即
ち、減速度値)と比較して判定することができ、車輪速
の時間微分値が設定値以下なら車輪速が急減したと判定
することができる。
【0006】ところが、車輪がロック傾向にあるか否か
の判定のうち、ロック傾向が終了したか否かの判定は、
このように簡単には行なえない。つまり、この判定は、
車輪にスリップが生じている状態からこのスリップが解
消されていく状態が検知できれば行なえるが、このよう
に、既に車輪にスリップが生じている状態からスリップ
が解消されていくのを検知するには、単に車輪速のみに
基づいただけでは困難である。
【0007】そこで、このようなロック傾向からの脱出
判定は、車輪のスリップ状態を客観的に表す量等に基づ
いて行なう必要がある。このようなスリップ状態は例え
ばスリップ率S等の数値により表わすことができる。こ
こで、車輪のスリップ率Sとは、スリップによる車輪速
の変化分、即ち、スリップしないと仮定した場合の車輪
速Vwnsと実際の車輪速(スリップ状態の場合も含む
車輪速)Vwrとの差dVw(=Vwns−Vwr)
と、スリップしない場合の車輪速Vwnsとの比の値と
して次式のように設定される。なお、実際の車輪速(実
車輪速)Vwrは車輪速センサで検出する。
【0008】 S=dVw/Vwns=(Vwns−Vwr)/Vwns ・・・(1) そして、このようなスリップ率Sが所定値以下になった
ら車輪がロック傾向から脱出したと判定することができ
る。しかし、スリップしない場合の車輪速Vwnsは実
際には検出することができないので、車体の速度(車体
速)Vbを検出または推定して、この車体速に対応した
ものとしてスリップしない場合の車輪速Vwnsを求
め、スリップ率Sを算出することができる。
【0009】車体速Vbは、車輪にスリップが生じなけ
ればこの車輪速Vwrから算出することができるが、車
輪にスリップが生じたら車輪速Vwrと車体速Vbとが
対応しなくなるので、車輪速Vwrからは算出すること
ができない。ブレーキ時に車輪がロックしようとする場
合にも車輪はスリップをはじめているので、当然、車輪
速Vwrからは車体速Vbを算出することはできない。
【0010】そこで、車両の前後加速度を直接検出でき
る手段(前後加速度検出手段)として前後Gセンサを車
両に設置して、ロック判定中(車輪がロック傾向にある
と判定されている時)は、このロック判定開始時点で検
出された前後Gセンサの検出値Gx0 (Gx0 は減速度
となるので、Gx0 <0)と、この時点で車輪速Vwr
(ABS制御中は3番目に速い車輪速V3、ABS非制
御中は2番目に速い車輪速V2を車輪速Vwrとする)
とから算出された車体速Vb0 とから、次式によりその
後(時間tだけ後)の車体速Vb(t)を算出する。
【0011】 Vb(t)=Vb0 +Gx0 ・t ・・・(2) なお、ロック判定開始の判定は、前述のように、ブレー
キ操作があって(これは、ブレーキスイッチで検出しう
る)且つ一定以上の車輪減速度が生じた(これは、車輪
速センサに基づき算出しうる)ことを条件とするほか
に、例えばブレーキ操作があって(これは、ブレーキス
イッチで検出しうる)且つ車体減速度よりも所定値以上
大きい車輪減速度が生じた場合(これは、設置した前後
Gセンサから検出しうる)を条件としてもよい。
【0012】このように、ブレーキ操作による所定値以
上の車輪減速度が生じたら、急制動が行なわれたと判断
し、この急制動判定時点で検出された減速度Gx0 に応
じた減速勾配で、車体速が直線状に減少するものと仮定
して、急制動判定時点での車体速Vb0 から減速度Gx
0 を時間積分した速度変化分(=Gx0 ・t,但し、G
0 ・t<0)を加算して車体速を推定するのである。
【0013】そして、この推定車体速Vb(t)と、こ
の時(急制動判定時点から時間t経過後)の実車輪速V
wrから求められる推定車体速Vwとから、次式により
車輪のスリップ率Sを求めることができる。 S=〔Vb(t)−Vw〕/Vb(t) ・・・(3) そして、このようなスリップ率Sが所定値(第1閾値)
を越えたら、車輪がロックしようとしているものとして
アンチスキッド制御を開始させ、このスリップ率Sが所
定値(第2閾値)以下に下がった状態が継続するか又は
ブレーキ操作がなくなると、車輪のロックが解除された
ものとしてアンチスキッド制御を終了させることができ
る。
【0014】例えば図8は、このようなアンチスキッド
制御の一例を示すものであり、時刻t1 でブレーキ操作
を開始したものとする。図8中、(A)は車速、即ち、
検出できない実際の車体速V,検出される実車輪速Vw
rに対応する車輪速対応車体速(以下、単に車輪速とも
言う)Vw,推定車体速Vr〔=Vb(t)〕の各変化
を示し、(B)はこれに対する制動トルクT(ブレーキ
圧力に対応する)の変化を示し、(C)はこれに対する
制動力Qの変化を示し、(D)はこれに対するスリップ
率Sの変化を示す。なお、(D)のスリップ率Sは、実
際には検出困難である実スリップ率の値S(=dVw/
Vwns)を示す。
【0015】時刻t1 でブレーキ操作が開始されると、
(A)中に鎖線で示すように、車輪速Vwが低下する。
このとき、ブレーキ操作力(ブレーキペダルの踏込量)
が大きければ、車輪速Vwは急低下して、ブレーキ操作
中に一定以上の車輪減速度が生じた、又は、ブレーキ操
作中に車体減速度よりも所定値以上大きい車輪減速度が
生じた、ことになり、この後、前後Gセンサからの検出
値に基づいて車体速Vrを推定する。
【0016】この急ブレーキにより、車輪がロック傾向
になると、この推定車体速Vrが(A)中に破線で示す
ように直線状に減少するのに対して、車輪速対応車体速
Vwは(A)中に鎖線で示すようにこの推定車体速Vr
よりも低下するようになる。即ち、スリップ率S(=
〔Vb(t)−Vw〕/Vb(t))が所定値S1以上
に大きくなり、車輪がロック傾向にあると判定すること
ができる。
【0017】この過程で、推定車体速Vrは、一般的に
は、実車体速Vよりも小さくなりやすく、この推定車体
速Vrに基づくスリップ率Sもやや小さくなりやすい
が、実際のスリップ率(実スリップ率)Srは、図8
(D)に示すように増加する。したがって、推定車体速
Vrに基づいたスリップ率Sが所定値S1以上に大きく
なったことは、この実スリップ率Srが所定値Siに達
したことに相当する。
【0018】このロック判定の後には、図8(B)に示
すように、制動トルクTを抑制する。つまり、ロック判
定直後(時刻t4 直後)には、本来、ブレーキ操作に応
じて鎖線で示すように増加すべき制動トルクTを、実線
で示すように一定値に止めて制動トルクの上昇を抑制す
る。そして、推定車体速Vrに基づいたスリップ率Sが
さらに大きくなって所定値S2を越えたら、制動トルク
Tを減少させる。
【0019】この制動トルクTの減少により車輪速Vw
が上昇するので、車輪速Vwが上昇を開始したら(又
は、この車輪速Vwの上昇によりと推定車体速Vrに基
づいたスリップ率Sが減少するので、スリップ率Sが減
少を開始したら)、制動トルクTの減少を止めて制動ト
ルクTを一定に保持する。なお、制動トルクTの制御は
具体的にはブレーキ液圧の制御により行ない、制動トル
クTを一定保持するにはブレーキ液圧の増圧を抑えてブ
レーキ液圧を一定とし、制動トルクTを減少させるには
ブレーキ液圧を減圧させる。
【0020】このように、制動トルクTを一定に規制す
ることで、車輪速Vwがさらに上昇して推定車体速Vr
に近づきスリップ率Sが小さくなるので、例えば車輪速
Vwが推定車体速Vrと一致した時点で、車輪ロック状
態は十分に抑制された(ロック解除)と判定して制動ト
ルクTの規制を解除する。もちろん、この規制解除後
は、その後再び車輪のロック傾向が強くならないよう
に、制動トルクTの増加(即ち、ブレーキ液圧の増加)
を緩やかに行なう。
【0021】そして、このように制動トルクTを増加さ
せていくと、再びロック判定されれば制動トルクTの減
少や一定保持を行ない、また、ロック解除判定されれば
制動トルクTの増加を行なうといった制御を繰り返しな
がら、車両が停止するようになる。なお、推定車体速V
rは、ロック判定直後は上述のような式(2)によって
得られる算出値Vb(t)とされるが、その後、車輪速
が上昇して算出値Vb(t)を上回るようになったら、
この車輪速(車輪速対応車体速)Vwを推定車体速Vr
として設定する。
【0022】すなわち、推定車体速Vrには、前後Gに
基づいた速度値Vb(t)と車輪速(車輪速対応車体
速)Vwとの大きい方を採用する。また、この場合の車
輪速(車輪速対応車体速)Vwについては、各車輪速の
うち2番目に速い車輪速V2を採用する。なお、前後G
センサを装備しない車両の場合には、推定車体速Vrの
算出に用いる減速度として、車輪速センサで検出した車
輪速Vwを時間微分して得られる値(=dVw/dt)
を用いてもよいが、この場合、ロックを生じようとして
いる車輪の車輪速Vwでは前後Gの算出精度が低下する
ため、ロック発生の対象でない車輪の車輪速、即ち、4
輪のうち比較的大きい車輪速を採用することが望まし
い。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】ところで、推定車体速
Vrのうち、アンチスキッド制御の開始判定に関する車
体速は、車輪のロック判定時の前後Gに基づいて算出
される速度値Vb(t)が採用され、ロック判定後のア
ンチスキッド制御では、この前後Gに基づく推定車体速
Vr〔=Vb(t)〕が制御パラメータとして極めて重
要なものになる。
【0024】つまり、アンチスキッド制御は、車輪のス
リップ状態(例えは、スリップ率)に基づいて行なう
が、このスリップ状態は前後Gに基づく推定車体速Vr
〔=Vb(t)〕に基づいて算出される。したがって、
アンチスキッド制御を適切に行なうためには、このよう
な推定車体速Vr〔=Vb(t)〕を適切に与える必要
がある。推定車体速Vr〔=Vb(t)〕を適切なもの
にするには、この算出の基礎となる前後Gの値を正確に
検出又は算出する必要がある。
【0025】ところで、前後Gセンサで検出される前後
Gは、車体の前後方向の加速度(減速度)であり、車輪
速に基づいて算出される前後Gも車体の前後方向の加速
度(減速度)であるが、この一方、車体速Vとは車両の
走行速度、即ち、車両の進行方向の速度である。通常
は、車体の前後方向が車両の進行方向とほぼ合致してい
るので問題ないが、車両がドリフト走行している場合に
は、車体の前後方向と車両の進行方向とが合致しなくな
り、したがって、前後Gセンサで検出された前後Gや車
輪速に基づいた前後Gは、車両の進行方向に関する前後
方向の加速度(減速度)とは異なったものになる。
【0026】つまり、ドリフト走行時には、車両の減速
度の大きさ(|減速G|)は、車体の前後加速度(前後
G)と横加速度(横G)とから近似的に次のように示す
ことができる。 |減速G|=〔(前後G)2 +(横G)2 1/2 ・・・(4) ドリフト走行時には、車体の横方向加速度(横G)が必
ず発生するので、車体の前後加速度(前後G)の大きさ
は車両の減速度の大きさ(|減速G|)よりも小さくな
る(|前後G|<|減速G|)。
【0027】また、車体の前後加速度を車輪速から算出
した場合にも、この算出された前後Gは、車体の前後方
向に関するもので車両の進行方向に関する加速度(即
ち、減速G)とは異なり、やはり車両の減速度の大きさ
(|減速G|)よりも小さくなる(|前後G|<|減速
G|)。したがって、ドリフト走行時に、このような車
体の前後方向に関する加速度(前後G)から式(2)の
ようにして推定車体速を求めると、推定車体速の減少度
合(即ち、減速勾配)が実際よりも小さくなり、推定車
体速Vrが実際の車体速Vよりも大きくなってしまう。
【0028】このため、この推定車体速Vrと車輪速V
wとの差(Vr−Vw)が実際よりも大きいものにな
り、スリップ率も実際よりも大きくとらえられることに
なり、この結果、アンチスキッド制御が過度に行なわれ
ることになる。すなわち、ドリフト走行時には、制動ト
ルクTの増加の規制や減少、即ち、ブレーキ液圧の増加
規制やブレーキ液圧の減圧が、過剰に行なわれることに
なり、ブレーキペダルを踏んでも減速が十分に行なわれ
ないために、ドライバに違和感(G抜け感)を与えた
り、ブレーキ構造によってはブレーキペダルを踏み込も
うとしても踏み込みストロークを得られないために、ド
ライバに硬い板を踏んでいるような違和感(ブレーキ板
踏み感)を与えるという不具合がある。勿論、車両の停
止距離も長くなってしまう不具合もある。
【0029】また、極低μ路等では、車両がドリフト状
態からスピン状態に至るおそれもあるが、このような場
合にはアンチスキッド制御は却ってスピン脱出後の制動
性能を低下させるので、この点を考慮すると、スピン状
態であるか否かを適切に判定してスピン状態であれば、
アンチスキッド制御を中止する等の制御が必要であると
考えられる。
【0030】ところで、特開平6−199219号公報
や特開平5−69812号公報には、車両のドリフトを
伴って発生しうる車両のスピンを判定し、このスピン発
生時には車輪の制動圧を増大させる技術が開示されてい
る。このうち、特開平6−199219号公報のもの
は、車両の減速度検出データと車輪速検出データとから
求められる模擬車速と車輪速検出データとからスリップ
状態を判定し、スリップ発生状態が所定時間以上継続す
ると車両がスピン状態であるものとして、アンチスキッ
ド制御によるブレーキ減圧が少なくなるようにして、ス
ピン脱出後のブレーキ液圧不足を回避するという技術で
ある。
【0031】また、特開平5−69812号公報は、ア
ンチスキッド制御により全車輪の制動圧が増大しない状
態が所定時間以上継続したら、車両がスピン状態である
ものとして車輪の制動圧を増大させて、スピン脱出後に
車両が直進状態となった際に直ちに車両を停止させるこ
とができるようにするという技術である。しかしなが
ら、これら技術では、いずれも、例えば車両に生じる横
加速度影響を考慮していないなど、車両のスピン判定条
件が十分でないので、スピンを精度よく判定することが
できず、例えば氷上等の低μ路でスピンを誤判定するお
それが高い。
【0032】また、特開平6−107142号公報に
は、アンチスキッド制御等を行なっている際に、車両の
水平加速度を検出してこの水平加速度から車両の加速限
界や減速限界を設定し、この設定限界に基づいて車体速
度を推定し、アンチスキッド制御等に反映させる技術が
開示されている。しかしながら、この技術では、例えば
ドリフトやスピン等の車両の走行時の挙動を的確に推定
しながら車体速度を推定しているのではないため、アン
チスキッド制御等に常に適した車体速度推定結果が得ら
れないおそれがある。
【0033】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたも
ので、ドリフト走行時にも適切にアンチスキッド制御が
行なわれるようにして、車両の停止距離を減少させると
ともにG抜け感やブレーキ板踏み感といった違和感をド
ライバへ与えることなくアンチスキッド制御を行なえる
ようにするとともに、車両のスピンを適切に判定してス
ピン時にはアンチスキッド制御を中止しうるようにし
た、アンチスキッド制御装置を提供することを目的とす
る。
【0034】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明のアンチスキッド制御装置は、車両のブレーキ
操作により車輪がロックしようとした時にブレーキ圧力
を制限して該車輪のロックによるスキッドの発生を抑制
するアンチスキッド制御を行なう制御手段をそなえたア
ンチスキッド制御装置において、該車輪の速度を検出す
る車輪速検出手段と、該車輪速検出手段で検出された車
輪速に基づいて該車輪の減速度を算出する車輪減速度算
出手段と、該車両の前後方向の減速度を検出又は算出す
る車体前後加速度検出手段と、該アンチスキッド制御時
に、該車輪速検出手段で検出された該車輪速及び該車体
前後加速度検出手段で検出された車体前後加速度に基づ
いて該車両の車体速を推定する車体速推定手段とをそ
なえ、該制御手段が、該車輪速検出手段で検出された車
輪速が該車体速推定手段で推定された該車体速に対応す
るように速度を回復したことを第1の終了条件として
該第1の終了条件が成立したら、該アンチスキッド制御
を終了させるように構成されるとともに、該車両の横方
向の加速度を直接検出する車体横加速度検出手段と、該
横加速度検出手段で検出された横加速度が一定値よりも
大きく且つ該前後加速度検出手段で検出された前後加速
度よりも大きい状態が所定時間継続すると、該車両がド
リフト状態であると判定するドリフト判定手段とをそな
え、該車体速推定手段が、該ドリフト判定手段で該車両
がドリフト状態でないと判定されると、該車体前後加速
度検出手段で検出された該車体前後加速度に対応した第
1の車体減速度を設定しこの第1の車体減速度に基づき
該車体速を推定し、該ドリフト判定手段で該車両がドリ
フト状態であると判定されると、該車体前後加速度検出
手段で検出された該車体前後加速度に対応して該第1の
車体減速度よりも大きい第2の車体減速度を設定しこの
第2の車体減速度に基づき該車体速度を推定するように
構成されていることを特徴としている。
【0035】請求項2記載の本発明のアンチスキッド制
御装置は、請求項1記載の装置において、該制御手段
は、該車両がスピン状態であると判定されたことを第2
の終了条件として、該第1の終了条件が成立しない場合
であっても該第2の終了条件が成立したら、該アンチス
キッド制御を終了させることを特徴としている。請求項
3記載の本発明のアンチスキッド制御装置は、請求項
記載の装置において、該制御手段は、ブレーキ圧力が増
圧されない状態が所定時間以上継続したことを第1判定
条件とし、該ドリフト判定手段で該車両がドリフト状態
であると判定されたことを第2判定条件として、該第1
判定条件及び該第2判定条件がいずれも成立すると、該
車両がスピン状態であると判定することを特徴としてい
る。
【0036】請求項4記載の本発明のアンチスキッド制
御装置は、請求項記載の装置において、該アンチスキ
ッド制御は該車両にそなえられた4輪についてそれぞれ
行なわれるように構成されているとともに、該第1判定
条件が、該4輪のうち3輪以上のブレーキ圧力が増圧さ
れない状態が所定時間以上継続したこととされているこ
とを特徴としている。
【0037】請求項5記載の本発明のアンチスキッド制
御装置は、請求項2記載の装置において、該制御手段
は、ブレーキ圧力が増圧されない状態が所定時間以上継
続したことを第1判定条件とし、且つ該車輪速検出手段
で検出された車輪速と該車体速推定手段で推定された車
体速に対した速度との差が所定値以上であることを第3
判定条件とし、且つ該ドリフト判定手段で該車両がドリ
フト状態であると判定されたことを第2判定条件とし
て、該第1判定条件、該第2判定条件及び該第3判定条
件がいずれも成立すると、該車両がスピン状態であると
判定することを特徴としている。請求項記載の本発明
のアンチスキッド制御装置は、請求項記載の装置にお
いて、該アンチスキッド制御は該車両にそなえられた4
輪についてそれぞれ行なわれるように構成されていると
ともに、該第1判定条件が、該4輪のうち3輪以上のブ
レーキ圧力が増圧されない状態が所定時間以上継続し
こととされ、該第3判定条件が、該車輪速検出手段で検
出された該4輪の各車輪速のうち旋回外輪を含む2輪以
上の車輪速について、該車輪速と該車体速推定手段で推
定された車体速に対応した速度との差が所定値以上であ
こととされていることを特徴としている。
【0038】請求項記載の本発明のアンチスキッド制
御装置は、請求項1〜のいずれかに記載の装置におい
て、該車体速推定手段が、該アンチスキッド非制御時に
は該車輪速検出手段で検出された4輪の各車輪速のうち
3番目に速い車輪速を採用して車体速推定を行ない、該
アンチスキッド制御時には、該車輪速検出手段で検出さ
れた4輪の各車輪速のうち2番目に速い車輪速に基づく
車体の減速度と該車体前後加速度検出手段で検出された
検出値に対応した減速度とを比較して、該車輪速検出手
段で検出された4輪の各車輪速のうち2番目に速い車輪
速に基づく車体の減速度の方が大きければ該車輪速検出
手段で検出された4輪の各車輪速のうち2番目に速い車
輪速を推定車体速として設定し、該車体前後加速度検出
手段で検出された検出値に対応した減速度の方が大きけ
れば該車体前後加速度検出手段で検出された検出値に基
づく車体速と該車輪速検出手段で検出された4輪の各車
輪速のうち2番目に速い車輪速に基づく車体速とのうち
の小さい方を推定車体速として設定するように構成され
ていることを特徴としている。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の実施
の形態について説明すると、図1〜図7は本発明の一実
施形態としてのアンチスキッド制御装置を示すものであ
る。まず、図3を参照して、本アンチスキッド制御装置
をそなえる制動装置について、ブレーキ油圧回路を中心
に説明する。
【0040】図3に示すように、ブレーキペダル2に連
動してマスターシリンダ4が作動し、各車輪6FL
FR,6RL,6RRのキャリパ6A(図4参照)のピスト
ンを駆動してブレーキ力を発生させる。そして、このマ
スターシリンダ4と各車輪のキャリパ6Aとの間には、
ブレーキ油圧回路(ハイドロリックユニット)8が形成
されている。
【0041】ブレーキ油圧回路8の左前輪,右後輪系統
の油路8Aには、モータ12で駆動されるポンプ14と
リザーバ16とが介装されるとともに、左前輪6FL側油
路にはソレノイドバルブ装置10FLが、右後輪6RR側油
路にはソレノイドバルブ装置10RRが、それぞれ介装さ
れ、右前輪,左後輪系統の油路8Bには、モータ12で
駆動されるポンプ14とリザーバ16とが介装されると
ともに、右前輪6FR側油路にはソレノイドバルブ装置1
FRが、左後輪6RL側油路にはソレノイドバルブ装置1
RLがそれぞれ介装されている。
【0042】各ソレノイドバルブ装置10FL,10FR
10RL,10RRには、図中に「IN」と付す油圧供給用
ソレノイドバルブ10Aと、図中に「OUT」と付す油
圧排出用ソレノイドバルブ10Bと、これらのソレノイ
ドバルブ10A,10Bにより油圧の給排を適切に行な
うためのチェックボール(逆止弁)10Cとがそなえら
れる。
【0043】このようなソレノイドバルブ10A,10
Bは、後述するアンチスキッド制御用電子制御ユニット
(ABS−ECU)20により、各車輪6FL,6FR,6
RL,6RRにそなえられた車輪速センサ(車輪速検出手
段)12FL,12FR,12RL,12RRの検出情報等に基
づいて、各車輪毎に作動を制御されて、ブレーキペダル
2が踏込操作されても、各車輪は、これらのソレノイド
バルブ10A,10Bの差動調整により、ブレーキ油圧
を踏込量に対応したよりも適宜低減されながら与えられ
るようになっている。
【0044】なお、左後輪6RL,右後輪6RRのキャリパ
6Aへの油路には、プロポーショニングバルブ18が介
装されており、後輪側のブレーキ油圧を前輪側よりも低
下させて急制動時の後輪ロックを防止しうるようになっ
ている。また、後輪については、左右の後輪を統合して
制御する場合と独立して制御する場合とがあり、実線で
示す信号ラインは左右後輪独立制御に関し、鎖線で示す
信号ラインは後輪統合制御に関する。図示するように、
後輪統合制御時には、セレクトロー手段20Aにより、
左右後輪の車輪速センサ12RL,12RRで検出された車
輪速のうち低速側のものが選択されて、ABS−ECU
20に出力されるようになっている。
【0045】次に、アンチスキッド制御の中心となるア
ンチスキッド制御用電子制御ユニット(ABS−EC
U)20について、図4を参照して説明する。図4に示
すように、ABS−ECU20では、前述の各ソレノイ
ドバルブ10A,10B、即ち、FLソレノイドバルブ
(OUT),FLソレノイドバルブ(IN),FRソレ
ノイドバルブ(OUT),FRソレノイドバルブ(I
N),RLソレノイドバルブ(OUT),RLソレノイ
ドバルブ(IN),RRソレノイドバルブ(OUT),
RRソレノイドバルブ(IN)と、ABSバルブリレー
34,ABSモータリレー36等を制御する。
【0046】このようなABS−ECU20では、各車
輪速センサ12FL,12FR,12RL,12RRの検出値F
L,FR,RL,RRをはじめとして、ABSバルブリ
レー34,ABSモータリレー36からの信号、ブレー
キペダル2の踏込時にオン信号を発するストップランプ
スイッチ28からの信号、さらに、前後加速度検出手段
(前後Gセンサ)30からの前後加速度検出信号、横加
速度検出手段(横Gセンサ)32からの横加速度検出信
号を送られ、これらの検出信号に基づいて上述の各部の
制御を行なう。
【0047】なお、ABS−ECU20は、ECU電源
からの電力送給により作動し、また、この例では、上述
の制御のほかに、ABSウォーニングランプ等の作動も
制御するほか、ダイアグノシスコネクタを通じてダイア
グノシス信号を出力するようにもなっている。さらに、
本装置をそなえた車両(自動車)は、2輪駆動と4輪駆
動とを切り換えうるものである。
【0048】なお、図4中、6Bはブレーキディスクで
ある。ところで、ABS−ECU20を通じて行なわれ
るアンチスキッド制御の内容について具体的に説明する
と、このアンチスキッド制御は、従来技術としても説明
したように、車輪のロックやスキッドの発生を防止する
ために各車輪のソレノイドバルブ10A,10Bを制御
しながらブレーキ圧力の減圧制御を行なうものであり、
車輪にロック傾向が生じたらこのロック傾向が生じた車
輪についてアンチスキッド制御を開始させてこの車輪が
ロック傾向から脱出したらアンチスキッド制御を終了さ
せる。
【0049】本装置では、車輪がロック傾向にあるか否
かの判定は、4輪の車輪速センサ12FL〜12RRからの
検出情報と、これらの検出情報から基準車輪速FSVW
を設定し、さらに、この基準車輪速FSVW等に基づい
て推定車体速Vrefを設定して、これらの各車輪速及
び基準車輪速FSVW,推定車体速Vrefに基づいて
行なう。
【0050】基準車輪速FSVWについては、この基準
車輪速FSVWは、車体速(車体速に対応した値)に近
い値として採用されるもので、車輪にロック傾向のスリ
ップがなくアンチスキッド制御(ABS制御)が非作動
の時には、車輪速センサ12 FL〜12RRで検出される4
輪の車輪のうち、3番目に速い車輪速V3を採用し、車
輪にロック傾向のスリップが生じてアンチスキッド制御
(ABS制御)が作動している時には、車輪速センサ1
FL〜12RRで検出される4輪の車輪のうち、2番目に
速い車輪速V2を採用する。
【0051】これは、以下の理由による。つまり、AB
S非作動時には、車輪にロック傾向のスリップがなく、
むしろ駆動輪に過回転側のスリップが生じて車輪速Vw
が車体速(車体速に対応した値)よりも大きめになるこ
とがある。特に、本装置をそなえた車両では、4輪駆動
の時には、4輪すべてが僅かながらも過回転側のスリッ
プを生じることが考えられるので、4輪の車輪のうちで
もより低い速度の車輪速V4が車体速(車体速に対応し
た値)により近いものと考えられる。また、2輪駆動の
時には、駆動輪の2輪が過回転側のスリップを生じて従
動輪よりも高い車輪速になることが考えられ、従動輪の
車輪速、即ち、3番目又は4番目に速い車輪速V3,V
4が車体速(車体速に対応した値)により近いものと考
えられる。一方、4輪駆動や2輪駆動といった駆動状態
に限らず、4番目に速い車輪、即ち、最も遅い車輪速V
4としては、雑音信号等による誤った車輪速検出信号が
瞬間的に入力されるおそれも考えられるので、これを回
避するために、3番目に速い車輪速V3が車体速(車体
速に対応した値)により近いものと考え、基準車輪速F
SVWとして採用している。
【0052】一方、ABS作動時には、車輪にロック傾
向のスリップがあるため、車輪にロック側のスリップが
生じて車輪速Vwが車体速(車体速に対応した値)より
も小さめになる。そこで、4輪の車輪のうちでもより速
い速度の車輪速V1が車体速(車体速に対応した値)に
より近いものと考えられる。一方、1番目に速い車輪速
V1としては、雑音信号等による誤った車輪速検出信号
が瞬間的に入力されるおそれも考えられるので、これを
回避するために、2番目に速い車輪速V2が車体速(車
体速に対応した値)により近いものと考え、基準車輪速
FSVWとして採用している。
【0053】車輪のロック傾向の判定のうち、車輪のロ
ック傾向が始まったか否かの判定は、車輪速Vwが急減
したか否かにより行なう。つまり、車輪のロック傾向の
開始判定の際には、車輪にロック傾向のスリップがなく
車輪速が車体速と対応している状態〔即ち、アンチスキ
ッド制御(ABS制御)非作動時〕から行なうので、車
輪のロック傾向の開始判定は、車輪速Vwのみに基づい
て行なうことができる。ここでは、4輪のいずれかの車
輪速Vwの微分値(車輪速減速度)dVw/dtが一定
値(この一定値は減速度値なので負の値)よりも小さい
場合、即ち、減速の度合の大きい場合に、ロック傾向が
生じたと判定してアンチスキッド制御を開始する。
【0054】一方、車輪のロック傾向が解消したか否か
の判定は、このように単純にはいかず、上述の推定車体
速度Vrefとアンチスキッド制御を行なっている車輪
の車輪速Vwとから式(5)で算出しうるスリップ率S
又は式(6)で算出しうるスリップ量SSに基づいて行
なうようになってる。 S=(Vref−Vw)/Vref ・・・(5) SS=Vref−Vw ・・・(6) つまり、スリップ率S又はスリップ量SSが所定値S0
又はSS0よりも小さくい状態が継続すれば車輪のロッ
ク傾向が解消したと判定する。
【0055】このように、車輪のロック傾向が解消した
場合には、アンチスキッド制御を終了(中止)するが、
このほか、車両がスピン状態であると判定された場合に
もアンチスキッド制御を終了(中止)するように設定さ
れている。この車両がスピン状態であるとの判定は、4
輪全てのブレーキ油圧がいずれも減圧又は保持状態で且
つ車輪のスリップ量SS(後述する)が所定量(例えば
3km/h)以上の車輪が3輪以上ある状態が、所定時
間(例えば600msec)以上継続された場合であっ
て、ドリフト判定手段24(図1参照)でドリフト中で
あると判定された場合に行なうようになっている。
【0056】ただし、このような継続時間のカウント
は、タイマカウントクリヤ条件が成立するまでは、断続
的に継続したものを加算して行なう。タイマカウントク
リヤ条件は、1輪でもブレーキ圧の増圧があるか、又
は、2輪以上の車輪についてスリップ量が所定量(例え
ば3km/h)以下であることである。また、車両がス
ピン状態であるとの判定は、4輪中の3輪のブレーキ油
圧がいずれも減圧又は保持状態で且つ車輪のスリップ量
SS(後述する)が所定量(例えば3km/h)以上の
車輪が2輪以上ある状態が、所定時間(例えば600m
sec)以上継続された場合であって、ドリフト判定手
段24でドリフト中であると判定された場合に行なうよ
うにしてもよい。
【0057】そして、この場合のタイマカウントクリヤ
条件は、2輪に関してブレーキ圧の増圧があるか、又
は、2輪以上の車輪についてスリップ量が所定量(例え
ば3km/h)以下であることとする。ここで、ドリフ
ト判定手段24について説明すると、本装置では、推定
車体速Vrefの設定及びアンチスキッド制御の終了
(中止)にドリフト判定結果を用いるようになってお
り、ABS−ECU20内に設けられたドリフト判定手
段24では、図1に示すように、前後加速度検出手段
(前後Gセンサ)30及び横加速度検出手段(横Gセン
サ)32により検出された車両の前後加速度(前後G)
GSF及び横加速度(横G)GYに基づいて、以下に示
すような条件が所定時間T1(T1例えば300mse
c)継続して成立したら、車両がドリフト状態であると
判定する。
【0058】ドリフト判定条件 |GSF|>|GY| 且つ |GY|>G2 (G2
は例えば0.2G) 次に、推定車体速Vrefの設定について説明すると、
この推定車体速Vrefは、図1に示すように、ABS
−ECU20内に設けられた車体速推定手段22で設定
される。この車体速推定手段22では、基準車輪速FS
VWに基づいて車輪減速度算出手段26(図1参照)で
算出される減速度G1と前後Gセンサ30の検出値GS
Fに対応した減速度GA(GSF)とを比較して、基準
車輪速FSVWに基づいた減速度G1が前後Gセンサ3
0の検出値GSFに対応した減速度GA(GSF)より
も大きければ、基準車輪速FSVWを推定車体速Vre
fとして採用し、減速度G1が減速度GA(GSF)以
下ならば、前後Gセンサ30の検出値GSFに基づいて
設定される推定車体速VrefGSF と基準車輪速FSV
Wから設定される推定車体速VrefFSVWとのうちの小
さい方を推定車体速Vrefに設定する。
【0059】ここで、減速度GA(GSF)は、前後G
センサ30の検出値GSFに対して、図2(A)に示す
ようなマップ(マップA)にしたがって設定される。ま
た、前後Gセンサ30の検出値GSFに基づいて設定さ
れる推定車体速VrefGSFは、次式のように算出され
る。 VrefGSF (n)=Vref(n−1)+MUD・T ・・・(7) ただし、VrefGSF (n)は今回(n番目)の制御周
期における推定車体速VrefGSF 、Vref(n−
1)は前回(n−1番目)の制御周期における推定車体
速Vrefであり、MUDは補正用減速度、Tは制御周
期である。
【0060】式(7)に示すように、今回の推定車体速
VrefGSF は、前回の推定車体速Vrefに対して今
回前後Gセンサ30で検出された検出値GSFに基づい
た補正用減速度MUDと制御周期Tとを積算した減速量
MUD・Tを加算(実際には、補正用減速度MUDは負
の値なので、減算することになる)することで求めてい
る。
【0061】補正用減速度MUDは、ドリフト判定手段
24での判定に基づいて、車両がドリフト状態でないと
図2(B)に示すようなマップ(マップB)にしたがっ
て設定され、車両がドリフト状態であると図2(C)に
示すようなマップ(マップC)にしたがって設定され
る。図2(B),図2(C)に示すように、ドリフト状
態の場合のほうが、ドリフト状態でない場合よりも、補
正用減速度MUDの大きさ(|MUD|)が大きく設定
されるので、ドリフト時には、推定車体速VrefGSF
が小さく補正されることになる。これにより、ドリフト
走行時に、推定車体速の減少度合(即ち、減速勾配)が
実際よりも小さくなり、推定車体速Vrが実際の車体速
Vよりも大きくなってしまうといった不具合が解消され
るようになっている。
【0062】なお、図2の(A)〜(C)の各マップに
おける縦軸目盛どうし,横軸目盛どうしはそれぞれ対応
するようになっており、図2(B)と図2(C)との比
較により、ドリフト状態〔図2(C)〕の場合のほう
が、ドリフト状態でない場合〔図2(B)〕よりも、補
正用減速度MUDの大きさ(|MUD|)が大きく設定
されているたとがわかる。
【0063】本発明の一実施形態としてのアンチスキッ
ド制御装置は、上述のように構成されているので、推定
車体速Vrefは例えば図5に示すように設定され、ア
ンチスキッド制御(ABS制御)の開始が車輪速に基づ
いた判定により実行されるとともに、アンチスキッド制
御(ABS制御)の終了(中止)が例えば図6に示すよ
うに判定され実行される。
【0064】つまり、推定車体速Vrefは、図5に示
すように、ABS制御中か否を判定して(ステップA1
0)、ABS制御中でなければ、今回の制御周期の基準
車輪速FSVW(n)として3番目に速い車輪速V3を
採用し(ステップA20)、ABS制御中なら、今回の
制御周期の基準車輪速FSVW(n)として2番目に速
い車輪速V2を採用する(ステップA30)。
【0065】これにより、ABS非作動時には、車輪に
ロック傾向のスリップがないことから車体速(車体速に
対応した値)により近いと推定しうる比較的低速の車輪
速V3,V4のうち、誤検出情報のおそれのほとんどな
い3番目に速い車輪速V3が基準車輪速FSVW(n)
に採用されることになり、基準車輪速FSVWとして車
体速(車体速に対応した値)により近く且つエラーのな
い値が採用される。
【0066】また、ABS作動時には、車輪にロック傾
向のスリップがあることから車体速(車体速に対応した
値)により近いと推定しうる比較的遅い車輪速V1,V
2のうち、誤検出情報のおそれのほとんどない2番目に
速い車輪速V2が基準車輪速FSVW(n)に採用され
ることになり、基準車輪速FSVWとして車体速(車体
速に対応した値)により近く且つエラーのない値が採用
される。
【0067】ついで、フラグSEP−FLAGが1か否
かを判定する(ステップA40)。このフラグSEP−
FLAGは、検出前後加速度に基づいても推定車体速を
設定する状態であれば1とされる。フラグSEP−FL
AGが1でなければ、ステップA50へ進み、次式のよ
うに、今回の基準車輪速FSVW(n)から前回の基準
車輪速FSVW(n−1)を減算した値を制御周期(サ
ンプリング周期)Tで割算することにより、基準車輪速
FSVWに基づいた減速度G1を算出する。
【0068】 G1=〔FSVW(n)−FSVW(n−1)〕/T ついで、ステップA60に進み、この減速度G1が前後
Gセンサ30の検出値GSFに対応した減速度GA(G
SF)以下か否かを判定する。ここで、減速度G1が減
速度GA(GSF)よりも大きければ、ステップA16
0へ進んで、今回の推定車体速Vref(n)として今
回の基準車輪速FSVW(n)を設定する。減速度G1
が減速度GA(GSF)以下ならば、ステップA70へ
進む。
【0069】ステップA70では、タイマTIMERの
値を0にリセットとして、ステップA80に進み、フラ
グSEP−FLAGを1とする。そして、ステップA9
0に進む。このようにして、ステップA50〜A80を
経て、フラグSEP−FLAGが1となった場合には、
以後、フラグSEP−FLAGが0にリセット(ステッ
プA150)されないかぎりは、前述の ステップA4
0からステップA90に進むことになる。
【0070】ステップA90では、車両がドリフト状態
否かが判定される。この判定はドリフト状態判定手段2
4で前述のように行なわれ、ドリフト状態であればステ
ップA100に進み、ドリフト状態でなければステップ
A110に進み、いずれも、前述の式(7)から、推定
車体速Vref(n)〔=VrefGSF (n)〕を算出
する。
【0071】ただし、ステップA100では、つまり、
ドリフト状態のときには、図2(C)に示すようなマッ
プCにしたがって補正用減速度MUDを設定して推定車
体速Vref(n)を算出し、ステップA110では、
つまり、ドリフト状態でないときには、図2(B)に示
すようなマップBにしたがって補正用減速度MUDを設
定して推定車体速Vref(n)を算出する。
【0072】図2(B),図2(C)に示すように、ド
リフト状態の場合のマップCのほうが、ドリフト状態で
ない場合のマップBよりも、補正用減速度MUDの大き
さ(|MUD|)が大きく設定されるので、ドリフト時
には、推定車体速Vrefが小さく補正されることにな
り、ドリフト走行時に、推定車体速の減少度合(即ち、
減速勾配)が実際よりも小さくなり、推定車体速Vrが
実際の車体速Vよりも大きくなってしまうといった不具
合が解消される。
【0073】このように、推定車体速Vref(n)を
算出したら、ステップA120に進み、タイマTIME
Rの値を制御周期(サンプリング周期)Tだけ加算す
る。そして、ステップA130に進み、このタイマTI
MERの値がT2時間(例えは2秒)以上経過したか、
又は、ステップA100,A110で算出された推定車
体速Vref(n)がステップA20,A30で設定さ
れた基準車輪速FSVW(n)以上であるかを判定す
る。
【0074】ここで、このタイマTIMERの値がT2
時間以上経過したか、又は、推定車体速Vref(n)
が基準車輪速FSVW(n)以上であれば、ステップA
140に進み、タイマTIMERの値を0にリセットし
て、さらに、ステップA150で、フラグSEP−FL
AGを0にリセットして、ステップA160へ進んで、
今回の推定車体速Vref(n)として今回の基準車輪
速FSVW(n)を設定する。
【0075】一方、タイマTIMERの値がT2時間以
上経過しないで、且つ、推定車体速Vref(n)が基
準車輪速FSVW(n)未満であれば、ステップA10
0,A110のいずれかで算出された推定車体速Vre
f(n)を採用する。このようにして推定車体速Vre
f(n)が設定される一方で、車輪速の減速度合が所定
量以上の場合に開始されたアンチスキッド制御(ABS
制御)の終了(中止)の判定は、図6に示すように行な
われる。
【0076】つまり、ABS制御中か否かを判定し(ス
テップB10)、ABS制御中なら、ステップB20に
進み、ドリフト状態であるかをブレーキ状態や車輪速状
態から判定する。つまり、4輪全てのブレーキ油圧がい
ずれも減圧又は保持状態で且つ車輪のスリップ量SSが
所定量(例えば3km/h)以上の車輪が3輪以上ある
状態か否かを判定する。ここで、Yesであれば、ステ
ップB30に進み、タイマTMを制御周期(サンプリン
グ周期)Tだけインクリメントして、ステップB40に
進み、タイマTMが所定時間(例えば600msec)
に達したか否かが判定される。
【0077】タイマTMが所定時間(例えば600ms
ec)に達しなければメインルーチンへリターンし、タ
イマTMが所定時間に達していれば、ドリフト状態か否
かが判定される(ステップB50)。そして、ドリフト
状態でなければメインルーチンへリターンし、ドリフト
状態であれば、ABS制御を中止して(ステップB6
0)、フラグP−FLAGを1とする(ステップB7
0)。このフラグP−FLAGはABS制御中止時に1
とされる。
【0078】一方、4輪全てのブレーキ油圧がいずれも
減圧又は保持状態で且つ車輪のスリップ量SSが所定量
(例えば3km/h)以上の車輪が3輪以上ある状態で
はなければ、ステップB20からステップB80に進
み、ドリフト終了か否かをブレーキ状態や車輪速状態か
ら判定する。つまり、1輪でもブレーキ油圧が増圧され
たか、又は、車輪のスリップ量SSが所定量(例えば3
km/h)以下の車輪が2輪以上あるか否かを判定す
る。ここで、Yesであれば、ステップB90に進み、
タイマTMを0にリセットするが、ここで、Noであれ
ば、ステップB100に進み、タイマTMを前回の値T
Mにホールドする。
【0079】したがって、ステップB20におけるYe
s判定の間に、ステップB20におけるNo判定且つス
テップB80におけるNo判定が介在したら、タイマT
Mは断続的に加算されることになる。また、ABS制御
中でなければ、ステップB10からステップB110へ
進み、フラグP−FLAGが1か否かを判定し、フラグ
P−FLAGが1であれば、ステップB120へ進み、
全車輪のスリップが収束しているか否か、即ち、全輪の
スリップ量が推定車体速Vref×k未満か否か(kは
係数であり、例えばk=0.045)を判定する。この
判定は、全輪のスリップ率(=スリップ量/推定車体速
Vref)が所定値k未満か否かに相当する判定でもあ
る。
【0080】ここで、全輪のスリップが収束していれ
ば、ステップB130へ進み、フラグP−FLAGを0
にリセットしてメインルーチンへリターンする。ステッ
プB110,B120でNoの場合もメインルーチンへ
リターンする。このようにして、車輪のスリップ状態や
ブレーキ圧状態やさらにドリフト判定に基づいてスピン
判定しているので、的確にスピン判定を行なうことがで
き、スピン判定時のアンチスキッド制御(ABS制御)
の中止(終了)制御によって、スピン解消後に速やかに
ブレーキ力を発揮して、停止距離を縮める事ができる利
点がある。また、このようなスピン状態と判定される場
合、推定車体速が実際の車体速よりも大きくなるなど、
推定車体速自体の信頼性が低下し、また、スピン状態で
はABS制御自体無意味となることから、このような際
に、ABS制御を中止することは、不的確な制御や不要
な制御を行なわないことになり、制御頻度を低減させる
ことになり、効率よいABS制御を行なうことにもな
る。
【0081】ところで、本装置では、図2(B),図2
(C)に示すような補正用減速度MUDの設定により、
ドリフト状態(スピン状態も含む)の場合のほうがドリ
フト状態でない場合よりも、推定車体速Vref算出の
ための減速度の大きさ(減速勾配)を大きくとることに
なるため、推定車体速Vrefが実際の車体速Vよりも
大きくなってしまうといった不具合が解消されるため、
図7に示すような効果が得られる。
【0082】図7中、(A)は速度の時間変化状態、
(B)は加速度の時間変化状態、(C)はブレーキ液圧
の時間変化状態をそれぞれ示し、図中、実線は本装置に
よるドリフト時の減速勾配の補正を行なった場合(勾配
補正あり)を示し、破線はドリフト時の減速勾配の補正
を行なわない場合(勾配補正なし)を示す。図示するよ
うに、ドリフト時の減速勾配の補正(減速勾配を大きく
すること)によれば、推定車体速Vrefが実際の車速
(図示せず)にほぼ近い状態で減少して、この推定車体
速Vrefと車輪速とに基づいて行なわれるブレーキ液
圧制御は減圧が過剰とならず、この結果、減速度も十分
に得られ、いわゆるG抜け感(ブレーキペダルを踏んで
も減速が十分に行なわれないといった違和感)が解消さ
れるとともに、停止距離を十分に短縮させることができ
る。
【0083】また、同時に、ブレーキペダルを踏み込も
うとしても踏み込みストロークを得られないといった違
和感(ブレーキ板踏み感)も解消され、フィーリングの
よいアンチスキッド制御を行なえるようになる効果もあ
る。なお、図中のブレーキ液圧や車輪速については、右
旋回時の前輪左側(左前輪)のもの、即ち、旋回制動時
に最も制動負荷のかかる旋回外側前輪のものを示してい
る。
【0084】なお、前後加速度センサ30を設けずに、
車輪速センサで検出した車輪速Vwのいずれかを時間微
分した値(dVw/dt)に基づいて前後加速度GSF
を設定して上述の制御を実施してもよい。この場合、車
輪ロック気味なので、車輪速センサの検出値は低めに出
るため、比較的高い車輪速を用いるほうがよいが、最も
高い車輪速の場合、前述のように、誤った値を取り込ん
でしまうことがあるため、2番目に速い車輪速V2を採
用することが好ましい。
【0085】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明のアンチスキッド制御装置によれば、車体速推定手
段が、車両がドリフト状態でないと判定されると、検出
された車体前後加速度に対応した第1の車体減速度を設
定しこの第1の車体減速度に基づき車体速を推定し、車
両がドリフト状態であると判定されると、該車体前後加
速度に対応して該第1の車体減速度よりも大きい第2の
車体減速度を設定しこの第2の車体減速度に基づき該車
体速を推定するので、車両がドリフト状態のときに、推
定車体速が実際の車体速よりも大きいものに設定されな
いようになり、この推定車体速に対する車輪速の速度回
復を確実に認識することができるようになる。このた
め、ドリフト状態のときにもアンチスキッド制御を終了
を適切に行なうことができるようになって、車両の停止
距離を減少させるとともに、ブレーキペダルを踏んでも
減速が十分に行なわれないといった違和感(G抜け感)
やブレーキペダルを踏み込もうとしても踏み込みストロ
ークを得られないといった違和感(ブレーキ板踏み感)
をドライバへ与えないようにしながら、アンチスキッド
制御を行なえるようになる効果がある。
【0086】請求項2記載の本発明のアンチスキッド制
御装置によれば、車両がスピン状態であると判定された
ら(第2の終了条件成立)、検出された車輪速が推定さ
れた車体速に対応するように回復しない場合(第1の終
了条件が成立しない場合)であっても、アンチスキッド
制御を終了させるので、これによってスピン脱出後の制
動性能を確実に確保することができる利点がある。請求
記載の本発明のアンチスキッド制御装置によれば、
ドリフト状態と判定することができて(第2判定条件成
立)且つブレーキ圧力が増圧されない状態が所定時間以
上継続した(第1判定条件成立)時には、車両がスピン
状態であると推定することができ、このスピン状態で、
アンチスキッド制御を終了させることによってスピン脱
出後の制動性能を確実に確保することができる利点があ
る。
【0087】
【0088】請求項4記載の本発明のアンチスキッド制
御装置によれば、ドリフト状態と判定することができて
(第2判定条件成立)且つ4輪のうち3輪以上のブレー
キ圧力が増圧されない状態が所定時間以上継続した(第
1判定条件成立)時には、車両がスピン状態であると推
定することができ、このスピン状態で、アンチスキッド
制御を終了させることによってスピン脱出後の制動性能
を確実に確保することができる利点がある。
【0089】請求項5記載の本発明のアンチスキッド制
御装置によれば、ドリフト状態と判定することができて
(第2判定条件成立)且つブレーキ圧力が増圧されない
状態が所定時間以上継続し(第1判定条件成立)且つ車
輪速と推定車体速との差が大きい(第3判定条件成立)
時には、車両がスピン状態であることをより確実に推定
することができ、このスピン状態で、アンチスキッド制
御を終了させることによってスピン脱出後の制動性能を
確実に確保することができる利点がある。請求項記載
の本発明のアンチスキッド制御装置によれば、ドリフト
状態と判定することができて(第2判定条件成立)且つ
4輪のうち3輪以上のブレーキ圧力が増圧されない状態
が所定時間以上継続し(第1判定条件成立)且つ4輪の
各車輪速のうち旋回外輪を含む2輪以上の車輪速と推定
車体速との差が大きい(第3判定条件成立)時には、車
両がスピン状態であることをより確実に推定することが
でき、このスピン状態で、アンチスキッド制御を終了さ
せることによってスピン脱出後の制動性能を確実に確保
することができる利点がある。
【0090】請求項記載の本発明のアンチスキッド制
御装置によれば、該アンチスキッド非制御時には該車輪
速検出手段で検出された4輪の各車輪速のうち3番目に
速い車輪速を採用して車体速推定を行なうので、駆動輪
に過回転側のスリップが生じてもこのような車輪の車輪
速を極力採用せずに、しかも、誤検出のおそれの可能性
のある最低速(4番目に速い車輪速)も採用しないで、
精度のよい車輪速を採用することになり、車体速推定を
精度良く行なうことができる利点がある。また、該アン
チスキッド制御時には、該車輪速検出手段で検出された
4輪の各車輪速のうち2番目に速い車輪速に基づく車体
の減速度と該車体前後加速度検出手段で検出された検出
値に対応した減速度とを比較して、該車輪速検出手段で
検出された4輪の各車輪速のうち2番目に速い車輪速に
基づく車体の減速度の方が大きければ該車輪速検出手段
で検出された4輪の各車輪速のうち2番目に速い車輪速
を推定車体速として設定し、該車体前後加速度検出手段
で検出された検出値に対応した減速度の方が大きければ
該車体前後加速度検出手段で検出された検出値に基づく
車体速と該車輪速検出手段で検出された4輪の各車輪速
のうち2番目に速い車輪速に基づく車体速とのうちの小
さい方を推定車体速として設定するように構成されてい
るので、制動によるロック側のスリップが生じてもこの
ような車輪の車輪速を極力採用せずに、しかも、誤検出
のおそれの可能性のある最高速(1番目に速い車輪速)
も採用しないで、精度のよい車輪速を採用することにな
り、車体速推定を精度良く行なうことができる利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのアンチスキッド制
御装置の要部構成を示す模式的なブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態としてのアンチスキッド制
御装置の制御に用いるマップを示す図であり、(A)は
車輪ロック傾向開始判定用マップ、(B)は通常時推定
車体速設定用マップ、(C)はドリフト時推定車体速設
定用マップである。
【図3】本発明の一実施形態としてのアンチスキッド制
御装置をそなえる制動装置のブレーキ油圧回路を示す模
式図である。
【図4】本発明の一実施形態としてのアンチスキッド制
御装置とともに本装置をそなえる制動装置の構成を示す
模式的なブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態としてのアンチスキッド制
御装置における推定車体速の設定を説明するフローチャ
ートである。
【図6】本発明の一実施形態としてのアンチスキッド制
御装置におけるアンチスキッド制御(ABS制御)の終
了判定にかかるフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態としてのアンチスキッド制
御装置による効果を説明する図であり、(A)は制動時
の速度の時間変化状態、(B)は制動時の加速度の時間
変化状態、(C)は制動時のブレーキ液圧の時間変化状
態をそれぞれ示す。
【図8】従来のアンチスキッド制御を説明する図であ
り、(A)は速度、(B)は制動トルク(ブレーキ圧
力)、(C)は制動力、(D)はスリップ率に関して、
それぞれ示している。
【符号の説明】
2 ブレーキペダル 4 マスターシリンダ 6FL,6FR,6RL,6RR 車輪 6A キャリパ 8 ブレーキ油圧回路(ハイドロリックユニット) 8A,8B 油路 10FL,10FR,10RL,10RR ソレノイドバルブ装
置 10A 油圧供給用ソレノイドバルブ 10B 油圧排出用ソレノイドバルブ 10C チェックボール(逆止弁) 12 モータ 12FL,12FR,12RL,12RR 車輪速センサ(車輪
速検出手段) 14 ポンプ 16 リザーバ 18 プロポーショニングバルブ 20 アンチスキッド制御用電子制御ユニット(ABS
−ECU) 20A セレクトロー手段 22 車体速推定手段 24 ドリフト判定手段 26 車輪減速度算出手段 28 ストップランプスイッチ 30 前後加速度検出手段(前後Gセンサ) 32 横加速度検出手段(横Gセンサ) 34 ABSバルブリレー 36 ABSモータリレー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−27649(JP,A) 特開 平4−27650(JP,A) 特開 平6−199219(JP,A) 特開 平2−306864(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のブレーキ操作により車輪がロック
    しようとした時にブレーキ圧力を制限して該車輪のロッ
    クによるスキッドの発生を抑制するアンチスキッド制御
    を行なう制御手段をそなえたアンチスキッド制御装置に
    おいて、 該車輪の速度を検出する車輪速検出手段と、 該車輪速検出手段で検出された車輪速に基づいて該車輪
    の減速度を算出する車輪減速度算出手段と、 該車両の前後方向の減速度を検出又は算出する車体前後
    加速度検出手段と、 該アンチスキッド制御時に、該車輪速検出手段で検出さ
    れた該車輪速及び該車体前後加速度検出手段で検出され
    た車体前後加速度に基づいて該車両の車体速を推定す
    る車体速推定手段とをそなえ、 該制御手段が、該車輪速検出手段で検出された車輪速が
    該車体速推定手段で推定された該車体速に対応するよう
    に速度を回復したことを第1の終了条件として該第1
    の終了条件が成立したら、該アンチスキッド制御を終了
    させるように構成されるとともに、 該車両の横方向の加速度を直接検出する車体横加速度検
    出手段と、 該横加速度検出手段で検出された横加速度が一定値より
    も大きく且つ該前後加速度検出手段で検出された前後加
    速度よりも大きい状態が所定時間継続すると、該車両が
    ドリフト状態であると判定するドリフト判定手段とをそ
    なえ、 該車体速推定手段が、該ドリフト判定手段で該車両がド
    リフト状態でないと判定されると、該車体前後加速度検
    出手段で検出された該車体前後加速度に対応した第1の
    車体減速度を設定しこの第1の車体減速度に基づき該車
    体速を推定し、該ドリフト判定手段で該車両がドリフト
    状態であると判定されると、該車体前後加速度検出手段
    で検出された該車体前後加速度に対応して該第1の車体
    減速度よりも大きい第2の車体減速度を設定しこの第2
    の車体減速度に基づき該車体速度を推定するように構成
    されていることを特徴とする、アンチスキッド制御装
    置。
  2. 【請求項2】 該制御手段は、該車両がスピン状態であ
    ると判定されたことを第2の終了条件として、該第1の
    終了条件が成立しない場合であっても該第2の終了条件
    が成立したら、該アンチスキッド制御を終了させること
    を特徴とする 、請求項1記載のアンチスキッド制御装
    置。
  3. 【請求項3】 該制御手段は、ブレーキ圧力が増圧され
    ない状態が所定時間以上継続したことを第1判定条件と
    し、該ドリフト判定手段で該車両がドリフト状態である
    と判定されたことを第2判定条件として、該第1判定条
    件及び該第2判定条件がいずれも成立すると、該車両が
    スピン状態であると判定することを特徴とする、請求項
    2記載のアンチスキッド制御装置。
  4. 【請求項4】 該アンチスキッド制御は該車両にそなえ
    られた4輪についてそれぞれ行なわれるように構成され
    ているとともに、該第1判定条件が、該4輪のうち3輪以上のブレーキ圧
    力が増圧されない状態が所定時間以上継続したこととさ
    れていることを特徴とする、請求項3記載のアンチスキ
    ッド制御装置。
  5. 【請求項5】 該制御手段は、ブレーキ圧力が増圧され
    ない状態が所定時間以上継続したことを第1判定条件と
    し、且つ該車輪速検出手段で検出された車輪速と該車体
    速推定手段で推定された車体速に対した速度との差が所
    定値以上であることを第3判定条件とし、且つ該ドリフ
    ト判定手段で該車両がドリフト状態であると判定された
    ことを第2判定条件として、該第1判定条件、該第2判
    定条件及び該第3判定条件がいずれも成立すると、該車
    両がスピン状態であると判定することを特徴とする、請
    求項2記載のアンチスキッド制御装置。
  6. 【請求項6】 該アンチスキッド制御は該車両にそなえ
    られた4輪についてそれぞれ行なわれるように構成され
    ているとともに、 該第1判定条件が、該4輪のうち3輪以上のブレーキ圧
    力が増圧されない状態が所定時間以上継続したこととさ
    れ、 該第3判定条件が、該車輪速検出手段で検出された該4
    輪の各車輪速のうち旋回外輪を含む2輪以上の車輪速に
    ついて、該車輪速と該車体速推定手段で推定された車体
    速に対応した速度との差が所定値以上であることとされ
    ていることを特徴とする、請求項5記載のアンチスキッ
    ド制御装置。
  7. 【請求項7】 該車輪速検出手段が、該車両のそなえる
    4輪についてそれぞれの車輪速を検出するように構成さ
    れるとともに、 該車体速推定手段が、該アンチスキッド非制御時には該
    車輪速検出手段で検出された4輪の各車輪速のうち3番
    目に速い車輪速を採用して車体速推定を行ない、該アン
    チスキッド制御時には、該車輪速検出手段で検出された
    4輪の各車輪速のうち2番目に速い車輪速に基づく車体
    の減速度と該車体前後加速度検出手段で検出された検出
    値に対応した減速度とを比較して、該車輪速検出手段で
    検出された4輪の各車輪速のうち2番目に速い車輪速に
    基づく車体の減速度の方が大きければ該車輪速検出手段
    で検出された4輪の各車輪速のうち2番目に速い車輪速
    を推定車体速として設定し、該車体前後加速度検出手段
    で検出された検出値に対応した減速度の方が大きければ
    該車体前後加速度検出手段で検出された検出値に基づく
    車体速と該車輪速検出手段で検出された4輪の各車輪速
    のうち2番目に速い車輪速に基づく車体速とのうちの小
    さい方を推定車体速として設定するように構成されてい
    ることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の
    アンチスキッド制御装置。
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