JP3494135B2 - 連続鋳造機の湯面レベル制御方法及び湯面レベル制御装置 - Google Patents

連続鋳造機の湯面レベル制御方法及び湯面レベル制御装置

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JP3494135B2 JP2000241932A JP2000241932A JP3494135B2 JP 3494135 B2 JP3494135 B2 JP 3494135B2 JP 2000241932 A JP2000241932 A JP 2000241932A JP 2000241932 A JP2000241932 A JP 2000241932A JP 3494135 B2 JP3494135 B2 JP 3494135B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造機の操業
の際に鋳型内の湯面レベルの変動を効果的に防止する湯
面レベル制御方法およびこれに用いる湯面レベル制御装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造機の操業は、上下に開口を有す
る筒型の鋳型に溶湯すなわち溶融金属を注湯し、該鋳型
の水冷された内壁に接触せしめて冷却し、その外側を凝
固シェルにて被覆された鋳片となし、該鋳片をこれの外
側に転接する複数のガイドロールにより案内し、駆動力
を備えたピンチロールの回転により前記鋳型の下方に引
き抜きつつ更に冷却し、厚さ中心部まで凝固が完了した
鋳片を得る手順にて行われる。
【0003】このような連続鋳造機においては、鋳型上
部からの溶湯の溢出、ブレークアウトの発生など、安定
操業を阻害する各種の不都合を未然に防止して生産能率
の向上を図ると共に、鋳型内での冷却・凝固状態を安定
化させ、鋳片の品質向上を図るため、鋳型の内部に滞留
する溶湯の表面レベル即ち湯面レベルを適正レベルに維
持することが重要である。
【0004】従来の湯面レベル制御方法においては、渦
流レベル計等の湯面レベル計により、操業中の鋳型内部
の湯面レベルを検出し、検出された湯面レベル(以下、
検出レベルと言う)と予め定められた目標レベルとの間
の偏差を求め、該偏差に基づく演算により、鋳型への注
湯量を調整するスライディングゲート又はストッパ等の
注湯量調整手段の開度変更量を求め、該開度変更量に対
応する開度指令に従って前記注湯量調整手段を制御する
油圧シリンダ等のアクチュエータを操作し、前記鋳型へ
の注湯量を調整することにより、湯面レベル制御が行わ
れている。前記開度変更量の演算は、前記偏差を入力と
するPID等の演算により求められ、鋳造条件の変更な
どの外乱が発生した場合でも、湯面レベルを目標レベル
に維持するべく安定化が図られる。
【0005】ところが、連続鋳造機の操業においては、
鋳型内に湯面レベルの周期的な変動がしばしば発生す
る。この周期的な湯面レベルの変動は、前述の如き一般
的な湯面レベル制御方法により効果的に抑制することは
困難である。
【0006】このような湯面レベルの周期的な変動の原
因として、非定常バルジングと呼ばれる現象が知られて
いる。この現象は、引き抜き・冷却途中の鋳片のすでに
凝固した凝固シェルが、その内部に含まれる未凝固部分
の圧力により、該鋳片を案内する複数のガイドロール間
にて外側に膨張する現象である。この非定常バルジング
が発生した場合、凝固シェルの膨張により鋳片の内容積
が増し、この影響で上流側の鋳型内の湯面レベルが下降
することとなり、膨張した部分がガイドロールにより外
側から挟持されたとき、前記鋳片の内容積が減少して、
前記湯面レベルが上昇することとなる。
【0007】このように、非定常バルジングによって縦
断面が波状に変形した凝固シェルが形を維持したまま鋳
造が進行した場合、ロール間隔すなわち鋳片が引き抜か
れる方向に隣合う複数のガイドロールの中心軸間の距離
と鋳片の引き抜き速度とに関係する周期で、湯面レベル
の周期的な変動すなわち周期性レベル変動が発生する。
特に、高速で連続鋳造機を操業させる場合、又は特定の
化学組成を有する鋼の鋳造の場合に、前記非定常バルジ
ングに起因する周期性レベル変動が発生しやすい。
【0008】これとは別に、ガイドロール又はピンチロ
ールに、偏心または曲がりが存在する場合にも、鋳片内
部の未凝固部分が外側から周期的に加圧・開放されるた
め、ロールの径および鋳片の引き抜き速度に関連した周
期で、周期性レベル変動が発生する。
【0009】前述の如き周期性レベル変動が生じた場
合、鋳型内部の溶湯の表面上に供給されている潤滑剤い
わゆるパウダの巻き込みが助長され、この間に鋳造され
た鋳片の表皮下にパウダ性欠陥が生じやすくなるという
問題が生じる。そこで、鋳片の品質を安定化させるため
には、周期性レベル変動を抑制することが重要となり、
従来から周期性レベル変動の抑制を図った湯面レベル制
御方法および湯面レベル制御装置が様々に提案されてい
る。
【0010】特開平5−177321号公報および特開
平5−189009号公報においては、H無限大制御理
論を用いてレベル制御器を設計し、周期性レベル変動を
引き起こす周期性外乱を抑制する方法が開示されてい
る。また特開平3−174961号公報には、湯面レベ
ル変動を検知する外乱オブザーバにより、周期性外乱を
推定し、溶湯の注湯量を調整して周期性外乱を相殺する
方法が開示されている。また特開平10−314911
号公報には、特定周波数成分の位相を進ませる位相補償
器により、周期性レベル変動を抑制する方法が開示され
ている。さらに特許第2598201号および特開平1
1−114660号公報には、外乱に対応して開度演算
部の特性を順次切り換え、周期性外乱に適応する方法が
開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の如き
従来技術においては、いずれも演算負荷が大きく、また
設計則が複雑なために解析用の計算機による数値解析・
シミュレーションなど制御理論の適用が必要となり、装
置が高価・大規模になるという問題があった。本発明は
斯かる事情に鑑みてなされたものであって、ロールの偏
心または非定常バルジングに起因する周期性レベル変動
の周波数および振幅に対応して周期信号を発振し、該周
期信号に基づいて鋳型への注湯量を制御して前記周期性
レベル変動を効果的かつ安定的に抑制し、またそのため
に演算負荷の増大または装置の大規模化を招くことがな
い連続鋳造機の湯面レベル制御方法および湯面レベル制
御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明の連
続鋳造機の湯面レベル制御方法は、連続鋳造機の鋳型内
の湯面レベルを検出し、検出した湯面レベルと予め定め
た目標レベルとの偏差を求め、求めた偏差により溶湯の
前記鋳型への入口の開度の変更量を演算し、演算した変
更量に従って前記開度を変更し、前記湯面レベルを前記
目標レベルに保つべく制御する連続鋳造機の湯面レベル
制御方法において、検出した湯面レベルの信号に含まれ
る周期性レベル変動の周波数を検知し、周期性レベル変
動を相殺するような位相及び振幅を有する、検知した周
波数と同じ周波数の信号を生成し、生成した信号を前記
演算した変更量に加算して変更量を補正し、補正した変
更量に従って前記開度を変更することを特徴とする。
【0013】請求項2に係る発明の連続鋳造機の湯面レ
ベル制御方法は、連続鋳造機の鋳型内の湯面レベルを検
出し、検出した湯面レベルと予め定めた目標レベルとの
偏差を求め、求めた偏差により溶湯の前記鋳型への入口
の開度の変更量を演算し、演算した変更量に従って前記
開度を変更し、前記湯面レベルを前記目標レベルに保つ
べく制御する連続鋳造機の湯面レベル制御方法におい
て、検出した湯面レベルの信号に含まれる周期性レベル
変動の周波数を検知し、検知した周波数の成分を減衰さ
せ、該成分が減衰した湯面レベルの信号と目標レベルの
信号との偏差より前記変更量の演算を行い、また、周期
性レベル変動を相殺するような位相及び振幅を有する、
検知した周波数と同じ周波数の信号を生成し、生成した
信号を前記演算の結果に加算して変更量を補正し、補正
した変更量に従って前記開度を変更することを特徴とす
る。
【0014】請求項3に係る発明の連続鋳造機の湯面レ
ベル制御方法は、請求項1又は請求項2に記載の連続鋳
造機の湯面レベル制御方法において、検出した湯面レベ
ルの値と補正された開度の変更量の値とを変量とする位
相面軌道の形状の真円度が向上するように、しかも該位
相面軌道に囲まれる面積が減少するように、前記信号の
位相および振幅を調整することを特徴とする。
【0015】 請求項4に係る発明の連続鋳造機の湯面
レベル制御装置は、連続鋳造機の鋳型内の湯面レベルを
検出し、検出した湯面レベルと予め定めた目標レベルと
の偏差を求め、求めた偏差により溶湯の前記鋳型への入
口の開度の変更量を演算し、演算した変更量に従って前
記開度を変更し、前記湯面レベルを前記目標レベルに保
つべく制御する連続鋳造機の湯面レベル制御装置におい
て、検出した湯面レベルの信号に含まれる周期性レベル
変動の周波数を検知する周波数検知部と、該周波数検知
部にて検知した周波数で信号を発振する発振器と、前記
周期性レベル変動を相殺するような位相および振幅を演
算する位相・振幅演算部と、前記発振器が発振して前記
位相・振幅演算部が演算した位相および振幅を有する信
号を前記演算した変更量に加算して開度の変更量を補正
する加算器とを備えることを特徴とする。
【0016】 請求項5に係る発明の連続鋳造機の湯面
レベル制御装置は、連続鋳造機の鋳型内の湯面レベルを
検出し、検出した湯面レベルと予め定めた目標レベルと
の偏差を求め、求めた偏差により溶湯の前記鋳型への入
口の開度の変更量を演算し、演算した変更量に従って前
記開度を変更し、前記湯面レベルを前記目標レベルに保
つべく制御する連続鋳造機の湯面レベル制御装置におい
て、検出した湯面レベルの信号に含まれる周期性レベル
変動の周波数を検知する周波数検知部と、該周波数検知
部が検知した周波数を遮断周波数に設定するノッチフィ
ルタと、該ノッチフィルタにより前記周波数の成分が減
衰した湯面レベルの信号と目標レベルの信号との間の偏
差を演算する偏差演算部と、該偏差演算部にて演算した
偏差に基づいて前記開度の変更量を演算する開度演算部
と、前記周波数検知部から入力した周波数で信号を発振
する発振器と、前記周期性レベル変動を相殺するような
位相および振幅を演算する位相・振幅演算部と、前記発
振器が発振して前記位相・振幅演算部が演算した位相お
よび振幅を有する信号を前記開度演算部にて演算した開
度の変更量に加算して開度の変更量を補正する加算器と
を備えることを特徴とする。
【0017】請求項6に係る発明の連続鋳造機の湯面レ
ベル制御装置は、請求項4又は請求項5に記載の連続鋳
造機の湯面レベル制御装置において、前記信号の位相お
よび振幅を演算する位相・振幅演算部は、検出された湯
面レベルと前記開度の変更量とを入力とし、該湯面レベ
ルの値と開度の変更量の値とを変量とする位相面軌道の
形状の真円度が向上するように、しかも該位相面軌道に
囲まれる面積が減少するように、前記位相および振幅を
決定する構成としてあることを特徴とする。
【0018】請求項1及び請求項4に係る発明において
は、スライディングゲート等の開度の変更量を演算した
結果に、周期性レベル変動と同じ周波数で振動する信号
を加算することにより、周期性レベル変動を抑制する。
湯面レベルは、前記開度の積分として現れるため、周期
性レベル変動に対して単純にフィードバック制御を行っ
て前記開度を変更した場合には、周期性レベル変動を完
全に相殺できない。しかし、フィードバック制御を行っ
た場合の前記開度の変更量の位相を90°進める補償を
行って前記開度を変更した場合には、周期性レベル変動
に逆位相の湯面レベル変動が重なる。そこで、位相の補
償を行った信号の振幅を適当に調整して前記開度の変更
量とするとき、周期性レベル変動を相殺することができ
る。故に、周期性レベル変動と同じ周波数を持ち、前記
の条件を満たすように位相および振幅を調整した信号
を、演算した開度の変更量に補正値として加算する場合
に、周期性レベル変動が効果的に抑制される。また、周
期性レベル変動の成分が複数存在する場合でも、夫々の
成分に対応して周波数、位相および振幅を調整した複数
の信号を加算することで、複数種類の周期性レベル変動
を抑制することができる。さらに、必要とする演算は、
周期性レベル変動の周波数の解析並びに前記信号の位相
および振幅の調整のみであるので、従来の湯面レベル制
御方法に比べて演算量を可及的に少なくすることができ
る。
【0019】請求項2及び請求項5に係る発明において
は、ノッチフィルタを用いて検出レベルの信号に含まれ
る周期性レベル変動の成分を選択的に減衰させ、前記成
分が減衰した検出レベルの信号と目標レベルの信号との
偏差よりスライディングゲート等の開度の変更量の演算
を行う。検出レベルの信号中に周期性レベル変動の成分
が存在するとき、PID等による前記演算が不安定とな
り、湯面レベル変動が増幅することがある。そこで、ノ
ッチフィルタを用いて前記演算の入力に含まれる周期性
レベル変動の成分を減衰させ、前記演算を安定させる。
さらに、前述の如く、周期性レベル変動を相殺する信号
を、演算した開度の変更量に加算するので、周期性レベ
ル変動を含む湯面レベル変動を効果的かつ安定的に抑制
することができる。
【0020】請求項3及び請求項6に係る発明において
は、周期性レベル変動と同じ周波数で発振して周期性レ
ベル変動を相殺する信号の位相と振幅とを調整する。検
出レベルとスライディングゲート等の開度の変更量との
関係を直交座標上にプロットすることにより得られる位
相面軌道を考えると、該位相面軌道の形状が円である場
合に、前記開度の変更量の位相の補償量は90°とな
る。故に、前記位相面軌道の形状の真円度が向上するよ
うに、しかも前記位相面軌道に囲まれる面積が減少する
ように、前記位相と振幅とを調整するとき、周期性レベ
ル変動が効果的に抑制される。この制御法は、周期性レ
ベル変動を防止する効果において、従来の複雑で規模の
大きい演算を要する制御方法に匹敵する能力を持つた
め、演算負荷の増大や装置の複雑化を招くことなく周期
性レベル変動を効果的に防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)以下本発明をそ
の実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、
連続鋳造機および本発明に係る湯面レベル制御装置の構
成を示すブロック図である。
【0022】図中1は上下に開口を有する筒型の鋳型で
あり、該鋳型1の上方には、溶湯2を貯留するタンディ
ッシュ20が配してある。該タンディッシュ20の底面
には、注湯ノズル3が連設され、前記鋳型1の内部にま
で延長されている。タンディッシュ20内の溶湯2は、
前記注湯ノズル3の基部に注湯量調整手段として構成さ
れたスライディングゲート30を経て鋳型1内に注湯さ
れ、該鋳型1の水冷された内壁との接触により冷却され
て外側から凝固し、凝固シェルにより外側を被覆された
鋳片4となって鋳型1の下方に連続的に引き抜かれる。
【0023】このような鋳片4の引き抜きは、鋳型1の
下方に所定の間隔毎に並設された複数対のガイドロール
5,5…により案内され、予め定めた鋳込み速度を保っ
て行われる。この引き抜きの間に前記鋳片4はさらに冷
却され、厚さ中心部まで凝固が完了した後に所定の寸法
に切断され、圧延等の後工程において用いられる鋳片4
となる。
【0024】鋳型1内の溶湯2の表面近くには湯面レベ
ル計6が設けてあり、溶湯2の湯面レベルを検出する。
また、目標レベル設定器7は、湯面レベルを保つべき目
標レベルを設定するものである。検出レベル及び目標レ
ベルは本発明に係る湯面レベル制御装置8に入力され、
湯面レベル制御装置8は、検出レベルを目標レベルに保
つべくスライディングゲート30の開度の変更量を演算
し、演算した開度の変更量に従って、スライディングゲ
ート30の開度を制御するアクチュエータ31を操作し
て鋳型1への注湯量を制御する。
【0025】図2は、本発明に係る湯面レベル制御装置
8の構成を示すブロック図である。湯面レベル制御装置
8は、FFT法等を用いて入力信号の周波数を検知する
周波数検知部80と、入力信号の特定周波数の成分を選
択的に減衰させるノッチフィルタ81と、入力された検
出レベルと目標レベルとの偏差を求める偏差演算部82
と、求めた偏差からPID制御法等によりスライディン
グゲート30の開度の変更量を求める開度演算部83
と、設定された周波数および位相で正弦波信号を発振す
る発振器84と、前記正弦波信号を増幅する増幅器85
と、増幅された正弦波信号と開度演算部83の演算結果
とを加算する加算器86と、発振器84が発振して増幅
器85が増幅する正弦波信号の位相および振幅を演算す
る位相・振幅演算部87とを備えて構成されている。
【0026】湯面レベル計6が検出した検出レベルは、
周波数検知部80、ノッチフィルタ81及び位相・振幅
演算部87へ入力され、目標レベル設定器7が設定した
目標レベルは、偏差演算部82へ入力される。周波数検
知部80は、検出レベルに含まれる周期性レベル変動の
周波数を検知し、検知した周波数の情報をノッチフィル
タ81及び発振器84へ入力し、ノッチフィルタ81の
遮断周波数および発振器84の発振周波数を決定させ
る。
【0027】ノッチフィルタ81は、回路定数を変化さ
せることにより遮断周波数が変更可能になされている。
周波数検知部80により検知された周期性レベル変動の
周波数を遮断周波数として設定され、湯面レベル計6か
ら入力された検出レベルの信号に含まれる周期性レベル
変動の成分を減衰させ、偏差演算部82へ入力する。偏
差演算部82は、ノッチフィルタ81から入力された検
出レベルと、目標レベル設定器7から入力された目標レ
ベルとの偏差を求めて開度演算部83へ入力する。開度
演算部83は、偏差演算部82から入力された偏差を解
消すべく、PID等の制御方法によりスライディングゲ
ート30の開度の変更量を演算し、加算器86へ入力す
る。
【0028】なお、本実施の形態では、ノッチフィルタ
を用いて周期性レベル変動の成分を減衰させる形態を示
したが、ノッチフィルタを用いずに、直接に検出レベル
から偏差を求める形態としても良い。この場合は、制御
に若干の不安定性が存在するが、周期性レベル変動を抑
制する目的は達せられる。
【0029】発振器84は、正弦波の数値テーブルを予
め記憶しており、数値テーブル上の値を周期的に出力し
て正弦波信号を発振する。出力する数値テーブルの値を
スキップする幅を変更することで発振周波数を変更し、
数値テーブル上の出力する値をシフトすることで発振の
位相を変更することができる。発振器84は、周波数検
知部80により検知した周期性レベル変動の周波数に発
振周波数を設定して正弦波信号を発振し、増幅器85へ
入力する。増幅器85は、発振器84が発振した正弦波
信号を増幅し、加算器86へ入力する。
【0030】位相・振幅演算部87は、湯面レベル計6
から入力された検出レベル及び加算器86の加算結果を
入力し、発振器84が発振する正弦波信号が周期性レベ
ル変動を相殺するように、後述する方法で前記正弦波信
号の位相および振幅を演算し、演算した位相の変更量の
値を発振器84へ、演算した振幅の値を増幅器85へ入
力する。発振器84は、入力された変更量の値だけ位相
を変化させて正弦波信号を発振する。増幅器85は、該
正弦波信号の振幅を入力された振幅にすべく、増幅のゲ
インを変更して前記正弦波信号を増幅し、加算器86へ
入力する。
【0031】加算器86は、増幅器85から入力された
正弦波信号を、開度演算部83から入力されたスライデ
ィングゲート30の開度の変更量に加算し、補正された
開度の変更量として、アクチュエータ31を操作する駆
動回路へと出力し、また、位相・振幅演算部87へ入力
する。
【0032】以下に、位相・振幅演算部87において、
前記位相および振幅を決定する方法を詳述する。
【0033】図3は、スライディングゲート30の開度
を変更することによって、周期性レベル変動を相殺する
最適条件を示す概念図である。図3(a)に示す如き周
期性レベル変動があった場合、単純なフィードバック制
御を行って前記開度を変更するときには、図3(b)に
破線で示したように、周期性レベル変動の逆位相で前記
開度が変更される。このとき、湯面レベルは前記開度の
積分として現れるため、図3(c)の破線に示す如き湯
面レベルの変動が現れ、図3(a)に示す周期性レベル
変動を相殺することができない。一方、図3(b)に実
線で示す如く、フィードバック制御による前記開度の変
更量の位相を90°進める補償を行う場合には、図3
(c)の実線に示す如く、図3(a)の周期性レベル変
動と逆位相の変動が重なり、周期性レベル変動が相殺さ
れる。
【0034】図4は、検出された周期性レベル変動の逆
位相信号をY成分、スライディングゲート30の開度の
変更量をX成分として夫々の時間変化をXY直交座標上
にプロットした位相面軌道を示す図である。この位相面
軌道は、一般的には図4(a)に示すように楕円形状と
なる。周期性レベル変動の逆位相信号と開度変更量との
位相がほぼ揃っている場合には、図4(b)に示すよう
にY=Xの直線に近くなり、周期性レベル変動の逆位相
信号に対する開度変更量の位相の進みが90°に近い場
合には、図4(c)に示すように原点を中心とする円に
近くなる。この楕円を描く位相面軌道の、Y=Xの直線
に沿った軸の長さをA、Y=−Xの直線に沿った軸の長
さをBとする。そして、周期性レベル変動の逆位相信号
に対する、開度変更量の位相の進みを、 A>Bのとき φ=Arcsin(B/A) A<Bのとき φ=180°−Arcsin(A/B) として考える。
【0035】また、位相面軌道上での前記開度の変更量
および検出レベルの変動の最大値をa及びbとすると、
周期性レベル変動の振幅d1 及びスライディングゲート
30の開度変更量の振幅d2 は d1 =2b d2 =2a となる。以上のように、位相面軌道の形状より、開度の
位相の進みφと、周期性レベル変動および開度変更量の
振幅d1 及びd2 を求める。
【0036】前述のように、単純なフィードバック制御
による開度の変更量の位相を90°進ませる補償を行
い、開度の変更量の振幅を適当に調整するとき、周期性
レベル変動が相殺される。また、フィードバック制御に
よる開度の変更量の信号は、周期性レベル変動と逆位相
の信号となる。従って、周期性レベル変動を抑制するた
めに、周期性レベル変動の逆位相信号に対する開度変更
量の位相の進みが90°に近く、しかも開度の変更によ
る注湯量の変化により周期性レベル変動の振幅が小さく
なるように、すなわち、前記の位相面軌道の形状の真円
度が向上するように、しかも該位相面軌道に囲まれる面
積が減少するように、開度の変更量の位相および振幅を
調整する。
【0037】図5は、位相・振幅演算部87における、
前記位相および振幅の演算の手順を示すフローチャート
である。位相・振幅演算部87に、検出レベル及びスラ
イディングゲート30の開度の変更量が入力され、ステ
ップS1にて前述の如き位相面軌道を演算する。ステッ
プS2にて位相の演算を行い、ステップS3にて振幅の
演算を行う。最後にステップS4にて、決定した位相の
変更量および振幅の値を発振器84及び増幅器85へ出
力する。
【0038】ステップS2における位相の演算の手順を
図6に示すフローチャートとともに説明する。まず最初
のステップS201において、周期性レベル変動の振幅
1 が予め定められた許容量(例えば6mm)未満か否
かの判定を行う。ステップS201においてYESの場
合、位相は適切に制御されているので、ステップS20
2へ進み、位相の変更量Δφを0として、位相の演算の
ステップS2を終了する。
【0039】ステップS201においてNOの場合、即
ち位相の制御が適切でない場合は、次のステップS20
3において、位相の進みφが予め定められた許容下限
(例えば80°)と90°との間にあるか否かの判定を
行う。ステップS203においてYESの場合、即ち振
幅が小さいが位相の進みφは90°に近く適切である場
合は、前述のステップS202へ進む。
【0040】ステップS203においてNOの場合、即
ち位相の進みφが適切な値でないと判断した場合は、ス
テップS204において、位相の進みφが前記許容下限
より小さいか否かの判定を行う。ステップS204にお
いてYESの場合は、位相の進みφが小さ過ぎる場合で
あり、次のステップS205へ進む。また、ステップS
204においてNOの場合は、位相の進みφが90°を
超えている場合であり、次のステップS206へ進む。
【0041】現在の位相の進みφが小さ過ぎる場合は、
ステップS205以降にて位相の進みφを大きくさせる
位相の変更量Δφの計算を行う。ステップS205にお
いて、位相の変更量△φを正の値として適宜設定し、ス
テップS207において位相(φ+Δφ)が90°を超
えるか否かを判定する。ステップS207においてYE
Sの場合は、位相(φ+Δφ)が90°を超えた場合で
あり、このままでは位相の変更量Δφが大きすぎるの
で、次のステップS208において位相の変更量Δφの
大きさを半分にし、ステップS209において位相の変
更量Δφの値を決定し、位相の演算のステップS2を終
了する。またステップS207においてNOの場合は、
位相の変化が適当な場合であり、元のΔφの値をそのま
ま使用して、ステップS209において位相の変更量Δ
φの値を決定して位相の演算のステップS2を終了す
る。
【0042】また、現在の位相の進みφが90°を超え
ている場合は、ステップS206以降にて位相の進みφ
を小さくさせる位相の変更量Δφの計算を行う。ステッ
プS206において、位相の変更量△φの値を負の値と
して適宜設定し、ステップS210において位相(φ+
Δφ)が前記許容下限より小さいか否かの判定を行う。
ステップS210においてYESの場合は、位相の進み
φを減少させすぎた場合であり、次のステップS208
において位相の変更量Δφの絶対値の大きさを半分に
し、ステップS209において位相の変更量Δφの値を
決定して、位相の演算のステップS2を終了する。ステ
ップS210においてNOの場合は、位相の変化が適当
な場合であり、元の位相の変更量Δφをそのまま使用
し、ステップS209において位相の変更量Δφの値を
決定して、位相の演算のステップS2を終了する。
【0043】次に、ステップS3における振幅の演算の
手順を図7に示すフローチャートとともに説明する。ま
ず最初のステップS301において、周期性レベル変動
の振幅d1 が予め定められた許容量(例えば6mm)未
満か否かの判定を行う。ステップS301においてYE
Sの場合、振幅は適切に制御されており、次のステップ
S302へ進み、現在の振幅d2 を出力すべき振幅Kと
して、次のステップS4へ進み、振幅の演算のステップ
S3を終了する。
【0044】ステップS301においてNOの場合は、
現在の制御が適切でない場合であり、次のステップS3
03において、現在の位相の進みφが予め定められた許
容下限(例えば30°)と90°との間にあるか否かの
判定を行う。ステップS303においてYESの場合
は、位相の進みφは適切であるが振幅が小さい場合であ
り、次のステップS304において、振幅修正の為の演
算に用いる適宜定められた振幅の変化量△Kを正の値と
して設定し、次のステップS305へ進む。
【0045】ステップS303においてNOの場合は、
次のステップS306において位相の進みφが前記許容
下限未満であるか否かの判定を行う。ステップS306
においてYESの場合は、振幅が大きすぎる場合であ
り、次のステップS307において、振幅修正の為の演
算に用いる適宜定められた振幅の変化量△Kを負の値と
して設定し、次のステップS305へ進む。ステップS
306においてNOの場合は、位相の進みφが大きすぎ
る場合であり、振幅は適当と見なしてステップS302
に進む。
【0046】ステップS305以降において振幅の修正
を行う。ステップS305においては、カウント用の自
然数nを1に初期化し、最初の振幅K0 をK0 =d2
する。次にステップS308において、現在の振幅にお
ける湯面レベル変動ΔL(t)を観測し、ある時間t0
からT秒間における湯面レベル変動ΔL(t)の二乗積
分を数1の如く計算する。
【0047】
【数1】
【0048】次にステップS309において、新しい振
幅Kn を、前記ΔKを用いてKn =Kn-1 +ΔKと設定
し、ステップS310において、新しい振幅Kn を用い
た制御の結果の湯面レベル変動ΔL(t)を観測し、あ
る時間tn からT秒間における湯面レベル変動ΔL
(t)の二乗積分を数2の如く計算する。
【0049】
【数2】
【0050】次のステップS311においてqn-1 >q
n か否かの判定を行う。ステップS311においてYE
Sの場合は、Kの変化がレベル変動を減少させる方向に
働いた場合であり、この方向にさらにKを変化させるた
めに、ステップS312において、新しいΔKをΔK=
(1/2)ΔKと設定し、次のステップS313へ進
む。
【0051】ステップS311においてNOの場合は、
Kの変化がレベル変動を増大させる方向に働いた場合で
あり、逆方向へKを変化させるために、ステップS31
4において、新しいΔKをΔK=−(1/2)ΔKと符
号を変えて設定し、次のステップS313へ進む。
【0052】ステップS313においては、現在のΔK
の絶対値が適宜定められた微小量ε未満であるか否かの
判定を行い、YESである場合には、ステップS315
において出力すべき振幅KをK=Kn として、次のステ
ップS4へ進み、振幅決定のステップS3を終了する。
また、ステップS313においてNOの場合は、ステッ
プS316においてnに1を加え、ステップS309に
戻って新しい振幅Knを設定する。
【0053】以上の如くにして、開度変更量の位相の変
更量Δφ及び正弦波信号の振幅Kを決定し、ステップS
4にて、位相の変更量Δφ及び振幅Kの値を発振器84
及び増幅器85へ入力する。発振器84は、入力された
位相の変更量Δφが正の値である場合は、位相の変更量
Δφだけ現在の発振位相から位相を進め、入力された位
相の変更量Δφが負の値である場合は、位相の変更量Δ
φの絶対値の大きさだけ現在の発振位相から位相を遅ら
せ、位相が補償された正弦波信号を発振する。そして増
幅器85は、発振器84の発振する正弦波信号の振幅を
入力された振幅Kにすべく増幅のゲインを設定し、前記
正弦波信号を増幅して加算器86へ入力する。
【0054】なお、本実施の形態においては、発振器が
位相を調整しつつ正弦波信号を発振して増幅器が増幅す
るという形態を示したが、発振器が位相および振幅を調
整しつつ正弦波信号を発振するという形態、又は、発振
器が正弦波信号を発振し、位相制御器が位相をシフトさ
せ、増幅器が増幅するという形態を用いても構わない。
【0055】以上、詳述した如く、本発明に係る湯面レ
ベル制御装置8において、周波数、位相および振幅を調
整した正弦波信号によりスライディングゲート30の開
度を制御し、周期性レベル変動を抑制する。
【0056】本発明による制御方法を用いて、湯面レベ
ル制御のシミュレーションを行った。図8は、従来技術
のPI制御と本発明による制御とを比較したシミュレー
ション結果を示すグラフである。図8(a)に示す如く
周期性レベル変動を引き起こす周期性外乱の大きさを時
間的に変化させ、従来技術のPI制御のみを用いて制御
を行った場合の湯面レベルの変化を図8(b)に示し、
本発明による制御を行った場合の湯面レベルの変化を図
8(c)に示す。従来技術のPI制御のみを用いて制御
を行った場合は、周期性外乱の大きさが増大するに従っ
て湯面レベル変動の振幅も増大し、周期性レベル変動を
抑制することができない。本発明による制御を行った場
合は、外乱が増大を始めた瞬間は湯面レベル変動の振幅
が増大するが、すぐにその変動は抑制され、湯面レベル
変動の振幅は元に戻る。
【0057】以上のように、本発明による制御を行った
場合、連続鋳造機の操業中に周期性レベル変動が発生し
ても迅速かつ効果的に抑制されるため、湯面レベルは安
定し、安定した操業を行うことができる。
【0058】(実施の形態2)前述したように、周期性
レベル変動の主な原因は非定常バルジングであり、複数
のガイドロール5、5…の間隔および鋳片4の引き抜き
速度により、周期性レベル変動の周期が決定される。一
般に、複数のガイドロール5、5…の間隔は全て同一で
はなく、鋳型1に近い部分ではロール間隔が小さく、鋳
型1に遠い部分ではロール間隔が大きくなっており、1
機の連続鋳造機におけるロール間隔は2種類以上存在す
る。従って、非定常バルジングに起因する周期性レベル
変動には、複数の周波数成分が含まれる場合がある。
【0059】図9は、周期性レベル変動の成分が2種類
存在する場合に、それに対応する湯面レベル制御装置8
の内部の構成を示したブロック図である。本実施の形態
においては、偏差演算部82の前にノッチフィルタ81
A及び81Bが直列に接続されており、また、周期性レ
ベル変動を相殺する正弦波信号を発生するための、直列
に接続された発振器84A及び増幅器85Aの組と、直
列に接続された発振器84B及び増幅器85Bの組とが
並列に接続されている。周波数検知部80は、周期性レ
ベル変動の2種類の周波数fA及びfBを検知し、fA
の値をノッチフィルタ81A及び発振器84Aへ入力
し、fBの値をノッチフィルタ81B及び発振器84B
へ入力する。ノッチフィルタ81A及び81Bは、夫々
の遮断周波数が周期性レベル変動の2種類の周波数fA
及びfBに一致させられ、夫々の周波数成分を減衰させ
た検出レベルの信号を偏差演算部82へ入力する。位相
・振幅演算部87は、湯面レベル計6から入力された検
出レベル及び加算器86の加算結果を入力とし、周期性
レベル変動の2種類の周波数fA及びfBの夫々の成分
を相殺する正弦波信号のための、位相の変更量ΔφA及
びΔφB並びに振幅KA及びKBの値を演算し、発振器
84A及び84B並びに増幅器85A及び85Bへ入力
する。このとき位相・振幅演算部87は、図5のフロー
チャートに示すステップS2及びS3における位相及び
振幅の演算を、周波数fAの成分について行って位相の
変更量ΔφA及び振幅KAの値を演算し、さらに前記位
相及び振幅の演算を周波数fBの成分について行って位
相の変更量ΔφB及びに振幅KBの値を演算する。ステ
ップS2及びS3における位相及び振幅の演算の手順
は、図6及び図7のフローチャートに示した手順と同様
であり、その説明を省略する。発振器84Aは、位相の
変更量ΔφAだけ位相を進めつつ周波数fAにて正弦波
信号を発振し、増幅器85Aは、前記正弦波信号の振幅
をKAに増幅して加算器86へ入力する。発振器84B
は、位相の変更量ΔφBだけ位相を進めつつ周波数fB
にて正弦波信号を発振し、増幅器85Bは、前記正弦波
信号の振幅をKBに増幅して加算器86へ入力する。他
の部分の構成は図2に示す実施の形態1の構成と同様で
あり、対応する部分に同一の符号を付してその説明を省
略する。湯面レベル制御装置8は、出力信号によりスラ
イディングゲートの開度を制御して、湯面レベルを制御
する。
【0060】以上の如く湯面レベル制御装置8を構成す
ることによって、周期性レベル変動の成分が複数存在し
た場合でも、それに対応して周期性レベル変動を効果的
に抑制することができる。なお、図9には、周期性レベ
ル変動の成分が2種類存在した場合にそれに対応する形
態を示したが、2種類以上の複数の成分が存在した場合
でも、直列に接続されたノッチフィルタ数と、直列に接
続された発振器及び増幅器の組を並列に接続した数と
を、周期性レベル変動の成分の数に対応して増加させ
て、全ての種類の周期性レベル変動を効果的に抑制する
ことが可能である。
【0061】また、本実施の形態では、周期性レベル変
動の成分の数に対応してノッチフィルタを増設する形態
を示したが、遮断周波数の帯域が広いフィルタを用い、
遮断周波数の帯域に周期性レベル変動の周波数が含まれ
るように調整する形態としても構わない。
【0062】本実施の形態を高速の連続鋳造機の湯面レ
ベル制御に適用し、従来技術のPID制御による制御結
果と比較した。図10のグラフに鋳造機の鋳片引き抜き
速度Vcを時間的に変化させた場合のPID制御による
制御結果を示し、図11のグラフに本発明による制御結
果を示す。PID制御による制御の場合は、図10
(a)に示す如く鋳片引き抜き速度Vcを変化させたと
き、図10(b)に示す如く、Vcが増大するに従って
湯面レベル変動の振幅が増大し、Vcが4(m/分)に
達した時に2種類の周波数成分を持つレベル変動が発生
した。2成分の周期性レベル変動が発生した場合、図1
0(b)に示す如くうなりが生じ、そのうなりの腹の部
分でレベル変動振幅が更に増大する。本発明による制御
の場合は、図11(a)に示す如くVcを変化させた場
合においても、図11(b)に示す如く湯面レベル変動
の振幅には特筆すべき変化はなく、Vcが5(m/分)
に達した場合においても湯面レベルは安定していた。
【0063】図12は、PID制御および本発明による
制御方法によって制御された湯面レベル変動の周波数解
析結果を示すグラフである。変動周波数が0.1、0.
3及び0.4Hzの付近に合計3つのピークが存在す
る。このうち、0.1Hzの付近のピークはロールの偏
心に起因する湯面レベル変動であり、0.3及び0.4
Hz付近のピークは非定常バルジングに起因する変動で
ある。図12に破線で示した如く、PID制御による制
御例では、0.3及び0.4Hz付近の変動振幅が3m
mに達しており、うなりの腹の部分では6mmに達する
ことになる。一方、図12に実線で示した如く、本発明
による制御例ではどの周波数領域においても際だったレ
ベル変動は発生しなかった。以上のように、本発明によ
る制御によって、複数の周波数成分を持つ周期性レベル
変動を効果的に抑制し得ることが実証された。
【0064】次に、本発明による制御の結果を、従来よ
り提案されている外乱オブザーバで周期性外乱を予測し
て相殺する制御の結果と比較した。図13は、PID制
御による制御、外乱オブザーバを用いる制御、及び本発
明による制御の結果をそれぞれ示すグラフである。図1
3に示す如く、外乱オブザーバを用いた制御方法による
制御結果に対して、本発明による周期性レベル変動の抑
制効果は遜色がない。以上のように、本発明による湯面
レベル制御装置は、高価で演算負荷の大きい制御装置に
匹敵する制御能力を有することが実証された。
【0065】
【発明の効果】請求項1に係る湯面レベル制御方法及び
請求項4に係る湯面レベル制御装置においては、周期性
レベル変動を相殺するように周波数、位相および振幅を
調整した正弦波信号を生成し、検出レベルと目標レベル
との偏差より演算したスライディングゲート等の開度の
変更量に補正値として加算することとしたため、連続鋳
造機の操業中に発生する周期性レベル変動を効果的に抑
制することができる。
【0066】請求項2に係る湯面レベル制御方法及び請
求項5に係る湯面レベル制御装置においては、ノッチフ
ィルタを用いて周期性レベル変動の周波数成分を選択的
に減衰した検出レベルと目標レベルとの偏差を求め、求
めた偏差を用いて前記開度の変更量の演算を行うことと
したため、連続鋳造機の操業中において、周期性レベル
変動を含むレベル変動を効果的かつ安定的に抑制するこ
とができ、レベル変動に起因する鋳片の欠陥の発生を防
止し、安定した操業を行うことが可能となる。
【0067】請求項3に係る湯面レベル制御方法及び請
求項6に係る湯面レベル制御装置においては、周期性レ
ベル変動を相殺する正弦波信号の位相および振幅を位相
・振幅演算部において調整する際に、検出した周期性レ
ベル変動の逆位相信号と前記開度の変更量との関係を示
す位相面軌道の形状の真円度が向上するように、しかも
該位相面軌道に囲まれる面積が減少するように前記位相
および振幅を調整することとしたため、前記開度の変更
量の位相が周期性レベル変動に対して90°ずれ、従来
の複雑で規模の大きい演算を要する制御方法に匹敵する
効果で周期性レベル変動を抑制することができ、安価な
制御器を使用した簡単な演算を用いて、周期性レベル変
動を効果的に防止し、安定した連続鋳造機の操業を行う
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続鋳造機および本発明に係る湯面レベル制御
装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る湯面レベル制御装置の構成を示す
ブロック図である。
【図3】スライディングゲートの開度を変更して周期性
レベル変動を相殺する最適条件を示す概念図である。
【図4】周期性レベル変動の逆位相信号をY成分、スラ
イディングゲートの開度の変更量をX成分として夫々の
時間変化をXY直行座標上にプロットした、位相面軌道
を示す図である。
【図5】位相・振幅演算部における、位相および振幅の
演算の手順を示すフローチャートである。
【図6】位相の演算の手順を示すフローチャートであ
る。
【図7】振幅の演算の手順を示すフローチャートであ
る。
【図8】従来技術のPI制御と本発明による制御とを比
較したシミュレーション結果を示すグラフである。
【図9】周期性レベル変動の成分が2種類存在する場合
に対応する湯面レベル制御装置の構成を示すブロック図
である。
【図10】従来技術のPID制御による制御結果を示す
グラフである。
【図11】本発明による制御結果を示すグラフである。
【図12】PID制御および本発明による制御方法によ
って制御された湯面レベル変動の周波数解析結果を示す
グラフである。
【図13】PID制御による制御、外乱オブザーバを用
いる制御、及び本発明による制御の結果を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 鋳型 2 溶湯 20 タンディッシュ 3 注湯ノズル 30 スライディングゲート 31 アクチュエータ 4 鋳片 5 ガイドロール 6 湯面レベル計 7 目標レベル設定器 8 湯面レベル制御装置 80 周波数検知部 81 ノッチフィルタ 82 偏差演算部 83 開度演算部 84 発振器 85 増幅器 86 加算器 87 位相・振幅演算部
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/18 B22D 11/16 104 G05B 11/36 501 G05B 13/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造機の鋳型内の湯面レベルを検出
    し、検出した湯面レベルと予め定めた目標レベルとの偏
    差を求め、求めた偏差により溶湯の前記鋳型への入口の
    開度の変更量を演算し、演算した変更量に従って前記開
    度を変更し、前記湯面レベルを前記目標レベルに保つべ
    く制御する連続鋳造機の湯面レベル制御方法において、 検出した湯面レベルの信号に含まれる周期性レベル変動
    の周波数を検知し、周期性レベル変動を相殺するような
    位相及び振幅を有する、検知した周波数と同じ周波数の
    信号を生成し、生成した信号を前記演算した変更量に加
    算して変更量を補正し、補正した変更量に従って前記開
    度を変更することを特徴とする連続鋳造機の湯面レベル
    制御方法。
  2. 【請求項2】 連続鋳造機の鋳型内の湯面レベルを検出
    し、検出した湯面レベルと予め定めた目標レベルとの偏
    差を求め、求めた偏差により溶湯の前記鋳型への入口の
    開度の変更量を演算し、演算した変更量に従って前記開
    度を変更し、前記湯面レベルを前記目標レベルに保つべ
    く制御する連続鋳造機の湯面レベル制御方法において、 検出した湯面レベルの信号に含まれる周期性レベル変動
    の周波数を検知し、検知した周波数の成分を減衰させ、
    該成分が減衰した湯面レベルの信号と目標レベルの信号
    との偏差より前記変更量の演算を行い、また、周期性レ
    ベル変動を相殺するような位相及び振幅を有する、検知
    した周波数と同じ周波数の信号を生成し、生成した信号
    を前記演算の結果に加算して変更量を補正し、補正した
    変更量に従って前記開度を変更することを特徴とする連
    続鋳造機の湯面レベル制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造
    機の湯面レベル制御方法において、検出した湯面レベル
    の値と補正された開度の変更量の値とを変量とする位相
    面軌道の形状の真円度が向上するように、しかも該位相
    面軌道に囲まれる面積が減少するように、前記信号の位
    相および振幅を調整することを特徴とする連続鋳造機の
    湯面レベル制御方法。
  4. 【請求項4】 連続鋳造機の鋳型内の湯面レベルを検出
    し、検出した湯面レベルと予め定めた目標レベルとの偏
    差を求め、求めた偏差により溶湯の前記鋳型への入口の
    開度の変更量を演算し、演算した変更量に従って前記開
    度を変更し、前記湯面レベルを前記目標レベルに保つべ
    く制御する連続鋳造機の湯面レベル制御装置において、検出した 湯面レベルの信号に含まれる周期性レベル変動
    の周波数を検知する周波数検知部と、該周波数検知部に
    て検知した周波数で信号を発振する発振器と、前記周期
    性レベル変動を相殺するような位相および振幅を演算す
    る位相・振幅演算部と、前記発振器が発振して前記位相
    ・振幅演算部が演算した位相および振幅を有する信号を
    前記演算した変更量に加算して開度の変更量を補正する
    加算器とを備えることを特徴とする連続鋳造機の湯面レ
    ベル制御装置。
  5. 【請求項5】 連続鋳造機の鋳型内の湯面レベルを検出
    し、検出した湯面レベルと予め定めた目標レベルとの偏
    差を求め、求めた偏差により溶湯の前記鋳型への入口の
    開度の変更量を演算し、演算した変更量に従って前記開
    度を変更し、前記湯面レベルを前記目標レベルに保つべ
    く制御する連続鋳造機の湯面レベル制御装置において、検出した 湯面レベルの信号に含まれる周期性レベル変動
    の周波数を検知する周波数検知部と、該周波数検知部が
    検知した周波数を遮断周波数に設定するノッチフィルタ
    と、該ノッチフィルタにより前記周波数の成分が減衰し
    た湯面レベルの信号と目標レベルの信号との間の偏差を
    演算する偏差演算部と、該偏差演算部にて演算した偏差
    に基づいて前記開度の変更量を演算する開度演算部と、
    前記周波数検知部から入力した周波数で信号を発振する
    発振器と、前記周期性レベル変動を相殺するような位相
    および振幅を演算する位相・振幅演算部と、前記発振器
    が発振して前記位相・振幅演算部が演算した位相および
    振幅を有する信号を前記開度演算部にて演算した開度の
    変更量に加算して開度の変更量を補正する加算器とを備
    えることを特徴とする連続鋳造機の湯面レベル制御装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項4又は請求項5に記載の連続鋳造
    機の湯面レベル制御装置において、前記信号の位相およ
    び振幅を演算する位相・振幅演算部は、検出された湯面
    レベルと前記開度の変更量とを入力とし、該湯面レベル
    の値と開度の変更量の値とを変量とする位相面軌道の形
    状の真円度が向上するように、しかも該位相面軌道に囲
    まれる面積が減少するように、前記位相および振幅を決
    定する構成としてあることを特徴とする連続鋳造機の湯
    面レベル制御装置。
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