JP3493706B2 - クロマトグラフィー用吸着担体 - Google Patents

クロマトグラフィー用吸着担体

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JP3493706B2
JP3493706B2 JP01865894A JP1865894A JP3493706B2 JP 3493706 B2 JP3493706 B2 JP 3493706B2 JP 01865894 A JP01865894 A JP 01865894A JP 1865894 A JP1865894 A JP 1865894A JP 3493706 B2 JP3493706 B2 JP 3493706B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なクロマトグラフ
ィー用吸着担体に関し、更に詳しくは不斉識別能を有す
るクロマトグラフィー用吸着担体に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロデキストリン(以下、「CD」と
いう。)はD−グルコピラノシドがα−1,4−グルコ
シド結合してなる円筒状の環状化合物であり、環状化合
物の円筒の外側は水酸基が多く親水性を有するが、円筒
の内側は疎水性を有する。このCDは円筒の内側が疎水
性のため、フェニル基やナフチル基のような疎水性基を
有する様々な有機化合物が包接されるホスト化合物とし
て知られている。また、CDはD−グルコピラノシド1
分子当たり5個の光学活性な炭素を有することから、不
斉識別能を有する化合物としても知られている。
【0003】近年、光学活性化合物の分離精製の重要性
が増し、CDが有する不斉識別能をこれに利用しようと
する傾向が強まってきた。例えば、米国特許4,53
9,399号公報によればクロマトグラフィー用吸着担
体として、エポキシ基、またはビニル基などを有するシ
リカゲルにCDを固定化させてなる吸着担体を使用し
て、光学活性化合物を分離精製する方法が知られてい
る。また、特開平2−228558号公報には、カルボ
ニルイミダゾール基を有する合成高分子等にCDを固定
化させてなる吸着担体を使用した方法、特開平4−23
0852号公報には、アミノ基を有するシリカゲルにク
ロロ炭酸エステルで活性化したCDを固定化させてなる
吸着担体を使用した方法が例示されている。
【0004】しかし、これらの方法では、CDの固定化
量が低いため分離能が不十分で、しかも支持体にシリカ
ゲルを用いていたり、CDと支持体とがカーボネート結
合やカーバメート結合で固定化されていたりするため、
アルカリ性条件下では使用できず、分離条件や溶出・洗
浄の条件に大きな制約が加わるという問題点があった。
これらの問題点を解決すべく、特開平4−106101
号公報や特開平4−25503号公報は、CDあるいは
その誘導体を二官能性の架橋剤と反応させたり、CDに
ビニル基やアクリル基などを導入してモノマーとし、そ
れを重合させたりしてCDの固定化量の高い吸着担体を
得ている。しかし、それらの方法で得られた吸着担体
は、機械的強度が低いため流動性が悪く耐久性に乏し
い、製造が煩雑で実用的ではない等の問題点を有するほ
か、重合を行うことによりCDの不斉識別能が低下する
ため、クロマトグラフィー用吸着担体として利用できな
かった。
【0005】一方、CDの持つ不斉識別能を更に向上さ
せることを目的として、特開昭64−53152号公報
には、CDにアミノ酸を導入した化学修飾CDを支持体
に固定化させてなる吸着担体を使用した方法が例示され
ている。しかし、この方法では、固定化量が低いことや
不斉識別能が大きく向上していないことなどのため分離
能が不十分で、しかもCD修飾体を得るのが煩雑なため
実用的ではない。また、アナリティカル・ケミストリィ
(Anal.Chem.)、1990、[62]、P.
1610にはCDの水酸基が、−O−CO−NH−P
h、−O−CO−CH3 などの構造式で示されるものに
置換された化学修飾CDがシリカゲルに固定化された吸
着担体を使用した方法が例示されている。しかし、この
方法は、吸着担体を得るのは前者に比べ容易ではある
が、分離能は前者と同様な理由から不十分で、しかも、
支持体にシリカゲルを用いているためアルカリ性条件下
では使用できないという問題点は残されたままである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、不斉
識別能に優れ、かつ吸着担体の製造が簡便で再現性、耐
久性に優れたクロマトグラフィー用吸着担体を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、CDの水酸基の酸
素に、カルボキシル基を有する炭化水素基を直接または
カルボニル基を介して結合したCD誘導体(以下、「カ
ルボキシル基を有するCD誘導体」と略記する。)を、
水に不溶性の支持体に固定化させてなることを特徴とす
るクロマトグラフィー用吸着担体に関する。以下、本発
明のクロマトグラフィー用吸着担体について詳しく説明
する。
【0008】本発明において使用されるCDとしては、
例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリ
ン、γ−シクロデキストリン、δ−シクロデキストリ
ン、またはそれらα−、β−、γ−、δ−シクロデキス
トリンのヒドロキシアルキル化体、グリコシル化体など
のように水酸基を有する置換基で修飾されたものの他、
メチル化シクロデキストリン、アシル化シクロデキスト
リンであっても水酸基を1個以上有しているCDであれ
ば良く、またこれらの混合物やこれらの重合体であって
も良い。これらのCDは、分離対象とする光学異性体の
種類によって不斉識別能が異なるため、適宜選択して用
いるのが好ましく、例えばイブプロフェンなどフェニル
プロピオン酸系の抗炎症薬の分離にはβ−シクロデキス
トリン、フェニルアラニンなどの芳香族アミノ酸の分離
にはα−シクロデキストリンを用いることが好ましい。
【0009】これらのCDを得るに際しては、公知の方
法(テトラヘドロン(Tetra−hedron)、1
983、[39]、P.1417参照)、または市販品
であるα−、β−、またはγ−シクロデキストリン(メ
ルシャン製)、ヒドロキシエチル−β−シクロデキスト
リン(Aldrich製)などにより得られる。具体的
には、例えばヒドロキシプロピル−β−シクロデキスト
リンを得るに際しては、β−シクロデキストリンとクロ
ロプロピルアルコールとをアルカリ存在下で加熱するこ
とにより得られる。また、メチル−β−シクロデキスト
リンを得るに際しては、β−シクロデキストリンと水素
化ナトリウムとをジメチルスルホキシド中で加熱し、さ
らにヨウ化メチルを反応させることにより得られる。
【0010】また、本発明に用いられるカルボキシル基
を有するCD誘導体はCDの水酸基の酸素にカルボキシ
ル基を置換基として有する炭化水素基を直接またはカル
ボニル基を介して結合させてなるものである。該カルボ
キシル基を有する炭化水素基は、−R−COOH(Rは
直鎖または分岐状の飽和または不飽和あるいは脂環式ま
たは芳香族系の2価炭化水素基を表す。)で示される。
例えば、Rは、−CH2 −,−CH2 CH2 −,−CH
2 CH2 CH2 −,−CH2 CH(CH3 )−,−(C
24 −,−CH2 CH(CH2 CH3 )−,−(C
25 −,−(CH26 −,CH2 CH2 CH(C
2 CH3 )CH2 −、−(CH28−,−CH(C
3 )−(CH26 −,−(CH210−,−(CH
211−,−(CH212−,−(CH214−,−
(CH216−,−(CH214CH(CH3 )−,−
(CH217−,−(CH218−,−(CH2
19−,−CH(CH2 CH2 CH3 )−CH2 −CH
(CH3 )−(CH23 −、−CH=CH−,−CH
2 CH=CH−,−CH=CH−CH2 −,CH=CH
−CH=CH−,−(CH24 CH=CH−,CH2
CH=C(CH3 )−などの炭素数1〜19の直鎖また
は分岐状の飽和または不飽和の2価炭化水素基が挙げら
れ、−CH2 −cycC610−1,2−イル,−CH
2 −cycC610−1,3−イル,−CH2 −cyc
610−1,4−イル,−CH2 CH2 −cycC6
10−1,2−イル,−CH2 CH2 −cycC610
−1,3−イル,−CH2 CH2 −cycC610
1,4−イル,−CH2 −cycC712−1,3−イ
ル,CH2 cycC712−1,4−イル,−CH2
フェニレン−1、2−イル,−CH2 −フェニレン−
1、3−イル,−CH2 −フェニレン−1、4−イル,
フェニレン−1,2−イル,フェニレン−1,3−イ
ル,フェニレン−1,4−イルなどの炭素数6〜19の
脂環式または芳香族系の2価炭化水素基が挙げられる。
【0011】本発明で用いられるカルボキシル基を有す
るCD誘導体の好適な例としては、CD誘導体の水素が
次の基で置換された化合物を挙げることができる。 −CH2COOH,−(CH22COOH,−(CH2
3COOH,−(CH24COOH,−(CH25CO
OH,−CH(CH3)COOH,−C(O)CH2CO
OH,−C(O)−(CH22 −COOH,−C
(O)−(CH23−COOH,−C(O)−(C
24−COOH,−C(O)−(CH25−COO
H,−C(O)−CH(CH3)COOH,−C(O)
−CH=CH−COOH,
【化2】
【0012】これらを得るに際しては、公知の方法(ス
ターチ(Starch)、1971、[23]、P.1
67参照)などにより得ることができる。具体的には、
例えばカルボキシメチル−β−シクロデキストリンを得
るに際しては、β−シクロデキストリンとクロロ酢酸と
をアルカリ存在下で加熱して得られる。さらに、カルボ
キシプロピオニル−β−シクロデキストリンを得るに際
しては、β−シクロデキストリンと無水コハク酸または
コハク酸塩化物とをジメチルスルホキシド−ピリジン混
合液中で反応させて得られる。
【0013】これらカルボキシル基を有するCD誘導体
の、CD1分子当たりのカルボキシル基の量(以下、
「置換度」という。)は、分離対象とする光学異性体の
種類によって好ましい置換度は異なるが、1以上であれ
ば特に制限はなく、また、使用されるカルボキシル基を
有するCD誘導体は、置換度の異なるCDの混合物(混
合物の置換度を平均したものを平均置換度という)でも
良い。これらカルボキシル基を有するCD誘導体の置換
度、あるいは平均置換度は、上記の反応におけるカルボ
ン酸の量を変えることにより調節できる。例えば、前記
カルボキシメチル−β−シクロデキストリンについて
は、CD1モル当たりクロロ酢酸18モルを反応させる
と平均置換度6〜10のカルボキシメチル−β−シクロ
デキストリンが得られ、また、CD1モル当たりクロロ
酢酸7モルを反応させると平均置換度2〜6のカルボキ
シメチル−β−シクロデキストリンが得られる。
【0014】本発明における水に不溶性の支持体とは、
カルボキシル基と結合可能な官能基を有するもの、また
は導入可能なものであれば特に制限はなく、アガロー
ス、デキストラン、セルロースなどの多糖体およびポリ
アクリルアミドのような所謂ソフトビーズ、ポリスチレ
ン、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコールおよび
これらの共重合物のような硬質の合成高分子ビーズ、あ
るいはアルミナ、チタニアのような無機の硬質ビーズな
どの耐アルカリ性を有するものが望ましい。また、アル
カリ性条件下で吸着担体を使用しなければ、シリカゲル
のようなアルカリに不安定な支持体を使用することもで
きる。ビーズの粒径、形状および細孔の有無とその孔径
は特に制限はないが、通常1〜3000μm、好ましく
は2〜300μmが適当であり、ビーズの形状は多孔性
球状が好ましい。これらの支持体は、得られた担体の用
途により適宜選択して使用するのが好ましく、例えば高
速液体クロマトグラフィー用吸着担体に使用するには、
ポリメタクリレート系などの硬質の合成高分子ビーズや
シリカゲルなどの無機の硬質ビーズが好ましい。
【0015】上記の、水に不溶性の支持体が有する官能
基であってカルボキシル基と結合可能な官能基として
は、アミノ基、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、
アルキニル基、アルケニル基などを例示することができ
るが、カルボキシル基を有するCD誘導体を、多量かつ
簡便に支持体に固定化できるアミノ基やエポキシ基を有
する支持体が特に好ましい。これらの官能基を支持体に
導入するに際しては、公知の方法で適当な溶媒の存在下
で容易に行うことができる。具体的には、例えばエポキ
シ基を導入したエポキシ変性支持体は、エピクロロヒド
リンのようなエピハロヒドリン類、1,4−ブタンジオ
ールジグリシジルエーテルのようなジグリシジルエーテ
ル類、1,7−オクタジエンジエポキシドのようなジエ
ポキシド類等をアルカリ条件下で水酸基を有する支持体
と反応させることにより速やかに得ることができる。
【0016】また、得られたエポキシ変性支持体は、ア
ンモニア、ヒドラジン、あるいはメチルアミンのような
アミノアルカン類、1,3−プロパンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミンのようなジアミノアルカン類、ポリア
スパラギン、ポリグルタミンのような塩基性ポリアミノ
酸類、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミンのような
ポリアミン類等を反応させることによりアミノ基を有す
るアミノ変性支持体を得ることができる。アミノ変性支
持体は、上記のエポキシ変性支持体のかわりに、グリシ
ジルメタクリレートとそれと共重合し得るビニルモノマ
ーから成るエポキシ基含有共重合体を用いても同様にし
て得ることができる。また、アミノ変性支持体は、無水
コハク酸のような酸無水物、あるいは無水マレイン酸と
それと共重合し得るビニルモノマーから成る無水マレイ
ン酸共重合体と反応させることによりカルボキシ変性支
持体とすることもできる。本共重合体中にエチレンジア
ミンなどのジアミン類を反応させることで上記のアミノ
変性支持体を得ることもできる。
【0017】これらの官能基を有する支持体に、カルボ
キシル基を有するCD誘導体を固定化させることにより
本発明のクロマトグラフィー用吸着担体が得られる。
【0018】本発明の、カルボキシル基を有するCD誘
導体を、支持体に固定化するに際しては、支持体の前記
官能基部分とカルボキシル基を有するCD誘導体のカル
ボキシル基部分とを結合する。支持体自体とカルボキシ
ル基を有するCD誘導体との間の長さとしては、特に制
限はないが、原子数0〜100、好ましくは原子数0〜
10が望ましい。本発明は、CDの水酸基の酸素に、カ
ルボキシル基を有する炭化水素基を直接またはカルボニ
ル基を介して結合させたCD誘導体を、水に不溶性の支
持体に固定化させてなることを特徴とするクロマトグラ
フィー用吸着担体にあるので、カルボキシル基を導入し
たCD誘導体と支持体との結合方法については特に限定
されるものではないが、カルボキシル基を有するCD誘
導体および支持体の官能基に応じて必要であれば、適宜
触媒や反応剤などを用いて適当な溶媒下で行うことがで
きる。例えば触媒としては、塩酸や炭酸ナトリウム、ま
たは炭酸水素ナトリウムなどの酸、アルカリが主として
用いられ、また、例えば反応剤としては、N−ヒドロキ
シコハク酸イミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド、またはN,N’−カルボニルジイミダゾー
ルのような縮合剤や1,4−テトラメチレンビスオキサ
ゾリンなどのビスオキサゾリン化合物が用いられる。ま
た、溶媒としては1,4−ジオキサン、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはピリジン
のような有機溶媒や、水あるいはそのリン酸や炭酸緩衝
液などが用いられる。
【0019】本発明に従えば、カルボキシル基を有する
CD誘導体を、水に不溶性の支持体に固定化してなるこ
とを特徴とするクロマトグラフィー用吸着担体を得るこ
とが出来るが、このようなクロマトグラフィー用吸着担
体は単なる液体クロマトグラフィー用吸着担体から高速
液体クロマトグラフィー用吸着担体として利用でき、カ
ラムに充填するなどにより光学異性体だけではなく、位
置異性体や幾何異性体をはじめ様々な異性体も分離する
ことができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に
説明する。但し、これらは本発明のクロマトグラフィー
用吸着担体の一例であって、本発明はこれらに何等制限
されないのは言うまでもない。
【0021】実施例1 カルボキシメチル−α−シクロ
デキストリン(平均置換度=7.0)固定化吸着担体の
製造 グリシジルメタクリレートとグリセリンジメタクリレー
トから得られたエポキシ基含有ゲル状共重合体中のエポ
キシ基を1,3−プロパンジアミンにより開環変性し、
真空下で5時間乾燥した。このようにしてカルボキシル
基を有するCD及びその誘導体と結合可能な基を有する
アミノ変性支持体(アミノ基;乾燥支持体1g当たり4
mmol)が製造された。α−シクロデキストリン10
gを13%水酸化ナトリウム水溶液110mlに溶解さ
せ、さらに50%クロロ酢酸ナトリウム水溶液28gを
加え80℃で1時間撹拌後、反応液を氷冷しながら1N
塩酸で中和した。この反応液にアセトン200mlを加
えた後、生じた沈澱を濾取し、残渣をアセトン洗浄する
と白色固体のカルボキシメチル−α−シクロデキストリ
ン9.0gが得られた。こうして得られた化合物の平均
置換度は、60MHzの1H−NMRより7.0である
ことが確かめられた。
【0022】前記の方法によって得られたカルボキシメ
チル−α−シクロデキストリン10gを0.05M塩化
ナトリウム水溶液240mlに溶解させ、さらにさきに
述べられた方法で得られたアミノ変性支持体10gを加
えよく撹拌した。この反応液に、1−エチル 3−(3
−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド16gを加
え室温で12時間撹拌後、吸着担体を濾取し、水、アセ
トンの順で洗浄した。こうして得られた吸着担体は、反
応前後の重量増加より、乾燥吸着担体1g当たりα−シ
クロデキストリンを180μmol固定化していること
が確かめられた。
【0023】実施例2 カルボキシメチル−β−シクロ
デキストリン(平均置換度=3.6)固定化吸着担体の
製造 実施例1の固定化方法において、カルボキシメチル−α
−シクロデキストリン10gの代わりに、市販のカルボ
キシメチル−β−シクロデキストリン(平均置換度=
3.6、CYCLOLAB製)10gを用いた他は実施
例1の固定化方法と同様な操作を行った。こうして得ら
れた吸着担体は、反応前後の重量増加より、乾燥吸着担
体1g当たりβ−シクロデキストリンを150μmol
固定化していることが確かめられた。
【0024】実施例3 カルボキシメチル−β−シクロ
デキストリン(平均置換度=10.0)固定化吸着担体
の製造 β−シクロデキストリン20gを10%水酸化ナトリウ
ム水溶液280mlに溶解させ、さらに50%クロロ酢
酸ナトリウム水溶液60gを加え80℃で1時間撹拌
後、反応液を氷冷しながら1N塩酸で中和した。この反
応液にメタノール1800mlを加えた後、生じた沈澱
を濾取しメタノールで洗浄した。さらに、この沈澱を水
−メタノールで再結晶させると白色固体のカルボキシメ
チル−β−シクロデキストリン11.0gが得られた。
こうして得られた化合物の平均置換度は、60MHzの
1H−NMRより10.0であることが確かめられた。
実施例1の固定化方法において、カルボキシメチル−α
−シクロデキストリン10gの代わりに、上記の方法に
よって得られたカルボキシメチル−β−シクロデキスト
リン(平均置換度=10.0)10gを用いた他は実施
例1の固定化方法と同様な操作を行った。こうして得ら
れた吸着担体は、反応前後の重量増加より、乾燥吸着担
体1g当たりβ−シクロデキストリンを130μmol
固定化していることが確かめられた。
【0025】実施例4 カルボキシメチル−(ヒドロキ
シプロピル−β−シクロデキストリン)(平均置換度=
10.0)固定化吸着担体の製造 実施例1のカルボキシメチル化法において、α−シクロ
デキストリン10gの代わりに、市販のヒドロキシプロ
ピル−β−シクロデキストリン(平均置換度=1.6、
Aldrich製)8gを用いた他は実施例1のカルボ
キシメチル化法と同様な操作を行った。こうして得られ
た化合物の平均置換度は、60MHzの1H−NMRよ
り10.0であることが確かめられた。実施例1の固定
化方法において、カルボキシメチル−α−シクロデキス
トリン10gの代わりに、上記の方法によって得られた
カルボキシメチル−(ヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリン)(平均置換度=10.0)10gを用い
た他は実施例1の固定化方法と同様な操作を行った。こ
うして得られた吸着担体は、反応前後の重量増加より、
乾燥吸着担体1g当たりヒドロキプロピル−β−シクロ
デキストリンを130μmol固定化していることが確
かめられた。
【0026】実施例5 カルボキシプロピオニル−β−
シクロデキストリン(平均置換度=6.3)固定化吸着
担体の製造 実施例1の固定化方法において、カルボキシメチル−α
−シクロデキストリン10gの代わりに、市販のカルボ
キシプロピオニル−β−シクロデキストリン(平均置換
度=6.3、CYCLOLAB製)10gを用いた他は
実施例1の固定化方法と同様な操作を行った。こうして
得られた吸着担体は、反応前後の重量増加より、乾燥吸
着担体1g当たりβ−シクロデキストリンを150μm
ol固定化していることが確かめられた。
【0027】実施例6 カルボキシメチル−(β−シク
ロデキストリン−エピクロロヒドリンコポリマー)(平
均置換度=1.9)固定化吸着担体の製造 実施例1の固定化方法において、カルボキシメチル−α
−シクロデキストリン10gの代わりに、市販のカルボ
キシメチル−(β−シクロデキストリン−エピクロロヒ
ドリンコポリマー)(平均置換度=1.9、CYCLO
LAB製)10gを用いた他は実施例1の固定化方法と
同様な操作を行った。こうして得られた吸着担体は、反
応前後の重量増加より、乾燥担体1g当たりβ−シクロ
デキストリンを200μmol固定化していることが確
かめられた。
【0028】比較例 β−シクロデキストリン固定化吸
着担体の製造 グリシジルメタクリレートとグリセリンジメタクリレー
トから得られたエポキシ基含有ゲル状共重合体中のエポ
キシ基を水により開環変性し、真空下で5時間乾燥し
た。この支持体10gに、1,4−ジオキサン85ml
を加え、さらに窒素雰囲気下でN,N’−カルボニルジ
イミダゾール15gを加えて50℃で3時間撹拌後、支
持体を濾取し1,4−ジオキサンで洗浄した。こうして
得られたN−カルボニルイミダゾール固定化支持体(N
−カルボニルイミダゾール基;乾燥支持体1g当たり
1.8mmol)約10gに、β−シクロデキストリン
50gとN,N−ジメチルホルムアミド150mlとを
加え、60℃で15時間撹拌後、吸着担体を濾取し水お
よびアルコールで洗浄した。こうして得られた吸着担体
は、反応前後の重量増加より、乾燥吸着担体1g当たり
β−シクロデキストリンを100μmol固定化してい
ることが確かめられた。
【0029】応用例 実施例2、3、5、6および比較例で得られた吸着担体
を、各々、内径4.6mm長さ150mmのステンレス
製クロマト管にスラリー法で充填し、高速液体クロマト
グラフ装置を用いて、メチオニン β−ナフチルアミド
(Met−NA)、ダンシルバリン(Dns−Va
l)、2−フェノキシプロピオン酸(2−PPA)を分
析したところ、表1に示したような結果が得られた。表
中、k’は(はじめに溶出される成分の保持容量−カラ
ムの空隙容量)/(カラムの空隙容量)で表されるキャ
パシティー比を示し、αは2番目に溶出する成分のキャ
パシティー比をk’で除した分離係数を示す。また、実
施例2で得られた吸着担体について、上記と同様の方法
で種々のカルボン酸を分析した。表2にその結果を示
す。表中のk’、αは表1のものと同様である。
【0030】分析条件は、特に記載のないものは以下の
通りである。 溶離液;2%酢酸−トリエチルアミン緩衝液(pH4)
/アセトニトリル(9/1)+0.1M塩化ナトリウム 流速;0.2ml/分 カラム温度;15℃ 検出器;紫外分光光度計 検出波長;254nm さらに、実施例2で得られた吸着担体について、上記と
同様の方法でメチオニン β−ナフチルアミドをアルカ
リ溶離液下で分析した。第1図にそのクロマトグラムを
示す。溶離液以外は前述の分析条件と同一である。溶離
液を以下に示す。 溶離液;2%酢酸−トリエチルアミン(pH9.5)/
アセトニトリル(9/1)+0.1M塩化ナトリウム
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】これらの結果より本発明により得られたク
ロマトグラフィー用吸着担体は、従来の方法により得ら
れたクロマトグラフィー用吸着担体と比べて、高い不斉
識別能を有し、かつ従来のクロマトグラフィー用吸着担
体では不可能なアルカリ溶離液下での分離を可能とし
た。
【0034】
【発明の効果】本発明のクロマトグラフィー用吸着担体
は、応用例から明らかなように、カルボキシル基を有す
るCD誘導体を、水に不溶性の支持体に固定化させるこ
とより、従来のCDを反応させてなるクロマトグラフィ
ー用吸着担体よりも、高い不斉識別能を示すものであ
る。また、耐久性や再現性にも優れ、しかも製造方法が
容易である。さらに、本発明のクロマトグラフィー用吸
着担体は、アルカリ性条件下での分離、溶出、洗浄を目
的とする場合には、支持体に耐アルカリ性のあるもので
あれば可能である。従って本発明に係るクロマトグラフ
ィー用吸着担体は、種々の光学異性体分離の可能性を有
するほか、単なる分析や分取手段にとどまらず幅広い工
業用分離精製設備への応用を計るための有力な手段とな
ることは明かである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の担体を用いたクロマトグラムであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−184925(JP,A) 特開 平3−282363(JP,A) 特開 平5−51327(JP,A) 特開 平5−232098(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 30/48 C08B 37/16

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シクロデキストリンの水酸基の酸素に、カ
    ルボキシル基を有する炭化水素基を直接またはカルボニ
    ル基を介して結合させたシクロデキストリン誘導体を、
    水に不溶性の支持体に固定化してなることを特徴とする
    クロマトグラフィー用吸着担体。
  2. 【請求項2】炭化水素基の置換基のカルボキシル基を用
    いて支持体に固定化されてなることを特徴とする請求項
    1記載のクロマトグラフィー用吸着担体。
  3. 【請求項3】炭化水素基の置換基のカルボキシル基を用
    いて支持体に固定化され、支持体がアミノ基またはエポ
    キシ基を有することを特徴とする請求項2に記載のクロ
    マトグラフィー用吸着担体。
  4. 【請求項4】炭化水素基が炭素数2〜20の直鎖または
    分岐状の飽和または不飽和炭化水素基あるいは炭素数7
    〜20の脂環式または芳香族炭化水素基であり、該炭化
    水素基の置換基のカルボキシル基を用いて支持体に固定
    化され、支持体がアミノ基またはエポキシ基を有するこ
    とを特徴とする請求項3に記載のクロマトグラフィー用
    吸着担体。
  5. 【請求項5】シクロデキストリンまたはシクロデキスト
    リン誘導体が、α−、β−、γ−もしくはδ−シクロデ
    キストリン、水酸基を有する置換基で修飾されたそれら
    の誘導体、又は水酸基を1個以上有しているメチル化も
    しくはアシル化シクロデキストリン、あるいはこれらの
    混合物やこれらの重合体から選ばれることを特徴とする
    請求項1ないし4のいずれかに記載のクロマトグラフィ
    ー用吸着担体。
  6. 【請求項6】シクロデキストリン誘導体において、シク
    ロデキストリンの水素が、−CH2COOH,−(C
    22COOH,−(CH23COOH,−(CH24
    COOH,−(CH25COOH,−CH(CH3)C
    OOH,−C(O)CH2COOH,−C(O)−(C
    22 −COOH,−C(O)−(CH23−COO
    H,−C(O)−(CH24−COOH,−C(O)−
    (CH25−COOH,−C(O)−CH(CH3)C
    OOH,−C(O)−CH=CH−COOH, 【化1】 で置換されていることを特徴とする請求項1ないし5の
    いずれかに記載のクロマトグラフィー用吸着担体。
  7. 【請求項7】支持体が、カルボキシル基と結合可能な官
    能基を有するもの、または導入可能なものである請求項
    1ないし6のいずれかに記載のクロマトグラフィー用吸
    着担体。
  8. 【請求項8】支持体が、ポリスチレン、ポリメタアクリ
    レート、ポリビニルアルコールおよびこれらの共重合物
    からなる硬質ビーズ、あるいはシリカゲルである請求項
    1ないし6のいずれかに記載のクロマトグラフィー用吸
    着担体。
  9. 【請求項9】粒径が1〜3000μmである請求項1な
    いし8のいずれかに記載のクロマトグラフィー用吸着担
    体。
  10. 【請求項10】液体クロマトグラフィーにおいて、光学
    異性体、位置異性体および幾何異性体の分離に用いる請
    求項1ないし9のいずれかに記載のクロマトグラフィー
    用吸着担体。
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