JP3481766B2 - 積層体およびその製造方法 - Google Patents

積層体およびその製造方法

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JP3481766B2 JP07782296A JP7782296A JP3481766B2 JP 3481766 B2 JP3481766 B2 JP 3481766B2 JP 07782296 A JP07782296 A JP 07782296A JP 7782296 A JP7782296 A JP 7782296A JP 3481766 B2 JP3481766 B2 JP 3481766B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は繊維質基体層(A)
およびJIS−A硬度が70〜98のポリエステルエラ
ストマーからなる無孔質層(B)の2層から構成される
積層体;繊維質基体層(A)、熱可塑性エラストマーか
らなる多孔質層(C)およびJIS−A硬度が70〜9
8のポリエステルエラストマーからなる無孔質層(B)
の3層から構成される積層体;並びにこれらの積層体の
製造方法に関する。本発明によれば、耐薬品性、耐摩耗
性および層間の剥離強力などに優れており、高級感のあ
る銀面層付きの皮革様の積層体が提供される。
【0002】
【従来の技術】従来、銀面層付の皮革様の積層体の製造
方法としては、離型紙上にポリウレタン溶液を塗布し、
乾燥してフイルムを形成したあと、該フイルムを編織布
または不織布からなる基体の表面に接着剤で貼り合わ
せ、離型紙を剥離する方法、いわゆる乾式法が一般的に
用いられている。また基体の表面に、ポリウレタン溶液
を塗布し、湿式凝固法または乾式凝固法にて多孔質のポ
リウレタン層を形成し、その上に着色剤を含む樹脂溶液
を塗布・乾燥して着色層を形成した後、エンボスロール
で凹凸模様を形成する方法も一般に用いられている。
【0003】特開昭53−62803号公報には、基体
上に設けられた合成樹脂層の表面上に、膜状に溶融押し
出しされた合成樹脂を積層すると共に、離型材を用いて
スキン層表面をエンボスすることを特徴とする合成皮革
のスキン層の形成方法が記載されている。特開昭62−
282078号公報には、金属蒸着層にT−ダイから押
し出されたポリウレタン溶融物を積層するシートの製造
方法が記載されている。また、特開平2−307986
号公報には、合成繊維布帛の表面にシランカップリング
剤をあらかじめ付与しておき、しかる後にその表面に熱
可塑性樹脂を溶融押し出しして布帛に圧着し、布帛と熱
可塑性樹脂層との接着強力を向上させる方法が記載され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
公知の方法では、作業環境を悪化させる有機溶媒が用い
られていたり、引っ張ったり、折り曲げたりした際に表
面に安っぽい印象を与える凹凸模様が現れたり、基体層
と表面層との剥離が容易に生じたり、あるいは表面層の
凝固に長時間を要するため、製造速度を高めることがで
きず、結果的に製造コストが高くならざるを得ないとい
う種々の問題点を有している。さらに、表面層として熱
可塑性ポリウレタン層を用いた積層体は、耐薬品性に劣
っており、化学薬品などと接触する可能性があるような
用途には用いることができなかった。
【0005】本発明の目的は、耐薬品性、耐摩耗性およ
び層間の剥離強力などに優れており、引っ張ったり、折
り曲げたりした際に安っぽい凹凸模様が表面に現れな
い、高級感のある銀面層付きの皮革様の積層体を提供す
ることにある。さらに、本発明の他の目的は、有機溶媒
を使用しない良好な作業環境下で、上記の特徴を有する
積層体を高速で製造することができる方法を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、繊維質基体層
(A)の表面に、JIS−A硬度が70〜98のポリエ
ステルエラストマーからなる無孔質層(B)を有し、か
つ該無孔質層(B)の表面に凹凸模様または鏡面模様が
存在している積層体〔以下、積層体(I)と称すること
がある〕に関する。
【0007】本発明は、繊維質基体層(A)の表面に、
熱可塑性エラストマーからなり気泡を含有する多孔質層
(C)を有し、その上にJIS−A硬度が70〜98の
ポリエステルエラストマーからなる無孔質層(B)を有
し、かつ該無孔質層(B)の表面に凹凸模様または鏡面
模様が存在している積層体〔以下、積層体(II)と称す
ることがある〕に関する。
【0008】本発明は、(i)膜状に溶融押し出しされ
たJIS−A硬度が70〜98のポリエステルエラスト
マーを、流動性を有している内に繊維質基体層(A)の
表面に押し付けて接着させることにより、繊維質基体層
(A)の表面に無孔質層(B)を形成するとともに、
(ii)該ポリエステルエラストマーが流動性を有してい
る内に、無孔質層(B)の表面を型押しして凹凸模様ま
たは鏡面模様を形成する積層体の製造方法に関する。
【0009】さらに本発明は、(i)膜状に溶融押し出
しされた気泡または気泡発生物質を含有する熱可塑性エ
ラストマーを、流動性を有している内に繊維質基体層
(A)の表面に押し付けて接着させることにより、繊維
質基体層(A)の表面に多孔質層(C)を形成し、(i
i)次に、膜状に溶融押し出しされたJIS−A硬度が
70〜98のポリエステルエラストマーを、流動性を有
している内に多孔質層(C)の表面に押し付けて接着さ
せることにより、多孔質層(C)の表面に無孔質層
(B)を形成するとともに、(iii)該ポリエステルエ
ラストマーが流動性を有している内に、無孔質層(B)
の表面を型押しして凹凸模様または鏡面模様を形成する
積層体の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる繊維質基体
は、適度の厚みと充実感を有し、かつ柔軟な風合いを有
するシート状のものであればよく、従来より皮革様の積
層体の製造に使用されている各種の繊維質基体を使用す
ることができる。例えば、極細繊維又はその束状繊維、
特殊多孔質繊維、通常繊維、天然繊維などからなる絡合
不織シート、織編物シート、これらのシートの繊維間に
バインダーとしてポリウレタンなどの高分子弾性体が多
孔質状又は非多孔質状で含有されている繊維質シート、
これらの繊維質シートの表面にさらに高分子弾性体の多
孔質被覆層を有する繊維質シートなどが挙げられる。極
細繊維束を構成する繊維の細さとしては、好ましくは
0.5デニール以下、より好ましくは0.1デニール以
下であり、また極細繊維束のトータルデニールとして
は、0.5〜10デニールの範囲が好ましい。繊維の種
類としては、ナイロン系の繊維やポリエステル系の繊維
などを挙げることができる。
【0011】これらのなかでも、極細繊維束からなる不
織布中に高分子弾性体を含有した繊維質シートを使用す
ると、天然皮革に近い風合いを有する積層体が得られる
ので好ましい。高分子弾性体としては、従来より皮革様
の積層体の製造に使用されている樹脂を用いることがで
きる。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹
脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、シリ
コン系樹脂やこれらの樹脂の混合物や共重合体などを挙
げることができる。これらのなかでも繊維質基体層
(A)の表面に積層される樹脂層〔すなわち、ポリエス
テルエラストマーからなる無孔質層(B)または熱可塑
性エラストマーからなる多孔質層(C)〕と同種の樹脂
を用いると、繊維質基体層(A)とその表面に積層され
る樹脂層との接着性が向上するため好ましい。特に、ポ
リウレタン系樹脂を用いると、層間の剥離強度が優れる
とともに、天然皮革様の風合いを有する積層体が得られ
やすいので好ましい。繊維質基体を構成する繊維と高分
子弾性体との割合は、重量比で40/60〜90/10
であるのが好ましい。また、繊維質基体層(A)とその
表面に積層される樹脂層との接着性を向上するために、
積層される樹脂と親和性の高い樹脂を含有する表面処理
剤を、繊維質基体層(A)の表面に塗布することもでき
る。この場合には、塗布層の厚さは5μm程度を目安と
する。塗布層の厚さが厚くなると、得られる積層体の柔
軟で一体感のある風合いが損なわれる傾向がある。
【0012】繊維質基体層(A)の厚みは、得られる積
層体の用途などによって任意に選択でき、特に限定され
るものではないが、表面に積層される無孔質層(B)ま
たは多孔質層(C)の厚みとのバランスの点から、0.
3〜3.0mmであることが好ましく、0.5〜2.0
mmであることがより好ましい。
【0013】繊維質基体層(A)の見掛け密度は、柔軟
な風合いを得るためには、0.25〜0.5g/cm3
であることが好ましく、0.3〜0.35g/cm3
あるのがより好ましい。見掛け密度が大きくなると、得
られる積層体の腰がなくなったり、ゴムライクな風合い
となる傾向がある。一方、見掛け密度が小さくなると、
反発性と腰のない風合いとなり、皮革様の風合いが損な
われる傾向がある。
【0014】本発明の積層体は、必要に応じて、繊維質
基体層(A)と無孔質層(B)との間に、熱可塑性エラ
ストマーからなり気泡を含有する多孔質層(C)を形成
してもよい。繊維質基体層(A)と無孔質層(B)との
間に多孔質層(C)を形成することにより、特に、引っ
張ったり、折り曲げたりした際に、安っぽい凹凸模様が
表面に現れず、従来方法では得られないような、より高
級感のある銀面層付きの皮革様の積層体が得られるので
好ましい。
【0015】多孔質層(C)に用いられる熱可塑性エラ
ストマーとしては、例えば、無孔質層(B)の構成成分
として後述したポリエステルエラストマー;ポリエステ
ルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステル
エーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポ
リエステルポリカーボネートポリオールなどの高分子ポ
リオールから選ばれる少なくとも1種と、4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネートなどの有機ジイソシア
ネートと、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ヒドラジン、エチレンジ
アミンなどのイソシアネート基と反応し得る活性水素原
子を2個有する分子量300以下の低分子化合物(鎖伸
長剤)とを反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン;
6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロンなど
をハードセグメントとし、ポリエーテル、ポリエステ
ル、ポリエステルポリエーテルなどをソフトセグメント
とするポリアミドエラストマー;ポリスチレンなどをハ
ードセグメントとし、ポリイソプレン、ポリブタジエ
ン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン
などをソフトセグメントとするスチレン系エラストマ
ー;シリコン系エラストマー;塩化ビニル系エラストマ
ー;オレフィン系エラストマー;フッ素系エラストマ
ー;1,2−ポリブタジエン系エラストマー;ウレタン
/塩ビ系エラストマー;エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン
−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム三元共重合体など
のエチレン系共重合体;塩素化ポリエチレンなどを挙げ
ることができ、これらのうち1種または2種以上を用い
ることができる。これらの中でも、無孔質層(B)との
接着性が優れることから、ポリエステルエラストマーを
用いるのが好ましい。
【0016】多孔質層(C)の形成方法としては、例え
ば、上記した熱可塑性エラストマーに、気泡発生物質
や、必要に応じて着色剤、酸化防止剤、安定剤、可塑
剤、滑剤、充填剤、帯電防止剤などの添加剤を配合した
ものを、押出機を用いて加温加圧下で溶融混練した後
に、T−ダイから溶融状態で膜状に押し出して、流動性
を有している内に繊維質基体層(A)の表面に押し付け
て接着させることにより、繊維質基体層(A)の表面に
多孔質層(C)を形成させる方法、いわゆる溶融製膜法
を用いることができる。
【0017】気泡発生物質としては、公知の種々の発泡
剤を用いることができ、特に限定されるものではない
が、例えば、アゾジカルボンアミド、4,4−オキシビ
ス(ベンゼンスルフォニルヒドラジン)、p−トルエン
スルフォニルヒドラジン、重炭酸ナトリウム、ジニトロ
ソペンタメチレンテトラミンなどを挙げることができ、
これらのうち1種または2種以上を用いることができ
る。発泡剤の使用量としては、熱可塑性エラストマーに
対して0.3〜1.5重量%であるのが好ましく、0.
6〜1.0重量%であるのがより好ましい。
【0018】多孔質層(C)の厚みは、用途により適宜
選べばよいが、一般的には、10〜300μmであるの
が好ましく、20〜150μmであるのがより好まし
い。また、多孔質層(C)の発泡の程度としては、多孔
質層(C)の20〜80体積%が気泡であるのが好まし
く、30〜70体積%が気泡であるのがより好ましい。
多孔質層(C)の気泡の含有割合が上記の範囲内の場合
には、積層体の層間の剥離強力を低下させることなく、
引っ張った際に表面に安っぽい凹凸模様が生じない、高
級感ある銀面層付きの皮革様の積層体が得られるので好
ましい。
【0019】多孔質層(C)に含まれる気泡は、好まし
くは上記した気体発生物質が気体を発生することにより
生じるものである。湿式凝固方法によりポリウレタンを
多孔質に凝固させて皮革様の積層体を製造する従来の方
法では、ポリウレタン溶液を基体に塗布した後、凝固浴
に投入し、ポリウレタンの溶媒と凝固液とを置換して多
孔質に凝固させ、さらに該溶媒をポリウレタンの多孔質
層から除去しなければならない。溶媒の除去が不十分な
場合には、気泡が潰れてしまうため、溶媒を完全に除去
するために多くの時間とユーティリティが必要であり、
したがって製造ラインの速度を高めることができず、製
造コストも高くならざるを得ない。一方、本発明の溶融
製膜法では、発泡樹脂層を単に冷却するだけで多孔質層
が得られるため、ラインスピードを格段に高めることが
でき、製造コストを下げることが可能である。
【0020】無孔質層(B)を構成するポリエステルエ
ラストマーとしては、例えば、結晶性の芳香族ポリエス
テルなどからなるハードセグメントと、脂肪族ポリエー
テル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、
脂肪族ポリエステルポリカーボネートなどから選ばれる
少なくとも1種からなるソフトセグメントとから構成さ
れるブロック共重合体などを挙げることができる。
【0021】ポリエステルエラストマーを構成する結晶
性の芳香族ポリエステルセグメントとしては、例えば、
ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレートなどのセグメント
を挙げることができ、これらのなかでもポリブチレンテ
レフタレートのセグメントが好ましい。
【0022】ポリエステルエラストマーを構成する脂肪
族ポリエーテルセグメントとしては、例えば、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコールなどのセグメントを挙げることが
でき、これらのなかでもポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコールのセグメントが好ましい。
【0023】ポリエステルエラストマーを構成する脂肪
族ポリエステルセグメントとしては、例えば、ε−カプ
ロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトンなどのラ
クトンから誘導されるセグメント;グルタル酸、アジピ
ン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オ
ルトフタル酸などのジカルボン酸成分と、エチレングリ
コール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジ
オール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,
8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,
10−デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、
シクロヘキサンジオールなどのジオール成分とから誘導
されるセグメントを挙げることができる。これらのなか
でも、ジカルボン酸成分としてアジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸を用いるのが好ましく、ジオール成分と
して1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオ
ール、1,9−ノナンジオールを用いるのが好ましい。
さらに必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸
などの3官能以上の多塩基酸や、トリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6
−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの多
価アルコールを少量併用してもよい。
【0024】ポリエステルエラストマーを構成する脂肪
族ポリカーボネートセグメントとしては、例えば、上記
の脂肪族ポリエステルセグメントの構成単位として記載
したジオール成分と、ジメチルカーボネート、ジエチル
カーボネートなどのジアルキルカーボネート、エチレン
カーボネートなどのアルキレンカーボネート、ジフェニ
ルカーボネートなどのジアリールカーボネート等のカー
ボネート化合物とから誘導されるセグメントを挙げるこ
とができる。
【0025】ポリエステルエラストマーを構成する脂肪
族ポリエステルポリカーボネートセグメントとしては、
例えば、上記のジオール成分、ジカルボン酸成分および
カーボネート化合物を同時に反応させることにより得ら
れるセグメント;上記の方法で予め製造された脂肪族ポ
リエステルおよび脂肪族ポリカーボネートを、上記のカ
ーボネート化合物と反応させることにより得られるセグ
メント;上記の方法で予め製造された脂肪族ポリエステ
ルおよび脂肪族ポリカーボネートを、上記のジオール成
分およびジカルボン酸成分と反応させることにより得ら
れるセグメントを挙げることができる。
【0026】無孔質層(B)を構成するポリエステルエ
ラストマーのJIS−A硬度は、70〜98であり、7
5〜90であるのが好ましい。JIS−A硬度が70未
満のポリエステルエラストマーを用いた場合には、得ら
れる積層体の耐摩耗性などの表面物性が低下する。さら
に、賦型ロールからの剥離性が劣るため、無孔質層
(B)の表面を高速で型押しすることができず、かつ型
押し後、凸部の角が流れるいわゆるシボ流れが起こり易
い。一方、JIS−A硬度が98を越えるポリエステエ
ルエラストマーを用いた場合には、無孔質層(B)が堅
くなり、得られる積層体の柔軟な風合いが損なわれる。
【0027】ポリエステルエラストマーの固有粘度は、
フェノール/テトラクロロエタンに溶解し、30℃で測
定したときに、1.0dl/g以上であるのが好まし
く、1.2dl/g以上であるのがより好ましく、1.
4dl/g以上であるのがさらに好ましい。固有粘度が
1.0dl/g以上のポリエステルエラストマーを用い
ることにより、耐摩耗性などの表面物性がより優れた積
層体が得られる。
【0028】無孔質層(B)の成形方法としては、例え
ば、上記したポリエステルエラストマーに、必要に応じ
て、着色剤、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、充填
剤、帯電防止剤、顔料などの添加剤を配合し、押出機に
て加温加圧下で溶融混練した後に、T−ダイから溶融状
態で膜状に押し出して、流動性を有している内に繊維質
基体層(A)の表面〔または多孔質層(C)の表面〕に
無孔質層(B)を形成させる方法、いわゆる溶融製膜法
を用いることができる。無孔質層(B)の厚みは、ポリ
エステルエラストマーの種類や性能などによっても異な
るが、一般には皮革様の風合いを有し、かつ表面強度、
接着強力および屈曲性などの物性が優れている点で、5
〜400μmであるのが好ましく、10〜200μmで
あるのがより好ましい。無孔質層(B)の厚みが薄すぎ
ると、得られる積層体の耐摩耗性などの表面物性が低下
する傾向がある。また、無孔質層(B)の厚みが厚すぎ
ると、得られる積層体の屈曲性が悪くなったり、ゴムラ
イクな風合いとなり、皮革様の風合いが損なわれる傾向
がある。無孔質層(B)は、気泡を含有していないこと
が必要である。気泡を含有している場合には、表面の耐
摩耗性、強度、平滑性、色斑などが劣り、本発明の目的
とするものが得られない。
【0029】膜状に溶融押し出しされたポリエステルエ
ラストマーを、繊維質基体層(A)の表面〔または多孔
質層(C)の表面〕に押し付けて接着させる方法として
は、例えば、あらかじめポリエステルエラストマー
を、繊維質基体層(A)の表面〔または多孔質層(C)
の表面〕上に溶融押し出しした後、ロールと該ロールに
対向するバックロールとの間を通して押圧する方法、
ポリエステルエラストマーをロール上に溶融押し出しし
た後、該ロールと対向するバックロールとの間に、繊維
質基体〔または繊維質基体層(A)と多孔質層(C)か
らなる積層体〕を供給して押圧する方法、繊維質基体
層(A)〔または多孔質層(C)〕とロールとの間に、
ポリエステルエラストマーを直接溶融押し出しして、対
向するバックロールで押圧する方法などを挙げることが
できるが、押圧時にポリエステルエラストマーが流動性
を有していれば、いずれの方法であっても特に大きな差
はない。
【0030】無孔質層(B)の表面に凹凸模様または鏡
面模様を形成する方法としては、例えば、膜状に溶融
押し出しされたポリエステルエラストマーを、流動性を
有している内に、繊維質基体層(A)の表面〔または多
孔質層(C)の表面〕に賦型ロールで押圧することによ
り、繊維質基体層(A)の表面〔または多孔質層(C)
の表面〕に無孔質層(B)を接着すると同時に、無孔質
層(B)の表面に凹凸模様または鏡面模様を形成する方
法、膜状に溶融押し出しされたポリエステルエラスト
マーを、流動性を有している内に、繊維質基体層(A)
の表面〔または多孔質層(C)の表面〕に押圧ロールで
押圧することにより、繊維質基体層(A)の表面〔また
は多孔質層(C)の表面〕に無孔質層(B)を接着した
後、さらに、該ポリエステルエラストマーが流動性を有
している内に、賦型ロールで無孔質層(B)の表面に凹
凸模様または鏡面模様を形成する方法などを挙げること
ができるが、特に限定されるものでない。生産速度を高
める上からは、賦型ロールを用いて接着と賦型を同時に
行うの方法が好ましい。
【0031】膜状に溶融押し出しされたポリエステルエ
ラストマーを押圧する際の最適圧力は、一般には、ゲー
ジ圧が5〜15kg/cm2の範囲を目安に、表面の賦
型性と層間の接着強力を満足する条件で行えばよい。
【0032】無孔質層(B)の表面に賦型する際には、
実質的に無孔質層(B)の温度が低下し、流動性がなく
なってから積層体を賦型ロールから剥離するのが好まし
い。無孔質層(B)がまだ流動性を有している内に積層
体を賦型ロールから剥離すると、凹凸模様あるいは鏡面
模様が崩れ、いわゆるシボ流れを起こし、シャープな凹
凸模様あるいは極めて平滑な鏡面模様が得られにくい。
このため、賦型ロール内部に冷却液を循環したり、冷風
を強制的に送風したりすることにより、賦型ロールの剥
離点付近を冷却することが望ましい。
【0033】上記した賦型ロールとは、ロール表面に鏡
面または凹凸模様のエンボス模様を有するエンボスロー
ルであり、また離型性のエンボスシートと通常のロール
を組み合わせたものであってもよい。エンボスロールを
用いる場合には、容易に所望の深い凹凸感を付与するこ
とができる点で好ましく、エンボスシートを用いる場合
には、エンボスシートの取り替えのみで簡単に任意のエ
ンボスパターンが選べる点で好ましい。鏡面模様の賦型
ロールを用いた場合には、エナメル調の合成皮革が得ら
れるが、場合によってはエナメル調の表面に、さらに凹
凸模様のエンボスを付与してもよい。
【0034】ロールの材質としては、エンボスロールの
場合は、通常、金属ロールが用いられる。バックロール
としては金属ロール、弾性体ロールのいずれでもよい
が、押圧の安定性の点からは弾性体ロールを用いること
が好ましい。
【0035】本発明の積層体は、必要に応じて、積層体
表面の耐摩耗性、汚れ防止性などをさらに向上させるた
め、あるいはより深みのある色調を付与するために、表
面仕上げ剤、着色剤などを無孔質層(B)の表面に塗布
してもよい。
【0036】本発明は、表面層〔無孔質層(B)〕に特
定の硬度のポリエステルエラストマーを用いているた
め、表面層に天然皮革の毛穴シボ品なみの深いシボを有
し、耐薬品性に優れる積層体を高速で製造することがで
き、従来の製造方法と比べて格段に製造コストの低い皮
革様の積層体を製造することが可能である。さらに、本
発明の積層体(II)は、繊維質基体層(A)と無孔質層
(B)との間に、多孔質層(C)が存在していることに
より、特に、引っ張ったり、折り曲げたりした際に、表
面に安っぽい凹凸模様が生じず、従来方法では得られな
いような高級感を有している。
【0037】本発明の積層体は、例えば、靴、ブーツ、
ベルト、コート、ブレザー、スカート、バッグ、カメラ
ケース、財布等の天然皮革製品の代替素材として有用に
用いることができる。特に、耐薬品性に優れているの
で、化学薬品などと接触する可能性がある用途、例え
ば、医療現場、化学薬品の製造現場などで着用される靴
などの素材として極めて有用である。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定され
るものではない。なお、実施例において、耐摩耗性、剥
離強力、耐薬品性は以下の方法により評価した。
【0039】〔耐摩耗性〕テーバー式ロータリーアブレ
ッサー(吸塵ユニット付き)装置を用い、JIS L1096 6.
17.3に準拠して、無孔質層(B)表面の摩耗減少量を測
定した。
【0040】〔剥離強力〕積層体の無孔質層(B)を支
持体に接着し、24時間標準状態に放置後、180度剥
離する方法で測定した。
【0041】〔耐薬品性〕積層体の無孔質層(B)表面
に、N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトンを脱
脂綿を用いて塗布し、30分後の表面のエンボス模様を
観察した。
【0042】参考例1〔ポリエステルエラストマー(T
PEE(1))の製造〕 ジメチルテレフタレート、1,4−ブタンジオール、数
平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールお
よび触媒としてテトラブチルチタネートを反応器に仕込
み、エステル交換反応、続いて重縮合反応を行うことに
より、JIS−A硬度88、固有粘度1.02dl/g
のポリエステルエラストマー(以下、TPEE(1)と
称する)を得た。
【0043】参考例2〔ポリエステルエラストマー(T
PEE(2))の製造〕 ジメチルテレフタレート、1,4−ブタンジオール、数
平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールお
よび触媒としてテトラブチルチタネートを反応器に仕込
み、エステル交換反応、続いて重縮合反応を行うことに
より、JIS−A硬度88、固有粘度1.65dl/g
のポリエステルエラストマー(以下、TPEE(2)と
称する)を得た。
【0044】参考例3〔ポリエステルエラストマー(T
PEE(3))の製造〕 ジメチルテレフタレート、1,4−ブタンジオール、数
平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールお
よび触媒としてテトラブチルチタネートを反応器に仕込
み、エステル交換反応、続いて重縮合反応を行うことに
より、JIS−A硬度67、固有粘度1.20dl/g
のポリエステルエラストマー(以下、TPEE(3)と
称する)を得た。
【0045】参考例4〔ポリエステルエラストマー(T
PEE(4))の製造〕 ジメチルテレフタレート、1,4−ブタンジオール、数
平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールお
よび触媒としてテトラブチルチタネートを反応器に仕込
み、エステル交換反応、続いて重縮合反応を行うことに
より、JIS−A硬度99、固有粘度0.90dl/g
のポリエステルエラストマー(以下、TPEE(4)と
称する)を得た。
【0046】参考例5〔ポリエステルエラストマー(T
PEE(5))の製造〕 1,6−ヘキサンジオール単位およびアジピン酸単位か
らなる固有粘度0.8dl/gの脂肪族ポリエステル
と、ジメチルテレフタレート単位および1,4−ブタン
ジオール単位からなる固有粘度0.85dl/gの結晶
性の芳香族ポリエステルとを、250℃、1mmHg以
下の減圧下で溶融撹拌することにより、JIS−A硬度
87、固有粘度1.42dl/gのポリエステルエラス
トマー(以下、TPEE(5)と称する)を得た。
【0047】参考例6〔熱可塑性ポリウレタン(TPU
(1))の製造〕 3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を
反応させて得られた両末端に水酸基を有する数平均分子
量1497のポリエステルジオール、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネートおよび1,4−ブタンジオ
ールを、二軸スクリュー型押出機に連続的に供給して溶
融重合を行うことにより、JIS−A硬度88の熱可塑
性ポリウレタン(以下、TPU(1)と称する)を得
た。
【0048】実施例1 細さ2.5デニールのポリエステル繊維からなる絡合不
織布にバインダーとしてポリウレタンを含浸した、厚さ
が1.3mm、目付が455g/m2、繊維とポリウレ
タンとの重量比が8:2の繊維質基体を準備した。TP
EE(1)100重量部に黒顔料ペレット5重量部を配
合した組成物を、25mmφの押出機およびT−ダイ
(リップ幅0.5mm、ダイ幅300mm)を用いて、
溶融帯温度190〜220℃、ダイス温度200℃の条
件で膜状に溶融押し出しした。上記の繊維質基体を、表
面に毛穴シボの凹凸模様を有する金属製エンボスロール
と弾性体バックロールとの間に通し、該繊維質基体とエ
ンボスロールとの間に、流動性を有する該溶融押し出し
物を供給して、ゲージ圧10kg/cm2でコールドプ
レスすることにより、表面に毛穴シボを有する皮革様の
積層体をラインスピード30m/分で安定に製造するこ
とができた。この積層体の無孔質層の厚さは100μm
であった。また、剥離強力は15kg/25mmと高
く、摩耗減少量は14mgであった。耐薬品性について
は、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトンともにエ
ンボス模様に変形等は認められなかった。
【0049】実施例2 細さ2.5デニールのポリエステル繊維からなる絡合不
織布にバインダーとしてポリウレタンを含浸した、厚さ
が1.3mm、目付が455g/m2、繊維とポリウレ
タンとの重量比が8:2の繊維質基体を準備した。TP
EE(2)100重量部に黒顔料ペレット5重量部を配
合した組成物を、25mmφの押出機およびT−ダイ
(リップ幅0.5mm、ダイ幅300mm)を用いて、
溶融帯温度190〜220℃、ダイス温度200℃の条
件で膜状に溶融押し出しした。上記の繊維質基体を、表
面に毛穴シボの凹凸模様を有する金属製エンボスロール
と弾性体バックロールとの間に通し、該繊維質基体とエ
ンボスロールとの間に、流動性を有する該溶融押し出し
物を供給して、ゲージ圧10kg/cm2でコールドプ
レスすることにより、表面に毛穴シボを有する皮革様の
積層体をラインスピード30m/分で安定に製造するこ
とができた。この積層体の無孔質層の厚さは100μm
であった。また、剥離強力は17kg/25mmと高
く、摩耗減少量は4mgであった。耐薬品性について
は、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトンともにエ
ンボス模様に変形等は認められなかった。
【0050】実施例3 細さ2.5デニールのポリエステル繊維からなる絡合不
織布にバインダーとしてポリウレタンを含浸した、厚さ
が1.3mm、目付が455g/m、繊維とポリウレ
タンとの重量比が8:2の繊維質基体を準備した。TP
EE(1)100重量部に黒顔料ペレット5重量部、ア
ゾジカルボンアミド系発泡剤(永和化成工業(株)製
「ビニホールAC−#3」)1重量部を配合した組成物
を、25mmφの押出機に仕込み、溶融帯温度180〜
195℃、ダイス温度200℃、リップ幅0.5mm、
ダイ幅300mmの条件で膜状に溶融押し出しした。繊
維質基体を、金属製ロールと弾性体バックロールとの間
に通し、該繊維質基体と金属製ロールとの間に、流動性
を有する該溶融押し出し物を供給してプレスすることに
より、繊維質基体層の表面に発泡した厚さ100μmの
多孔質層が形成された積層体を得た。多孔質層の気泡含
有量は64体積%であった。次に、TPEE(2)10
0重量部に黒顔料ペレット5重量部を配合した組成物
を、上記と同様の押出機およびT−ダイ(リップ幅0.
5mm、ダイ幅300mm)を用いて、溶融帯温度19
0〜220℃、ダイス温度200℃の条件で膜状に溶融
押し出しした。上記の方法で得られた繊維質基体層と多
孔質層とからなる積層体を、表面に毛穴シボの凹凸模様
を有する金属製エンボスロールと弾性体バックロールと
の間に通し、該積層体とエンボスロールとの間に、流動
性を有する該溶融押し出し物を供給して、ゲージ圧10
kg/cmでコールドプレスすることにより、繊維質
基体層の表面に厚さ100μmの多孔質層を有し、さら
に多孔質層表面に厚さ100μmの無孔質層を有する3
層からなる積層体を得た。この積層体は、ラインスピー
ド30m/分で安定して製造することができた。得られ
た積層体は、天然皮革の毛穴シボ品なみに深いシボ感を
有しており、引っ張ったり、折り曲げたりした際に、表
面に安っぽい凹凸模様が生じず、感性の極めて良好な、
高級感を有するものであった。特に、多孔質層を有して
いるので、エンボス賦型性と柔軟性に優れていた。得ら
れた積層体の剥離強力は10kg/25mmと高く、摩
減少量は4mgであった。耐薬品性については、N,
N−ジメチルホルムアミド、アセトンともにエンボス模
様に変形等は認められなかった。
【0051】実施例4 細さ2.5デニールのポリエステル繊維からなる絡合不
織布にバインダーとしてポリウレタンを含浸した、厚さ
が1.3mm、目付が455g/m、繊維とポリウレ
タンとの重量比が8:2の繊維質基体を準備した。TP
EE(1)100重量部に黒顔料ペレット5重量部、ア
ゾジカルボンアミド系発泡剤(永和化成工業(株)製
「ビニホールAC−#3」)1重量部を配合した組成物
を、25mmφの押出機に仕込み、溶融帯温度180〜
195℃、ダイス温度200℃、リップ幅0.5mm、
ダイ幅300mmの条件で膜状に溶融押し出しした。繊
維質基体を、金属製ロールと弾性体バックロールとの間
に通し、該繊維質基体と金属製ロールとの間に、流動性
を有する該溶融押し出し物を供給してプレスすることに
より、繊維質基体層の表面に発泡した厚さ100μmの
多孔質層が形成された積層体を得た。多孔質層の気泡含
有量は64体積%であった。次に、TPEE(5)10
0重量部に黒顔料ペレット5重量部を配合した組成物
を、上記と同様の押出機およびT−ダイ(リップ幅0.
5mm、ダイ幅300mm)を用いて、溶融帯温度19
0〜220℃、ダイス温度200℃の条件で膜状に溶融
押し出しした。上記の方法で得られた繊維質基体層と多
孔質層とからなる積層体を、表面に毛穴シボの凹凸模様
を有する金属製エンボスロールと弾性体バックロールと
の間に通し、該積層体とエンボスロールとの間に、流動
性を有する該溶融押し出し物を供給して、ゲージ圧10
kg/cmでコールドプレスすることにより、繊維質
基体層の表面に厚さ100μmの多孔質層を有し、さら
に多孔質層表面に厚さ100μmの無孔質層を有する3
層からなる積層体を得た。この積層体は、ラインスピー
ド30m/分で安定して製造することができた。得られ
た積層体は、天然皮革の毛穴シボ品なみに深いシボ感を
有しており、引っ張ったり、折り曲げたりした際に、表
面に安っぽい凹凸模様が生じず、感性の極めて良好な、
高級感を有するものであった。特に、多孔質層を有して
いるので、エンボス賦型性と柔軟性に優れていた。得ら
れた積層体の剥離強力は14kg/25mmと高く、摩
減少量は6mgであった。耐薬品性については、N,
N−ジメチルホルムアミド、アセトンともにエンボス模
様に変形等は認められなかった。
【0052】比較例1 無孔質層を構成するTPEE(1)の代わりにTPU
(1)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層体を
ラインスピード30m/分で製造した。得られた積層体
の無孔質層の厚みは100μmであった。製造速度が速
すぎて、無孔質層の表面に凹凸模様が十分に賦型され
ず、凸部の角が流れるシボ流れが起きた。さらに、積層
体の一体感も乏しく、硬い風合いとなった。得られた積
層体の剥離強力は1kg/25mm、摩耗減少量は49
mgであった。耐薬品性については、N,N−ジメチル
ホルムアミドの場合、著しい変形をともなったエンボス
模様の消失が見られ、アセトンの場合もエンボス模様が
崩れた。
【0053】比較例2 無孔質層を構成するTPEE(1)の代わりにTPEE
(4)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層体を
ラインスピード30m/分で製造した。得られた積層体
の無孔質層の厚みは100μmであった。製造速度が速
すぎて、無孔質層の表面に凹凸模様が十分に賦型され
ず、凸部の角が流れるシボ流れが起きた。さらに、積層
体の一体感も乏しく、硬い風合いとなった。得られた積
層体の剥離強力は4kg/25mm、摩耗減少量は14
mgであった。耐薬品性については、N,N−ジメチル
ホルムアミド、アセトンともにエンボス模様に変形等は
認められなかった。
【0054】比較例3 無孔質層を構成するTPEE(2)の代わりにTPEE
(4)を用いる以外は、実施例3と同様にして積層体を
ラインスピード30m/分で製造した。得られた積層体
の多孔質層の厚みは100μm、気泡含有率は62体積
%であり、無孔質層の厚みは100μmであった。積層
体の表面が硬くなりすぎ、ドライタッチで風合いの劣る
ものとなった。得られた積層体の剥離強力は2kg/2
5mm、摩耗減少量は17mgであった。耐薬品性につ
いては、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトンとも
にエンボス模様に変形等は認められなかった。
【0055】比較例4 無孔質層を構成するTPEE(2)の代わりにTPEE
(3)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層体を
ラインスピード30m/分で製造した。得られた積層体
の無孔質層の厚みは100μmであった。製造速度が速
すぎて、無孔質層の表面に凹凸模様が十分に賦型され
ず、凸部の角が流れるシボ流れが起きた。さらに、積層
体の一体感も乏しく、硬い風合いとなった。得られた積
層体の剥離強力は2.9kg/25mm、摩耗減少量は
50mgであった。耐薬品性については、N,N−ジメ
チルホルムアミド、アセトンともにエンボス模様が崩れ
た。
【0056】
【発明の効果】本発明の積層体は、耐薬品性、耐摩耗
性、層間の剥離強力などに優れており、さらに引っ張っ
たり、折り曲げたりした際に、安っぽい凹凸模様が表面
に現れない、高級感のある銀面層付きの皮革様の積層体
である。また、本発明の製造方法によれば、従来技術の
ように有機溶媒を使用する必要がなく、良好な作業環境
下で、上記の特徴を有する積層体を高速で製造すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体(II)を製造することができる
代表的な行程図である。
【符号の説明】
1 繊維質基体層(A) 2 多孔質層(C)用の溶融熱可塑性エラストマー 3 多孔質層(C) 4 無孔質層(B)用の溶融ポリエステルエラストマー 5 無孔質層(B) 6 賦形ロール 7 バックロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−254322(JP,A) 特開 平3−254938(JP,A) 特開 昭52−31802(JP,A) 特開 昭58−36272(JP,A) 特開 昭58−203177(JP,A) 特開 平6−79830(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 D06N 3/00 - 3/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維質基体層(A)の表面に、JIS−
    A硬度が70〜98のポリエステルエラストマーからな
    る無孔質層(B)を有し、かつ該無孔質層(B)の表面
    に凹凸模様または鏡面模様が存在している積層体。
  2. 【請求項2】 繊維質基体層(A)の表面に、熱可塑性
    エラストマーからなり気泡を含有する多孔質層(C)を
    有し、その上にJIS−A硬度が70〜98のポリエス
    テルエラストマーからなる無孔質層(B)を有し、かつ
    該無孔質層(B)の表面に凹凸模様または鏡面模様が存
    在している積層体。
  3. 【請求項3】 (i)膜状に溶融押し出しされたJIS
    −A硬度が70〜98のポリエステルエラストマーを、
    流動性を有している内に繊維質基体層(A)の表面に押
    し付けて接着させることにより、繊維質基体層(A)の
    表面に無孔質層(B)を形成するとともに、(ii)該ポ
    リエステルエラストマーが流動性を有している内に、無
    孔質層(B)の表面を型押しして凹凸模様または鏡面模
    様を形成する積層体の製造方法。
  4. 【請求項4】 (i)膜状に溶融押し出しされた気泡ま
    たは気泡発生物質を含有する熱可塑性エラストマーを、
    流動性を有している内に繊維質基体層(A)の表面に押
    し付けて接着させることにより、繊維質基体層(A)の
    表面に多孔質層(C)を形成し、(ii)次に、膜状に溶
    融押し出しされたJIS−A硬度が70〜98のポリエ
    ステルエラストマーを、流動性を有している内に多孔質
    層(C)の表面に押し付けて接着させることにより、多
    孔質層(C)の表面に無孔質層(B)を形成するととも
    に、(iii)該ポリエステルエラストマーが流動性を有
    している内に、無孔質層(B)の表面を型押しして凹凸
    模様または鏡面模様を形成する積層体の製造方法。
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