JP3484594B2 - 制電性共重合ポリエステルおよびそれを用いた制電性複合繊維 - Google Patents

制電性共重合ポリエステルおよびそれを用いた制電性複合繊維

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JP3484594B2 JP12010996A JP12010996A JP3484594B2 JP 3484594 B2 JP3484594 B2 JP 3484594B2 JP 12010996 A JP12010996 A JP 12010996A JP 12010996 A JP12010996 A JP 12010996A JP 3484594 B2 JP3484594 B2 JP 3484594B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた制電性を有す
る共重合ポリエステルおよびそれを用いた熱可塑性合成
繊維に関するものであり、更に詳しくはインナー、中
衣、スポーツ衣料などの衣料用素材に特に好適に使用す
ることができるものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルやポリアミドに代表される
熱可塑性合成繊維は機械的強度、耐薬品性、耐熱性など
に優れるため、衣料用途や産業用途などを主体に広く使
用されている。しかしながら、これらの合成繊維は極め
て制電性が低いため、インナー、中衣、スポーツ衣料な
どのように直接的に肌に触れて、あるいは肌側に近い状
態で着用される分野に使用する場合には、静電気を生じ
やすく、衣料用途への進出は限定されているのが実情で
ある。
【0003】従来よりこの問題を解決するために繊維の
帯電性を低減もしくは、実質的に防止するために繊維の
表面に帯電防止剤を塗布する方法や繊維に練り込む方法
などが提案されている。しかしながらこれらの方法で
は、制電性の効果が経時的に変化するという問題があ
る。
【0004】この欠点を解消するため、特開昭53−1
11116号公報には特定のポリエーテルエステルを芯
成分とした芯鞘型の制電性複合繊維が提案されている。
しかし、ポリアルキレングリコールを単独共重合したポ
リエステルを芯成分として用いているため、繊維物性
(強伸度特性)が経時的に変化するという問題がある。
また該ポリエーテルエステルの着色は激しく、得られる
最終製品の品位が損なわれるといった問題点もある。
【0005】また、特開昭62−267352号公報に
は特定のポリアルキレングリコールを50〜70重量%
配合してなるポリエステル組成物が開示されている。こ
の組成物からなる繊維は吸湿性を奏するものであるが、
繊維物性(強伸度)が低く、また耐水性および染色堅牢
性に劣るため衣料用および産業用での使用は困難であ
る。
【0006】また特開昭54−120730号公報には
ポリエステルと実質的に非反応性のポリオキシアルキレ
ングリコールを混合したポリエステルを芯成分とした芯
鞘型の制電性複合繊維が提案されている。該芯鞘複合繊
維の芯成分中のポリオキシアルキレングリコールの混合
量は少なく、十分な制電効果を得ることは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を克服し、制電性の高い共重合ポリエ
ステルを用いることにより、商品価値の高い制電性複合
繊維を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、親水性化合物(A)を全ポリマ重量に対して40〜
99重量%共重合したポリエステルであって、極性基含
有化合物(B)および/または架橋剤(C)を含有し、
アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩
(E)を配合した制電性に優れた共重合ポリエステルお
よびそれからなる複合繊維によって達成することができ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】共重合ポリエステルは本発明の目
的である繊維に制電性を付与する成分であり、ベースと
なる繊維形成性重合体よりも高い制電性を有することが
必須である。
【0010】共重合ポリエステルの酸成分としては、テ
レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2、6−ジカ
ルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシ
ン酸等の脂肪族ジカルボン酸等があげられる。特に好ま
しいのはテレフタル酸である。また、グリコール成分と
してエチレングリコール、プロピレングリコール、テト
ラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール等があげられる。特に好ましいのはエ
チレングリコールである。
【0011】共重合ポリエステルに制電性を付与するた
めには親水性化合物(A)を共重合すること、アルカリ
金属塩またはアルカリ土類金属塩(E)を配合させるこ
とは必須であり、極性基含有化合物(B)および/また
は架橋剤(C)は制電性をさらに向上させる補助成分と
して、また繊維物性を安定させる成分として含有させる
必要がある。
【0012】共重合ポリエステル中の親水性化合物
(A)の共重合量は、制電性および製糸性の観点から、
40〜99重量%が必要である。さらに好ましくは50
〜95重量%、特に好ましくは55〜90重量%であ
る。
【0013】さらに、親水性化合物(A)の分子量はポ
リエステルとの相溶性およびポリエステル中の分散性の
点で600〜20000が好ましく、さらに好ましくは
2000〜10000であり、特に好ましくは3000
〜9000である。
【0014】親水性化合物(A)としてはエステル形成
性基を1個以上含有する化合物であれば特に限定はしな
いが、代表的な化合物としてポリオキシアルキレン化合
物、ポリオキサゾリン類、ポリアクリルアミドとその誘
導体、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(メタ)
アクリル酸およびその塩、ポリヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ポリビニルアルコール、およびポリ
ビニルピロリドンなどがあげられる。その中でもポリオ
キシアルキレン化合物が好ましい。ポリオキシアルキレ
ン化合物としてポリオキシエチレン化合物、ポリオキシ
プロピレン化合物、ポリオキシテトラメチレン化合物等
があり、その中でもポリオキシエチレン化合物が好まし
く、特にポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチ
レングリコールの中でも結晶化抑制因子成分を含むポリ
エチレングリコールが特に好ましい。ここで、結晶性抑
制因子成分とは分子鎖中あるいは末端に存在し、ポリエ
チレングリコールの繰り返し単位の対称性を乱すような
有機残基をいう。結晶化抑制とは示差走査熱分析(DS
C、昇温条件16℃/分)によって求めた融点が同じ分
子量のポリエチレングリコールの融点より低くなること
をいう。具体的な化合物としては下記一般式(III)
【化3】 (式中Xは−CR5 6 −(R5 およびR6 は水素また
はアルキル基を示す)、−SO2 −、−O−、−S−、
−C(O)−等であり、10≦n+m≦450の整数を
示す)で表されるポリエチレングリコールの誘導体をあ
げることができ、ビスフェノールAやビスフェノールS
等にエチレンオキサイド(EO)を付加させた化合物が
特に好ましい。
【0015】これらの化合物は大部分ポリエステル中に
共重合されている必要があるが、一部についてはポリマ
中に分散した状態で存在していてもよい。
【0016】また共重合ポリエステル中に含有させる極
性基含有化合物(B)として特に限定はしないが下記一
般式(I)
【化4】 (式中R1 は有機残基、Xはエステル形成性基でありn
は1以上の整数、Yiはアミノ基、スルホン酸基、カル
ボキシル基、水酸基、アミド基、およびホスホン酸基等
の誘導体の中から選ばれる1つ以上の極性基を示す(i
≧1の整数))で表される極性基を有する化合物が好ま
しい。ここで含有とは、ポリエステル中に分散または共
重合した状態をいうが、特に共重合していることが好ま
しい。化合物としては特にスルホン酸塩基を有する化合
物が好ましい。極性基含有化合物を含有させることでポ
リマの制電性がさらに高まるばかりか、ポリマ中に水素
結合やイオン性相互作用が生じ、繊維とした場合に経時
的な物性の変化が生じにくいという効果も持つ。
【0017】共重合ポリエステル中の極性基含有化合物
(B)の含有量は全ポリマを構成する酸成分に対して0
〜50モル%が好ましく、さらに好ましくは1〜30モ
ル%であり、特に好ましくは2〜15モル%である。該
含有量とすることにより、糸切れしにくく、また繊維強
度が高くなりかつ経時的な伸度変化が生じにくいので好
ましい。
【0018】また、共重合ポリエステル中に含有させる
架橋剤(C)としては該ポリエステルと反応し、架橋構
造を形成する化合物であれば特に限定はないが一般には
下記一般式(II)
【化5】 (式中R2 は3〜6の有機残基、R3 は水素あるいはア
セチル基、R4 は水素あるいはアルキル基、3≦m+n
≦6を示す)で表される多官能化合物を用いることが好
ましい。ここで含有とは、ポリエステル中に分散するこ
とも含むが、共重合により架橋構造をとることが好まし
い。化合物としてはトリメリット酸、ピロメリット酸等
の多官能カルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリストールのごときポリオールが好まし
いが、特に好ましいのはトリメリット酸である。架橋剤
(C)を含有させることでポリマの制電性がさらに高ま
るばかりか、ポリマ中に架橋構造が形成し、繊維とした
場合に経時的な物性の変化が生じにくいという効果も持
つ。
【0019】共重合ポリエステル中の架橋剤の割合は全
ポリマを構成する酸成分に対して0〜30モル%が好ま
しく、0.01〜20モル%がより好ましく、さらに好
ましくは0.5〜15モル%、特に好ましくは1〜10
モル%である。該範囲とすることにより、制電性を高く
保持し、製糸性が良好となり、強度等の繊維物性が向上
するので好ましい。
【0020】また本発明において、極性基含有化合物
(B)と架橋剤(C)の少なくともいずれか一方は共重
合ポリエステル中に含有されていなくてはならない。
(B)および(C)の両者を含むことは特に好ましい。
【0021】共重合ポリエステルに配合するアルカリ金
属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)として
は、特に限定はしないがCF3 SO3 Li、LiP
6 、LiClO4 、LiI、LiBF4 、CF3 CO
2 Li、LiSCN、NaI、CF3 SO3 Na、Na
ClO4 、NaBF4 、NaAsF6 、CF3 SO
3 K、KSCN、KPF6 、KClO4 、KBF4 、K
AsF6 、CaF2 、CaCl22 、MgBr2 、M
gCl2 などの化合物が挙げられる。さらに好ましく
は、アルカリ金属塩、特に好ましくは、共重合ポリエス
テルへの分散性という点でLi塩である。これらは、1
種または2種以上を混合してもよい。
【0022】共重合ポリエステル中のアルカリ金属塩お
よび/またはアルカリ土類金属塩(E)の割合は全ポリ
マに対して0.001〜20重量%が好ましく、さらに
好ましくは0.005〜10重量%、特に好ましくは
0.01〜5重量%である。該範囲とすることにより、
制電性を高度に保持することができるので好ましい。
【0023】また共重合ポリエステルには、本発明の目
的を損なわない範囲で酸化チタン、カーボンブラック等
の顔料、従来公知の抗酸化剤、界面活性剤、着色防止
剤、耐光剤等が添加されても勿論良い。
【0024】本発明の共重合ポリエステルを繊維形成性
重合体の構成成分として用いることで今までにない高い
制電特性を持ち、かつ繊維形成性重合体の繊維物性を損
なわない合成繊維を得ることができる。
【0025】また本発明において繊維形成性重合体とし
てポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、
ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポ
リエステルが挙げられるがこれらに限定されるものでは
ない。好ましくは衣料用合成繊維として最も汎用性の高
い、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエス
テルである。
【0026】合成繊維の形態として、芯鞘型複合繊維、
芯鞘型複合中空繊維、海島型複合繊維、張り合わせ型複
合繊維、あるいはブレンド繊維等があげられ、本発明の
制電性ポリエステルを任意の割合で構成成分として用い
ることができる。
【0027】例えば、芯鞘型複合繊維(図1)および芯
鞘型複合中空繊維(図2)の場合、芯部の共重合ポリエ
ステルの複合比率(重量%)は芯/鞘=5/95〜90
/10とすることが好ましい。さらに好ましくは7/9
3〜50/50、特に好ましくは10/90〜30/7
0である。複合比率は染色用途および染色なしの用途で
任意に選ぶことができる。芯部の複合比率の下限は十分
な制電性を付与する目的から設定され、複合繊維比率の
上限は紡糸性の低下や繊維物性の低下を防止する観点か
ら設定される。
【0028】また海島型複合繊維(図3)あるいは張り
合わせ型複合繊維(図4)においても用いる共重合ポリ
エステル(島成分あるいは1成分)の複合比率は5〜9
0重量%が好ましい。さらに好ましくは7〜50重量
%、特に好ましくは10〜30重量%である。複合比率
は、染色用途および染色なしの用途で任意に選ぶことが
できる。複合比率の下限は十分な制電性を付与する目的
から設定され、複合繊維比率の上限は紡糸性の低下や繊
維物性の低下を防止する観点から設定される。
【0029】また繊維形成性樹脂へ共重合ポリエステル
を配合した合成繊維の場合、共重合ポリエステルの配合
比率は全ポリマ量に対して3〜80重量%とする必要が
ある。好ましくは5〜35重量%、さらに好ましくは7
〜30重量%である。配合比率の下限は十分な制電性を
付与する目的から設定され、配合比率の上限は紡糸性の
低下や繊維物性の低下を防止する観点から設定される。
【0030】本発明において繊維形成性重合体に複合す
る主成分は、前記した共重合ポリエステルであるが、そ
の効果を損なわない範囲でポリオレフィン、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリカーボネート等を含んでいても
よい。
【0031】また繊維形成性重合体には、酸化チタン、
カーボンブラック等の顔料のほか従来公知の抗酸化剤、
着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤等が添加されても勿論
良い。
【0032】本発明においてポリエステルと上記共重合
ポリエステルを用いる複合繊維の製法としては従来公知
の方法で製造することができるが、以下に代表して芯鞘
型複合繊維の製造法を示す。
【0033】例えば、芯鞘複合繊維の場合、ポリエステ
ル(鞘部)と本発明の共重合ポリエステル(芯部)をそ
れぞれ別々に溶融し、紡糸パックに導き口金装置内で芯
鞘複合流を形成し、吐出孔から紡出する。
【0034】紡出したフィラメント糸を所定の速度で引
取った後、一旦パッケージに巻上げ、得られた未延伸糸
を通常の延伸機にて延伸する。また、この延伸は紡出糸
を引取った後巻取ることなく連続して行い巻上げてもよ
いし、4000m/分以上の高速で引取り実質的に延伸
することなく一挙に所望の繊維性能を得る方法をとって
もよい。
【0035】直接紡糸延伸法としては、例えば、紡出糸
を1000〜5000m/分で引取り、引続いて300
0〜6000m/分で延伸・熱固定する方法が挙げられ
る。本発明の合成繊維の断面形状は丸ばかりでなく、三
角、偏平、多葉型などの異形断面でも良い。また、該合
成繊維の糸状形態は、フィラメント、ステープルのどち
らでも良く、用途によって適宜選定される。布帛形態と
しては、織物、編物、不織布など目的に応じて適宜選択
できる。
【0036】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法によって
求めた。 A.ポリエステルの極限粘度 [η] オルトクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。
【0037】B.強度、伸度 東洋ボールドウィン社製テンシロン引張り試験機を用い
て試長20cm、引張り速度10cm/分の条件で応力−歪み曲
線から値を求めた。
【0038】C.繊維の経時変化 延伸糸を20℃、70%RHの雰囲気下に一ヶ月放置
し、B項に記した強伸度特性について延伸直後と比較
し、伸度の低下度合いを測定した。延伸直後より伸度が
8%以上低下した場合(例えば40%であった伸度が3
2%以下となる場合)を△、16%以上と大きく低下し
た場合(例えば40%であった伸度が24%以下となる
場合)を×として、8%未満を○(良好)とした。
【0039】D.制電性 (1)共重合ポリエステルの表面固有抵抗 共重合ポリエステルを乾燥し、加熱プレス装置を用いて
厚さ100μのシートを作成した。該シートを室温20
℃,65%RH下に1時間放置し、川口電気製作所MM
AII−15超微小電流計でシートの表面固有抵抗を測
定した。
【0040】(2)繊維の比抵抗 試料を0.2%のアニオン界面活性剤の弱アルカリ水溶
液中で電気洗濯機を用いて2時間洗濯後、水洗,乾燥す
る。ついで、該試料を長さ(L)5cm,繊度(D)10
00デニールの繊維束に引き揃えて20℃,40%RH
下で2日間調湿した後、振動容量型微小電位測定装置に
より、印加電圧500Vで試料の抵抗を測定し次式によ
り算出する。 ρ=(R×D)/(9×105 ×L×d) ρ:体積固有抵抗(Ω・cm) R:抵抗(Ω) d:試料密度(g/cm3 ) D:繊度(デニール) L:試料長(cm)
【0041】実施例1 共重合ポリエステルとして、ジメチルテレフタル酸19
4部、エチレングリコール135部、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸ジメチル(SSIA)16部、トリメ
リット酸トリメチル(TMTM)5.5部およびテトラ
ブチルチタネート0.05部を加え、140〜230℃
でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った
後、リン酸トリメチル0.08部のエチレングリコール
溶液および分子量7000のポリエチレングリコール5
00部、CF3 CO2 Li0.5部、抗酸化剤としてIr
ganox 1010(チバガイキー社製)0.4部、消泡剤とし
てシリコン0.2部、およびテトラブチルチタネート
0.05部を加え、1.0mmHgの減圧下260℃の
条件下4時間重合を行い共重合ポリエステルを得た。ま
たこの共重合体に共重合されたポリエチレングリコール
の割合は70wt%であった。得られた共重合ポリエス
テルをシート化し表面固有抵抗を測定したところ0.2
×106 Ωcmであった。
【0042】該共重合ポリエステルを芯成分とし、極限
粘度0.70のポリエチレンテレフタレートを鞘成分と
して別々に溶融し、同心円芯鞘複合口金から芯/鞘比率
(重量比)=15/85になるように吐出して未延伸糸
を得、次いで延伸、熱処理することにより75デニール
24フィラメントの同心円芯鞘複合繊維を得た。この繊
維の比抵抗を測定したところ0.5×108 Ωcmであ
り、強伸度特性も良好であった。また、経時的な伸度低
下も生じなかった。
【0043】実施例2、3、比較例1 実施例1において、共重合ポリエステル中のポリエチレ
ングリコール共重合比率を一定として、SSIA量また
はTMTM量を変更させた以外は実施例1と同様な方法
により共重合ポリエステルを得た。比較例1においては
比抵抗が比較的高く、経時的な伸度低下が生じた。
【0044】
【表1】 実施例4〜13、比較例2、3 実施例1と同様にSSIAを5モル%、TMTMを2モ
ル%、CF3 CO2 LiをO.5部と一定にし、ポリエ
チレングリコールの分子量または共重合量を変更する以
外は実施例1と同様な方法により共重合ポリエステルを
得た。実施例1と同様に繊維化して繊維特性を表2にま
とめた。PEGの共重合量が40重量%より少ないもの
(比較例2)は十分な制電性が得られず、PEGの共重
合量が99重量%より多い(比較例3)と成型が困難と
なり、またこれを用いて繊維化した場合、共重合ポリエ
ステルの曳糸性が低く、糸切れが多発し、複合繊維は得
られなかった。
【0045】
【表2】 実施例14〜31 実施例1と同様にPEG7000を用い、共重合量を7
0重量%とし、SSIA共重合量またはTMTM共重合
量、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩種、アル
カリ金属塩またはアルカリ土類金属塩添加量を変更する
以外は実施例1と同様な方法により共重合ポリエステル
を得た。実施例1と同様に繊維化して繊維特性を表3に
まとめた。SSIAおよびTMTM共重合によって経時
変化は抑制できるが、共重合量が増すことによって、若
干の強度低下が認められた。
【0046】実施例32〜39 実施例1と同様にPEG7000を用いる代わりに、ビ
スフェノールAのEO付加物またはビスフェノールSの
EO付加物(いずれも分子量5000)を用いた以外
は、実施例1と同様に共重合ポリエステルおよびそれを
用いた複合繊維を得た。実施例1と同様に繊維化して繊
維特性を表3にまとめた。
【0047】
【表3】 実施例40〜44 実施例1で得られた共重合ポリエステルを芯成分とし、
実施例1と同様に極限粘度0.70のポリエチレンテレ
フタレートを鞘成分として別々に溶融し、同心円芯鞘複
合口金から芯鞘複合比を変更して未延伸糸を得、次いで
延伸、熱処理することにより75デニール24フィラメ
ントの同心円芯鞘複合繊維を得た。繊維特性を表4にま
とめたが、芯比率を上げるとともに、比抵抗は向上する
が、強伸度の低下と若干の経時変化が認められるように
なる。
【0048】
【表4】 実施例45〜49 実施例40〜44において、芯鞘界面に中空部を形成す
る口金を用いた以外は同様な方法により、75デニール
24フィラメントの芯鞘型複合中空繊維(中空率6%)
を得た。繊維特性を表5にまとめたが、芯比率を上げる
とともに、比抵抗は向上するが、強伸度の低下と若干の
経時変化が認められるようになる。
【0049】特にこの繊維から得た筒編み地を染色し得
た染色布は堅牢性が良好であった。
【0050】
【表5】 実施例50〜54 実施例1で得られた共重合ポリエステルを島成分(18
島)とし、極限粘度0.70のポリエチレンテレフタレ
ートを海成分として別々に溶融し、海島型複合口金から
適宜島/海比率を変更して未延伸糸を得、次いで延伸、
熱処理することにより75デニール9フィラメントの海
島型複合繊維を得た。繊維特性を表6にまとめたが、島
比率を上げるとともに、比抵抗は向上するが、強伸度の
低下と若干の経時変化が認められるようになる。
【0051】
【表6】 実施例55〜57 実施例1で得られた共重合ポリエステル(A)と、極限
粘度0.70のポリエチレンテレフタレート(B)とを
別々に溶融し、張り合わせ型複合口金から張り合わせ比
率(重量比)A/B=70/30、50/50、30/
70となるように吐出して未延伸糸を得、次いで延伸、
熱処理することにより75デニール24フィラメントの
張り合わせ型複合繊維を得た。繊維特性を表7にまとめ
たが、良好な比抵抗と強伸度特性を有する。
【0052】
【表7】 実施例58〜61 実施例1で得られた共重合ポリエステル(A)を極限粘
度0.70のポリエチレンテレフタレート(B)に重量
比を適宜変更してエクストルーダーに同時に溶融混合し
これを円状の口金より吐出して未延伸糸を得、次いで延
伸、熱処理することにより75デニール24フィラメン
トのポリエステル繊維を得た。繊維特性を表8にまとめ
たが、ブレンド比率を上げるとともに、比抵抗は向上す
るが、強伸度の低下と若干の経時変化が認められるよう
になる。
【0053】
【表8】
【0054】
【発明の効果】本発明によって得られた共重合ポリエス
テルは非常に高い制電性を有しており、またそれを用い
た合成繊維は、着用快適性を得るのに十分な制電性を有
し、かつ高い染色堅牢性や耐光性を有している。本発明
の合成繊維は、下着、シャツ・ブラウス類、中衣、スポ
ーツウェア、スラックス類、外衣、裏地、カーテン、壁
紙、さらには、シーツ、フトンカバー、詰め綿等の寝装
用に適しており、極めて実用性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の芯鞘型複合繊維の横断面の例示図
【図2】本発明の芯鞘型複合中空繊維の横断面の例示図
【図3】本発明の海島型複合繊維の横断面の例示図
【図4】本発明の張り合わせ型複合繊維の横断面の例示
【符号の説明】
1:共重合ポリエステル 2:繊維形成性ポリエステル 3:中空部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C08L 67/00 - 67/02

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性化合物(A)を全ポリマ重量に対
    して40〜99重量%共重合したポリエステルであっ
    て、極性基含有化合物(B)および/または架橋剤
    (C)を含有し、アルカリ金属塩および/またはアルカ
    リ土類金属塩(E)を配合した制電性共重合ポリエステ
    ル。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属塩および/またはアルカリ
    土類金属塩(E)を制電性共重合ポリエステルに対して
    0.001〜20重量%配合することを特徴とする請求
    項1記載の制電性共重合ポリエステル。
  3. 【請求項3】 アルカリ金属塩および/またはアルカリ
    土類金属塩(E)の金属種が、Li、Na、K、Mg、
    Ca、Sr、Baの中から選ばれた少なくとも一種であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の制電性共重
    合ポリエステル。
  4. 【請求項4】 親水性化合物(A)の分子量が600〜
    20000であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項記載の制電性共重合ポリエステル。
  5. 【請求項5】 親水性化合物(A)としてポリオキシア
    ルキレン化合物を用いたことを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項記載の制電性共重合ポリエステル。
  6. 【請求項6】 親水性化合物(A)として結晶化抑制因
    子成分を含有するポリオキシアルキレン化合物を用いた
    ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の制電
    性共重合ポリエステル。
  7. 【請求項7】 極性基含有化合物(B)を0〜50モル
    %、架橋剤(C)を0〜30モル%(ただしB+C≠
    0)含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    1項記載の制電性共重合ポリエステル。
  8. 【請求項8】 極性基含有化合物(B)として下記一般
    式(I) 【化1】 (式中R1 は有機残基、Xはエステル形成性基でありn
    は1以上の整数、Yiはアミノ基、スルホン酸基、カル
    ボキシル基、水酸基、アミド基、およびホスホン酸基等
    の誘導体の中から選ばれる1つ以上の極性基を示す(i
    ≧1の整数))で表される極性基を有する化合物を用い
    たことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の
    制電性共重合ポリエステル。
  9. 【請求項9】 架橋剤(C)として下記一般式(II) 【化2】 (式中R2 は3〜6価の有機残基、R3 は水素あるいは
    アセチル基、R4 は水素あるいはアルキル基、3≦m+
    n≦6)で表される多官能化合物を用いることを特徴と
    する請求項1〜8のいずれか1項記載の制電性共重合ポ
    リエステル。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項記載の共
    重合ポリエステルを構成成分として用いた制電性に優れ
    た複合繊維。
  11. 【請求項11】 芯部/鞘部の複合比率(重量%)が5
    /95〜90/10である芯鞘型複合繊維であって、鞘
    部に繊維形成性重合体を用い、芯成分に請求項1〜9の
    いずれか1項記載の共重合ポリエステルを用いたことを
    特徴とする制電性に優れた芯鞘型複合繊維。
  12. 【請求項12】 芯部/鞘部の複合比率(重量%)が5
    /95〜90/10である芯鞘型複合繊維であって、鞘
    部に繊維形成性重合体を用い、芯成分に請求項1〜9の
    いずれか1項記載の共重合ポリエステルを用い、かつ該
    芯部が該複合繊維内部に設けた中空部分と接しているこ
    とを特徴とする制電性に優れた芯鞘型複合繊維。
  13. 【請求項13】 海部/島部の複合比率(重量%)が5
    /95〜90/10である海島型複合繊維であって、海
    部に繊維形成性重合体を用い、島部に請求項1〜9のい
    ずれか1項記載の共重合ポリエステルを用いたことを特
    徴とする制電性に優れた海島型複合繊維。
  14. 【請求項14】 繊維形成性重合体を95〜10重量%
    と請求項1〜9のいずれか1項記載の共重合ポリエステ
    ルを5〜90重量%用いたことを特徴とする制電性に優
    れた張り合わせ型複合繊維。
  15. 【請求項15】 繊維形成性重合体がポリエステルであ
    ることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項記
    載の制電性に優れた複合繊維。
  16. 【請求項16】 繊維形成性重合体に請求項1〜9のい
    ずれか1項記載の共重合ポリエステルを全ポリマ重量に
    対して3〜80重量%配合したことを特徴とする制電性
    に優れたブレンド繊維。
  17. 【請求項17】 繊維形成性重合体がポリエステルであ
    ることを特徴とする請求項16記載の制電性に優れたブ
    レンド繊維。
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