JP3486374B2 - 光触媒含有シート及びその製造方法 - Google Patents

光触媒含有シート及びその製造方法

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JP3486374B2
JP3486374B2 JP19269799A JP19269799A JP3486374B2 JP 3486374 B2 JP3486374 B2 JP 3486374B2 JP 19269799 A JP19269799 A JP 19269799A JP 19269799 A JP19269799 A JP 19269799A JP 3486374 B2 JP3486374 B2 JP 3486374B2
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昭 藤嶋
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昭 藤嶋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、消臭、吸着、抗
菌、殺菌等の機能を発揮する光触媒活性を有する光触媒
含有シートとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光が照射されると、消臭、吸着、抗菌、
殺菌等の機能を発揮する光触媒微粒子が注目され、その
光触媒微粒子としては、例えば酸化チタンが知られてい
る。そして、この光触媒微粒子を繊維や紙の基材に担持
させ、それらを障子紙、ブラインド等に加工した光触媒
含有シートを生活環境の中に設置し、その機能を発揮さ
せるようになっている。
【0003】光触媒微粒子を繊維に担持する方法として
は特開平9−206602号公報や特開平10−256
96号公報に開示される方法が知られている。これらの
方法は光触媒微粒子を凝集させたものを、湿式抄紙法に
より繊維に担持させるものである。
【0004】また、織布や不織布に対して光触媒微粒子
を含有する塗料を塗工する方法が開発されている。例え
ば特開平4−256755号公報に開示される方法は、
光触媒微粒子と有機バインダーとよりなる塗料を不織布
に塗布し、有機バインダーにより光触媒を不織布に担持
させるものである。また特開平7−171408号公報
に開示される方法は、光触媒微粒子をフッ素系ポリマ
ー、シリコーン系ポリマー等の結着剤を使用して不織布
に接着させるものである。特開平10−128125号
公報に開示される方法は、光触媒微粒子と無機バインダ
ーを含有するコート剤を紙に被覆させて、光触媒微粒子
を無機バインダーにより紙に担持させるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の方法
により得られる光触媒含有シートは、その光触媒に光が
照射されると、その光触媒微粒子の酸化力により、バイ
ンダー等が変質して着色したり、基材の繊維質が分解さ
れて黄変したりする。そのため、繊維劣化を招いてしま
い、繊維や紙の風合いが悪化してしまうという問題があ
った。
【0006】また、特開平9−206602号公報や特
開平10−25696号公報に開示された方法では、抄
紙時に、繊維に十分に定着していない光触媒微粒子が白
水中に流れたりしてしまい、繊維表面に担持される光触
媒微粒子の量に限度があるという問題があった。また、
光触媒微粒子が光の当たらない繊維の内部に抄紙されて
しまう。そのため、光触媒微粒子の機能を十分に発揮さ
せることができないという問題があった。
【0007】また、特開平4−256755号公報、特
開平7−171408号公報及び特開平10−1281
25号公報に開示される方法では、光触媒微粒子の表面
が有機バインダー、結着剤、無機バインダー等により覆
われてしまうため、反応する有機物と光触媒微粒子との
接触面積が小さくなり、その機能を十分に発揮させるこ
とができないという問題もあった。
【0008】この発明は、このような従来技術に存在す
る問題点に着目してなされたものである。その目的とす
るところは、光触媒の担持量が低下するのを防止して、
その機能を発揮させることができるとともに、風合いを
損なうのを防止することができる光触媒含有シート及び
その製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明の
光触媒含有シートは、光触媒活性を有する光触媒と、活
性酸素のラジカルによって重合するポリアミドエピクロ
ルヒドリン、ポリアミンエピクロルヒドリン、及びポリ
アミドポリアミンエピクロルヒドリンからなる群から選
ばれた少なくとも1種のポリマーと、架橋結合性を有す
るバインダーと、分散安定剤とよりなる混合溶液を不織
布に担持させたものである。
【0010】請求項2に記載の発明の光触媒含有シート
は、請求項1に記載の発明において、前記光触媒はアナ
ターゼ型の二酸化チタンであり、架橋結合性を有するバ
インダーはセルロース系、アクリロニトリル系及びエス
テル系から選ばれる少なくとも一種の水溶性を有するポ
リマー又はエマルジョンであり、分散安定剤は炭素数1
1〜18の脂肪酸の金属せっけん又は金属キレートであ
る。
【0011】請求項3に記載の発明の光触媒含有シート
は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記
混合溶液の水素イオン濃度(pH)は5〜9の範囲内で
あるものである。
【0012】請求項4に記載の発明の光触媒含有シート
は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明におい
て、前記光触媒は不織布の重量の2〜50重量%の範囲
内で不織布に担持されるものである。
【0013】請求項5に記載の発明の光触媒含有シート
の製造方法は、光触媒活性を有する光触媒と、活性酸素
ラジカルによって重合するポリアミドエピクロルヒドリ
ン、ポリアミンエピクロルヒドリン、及びポリアミドポ
リアミンエピクロルヒドリンからなる群から選ばれた少
なくとも1種のポリマーと、架橋結合性を有するバイン
ダーと、分散安定剤とよりなる混合溶液をpH5〜9に
調整した後、その混合溶液の光触媒を不織布の重量の2
〜50重量%の範囲内となるように不織布に担持させる
ものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を、詳
細に説明する。光触媒含有シートは、光触媒活性を有す
る光触媒と、活性酸素のラジカルによって重合する酸素
重合性ポリマーと、架橋結合性を有するバインダーと、
分散安定剤とよりなる混合溶液を不織布に担持させたも
のである。
【0015】光触媒活性を有する光触媒は、紫外線の照
射によって励起される無機粒子である。光触媒としては
アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、三
酸化タングステン、三酸化ビスマス、三酸化鉄、チタン
酸ストロンチウム、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。
光触媒機能を十分に発揮させるために、純度95%以上
のアナターゼ型二酸化チタンが好ましい。それらは球
状、鱗片状、繊維状の粉末又はゾル状でも良い。特に水
分散液の状態において、そのpHが6.5〜7.5の範
囲内の純度を有するものが好ましい。
【0016】光触媒の平均粒子径は光触媒機能を発揮さ
せるために5nm〜1μmの範囲内のものが好ましい。
平均粒子径が5nm未満では、光触媒の凝集が起こり、
分散性が低下して好ましくない。一方、平均粒子径が1
μmを越えると、光触媒の表面積が小さくなり、光触媒
反応が低下し好ましくない。さらに、平均粒子径は上記
の理由から7nm〜200nmの範囲内がさらに好まし
い。
【0017】活性酸素のラジカルによって重合する性質
を有する酸素重合性ポリマーとしては、分子内にグリシ
ジル基を有するものが使用され、例えばポリアミドエピ
クロルヒドリン、ポリアミンエピクロルヒドリン、ポリ
アミドポリアミンエピクロルヒドリン、さらにはそれら
の4級化したカチオン化物が挙げられる。その他に、分
子内にエポキシ基を1個以上有するものも使用され、例
えばジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、
ポリグリシジルエーテル等の水溶性を有するポリマーが
挙げられる。さらに、それらをニトリル化したものやウ
レタン化したものも使用され、例えばダイマー酸ジグリ
シジルエーテルが挙げられる。
【0018】酸素重合性ポリマーは光触媒の全体重量に
対し、0.2重量%以上添加され、0.2〜50重量%
の範囲内で添加されるのが好ましく、5〜30重量%の
範囲内で添加されるのが特に好ましい。添加量が0.2
重量%未満では光触媒を不織布に担持することができ
ず、さらに、後述する架橋結合性を有するバインダーの
繊維への架橋結合性にも寄与せず好ましくない。一方、
添加量が50重量%を越えると、すでに光触媒を不織布
に十分に担持させているため、それ以上添加しても製造
コストの上昇を招くだけで好ましくない。
【0019】架橋結合性を有するバインダーとしては、
セルロース系、アクリロニトリル系、エステル系から選
ばれる少なくとも1種の水溶性を有するポリマー又はそ
れらをエマルジョン化したものを使用するのが好まし
い。セルロース系のバインダーとしては、例えば澱粉、
アルファ化澱粉、カルボキシメチルセルロース等が挙げ
られ、アクリロニトリル系のバインダーとしては、例え
ばアクリロニトリルとカルボキシル基を有するモノマー
とのコポリマー、アクリルニトリルとスチレンとのコポ
リマー、アクリルニトリルとブタジエンとのコポリマ
ー、アクリルニトリルとビニリデンとのコポリマーが挙
げられる。エステル系のバインダーとしてはフタル酸を
イソフタル酸やスルフォン酸で変性したモノマーと、エ
チレングリコール等のアルコールとのエステルコポリマ
ーのように、水溶性のポリマー等が挙げられ、溶剤でエ
マルジョンにしたものでも良い。
【0020】ビニル系のバインダーとしてポリ酢酸ビニ
ル、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニ
ルアルコールコポリマー、ポリビニルアルコール、部分
ケン化ポリビニルアルコール等が挙げられ、それらは光
触媒と反応して黄変するため使い方を選定する必要があ
る。
【0021】この架橋性を有するバインダーは光触媒の
全体重量に対し、2〜100重量%の範囲内で添加され
るのが好ましく、5〜50重量%の範囲内で添加される
のが特に好ましい。添加量が2重量%未満では架橋性を
発揮させることができず好ましくない。一方、100重
量%を越えると、架橋性を十分に発揮できるため、それ
以上添加しても製造コストの上昇を招き好ましくない。
【0022】光触媒の分散安定剤としては炭素数11〜
18の脂肪酸の金属せっけん、硫酸エステル、金属キレ
ート又は金属化合物が使用され、光触媒を確実に分散さ
せ、混合溶液を確実に調製するために金属せっけん、硫
酸エステル又は金属キレートを使用するのが好ましい。
前記炭素数11〜18の脂肪酸としてはラウリン酸、ミ
リスチン酸、セチル酸、ステアリン酸、パルミチン酸及
びオレイン酸から選ばれる少なくとも一種が使用され、
それらのアルコールでも良い。
【0023】炭素数11〜18の脂肪酸の金属キレート
としてはステアリン酸クロミッククロリド、ラウリン酸
クロミッククロリド等が挙げられる。金属化合物として
はナトリウム、カリウム、亜鉛等の塩が挙げられ、ステ
アリン酸亜鉛を使用するのが好ましい。
【0024】分散安定剤は光触媒の全体重量に対し、
0.001〜3重量%の範囲内で添加されるのが好まし
く、0.1〜1重量%の範囲内で添加されるのが特に好
ましい。添加量が0.001重量%未満では光触媒を十
分に分散させることができず好ましくない。一方、3重
量%を越えると泡立ちが激しく液面の制御などができ
ず、得られる混合溶液の均一な塗工安定性が得られず好
ましくない。分散安定剤は光触媒の混合溶液中での粒子
の安定性ばかりでなく、混合溶液の塗工後のシートの着
色を防止する効果も得られる。
【0025】不織布としては、光や気体の通過性を維持
するために、その1m2当たりの繊維の重さを示す米坪
量が5g/m2以上のものが好ましく、20〜100g
/m2の範囲内のものが好ましい。また、繊維と繊維の
理論空間距離が少なくとも光触媒の粒子径以上であるた
めに、その見掛け密度が0.02g/cm3以上のもの
が好ましい。
【0026】さらに、混合溶液の不織布への含浸工程に
おいて、不織布の工程通過性を得るためや最終用途での
取扱いの点から、水に浸漬した時の引張強度を示す湿潤
時強力は、不織布が15mm幅で0.5kgf以上であ
るものが好ましい。
【0027】その不織布は湿式抄紙法により得られる紙
又はニードルパンチ法、スパンボンド法、水流絡合法、
メルトブロー法等により得られる乾式不織布である。前
記紙としては、例えば繊維を水分散系からシート化する
手漉紙、機械抄紙等が挙げられる。その紙の原料として
は楮、三椏、雁皮、マニラ麻、ケナフ等の非木材繊維や
針葉樹や広葉樹などから得られる晒し、未晒しパルプ等
の天然繊維を用いることもできる。さらに、再生セルロ
ース繊維又はそのフィブリル状のもの、合成繊維として
のポリビニルアルコールからなるビニロン繊維、ポリア
クリロニトリル系、ポリエステル系、ポリオレフィン
系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリアミド系の繊維が使用
される。難燃性を付与したアクリロニトリル−塩化ビニ
ル共重合物、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリ
塩化ビニリデン系、ポリアミド系の繊維又はそのフィブ
リル状のもの、さらに、共重合した変性したポリマー繊
維、更に芯鞘型の複合繊維も用いることができる。当然
これら化合繊維、合成繊維は天然繊維と混合して使うこ
ともできる。
【0028】次に、光触媒含有シートの製造方法につい
て説明する。まず、混合溶液の製造工程について説明す
る。光触媒を水に十分馴染ませるために、1000rp
m以上のミキサーで光触媒と水とを10分間攪拌混合す
る。次に、酸素重合性ポリマーを所定量計量し、粘度の
高いものは水を加えて所定の濃度に調整する。その後、
その酸素重合性ポリマーを光触媒の全体重量に対して
0.2重量%以上となるように添加する。
【0029】このとき、エマルジョンの凝集を防止して
均一な混合溶液を調製するために溶液のpHを6〜8に
調整しておく。そこに架橋性を有するバインダーを光触
媒の全体重量に対して2〜100重量%の範囲内となる
ように添加する。続いて、分散安定剤を所定の濃度に溶
解又は乳化剤で分散乳化しておく。そして、その分散安
定剤を光触媒の全体重量に対して0.001〜3重量%
の範囲内となるように徐々に添加する。最後に、そのp
Hを5〜9の範囲内になるように調整する。その結果、
安定な混合溶液を得ることが出来る。
【0030】次に、不織布に混合溶液を含浸塗工する工
程について述べる。含浸塗工において、まず、不織布ロ
ールを送り出し機構の付いたアンリールロールへセット
する。そして、その不織布を、張力補償機能付きロール
により一定張力で混合溶液貯蔵タンクへ送り出す。前記
混合溶液貯蔵タンクには混合溶液の粘度を一定に保つた
めの温度制御装置と攪拌装置とが備えられている。そし
て、その混合溶液貯蔵タンクに不織布を含浸させた後、
混合溶液の不織布への付着量を規制するために絞りを数
段階で行い、混合溶液の含浸量を調整する。
【0031】また、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフ
セット印刷により不織布に混合溶液を担持させても良
い。さらに、混合溶液ピックアップロールと反転、転写
ロール、及びコーターナイフエッジやスリット幅をコン
トロールすることにより不織布への塗工量を均一化した
り、模様にしても良い。
【0032】乾燥方法は、予備的に遠赤外線などで不織
布の表面乾燥を行い、さらに、その不織布を熱ロールへ
接触させて乾燥させる。その他に、熱風炉や遠赤外線炉
を通して不織布を乾燥させる方法により行っても良い。
乾燥におけるその加熱温度は60〜200℃が好まし
い。
【0033】その結果、光触媒含有シートが得られ、光
触媒は不織布の重量に対して2〜50重量%の範囲内で
不織布に担持されている。光触媒含有シートを巻き取
り、連続シートを得ることができる。これらシートはエ
ンボスやフィルムの張り合わせ等複合化して使用するこ
ともできる。そして、得られた光触媒含有シートを障子
紙、ブラインド、農業用被覆材、カーテン、作業着、プ
リーツスクリーン、タペストリー、スーツカバー、割烹
着、段ボール、野菜収納袋、精米袋、生鮮食品を収容す
る袋等に成形して使用することができる。
【0034】前記の実施形態によって発揮される効果に
ついて、以下に記載する。 ・ 混合溶液は光触媒と、酸素重合性ポリマーと、架橋
結合性を有するバインダーと、分散安定剤とより調製さ
れ、その混合溶液を不織布に含浸させて光触媒含有シー
トが製造される。混合溶液の不織布への含浸時に、架橋
結合性を有するバインダーが酸素重合性ポリマーとの混
合系を作り、紫外線による光触媒の酸素重合性の活性ラ
ジカルによって架橋反応が引き起こされ、繊維へ架橋結
合する。そのため、そのバインダーにより、光触媒が繊
維に強固に担持される。従って、光触媒の不織布からの
脱落を防止して、光触媒の機能が低下するのを防止する
ことができる。また、繊維と、架橋結合性を有するバイ
ンダーとはその物性が似ているため、得られる光触媒含
有シートの風合いを損なうのを防止することができる。
【0035】・ 不織布に混合溶液を含浸するのみで光
触媒含有シートを製造することができる。このとき、従
来の設備を利用することができ、製造コストが嵩むのを
防止することができる。
【0036】・ 混合溶液中には、酸素重合性ポリマー
が光触媒の全体重量の0.2重量%以上となるように添
加され、架橋結合性を有するバインダーは光触媒の全体
重量の2〜100重量%の範囲内で添加される。分散安
定剤は光触媒の全体重量の0.001〜3重量%の範囲
内で添加される。そのため、その配合が容易で安定した
混合溶液を得ることができる。
【0037】・ 光触媒は光触媒含有シートの不織布の
重量に対して2〜50重量%の範囲内で担持されるよう
に設定されている。そのため、光触媒含有シートの消
臭、抗菌、殺菌、鮮度保持、吸着、防汚等の機能を維持
することができる。
【0038】・ 分散安定剤により光触媒を混合溶液中
に均一に分散して、光触媒含有シートに均一に光触媒を
分散させることができる。 ・ 混合溶液のpHは5〜9の範囲内に調整される。そ
のため、混合溶液を安定した状態にすることができる。
【0039】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げ、前記実施形
態をさらに具体的に説明する。 (実施例1)光触媒としてアナターゼ型の二酸化チタン
(平均粒子直径7nm、純度95%、石原産業社製 商
品名 ST−01)粉末を10%分散液となるようにイ
オン交換水を加え、3000rpmの回転数でミキサー
により10分間攪拌して分散させた。このときの液のp
Hは6.9であった。次に、酸素重合性ポリマーとして
水溶性グリシジル基を有するポリアミンポリアミドエピ
クロルヒドリンポリマー(日本PMC社製 商品名WS
−201)を二酸化チタンの全体重量に対し20重量%
となるように攪拌しながら加えた。
【0040】次に、架橋結合性のバインダーとしてイタ
コン酸変性ポリエステル樹脂(互応化学工業株式会社製
商品名 プラスコートZ−857)を二酸化チタンの
全体重量に対し40重量%となるように攪拌しながら加
えた。次に、二酸化チタン粉末の分散安定剤としてのス
テアリン酸亜鉛を、まず、温水と中性洗剤のアルキルベ
ンゼンスルフォン酸ナトリウムとにより乳化し、それを
二酸化チタンの全体重量に対し0.1重量%となるよう
に添加した。その結果、混合溶液を得ることができ、そ
のpHは6.7であった。この混合溶液を15分間静置
しておいても分離沈降は見られず安定であった。
【0041】(実施例2)まず、実施例1と同様の方法
で光触媒としてアナターゼ型の二酸化チタンを分散液と
し、次に、酸素重合性ポリマーとして水溶性グリシジル
基を有するポリアミンエピクロルヒドリンポリマー(日
本PMC社製 商品名 WS−205)を二酸化チタン
の全体重量に対し20重量%となるように攪拌しながら
加えた。
【0042】次いで、架橋結合性のバインダーとして自
己架橋性のポリアクリロニトリル−ブタジエンラテック
ス(日本ゼオン社製 商品名 ニッポール1571)を
二酸化チタンの全体重量に対し10重量%となるように
攪拌しながら加えた。さらに、二酸化チタン粉末の分散
安定剤としてのラウリル硫酸エステルを、まず、水にて
溶解し、それを二酸化チタンの全体重量に対し0.1重
量%となるように添加した。その結果、混合溶液を得る
ことができ、そのpHは7.8であった。
【0043】(実施例3)まず、実施例1と同様の方
法、同一の条件で光触媒としてアナターゼ型の二酸化チ
タンを水分散液とし、次に酸素重合性ポリマーとして変
性ポリアミドエピクロルヒドリン(昭和高分子社製 商
品名 エピノックスP−130)を二酸化チタンの全体
重量に対し10重量%となるように攪拌しながら添加し
た。
【0044】次いで、架橋結合性のバインダーとして、
ポリビニルアルコール(株式会社クラレ社製 商品名
PVA117)を5%水溶液に調整して、それを二酸化
チタンの全体重量に対し20重量%となるように攪拌し
ながら加えた。その後、実施例1と全く同一条件にて調
整した。その結果、混合溶液を得ることができ、そのp
Hは7.7であった。
【0045】(実施例4)まず、実施例1と同様の方
法、同一の条件で光触媒としてアナターゼ型の二酸化チ
タンを水分散液とし、次に酸素重合性ポリマーとして変
性ポリアミドエピクロルヒドリン(昭和高分子社製 商
品名 エピノックスP−130)を二酸化チタンの全体
重量に対し20重量%となるように攪拌しながら添加し
た。
【0046】次いで、架橋結合性のバインダーとして、
澱粉(食品用市販品)を5%水溶液に調整して、それを
二酸化チタンの全体重量に対し20重量%となるように
攪拌しながら加えた。その後、実施例1とまったく同一
条件にて調整した。その結果、混合溶液を得ることがで
き、そのpHは7.9であった。
【0047】(比較例1)比較例1では、分散安定剤を
省略して調製液を調製した。まず、実施例1と同様の方
法、同一の条件で光触媒としてアナターゼ型の二酸化チ
タンを水分散液とし、次に酸素重合性ポリマーとしてポ
リアクリルアミド(荒川化学工業社製 商品名 ポリス
トロン705)を二酸化チタンの全体重量に対し10重
量%となるように添加した。
【0048】次いで、架橋結合性のバインダーとして自
己架橋性のポリアクリロニトリル−ブタジエンラテック
ス(日本ゼオン社製 商品名 ニッポール1571)
を、まず、5%水溶液にし、それを二酸化チタンの全体
重量に対し20重量%となるように攪拌しながら緩やか
に加えた。
【0049】その結果、得られる調製液はお粥状から徐
々に硬くなり、豆腐のようなゲル状物となり混合溶液と
しては使用できなかった。 (光触媒含有シートの機能テスト)実施例1の混合溶液
を用いて光触媒含有シートを作成し、その機能を測定し
た。不織布としてはスパンボンド不織布を用いた。この
スパンボンド不織布は米坪量が12g/m2、見掛け密
度0.3g/cm3、平均湿潤時強力が15mm幅で
2.5kgfのポリエステルスパンボンドSB33 9
0123WSO(ユニチカ株式会社製 商品名 マリッ
クス)である。
【0050】スパンボンド不織布重量に対する混合溶液
の固形分は10.5重量%であった。また、その中で
も、二酸化チタンはスパンボンド不織布の重量の6.5
6重量%でスパンボンド不織布に担持されていた。含浸
処理工程中でも光触媒の不織布からの脱落もなく安定で
あった。また、手で強く擦っても光触媒の脱落は認めら
れなかった。風合も柔らかく、通気性と光の遮蔽率は未
処理不織布に対して97%を維持していた。機械的物性
として見掛け密度が0.19g/cm3、湿潤時強力が
15mm幅で2.6kgfであった。
【0051】得られた光触媒含有シートを長野県小県郡
菅平に設置してその機能テストを行った。比較対照とし
て未処理の不織布を使用した。両者をレタス畑及びキャ
ベツ畑に、レタス及びキャベツを被覆するようにトンネ
ル状に成形し、農業用被覆材として約4か月間設置し
た。
【0052】その結果、光触媒含有シートを設置したレ
タス畑からはレタスが収率96%で得られ、不織布を設
置したレタス畑からはレタスが収率85%で得られた。
光触媒含有シートを設置したキャベツ畑からはキャベツ
が収率94%で得られ、不織布を設置したキャベツ畑か
らはキャベツが収率86%で得られた。
【0053】光触媒含有シートには、腐敗の発生する枯
草菌、大腸菌、放線菌、糸状菌等の腐敗菌や、ウイルス
性病原体や、マイコプラズマの微生物や、アブラムシ、
バッタ、ウンカ等の有翅性の昆虫類が野菜の中に入り込
むのを防止する機能を有することが示された。これは、
光触媒含有シートが電気的な防虫機能を有すると予想さ
れる。また、光触媒含有シートの太陽光による劣化や、
二酸化チタン粒子の脱落もなかった。
【0054】(光触媒含有シートの物性テスト1)実施
例1の混合溶液を用いて光触媒含有シートを作成し、そ
の物性を測定した。不織布としては紙を使用した。この
紙は針葉樹晒しパルプ50重量%と、1.5デニール、
繊維長5mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン株式
会社製 商品名 SB)20重量%と、2デニール、繊
維長5mmの複合バインダー繊維(クラレ社製 商品名
ソフィットN720)30重量%とを混合して短網で
抄紙し、その後、130℃で乾燥して成形して得られ
る。その米坪量は60g/m2、見掛け密度が0.35
g/cm3、平均湿潤時強力が15mm幅で2.7kg
fである。上記紙に混合溶液を含浸処理して光触媒含有
シートを作成した。
【0055】紙重量に対する混合溶液の固形分は10.
3重量%であった。また、その中でも、二酸化チタンは
紙の重量の6.4重量%で紙に担持されていた。含浸処
理工程中でも光触媒の紙からの脱落もなく安定に巻き取
ることができた。また、手で強く擦っても光触媒の脱落
は認められなかった。紙の柔らかさ、風合はもとの未処
理品と比べると若干硬くなる程度でとくに問題にはなら
なかった。光触媒含有シートの物性をJIS S 31
20で測定し、比較対照として未処理の紙の物性も同様
に測定した。その結果を表1に示す。
【0056】
【表1】 表1に示すように、光触媒含有シートは紙と比較して、
破裂強さがほぼ倍になりその強度が増すことが示され
た。また、光の透気性を損なわず、障子紙として使用可
能であることも示された。
【0057】さらに、この光触媒含有シートを澱粉糊で
桟に貼る作業を実施したところ、その作業を容易に行う
ことができた。さらに、余分な部分の切り落とし作業を
カッターナイフで行ったところ、糊が付着していても腰
があり、紙の湿潤紙力も強く良い切れ味で切れた。
【0058】アク止め効果として、木製の桟から出たア
クは、貼った光触媒含有シートにより、その滲みも抑え
られ綺麗な貼り上がりとなった。さらに、剥がしやすさ
として、張られた光触媒含有シートを水で濡らし剥離し
たが、従来の障子紙よりも二酸化チタンの効果で容易に
剥がすことができた。
【0059】(光触媒含有シートの消臭機能テスト1)
光触媒含有シートの消臭機能を測定するために、上記物
性テストを行った光触媒含有シートを使用してアルデヒ
ド分解効果を測定した。測定方法はアセトアルデヒドガ
スを一定濃度(ほぼ100ppm)で配管内を循環さ
せ、その途中に光触媒含有シート(15cm×15c
m)をセットする。そして、温度20±1℃、湿度65
±2%の条件下で、紫外線強度1.5mw/cm2の紫
外線ランプを照射し続けた。最後に、循環系の途中から
ガスクロマトグラフィにより一定時間ごとにガスをサン
プリングし、その濃度を測定した。対照として未処理の
紙も同様の方法により測定した。その結果を表2に示
す。
【0060】
【表2】 表2に示すように、煙草の臭気の主成分であるアセトア
ルデヒドガスの分解性能による消臭機能を示した。ま
た、窓際に光触媒含有シートを12ヶ月貼り、その実用
テストを行った。その結果、光触媒含有シートの色は1
〜2ヶ月は、室内の塵埃や煙草の煙りを吸着するために
若干着色するが、次第に太陽の光によってこの着色は消
えた。また翌日の空気の匂いが酢酸臭を帯びているので
アセトアルデヒドが酢酸に変化していることが分かっ
た。
【0061】(光触媒含有シートの消臭機能テスト2)
実施例1の混合溶液を用いて光触媒含有シートを作成
し、その消臭機能を測定した。不織布としては紙を使用
した。この紙は針葉樹晒しパルプ50重量%と、1.5
デニール、繊維長5mmのレーヨン繊維(ダイワボウレ
ーヨン株式会社製商品名 SB)20重量%と、2デニ
ール、繊維長5mmの複合バインダー繊維(クラレ社製
商品名 ソフィットN720)30重量%とを混合し
て短網で抄紙し、その後、130℃で乾燥して成形して
得られる。その米坪量は100g/m2、見掛け密度が
0.37g/cm3、平均湿潤時強力が15mm幅で
7.2kgfである。上記紙に混合溶液を含浸処理して
光触媒含有シートを作成した。
【0062】紙重量に対する混合溶液の固形分は10.
3重量%であった。また、その中でも、二酸化チタンは
紙の重量の6.4重量%で紙に担持されていた。そし
て、得られた光触媒含有シート(縦2.7m×横1.8
m)をプリーツマシーンを使用して折りひだを形成し、
アコーデオン状をなすプリーツスクリーンに成形した。
そして、このプリーツスクリーンをブラインドとして、
室内の窓際に設置し、その消臭機能を測定した。
【0063】その結果、室内の臭気は少ないことがわか
った。従って、太陽光と室内の水分とにより光触媒含有
シートの光触媒機能が発揮されるため、自然エネルギー
のみにより室内の空気循環とその浄化が行われ、省エネ
ルギーを実施することができるとともに、環境保護に寄
与することができる。
【0064】また、上記光触媒含有シートをタペストリ
ーに成形し、室内に設置してその消臭機能を測定した。
その結果、室内の臭気は少ないことがわかった。 (光触媒含有シートの物性テスト2)実施例2の混合溶
液を使用して光触媒含有シートを作成し、その物性を測
定した。不織布としてはスパンボンド不織布と紙を使用
した。このスパンボンド不織布は米坪量が20g/
2、見掛け密度が0.15g/cm3、平均湿潤時強力
が15mm幅で3.5kgfの物性を有するポリエステ
ルスパンボンドSB5120207WTD(ユニチカ株
式会社製 商品名 マリックス)である。
【0065】また、紙は針葉樹晒しパルプ50重量%
と、1.5デニール、繊維長5mmのレーヨン繊維(ダ
イワボウレーヨン株式会社製 商品名 SB)20重量
%と、2デニール、繊維長5mmの複合バインダー繊維
(クラレ社製 商品名 ソフィットN720)30重量
%とを混合して短網で抄紙し、その後、130℃で乾燥
して成形して得られるものである。その米坪量は100
g/m2、見掛け密度が0.37g/cm3、平均湿潤時
強力が15mm幅で7.2kgfである。
【0066】スパンボンド不織布重量に対する混合溶液
の固形分は11.6重量%であった。また、その中で
も、二酸化チタンはスパンボンド不織布重量の8.9重
量%でスパンボンド不織布に担持されていた。一方、紙
重量に対する混合溶液の固形分は10.7重量%であっ
た。また、その中でも、二酸化チタンは紙重量の8.2
重量%で紙に担持されていた。
【0067】その結果、含浸処理工程中でも光触媒の両
不織布からの脱落もなく安定であった。両不織布とも手
で強く擦っても光触媒の脱落は認められなかった。風合
も元のものと変わらず柔らかかった。また、未処理のス
パンボンド不織布に対して、通気性は97%、光の遮蔽
率は97%を示し、未処理の紙に対して、通気性は90
%、光の遮蔽率は97%を示した。さらに、スパンボン
ド不織布を不織布として使用した光触媒含有シートの見
掛け密度は0.21g/cm3を示し、平均湿潤時強力
は15mm幅で3.6kgfを示した。一方、紙を不織
布として使用した光触媒含有シートの見掛け密度は0.
25g/cm3を示し、平均湿潤時強力が15mm幅で
4.8kgfを示した。
【0068】(光触媒含有シートの消臭機能テスト3)
上記物性テスト2を行ったスパンボンド不織布を使用し
た光触媒含有シートを病院の間仕切りカーテンとして使
用した。室内には40Wの蛍光灯が設置され、日中は太
陽光が入るため紫外線供給性は十分である。このシート
を切断し、切り口はミシンにて縁かがりをして6人部屋
へカーテンとして吊り下げた。そして、室内のアンモニ
アやメルカプタン等の混合臭気を感応検査で測定した。
【0069】その結果、光触媒含有シートを使用した部
屋の方が臭気は少ないことがわかった。さらに、スパン
ボンド不織布を使用した光触媒含有シート及び紙を使用
した光触媒含有シートを、スーツのカバーになるように
それぞれ袋状に成形した。そして、焼き肉レストランか
ら着て帰った羊毛のスーツとズボンをこの両者の袋にそ
れぞれ入れて一晩放置した。別に、新幹線の喫煙車輌に
乗車した羊毛のスーツをこの袋に入れて一晩放置した。
その結果、焼き肉の臭い又はタバコの臭いが消失した。
【0070】(光触媒含有シートの抗菌機能及び脱臭機
能テスト)実施例3の混合溶液を使用して光触媒含有シ
ートを作成し、その抗菌機能及び脱臭機能を測定した。
不織布としてはスパンボンド不織布を用いた。このスパ
ンボンド不織布は米坪量が40g/m2、見掛け密度
0.18g/cm3、平均湿潤時強力が15mm幅で
4.5kgfのポリエステルスパンボンド(旭化成工業
社製 商品名 エルタスEO1040)である。
【0071】スパンボンド不織布重量に対する混合溶液
の固形分は12.8重量%であった。また、その中で
も、二酸化チタンはスパンボンド不織布重量の9.8重
量%でスパンボンド不織布に担持されていた。この光触
媒含有シートの裏面に厚さ10μmのポリエチレンフィ
ルムを熱エンボシングしながら接着処理し、防水性を付
与した。そして、この光触媒含有シートを病院、障害者
用施設、介護用施設等の作業用の割烹衣、作業着に成形
して使い捨て作業着とした。その結果、抗菌性と脱臭性
があり数回使用することができた。
【0072】(光触媒含有シートの印刷テスト)実施例
3の混合溶液にアイボリー色の無機顔料を添加分散して
着色した。この混合溶液を用い不織布としての紙をフレ
キソ印刷した。紙は針葉樹晒しパルプ50重量%と、
1.5デニール、繊維長5mmのレーヨン繊維(ダイワ
ボウレーヨン株式会社製 商品名 SB)20重量%
と、2デニール、繊維長5mmの複合バインダー繊維
(クラレ社製 商品名 ソフィットN720)30重量
%とを混合して短網で抄紙し、その後、130℃で乾燥
して成形して得られるものである。その米坪量は100
g/m2、見掛け密度が0.37g/cm3、平均湿潤時
強力が15mm幅で7.2kgfである。紙重量に対す
る混合溶液の固形分は10.6重量%であった。また、
その中でも、二酸化チタンは紙重量の8.6重量%で紙
に担持されていた。
【0073】印刷処理工程中でも光触媒の紙からの脱落
もなく、版の汚れもなく安定であった。また、手で強く
擦っても光触媒の脱落は認められなかった。この不織布
は腰が強く取扱い性に優れ、壁紙とした。
【0074】(光触媒含有シートの消臭機能テスト4)
上記印刷テストを行った光触媒含有シートを壁紙に成形
し、6畳の工場内宿直室の壁に貼り、その消臭機能を測
定した。その結果、室内の臭いが消えることがわかっ
た。
【0075】(光触媒含有シートの保存機能テスト)実
施例4の混合溶液を使用して光触媒含有シートを作成し
た。不織布としては紙を使用した。この紙は針葉樹晒し
パルプ50重量%と、1.5デニール、繊維長5mmの
レーヨン繊維(ダイワボウレーヨン株式会社製 商品名
SB)20重量%と、2デニール、繊維長5mmの複
合バインダー繊維(クラレ社製 商品名 ソフィットN
720)30重量%とを混合して短網で抄紙し、その
後、130℃で乾燥して成形して得られるものである。
その米坪量は100g/m2、見掛け密度が0.37g
/cm3、平均湿潤時強力が15mm幅で7.2kgf
である。紙重量に対する混合溶液の固形分は10.2重
量%であった。また、その中でも、二酸化チタンは紙重
量の7.3重量%で紙に担持されていた。
【0076】得られた光触媒含有シートを、ダンボール
箱の内側に位置するようにしてダンボール箱を作った。
比較対照として従来の市販のダンボール紙を用い同一の
箱を成形した。そして、両段ボール箱内にブロッコリー
300g、春菊200gを入れ、蓋をして10℃の冷蔵
庫に保管し、その生鮮さを肉眼で評価した。
【0077】その結果、光触媒含有シートを使用したダ
ンボール箱のブロッコリーも春菊も5〜6日目で縁部分
から緑色が萎えて来た。7日目でも緑色が冴え新鮮であ
った。一方、市販ダンボール箱のブロッコリーも春菊も
3〜4日目で縁部分から緑色が萎えてきた。5日目では
緑色が萎え、食べられる状態でなくなった。
【0078】同様に、咲き始め赤いカーネーションと白
い菊を10本ずつ束にして水にさしてそれぞれ両ダンボ
ール箱で覆いをし、光とエチレンの影響を無くして20
℃の室内に置いた。
【0079】その結果、光触媒含有シートを使用したダ
ンボール箱内のカーネーションは6〜7日で赤い色を示
すとともに、茎の緑も保持し、鮮度を保持した。また、
菊は6日で白い花の最盛期で、茎の緑も保持していた。
9〜10日まで日持ちした。
【0080】一方、市販ダンボール箱内のカーネーショ
ンは4日で最盛期の赤い色を示し、茎の緑も保持してい
た。鮮度の保持は5〜6日までが限度であった。菊は5
日で白い花の最盛期で、茎の緑も保持していた。7〜8
日で花びらが落ちた。さらに、得られた光触媒含有シー
トを袋状に成形し、その中に精米したての米を入れて保
管した。
【0081】その結果、米中にコクゾウ虫等の昆虫の発
生も見られず、炊飯した御飯は精米時のものと色、味も
臭いも口当たりも変わらなかった。さらに、前記実施形
態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0082】・ 前記混合溶液を不織布に含浸又は塗布
して、混合溶液を不織布に担持させる請求項5に記載の
光触媒含有シートの製造方法。このように構成した場
合、光触媒を不織布に担持させる作業を容易に行うこと
ができる。また、従来の設備を利用することができ、製
造コストが嵩むのを防止することができる。
【0083】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明の
光触媒含有シートによれば、光触媒の担持量が低下する
のを防止して、その機能を発揮させることができるとと
もに、風合いを損なうのを防止することができる。
【0084】請求項2に記載の発明の光触媒含有シート
によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、光触
媒の機能を確実に発揮させることができるとともに、そ
の光触媒を不織布に確実に担持させることができる。
【0085】請求項3に記載の発明の光触媒含有シート
によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に
加えて、安定な混合溶液を得ることができる。請求項4
に記載の発明の光触媒含有シートによれば、請求項1〜
請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、光触
媒の機能を十分に発揮させることができる。
【0086】請求項5に記載の発明の光触媒含有シート
の製造方法によれば、光触媒を確実に不織布に担持さ
せ、その機能を発揮させることができるとともに、風合
いを損なわない光触媒含有シートを製造することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−292267(JP,A) 特開 平11−81128(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/40 D06M 11/46 D06M 15/00 - 15/72

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒活性を有する光触媒と、活性酸素
    のラジカルによって重合するポリアミドエピクロルヒド
    リン、ポリアミンエピクロルヒドリン、及びポリアミド
    ポリアミンエピクロルヒドリンからなる群から選ばれた
    少なくとも1種のポリマーと、架橋結合性を有するバイ
    ンダーと、分散安定剤とよりなる混合溶液を不織布に担
    持させた光触媒含有シート。
  2. 【請求項2】 前記光触媒はアナターゼ型の二酸化チタ
    ンであり、架橋結合性を有するバインダーはセルロース
    系、アクリロニトリル系及びエステル系から選ばれる少
    なくとも一種の水溶性を有するポリマー又はエマルジョ
    ンであり、分散安定剤は炭素数11〜18の脂肪酸の金
    属せっけん又は金属キレートである請求項1に記載の光
    触媒含有シート。
  3. 【請求項3】 前記混合溶液の水素イオン濃度(pH)
    は5〜9の範囲内である請求項1又は請求項2に記載の
    光触媒含有シート。
  4. 【請求項4】 前記光触媒は不織布の重量の2〜50重
    量%の範囲内で不織布に担持される請求項1〜請求項3
    のいずれかに記載の光触媒含有シート。
  5. 【請求項5】 光触媒活性を有する光触媒と、活性酸素
    ラジカルによって重合するポリアミドエピクロルヒドリ
    ン、ポリアミンエピクロルヒドリン、及びポリアミドポ
    リアミンエピクロルヒドリンからなる群から選ばれた少
    なくとも1種のポリマーと、架橋結合性を有するバイン
    ダーと、分散安定剤とよりなる混合溶液をpH5〜9に
    調整した後、その混合溶液の光触媒を不織布の重量の2
    〜50重量%の範囲内となるように不織布に担持させる
    光触媒含有シートの製造方法。
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