JP3484797B2 - 反り防止機能を有するスプロケット及びブレーキディスク - Google Patents
反り防止機能を有するスプロケット及びブレーキディスクInfo
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Description
スプロケット及びブレーキディスクに関する。
の伝達手段として、1対のスプロケットとそれに張設さ
れるチェーンとを有するものが広く採用されている。通
常、スプロケットは、中心側に配置される環状のハブ部
と、外周側に配置される環状のリング部と、ハブ部とリ
ング部間に設けられ両者を円周一定間隔おきに連結する
半径方向向きの複数のアーム部とから一体形成されてい
る。
広く採用されている。また、製造方法は、炭素鋼板を機
械加工やプレス加工によりスプロケットの形状に加工し
た後、歯部を所望の硬さまで焼入れし、その後仕上げ加
工等を施して製作する手法が採用されている。また、デ
ザイン上の要求から、図15に示すスプロケット100
のように、アーム部101のリング部102側の先端部
の中心PRと、ハブ部103側の基端部の中心PHとを
夫々円周一方向に一定角度ずらしたものもある。
周部に環状の制動部を形成したブレーキディスクを用
い、制動部をパッド部材で挟持して制動力を付与するよ
うに構成したディスクブレーキ装置が広く採用されてい
る。ブレーキディスクとしては、パッド部材が圧接され
る制動部と、車軸等に外嵌固定される円板状のハブ部と
を別部材で構成し、ハブ部と制動部間に複数のピン部材
を装着して、制動部をハブ部にフローティング支持し、
制動部とハブ部とを縁切りすることで、制動時の発熱に
よるブレーキディスクの反りを防止するように構成し
た、所謂フローティングディスクブレーキ装置も広く実
用化されている。また、ブレーキディスクにおいても、
図16に示すブレーキディスク110のように、ハブ部
111と制動部112とを一体成形するとともに、ハブ
部111と制動部112とを複数のアーム部113で連
結し、デザイン上の要求から、アーム部113の制動部
112側の先端部の中心PRと、ハブ部111側の基端
部の中心PHとを夫々円周一方向に一定の規則でずらし
たものもある。
きに配置したスプロケットでは、歯部に対する焼入れ処
理後、リング部が内側へ収縮しようとするが、焼入れに
よりリング部自体は、その硬度が高くなっていることか
ら、この収縮力はアーム部及びハブ部への圧縮応力とし
て作用する。そして、この圧縮応力によりハブ部のアー
ム部に対応する部分が中心側へ変形するという現象が発
生する。このため、歯部の焼入れ後に、ハブ部の内周面
に対して機械加工を施して内周面の真円度を確保するた
めに切削工程が必要であり、スプロケットの製造工程が
複雑化するという問題があった。
て、フローティングディスクブレーキ装置における制動
部とハブ部のように、リング部とハブ部とを別部材で構
成することも考えられるが、部品点数が増大し、その分
製作コストが高くなるという新たな問題が発生する。
とで、ハブ部に作用する圧縮応力を低減させるという着
想に基づいて、アーム部と軽減孔の形状を種々変更した
ものを製作して試験した結果、基本的には、アーム部の
リング部側の先端部の中心と、ハブ部側の基端部の中心
とを夫々円周一方向に一定の規則でずらすことで、ハブ
部の内周面の変形が少なくなることを見出した。また、
図15に示すように、アーム部101の先端部と基端部
とを円周一方向に一定の規則でずらしても、ハッチング
で示す領域Aのように、スプロケット100の半径方向
向きにアーム部101に交叉する縦断線分でハブ部10
2とリング部103とが直接的に接続される領域が存在
すると、ハブ部102の内周面の変形が大きくなること
を見出した。
く、製造上の要求からアーム部の先端部と基端部とを円
周一方向に一定の規則でずらし、しかも、これに止まる
ことなく、スプロケットの半径方向向きにアーム部に交
叉する縦断線分で、ハブ部とリング部とが直接的に接続
されないようにアーム部を形成すること、言い換える
と、スプロケットの半径方向向きの線分が、スプロケッ
トの全周に亙っていずれかの軽減孔に常に交叉するよう
にアーム部及び軽減孔を形成することで、ハブ部内周面
の変形を大幅に低減出来ることを見出したのである。ま
た、1枚の鋼板で一体成形したブレーキディスクにおい
ても、制動部に対する焼入れ処理後にスプロケットと同
様の問題が発生し、しかも、制動時における発熱で、制
動部が膨張して、アーム部に引張応力が作用し、ブレー
キディスク全体が反るという問題があるが、同様の方法
でハブ部の内周面の変形やブレーキディスク全体の反り
を抑制出来ることを見出した。
ーキディスクの構造を複雑化することなく、ハブ部に作
用する圧縮応力や引張応力を低減し、ハブ部内周面の変
形やスプロケット及びブレーキディスクの反りを効果的
に防止し得る反り防止機能を有するスプロケット及びブ
レーキディスクを提供することである。
機能を有するスプロケットは、中心側に配置される環状
のハブ部と、外周側に配置され、外周部に複数の歯を形
成した環状のリング部と、ハブ部とリング部とを連結す
る複数のアーム部とからなり、ハブ部とリンク部とアー
ム部とは略同一平面内に一体的に形成され、ハブ部とリ
ング部間にアーム部で区画された複数の軽減孔が形成さ
れた炭素鋼板からなる平坦な板状のスプロケットであっ
て、前記複数のアーム部は、そのリング部側の先端部の
中心と、ハブ部側の基端部の中心とを夫々円周一方向に
ずらし、且つアーム部の全長の各部において、スプロケ
ットの半径方向向きにアーム部に交叉する縦断線分が軽
減孔に交叉して、縦断線分でハブ部とリング部とが直接
的に接続されないように、直線状或いは緩やかな湾曲状
に設けられたものである。ここで、請求項2記載のよう
に、複数のアーム部のリング部側の先端部の中心と、ハ
ブ部側の基端部の中心とを夫々円周一方向に一定の規則
でずらすことが好ましい実施例である。
ーキディスクは、中心側に配置される環状のハブ部と、
外周側に配置される、環状の制動部を形成したリング部
と、ハブ部とリング部とを連結する複数のアーム部とか
らなり、ハブ部とリンク部とアーム部とは略同一平面内
に一体的に形成され、ハブ部とリング部間にアーム部で
区画された複数の軽減孔が形成された炭素鋼板からなる
平坦な板状のブレーキディスクであって、前記複数のア
ーム部は、そのリング部側の先端部の中心と、ハブ部側
の基端部の中心とを夫々円周一方向にずらし、且つアー
ム部の全長の各部において、ブレーキディスクの半径方
向向きにアーム部に交叉する縦断線分が軽減孔に交叉し
て、縦断線分でハブ部とリング部とが直接的に接続され
ないように、直線状或いは緩やかな湾曲状に設けられた
ものである。ここで、請求項4記載のように、複数のア
ーム部のリング部側の先端部の中心と、ハブ部側の基端
部の中心とを夫々円周一方向に一定の規則でずらすこと
が好ましい実施例である。
ト及びブレーキディスクにおいては、リング部とハブ部
とを連結する複数のアーム部が、その先端部と基端部と
を夫々円周一方向にずらし、且つアーム部の全長の各部
において、回転部材の半径方向向きにアーム部に交叉す
る縦断線分でハブ部とリング部とが直接的に接続されな
いように設けられているので、リング部の膨張や収縮
は、アーム部が弾性変形して軽減孔が変形することで吸
収されることになる。また、このとき軽減孔はアーム部
の弾性変形を許容する空間として作用し、アーム部の弾
性変形に伴って変形することになる。
円周一方向にずらしてあるので、リング部の膨張や収縮
により、リング部とハブ部間の距離が変動しても、この
距離の変動は、アーム部が弾性変形してその先端部が半
径方向に拡大、縮小することで、効果的に吸収されるこ
とになる。また、アーム部の全長の各部において、縦断
線分がハブ部とリング部とに直接的に接続されることが
ないので、リング部の膨張や収縮時に、アーム部が突っ
張ってリング部の膨張や収縮による引張応力や圧縮応力
が直接的にハブ部に作用することが確実に防止され、し
かも、この引張応力や圧縮応力がアーム部に対して効率
的に作用してアーム部の弾性変形が促進され、ハブ部に
作用する引張応力や圧縮応力が一層効率的に吸収され
る。このため、スプロケットにおいては、歯部の焼入れ
後におけるリング部の内側への収縮が、アーム部により
効果的に吸収され、ハブ部内周面の変形が防止される。
また、ブレーキディスクにおいては、制動部の焼入れ後
におけるリング部の内側への収縮が、アーム部により効
果的に吸収され、ハブ部内周面の変形が防止されるとと
もに、制動時における発熱でリング部が膨張しても、ア
ーム部が弾性変形することで、膨張によるリング部とハ
ブ部間の距離の変動が吸収され、ブレーキディスクの反
りが効果的に防止されることになる。
端部の中心と、ハブ部側の基端部の中心とを夫々円周一
方向に一定の規則でずらすと、リング部の膨張や収縮が
複数のアーム部でバランス良く吸収されることになる。
ながら説明する。 <第1実施例>この第1実施例は、単車の駆動力伝達用
のスプロケットに本発明を適用した場合のものである。
図1に示すように、スプロケット1は、図示外の変速機
のホイールハブ軸に外嵌されてボルトで固定されるもの
で、中心にホイールハブ軸が挿通する嵌合孔2を有する
ハブ部3と、外周側の環状のリング部4と、ハブ部3と
リング部4とを円周略一定間隔おきに連結する8本のア
ーム部5とを有し、炭素鋼板により一体成形されてい
る。
交互に重量軽減用の軽減孔6が形成され、アーム部5の
基端部付近においてハブ部3にはスプロケット1固定用
の4つの取付孔7が形成されている。リング部4の外周
部には複数の歯からなる歯部8が形成され、この歯部8
は例えばロックウェルC硬さにおいて35〜55の硬度
になるように熱処理されている。つまり、スプロケット
1は、炭素鋼板を機械加工やプレス加工によりスプロケ
ット1の形状に加工した後、歯部8に対して焼入れ処理
を施し、或いは焼入れ処理した後、焼き戻し処理を施し
て製作されている。
夫々緩やかな湾曲状に形成され、リング部4側の先端部
の中心P1と、ハブ部3側の基端部の中心P2とは円周
一方向にずれ角θ1、θ2だけ交互にずらして配置さ
れ、アーム部5の中心線L1はそれに交叉するスプロケ
ット1の半径方向向きの線分に対して一方向に傾斜状に
配置されている。また、アーム部5は、その全長の各部
において、スプロケット1の半径方向向きにアーム部5
に交叉する縦断線分L2でハブ部3とリング部4とが直
接的に接続されないように設けられている。言い換える
と、アーム部5は、スプロケット1の半径方向向きの線
分が、スプロケット1の全周に亙って、いずれかの軽減
孔6に常に交叉するように配置されている。
する。アーム部5の先端部の中心P1と基端部の中心P
2とは円周一方向にずれ角θ1、θ2だけ交互にずらし
てあり、アーム部5はスプロケット1の半径方向向きの
線分に対して傾斜させてあるので、リング部4の半径方
向への膨張は、図2に仮想線で示すように、アーム部5
が弾性変形することで吸収され、またリング部4の半径
方向への収縮は、図3に仮想線で示すように、アーム部
5が弾性変形することで吸収される。尚、このとき軽減
孔6はアーム部5の弾性変形を許容する空間として作用
し、アーム部5の弾性変形に伴って変形することにな
る。
縦断線分L2がハブ部3とリング部4とに直接的に接続
されることがないので、リング部4の膨張や収縮時に、
アーム部5が突っ張ってリング部4の膨張や収縮による
引張応力や圧縮応力が直接的にハブ部3に作用すること
が確実に防止され、しかも、この引張応力や圧縮応力が
アーム部5に対して効率的に作用してアーム部5の弾性
変形が促進され、ハブ部3に作用する引張応力や圧縮応
力が一層効率的に吸収される。
8に対して施す熱処理によりリング部4が収縮して、図
3に示すように、アーム部5に対して半径方向向きの圧
縮応力F1が作用しても、この圧縮応力F1は、仮想線
で示すように、アーム部5及び軽減孔6が変形すること
で吸収されることになる。このため、ハブ部3に対する
圧縮応力が低減されてハブ部3の中心側への変形が防止
され、熱処理後に機械加工等を施さなくても、嵌合孔2
の真円度は十分に得られることになるのである。
に変更し、軽減孔の形状を全て同じ形状して、その打抜
き工程を簡単化し得る変形例について説明する。尚、前
記実施例と同一部材には同一符号を付してその詳細な説
明を省略する。 (1)図4に示すスプロケット1Aのように、取付孔7
を軽減孔6Aの中心側の端部よりも内側に配置し、12
本のアーム部5Aの先端部の中心P1と、基端部の中心
P2とを夫々円周一方向に一定角度θ3だけずらして配
置し、軽減孔6Aが三日月状になるようにアーム部5A
を湾曲状に設けてもよい。
に、8本のアーム部5Bの基端部に膨出部9を夫々形成
し、8本のアーム部5Bの先端部の中心P1と、基端部
の中心P2とを夫々円周一方向に一定角度θ4だけずら
して配置し、8つの膨出部9の1つおきに取付孔7を形
成することで、8つの軽減孔6Bの形状を全て同形状に
してもよい。
に、取付孔7を軽減孔6Cの中心側の端部よりも内側に
配置し、6本のアーム部5Cの先端部の中心P1と、基
端部の中心P2とを夫々円周一方向に一定角度θ5だけ
ずらして配置し、軽減孔6Cが略ブーメランの形状にな
るようにアーム部5Cを湾曲状に設けてもよい。
に、スプロケット1Cの軽減孔6Cよりも外周側部分に
略ブーメランの形状の軽減孔6Dを配置させ、ハブ部3
とリング部4とをアーム部5Dで連結してもよい。 (5)図8に示すスプロケット1Eのように、取付孔7
を軽減孔6Eの中心側の端部よりも内側に配置し、12
本のアーム部5Eの先端部の中心P1と、基端部の中心
P2とを夫々円周一方向に一定角度θ6だけずらして配
置し、アーム部5Eの湾曲方向を前記実施例におけるア
ーム部5の湾曲方向と反対方向に設定し、アーム部5E
の幅を基端側から先端側へかけて順次幅広に構成しても
よい。
に、8本のアーム部5Fの先端部の中心P1と、基端部
の中心P2とを夫々円周一方向に一定角度θ7だけずら
して配置し、アーム部5Fの基端部の幅を大きく設定
し、8本のアーム部5Fの1つおきに取付孔7を形成す
ることで、アーム部5Fの強度を十分に確保しつつ、8
つの軽減孔6Fの形状を全て同形状にしてもよい。
うに、4本のアーム部5Gの先端部の中心P1と、基端
部の中心P2とを夫々円周一方向に一定角度θ8だけず
らして配置し、アーム部5Gの基端部の幅を大きく設定
し、4本のアーム部5Gの基端部に取付孔7を形成する
ことで、アーム部5Gの強度を十分に確保しつつ、4つ
の軽減孔6Gの形状を全て同形状にしてもよい。
プロケット1、1A〜1Gのサイズ等に応じて任意に設
定することが可能である。本実施例では、単車の駆動力
伝達系に設けられるスプロケット1、1A〜1Gに本発
明を適用したが、駆動力以外の回転力伝達系のスプロケ
ットに対しても本発明を同様に適用出来るし、単車以外
の機器や装置の回転力伝達系に設けられるスプロケット
に対しても本発明を同様に適用出来る。
制動装置のブレーキディスクに本発明を適用した場合の
ものである。図11に示すように、ブレーキディスク1
0は、図示外のホイールハブ軸に取付孔11を介してボ
ルト止めされるもので、車軸挿通用の嵌合孔12を有す
るハブ部13と、外周側の環状の制動部(これがリング
部に相当する)14と、ハブ部13と制動部14とを円
周略一定間隔おきに連結する複数のアーム部15とを有
し、炭素鋼板により一体成形されている。尚、アーム部
15は、本数は、図例以外の本数設けてもよい。
数のスリット16が一定間隔おきに形成され、スリット
16間に配置される連結部17の外周側の先端部の中心
Q1は内周側の基端部の中心Q2に対して一定角度αだ
け周方向にずらして配置されている。尚、複数のスリッ
ト16に代えて、複数の丸孔を所定の配列で形成し、制
動力を高めるように構成してもよい。制動部14とハブ
部13間にはアーム部15と交互に重力軽減用の軽減孔
18が形成され、アーム部15の基端部付近においてハ
ブ部13には2つおきのアーム部15に対応させてブレ
ーキディスク10固定用の取付孔11が形成されてい
る。
に、制動部14側の先端部の中心P10と、ハブ部13
側の基端部の中心P11とが円周一方向にずれ角θ1
0、θ11、θ12の順番で繰り返しずらして設けら
れ、アーム部15の中心線L10はそれに交叉するブレ
ーキディスク10の半径方向向きの線分に対して一方向
に傾斜状に配置されている。また、アーム部15の全長
の各部において、ブレーキディスク10の半径方向向き
にアーム部15に交叉する縦断線分L12でハブ部13
と制動部14とが直接的に接続されないように設けられ
ている。
て説明する。アーム部15の先端部の中心P10と基端
部の中心P11とは円周一方向にずれ角θ10、θ1
1、θ12の順番で繰り返しずらしてあり、アーム部1
5はブレーキディスク10の半径方向向きの線分に対し
て傾斜させてあるので、制動部14の半径方向への膨張
は、図12に仮想線で示すように、アーム部15が弾性
変形することで吸収され、また制動部14の半径方向へ
の収縮は、図13に仮想線で示すように、アーム部15
が弾性変形することで吸収される。尚、軽減孔18はア
ーム部15の弾性変形を許容する空間として作用し、ア
ーム部15の弾性変形に伴って変形することになる。
て、縦断線分L12がハブ部13と制動部14とに直接
的に接続されることがないので、制動部14の膨張や収
縮時に、アーム部15が突っ張って制動部14の膨張や
収縮による引張応力や圧縮応力が直接的にハブ部13に
作用することが確実に防止され、しかも、この引張応力
や圧縮応力がアーム部15に対して効率的に作用してア
ーム部15の弾性変形が促進され、ハブ部13に作用す
る引張応力や圧縮応力が一層効率的に吸収される。
に、制動部14に対して施す熱処理により制動部14が
収縮して、図13に示すように、アーム部15に対して
半径方向向きの圧縮応力F11が作用しても、この圧縮
応力F11は、アーム部15及び軽減孔18が仮想線で
示すように変形することで吸収されることになる。この
ため、ハブ部13に対する圧縮応力が低減されてハブ部
13の中心側への変形が防止され、熱処理後に機械加工
等を施さなくても、嵌合孔12の真円度は十分に得られ
ることになるのである。
膨張して、図12に示すように、アーム部15に対して
半径方向向きの引張応力F12が作用しても、この引張
応力F12は、アーム部15及び軽減孔18が仮想線で
示すように変形することで吸収されることになる。この
ため、フローティングディスクブレーキ装置のブレーキ
ディスクのように、制動部とハブ部とを分割構成しなく
ても、制動時におけるブレーキディスク10の反りを確
実に防止することが可能となり、制動時における性能を
十分に確保しつつ、ブレーキディスク10の製作コスト
を大幅に低減することが可能となる。
示すブレーキディスク10Aのように、連結部17とア
ーム部15の傾斜方向を反対方向に設定してもよい。ま
た、アーム部15及び軽減孔18として、前記スプロケ
ット1、1A〜1Gに示したような構成のアーム部及び
軽減孔を採用することも可能である。
スプロケットとブレーキディスクに対して本発明を適用
したが、制動力や駆動力を伝達する回転部材であれば、
クラッチディスク等に対しても本発明を同様に適用する
ことが可能である。
ロケット及びブレーキディスクによれば、アーム部と軽
減孔の形状を変更するという簡単な構成で部品点数を増
やしたりすることなく、リング部材の膨張や収縮をアー
ム部により効果的に吸収することが可能となり、リング
部の膨張や収縮による、回転部材の反りやハブ部内周面
の変形を防止出来る。また、複数のアーム部の先端部の
中心と基端部の中心とを夫々円周一方向に一定の規則で
ずらすと、リング部の膨張や収縮が複数のアーム部でバ
ランス良く吸収され、リング部の膨張や収縮による、回
転部材の反りやハブ部内周面の変形を一層効果的に防止
出来る。
部に対する焼入れ処理によるリング部の収縮を効果的に
吸収して、ハブ部内周面の変形を防止出来、焼入れ処理
後におけるハブ部内周面への機械加工を省略して、スプ
ロケットの製造工程を簡略化出来る。しかも、スプロケ
ットを一部材で構成するので、その製作コストも高くな
ることはない。
プロケットの場合と同様に、制動部に対する焼入れ処理
によるリング部の収縮を効果的に吸収して、ハブ部内周
面の変形を防止することが可能となり、ハブ部内周面へ
の機械加工を省略してブレーキディスクの製造工程を簡
略化出来る。しかも、制動時における発熱でリング部が
膨張した場合でも、この膨張はアーム部で効果的に吸収
されるので、フローティングディスクブレーキ装置のブ
レーキディスクのように、制動部とハブ部とを分割構成
したりすることなく、一体部材からなるブレーキディス
クでも制動時における反りを効果的に防止出来、ブレー
キディスクの性能を向上しつつその製作コストを大幅に
低減出来る。
Claims (4)
- 【請求項1】 中心側に配置される環状のハブ部と、外
周側に配置され、外周部に複数の歯を形成した環状のリ
ング部と、ハブ部とリング部とを連結する複数のアーム
部とからなり、ハブ部とリンク部とアーム部とは略同一
平面内に一体的に形成され、ハブ部とリング部間にアー
ム部で区画された複数の軽減孔が形成された炭素鋼板か
らなる平坦な板状のスプロケットであって、 前記複数のアーム部は、そのリング部側の先端部の中心
と、ハブ部側の基端部の中心とを夫々円周一方向にずら
し、且つアーム部の全長の各部において、スプロケット
の半径方向向きにアーム部に交叉する縦断線分が軽減孔
に交叉して、縦断線分でハブ部とリング部とが直接的に
接続されないように、直線状或いは緩やかな湾曲状に設
けられている反り防止機能を有するスプロケット。 - 【請求項2】 複数のアーム部のリング部側の先端部の
中心と、ハブ部側の基端部の中心とを夫々円周一方向に
一定の規則でずらしたことを特徴とする請求項1に記載
の反り防止機能を有するスプロケット。 - 【請求項3】 中心側に配置される環状のハブ部と、外
周側に配置される、環状の制動部を形成したリング部
と、ハブ部とリング部とを連結する複数のアーム部とか
らなり、ハブ部とリンク部とアーム部とは略同一平面内
に一体的に形成され、ハブ部とリング部間にアーム部で
区画された複数の軽減孔が形成された炭素鋼板からなる
平坦な板状のブレーキディスクであって、 前記複数のアーム部は、そのリング部側の先端部の中心
と、ハブ部側の基端部の中心とを夫々円周一方向にずら
し、且つアーム部の全長の各部において、ブレーキディ
スクの半径方向向きにアーム部に交叉する縦断線分が軽
減孔に交叉して、縦断線分でハブ部とリング部とが直接
的に接続されないように、直線状或いは緩やかな湾曲状
に設けられている反り防止機能を有するブレーキディス
ク 。 - 【請求項4】 複数のアーム部のリング部側の先端部の
中心と、ハブ部側の基端部の中心とを夫々円周一方向に
一定の規則でずらしたことを特徴とする請求項3に記載
の反り防止機能を有するブレーキディスク。
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