JP3460160B2 - 連続鋳造用鋳型の製造方法 - Google Patents

連続鋳造用鋳型の製造方法

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JP3460160B2
JP3460160B2 JP24225294A JP24225294A JP3460160B2 JP 3460160 B2 JP3460160 B2 JP 3460160B2 JP 24225294 A JP24225294 A JP 24225294A JP 24225294 A JP24225294 A JP 24225294A JP 3460160 B2 JP3460160 B2 JP 3460160B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性溶射皮膜を形
成した連続鋳造用鋳型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼などの連続鋳造用鋳型は、その使命か
ら、耐摩耗性,高熱伝導性及び高強度が要求され、特
に、耐摩耗性の面からは、従来よりCrメッキ,Niメ
ッキ,或いはNi合金メッキ皮膜が用いられている。近
年、更に、耐摩耗性を向上させる目的で、Niメッキ等
の上に、Ni−Cr系自溶性合金などを溶射し、溶射
後、加熱処理を行なって溶射皮膜を形成した鋳型が提案
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
連続鋳造用鋳型における溶射皮膜の形成は、超高速フレ
ーム溶射(HVOF)と呼ばれる溶射ガンの作動圧力が
0.5MPa(メガパスカル)以下の溶射法であって、
溶射フレームの熱により溶射材料が全体的に溶融してし
まうため、銅または銅合金基体(以下、略して「銅基
体」とする)への強力な食い込みがほとんど得られず、
そのため、基体と溶射皮膜との密着強度が低く、溶射の
ままの状態では使用出来ないものであった。
【0004】このため、従来の溶射法では、溶射後にお
いて、より緻密な皮膜形成と、溶射皮膜と基体(Cu又
は〔Cu+メッキ〕)との拡散層の生成による密着強度
の向上を目的として、約900〜1000℃の高温加熱
処理(フュージング処理)を行なうことが必須であっ
た。
【0005】ところが、銅基体が非析出硬化型材料(脱
酸銅など純銅系)である場合、溶射後に約900〜10
00℃の高温加熱処理を行なうと、銅基体として具備す
べき材料強度が著しく低下してしまう欠点があった。即
ち、冷間加工歪で材料強度を高くしている非析出硬化型
基体は、再結晶によって材料強度が著しく低下し、鋳型
材としては使用不可能になるという、材料面での致命的
な問題があった。従って、従来は、加熱処理により鋳型
材としての強度を回復させることが可能な析出硬化型基
体の使用によらなければならなかった。
【0006】そこで、銅基体に析出硬化型材料を使用し
た場合も、従来法では、やはり前記した理由により、溶
射後において、加熱処理として約900〜1000℃の
高温加熱処理をなし、その後急冷し、約400℃で析出
硬化処理としての加熱処理を行なう必要があった。しか
しながら、銅基体の材料強度回復のための溶体化処理
で、本来行なわれるべき急冷(水冷)は、溶射皮膜と銅
基体との熱膨張係数の差が大きく、溶射皮膜の剥離、あ
るいは溶射皮膜に割れが生ずるなどの問題のため、急冷
は不可能であり、充分な熱処理が行なわれなかった。そ
のため、やはり、銅基体の材料強度が得られないという
鋳型として致命的な問題があった。
【0007】さらに加えて、従来の溶射法では、溶射前
に、アルミナなどのグリッド材を高速度で吹き付け、銅
基体表面の汚れやCuOなどの酸化皮膜の除去と、基
体表面の粗面化(凹凸を付ける)を行なういわゆるブラ
スト処理を行なう必要があった。
【0008】このように従来の溶射法では、溶射前のブ
ラスト処理、溶射後の加熱処理など、作業工程が多く、
その作業内容も複雑で、結果としてコスト高となる欠点
があった。また、耐摩耗性を持続するには溶射皮膜の厚
さは厚くする方が良いが、従来の超高速フレーム溶射法
では、溶射皮膜の厚さは最大0.5〜1mm程度であ
り、それ以上に厚くすると皮膜にクラックが発生するな
どの問題があった。
【0009】本発明は、上記実情に鑑みなされたもの
で、溶射前のブラスト処理と溶射後の加熱処理が不要で
あり、緻密で、且つ、アンカー効果による優れた密着強
度を有し、耐摩耗性の持続に優れた連続鋳造用鋳型の製
造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の連続鋳造
用鋳型の製造方法は、銅または銅合金を基体とする鋳型
の内面に溶射皮膜を形成する連続鋳造用鋳型の製造方法
において、銅基体鋳型の内面に、溶射ガンの作動圧力が
0.55MPa〜1.04MPaである高圧・超高速フ
レーム溶射法により、皮膜厚さ0.01〜6mmの溶射
皮膜を少なくとも上記銅基体表面に食い込む第一層とし
て、1種または2種以上のタングステン・カーバイト系
耐摩耗性材料で形成し、溶射前のブラスト処理及び溶射
後の加熱処理を行なわないことを特徴とする。
【0011】また、溶射皮膜と上記銅基体との間に、N
iメッキまたはNi−Feメッキのメッキ層を介在さ
せ、溶射ガンの作動圧力が0.55MPa〜1.04M
Paである高圧・超高速フレーム溶射法により、皮膜厚
さ0.01〜6mmの溶射皮膜を少なくとも上記メッキ
層表面に食い込む第一層として、1種または2種以上の
タングステン・カーバイト系耐摩耗性材料で形成し、溶
射前のブラスト処理及び溶射後の加熱処理を行なわない
ことを特徴とする。
【0012】そして、タングステン・カーバイト系耐摩
耗性材料は、直径5〜53μmの粉末で、マイクロビッ
カース硬さ(荷重300g)HV0.3が1000〜1
400であることが望ましい。
【0013】ここで、高圧・超高速フレーム溶射法と
は、溶射ガンの作動圧力を0.55MPa以上にするこ
とにより、溶射材料が被溶射基体の表面に食い込んで密
着性に優れ、しかも緻密な溶射皮膜を形成する溶射法で
ある。
【0014】従来の超高速フレーム溶射(HVOF)と
本発明に係る高圧・超高速フレーム溶射(HP/HVO
F)の差異は、上記した溶射ガンの作動圧力ばかりでな
く、粒子速度、ジェツトのマッハ、そして、燃料供給圧
及び酸素供給圧のいずれも高圧・超高速フレーム溶射の
方が高く、その反面、ジェト温度は低いことである(表
2参照)。これによって、高圧・超高速フレーム溶射法
は、溶射フレームの熱により全体的に溶融することが無
く、基体に食い込み得る硬さを維持した半溶融状態の粒
子が、超高速で基体に溶射され、優れた密着強度を得る
ことができるのである。
【0015】高圧・超高速フレーム溶射法の溶射ガンの
作動圧力は、理論的には、0.55MPa以上である
が、好ましくは0.55MPa〜1.04MPaであ
る。0.55MPa以下では、溶射材料に充分な運動エ
ネルギーを与えることができない。一方、1.04MP
a以上になると、基体表面への食い込みが作動圧力の増
加の割には増加しないばかりか、かえって基体表面に大
きな残留応力を残したりする恐れがある。
【0016】また、銅基体または上記したメッキ層に食
い込み得る硬さを有する(アンカー効果を発揮する)少
なくとも第一層目の耐摩耗性材料としては、上記した好
ましい溶射ガン作動圧力範囲0.55MPa〜1.04
MPaでは、タングステン・カーバイト(以下「WC」
と略する)系耐摩耗性材料を挙げることができ、その粉
末を用いる場合で、マイクロビッカース硬さ(荷重30
0g)HV0.3:1000〜1400が好ましく、粉
末の直径は5〜53μmが好ましい。
【0017】粉末の直径が5μmより小さくなると、上
記運動エネルギーが充分得られなく、基体に粉末が完全
に密着しない。また、粉末の直径が53μmより大きく
なると、基体への食い込みが浅くなり、密着強度が低下
する。
【0018】粉末の硬さが、HV0.3:1000より
低くなると、粉末の食い込みが浅くなり、HV0.3
1400より高くなると、溶射皮膜内に発生する歪が大
きくなるという問題が生じる。なお、この粉末の好まし
い直径は、粉末の材質や形状によって異なってくるのは
勿論である。
【0019】第一層目のWC系耐摩耗性材料としては、
WC−12Co(12重量%のCoを含むWC)または
WC−27NiCr(Ni及びCrを27重量%(Ni
とCrの配合比率は4:1)を含むWC)などを挙げる
ことができる。
【0020】また、上記第一層目の表面に第二層目の耐
摩耗性溶射皮膜を形成するときは、第二層目の溶射材料
としてNi基自溶性合金を使用することができる。Ni
基自溶性合金とは、Ni−Cr−Si−B系合金にF
e,Cu,C,Moなどを添加したものであり、好まし
い組成は、Siが1.25〜5.50重量%,Bが2.
00〜4.50重量%,Crが8.0〜18.0重量
%,Cが0.30〜1.00重量%,Feが1.25〜
5.50重量%,Cuが0〜5重量%,Moが0〜5重
量%,Niが残りのものである。また、順次使用状態に
よって、組成を変化させ、第三層目以降を形成しても良
い。
【0021】更に、上記第二層目に加えて、第三層目の
耐摩耗性溶射皮膜を形成するときは、第三層目の耐摩耗
性溶射材料として、Co基自溶性合金を使用することも
できるが、前記Ni基自溶性合金と同様、第二層目以降
の耐摩耗性溶射材料として使用しても良い。Co基自溶
性合金とは、Co−Cr−Si−B系合金にFe,C,
Ni,Mo,Wなどを添加したものであり、好ましい組
成は、Siが1.5〜4.5重量%,Bが1.5〜4.
0重量%,Crが16.0〜24.0重量%,Cが0.
25〜1.50重量%,Feが1.25〜5.00重量
%,Moが0〜7.00重量%,Niが0〜30重量
%,Wが4〜15重量%,残りがCoである。
【0022】高圧・超高速フレーム溶射法によって銅基
体表面または上記したメッキ層表面に形成される溶射皮
膜の膜厚は、0.01mm以下では鋳型内面において耐
摩耗性を維持するには不充分である。耐摩耗性を維持す
るには、膜厚を厚くする方が好ましいが、6mm以上に
厚みを増すことは、皮膜の熱伝導の低下により、鋳型の
使命である抜熱効果の阻害、あるいは皮膜内の歪により
クラックを生ずる危険がある等の不都合がある。従っ
て、膜厚は0.01〜6mmとされる。
【0023】
【作 用】本発明で用いる少なくとも第一層を形成する
上記した耐摩耗性材料は、溶射フレームの熱によって全
体的に溶融することがなく、しかも、基体に食い込み得
る硬さを有するものである。そして、高圧・超高速フレ
ーム溶射法(HP/HVOFなど)で用いる溶射ガンの
作動圧力は、上記の食い込みを生じさせる圧力であっ
て、従来の超高速フレーム溶射法(HVOF)で用いる
溶射ガンの作動圧力より大きい。そのため、高圧・超高
速フレーム溶射法により噴射された耐摩耗性材料の粉末
は、基体に食い込んでしっかりと固定(密着)される。
その際この溶射皮膜の形成に当り、同時に基体表面の汚
れ(手垢,各種マーキングなど)或いはCuOなどの
酸化皮膜も除去される。
【0024】従って、従来法のような溶射前処理として
の基体のブラスト処理などを行なわなくても、基体表面
の酸化皮膜の除去と良好な密着強度が得られる。また、
大きな作動圧力により、粉末に大きな運動エネルギーを
与えることができ、非常に緻密で、しかも膜厚の厚い溶
射皮膜を形成することが可能となる。そのため、従来法
で行なわれていた溶射皮膜の密着性や皮膜品質の改善の
ための、そして銅基体の材料特性回復のための加熱処理
は、全く不要となる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0026】図1は、本発明実施例鋳型の短辺側銅板の
要部を拡大した縦断面を示しており、図2は、他の実施
例の短辺側銅板の要部を拡大した縦断面を示している。
これらの図において、1は銅または銅合金で形成された
鋳型本体(基体)であり、その内壁面上に耐摩耗性材料
から成る溶射皮膜2あるいはメッキ層3が形成されてい
る。
【0027】図1の実施例では、溶射フレームの熱によ
って全体的に溶融することが無く、しかも基体1の内壁
面に食い込み得る硬さを有する耐摩耗性材料を用いて、
高圧・超高速フレーム溶射法により基体の内壁面に直接
溶射された溶射皮膜2が形成されている。4はその食い
込み層である。
【0028】一方、図2の実施例では、銅基体1の表面
に0.01mm厚さのNiメッキ層3が形成されてお
り、その上に高圧・超高速フレーム溶射法によりメッキ
層3に食い込み得る耐摩耗性材料が溶射され、溶射皮膜
2が形成されている。そして、メッキ層3と溶射皮膜2
との間に食い込み層4が生じている。
【0029】次に、上記図1の実施例構造の鋳型材につ
いて、銅または銅合金に溶射した溶射皮膜の密着性、割
れ感受性、及び銅基体への熱影響を調べるために、図3
に示す試験片を作成して熱衝撃試験を行なった。図3に
おいて、1aは銅または銅合金の基体であり、2aは溶
射皮膜、5は取付け穴である。
【0030】試験片の基体を構成する銅及び銅合金の組
成及び種類は、表1に示す通りである。また、試験に使
用した高圧・超高速フレーム溶射法(HP/HVOF)
及び従来例の超高速溶射フレーム法(HVOF)を実行
するプロセス(設備)の詳細は表2に示す通りである。
【表1】
【表2】
【0031】なお、表2中の「ガンの作動圧力」とは、
溶射ガンの燃焼室内の圧力を圧力センサーにより測定し
た値である。また、「ジェット温度」とは、各燃料によ
るフレームの温度の計算値であり、「ジェットのマッ
ハ」とは、フレームの速度が音速を超えるときに発生す
る衝撃波によるダイヤモンドパターンショックの角度に
より計算されたフレーム速度である。更に、「粒子速
度」とは、溶射ガンの噴射口のフレーム内粒子をレーザ
ードプラー粒速計によって測定した値である。
【0032】表1に示した組成及び種類の銅または銅合
金からなる基体1aの表面に、表2に示す溶射条件で耐
摩耗性溶射皮膜2aを形成した。その際、第一層目の耐
摩耗性溶射材料には、Coを12重量%或いはNi及び
Crを27重量%含むタングステン・カーバイト粉末を
使用し、約0.8mm厚の溶射皮膜を形成した。試験例
に使用した溶射材料の粉末の組成,粒度(粉末の直径)
及び硬さは、表3に示す通りである。
【表3】
【0033】熱衝撃試験は、先ず、図3に示す試験片の
両端四箇所の取付け穴5に四本のボルトを挿入し、所定
の固定ブロックに締付トルク1000kgf・cmのト
ルクでしっかりと締付け固定した。その後、試験片を環
状式電気炉内で300℃になるまで加熱し、300℃に
達した後、直ちに、100℃まで水による急冷を行なう
ことを1回の加熱冷却サイクルとして、この加熱冷却サ
イクルを500回繰り返した。加熱冷却サイクルを50
0回行なった後に、溶射皮膜2aからなる保護層の表面
割れを観察し、その後溶射皮膜2aを切断して、その断
面から溶射皮膜2aの剥離及び割れの発生有無を観察し
た。
【0034】〔試験例1〕 表4は、非析出硬化型材料の代表例として表1に示した
純銅を使用し、その基体に、所定の試験片製造方法のも
とで溶射皮膜を形成し、溶射後の加熱処理による基体の
材料強度(硬さ)への影響の有無、及び溶射皮膜の密着
強度、並びに熱衝撃試験による溶射皮膜の評価を示した
ものである。
【表4】
【0035】表4の結果から、従来法の超高速フレーム
溶射法(HVOF)により、純銅の基体にブラスト処理
及び溶射後の加熱処理を行なって溶射皮膜を形成した場
合は、基体の材料強度(硬さ)が著しく低下し、約1/
2以下になっている。この材料強度の低下により、従来
は、溶射皮膜用の基体として純銅(非析出硬化型材料)
を使用することができなかったわけである。一方、溶射
後の加熱処理を行なわなければ、基体の硬さ低下はない
が、溶射皮膜の密着強度は、約1.5kgf/mm2
あり、本発明の実施例に比べ約1/10である。また、
仮りにブラスト処理と溶射後の加熱処理を行なったとし
ても、その密着強度は本発明実施例の約1/2にすぎな
い。このことは、従来法の超高速フレーム溶射法により
溶射材料を溶射しても、溶射ガンの作動圧力が低く、基
体への食い込みが不充分であることを示している。
【0036】図4はそのことを写真及び図で示したもの
で、従来法の超高速フレーム溶射法により、WC−Ni
Cr系溶射材料を溶射し、その溶射皮膜と基体との界面
における断面のミクロの金属組織を示した写真及び説明
図である。ミクロ組織からも分かるように、溶射材料の
食い込みが極めて不充分であることが分かる。
【0037】一方、図5は、高圧・超高速フレーム溶射
法により本発明を実施した場合のもので、WC−NiC
r系溶射材料を溶射した時の鋳型の溶射皮膜と基体との
界面における断面のミクロの金属組織を示した写真及び
説明図である。このミクロ組織からも分かるように、基
体への食い込みが充分であることが分かる。なお、図5
は、第1層目がWC−NiCr系溶射材料であり、第2
層目は、Ni基自溶性合金である。
【0038】〔試験例2〕 表5は、析出硬化型材料の代表例として、Cr−Zr−
Cuの基体に、溶射皮膜を形成し、従来法と対比して溶
射皮膜評価を行なったものである。
【表5】
【0039】表4の結果と表5の結果を比較すれば分か
るように、純銅の場合と同様に、本発明実施例による溶
射皮膜の密着強度及び熱衝撃試験の評価は、従来例に比
らべ、著しく優れている。また、表4と表5の結果か
ら、基体が析出硬化型材料であるCr−Zr−Cuの方
が、純銅の場合より、溶射皮膜と基体との密着強度は高
く、溶射皮膜を形成する基体として好ましいことが分か
る。また、図6に示したように、従来例では溶射皮膜に
表面割れを生じたが、本発明実施例ではこのような割れ
状態は全く生じなかった。
【0040】〔試験例3〕 表6は、WC−12Coを基体への第一層目に溶射する
ことをベースとし、その上に第二層目の溶射皮膜として
Ni基自溶性合金を溶射した例を加えて、熱衝撃試験を
行なうことにより、「皮膜の厚さと皮膜の割れ感受性と
の関係」を示したものである。
【表6】
【0041】表6によれば、溶射皮膜が厚くなるに従っ
て、皮膜の表面割れが生ずるようになり、基体が純銅の
場合は、総皮膜厚が5mmになると表面割れが生ずるよ
うになる。また、析出硬化型材料の基体、即ちCr−Z
r−Cu基体の場合は、硬さの高いWC−12Co単層
で7mm厚の皮膜を形成したときに表面割れがやや認め
られた。しかし、第一層目を0.05mm厚のWC−1
2Coとし、第二層目を5.95mm厚のNi基自溶性
合金とした総皮膜厚さ6mmの場合は、割れは認められ
なかった。
【0042】従って、皮膜厚は、耐摩耗性を持続するに
は厚くする方が良いが、耐摩耗性材料の構成によって
は、4mm以上に厚みを増すとクラックを生ずる可能性
がある。また、皮膜厚は、0.01mm以上であれば、
耐摩耗性の皮膜として作用するが、基体の表面の凹凸状
態などから、耐摩耗性を維持するには、0.015mm
以上が必要である。このことから、好ましい皮膜厚は、
0.015〜4mmと言える。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
溶射前処理としてのブラスト処理をしなくても、溶射皮
膜の形成と同時に、基体表面の汚れ或いはCuOなど
の酸化皮膜を除去できる。また同時に、基体への溶射材
料の充分な食い込み(アンカー効果)により、密着強度
が高く、しかも緻密な溶射皮膜を形成できる。このため
従来例でなされていた基体材料特性の改善等のための溶
射後の加熱処理が不要となるという優れた効果が得られ
る。
【0044】一方、従来例では溶射後の加熱処理は必須
であり、そのため非析出硬化型材料料(純銅系)の鋳型
にあっては材料強度低下となり、溶射基体としては使用
上大きな欠点であった。しかし、本発明の実施により、
非析出硬化型材料料(純銅系)の鋳型にあっても、その
内面に溶射皮膜の適用が可能となったものである。
【0045】従来の超高速フレーム溶射法の溶射皮膜厚
さは、最大0.5〜1mmであり、それ以上に厚くする
と皮膜にクラックが発生するなどの問題があった。しか
し、本発明では従来法に比べ、膜厚を最大6mmまでに
厚くすることが可能となり、耐摩耗性持続を著しく向上
させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例鋳型の短辺側銅板の要部拡大縦断
面図。
【図2】他の実施例鋳型の短辺側銅板の要部拡大縦断面
図。
【図3】熱衝撃試験用試験片の説明図で、図3(a)は
その平面図、図3(b)はその正面図。
【図4】従来例鋳型の溶射皮膜と基体との界面における
断面のミクロの金属組織を示した写真及び図で、図4
(a)はその写真(倍率150)、図4(b)はそれを
図形化した説明図。
【図5】本発明実施例鋳型の溶射皮膜と基体との界面に
おける断面のミクロの金属組織を示した写真及び図で、
図5(a)はその写真(倍率150)、図5(b)はそ
れを図形化した説明図。
【図6】従来例鋳型における溶射皮膜表面の状態を1.
2倍に拡大して説明した図。
【符号の説明】
1,1a 銅基体 2,2a 溶射皮膜 3 メッキ層 4 食い込み層 5 取付け穴
フロントページの続き (72)発明者 田中 孝行 富山県中新川郡立山町西芦原新1番地の 1 中越合金鋳工株式会社内 (72)発明者 山本 賢三 富山県中新川郡立山町西芦原新1番地の 1 中越合金鋳工株式会社内 (72)発明者 足立 正博 東京都中央区銀座1丁目13番8号 日本 ウエルディング・ロッド株式会社内 (72)発明者 三木 良治 東京都中央区銀座1丁目13番8号 日本 ウエルディング・ロッド株式会社内 (72)発明者 大割 健男 千葉県柏市つくしが丘2−7−2 (72)発明者 森下 徹 東京都板橋区高島平8−25−1−206 (56)参考文献 特開 平1−186245(JP,A) 特開 平1−233047(JP,A) 特開 平4−325668(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/059 110 C23C 4/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅または銅合金を基体とする鋳型の内面
    に溶射皮膜を形成する連続鋳造用鋳型の製造方法におい
    て、銅基体鋳型の内面に、溶射ガンの作動圧力が0.5
    5MPa〜1.04MPaである高圧・超高速フレーム
    溶射法により、皮膜厚さ0.01〜6mmの溶射皮膜を
    少なくとも上記銅基体表面に食い込む第一層として、1
    種または2種以上のタングステン・カーバイト系耐摩耗
    性材料で形成し、溶射前のブラスト処理及び溶射後の加
    熱処理を行なわないことを特徴とする連続鋳造用鋳型の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 銅または銅合金を基体とする鋳型の内面
    に溶射皮膜を形成する連続鋳造用鋳型の製造方法におい
    て、溶射皮膜と上記銅基体との間に、Niメッキまたは
    Ni−Feメッキのメッキ層を介在させ、溶射ガンの作
    動圧力が0.55MPa〜1.04MPaである高圧・
    超高速フレーム溶射法により、皮膜厚さ0.01〜6m
    mの溶射皮膜を少なくとも上記メッキ層表面に食い込む
    第一層として、1種または2種以上のタングステン・カ
    ーバイト系耐摩耗性材料で形成し、溶射前のブラスト処
    理及び溶射後の加熱処理を行なわないことを特徴とする
    連続鋳造用鋳型の製造方法。
  3. 【請求項3】 タングステン・カーバイト系耐摩耗性材
    料が、直径5〜53μmの粉末で、マイクロビッカース
    硬さ(荷重300g)HV0.3が1000〜1400
    であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    連続鋳造用鋳型の製造方法。
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