JP3468148B2 - 車両用空調システム - Google Patents

車両用空調システム

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JP3468148B2
JP3468148B2 JP03940899A JP3940899A JP3468148B2 JP 3468148 B2 JP3468148 B2 JP 3468148B2 JP 03940899 A JP03940899 A JP 03940899A JP 3940899 A JP3940899 A JP 3940899A JP 3468148 B2 JP3468148 B2 JP 3468148B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】請求項に係る発明は、鉄道車
両やバス等の車両のための空調システムに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両等の空調システムは、一般に、
空気を冷房・暖房等する空調機器(室内機・室外機な
ど)とダクトとによって構成される。ダクトは、各機器
間をつなぎ、またはそれらの機器と車室(客室等)との
間を接続するもので、各種空気の通路となる。
【0003】空調システムにおけるダクトは、従来、車
両の構体(車体構造。側壁や屋根、床など)とは別に設
けられている。つまりダクトは、構体が構成されるのと
は別に、板金等よりなる独立物として製造され、構体よ
り内側の車室内などに配置されたうえ構体等によって支
持・固定されるのが通例である。
【0004】一方、鉄道車両等の構体は、近年、中空の
断面を有する板によるモノコック構造として構成される
ことがある。すなわち、アルミニウム等を材料とする押
出し加工等によって、内外のスキン(内皮・外皮)が一
体化されていて内部に中空部が形成された板(たとえ
ば、ダブルスキン・トラス構造などと呼ばれるもの)を
製造し、その板によって車両の側壁や屋根、または床な
どを構成するのである。ただし、そのような板を用いて
構体が構成される場合にも、空調システムのダクトは構
体とは別に製造され配置されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】空調システムのダクト
は、空気通路となる中空部を内部に有するものであるた
め、相当に大きな体積を有している。また、車室内の空
気を広く均一に吸い込んで空調機器へ送るとともに、そ
れらの機器からの空調ずみ空気を車室内の全体へできる
だけ分散させて供給するためには、吸込み口や吹出し口
を幾つか備える長いダクト(空気の排出用・供給用等)
を車室内に複数配置する必要がある。そのようなダクト
のすべてを構体よりも内側に、かつ構体とは独立に配置
する従来の空調システムは、車両の内部で大きなスペー
スを占有し、その結果、乗客等に供し得るスペースを大
幅に減少させるという不都合を有している。とくに、近
年のように中空の板によって構体を構成する場合には、
構体までもが中空部を有していて車内の内部容積を狭め
ることになるため、スペース上の不都合が累積すること
になる。
【0006】請求項に係る発明は、車内スペースに関す
る上記のような課題を解消できる、新しい空調システム
を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の車両用
空調システムは、新鮮気と室内循環気とを混合してコン
ディショニングし、空調気として車内に送る一方、車内
空気の一部を排気とする車両空調システムにおいて、車
両の床を、内外のスキン(内皮・外皮)が一体化され内
部に中空部が形成された板(ダブルスキン・トラス構造
などと呼ばれるもの等)によって構成し、当該板のうち
一部の中空部(他の中空部とは仕切られたもの)を新鮮
気(外気)の通路(つまりダクト)とし、他の一部の中
空部(新鮮気の通路とする上記の中空部とは仕切られた
もの)を車内空気の排気用通路としたことを特徴とす
る。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】この空調システムは、車両用構体である板
の中空部をダクトとして利用するものであるから、スペ
ース上の不利益を小さくでき、製造コストの低減や軽量
化といった効果をももたらす。しかしこのシステムな
ら、さらに下記a)〜c)の点で好ましい作用を発揮する。
【0012】a) 車両の床は、各種の機器や座席・乗客
等の荷重を直接に受けることから、強度上、側壁や屋根
など他の部分に比べて断面積(厚さ)の大きい材料によ
って構成されるのが一般である。内部に中空部を有する
板によって構体を構成する場合にもそれは同様であり、
床に使用される板には大きめの断面積が与えられ、その
内部には大きな中空部が形成されるのが通常である。し
たがって、そのような床の板の中空部を利用して空調用
空気の通路(ダクト)を構成するこの空調システムで
は、その通路の断面積を大きくすることができ、そこに
空気を多量に流して高い空調効果をもたらすことが可能
である。しかも、新鮮気の通路および排気用通路に通す
空気の量は比較的少ないので、上記の中空部に十分に通
すことができる。
【0013】b) 車外から取り入れたばかりの新鮮気
や、空調機へ送ったり車外へ排出したりするために吸い
込んだ車内の空気は、車両内のどの部分を通されても不
都合はない。しかしその一方、冷房のための空調が済ん
で車内に吹き出される前の空調気(冷気)は、自然対流
の作用を利用して車内に均一に供給すべく天井(屋根の
下にある室内最上部)の付近に吹出し口を設けるのが好
ましい。もし新鮮気や車内空気を天井付近に通すとその
ように空調機を天井付近に通すことはスペース的に困難
になるが、この発明にしたがって新鮮気と車内空気とを
床の板の中空部内にそれぞれ通すこととすれば、空調気
を通すスペースが天井付近に確保され、上記のように自
然対流の作用を利用して車内の冷房等を効果的に行うこ
とが可能になる。
【0014】c) 車両の床は日光を直接に受けることが
ないため、屋根の部分(天井のさらに上)ほどには真夏
でも温度上昇が激しくない。したがって、上記b)のよう
に天井付近を避けて新鮮気を通すにしても、屋根の部分
ではなく床の内部に通すこととすれば、その新鮮気が大
幅に温度上昇してしまう恐れはなく、車内を冷房等する
うえで効率的である。
【0015】請求項2に記載の空調システムは、請求項
のシステムにおける車両の床を、上記の中空部が三角
形の横断面をもつ多数の小空間に(いわばトラス構造の
部材間の空間のように)仕切られた板によって構成し、
隣接する交互の小空間をそれぞれ新鮮気(外気)の通路
および排出前の車内空気の通路としたことを特徴とす
る。「中空部が三角形の横断面をもつ多数の小空間に仕
切られた板」としては、ダブルスキン・トラス構造など
と呼ばれる押出し材(後述)などを使用することが可能
である。
【0016】この空調システムには、上記a)〜c)の点に
加えてさらにつぎのような作用がある。すなわち、 d) 中空部が三角形の横断面をもつ多数の小空間に仕切
られた板は、板の内部にいわゆるトラス構造を有するも
のであるから、各部材の圧縮力および張力によって変形
に抗することができ、高い機械的強度を発揮する。した
がって、このシステムでは、車両の床の強度を確保しや
すいといえる。
【0017】e) 板の内部にあって上記のとおり仕切ら
れた各小空間のうち、隣接する交互の小空間に新鮮気と
車内空気とをそれぞれ流すことから、新鮮気と車内空気
との間に温度差があるとき両者間で熱交換が行われる。
そのようにすれば、冷房時には、吸入したばかりの外気
であって温度の高い新鮮気の熱の一部を、車外へ排出す
る直前の車内空気に移すことが可能である。また暖房時
には、温度の低い新鮮気を車内空気の保有熱によって予
熱しておくことができる。空調機器へ至る前の新鮮気を
こうして事前に冷却または予熱できれば、空調機器の負
担が軽減され、空調が効率的に行われることになる。
【0018】f) 中空部を含む板は、その厚みが等しい
とすれば、内部の中空部が三角形横断面の小空間に仕切
られている場合には、四角形横断面の小空間に仕切られ
ている場合よりも、横断面内での空間間の境界線が一般
に長い。三角形横断面に仕切られている場合には、板の
厚さ方向から傾斜した方向に当該境界線が延びるからで
ある。横断面内での境界線が長いということは、中空部
間を仕切る境界面(すなわち熱伝達面)の面積が大きい
ことにほかならないため、新鮮気・車内空気間の熱交換
が効率的に行われることになる。
【0019】請求項3に記載の空調システムは、中空部
の延伸方向への上記の板の連結を、板の端部間に継手を
介することによって行うこととし、当該継手を、中空部
内に挿入されるべく両端の側に形成された筒状部分と、
その筒状部分が中空部内に挿入されたとき外周が上記ス
キンの表面付近に位置するとともに中空部の端部との間
に溶接開先(レ形・V形・U形・I形など)を構成すべ
く上記筒状部分の中ほどに形成された鍔の部分とを有す
るものとして形成したことを、さらに特徴とする。
【0020】内部に中空部を有する板によって車両の構
体を構成するにしても、その板の長さが十分でない場合
には、二以上の板を長手方向、つまり中空部の延伸方向
に一体に連結することにより必要な長さを満たす必要が
ある。しかし、そのような板を、中空部が連続し相互間
の位置がずれないように強固に連結することは必ずしも
容易ではない。とくに、一つの板の内部に複数の中空部
があって二種以上の空気を通す場合には、異種の空気が
混じるのを防ぐ必要上、中空部間の境界(仕切り)につ
いても端部間を密に閉じ合わせねばならず、適切に連結
するのは一層に困難である。
【0021】その点、上記した継手を介して端部間を連
結するこの空調システムでは、継手の両端の側にある筒
状部分を各板の中空部内に挿入することにより、上記の
板について、延伸方向に中空部が連続し、相互間の位置
がずれず、しかも中空部間の境界についても端部間が密
に閉じ合わせられる強固な連結状態を実現することがで
きる。その作用の詳細は下記g)〜i)のとおりである。
【0022】g) 継手のうち筒状であって内部に穴のあ
いた部分を中空部に挿入することにより二つの板を連結
するため、その筒状部分を通して各板の中空部を延伸方
向に連続させることができる。このため、内部に空気を
通すうえで支障がないほか、異種の空気が混じるのを防
ぐべく中空部の端部間を密に閉じ合わせてることも可能
になる。
【0023】h) 継手の筒状部分を各板の中空部内に挿
入するだけで各板の位置を適切に定めることができるた
め、相互間の位置のずれがないように板を連結すること
ができる。
【0024】i) 継手の筒状部分を各板の中空部内に挿
入したとき、当該筒状部分の中ほどに形成した鍔の部分
と各板の端部との間に溶接開先が構成されるため、溶接
によって板を強固に連結するのが容易である。その鍔の
部分の外周が内外のスキンの表面付近に位置していて、
板の連結部分である継手の位置に大きな段差等が生じな
いため、連結状態での外観も悪くない。
【0025】
【発明の実施の形態】図1〜図4に、発明の実施につい
ての一形態を紹介する。図1は、図2(a)におけるI
−I断面図であって客室車両1を示す横断面図である。
図2はその客室車両1の全体図であって、同(a)は側
面図、同(b)は同(a)におけるb−b矢視図、同
(c)は同(a)におけるc−c矢視図である。図3
(a)は、図1中のIII 部の詳細図であるとともに図2
(c)中のIII−IIIでの断面図であり、その図3(a)
におけるb−b・c−c・d−dの各矢視図が同(b)
・同(c)・同(d)である。また、図4は、この車両
1における空調システムに関する空気等の系統線図であ
る。
【0026】新幹線車両である図示の客室車両1は、図
1および図2のように、床2と側壁3・屋根4などの構
体によって車体が構成されている。屋根4の直下の天井
7を上端とし床2の上面を下端とする空間には、複数の
座席6を含む客室5が形成されている。一方、床2の下
には図2(a)のように、車輪8やその支持装置(図示
せず)、駆動装置(図示せず)、さらには空調用の室外
機36・37などが配置されている。
【0027】図1の客室車両1では、床2や側壁3・屋
根4といった構体を、ダブルスキン・トラス構造と呼ば
れる形状の中空の板を使用したモノコック構造によって
構成している。これらの板はアルミニウム合金を材料と
する押出し型材であって、横断面のうちに図のように三
角形を含むトラス構造に似た形状を有し、その形状を押
出し方向に連続させたものである。
【0028】当該板の構造を、図3(a)に示す床2を
例に説明すると、一定幅の板10aの横断面のうちに
は、内皮(上部スキン)11と外皮(下部スキン)1
2、斜材13が一体化され、それらに仕切られた形で三
角柱状の複数の小空間、つまり内皮11寄りの中空部1
4と外皮12寄りの中空部15とが形成されている。製
造上の事情により板10aの幅は車両1の全幅に及ぶも
のではないため、床2は、複数の板10a・10bなど
を幅方向に接合することにより構成している。すなわ
ち、板10a・10b等の幅方向の端部にはそれぞれ上
下に接合用の突起10xおよび10yを形成し、それら
を差し込み合わせたうえ溶接して、幅方向への接合を実
現している。
【0029】側壁3や屋根4については詳細の図示を省
略したが、床2と同様にダブルスキン・トラス構造の中
空板を使用し、床2と同じように幅方向または上下方向
に複数の板を接合して側壁3と屋根4を構成している。
そして、床2・側壁3・屋根4のいずれについても、各
中空板(板10aなど)を、中空部の延伸する方向(つ
まり成型時の押出し方向)を車両1の長手方向に向けて
構体として使用している。なお、床2については、荷重
の大きさ等を考慮して全厚を約100mmにしたが、そ
れよりも荷重の小さな側壁3と天井4とには、床2より
も薄い板を使用した。そのほか側壁3と床2との接続
は、床2の板10a・10b間の接続に準じて図3
(a)のように、床2の端部に設けた突起10yと側壁
3の一部に設けた突起3xとを差し込み合わせたうえ両
者を溶接することにより行っている。
【0030】この客室車両1には、図2および図4に示
す空調システムを組み込んでいる。同システムは、図2
のように車両1の一方の端部に設けられた1台の換気装
置31と、両端部において床2上に搭載された室内機3
2・33と、床2の下部に配置された室外機36・37
とを含む空調機器と、図4のようにそれらの機器と客室
5等との間をつなぐ各種のダクト(F・C・R・E)と
によって構成したものである。
【0031】換気装置31は、図4のように、外気を新
鮮気FAとして取り入れるとともに客室5内の空気を排
気EAとして排出する手段である。室内機32・33
は、換気装置31から送られる新鮮気FAと室内循環気
RAとを混合してコンディショニング(空調)し、空調
気CAとして客室5内に送るもの。また、室外機36・
37のそれぞれは、室内機32・33との間で冷媒の循
環等をなすものである。
【0032】それに対してダクトF・C・R・Eは、図
4のように、それぞれ上記の各空調用空気(新鮮気FA
・空調気CA・室内循環気RA・排気EA)の通路とす
るものである。すなわち、まずダクトFは、換気装置3
1が車外から取り入れた新鮮気FAを、二方へ分岐させ
て各室内機32・33まで送る通路。ダクトCは、各室
内機32・33から空調気CAを客室5内へ向けて送る
とともに、複数箇所に設けた吹出し口から客室5内の各
箇所にその空調気CAを吹き出すもの。ダクトRは、客
室5内の空気を吸い込んで循環気RAとして各室内機3
2・33へ戻すもの。そしてダクトEは、客室5内の複
数箇所に設けた吸込み口から室内空気(車内空気)を排
気EAとして吸い込み、車外への排出のために換気装置
31へ戻すための通路である。一般的な運転状況では、
ダクトCを通して客室5内へ供給する空調気CAは合計
で120m3/min(室内機32・33の1台あたり
では60m3/min)とし、ダクトFを通して室内機
32・33へ送る新鮮気FAは合計で30m3/min
としている。両者の差90m3/minは、ダクトRを
通す室内循環気RAとして客室5内から室内機32・3
3へ循環させ、再び冷・暖房等を加えて上記の空調気C
Aとするわけである。一方、ダクトFを通して取り入れ
た新鮮気FAと同量(30m3/min)の空気を排気
EAとして客室5内からダクトEにより車外へ排出する
ことにより、客室5内の空気量を(したがって気圧も)
一定に保つことになる。
【0033】ダクトF・C・R・Eのそれぞれは、車両
1に対して図1および図2のように配置している。ま
ず、空調気CAを通すダクトCと循環気RAを通すダク
トRとは、板金加工にてなる中空の矩形筒として形成し
たうえ、図1および図2(b)のように天井7の部分に
配置し、屋根4の構体によって支持させている。このよ
うにしたのは、イ)両ダクトC・Rに通す空気は上述のよ
うに多量であるため、専用のダクト内に通すのが適切で
あること、および、ロ)ダクトCに通す空調気CAは、冷
房の場合を考慮して上方から客室5内に吹き出すように
するのが好ましいこと−を考慮したからである。
【0034】残りのダクトF・Eについては、図1およ
び図2(c)のように、車両1の床2の内部にある中空
部15を利用して構成している。この車両1では、ダク
トFとして床2の中空部15のみを使用するとともに、
ダクトEとしては、床2の別の側にある中空部14・1
5と、座席6の下隅に沿って設けられた略三角形の横断
面をもつ筒状空間5aとを使用している(ダクトE・F
のいずれにおいても中空部15等をそのまま通風路と
し、別の管などは使用していない)。とくに後者のダク
トEは、筒状空間5aの長手方向に間隔をおいてカバー
ネットつきの吸込み口5bを複数箇所に設け、客室5内
の空気をそれら吸込み口5bより広く均一に吸い込むこ
とができるようにした。このようにダクトF・Eとして
床2の中空部15等を利用した理由は、ハ)構体と一体的
にダクトを構成すると、客室5内および床2の下の空間
を狭めることがないほか、製造コストも低廉で重量も軽
減されること、ニ)両ダクトF・Eに通す空気の量が上述
のように比較的少ないうえ、床2の板10a等は側壁3
や屋根4よりも厚めであり中空部15に比較的大きな断
面積を有するため、その中空部15等には新鮮気FAと
排気EAとを十分に通せること、ホ)屋根4の板の中空部
とは違って床2の中空部15になら、空調前の新鮮気F
Aを通すとしても太陽熱による温度上昇が少なくて空調
上有利であること−にある。
【0035】ただし、図示の例とは別に、たとえば、ダ
クトFを設けた各中空部15に隣接して交互に存在する
複数の中空部14をダクトEとして利用することも可能
である。その場合には、車外から吸入したばかりの新鮮
気FAを、車内から出す直前の排気EAによって事前に
冷却または予熱するという熱交換が実現し得るので、空
調がさらに効率的に行われる可能性がある。
【0036】この客室車両1の空調システムには、以上
のほかにつぎのような特徴も存在する。すなわち、前記
した床2用の板10a等(すなわちダブルスキン・トラ
ス構造の中空板)として、車両1の全長に満たない長さ
のものを連結して用いたことから、図2(a)・(c)
のように床2には車幅方向に延びた継目2jが生じてお
り、その継目2jに、独特の継手20を使用した点であ
る。継手20は、継目2jにおいて図3(b)のように
長手方向に板10a・10a’等を強固に連結するとと
もに、それらの間で中空部15等を延伸方向に正確に連
続させる手段であって、図3(c)に示すように、両側
に形成した筒状部分21(横断面は三角形)とその中間
位置にある鍔の部分22とによって形成している。筒状
部分21を二つの板10a・10a’の中空部15内に
挿入して連結することにより、中空部15が延伸方向に
連続するほか、当該延伸方向と直角な方向へ板が位置ず
れを起こすことがなくなり、好ましい連結状態が実現す
る。筒状部分21を中空部15に挿入した状態で鍔の部
分22と板10a・10a’の端部との間にそれぞれレ
形の溶接開先22aが形成されるよう、鍔の部分22に
はあらかじめ全周的に適切な切欠きを形成している。継
目2jが車両1の全幅に及ぶことから、一つの継手20
には、図3(a)のように、板10a・10a’等のす
べての中空部15内に挿入され得る複数組の筒状部分2
1を形成している。溶接開先22aの部分を溶接するこ
とにより板10a・継手20間および継手20・板10
a’を連結すれば、板10aと10a’との間は、継目
2jにおいて長手方向に強く連結される。
【0037】継目2jの機械的強度をさらに高くする目
的から、床2の上面部分(板10a・10a’のうち内
皮11の部分)には、図3(d)のような継手片25を
介した接続を行っている。継手片25はいわば、上記し
た継手20のうち鍔の部分22の一部のみで構成した棒
状の部材であり、鍔の部分22と同様に、レ形の溶接開
先25aとなる切欠きを含んでいる。図3(a)のよう
に、継手20の斜辺の上に載せることにより継目2jに
仮置きしたうえ当該開先25aを溶接すると、板10a
・10a’間は、図3(a)に示す内皮11・外皮12
がともに継手20および継手片25を介して一体的に連
結され、継目2jに十分な機械的強度が備わることにな
る。
【0038】以上、実施の形態を一つ紹介したが、発明
の実施の可能性は、当然ながらこれに限るものではな
い。たとえば、a)床2の中空部に新鮮気FAや排気EA
以外の空気を通すこと、b)構体のうち空気を通すものの
みを中空の板で構成し、他(図示の例では側壁3や屋根
4)は中空部を含まない板で構成すること、c)空調シス
テムにおける空気等の系統を図4以外のものにするこ
と、d)継目2jでの板と継手との間の溶接開先をレ形以
外(V形・U形・I形など。継手と板の端部との双方に
切欠きを設ける場合を含む)のものにすること、e)継目
2j等のない一枚の長い板10a等(中空のもの)によ
って床2を構成すること、f)床2に限らず側壁3や天井
4の構体である中空板の内部に空調用の各種空気を流す
こと、g)横断面が三角形状以外の中空部をもつ板を用い
て床2などを構成したうえその内部に空気を通すこと、
h)バスなど、鉄道車両以外の車両において上述のような
構体の中空部内に空調用の空気を通すこと−等の形態
で発明を実施することも可能だからである。
【0039】
【発明の効果】請求項1に記載した車両用空調システム
は、車両用構体である板の中空部をダクトとして利用す
るものであるから、スペース上の不利益を小さくでき、
製造コストの低減や軽量化を可能にする。
【0040】さらに、 a) 床の板が有する大きめの中空部を空調用空気の通路
とするので、そこに空気を多量に流して高い空調効果を
もたらすことができる。
【0041】b) 空調気を通して吹き出すためのスペー
スが天井付近に確保されるので、冷房の際など自然対流
の作用を利用して車内の空調を効果的に行うことができ
る。
【0042】c) 日光を受けて温度が高くなる屋根の部
分ではなく床の内部に新鮮気を通すので、空調を施す前
に新鮮気が著しく温度上昇することがなく、したがって
車内を冷房等するうえで効率的である。
【0043】請求項2に記載の空調システムなら、さら
に、 d) 中空部が三角形の横断面をもつ多数の小空間に仕切
られた板を使用するため、車両の床の強度を確保しやす
い。
【0044】e) 板の内部にある各小空間のうち隣接す
る交互の小空間に新鮮気と車内空気(排出前のもの)と
をそれぞれ流すので、双方の空気の間で熱交換を行わ
せ、もって空調機器の負担を軽減しながら効率的に空調
を行うことができる。
【0045】f) 床の内部の中空部が三角形横断面の小
空間に仕切られていて当該空間間の境界面(すなわち熱
伝達面)が広いため、上記e)にいう新鮮気・車内空気間
の熱交換が効率的に行われる。
【0046】請求項3の空調システムは、上記の各効果
に加えて、中空部を有する板の長さが十分でない場合に
二以上の板を長手方向に適切に連結することを可能にす
る、という効果をもたらす。すなわち、そのような板
を、中空部がその延伸方向に連続し板相互間の位置がず
れないよう溶接にて強固に連結することが、請求項3
空調システムによって可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施について一形態を示す図であり、図
1は、客室車両1についての横断面図、すなわち図2
(a)におけるI−I断面図である。
【図2】図1に示した客室車両1の全体図であって、図
2(a)は側面図、同(b)は同(a)におけるb−b
矢視図、同(c)は同(a)におけるc−c矢視図であ
る。
【図3】図3(a)は、図1中のIII 部の詳細図である
とともに図2(c)中のIII−IIIでの断面図である。ま
た、図3(b)・同(c)・同(d)のそれぞれは、図
3(a)におけるb−b・c−c・d−dの各矢視図で
ある。
【図4】客室車両1における空調システムに関する空気
等の系統線図である。
【符号の説明】
1 車両(客室車両) 2 床 3 側壁 4 屋根 5 客室 10a・10a’・10b… (中空部が形成された)
板 11 内皮(スキン) 12 外皮(スキン) 14・15 中空部(小空間) 20 継手 21 筒状部分 22 鍔の部分 22a 溶接開先
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−147238(JP,A) 特開 平9−136648(JP,A) 特開 平6−307013(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B61D 27/00 B60H 1/00 102

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 新鮮気と室内循環気とを混合してコンデ
    ィショニングし、空調気として車内に送る一方、車内空
    気の一部を排気とする車両空調システムにおいて、 車両の床を、内外のスキンが一体化され内部に中空部が
    形成された板によって構成し、当該板のうち一部の中空
    部を新鮮気の通路とし他の一部の中空部を車内空気の排
    気用通路とした ことを特徴とする車両用空調システム。
  2. 【請求項2】 車両の床を、上記の中空部が三角形の横
    断面をもつ多数の小空間に仕切られた板によって構成
    し、隣接する交互の小空間をそれぞれ新鮮気の通路およ
    び排出前の車内空気の通路としたことを特徴とする請求
    項1に記載の車両用空調システム。
  3. 【請求項3】 中空部の延伸方向への上記の板の連結
    を、板の端部間に継手を介することによって行い、 当該継手は、中空部内に挿入されるべく両端の側に形成
    された筒状部分と、その筒状部分が中空部内に挿入され
    たとき外周が上記スキンの表面付近に位置するとともに
    中空部の端部との間に溶接開先を構成すべく上記筒状部
    分の中ほどに形成された鍔の部分とを有するものとして
    形成した ことを特徴とする請求項1または2に記載の
    両用空調システム。
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