JP3459986B2 - ポリエチレングリコールリンカーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩、その製造方法、それから成るポリマー担持型光学活性相間移動触媒及びその触媒を用いる化学反応方法 - Google Patents

ポリエチレングリコールリンカーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩、その製造方法、それから成るポリマー担持型光学活性相間移動触媒及びその触媒を用いる化学反応方法

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JP3459986B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポリエチレ
ングリコールリンカーを有するポリスチレン担持光学活
性アンモニウム塩、このものを製造する方法、前記ポリ
エチレングリコールリンカーを有するポリスチレン担持
光学活性アンモニウム塩からなるポリマー担持型光学活
性相間移動触媒、及びこのポリマー担持相間移動触媒を
用いる化学反応に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光学活性体は化学構造が同じでありなが
ら、その立体構造が右手と左手のように鏡像関係にあ
り、決して重ね合わせることができない物質であって、
特に生理活性において、それぞれ異なる性質を発揮する
ものが多い。この光学活性体は、旋光度の違いによりD
体とL体(+体と−体)とがあり、通常の化学合成で得
られたものは、これらが等量に混在したラセミ体であ
る。このラセミ体では、互いに光学的性質が打ち消され
ているが、なんらかの手段で合成もしくは分割すれば、
光学活性体が得られる。
【0003】このような光学活性体は、近年、特に農
薬、医薬品、香料、液晶分野などにおいて注目され、様
々な光学活性体やその製造方法、光学分割剤等につい
て、研究開発が積極的に行われている。
【0004】光学活性体の製造方法としては、一方のエ
ナンチオマー(対掌体)のみを選択的に合成する不斉合
成法と、通常の合成によって得られた2つのエナンチオ
マーの等量混合物(ラセミ体)を光学分割する方法に大
別することができる。前者の不斉合成法には、酵素や微
生物を利用する生化学的方法と不斉触媒合成法とがあ
り、後者の光学分割法には、光学分割剤を用いるジアス
テレオマー法、分別晶析法、クロマトグラフィー法、包
接化合物法、生化学的分割法などがある。
【0005】さて相間移動反応は種々の有機反応への適
応が可能な、極めて有用な合成手法であり、その触媒
(相間移動触媒)として主に四級アンモニウム塩が用い
られる。[「相間移動触媒」、(1978年、化学同人)、
「フェーズ・トランスファー・キャタリシス(Phase-Tra
nsfer Catalysis) 」、(1997年、ACS, Washingto
n)]。さらにこの反応では、触媒として光学活性四級ア
ンモニウム塩を用いることにより、不斉相間移動反応が
進行し種々の光学活性物質の合成が可能となる[「ジャ
ーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティー
(J. Am. Chem. Soc.)」, 第111巻、第2353ページ(19
89年),「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・
ソサイアティー(J. Am. Chem. Soc.)」, 第121巻、第
6519ページ(1999年)]。
【0006】この相間移動反応では、一般に含水条件で
行うため、操作が簡便なだけではなく、相間移動触媒を
ポリマービーズに担持させることにより、濾別による触
媒の回収、再利用が可能となり、環境調和型有機合成を
達成することができるので、その開発が積極的に進めら
れている[「アンゲバンテ・ケミー・インターナショナ
ル・エディション・イン・イングリッシュ(Angew. Che
m. Int. Ed. Engl. )」, 第18巻、第421ページ(1979
年),「シンレット(Synlett)」, 第807ページ(2000
年)]。
【0007】これまでに、既にポリスチレンのp-位に
光学活性四級アンモニウム塩を担持させたポリマー担持
光学活性アンモニウム塩を用いた不斉相間移動反応が報
告されている。しかしながら、ポリスチレンのp−位
に、リンカーを介さず直接四級アンモニウム塩を有する
ため触媒活性は低く、化学収率や不斉収率において満足
な結果は得られていない[「ポリマー(Polymer)」, 第
25巻、第1499ページ(1984年)、「リアクティブ・&・
ファンクショナル・ポリマーズ(React. Funct.Polm.
)」, 第41巻、第37ページ(1999年)]。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、この
ような事情のもとで、新規なポリエチレングリコールリ
ンカーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム
塩、その製造方法、及びポリエチレングリコールリンカ
ーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩か
らなる高い触媒活性を有するポリマー担持型光学活性相
間移動触媒を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリスチ
レン担持光学活性アンモニウム塩として、ポリエチレン
グリコールリンカーを有するポリスチレン担持光学活性
アンモニウム塩に関して着目し、鋭意研究を重ねた。そ
の結果、溶媒中において、光学活性三級アミンと、ポリ
エチレングリコールリンカーにおいてリンカーの末端に
特定の構造を有する置換ポリスチレンとを反応させる
と、新規なポリエチレングリコールリンカーを有するポ
リスチレン担持光学活性アンモニウム塩を得ることがで
きることを見出した。次に、このようにして得られたポ
リエチレングリコールリンカーを有するポリスチレン担
持光学活性アンモニウム塩を、ポリマー担持型光学活性
相間移動触媒として用いることにより、効率的に不斉相
間移動反応が進行することを見出した。そこで、これら
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明によれば、以下の発明が
提供される。 (1)下記一般式(1)
【化5】 (式中、R1は水素原子または炭化水素基を示す。R2,
R3, R4は炭化水素基を示し、これらのうち1つ以上は不
斉骨格を有し、またそれぞれが連結し環を形成していて
もよい。環を形成している場合は、この環上に不斉骨格
を有する炭化水素基があればよい。Xはハロゲン原子を
示し、n,mは0以上の整数、(p,q)は、(0,3),(1,2),(2,
1)の中から選ばれる組み合わせである。)で表される、
スチレン単位を含有するポリエチレングリコールリンカ
ーを有する、ポリスチレン担持光学活性アンモニウム
塩。 (2)溶媒中において、一般式(3)
【化6】 (式中、R2, R3, R4は炭化水素基を示し、これらのうち
1つ以上は不斉骨格を有し、またそれぞれが連結し環を
形成していてもよい。環を形成している場合は、この環
上に不斉骨格を有する炭化水素基があればよい。)で表
される光学活性三級アミンと、一般式(2)
【化7】 (式中、R1は水素原子または炭化水素基、Xはハロゲン
原子を示す。n,mは0以上の整数、(p,q)は、(0,3),(1,
2),(2,1)の中から選ばれる組み合わせである。)で表さ
れるスチレン単位を含有する、リンカーの末端が特定の
構造を有する置換ポリスチレンとを反応させ、下記一般
式(1)
【化8】 (式中、R1は水素原子または炭化水素基を示す。R2,
R3, R4は炭化水素基を示し、これらのうち1つ以上は不
斉骨格を有し、またそれぞれが連結し環を形成していて
もよい。環を形成している場合は、この環上に不斉骨格
を有する炭化水素基があればよい。Xはハロゲン原子を
示し、n,mは0以上の整数、(p,q)は、(0,3),(1,2),(2,
1)の中から選ばれる組み合わせである。)で表されるス
チレン単位を含有する、ポリエチレングリコールリンカ
ーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩の
製造方法。 (3)前記(1)記載のポリエチレングリコールリンカ
ーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩か
らなることを特徴とするポリマー担持型光学活性相間移
動触媒。 (4)グリシン誘導体とハロゲン化アルキルを、請求項
3記載のポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩から
成るポリマー担持型光学活性相間移動触媒の存在下に処
理して、光学活性モノアルキル置換グリシン誘導体を得
ることを特徴とする光学活性モノアルキル置換グリシン
誘導体の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明により得られる、新規なポ
リエチレングリコールリンカーを有するポリスチレン担
持光学活性アンモニウム塩は、下記一般式(1)で表さ
れるスチレン単位を含有するポリスチレンである。
【化9】 (式中、R1は、水素原子又は炭化水素基を表す。R2,
3, R4は、炭化水素基を表す。これらの基の1つ以上
は不斉骨格を有し、またそれぞれが連結し環を形成して
いてもよい。環を形成している場合は、この環上に不斉
骨格を有する炭化水素基を有していればよい。又、これ
らの基には、このポリエチレングリコールリンカーを有
するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩を製造す
る反応において関与しない水酸基やアルコキシ基などの
置換基を有していてもよい。Xは、ハロゲン原子を表
す。n及びmは、0以上の整数を示す。(p,q)は、
(0,3)、(1,2)、及び(2,1)の中から選ば
れる組み合わせである。)
【0012】この化合物について、前記の置換基につい
て具体的に説明することにより、その構造をさらに明ら
かにする。 (1) Rが炭化水素基を表す場合の炭化水素基は、
アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラル
キル基の中から選ばれる基である。アルキル基は、その
炭素数が1〜10であり、直鎖状、分岐鎖状のものであ
る。具体的には、メチル、エチル、プロピル、i−プロ
ピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペン
チル、i−ペンチル、t−ペンチル、へキシル、ヘプチ
ル、オクチル、ノニル、デカニルなどの基を挙げること
ができる。シクロアルキル基は、シクロブチル、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基等を挙げ
ることができる。アリール基は、芳香族炭化水素基に置
換基を有する或いは有しない基である。芳香族炭化水素
としては、ベンゼン、ビフエニル、テルフエニル、ナフ
タレン、アントラセン等を挙げることができる。置換基
はアルキル基であり、2以上の置換基を有していて差し
支えない。アルキル基としては炭素数1から3のアルキ
ル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プ
ロピル基を挙げることができる。アラルキル基は側鎖と
してアルキル基を持つ芳香族炭化水素の側鎖から1個の
水素原子が失われた構造であり、ベンジル基、フエネチ
ル基等である。 (2) R,R、Rは、炭化水素基である。この
炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリー
ル基及びアラルキル基の中から選ばれる基である。アル
キル基は、その炭素数が1〜10であり、直鎖状、分岐
鎖状のものである。具体的には、メチル、エチル、プロ
ピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブ
チル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、へ
キシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デカニルなどの
基を挙げることができる。シクロアルキル基は、シクロ
ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプ
チル基等を挙げることができる。アリール基は、芳香族
炭化水素基に置換基を有する或いは有しない基である。
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ビフエニル、テル
フエニル、ナフタレン、アントラセン等を挙げることが
できる。置換基はアルキル基であり、2以上の置換基を
有していて差し支えない。アルキル基としては炭素数1
から3のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、i−プロピル基を挙げることができる。アラル
キル基は側鎖としてアルキル基を持つ芳香族炭化水素の
側鎖から1個の水素原子が失われた構造であり、ベンジ
ル基、フエネチル基等である。そして、これらの中の少
なくとも1つ以上は不斉骨格を有しているものである。
又、これらの炭化水素基は、各々が連結し環を形成して
いてもよく、又一つの環を形成していてもよい。そし
て、環を形成している場合は、この環上に不斉骨格を有
する炭化水素基があればよい。又、これらの基には、こ
のポリエチレングリコールリンカーを有するポリスチレ
ン担持光学活性アンモニウム塩を製造する反応において
関与しない基である、水酸基やアルコキシ基などの不活
性な置換基であれば、これらの置換基を有していても何
ら差し支えない。 (3)Xはハロゲン原子を示す。ハロゲン原子には、塩
素、フッ素、臭素及びヨウ素の中のいずれの原子でも用
いることができる。 (4)n,及びmは、0以上の整数である。n及びm
は、ポリエチレングリコールリンカーの長さに影響を与
えるものであり、その長さを考慮して適宜定めることが
できる。具体的には、0を含み、1、2…の整数であ
り、0以上の数であれば、十分にその目的を達成でき
る。上限は格別限定されるものではない。 (5)(p,q)は、(0,3)、(1,2)、及び
(2,1)の中から選ばれる整数の組み合わせである。
【0013】前記一般式(1)のポリエチレングリコー
ルリンカーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニ
ウム塩を構成する、側鎖置換基の構造は、下記一般式
(4)で表される。
【化10】 (式中、R1, R2, R3, R4, X, p, q, m, nは、前記一般
式(1)の場合と同じである。) この側鎖置換基が、ポリスチレンのベンゼン環に結合す
る位置は、そのベンゼン環のオルト、メタ及びパラのい
ずれの位置であってもよく、格別制限されるものではな
い。
【0014】本発明の前記一般式(1)で表されるスチ
レン単位を含有する、ポリエチレングリコールリンカー
を有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩を構
成するスチレン単位(以下、単にスチレン単位Aとも言
う)の含有量は、0.05〜2.5mmol/g, 好ま
しくは、0.2〜0.5mmol/gである。また、構
成するポリスチレンの分子量は、数平均分子量で表し
て、3,000〜1,000,000、好ましくは、50,
000〜250,000である。
【0015】本発明のスチレン単位Aを含有するポリス
チレン(以下、単にポリスチレンAとも言う)を有す
る、ポリエチレングリコールリンカーを有するポリスチ
レン担持光学活性アンモニウム塩の製造方法について以
下に述べる。溶媒中において、下記一般式(2)
【化11】 (式中、R1は、水素原子又は炭化水素基、Xは、ハロゲ
ン原子を示す。n,mは0以上の整数、(p,q)は、(0,3),
(1,2),及び(2,1)の中から選ばれる組み合わせであ
る。)で表されるスチレン単位を含有する、ポリエチレ
ングリコールリンカーの末端にハロゲン化メチルフェニ
ル基を有するポリスチレンと、下記一般式(3)
【化12】 (式中、R2, R3, R4は炭化水素基を示し、これらのうち
1つ以上は不斉骨格を有し、またそれぞれが連結し環を
形成していてもよい。環を形成している場合は、この環
上に不斉骨格を有する炭化水素基があればよい。)で表
される光学活性三級アミンとを反応させて、目的とする
下記一般式(1)
【化13】 (式中、R1は水素原子または炭化水素基を示す。R2,
R3, R4は炭化水素基を示し、これらのうち1つ以上は不
斉骨格を有し、またそれぞれが連結し環を形成していて
もよい。環を形成している場合は、この環上に不斉骨格
を有する炭化水素基があればよい。Xはハロゲン原子を
示し、n,mは0以上の整数、(p,q)は、(0,3),(1,2),(2,
1)の中から選ばれる組み合わせである。)で表されるス
チレン単位を含有する、ポリエチレングリコールリンカ
ーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩を
得ることができる。
【0016】具体的には、前記一般式(3)で表される
光学活性三級アミンと、前記一般式(2)で表されるス
チレン単位(以下、単にスチレン単位Bとも言う)を含
有するポリスチレン樹脂(前記一般式(1)で表される
スチレン単位Aを含有するポリスチレンに対応する原料
ポリスチレン、以下、単にポリスチレンBとも言う)と
を、溶媒中で反応させる。この反応においては、光学活
性三級アミンが求核的に働き、分極しているスチレン単
位Bのベンジル位の炭素上で反応が進行するため、対応
するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩が得られ
るものである。
【0017】この反応における溶媒としては、光学活性
三級アミンを溶解し得るものであれば使用可能であり、
特に制約されない。又、この溶媒は、ポリスチレンBが
溶解することなく、膨潤しゲル状となるものが好まし
い。このような溶媒としては、具体的には、アセトン、
エタノール、N,N-ジメチルホルムアミドやジメチルスル
ホキシドを挙げることができる。そしてこれらはいずれ
も好適に使用することができる。この溶媒を用いて光学
活性三級アミンとポリスチレンBの反応を行うに際して
は、初めに溶媒に対して光学活性三級アミンを溶解し、
次に、この溶液にビーズ状のポリスチレンBを加えた
後、十分に攪拌する。反応条件としては、反応温度が、
40℃乃至100℃の範囲であり、又、反応時間は、反
応温度及び使用する溶媒等のその他の条件により異な
り、一概に定めることはできないが、通常は12〜60時間
程度である。
【0018】また、ポリスチレンBと光学活性三級アミ
ンとの使用割合については、必ずしも限定する必要はな
く、一般的には、ポリスチレンB中に含まれるハロゲン
1モルあたり1〜4モルの範囲の光学活性三級アミンが用
いられる。
【0019】前記反応によって得られる本発明の目的物
質である反応生成物は、反応生成物の元素分析の結果、
理論量に近い窒素を含有していることから、目的物の生
成が確認された。
【0020】前記一般式(2)のスチレン単位Bを含有
するポリスチレンBの形態は、40〜200μm(10
0〜400メッシュ)の球形(ビーズ状)であることが
好ましい。
【0021】本発明のポリエチレングリコールリンカー
を有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩を光
学活性相間移動触媒として用いることにより、各種の不
斉相間移動反応を進行させることができる。不斉相間移
動反応としては、アルキル化、シクロプロパン化、マイ
ケル付加、エポキシ化、酸化、還元及びアルドール反応
などの反応を挙げることができる。以下に、これらの中
の反応例について示す。なお、本発明の前記光学活性相
間移動触媒は前記した不斉相間移動反応に用いることが
できるものであり、相間移動反応であれば、ここに挙げ
られる不斉相間移動反応以外の不斉相間移動反応にも使
用することができる。
【0022】本発明の一般式(1)で表されるポリエチ
レングリコールリンカーを有するポリスチレン担持光学
活性アンモニウム塩を触媒として用いて以下の反応を行
うことができる。前記触媒の存在下に、下記一般式
【化14】 (式中、R1, R2は、炭化水素基を表し、アルキル基、シ
クロアルキル基、アリール基、アラルキル基から選ばれ
るいずれの基でもよい。二つのR1は、互いに結合して環
状構造を形成していてもよい。)で表されるグリシン誘
導体と、下記一般式
【化15】 (式中、Aは、炭化水素基を表し、アルキル基、シクロ
アルキル基、アラルキル基から選ばれるいずれの基でも
よい。Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハ
ロゲン原子を表す。)で表されるハロゲン化炭化水素
を、溶媒の存在下に反応させ、下記一般式
【化16】 (式中、R1, R2, Aは前記と同じ意味を持つ)で表され
る光学活性モノアルキル置換グリシン誘導体を製造する
ことができる。 この反応は、溶媒
に原料物質、及び触媒を添加・溶解させる。溶媒には、
水及び有機溶媒を用いる。有機溶媒には、炭化水素、ハ
ロゲン化炭化水素などを用いる。反応系には、アルカリ
性物質を添加する。アルカリ性物質としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。反
応温度は、格別加熱する必要はなく、室温程度で進行さ
せることができる。反応中には反応液を、激しく撹拌す
る。反応終了後、溶剤抽出により目的物質を分離精製す
る。この反応結果から、前記ポリエチレングリコールリ
ンカーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム
塩は、不斉相間移動反応におけるポリマー担持型光学活
性相間移動触媒であることが分かる。
【0023】以上の結果から明らかなように、前記一般
式(1)で表されるポリエチレングリコールリンカーを
有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩は、ポ
リマー担持型光学活性相間移動触媒として有用なもので
あり、この触媒を用いることにより効率的に不斉相間移
動反応を行うことができる。
【0024】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のでない。
【0025】実施例1 アセトン18mlに、以下の化学式(5)
【化17】 で表されるスチレン単位を含有する、ポリエチレングリ
コールリンカーの末端にクロロメチルフェニル基を有す
るポリスチレン(Argonaut Technologies, 800043-5 Ar
goGel-Wang-Cl。 Cl担持量 0.44mmol/g)1.304gと、(-)
-シンコニジン506.7mgを加え、48時間加熱還流下攪拌し
た。次いで、反応液を濾過し、得られた樹脂をアセトン
で洗浄した後、50℃、1mmHgで12時間真空乾燥した。収
量は1.4223gであった。このものの分析結果は次の通り
であった。 元素分析 : C 64.99%, H 8.45%, N 0.81%, Cl 1.62%
(測定値)。 C 64.58%, H 8.37%, N 1.08%, Cl 1.38%(計算値). この分析結果より、この生成物は、以下の化学式
【化18】 で表されるスチレン単位を含有するポリスチレンと同定
された。
【0026】実施例2 アセトン13mlに、前記化学式(5)で表されるスチレン
単位を含有する、ポリエチレングリコールリンカーの末
端にクロロメチルフェニル基を有するポリスチレン(Ar
gonaut Technologies, 800043-5 ArgoGel-Wang-Cl Cl担
持量 0.44mmol/g)475.9mgと、(+)-シンコニン216mgを
加え、48時間加熱還流下攪拌した。次いで、反応液を濾
過し、得られた樹脂をアセトンで洗浄した後、50℃、1m
mHgで12時間真空乾燥した。収量は、505.6mgであっ
た。このものの分析結果は次の通りである。 元素分析 : C65.52%, H 8.52%, N0.66%(測定値)。 C 64.58%, H 8.37%, N 1.08%(計算値)。 この分析結果より、この生成物は化学式
【化19】 で表されるスチレン単位を含有するポリスチレンと同定
された。
【0027】実施例3 アセトン12mlに、前記化学式(5)で表されるスチレン
単位を含有する、ポリエチレングリコールリンカーの末
端にクロロメチルフェニル基を有するポリスチレン(Ar
gonaut Technologies, 800043-5 ArgoGel-Wang-Cl Cl担
持量 0.44mmol/g)765.8mgと、(+)-キニン362.01mgを加
え、48時間加熱還流下攪拌した。次いで、反応液を濾過
し、得られた樹脂をアセトンで洗浄した後、50℃、1mmH
gで12時間真空乾燥した。収量は832.6mgであった。この
ものの分析結果は次の通りである。 元素分析 : C 65.14%, H 8.47%, N 0.74%, Cl 1.60%
(測定値)。 C 64.32%, H 8.34%, N 1.08%, Cl 1.75%(計算値). この分析結果より、この生成物は化学式
【化20】 で表されるスチレン単位を含有するポリスチレンと同定
された。
【0028】実施例4 トルエン/ジクロロメタン(=7/3。体積比)2.2mlに、実施
例1で得られたポリエチレングリコールリンカーを有す
るポリスチレン担持光学活性シンコニジニウム塩53.8m
g、N-(ジフェニルメチレン)グリシンtert-ブチルエステ
ル64.8mg, 臭化ベンジル374.5mg, 50%水酸化ナトリウム
水溶液0.55mlを加え、室温で16時間激しく攪拌した。反
応終了後、反応液を濾別し、濾液に飽和塩化アンモニウ
ム水溶液を加えジクロロメタンで4回抽出した。抽出液
を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥後、溶媒を減圧下留去し、ゲル濾過クロマトグラフィ
ー(溶媒:クロロホルム)で分離、精製したところ、下
記構造式の光学活性モノベンジル置換グリシン誘導体
66.7mgを得ることができた(化学収率79.0%)。
【化21】 光学活性カラム(ダイセル化学工業、キラルセルOD)を
用いた高速液体クロマトグラフ分析より、このもののエ
ナンチオマー比は、74.2:25.8 (エナンチオマー過剰
率:48.4 %e.e.)であることが分かった。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、新規なポリエチレング
リコールリンカーを有するポリスチレン担持光学活性ア
ンモニウム塩を得ることができる。この化合物は、ポリ
マー担持型光学活性相間移動触媒として有用な触媒であ
る。この触媒を用いることによりグリシン誘導体の不斉
アルキル化反応を始めとする種々の不斉相間移動反応を
行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C07B 53/00 C07B 53/00 B 61/00 300 61/00 300 C07M 7:00 C07M 7:00 (56)参考文献 特開 昭55−145712(JP,A) 特開 昭59−166940(JP,A) 特開 昭11−339557(JP,A) 特開 昭49−52290(JP,A) 特開2000−256418(JP,A) 特開 平5−43613(JP,A) 特開 平7−24334(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/00 - 8/50

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1は水素原子または炭化水素基を示す。R2,
    R3, R4は炭化水素基を示し、これらのうち少なくとも1
    つ以上は不斉骨格を有し、またそれぞれが連結し環を形
    成していてもよい。環を形成している場合は、この環上
    に不斉骨格を有する炭化水素基があればよい。Xはハロ
    ゲン原子を示し、n,mは0以上の整数、また、(p,q)は、
    (0,3),(1,2),(2,1)の中から選ばれる組み合わせであ
    る。)で表されるスチレン単位を含有する、ポリエチレ
    ングリコールリンカーを有するポリスチレン担持光学活
    性アンモニウム塩。
  2. 【請求項2】 溶媒中において、下記一般式(2) 【化2】 (式中、R1は、水素原子または炭化水素基を示す。X
    は、ハロゲン原子を示す。n,mは0以上の整数、(p,q)
    は、(0,3),(1,2),(2,1)の中から選ばれる組み合わせで
    ある。)で表されるスチレン単位を含有する、ポリエチ
    レングリコールリンカーの末端にハロゲン化メチルフェ
    ニル基を有するポリスチレンと、下記一般式(3) 【化3】 (式中、R2, R3, R4は炭化水素基を示し、これらのうち
    1つ以上は不斉骨格を有し、またそれぞれが連結し環を
    形成していてもよい。環を形成している場合には、この
    環上に不斉骨格を有する炭化水素基があればよい。)で
    表される光学活性三級アミンとを反応させることを特徴
    とする、下記一般式(1) 【化4】 (式中、R1は水素原子または炭化水素基を示す。R2,
    R3, R4は炭化水素基を示し、これらのうち1つ以上は不
    斉骨格を有し、またそれぞれが連結し環を形成していて
    もよい。環を形成している場合は、この環上に不斉骨格
    を有する炭化水素基があればよい。Xはハロゲン原子を
    示し、n,mは0以上の整数、(p,q)は、(0,3),(1,2),(2,
    1)の中から選ばれる組み合わせである。)で表されるス
    チレン単位を含有する、ポリエチレングリコールリンカ
    ーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニウム塩の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリエチレングリコール
    リンカーを有するポリスチレン担持光学活性アンモニウ
    ム塩から成るポリマー担持型光学活性相間移動触媒。
  4. 【請求項4】グリシン誘導体とハロゲン化アルキルを、
    請求項3記載のポリマー担持型光学活性相間移動触媒の
    存在下に処理して、光学活性モノアルキル置換グリシン
    誘導体を得ることを特徴とする光学活性モノアルキル置
    換グリシン誘導体の製造方法。
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