JP3460087B2 - スパークプラグ用電極及びそれを用いたスパークプラグ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、電極母材の発火部に
貴金属層をレーザー溶接したスパークプラグ用電極及び
それを用いたスパークプラグに関する。

【０００２】

【従来の技術】スパークプラグ用電極は、耐火花消耗性
を向上させるため、ニッケル合金など耐熱耐腐食性金属
からなる電極母材の発火部に、白金合金など貴金属チッ
プを溶接している。この貴金属チップの溶接方法とし
て、電気抵抗溶接が一般的であるが、接合面に形成でき
る合金層が薄いため、熱応力に弱く耐久性が充分でない
欠点がある。かかる欠点を解消するため、この特許出願
人は、特開昭５７−１５１１８３号公報において中心電
極母材に貴金属チップを抵抗溶接し、さらに溶接面に外
周からレーザービームを照射したスパークプラグを提案
しいている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記抵抗溶
接とレーザー溶接との組み合わせは、電極母材と貴金属
チップとの合金層を厚くでき溶接強度は著しく増大する
が、溶接作業に手間がかかりコスト高になる欠点があっ
た。また、特開昭５９−１９１２８１号公報には、中心
電極の先端に軸孔を形成し、該軸孔に貴金属チップを差
し込み、中心電極の周面方向からレーザービームを照射
して嵌合面に一体化した溶融、凝固部分を一ケ所以上設
けたスパークプラグ用電極が提案されている。しかし、
この電極接合の場合には、レーザービームのスポット照
射部分と間隔が開いていると、熱応力の発生時にクラッ
クの起点となり、スポットの溶融、凝固部分に亀裂が進
展し、チップが剥離する恐れがあった。この発明の目的
は、レーザービームによる電極母材と貴金属チップとの
スポット溶接のみでも、充分な溶接強度と熱応力の分散
とが得られ、耐久性の大きいスパークプラグ用電極の提
供にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は、耐熱耐蝕性
金属製で棒状を呈する電極母材と、該電極母材の発火部
にレーザービームでスポット溶接された丸棒状の貴金属
チップとからなるスパークプラグ用電極において、スポ
ット溶接部を、母材と貴金属チップとの接合面に沿って
合金化したスポットが隣合うスポット同士で一部分重な
り合い、電極母材と貴金属チップの接合面の全周を覆う
連続した閉環合金帯に形成したことを特徴とする。

【０００５】

【発明の作用、効果】この発明によれば、電極母材と貴
金属チップとの接合は、母材と貴金属チップとの接合面
に沿って環状に連続した厚い合金層によりなされている
ので、使用時の冷熱サイクルの繰り返しにより発生する
熱応力は緩和されるとともに分散できる。これにより、
冷熱サイクルの繰り返しによる熱応力が不連続部分と連
続部分とのつなぎ目など局部に集中し、剥離が進行して
チップの離脱の原因となることが防止できる。この結
果、スパークプラグの耐久性が向上する。請求項２に記
載の構成では、環状の合金層がほぼ均一で深く形成でき
る。この結果、熱応力の分散効果が増大できる。

【０００６】

【実施例】図１は、この発明の一実施例にかかるスパー
クプラグ用中心電極１０を示す。中心電極１０は、ニッ
ケル合金性中心電極表皮材１１の軸芯に、銅製芯１２を
埋設した中心電極母材１と、その先端面１３に軸孔１５
を形成し、この軸孔１５に端部を嵌め込んで溶接された
丸棒状チップ２を有する。母材１は、直径２．５ｍｍの
丸棒となっており、その先端部１４は直径２．０ｍｍの
小径部に成形されている。貴金属チップ２は、この実施
例ではＰｔ−２０Ｉｒが使用されている。母材１と貴金
属チップ２との溶接は、両者の接合面２０に斜め上方か
らレーザービームＢを間欠的に照射して両者を多数点で
スポット溶接してなされている。そして、接合面２０に
閉環合金帯３０を形成している。このスポット溶接によ
り、前記接合面２０に沿って、表面は円ないし楕円形で
内部に中心に向かって錐状にくい込んだ多数の合金部
（スポット３）が帯状に列設される。なお、図示の如く
レーザービームＢを横から照射し、母材１の外周からス
ポット溶接を行っても良い。

【０００７】この発明では、スポット３は、隣合うスポ
ット３、３の中心間距離Ｌと各スポット３の幅（列設方
向の径）Ｄとを、Ｄ＞Ｌとなるように連続して形成して
いる。これによりスポット３の列は、合金化したスポッ
ト３が隣合うスポット３…３同士で一部分重なり合い、
電極母材１と貴金属チップ２の接合面２０の全周を覆う
連続した閉環合金帯３０となる。なお、スポット３、３
の中心間距離Ｌと各スポット３の幅Ｄとを、Ｄ＞２Ｌと
すると、閉環合金帯３０は深さ方向に凹凸の少ない合金
層に形成できる。

【０００８】この中心電極１０は、中心電極１０を一定
速度で回転させながら、貴金属チップ２と母材１との接
合面２０にレーザービームＢを一定の間隔で間欠的に照
射する。この結果、レーザービームＢにより、照射部分
の母材１および貴金属チップ２が溶融して浸透し合い、
錐状の合金部（スポット３）が形成される。スポット３
の表面は、上記の如く円または楕円となる。スポット３
を隣合うスポット３…３同士で一部分重なり合うよう形
成することにより、合金部は環状に切れ目無く連続し
て、閉環合金帯３０が形成される。この結果、スパーク
プラグが機関の冷熱サイクルに晒された場合において
も、溶接面に加わる熱応力が閉環合金帯３０により均一
に分散され、応力集中により亀裂が発生し、進行してチ
ップ２が剥離することを防止できる。

【０００９】なお、上記実施例においてはレーザー溶接
のスポット形状は略円形を呈していたが、方形であって
もよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例にかかるスパークプラグ中心
電極の斜視図である。

【符号の説明】

１ 電極母材 ２ 貴金属チップ ３ スポット １０ スパークプラグの中心電極 ２０ 接合面 ３０ 閉環合金帯

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H01T 21/02 H01T 13/20

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 耐熱耐蝕性金属製で棒状を呈する電極母
   材と、該電極母材の発火部にレーザービームでスポット
   溶接された丸棒状の貴金属チップとからなるスパークプ
   ラグ用電極において、スポット溶接部は、前記電極母材
   と前記貴金属チップとの接合面に沿って合金化したスポ
   ットが隣合うスポット同士で一部分重なり合い、前記電
   極母材と前記貴金属チップの接合面の全周を覆う連続し
   た閉環合金帯に形成されたスパークプラグ用電極。
2. 【請求項２】 請求項１において、隣合う各スポットの
   中心間距離Ｌは、各スポットの幅Ｄの１／２以下である
   スパークプラグ用電極。
3. 【請求項３】 請求項１または請求項２に記載のスパー
   クプラグ用電極を用いたスパークプラグ。