JP3479331B2 - 歯科用接着剤 - Google Patents

歯科用接着剤

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JP3479331B2
JP3479331B2 JP28311993A JP28311993A JP3479331B2 JP 3479331 B2 JP3479331 B2 JP 3479331B2 JP 28311993 A JP28311993 A JP 28311993A JP 28311993 A JP28311993 A JP 28311993A JP 3479331 B2 JP3479331 B2 JP 3479331B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は没食子酸またはタンニン
酸誘導体、特に重合性2重結合を有する基を結合させて
なる没食子酸またはタンニン酸誘導体を一成分として用
いることによって、歯質特に象牙質に対し優れた接着性
を発揮し、且つ抗菌性を兼備する歯科用接着剤に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】歯科用接着剤についてはこれまで多くの
製品が市販されており、近年は歯質に対する接着性が更
に改善されたものも提供される様になってきた。こうし
て歯質接着性の改善された接着剤は、接着部の辺縁微少
漏洩を防止する上で効果を発揮しており、微小漏洩を防
ぐことによって2次う蝕の進行が抑止される様になって
きた。 【0003】しかしながら歯科治療においては、象牙質
の深さに及ぶ治療が日常的であり、象牙質との接着性が
重要な評価項目と考えられつつあるが、当該接着に伴っ
て象牙質自体の強化(象牙質コラーゲンの固定)を図る
こと、更にはより積極的に接着部近傍に対して抗菌活性
を発揮せしめる様な接着剤については従来検討されてい
ない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、象牙質の強化と接
着部近傍での抗菌性の発現という2つの効果を発揮する
ことができる様な新規接着剤の提供を目的とするもので
ある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成すること
のできた本発明の接着剤は、下記一般式 【0006】 【化2】 【0007】[R:糖から1つの水酸基を除いた残
基、(メタ)アクリロイルオキシを有するアルコールか
ら1つの水酸基を除いた残基、または水素 R:同一または異なって重合性2重結合を有するアシ
ル基または水素(但しR,Rが全て水素である場
合、及びRが糖から1つの水酸基を除いた残基でR
が全て水素である場合を除く)]で示される没食子酸ま
たはタンニン酸誘導体と、重合性2重結合、並びに酸性
を示す−OH基を残す様に結合されたリン酸エステル部
分またはピロリン酸エステル部分を有する酸性重合性単
量体を含むことを要旨とするものである。 【0008】 【作用】本発明接着剤を構成する没食子酸またはタンニ
ン酸の誘導体は象牙質との接着性を促進すると共に、そ
れ自身が抗菌性を発揮すると期待される化合物であり、
上記一般式中におけるR1 とR2 の各記号の意味につい
て説明すると下記の通りである。 【0009】「糖から1つの水酸基を除いた残基」にお
ける「糖」とは、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七
炭糖等、或はそれらの還元糖を構成単位とする単糖類,
少糖類,多糖類を挙げることができ、例えば糖が六炭糖
である単糖類、具体例としてグルコースであるときにつ
いて説明すると、グルコースのいずれかの水酸基が没食
子酸またはタンニン酸のカルボキシル基とエステル結合
を形成するものである。 【0010】「(メタ)アクリロイルオキシを有するア
ルコールから1つの水酸基を除いた残基」における
「(メタ)アクリロイルオキシを有するアルコール」と
は、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の
様に(メタ)アクリル酸のアルキルエステルにおけるア
ルキル基が水酸基を有する場合;2,4−ジヒドロキシ
ブチル(メタ)アクリレートの様に(メタ)アクリル酸
アルキルエステルにおけるアルキル基が2つまたはそれ
以上の遊離水酸基を有する場合;或はグリシジル(メ
タ)アクリレートの様に(メタ)アクリル酸のアルキル
エステルにおけるアルキル基がエポキシ基を有している
場合;等において、前記遊離水酸基(エポキシ基が開環
して反応機構上形成されると理解される水酸基を含む)
のうちの1つが没食子酸またはタンニン酸のカルボキシ
ル基とエステル結合を形成するものである。 【0011】「重合性2重結合を有するアシル基」と
は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、3−フェ
ニルプロペン酸等で代表される不飽和カルボン酸におけ
るカルボキシル基から−OH部分を除いた残基であり、
上記例示カルボン酸に対応させれば、アクリロイル、メ
タクリロイル、クロトノイル、シンナモイル等が非限定
的に例示される。 【0012】この様なアシル基は没食子酸またはタンニ
ン酸のフェノール性水酸基と反応(アシル化反応)して
エステル結合を形成するものであるが、没食子酸等にお
ける2以上の上記フェノール性水酸基がアシル化反応を
受けて2以上のアシル基が導入される場合において、夫
々のアシル基は、相互に同一であっても異なっていても
良いものとする。 【0013】本発明の没食子酸またはタンニン酸の誘導
体におけるR1 ,R2 は上記の如く定義されるが、次に
説明する「重合性2重結合及び酸性基を有する酸性重合
性単量体」と共に共重合して高分子化し、それによって
接着剤としての強度向上を達成するものである。従って
1 ,R2 のいずれか1つに重合性2重結合の存在する
ことが必要であり、R1 ,R2 の全てが水素である場
合、及びR1 が糖から1つの水酸基を除いた残基でR2
が全て水素である場合は、重合性2重結合が全く存在し
ないという理由によって本発明から排除される。 【0014】 次に本発明の他方成分である「重合性2
重結合及び酸性基を有する酸性重合性単量体」について
説明する。「重合性2重結合を有する部分」としては、
前記アシル基に関連して説明した様なアクリロイル部
分、メタクリロイル部分、クロトノイル部分、シンナモ
イル部分を再掲することができ、また「酸性基を有する
部分」としては、酸性を示す−OH基を残す様に結合さ
れたリン酸エステル部分やピロリン酸エステル部分が挙
げられる。前者の「重合性2重結合を有する部分」は、
前記没食子酸またはタンニン酸誘導体における重合性2
重結合と重合反応をする役目を担い、また後者の「酸性
基を有する部分」は、歯牙や歯質との接着性向上に寄与
するものである。この様な化合物としては、代表的なも
のとして、(メタ)アクリル酸のピロリン酸エステルま
たは下記一般式 【0015】 【化3】 【0016】(式中R3 は水素またはメチル基;R4
低級アルキレン基;XはO,SまたはNH;nは0また
は1を夫々示す)で示される(メタ)アクリル酸のリン
酸エステル等が挙げられる。 【0017】前記(メタ)アクリル酸のピロリン酸エス
テルとしては、テトラ(メタ)アクリロキシエチルピロ
リン酸、ジ(メタ)アクリロキシエチルピロリン酸等を
非限定的に例示することができる。 【0018】また前記(メタ)アクリル酸のリン酸エス
テルとしては、(メタ)アクリロキシメチルリン酸、
(メタ)アクリロキシエチルリン酸、(メタ)アクリロ
キシプロピルリン酸、(メタ)アクリロキシブチルリン
酸、(メタ)アクリロキシペンチルリン酸、(メタ)ア
クリロキシヘキシルリン酸等を非限定的に例示すること
ができる。 【0019】本発明の歯科用接着剤は、没食子酸または
タンニン酸誘導体と、重合性2重結合及び酸性基を有す
る酸性重合性単量体を必須の構成成分とするものであ
り、両者が別々の容器に独立して収納された状態若しく
は1つの容器に混合して収納された状態で提供される。
両者の配合比率については特に限定されないが、前者:
0.01〜30重量部(さらに好ましくは0.1〜20
重量部)、後者:0.1〜70重量部(さらに好ましく
は1〜50重量部)の範囲で配合することが推奨され
る。 【0020】本発明の接着剤組成物には、必要に応じて
上記以外の成分、例えば共重合性単量体、溶剤、フィラ
ー、重合開始剤等を配合しても良く、これら所望成分の
前記組成物に対する配合比率は、1対100(重量部)
〜10対1(重量部)[さらに好ましくは1対20(重
量部)〜3対1(重量部)]の範囲である。上記の様に
本発明の接着剤組成物には、必要に応じて共重合性単量
体、溶剤、フィラー、重合開始剤が配合されるので代表
的なものを例示する。 【0021】本発明に用いられる共重合性単量体として
は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロール
エタントリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−
(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ)フェニル]プロパン(Bis−GMA)、ペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ(メタク
リロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン
(UDMA)等が挙げられ、歯質に対する接着性を得る
ためには、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、Bis−GMAが特に好ましい。これらの共重合性
単量体の含有量は、粘度,硬化時間及び所望する物性に
よって変化するが必要に応じて、上記接着剤組成物10
0重量部に対してその0.05〜10倍量を用いること
が好ましい。 【0022】本発明に用いられる溶剤としては、水,メ
タノール,エタノール,イソプロパノール,ブタノー
ル,アセトン,メチルエチルケトン,テトラヒドロフラ
ン,酢酸エチル,塩化メチレン等が挙げられ、好ましく
は水,エタノールまたはこの混合物が挙げられる。これ
ら溶剤の含有量は、粘度及び操作性によって変化するが
上記接着剤組成物100重量部に対して必要に応じてそ
の0.1〜20倍量を用いることが好ましい。 【0023】さらに、重合時の収縮及び熱膨張係数を低
減させる目的で用いられるフィラーとしては、シラン及
びチタネート化合物で表面処理した粒径30μm以下の
シリカ,タルク,アルミナ,アパタイト,ガラスビー
ズ,ケイ酸バリウム等の無機フィラー及びポリメチル
(メタ)アクリレート等の有機フィラーが挙げられる。
これらの含有量は上記接着剤組成物100重量部に対し
て0.5〜10倍量であることが好ましい。 【0024】また、本発明に用いられる重合開始剤とし
ては、例えば過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビス
イソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。この
とき必要によりジメチル−p−トルイジン等の第三級ア
ミン化合物や第一鉄塩等、およびそれにベンゼンスルフ
ィン酸あるいはp−トルエンスルフィン酸の塩を組み合
わせて併用したレドックス系触媒とすることも有効であ
る。これらの中でも特に好ましいのは過酸化物−第三級
アミン系開始剤であり、また、紫外線および可視光線で
重合させる場合には、カンファキノン,ジベンゾイル,
2−メタクリロキシエチレン−p−ジメチルアミノベン
ゾエート等の光増感剤が用いられ、第三級アミン化合物
や第一鉄塩等を併用してもよく、その含有量は、上記接
着剤組成物100重量部に対して0.05〜10.0重
量部であることが好ましい。 【0025】本発明で用いる没食子酸またはタンニン酸
誘導体における没食子酸部分やタンニン酸部分は、コラ
ーゲン蛋白のイオン基或は極性基と反応してコラーゲン
分子間を架橋し蛋白固定を図るという作用を有する他、
分子内のヒドロキシル基やカルボキシル基が歯質のカル
シウムイオンと配位結合を形成して接着効果を高める作
用を示す。また、没食子酸またはタンニン酸は、上記の
様な蛋白凝固作用の他、細菌が代謝に必要とする各種金
属イオンをキレート作用によって封鎖することにより抗
菌作用を示す。 【0026】 【実施例】次に、製造例および実施例を挙げて本発明を
更に詳細に説明する。製造例1(メタクリロイル化タンニン酸) 酢酸エチル1740gにタンニン酸104gを溶解し、
15℃に冷却した。この溶液に塩化メタクリロイル6
0.6g(0.58mol)を加えた後、トリエチルア
ミン58.6g(0.58mol)を30分で滴下し
た。室温で15時間撹拌した後、水600mlを加えて
抽出を行ない、その有機層の溶媒を50℃以下で減圧留
去した。残留物として、メタクリロイル化タンニン酸1
24.5g(回収率86.8%)を得た。 【0027】製造例2(2−ヒドロキシ−1,3−プロ
パンジイル=ガラート=メタクリラート) メタノール80gに没食子酸18.8g(0.10mo
l)と水酸化ナトリウム0.4g(0.01mol)を
加えて加熱溶解した。この溶液にメタクリル酸グリシジ
ル14.2g(0.10mol)を加えて17時間還流
した。溶媒を50℃以下で減圧留去し、酢酸エチル10
0mlと5重量%炭酸水素カリウム水溶液100gを加
えて抽出、有機層を水50mlで2回洗った後、50℃
以下で溶媒を減圧留去した。残留物を1,2−ジクロロ
エタン70gとアセトニトリル10gの混合溶媒から再
結晶して2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジイル=ガ
ラート=メタクリラート8.5g(収率27%)を得
た。 【0028】この化合物の諸物理データは次の通りであ
った。 融点150〜151℃1 H-NMR(200MHz,アセトン−d6):δ[ppm] 1.93(d-d,J=1.7,1.0Hz,3H,CH3);4.18-4.37(m,5H,OCH2
よびOCH);4.58(d,J=4.7Hz,1H, アルコール性OH);5.64(q
-d,J=1.7,1.8Hz,1H,trans-C=CH);6.12(q-d,J=1.8,1.0H
z,1H,cis-C=CH);7.15(s,2H,Ar-H);8.18(s,3H,フェノー
ル性OH) M.S.(SIMS):m/z=312(M+) 【0029】製造例3(エチレン=ガラート=メタクリ
ラート) ジメチルスルホキシド730mlに無水没食子酸13
6.0g(0.80mol)を溶解し、トリエチルアミ
ン80.8g(0.80mol)、メタクリル酸2−ブ
ロモエチル154.4g(0.80mol)、ヒドロキ
ノン2.0gを加えて80℃で4時間反応した。反応終
了後、酢酸エチル1460mlと4重量%炭酸水素カリ
ウム水溶液875gを加えて抽出し、有機層を水850
mlで2回洗った後、50℃以下で溶媒を減圧留去し
た。残留物を1,2−ジクロロエタン1000mlから
再結晶してエチレン=ガラート=メタクリラート57.
2g(収率25%)を得た。 【0030】この化合物の諸物理データは次の通りであ
った。 融点92〜94℃1 H-NMR(200MHz,アセトン−d6):δ[ppm] 1.91(d-d,J=1.7,1.1Hz,3H,CH3);2.88(s,1H,OH);4.42-4.
54(m,4H,OCH2);5.63(q-d,J=1.7,1.7Hz,1H,trans-C=CH);
6.09(q-d,J=1.7,1.1Hz,1H,cis-C=CH);7.14(s,2H,Ar-H);
8.25(s,2H,OH) M.S.(SIMS):m/z=282(M+) 【0031】製造例4(2−ヒドロキシ−1,3−プロ
パンジイル=アクリラート=ガラート) 水100gに水酸化カリウム0.6g(0.01mo
l)を溶解し、没食子酸18.8g(0.10mol)
を加えて懸濁させた。この溶液にアクリル酸グリシジル
15.4g(0.12mol)を加えて60℃で4時間
反応した。室温まで放冷して析出した没食子酸を濾別
し、さらに酢酸エチル100mlと5重量%炭酸水素カ
リウム水溶液100gを加えて抽出、有機層を水50m
lで2回洗った後、50℃以下で溶媒を減圧留去した。
残留物を1,2−ジクロロエタン50gとアセトニトリ
ル5gの混合溶媒から再結晶して2−ヒドロキシ−1,
3−プロパンジイル=アクリラート=ガラート6.8g
(収率23%)を得た。 【0032】この化合物の諸物理データは次の通りであ
った。 融点150〜151℃1 H-NMR(200MHz,アセトン−d6):δ[ppm] 4.15-4.36(m,5H,OCH2 およびOCH);4.55(d,J=4.4Hz,1H,
アルコール性OH);5.89(d-d,J=1.6,9.8Hz,1H,trans-C=C
H);6.17(d-d,J=9.8,17.1Hz,1H,gem-C=CH);6.38(d-d,J=
1.6,17.1Hz,1H,cis-C=CH);7.15(s,2H,Ar-H);8.21(s,3H,
フェノール性OH) M.S.(SIMS):m/z=298(M+) 【0033】製造例5(トリメチレン=アクリラート=
ガラート) 4−メチル−2−ペンタノン10g、没食子酸3−クロ
ロプロピル12.3g(0.050mol)、アクリル
酸3.96g(0.055mol)、ピリジン4.35
g(0.055mol)、ヒドロキノン0.05gを混
合し、110℃で8時間反応した。反応終了後、酢酸エ
チル30gを加えて水50mlで2回洗った後、50℃
以下で溶媒を減圧留去した。残留物を1,2−ジクロロ
エタン100mlから再結晶してトリメチレン=アクリ
ラート=ガラート2.11g(収率15%)を得た。 【0034】この化合物の諸物理データは次の通りであ
った。 融点80〜83℃1 H-NMR(200MHz,DMSO−d6 ):δ[ppm] 1.97-2.10(m,2H,CCH2C);4.08-4.18(m,4H,OCH2);5.89(d-
d,J=1.6,9.8Hz,1H,trans-C=CH);6.17(d-d,J=9.8,17.1H
z,gem-C=CH);6.38(d-d,J=1.6,17.1Hz,1H,cis-C=CH);7.1
4(s,2H,Ar-H);8.21(s,3H,OH) M.S.(SIMS):m/z=282(M+) 【0035】実施例1〜5 製造例1〜5の没食子酸またはタンニン酸誘導体5重量
部および70%エタノール水溶液95重量部からなる組
成物を、#600エメリー紙で研磨し50%リン酸水溶
液で30秒間処理した牛歯象牙質に塗布し、乾燥させ
た。さらに下記の酸性重合性単量体を含んだ組成物(組
成物(A)及び(B))を夫々等量混合して塗布し、乾
燥させたのちコンポジットレジン(三金工業製,パイロ
フィルボンド)を築盛し、硬化させた後、37℃の水中
に24時間放置した。これを引張試験により接着強度を
測定した。結果を表1に示す。 【0036】 組成物(A) テトラ(メタ)アクリロキシエチルピロリン酸 70重量部 2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート 15 〃 Bis−GMA 15 〃 過酸化ベンゾイル 1.2 〃 組成物(B) エタノール 100重量部 ベンゼンスルフィン酸ナトリウム 5 〃 【0037】比較例1〜2 実施例1においてタンニン酸誘導体を含んだ組成物によ
る処理をしなかったもの(比較例1)、および酸性重合
性単量体を含んだ組成物(A),(B)による処理を行
なわなかったもの(比較例2)について前記と同様の評
価を行なった。結果を表1に示す。 【0038】 【表1】【0039】実施例6 製造例2の2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジイル=
ガラート=メタクリレート8重量部および70%エタノ
ール水溶液100重量部からなる組成物をウ蝕で悩む患
者の窩洞形成した象牙質に塗布し、乾燥させた後、酸性
重合性単量体を含んだ組成物(A)及び(B)を等量混
合して塗布し乾燥させた。さらに市販の光重合型コンポ
ジットレジン(三金工業製,パイロフィルライトボン
ド)を充填し、可視光線照射器(三金工業製,サンキュ
アライト)で40秒間照射して硬化させた。この一連の
処置により、コンポジットレジンの脱落及び細菌感染に
よる二次ウ蝕等もなく良好な予後を経過した。 【0040】実施例7 組成物(A)の酸性重合性単量体(テトラ(メタ)アク
リロキシエチルピロリン酸)のかわりに(メタ)アクリ
ロキシエチルリン酸を用いて、実施例1〜5と同様な接
着試験を実施したところ、接着強度の良好な結果が得ら
れた。 【0041】実施例8 #600エメリー紙で研磨し、50%リン酸水溶液で3
0秒間処理した牛歯象牙質に下記の組成物(C)を塗布
し、サンキュアライト(三金工業製)を用いて30秒間
光照射し硬化させた。さらに市販の光重合型コンポジッ
トレジン(三金工業製,パイロフィルライトボンド)を
築盛し、40秒間光照射して硬化させた後、37℃の水
中に24時間浸漬後引張試験により接着強度を測定した
ところ良好な結果が得られた。 【0042】 組成物(C) 2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジイル=ガラート= メタクリレート 5重量部 テトラ(メタ)アクリロキシエチルピロリン酸 10 〃 (メタ)アクリロキシエチルリン酸 10 〃 2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート 20 〃 Bis−GMA 15 〃 トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート 40 〃 カンファキノン 0.5 〃 2−メタクリロキシエチレン−p−ジメチルアミノ ベンゾエート 1.0 〃 【0043】実施例9 組成物(C)の没食子酸誘導体(2−ヒドロキシ−1,
3−プロパンジイル=ガラート=メタクリレート)のか
わりにエチレン=ガラート=メタクリレートを用い、組
成物(B)と3対1で混合し、実施例8と同様に接着試
験を行なったところ、良好な結果が得られた。 【0044】実施例10 下記のペースト状の組成物(D)を作製し、実施例8と
同様に接着試験を行なったところ、実施例1〜5と同様
の良好な結果が得られた。 【0045】 組成物(D) 2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジイル=ガラート= メタクリレート 4重量部 テトラ(メタ)アクリロキシエチルピロリン酸 8 〃 (メタ)アクリロキシエチルリン酸 20 〃 2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート 7 〃 Bis−GMA 5 〃 カンファキノン 0.5 〃 2−メタクリロキシエチレン−p−ジメチルアミノ ベンゾエート 1.2 〃 シラン処理したシリカ 50 〃 【0046】 【発明の効果】本発明は上記の様に構成されているか
ら、象牙質に対する接着剤として用いたとき、非常に強
い接着力を示す。また辺縁微小漏洩を生じ難いこと、更
には蛋白凝固作用や金属キレート形成作用によって2次
ウ蝕の防止についても優れた効果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C07C 65/01 C07C 65/01 (56)参考文献 特開 平3−162864(JP,A) 特開 平4−273805(JP,A) 特開 昭61−28567(JP,A) 特開 平4−114655(JP,A) 特開 昭61−140509(JP,A) 特開 平2−117906(JP,A) 特開 平1−170463(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 6/00 C07C 69/88 C07H 13/08 C09J 133/08 C09J 133/10 C07C 65/01

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記一般式 【化1】 [R:糖から1つの水酸基を除いた残基、(メタ)ア
    クリロイルオキシを有するアルコールから1つの水酸基
    を除いた残基、または水素 R:同一または異なって重合性2重結合を有するアシ
    ル基または水素 (但しR,Rが全て水素である場合、及びRが糖
    から1つの水酸基を除いた残基でRが全て水素である
    場合を除く)] で示される没食子酸またはタンニン酸誘導体と、重合性2重結合、並びに酸性を示す−OH基を残す様に
    結合されたリン酸エステル部分またはピロリン酸エステ
    ル部分を有する酸性重合性単量体 を含むことを特徴とする歯科用接着剤。
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