JP3463839B2 - 写真印画紙用支持体およびその製造方法 - Google Patents

写真印画紙用支持体およびその製造方法

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JP3463839B2 JP26127995A JP26127995A JP3463839B2 JP 3463839 B2 JP3463839 B2 JP 3463839B2 JP 26127995 A JP26127995 A JP 26127995A JP 26127995 A JP26127995 A JP 26127995A JP 3463839 B2 JP3463839 B2 JP 3463839B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真印画紙用支持体に
関するものであり、更に詳しくは表面の平滑性に優れ、
かつ、面質感が良好な写真印画紙用支持体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、写真印画紙用支持体としては、現
像処理の自動化と迅速化を図るため、紙基体の両面を疎
水性の樹脂、例えばポリオレフィン樹脂で被覆した防水
印画紙が使用されるようになり、現在ではこれが写真印
画紙支持体の大半を占めるに至っており、従来のバライ
タ紙よりも、現像処理液に対する支持体の表、裏の吸収
性が防止されている。しかし、端部の切断面からの浸透
は防止することが出来ず、写真としての価値を損ねる結
果となっている。また、自動化、迅速化を図るためには
現像時のプロセッサー内の搬送で、強い剛度、強度が必
要とされている。
【0003】このような写真印画紙用支持体を製造する
ときにまず紙基体を抄造する工程があるが、この抄紙工
程はパルプ繊維を各種薬品と共に水中に分散して、その
懸濁液を長網や丸網で抄き上げ乾燥して紙匹を得る工程
である。そのため抄紙工程中は微生物が繁殖し、微生物
やその代謝産物などが凝集して、粘性泥状物であるスラ
イム生じやすい。このようなスライムがある程度の大き
さになり、ワイヤーパート系、チェスト系、配管系等の
側壁から剥離して紙料中に混入すると紙基体の汚点、穴
あき等を生じたり、さらには紙切れや装置の汚れ及び悪
臭の発生等の障害を起こし、紙基体品質上及び紙基体抄
造時の操業上に大きな影響を及ぼすことになる。
【0004】一般に写真印画紙用支持体は要求される品
質が一般の紙よりも厳しい紙基体上に上記の欠点は勿
論、写真乳剤塗布の際、平滑性を疎外する異物、着色
物、写真性に悪影響をもたらす不純物等の欠点がほとん
どないことが必要であり、そのためには抄紙段階でのス
ライムの発止を極力防ぐことが必要である。
【0005】また、写真印画紙用支持体紙基体としての
品質のひとつに、地合が良いことが要求される。一方地
合形成において原料温度の要因は大きなウエイトを占め
る。原料温度は一般に用水の温度に影響され、特に対策
をとらなければ10℃〜40℃ぐらいまでの変化する。
地合に対しては、一般的に原料温度が高い方が好まし
い。
【0006】しかしながら、原料温度が高くなると、温
度の上昇とともに紙基体の欠点数が多くなり、また、欠
点が発生するまでの操業時間が短縮する傾向があり、こ
の欠点の発生のために抄紙機の連続操業性が低下するこ
ととなる。
【0007】また、抄紙工程上のスライムを防ぐ方法と
しては、スライムコントロール剤といわれる殺菌剤を抄
紙工程中に添加し、スライム因となるバクテリア等の細
菌またはその増殖を抑止することが知られている。
【0008】このスライムコントロール剤としては、有
機水銀剤、有機窒素剤、有機硫黄剤、有機臭素剤などが
存在するが、これらのスライムコントロール剤を写真印
画紙用支持体紙基体の抄紙工程中にそのまま適用した場
合には、スライムの発生を防ぐという効果は存在しても
写真性への悪影響があり、現像後の印画紙にポチやカブ
リを生じて製品の品質を著しく損ねたり、充分にそれら
の要求を満たすことはできなかった。このため、写真用
に適するスライムコントロール剤として、特開昭59−
1285437号公報には、モルホリン系スライムコン
トロール剤が提案されている。また、 特開昭59−1
31929号公報では、チアゾリン系スライムコントロ
ール剤として、 5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリ
ン等が提案されているが、スライム防止効果の点では充
分ではなかった。
【0009】従来紙基体の欠点については、スライムが
原因となることが多く、スライムコントロール剤等を添
加することにより、解消される場合が多いがこの欠点に
ついてはこのスライムコントロール剤による欠点の減少
は認められず、スライムから発生する蛋白質に対するニ
ンヒドリン反応も認められなかった。しかしながら、こ
のスライムを分析したところ、通常部分の十数倍ものア
ルキルケテンダイマーサイズ剤が検出された。
【0010】このように従来使用されているスライムコ
ントロール剤を用いても、長時間操業により、マシンを
停機して抄紙工程の清掃等で除去しないと紙基体の欠点
は解消できない。また、従来の殺菌作用を有するスライ
ムコントロール剤だけでは、紙基体の欠点発生を防止す
るという目的にはほとんど効果がなく、このような場合
にはアルキルケテンダイマーサイズ剤を減量せざるを得
なく、写真印画紙用支持体としてのサイズ性に悪影響を
及ぼすため好ましい方向ではなかった。なお、アルキル
ケテンダイマーサイズ剤は、添加量とその効果を考えて
使用しているが、添加量については、端部からの処理液
の浸透を防止するため、対パルプ当たり0.3〜0.4%
にもなる。
【0011】アルキルケテンダイマーサイズ剤は、通
常、写真印画紙用支持体の端部からの処理液の浸透によ
るエッジ汚れを防止するため、紙基体にサイズ剤として
添加されている。例えば、 特開昭57−185432
号公報には、アルキルケテンダイマーサイズ剤とカチオ
ン性ポリアクリルアミドを添加する方法や、 特開昭5
7−197539号公報にはアルキルケテンダイマーサ
イス剤と、カチオン性とアニオン性のポリアクリルアミ
ド併用する方法や、さらに、特開平2−223945号
公報には、特定組成のアルキルケテンダイマーサイズ剤
を用いる方法が開示されている。しかしながら、これら
の公報では、紙基体の欠点の原因たるスライムとアルキ
ルケテンダイマーとの関連がまったく開示されておら
ず、今まで解決されておらず、現在に至っている。
【0012】また、近年、写真印画紙の迅速現像処理を
目的として、紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィ
ンにより被覆した耐水性写真印画紙用支持体が好んで用
いられる。この原紙の両面にポリオレフィンにより被覆
した写真印画紙用支持体には、その表面が光沢面となっ
ていているもの、あるいは表面にマットあるいは絹目等
の模様付けをしたものであるが、中でも模様が全く無く
平滑な光沢面を有するものが良いされており、特に両面
に微細な凹凸ができるだけ少なく、鏡のような平滑な面
を有するものが良いとされている。
【0013】こうした平滑な支持体を得るために、例え
ば、特開昭60−67940号公報には、支持体を構成
する原紙に0.4μm以下の孔径の空隙量が0.04ml
/g以上のパルプを使用すること、特開昭60−696
49号公報には、平均繊維長0.4〜0.9mm、平均繊
維巾13.5μm以上、平均繊維厚み4μm以下の木材
パルプを使用すること、特開昭61−275752号公
報には、天然パルプに疎水性繊維を5〜60%混合して
使用すること、あるいは、特開昭61−284762号
公報には、2枚ワイヤー抄紙機によりパルプスラリーか
ら湿紙を得る際の脱水条件を限定する方法等が開示され
ている。
【0014】また、原紙に金属ロール−金属ロール間で
カレンダー処理を行い、この際の圧力、すなわちマシン
カレンダーの圧力を増大して、写真印画紙用支持体に使
用する原紙の密度をあげることも行われている。他方、
ポリエチレン等のポリオレフィンの被覆には、一般的に
押出コーティング法、すなわち、高温にて溶融したポリ
オレフィンを原紙の表面に流延して被覆する方法が採用
されているが、写真印画紙用支持体の平滑性を向上させ
るために、被覆ポリオレフィン層を厚くすること、ポリ
オレフィン被覆時の押しつけ圧を増すことなどの対策が
行われている。しかしながら、ポリオレフィンを被覆す
る際の上記対策の効果が小さく、また、コスト的にも不
利であるという問題があり、他方、原紙の密度をあげる
といった上記方法も、ブラッキングや紙ベコ等の外観不
良が発生し易いという欠点を有し、何れの方法によって
も、充分満足し得る平滑な写真印画紙用支持体は得られ
ていない。
【0015】さらに、写真印画紙用支持体紙基体に填料
(もしくは顔料と呼ばれる)を含有される方法も出願され
ている。例えば、特開昭56−43637号公報には、
マグネシウム、カルシウムあるいは亜鉛の弱酸塩また
は、酸化物の少なくとも1つを紙料に添加することによ
り、紙力増強剤、サイズ剤等の添加薬品による写真性へ
の悪影響を除去した写真用紙が開示されている。また、
特開昭63−20748号公報には、炭酸水素アルカリ
金属塩からなる塩基性化剤を、炭酸水素ナトリウムの換
算して、パルプ乾燥重量に対して、0.5〜2.0重量%
の範囲で含有するパルプスラリーから抄造されたパルプ
原紙を用いることにより、現像処理液の侵入によるエッ
ジ汚れを防止するも開示されている。しかしながら、い
ずれの方法も積極的に写真印画紙用支持体の面質改善を
狙ったものではない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アル
キルケテンダイマーサイズ剤を使用する紙基体抄造の系
において、原料温度が上昇した場合に短時間で紙基体の
欠点が多発する。また、原料温度を低くして抄造する
と、写真印画紙用支持体の基紙としての品質である均一
な地合に問題が生じる。欠点の無い写真用支持体紙基体
を提供するためには、抄紙工程を掃除する方法がある
が、この方法では抄紙機の稼働率が低下し、連続操業が
できなくなり、他の品質項目等の安定性が欠如すること
となる。したがって、本発明の目的は、以上の地合の低
下を起こすことなく、製造適性に優れた写真印画紙用支
持体紙とその製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の写真印画紙用支
持体は、紙基体と、その両面上に形成され、かつ、ポリ
オレフィン樹脂を主成分として含む被覆層とを有し、紙
基体中が天然パルプを主成分として含み、粒径3μm以
下の填料を紙料に対して、1〜10重量%含み、さら
に、融解開始温度が35℃以上、かつ、融点が50℃以
上のアルキルケテンダイマーを紙料に対して、0.1〜
0.5%含有することにより達成される。
【0018】本発明の写真印画紙用支持体は、紙基体の
少なくとも1面に顔料層を設けることを特徴とする、両
面がポリオレフィン樹脂で被覆され、該紙基体の少なく
とも一方の面に接着剤を含む塗抹層が5〜20g/m2
有し、該紙基体中が天然パルプを主成分として含み、粒
径3μm以下の填料を紙料に対して、1.0〜7.0重
量%含み、さらに、融点が50℃以上のアルキルケテン
ダイマーを0.1〜0.5重量%含有する紙基体の密度
が0.90以上であり、かつ塗抹層および塗抹前の紙基
体表面のSRaが1.5μm以下であることにより達成
される。
【0019】また、本発明は、紙基体の少なくとも片面
をポリオレフィン樹脂を主成分として含む樹脂により被
覆した写真印画紙用支持体の製造方法において、紙基体
を長網抄紙機の紙匹を形成するワイヤーとその上から紙
匹を挟むように無端の上部ワイヤーを設けた2枚ワイヤ
ー抄紙機によって形成する際、上部ワイヤーに挟まれる
直前の紙匹の固形分濃度が1.5〜2.5重量%であり
かつ、上部ワイヤーと下部の長網抄紙機のワイヤーに挟
まれる部分に於ける上部の無端ワイヤーで脱水される水
の量と長網抄紙機の下部ワイヤーで脱水される水の量の
合計量に対する上部の無端ワイヤーで脱水される水の量
の割合いである上部脱水率を30〜50%とし、得られ
た紙匹が絶乾水分2.0〜7.0%になるよう紙基体を
抄造し、さらに、該基紙を温度110℃〜250℃、線
圧40kg/cm以上の条件下で、2本の金属ロールで
形成されたニップ間を通過して、熱カレンダー処理をし
て製造する写真印画紙用紙基体の製造方法により達成さ
れる。
【0020】さらに、本発明は、紙基体の両面を溶融押
出コーティング法によって、ポリオレフィン樹脂で被覆
した写真印画紙用支持体の製造方法において、乳剤塗布
面側のポリオレフィン樹脂を押出コーティングする際
に、油圧シリンダーで加圧されたバックアップロールを
介在して、冷却ロールとプレスロールが30〜100k
g/cmの線圧でニップされ、冷却ロールの撓みがロー
ル面長に対して0.1%以下の状態で、溶融ポリオレフ
ィン樹脂を冷却固化させる製造方法により達成される。
【0021】本発明は、紙基体の両面を溶融押出コーテ
ィング法によって、ポリオレフィン樹脂で被覆した写真
印画紙用支持体の製造方法において、乳剤塗布面側のポ
リオレフィン樹脂を押出コーティングする際に、油圧シ
リンダーで加圧されたバックアップロールを介在して、
冷却ロール表面が、平坦な金属表面に十点平均粗さRz
が0.3〜1.0μm、平均ピッチが10〜50μmの微
細な凹凸を有し、凸部の頂部が平坦であり、かつ、凹部
の平均線から底部側の平均傾斜角が5〜7度であり、凹
部の平均線から頂部側の平均傾斜角が2〜4度で、平坦
部と凹部とのエッジ部分が滑らかになっているである冷
却ロールとプレスロールが30〜100kg/cmの線
圧でニップされ、冷却ロールの撓みが20μm以下の状
態で、溶融ポリオレフィン樹脂を冷却固化させる写真印
画紙用支持体の製造方法により達成される。
【0022】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
言う融解開始温度および融点とは、JIS K7121
に規定されるプラスチックの転移温度測定方法に準じ
て、DSC(示差熱分析計)により求められるものであ
る。融解開始温度および融点について説明する。DSC
曲線より、融解ピークの頂点の温度を融点とする。ま
た、融解開始温度とは、同様に、DSC曲線により、低
温度側のベースラインを高温度側に延長した直線と、融
解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた
接線の交点の温度とする。また、本発明において、融解
ピークが2個以上独立して現れる場合においては、それ
ぞれ低温側のピークを融点とした。本発明では、35℃
以上の融解開始温度で、かつ、融点が50℃以上の比較
的高い融点を有するアルキルケテンダイマーサイズ剤を
使用しなければならない。
【0023】本発明における紙基体に発生する欠点の原
因については、明確ではないが、次のように推定され
る。微生物は、白水中の糖類を栄養源に、主に細菌類が
増殖して、淡黄色・淡褐色・桃色・赤色などの粘着物質
を生成し、これをバインダーとして利用し、微生物同
志、または、アルキルケテンダイマーサイズ剤等の有機
物質や無機物質を取り込んでスライム複合体を形成す
る。さらに、悪いことに、アルキルケテンダイマーサイ
ズ剤は、温度の上昇とともに粘着性を発現させるため、
スライムとアルキルケテンダイマーサイズ剤とのスライ
ム複合体をより大きく形成させるものと考えられる。こ
のようなスライム−アルキルケテンダイマー複合体は、
白水ピットやストックインレットなどに付着し、流速に
より脱落すると紙に付着し、紙基体に欠点が発生する原
因となる。このスライム複合体は、デッドスペースある
いはデッドコーナーのように流速のないところに多く見
られる。
【0024】本発明では、アルキルケテンダイマーサイ
ズ剤は、融解開始温度が35℃以上、かつ、融点が50
℃以上で、より好ましくは、融解開始温度が42℃以
上、かつ、融点が58℃以上を有するアルキルケテンダ
イマーサイズ剤を使用することが好ましい。その結果、
従来のスライムコントロール剤の使用により、微生物の
増殖を抑制したり、殺菌することでスライム発生を防止
するのではなく、アルキルケテンダイマーサイズ剤の粘
着性を軽減させ、スライムとアルキルケテンダイマーサ
イズ剤との複合体を分散させることにより、再付着を防
止し、紙基体に発生する欠点を防止するため、従来より
も著しい効果が得られたものと考えられる。さらに、デ
ッドスペースあるいはデッドコーナーのように流速のな
いところに、テフロン加工処理等で、スライムとアルキ
ルケテンダイマーサイズ剤等が付着しないようにするこ
とは、複合体の形成が防止されるので有効な手段であ
る。
【0025】一方、アルキルケテンダイマーサイズ剤の
融解開始温度が35℃より低いか、あるいは、50℃よ
り低い融点を有するアルキルケテンダイマーサイズ剤を
使用する場合、スライムとアルキルケテンダイマーサイ
ズ剤との結合が顕著となり、スライム−アルキルケテン
ダイマー複合体を形成して、大きく促進される結果、前
述のように紙基体に欠点が発生する結果となる。また、
さらに悪いことには、故障点が早く発生するようにな
り、操業性が悪くばかりではなく、前述の欠点の発生が
多く発生し、また、故障点の形状がより大きくなるの
で、品質上故障点が多く、写真印画紙用支持体基体の実
用性は全く失われる。特に、融解開始温度が35℃より
低い場合は、融点以下のアルキルケテンダイマーサイズ
剤の成分が多くなるので、これらの傾向は顕著となる。
【0026】本発明で用いられるアルキルケテンダイマ
ーサイズ剤は、溶融開始温度が35℃以上で、かつ、融
点が50℃以上のものが使用されるため、比較的高融点
のものが使用される。アルキルケテンダイマーサイズ剤
の融解開始温度や融点を上げる方法としては、アルキル
ケテンダイマーサイズ剤を構成する炭素数少ないアル
キル基の含有量を減らすか、炭素数の多いアルキル基の
含有量を多く配合してサイズ剤自体の融解開始温度や融
点を上げる方法や低融点のものをカプセル化して耐温度
性能を向上させる等が考えられるが、本発明において
は、それらの方法に対しての手段については、写真性に
問題がない限り使用することが可能である。
【0027】また、本発明では、抄紙機、あるいはパル
プ調成等の条件により、測定する温度が変化するので、
本発明では、アルキルケテンダイマーサイズ剤添加後、
ワイヤーパート系、チェスト系、あるいは、配管系等の
抄紙工程内で、最も高い温度を有する部分での温度を3
0℃〜50℃に制御される。
【0028】温度が30℃未満の場合は、ワイヤーパー
ト系からの水切りが悪く、製造される紙基体の地合が悪
くなる。また、水切りが悪い結果、ドライヤーパート系
の乾燥負荷が大きくなるため、エネルギーコストも上昇
するため実用的ではない。これらの紙基体に、ポリオレ
フィン樹脂で両面を被覆し、乳剤を塗布した写真用印画
紙においても、地合の悪さが反映され実用上適さない。
また、地合の悪さは、乳剤の塗布性にも影響するばかり
でなく、乳剤面の光沢に反映されてしまう。また、温度
が50℃を超えて抄造される場合、濾水性が良化し過ぎ
るため、地合が悪くなる結果、写真印画紙用支持体とし
ての面質が悪くなり、実用性が失われる。
【0029】本発明に用いられる填料としては、クレ
ー、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チ
タン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが用い
られ、填料は、写真性に影響がない限り、適宜、数種類
組み合わせても添加しても構わない。好ましい填料とし
ては、白色度が高く、紙基体とした場合嵩高くなる性質
を有する炭酸カルシウムが好ましい。特に好ましくは、
化学合成により製造する軽質炭酸カルシウムが良い。軽
質炭酸カルシウムは、重質炭酸と化学組成は同じである
が、物理的特性、特に、粒子形状および粒子径が全く異
なっている。軽質炭酸カルシウムは結晶の形や大きさに
変化を与えることが可能である。軽質炭酸カルシウムに
は、粒子形状および粒子径に多数の種類があり、使用目
的に対応して種別されている。例えば、合成カルサイト
紡錘体型、構成カルサイト立方体型、合成アラゴナイト
柱状体型、合成バテライト球状型等がある。
【0030】本発明では、填料として、粒径が3.0μ
m以下であり、好ましくは、長径が3.0μm以下でか
つ短径1.0μ以下である。また、その添加量は、パル
プ乾燥重量に対して、1.0〜7.0重量%添加され、
好ましくは、2.0〜5.0%添加される。填料の粒径
が3.0μmを超えると、填料の凝集による凹凸が大き
くなり、写真印画紙用支持体基紙として、地合が悪化
し、表面の平滑性が失われ、基紙上にポリオレフィン樹
脂を塗布しても、鏡面タイプの写真印画紙にした場合、
乳剤光沢が低下し、また、型付けタイプである場合に
は、乳剤の塗布ムラが発生し、実用性は失われる。ま
た、填料添加量は、パルプ乾燥重量に対して、7.0重
量%以上添加すると、平滑性は向上するが、剛度が低下
して、写真印画紙用支持体としては、現像処理時、搬送
性の低下により、ジャムリング等の事故を起こし、実用
性が失われ、また、填料添加量が、パルプ乾燥重量に対
して、1.0重量%以上であると、平滑性や面質感の向
上効果が認められない。
【0031】本発明の実施に用いられる基紙は、通常の
天然パルプ紙、合成繊維紙、あるいは合成フィルムを擬
紙化したいわゆる合成紙のいずれでもよいが、針葉樹パ
ルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パ
ルプを主成分とする天然パルプ紙が有利に用いられる。
また、基紙の厚みに関しては特に制限はないが、坪量は
50〜350g/m2が好ましい。
【0032】本発明において、これら天然パルプにロジ
ン、セッケン、ワックス、合成サイズ剤等のサイズ剤、
バンド、塩化アルミニウム等の定着剤及びクレー、タル
ク、炭酸カルシウム等の填料を含有した原紙を基紙とし
て、写真用支持体を製造し、剛度が強く、面質が良いも
のが得られる。さらに基体として、写真印画紙用原紙を
用いるとさらに面質が良いものが得られる。
【0033】本発明に用いられる写真印画紙用原紙中に
は、各種の高分子化合物添加剤を含有せしめることがで
きる。例えば、乾燥紙力増強剤として、カチオン化澱
粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリア
クリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、
ゼラチンなど、ザイズ剤として、脂肪酸塩、ロジン誘導
体、ジアルキルケテンダイマー乳化物、石油樹脂エマル
ジョン、スチレン−無水マレイン算共重合体アルキルエ
ステルのアンモニウム塩など、顔料として、クレー、カ
オリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンな
ど、湿潤紙力増強剤として、メラミン樹脂、尿素樹脂、
エポキシ化ポリアミド樹脂、定着剤として硫酸アルミニ
ウム、塩化アルミニウムなどの多価金属塩、カチオン化
澱粉などのカチオン変性ポリマーなど、pH調整剤とし
て、苛性ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩酸など、無機
電解質として、塩化ナトリウム、芒硝など、そのほか染
料、蛍光増白剤、ラテックスなどを適宜組み合わせて含
有せしめることができる。
【0034】また、本発明の写真印画紙用支持体で、紙
基体上に塗抹層を設ける場合、紙基体の密度は、0.9
0以上でなければならない。0.90未満であると、写
真印画紙用支持体基体としては、平滑性の点で満足いく
レベルのものが抄造できるが、これらの基体にポリオレ
フィン樹脂を被覆して、写真印画紙用支持体とした場
合、塗抹層がいくら堅く、紙基体上に固定されていよう
とも、ポリオレフィン樹脂被覆時の高ニップでラミネー
トされる際に、原紙が熱変形し易いため、写真印画紙用
支持体として、紙基体自体が保有する地合を樹脂層表面
に形成するようになり、乳剤表面の光沢が低下するばか
りか、目視による面質感も光沢感も著しく低下する。
【0035】通常、写真印画紙用支持体の紙基体として
は、特に平滑性の優れた紙等が用いられるが、本発明で
は塗抹層を設ける場合、平滑性の優れていない紙基体で
も用いても構わないが、本発明では、塗抹量の乾燥重量
で5〜20g/m2であり、紙基体の密度が0.90以
上であり、かつ、塗抹層および紙基体表面の中心面平均
粗さ(以下SRaとする)が、1.50μm以下であるこ
とが必要である。
【0036】本発明では、その塗抹量は乾燥重量で5〜
20g/m2であり、塗抹量が多くなるほど、写真用支
持体とした場合に、剛度は向上する傾向であるが、操業
性及び品質の面から5〜10g/m2の範囲が良好であ
る。塗抹量が5g/m2未満であると、面質を改善する
効果がなく、また、剛度の向上も少ない。また、塗抹量
が20g/m2を超える場合、溶融オリオレフィン樹脂
で被覆する際に、塗抹層の熱変形の度合いが大きくな
り、面質を悪くするので、面質を改善する効果がなくな
る。
【0037】塗抹層のSRaが、1.50μm以上であ
ると、鏡面タイプとしての乳剤光沢は得られなくなり、
実用性が失われる。また、塗抹層を設ける前の紙基体表
面のSRaが、1.50μm以上である場合は、溶融ポ
リオレフィン樹脂で塗抹層を被覆する際、例え塗抹層に
変形が起きない場合でも、熱により、紙基体自体の変形
が起こり、紙基体自体が有する地合が強調されるような
結果となり、面質が著しく低下し、これらの写真印画紙
用支持体に乳剤を塗布しても、見た目の光沢感は低下す
るばかりか、表面全体に小さな凹凸が発生し、写真用印
画紙としての面質がなくなり、実用性がなくなってしま
う。
【0038】次に、本発明に係る塗抹層について説明す
る。本発明において使用される接着剤としては、カゼイ
ン、大豆蛋白メタノール、酢酸等の単細胞質化性菌体か
らの抽出蛋白質等の蛋白質類、ゼラチン類、スチレン・
ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエ
ン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリ
ル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルの重合
体、または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、
エチレン・酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテ
ックス、或いはこれらの各種重合体をカルボキシル基等
の官能含有単量体により、官能基変性したアルカリ溶解
性或いはアルカリ非溶解性の重合体ラテックス、オレフ
ィン・無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂等の合成樹脂
系接着剤、陽性澱粉、リン酸エステル化澱粉、酸化澱粉
等澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース等のセルロース誘導体等、一般の塗抹紙
用接着剤が単独あるいは併用して用いられる。
【0039】本発明においては、必要に応じて上記接着
剤のほかに、各種向き及び有機顔料例えば、クレー、水
酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫
酸バリウム、酸化亜鉛、サチンホワイト、プラスチック
ピグメント等の一般の塗抹用顔料の一種以上が用いられ
る。また、助剤として、消泡剤、着色剤、離型剤、流動
性改良等が必要に応じて、適宜使用しても差し支えな
い。
【0040】本発明における接着剤あるいは顔料等を含
む塗抹組成物は、一般の塗抹紙製造に用いられているブ
レードコーター、エアナイフコーター、ロールコータ
ー、ブラシコーター、カーテンコーター、チャンプレッ
クスコーター、バーコーター、グラビアコーター、サイ
ズプレスコーター等の塗抹装置を設けたオンマシン或い
はオフマシンコーターによって原紙上に一層あるいは多
層の分けて塗抹される。
【0041】本発明に用いられる高平滑塗抹紙は、通常
のキャスト塗抹紙の様に強光沢であっても差し支えない
が、本発明において高平滑塗抹紙を基紙として、その上
にポリオレフィン樹脂層を設けるので、強光沢にする必
要がなく、高平滑性であればよい。
【0042】また、本発明に規定された面質感を有する
紙基体を得るためには、紙基体を長網抄紙機の紙匹を形
成するワイヤーとその上から紙匹を挟むように無端の上
部ワイヤーを設けた2枚ワイヤー抄紙機によって形成す
る際、上部ワイヤーに挟まれる直前の紙匹の固形分濃度
が1.5〜2.5重量%でありかつ、上部ワイヤーと下
部の長網抄紙機のワイヤーに挟まれる部分に於ける上部
の無端ワイヤーで脱水される水の量と長網抄紙機の下部
ワイヤーで脱水される水の量の合計量に対する上部の無
端ワイヤーで脱水される水の量の割合いである上部脱水
率を30〜50%にして製造される。
【0043】本発明では、紙基体を長網抄紙機の紙匹を
形成するワイヤーとその上から紙匹を挟むように無端の
ワイヤーを設けた2枚ワイヤー抄紙機によって紙匹を形
成する際、紙料が上部の無端ワイヤーに挟まれる直前の
紙匹の固形分濃度が1.5〜2.5重量%であることが
必要である。紙基体の面質感に最も大きく関係する地合
について、固形分濃度が1.5%未満の場合、上部ワイ
ヤーに挟まれる部分での改良効果が発揮されず目的の面
質感を得ることが出来ない。この紙基体を使用した写真
印画紙用支持体はシボ状のチラツキを生じ刷り上がり面
質の悪いものとなってしまう。上部ワイヤーに挟まれる
直前の紙匹の固形分濃度が2.5%を超える場合上部ワ
イヤーに挟み込まれる部分で既に形成された地合が崩さ
れてしまい地合を悪化させてしまう。その結果目的の面
質感を得ることが出来ない。この紙基体を使用した写真
印画紙用支持体もシボ状のチラツキを生じ刷り上がり面
質の悪いものとなってしまう。
【0044】また、紙基体を長網抄紙機の紙匹を形成す
るワイヤーとその上から紙匹を挟むように無端のワイヤ
ーを設けた2枚ワイヤー抄紙機によって紙匹を形成する
際、上部ワイヤーと下部の長網抄紙機のワイヤーに挟ま
れる部分に於ける上部の無端ワイヤーで脱水される水の
量と長網抄紙機の下部ワイヤーで脱水される水の量の合
計量に対する上部の無端ワイヤーで脱水される水の量の
割合いである上部脱水率は、30〜50%であることが
必要である。上部脱水率が30%に満たない場合挟まれ
た紙匹の厚さ方向での均一化の効果が少なく目的の面質
感のを得ることが出来ない。この紙基体を使用した写真
印画紙用支持体も前述の通り刷り上がり面質が悪く目的
を達することが出来ない。上部脱水率が50%を超える
場合、紙層間強度が低下してしまい、操業時のポリオレ
フィン樹脂と紙基体間で、ブリスター発生等写真印画紙
の適性上問題となる。さらにワイヤーマークも出易くな
りそれが写真印画紙用支持体の表面に反映してしまい写
真印画紙の面質を損なってしまう。
【0045】また、面質感は原紙面の微細な凹凸に支配
される。つまり、原紙面の微細な凹凸はこれをポリオレ
フィン樹脂層で被覆しても写真印画紙用支持体の表面に
残存し、この凹凸が光沢感を低下させる。大きなうねり
の凹凸の凹部は処理されないため、この凹部にある微細
な凹凸はなくさなければならない。また、大きなうねり
の凹凸が完全になくすことにより、面質感を向上させる
ことができる。マシンカレンダーや熱カレンダーの線圧
や温度を上げて原紙面の大きなうねりの凹凸をつぶすこ
とがおこなわれるが、このことにより原紙のかさが減少
し、剛度の低下が生じる。また、ポリオレフィン層を塗
布する際の熱により、原紙の「もどり」により凹凸が再
現してしまうことがあるため、単純に潰しただけでは面
質感は良化しない。
【0046】本発明では、熱カレンダー処理を行いこと
により、さらに面質を改善される。熱カレンダーは金属
ロール間に原紙を通し加圧処理をおこなうため、原紙面
の大きなうねりの凹凸の凸部は処理され、この凸部にあ
る上記の微細な凹凸はなくなる。この結果、写真印画紙
の乳剤光沢にムラが発生せず、全体の光沢感が上がり、
本発明の写真印画紙用支持体の面質のレベルは著しく向
上する。
【0047】さらに、紙基体に熱カレンダー処理をする
条件として線圧100〜200kg/cm、金属ロールの
温度は110℃以上、好ましくは150〜200℃で処
理することにより、目的の原紙を製造しやすいことが明
かとなった。この温度未満では原紙が充分に平滑になら
ず、また、200℃を超えると紙基体の嵩が減少し剛度
が低下する傾向がある。つまり、本発明における熱カレ
ンダーは金属ロールと金属ロールよりなるニップ部に原
紙が直角に侵入し、かつスーパーカレンダーほどの設備
を必要とせず、かつ、嵩を減少させず表面のみを処理す
るものである。
【0048】さらに、本発明では金属ロールの表面粗さ
は0.3S以下が好ましい。表面粗さが上記以上である
場合は、そのロールの凹凸のパターンが原紙面に転写さ
れてしまい、乳剤光沢の低下を引き起こす。
【0049】本発明における熱カレンダー処理すべき位
置は抄紙機のサイズプレス前でも良いし、またサイズプ
レス後アフタードライヤーを通過した後に設置されても
よい。通常アフタードライヤー後にはマシンカレンダー
が設置され原紙が巻取られるが、該マシンカレンダーに
替えて行っても良いし、マシンカレンダーの前かつ/ま
た後に連結してもよい。また、抄紙機で巻取られた原紙
巻取りをオフマシンで処理してもよい。更に樹脂被覆す
る工程において、ラミネーター直前で熱カレンダー処理
されるともどりが少なくより効果的である。また、走行
する原紙はニップ圧に対して直角に侵入ことが好まし
い。
【0050】加熱された2本の金属ロールから構成され
る熱カレンダー処理において、ニップ時、紙基体は、線
圧で40kg/cm以上に加圧されるが、それ以上の圧
力では、原紙は潰されることなく弾性ロールが変形す
る。言い換えれば、ニップ初期の加圧により、原紙の大
きなうねりの凹凸がある程度小さくなり、さらに、大き
なうねりの凹凸が潰しきれずに原紙に残っているにもか
かわらず、ニップ圧は均一に掛かるため、原紙表面の大
きなうねりの凹凸に存在している微細な凹凸を減少させ
ることができる。このとき、本発明の加熱された2本の
金属ロールから構成される熱カレンダー処理を行うこと
により、密度がより均一であるためロールと同じ堅さに
つぶすまでに使われるエネルギーが少なくなる。従って
加圧と加熱を少なくすることにより、初期の原紙の剛度
を維持しつつ加熱された平滑な金属ロール表面上で、ア
イロン掛け効果により、表面の微細な凹凸を効率よくつ
ぶし全体にかさの高い平滑な原紙が得られ、その後に樹
脂被覆し、乳剤塗布し、写真印画紙とした際の光沢感も
良好となる。
【0051】本発明では、押出コーティング法により、
紙基体上に溶融したポリオレフィン樹脂を被覆する際に
は、油圧シリンダーで加圧されたバックアップロールを
介在して、冷却ロールとプレスロールが30〜100k
g/cmの線圧で行われ、かつ、冷却ロールの撓みがロ
ール面長さに対して、0.1%以下であることが必要で
ある。冷却ロールとプレスロールのニップが30kg/
cm未満である場合、ポリオレフィン樹脂被覆面に、微
細なクレーター状細孔が多数発生し、この樹脂表面上に
乳剤を塗布しても、微細な形状が残ってしまい、乳剤面
がチカチカする故障を発生し、写真印画紙としては致命
的な欠陥を有するようになる。また、逆に、100kg
/cmを超えてニップされる場合、紙基体上の地合が強
調されるにポリオレフィン樹脂表面上に固定されてしま
うため、面質感が著しく低下し、実用には耐えない。
【0052】また、本発明では、冷却ロールとプレスロ
ールが30〜100kg/cmの線圧で行われるばかり
ではなく、かつ、冷却ロールの撓みが、20μm以下で
なければならない。冷却ロールの撓みが20μmを超え
ると、本発明のような比較的高ニップで溶融ポリオレフ
ィン樹脂を冷却ロールで固化される場合に、バックアッ
プロールにクラウンをいくら付けても、面長方向の特定
部分に微細なクレーター状細孔が多数発生してしまい、
この樹脂表面上に乳剤を塗布しても、微細な形状が残っ
てしまい、乳剤面がチカチカする故障を発生し、写真印
画紙としては致命的な欠陥を有するようになる。
【0053】本発明の写真用支持体は、紙基体上にポリ
オレフィン樹脂を溶融して押出し、プレスロールと冷却
ロールでニップさせ、冷却固化させて製造される。冷却
ロールは、一般に、筒状のロール(外部シェルという)内
に、冷却水流路用のフィンをスパイラル状に設けた筒状
のロール(スパイラルジャケットという)を挿入した構造
のものであり、スパイラルジャケットを取り出すことが
できる構造となっている。したがって、外部シェルの内
面をスパイラルジャケットのフィン端に密着して設ける
ことができないので、プレスロールによって加えられる
圧力を外部シェルのみが受けることになる。
【0054】本発明では、外部シェルに高線圧でニップ
させても、押出コーティングを行う場合、油圧シリンダ
ーで加圧されたバックアップロールを介在して、ニップ
されるプレスロールであるため、外部シェルに歪みや撓
みが発生せず、プレスロールが冷却ロールに与える線圧
が均一となり、このため、同伴エアーの巻き込みにより
発生すると考えられている樹脂被覆層表面のクレーター
状細孔が発生しなくなったものと考えている。また、こ
の撓みを20μm以下に制御させる結果、外部シェルの
厚さを増加させ、シェルの強度を必要以上に高めること
を必要とはしない。また、外部シェルの厚さを増加さ
せ、外部シェルの熱伝導性を低下させることなしに、溶
融した樹脂と冷却ロール間の熱交換をロール幅方向で均
一に行うことが可能となる。特に、フィン端部と外部シ
ェルの内面との空隙部分の熱伝導性が良化し、冷却ロー
ルと冷却固化した樹脂被覆表面との剥離性が良化する結
果、剥離横段ムラが発生しなくなったものと考えられ
る。
【0055】通常、写真印画紙用支持体は、紙製品と同
様に、写真印画紙用紙基体の巻き取りロールで連続的
に、押出コーティング法により溶融したポリオレフィン
樹脂を冷却ロールで固化し被覆される。したがって、連
続的に操業するため、写真印画紙用紙基体の巻き取りロ
ール間で、継ぎ目が発生する。この継ぎ目通過時には、
厚みが増加するため、ニップ加圧を下げるのが通常であ
る。したがって、冷却ロールとプレスロール間を通過後
の製造した直後の300m分程度まで、クレーター状細
孔が多発し、製品として不可の部分が製造され、損失が
非常に大きく、特にエアーシリンダーで加圧して製造し
た場合、この傾向が顕著であった。本発明の油圧シリン
ダを用いることにより、クレーター状細孔を激減するこ
とが可能である。この理由は、空気圧によるエアーシリ
ンダーでは、継ぎ目通過後、冷却ロールとプレスロール
とのニップ圧が回復するまで、タイムラグがあり、クレ
ーター状細孔を悪化させているものと考えられ、本発明
の油圧シリンダーによるニップは、機械的に瞬時に加圧
されタイムラグがなくなり、継ぎ目通過後、クレーター
状細孔が激減したものと考えている。
【0056】最後に、本発明で用いられる冷却ロールに
ついて詳細に説明する。まず、本発明で用いる粗さパラ
メータについて説明する。十点平均粗さRzとは、断面
曲線から基準長さだけ抜き取った部分において、平均線
に平行、かつ、断面曲線を横切らない直線から縦倍率の
方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均
値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差の
値をマイクロメートル(μm)で表したものをいい、下記
数1でもとまり、 JIS B0601−1982(日本
工業規格)に規定されている。
【0057】
【数1】
【0058】R1、R3、R5、R7、R9は、 基準長さに
対応する抜取り部分の最高から5番目までの山頂であ
り、R2、R4、R6、R8、R10は、基準長さに対応する
抜取り部分の最深から5番目までの谷底である。
【0059】また、平均ピッチは、粗さ曲線から基準長
さだけ抜き取った部分において、平均線を横切って、山
から谷へ向かう点から、次の山から谷へ向かう横断点ま
での間隔をSmiとするとき、間隔の総数をNとすれ
ば、下記数2でもとまり、ISO 4287/1(国際
標準)に規定されている。
【0060】
【数2】
【0061】また、凹凸の平均傾斜角は、粗さ曲線から
平均線の高さ及び深さと、その底辺の長さから、下記数
3よりもとまる。
【0062】
【数3】
【0063】h1は、平均線からの頂部までの高さ及
び、 平均線からの底部までの深さで、L1は、その高さ
及び深さの底辺の長さである。
【0064】シート状基体の両面がポリオレフィン樹脂
で被覆され、写真乳剤層が設けられる側の該樹脂被覆層
表面の十点平均粗さRzが0.3μm未満であると、品
質故障である梨地が悪化し、乳剤表面がチカチカ乱反射
し、写真印画紙としての価値は失われる。また、1.0
μmを超えると、写像性が低下し、グロッシータイプの
写真印画紙としての光沢が低下し、実用性は失われる。
平均ピッチが10μ未満であると、剥離横段ムラが悪化
し、平均ピッチが50μmを超えると、乳剤塗布後の表
面にうねりが発生し、写像性が低下してしまう。凹部の
底部が平坦部でない場合は、乳剤塗布開始時の塗布ムラ
が生じることとなる。凸部の平均線から頂部側の平均傾
斜角が5度未満の場合、梨地が悪化し、平均傾斜角が7
度を超えると乳剤塗布開始時の薄層化が困難となる。凸
部の平均線から底部側の平均傾斜角が2度未満の場合、
剥離横段ムラが悪化し、平均傾斜角が4度を超えると、
乳剤塗布開始時の薄層化が困難となり実用性が失われ
る。
【0065】本発明において、樹脂被覆写真用支持体の
押出被覆型付けに用いる冷却ロール表面の凹凸粗さを大
きくすることにより剥離横段ムラ、クレーター状細孔を
防止することは容易であるが、粗さを大きくすることに
より乳剤塗布開始時の薄層化が出来ず、また、乳剤面の
写像性が低下してしまい、相反した問題を有するため、
最適な形状を得ることが必要である。そこで、種々の粗
さ、凹凸の形状を有する冷却ロールを用いて検討を行っ
た結果、本発明の樹脂被覆写真用支持体の表面の凹凸の
凹部を平坦にし、平坦部と凸部とのエッジ部分を滑らか
にすることで乳剤塗布開始時の薄層化が達成できた。
【0066】また、シート状基体の両面がポリオレフィ
ン樹脂を塗布し、ポリオレフィン層を冷却ロールに圧着
しながら冷却固化する押出コーティング法において、写
真乳剤層が設けられる側を樹脂被覆写真用支持体を製造
する冷却ロールの十点平均粗さRzが0.3μm未満で
あると、品質故障である梨地が悪化し、乳剤表面がチカ
チカ乱反射し、写真印画紙としての価値は失われる。ま
た、1.0μmを超えると、写像性が低下し、グロッシ
ータイプの写真印画紙としての光沢が低下し、実用性は
失われる。平均ピッチが10μ未満であると、剥離横段
ムラが悪化し、平均ピッチが50μmを超えると、梨地
が悪化し、乳剤塗布後の表面にうねりが発生し、写像性
が低下してしまう。凹部の底部が平坦部でない場合は、
乳剤塗布開始時の塗布ムラが生じることとなる。凸部の
平均線から頂部側の平均傾斜角が5度未満の場合、梨地
が悪化し、平均傾斜角が7度を超えると乳剤塗布開始時
の薄層化が困難となる。凸部の平均線から底部側の平均
傾斜角が2度未満の場合、剥離横段ムラが悪化し、平均
傾斜角が4度を超えると、乳剤塗布開始時の薄層化が困
難となり実用性が失われる。
【0067】本発明における写真用支持体の樹脂層に使
用される熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリ
スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、
線状ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート、ポリアミド例えばナイロン、セ
ルロースエステル、ポリアクリロニトリルなどのホモポ
リマーまたは、共重合体例えば、エチレン−ビニルアセ
テート共重合体およびそれらの混合物であって基紙上に
樹脂フィルムの被覆が可能な樹脂であれば何れでも良い
が、特に、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂が
好ましく、中でもポリオレフィン樹脂が押出コーティン
グ性および基紙との接着性の良さ、価格などの点から特
に有利である。
【0068】本発明に用いられるポリオレフィン樹脂と
は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、ポリフロピレン、ポリブテン、ポリペン
テンなどのホモポリマー、または、エチレン−プロピレ
ン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合
体およびこれらの混合物であり、各種の密度及び溶融粘
度指数(メルトインデックス:以下単にMIと略す)のも
のを単独あるいはそれらを混合して使用できる。また、
エチレンとα−オレフィンとの共重合体である直線状低
密度ポリエチレン及びこれらと各種のポリオレフィンと
の混合物も使用できる。
【0069】写真用支持体を製造するには、樹脂を溶剤
に溶かして基紙面に塗抹するため、溶剤塗抹や樹脂フィ
ルムを基紙面と貼り合わせたラミネート法等でも行い得
るが、本発明における写真用支持体は、通常走行する基
紙上に加熱溶融した二酸化チタンを含む樹脂組成物をス
リットダイからフィルム状溶融押出塗工して製造され
る。樹脂がポリオレフィン樹脂の場合、溶融押出温度
は、200〜350℃であることが好ましい。また、樹
脂組成物を基紙に溶融押出塗工する前に、基紙にコロナ
放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すのが好まし
い。樹脂被覆紙の樹脂層の厚さとしては、特に制限はな
いが、一般に5〜50μm程度の厚さに押出塗工された
ものが有利である。また、基紙の両面が樹脂によって被
覆された通常の樹脂被覆紙においては、二酸化チタン顔
料を含む樹脂表面はその用途に応じて光沢面、マット
面、絹目面などを有し、反対側の裏面は通常マット面で
あり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放
電処理、火炎処理などの活性化処理を行うことができ
る。
【0070】本発明における写真用樹脂被覆紙には、各
種のハロゲン化銀写真乳剤層を設けることができる。例
えば、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、ヨウ臭化銀、塩ヨウ
臭化銀乳剤層を設けることができる。
【0071】また、ハロゲン化銀写真乳剤層にカラーカ
プラーを含有せしめて、多層ハロゲン化銀写真構成層を
設けることができる。それらのハロゲン化銀乳剤層の結
合剤としては、通常のゼラチンの他に、ポリビニルピロ
リドン、ポリビニルアルコール、多糖類の硫酸エステル
化合物などの親水性高分子物質を用いることができる。
また、上記のハロゲン化銀乳剤層には各種の添加剤を含
有せしめることができる。例えば、増感色素として、シ
アニン色素、メッロシアニン色素など化学増感剤として
水溶性金化合物、イオウ化合物など、カブリ防止剤もし
くは安定剤として、ヒドロキシ−トリアゾロピリミジン
化合物、メルカプト−複素環化合物など、硬膜剤とし
て、ホルマリン、ビニルスルフォン化合物、アジリジン
化合物など塗布助剤として、ベンゼンスルフォン酸塩、
スルフォコハク酸エステル塩など、汚染防止剤として、
ジアルキルハイドロキノン化合物など、現像促進剤とし
てハイドロキノン、フェニドンなど紫外線吸収剤とし
て、ベンゾトリアゾール化合物など、そのほか蛍光増白
剤、鮮鋭度向上色素、帯電防止剤、pH調節剤、更にハ
ロゲン化銀の生成。分散時に水溶性イリジウム化合物、
水溶性ロジウム化合物などを適宜組み合わせて含有せし
めることができる。
【0072】また、本発明における写真用樹脂被覆紙の
裏面には、すなわち、写真構成層、多くはハロゲン化銀
写真構成層を塗設する面とは反対側の支持体面上にはカ
ール防止、帯電防止、粘着性防止、滑り防止などの目的
でなどのでバックコート層と称せられる親水性コロイド
層からなる塗布層を設置することができる。かかるバッ
クコート層中には、バインダーあるいは保護コロイド、
硬膜剤、帯電防止剤、界面活性剤、マット化剤、ラテッ
クスなどを含有せしめることができる。
【0073】本発明の写真印画紙用支持体は、各種の熱
転写記録受像層が塗設されて各種の熱転写記録受像材料
用支持体としても用いることができる。また、各種のイ
ンク受像層が塗設されて、各種のインクジェット記録材
料用支持体としても用いることが可能である。さらに、
樹脂被覆層上に印刷画像形成層を設けて、平版印刷用支
持体として用いることも可能である。
【0074】
【実施例】以下に、本発明を具体的な実施例を詳細に説
明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではな
い。以下における%はすべて重量%によるものである。 実施例1〜6、比較例1〜8 広葉樹材晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サル
ファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディ
アンスタンダードフリーネスで300mlになるまで叩
解し、パルプスラリーを作成した。これに表1記載の融
点を有するアルキルケテンダイマーサイズ剤、および、
填料として表1記載の粒径を有する軽質炭酸カルシウム
を、パルプ乾燥重量に対して添加した。さらに、強度剤
としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0重量%、カ
チオン化澱粉を対パルプ2.0重量%、ポリアミドエピ
クロロヒドリンを対パルプ0.5重量%添加し、水で希
釈後1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で
坪量170g/m2になるように抄造し、写真印画紙用
紙基体とした。
【0075】抄造した写真印画紙用紙基体に、密度0.
918g/cm3の低密度ポリエチレン100重量%の
樹脂に対して、10重量%のアナターゼ型チタンを均一
に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融
し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、冷
却ロールを用いて押出被覆型付けした。もう一方の面に
は密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂を
同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押
出被覆型付けした。
【0076】続いて得られた写真印画紙用支持体の二酸
化チタン顔料を含む表面側の樹脂面にコロナ放電処理
後、黄色発色カプラーを含む青感乳剤層、色濁り防止剤
を含む中間層、マゼンダ発色カプラーを緑感乳剤層、紫
外線吸収剤を含む紫外線吸収層、シアン発色カプラーを
含む赤感乳剤層および保護層を設けて、ゼラチン全量が
0.8g/m2であるカラー印画紙を作成した。各色感
乳剤層は、硝酸銀で0.6g/m2に相当する。塩臭化
銀を含み、更に、ハロゲン化銀の生成分散及び成膜に必
要なゼラチンの他、適量のカブリ防止剤、増感色素、塗
布助剤、硬膜剤、増粘剤及びフィルター染料等を含む。
【0077】評価方法は、次の通りである。製造時につ
いては、操業適性と欠点発生率で評価を行った。 操業適性 操業適性の評価については、写真印画紙用基体に発生し
た欠点のために、連続14日間操業を目標に、抄紙機を
何回停機させたかで評価した。 ◎:連続操業中停機なし ○:連続操業中停機1回 △:連続操業中停機2回 ×:連続操業中停機3回以上 欠点発生率 写真印画紙用紙基体の欠点発生率については、連続操業
中の全欠点数÷全巻取り本数×100として計算した。
【0078】また、写真印画紙用支持体としての評価と
して、次の物性としてテーバー剛度、PY値、および現
像処理液の浸み込みで評価を行った。 テーバー剛度 JIS P8125に従って、写真印画紙用支持体のテ
ーバー剛度を測定した。この値が17.5以下では実用
上問題がある。 浸み込み 現像処理液のエッジからの浸み込みについては、写真印
画紙とした試料を、カラー自動現像液機(SRP−20
14)で現像処理して、エッジからの現像液の浸み込み
幅を測定した。浸み込み幅は、0.5mm以下であれ
ば、実用上問題のないレベルである。 PY値 膜厚ムラ指数PY値とは、2つの球状の触針の間に試料
を走行させ、試料の厚み変動を電子マイクロメーターを
介し電気信号として測定するフィルム厚み測定器を用
い、電子マイクロメーターの感度レンジが±15μm/
±3Vの条件で、ゼロ点調整後試料の抄紙方向に1.5
m /分の定速で走査することで試料の抄紙方向の厚み
変動を測定し、得られた測定信号値を、FFTアナライ
ザーを用いて、時間窓にハニングウィンドウを使用して
高速フーリエ変換して、128回の積算の加算平均によ
るパワースペクトルを求め、0.5mmから12.5mm
の周波数域のパワー値を総和した値を膜厚ムラ指数PY
値と規定し、シート状基体表面上の有する地合を示す指
標である。
【0079】最後に、面質感は、写真印画紙用支持体
に、乳剤を塗布して、カラー写真印画紙として、表面の
面質感を評価した。 面質感 目視による官能評価により、グレード分けして評価を行
った。 ◎:非常に良く見える ○:良く見える △:普通かあるいはやや悪く見える ×:明らかに悪く見える これらの結果を、表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】実施例1〜6では、操業適性も良好で、面
質の良いカラー写真印画紙が得られるが、比較例1,4
では面質感が向上しない。また、比較例2では、操業性
は良いが、サイズ性がほどんどなく、浸み込みが著しく
悪く、実用性は全くなく、比較例7では面質感は良い
が、浸み込みが悪く製品としては不可レベルである。ま
た、比較例3、5、6、8は操業性も悪く、面質感も悪
い、特に比較例8は操業性が悪く、面質感も非常に悪い
ことがわかる。
【0082】実施例7〜12 実施例1〜5の写真印画紙用紙基体を用いて、下記内容
の塗抹層を設けた。軽質炭酸カルシウム100重量部お
よびポリアクリル酸ソーダ0.5重量部をコーレス分散
機を用いて水中に分散し、固形分濃度60%の顔料スラ
リーを調製した。これに、トリブチルフォスフェート
0.5重量部、オレイン酸カリウム1.0重量部、炭酸ナ
トリウムを用いて溶解したカゼイン水溶液(濃度10重
量%)10重量部及びアクリル酸ブタジエンメチルメタ
クリレート共重合ラテックス18部(固形分)を加え、更
に水を加えて固形分濃度40%の塗被液を調製した。こ
の塗被液を用いてリウエットキャスト法により、表2記
載の塗抹層を設けて、高平滑塗抹紙を得た。 比較例9〜13 比較例1の写真印画紙用紙基体を用いて、実施例7〜1
2と同様に、表2記載の塗抹層を設けて、比較例9、1
0、12、13を作成した。また、比較例11は、比較
例3の写真印画紙用紙基体上に、実施例7〜12と同様
に塗抹層を設けた。続いて、塗抹を設けた写真印画紙用
紙基体に実施例7〜12、比較例9〜13ともに、実施
例1〜6と同様に得られた写真印画紙用紙基体にポリオ
レフィン樹脂で被覆し、乳剤を塗布して写真印画紙を作
成した。
【0083】次に、評価方法であるSRa値と密度は次
のように行い、これらの結果を表2に示す。 SRa値 紙基体およびその上に塗抹層を設けた場合において乳剤
を塗布する面の表面粗さを、小坂研究所製三次元表面粗
さ計を使用し、下記の条件で測定されたものである。S
Ra値において、0. 15μm以上あると、印画紙とな
った際のプリント表面の目視による光沢感がかなり劣
り、製品上の高品質さが失われる。 カットオフ 0.8mm X測定長さ 20.8mm Y送りピッチ 0.5mm/min 測定本数 16 本 密度 JIS P8118に従って、写真印画紙用紙基体の密
度を測定した。
【0084】
【表2】
【0085】実施例7〜12では、面質感も写像性も良
いカラー写真印画紙が得られるが、比較例9は面質テー
バー剛度が比較的良好であるが、面質感と写像性がかな
り劣る。また、比較例10、11では、テーバー剛度で
が比較的良好ではあるが、面質感と写像性が低下してし
まう。比較例12は、面質感や写像性がやや良好である
が、剛度が劣る。比較例13は、剛度が非常に良いが、
面質感が悪く、さらに写像性が著しく低下しまう。
【0086】実施例13〜18、比較例12〜20 実施例1の配合で、固形分濃度、上部脱水率、絶乾水
分、ロール温度、線圧等の表3の各抄造条件で、坪量1
70g/m2になるように写真印画紙用紙基体を抄造し
た。続いて、写真印画紙用紙基体に実施例13〜18、
比較例12〜20ともに、実施例1〜6と同様に得られ
た写真印画紙用紙基体にポリオレフィン樹脂で被覆し、
乳剤を塗布して写真印画紙を作成した。
【0087】評価方法は、実施例1〜6と同様に、PY
値と面質感で評価した。これらの結果を、表3に示す。
【0088】
【表3】
【0089】実施例13〜18では、面質感の良好な写
真印画紙が得られるが、比較例12〜20のように各抄
造条件以外では、目的の面質感を得ることができない。
【0090】実施例19〜24、比較例21〜24 実施例1の写真印画紙用紙基体を用いて、押出コーティ
ング法により溶融樹脂を冷却ロールを用いて冷却固化さ
せる工程において、表4の加圧装置と加圧条件である線
圧、およびクーリングロールの撓みの条件で行った。
【0091】品質評価方法としては、クレーター状細
孔、乳剤面の外観および面質感で評価で行った。 [クレーター状細孔]クレーター状細孔の評価は樹脂被
覆写真用支持体の表面の2.0cm四方を10倍のルー
ペで拡大して観察し、径0.4mm(実測40μm)以上
の細孔の数でグレード評価とし、クレーター状細孔グレ
ードが4以上になると写真用印画紙表面の光沢の低下等
外観上の支障をきたす。 グレード1:表面上に細孔は見られない グレード2:1〜10個見られる グレード3:11〜50個見られる グレード4:51〜100個見られる グレード5:101個以上見られる なお、乳剤面の外観と面質感は、目視観察による官能評
価方法を用いた。これらの結果を、表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】実施例19〜24では、クレーター状細孔
の発生が少なく、面質感に優れていることがわかる。し
かしながら、比較例21のエアーシリンダーで加圧した
場合は、クレータ状細孔の発生が多く、また、面質感も
チカチカと表面が散乱し、実用的ではない。比較例22
では、油圧シリンダーを使用しても、加圧が小さ過ぎる
と、比較例1よりも悪く、クレータ状細孔と面質感が著
しく低下する。また、逆に加圧が強すぎると写真印画紙
用紙基体表面の凹凸を転写するように、面質感が低下し
てしまう。さらに、比較例24のように撓みが0.1%
を超える場合、写真印画紙用支持体の巾方向の特定部分
で、クレータ状細孔が著しく悪化する部分ができ、写真
印画紙として実用価値がなくなり、製品として不可とな
り大幅な損失を発生される。この理由に関しては、巾方
向で、冷却ロールとクーリングロール表面、圧力分布に
不均一部分が発生したためであると考えている。
【0094】実施例25〜30、比較例25〜34 実施例1の写真印画紙用紙基体を用いて、押出コーティ
ング法により溶融樹脂を冷却ロールを用いて冷却固化さ
せる工程において、実施例22の加圧装置と加圧条件で
ある線圧、およびクーリングロールの撓みの条件で、表
5の表面形状を有するクーリングロールを用いて製造を
行った。得られた写真印画紙用支持体に実施例1〜6と
同様に乳剤を塗布して写真印画紙を作成した。
【0095】クーリングロール表面の評価方法 クーリングロール表面をレプリカにより形状を転写さ
せ、三次元表面粗さ計による三次元スキャン図、及び電
子顕微鏡写真の観察により、平坦部と凹部エッジ部分が
滑らかさを目視判定により、下記のグレード評価で行っ
た。 ○:エッジ部分が滑らかになっている △:若干エッジ部分の角ばっている ×:エッジ部分が角ばって、鋭角になっている また、研磨により、平坦面の有無を ○:凸部の頂部に平坦面有り ×:凸部の頂部に平坦面無し とする。さらに、得られた冷却ロール表面の表面粗さ
は、フィルタを用いた数値であり、ロール表面の低周波
成分を除去するため、カットオフ値は0.8mmを用い
た。
【0096】次に、評価方法は下記の方法で行った。 品質評価方法 このようにして得られた樹脂被覆写真用支持体の表面に
おける、剥離横段ムラ、クレーター状細孔の発生度合い
を目視により評価した。さらに、この樹脂被覆写真用支
持体の表面にコロナ処理を行い、カラー用ハロゲン化銀
乳剤を13g/m2塗布し、塗布開始線から塗布量が均
一になるところまでの距離を測定した。また、現像処理
した写真用印画紙表面の写像性を評価した。
【0097】乳剤塗布開始から均一液付きの距離 乳剤塗布開始線から均一液付きの距離は、50mmを越
えると塗布先端部分が厚塗りとなり、乾燥ゾーンの乾燥
負荷が生じペーパーロールの汚染等重大な品質故障を発
生させる。
【0098】剥離横段ムラ 剥離横段ムラの評価は、グレード評価とし、樹脂被覆写
真用支持体の剥離グレード4以上になると写真用印画紙
表面の光沢の低下等外観上の支障をきたす。 グレード1:剥離横段ムラはまったく見られない グレード2:薄く剥離横段ムラが見られる グレード3:剥離横段ムラが見れるが、乳剤層上には見
えない グレード4:剥離横段ムラが強く、乳剤層上にも薄く見
れる グレード5:剥離横段ムラ非常に強く、乳剤層上にも強
く残る
【0099】写像性 写像性は、スガ試験機株式会社製 写像性測定器 ICM
−2DP型 を使用し、光学くしの幅2.0mmを用いて
評価した。写像性C値が50%をしたまわると、鏡面タ
イプの高光沢感な写真用印画紙としての性能が欠如し、
外観上の支障をきたす。これらの評価結果を示す。
【0100】
【表5】
【0101】実施例25〜30では、得られた写真印画
紙用支持体は、剥離横段ムラ、クレーター状細孔の面質
も良好で問題がない。また、写真印画紙用支持体に乳剤
を塗布し、乳剤塗布開始からの均一液付の距離も良好
で、得られた写真印画紙としても非常に面質感が良く、
写像性も良い。
【0102】
【発明の効果】本発明のように、填料およびアルキルケ
テンダイマーを添加した紙基体は、操業適性が良好で、
欠点発生率を著しく低減することができる。また、これ
らの写真印画紙用紙基体の両面にポリオレフィン樹脂で
被覆し、さらに、乳剤を塗布し写真印画紙の場合、面質
感も向上することができる。また、本発明の写真印画紙
用紙基体に、塗抹層を設けることにより、両面にポリオ
レフィン樹脂で被覆すると、写真印画紙用支持体の剛度
が向上し、さらに、乳剤を塗布した写真印画紙の場合、
面質感も向上することができる。さらに、本発明の写真
印画紙用紙基体は、2枚ワイヤー抄紙機と熱カレンダー
処理の諸条件により製造することが可能であり、油圧シ
リンダーによる加圧や特定のクーリングロールを用いる
ことにより、写真印画紙としての面質感はもちろん、写
像性も良好であり、写真印画紙用支持体としては、クレ
ータ状細孔の発生や剥離横段ムラが抑えられ、乳剤塗布
開始から均一液付の距離が短く良好である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−285539(JP,A) 特開 平2−264939(JP,A) 特開 平4−107546(JP,A) 特開 平6−10943(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/79

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙基体と、その両面上に形成されたポリ
    オレフィン樹脂を主成分として含む被覆層とを有し、該
    紙基体が天然パルプを主成分として含み、パルプ乾燥重
    量に対して、粒径3μm以下の填料を1.0〜7.0重
    量%、および融解開始温度が35℃以上で、かつ、融点
    が50℃以上のアルキルケテンダイマーを0.1〜0.
    5%含有することを特徴とする写真印画紙用支持体。
  2. 【請求項2】 両面がポリオレフィン樹脂で被覆され、
    該紙基体の少なくとも一方の面に接着剤を含む塗抹層が
    5〜20g/m2有し、該基紙の原紙密度が0.90以
    上であり、かつ塗抹層および塗抹前の紙基体表面のSR
    aが、1.50μm以下であることを特徴とする請求項
    1記載の写真印画紙用支持体。
  3. 【請求項3】 紙基体の少なくとも片面をポリオレフィ
    ン樹脂を主成分として含む樹脂により被覆した写真印画
    紙用支持体の製造方法において、該紙基体を長網抄紙機
    の紙匹を形成するワイヤーとその上から紙匹を挟むよう
    に無端の上部ワイヤーを設けた2枚ワイヤー抄紙機によ
    って形成する際、上部ワイヤーに挟まれる直前の紙匹の
    固形分濃度が1.5〜2.5重量%でありかつ、上部ワ
    イヤーと下部の長網抄紙機のワイヤーに挟まれる部分に
    於ける上部の無端ワイヤーで脱水される水の量と長網抄
    紙機の下部ワイヤーで脱水される水の量の合計量に対す
    る上部の無端ワイヤーで脱水される水の量の割合いであ
    る上部脱水率を30〜50%とし、得られた紙匹が絶乾
    水分2.0〜7.0%になるよう紙基体を抄造し、さら
    に、該紙基体を温度110℃〜250℃、線圧40kg
    /cm以上の条件下で、2本の金属ロールで形成された
    ニップ間を通過して、熱カレンダー処理をして製造する
    請求項1記載の写真印画紙用紙基体の製造方法。
  4. 【請求項4】 紙基体の両面を溶融押出コーティング法
    によって、ポリオレフィン樹脂で被覆した写真印画紙用
    支持体の製造方法において、乳剤塗布面側のポリオレフ
    ィン樹脂を押出コーティングする際に、油圧シリンダー
    で加圧されたバックアップロールを介在して、冷却ロー
    ルとプレスロールが30〜100kg/cmの線圧でニ
    ップされ、該冷却ロールの撓みが20μm以下の状態
    で、溶融ポリオレフィン樹脂を冷却固化させることを特
    徴とする請求項1記載の写真印画紙用支持体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記冷却ロール表面が、平坦な金属表面
    に十点平均粗さRzが0.3〜1.0μm、平均ピッチが
    10〜50μmの微細な凹凸を有し、凸部の頂部が平坦
    であり、かつ、凹部の平均線から底部側の平均傾斜角が
    5〜7度であり、凹部の平均線から頂部側の平均傾斜角
    が2〜4度で、平坦部と凹部とのエッジ部分が滑らかに
    なっていることを特徴とする請求項4記載の写真印画紙
    用支持体の製造方法。
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