JP3458762B2 - 海岸耐候性に優れた高強度鋼 - Google Patents
海岸耐候性に優れた高強度鋼Info
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Description
おける各種構造物に用いる摩擦接合用の高力ボルト・ナ
ットの製造に適した鋼に関し、特に海岸地域の構造物な
ど塩水が関与した腐食環境で用いられる海岸耐候性に優
れた高力ボルト・ナットの製造に適した鋼に関する。
場合、耐候性鋼を用いることが知られており、既に鋼板
や形鋼に関してはJIS G3114「溶接構造用耐候
性熱間圧延鋼材」やJIS G3125「高耐候性圧延
鋼材」に規格化されている。しかしそれらの鋼構造物の
継手に用いられる高力ボルトに関しては国内で何ら規格
化されていない。
と異なり、極めて高強度を必要とするため、焼入れ焼戻
し処理が施される。従って上記規格の鋼をそのまま高力
ボルト用素材として利用することは不可能である。この
ような問題を解決する技術として、これまでに特公昭5
3−24890号公報および特公昭56−20350号
公報が開示されている。
理を施され1000MPa以上の強度で用いることを前
提としている。特公昭53−24890号公報はCu,
Cr,Siの添加で耐候性を確保すると同時に、Si,
Al添加の効果で、高強度鋼に特有の遅れ破壊を抑制し
たことが特徴である。また特公昭56−20350号公
報はCu,Crの添加で耐候性を確保したうえで、Si
を低減してボルト冷間成型前の焼鈍省略を可能としたも
のである。
いて、Cu,Crなどの有効元素が富化した防食性の高
い安定錆が表面を覆うことにより、著しく腐食の進展が
遅延されるというものである。その著しく良好な耐候性
のため、耐候性を利用した鋼構造物は、しばしば無塗装
のまま数十年の供用に耐えることが知られている。しか
し、海岸地域のように塩分が比較的多い環境(飛来塩分
量0.05mdd以上)では、耐候性鋼の錆は安定化し
にくく、実用的な耐食性が得難いことが知られている。
こうした環境で実用に耐えうる鋼材を提供する技術とし
て、特開平7−207340号公報や特開平7−242
993号公報が開示されている。
7−207340号公報や特開平7−242993号公
報に開示されている技術はいずれも鋼板を対象としたも
のであり、上述のように高力ボルト・ナット向けの素材
として利用することは不可能である。
来塩分量0.05mdd以上の地域において実用的な耐
候性を有する鋼で、高力ボルトの製造においては冷間鍛
造前の焼鈍省略が可能で、かつ上述した耐候性を有する
ナットを製造することができなかった。
するために、塩分、特に0.05mdd以上の塩分が飛
来する環境において高い耐候性を有し、かつ熱間圧延後
硬さがHRB85以下である、焼入れ焼戻し後引張強
さ:980MPa以上の焼鈍省略型高力ボルトおよびナ
ットの製造に適した鋼を提供することにある。
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。
15〜0.3%と、Si:0.15%以下と、Mn:
0.3〜0.6%と、P:0.01%以下と、S:0.
01%以下と、Al:0.01〜0.05%と、N:
0.002〜0.01%と、Ni:1〜2%と、Mo:
0.1〜0.3%と、Ti:0.01〜0.05%と、
B:0.0003〜0.005%と、残部Fe及び不可
避的不純物とからなる、海岸耐候性に優れた高強度鋼で
ある。
%でさらに、Cu:0.1〜0.5%、Cr:0.3〜
1%のうちの一種または二種を含有する、上記(1)に
記載の海岸耐候性に優れた高強度鋼である。 (3)本発明のボルトは上記(1)又は(2)の鋼成分
を有する。 (4)本発明のナットは上記(1)又は(2)の鋼成分
を有する。
めに、引張強さ:980MPa以上の強度を確保するこ
とを前提として、鋼材の化学成分と耐候性および熱間圧
延後硬さとの関係について鋭意検討を行った結果、次の
知見を得るに至った。
境で優れた耐候性を得るためには、NiおよびMoの複
合添加が有効である。
の環境で優れた耐候性を得るのに有効であるが、高力ボ
ルトにおいては遅れ破壊を助長する悪影響が顕著なた
め、その添加量を抑制する必要がある。しかしPを低減
することによる耐食性の低下は、Niの増量で十分に補
うことができる。
およびMn添加量を低減することによって、熱間圧延後
のHRB硬さを85以下に抑えることができる。
05mdd以上の塩分が飛来する環境において耐候性向
上のためNi,Moを一定量複合添加し、耐遅れ破壊の
ためP量を低減し、さらに高力ボルトの製造において冷
間鍛造前の焼鈍省略のためSi,Mn添加量を低減した
高強度鋼を見出し、本発明を完成させた。
限定することにより、塩分、特に0.05mdd以上の
塩分が飛来する環境において高い耐候性を有し、高力ボ
ルトの製造においては熱間圧延後硬さがHRB:85以
下で、冷間鍛造前の焼鈍省略が可能でその後の焼入れ焼
戻し後引張強さ:980MPa以上となる高力ボルトの
製造に適し、ナットの製造においては上述した耐候性を
有するナットの製造に適した高強度鋼を提供することが
できる。
限定理由について説明する。
必要な元素である。0.15%未満では必要な引張強さ
が得られず、0.3%を越えるとボルト成型加工時の変
形抵抗が増大して加工性が低下するため、その含有量は
0.15〜0.3%である。
と熱間圧延後の硬さが増大するため、その含有量は0.
15%以下である。
は熱間圧延時にMnSの固溶再析出が生じて延性が低下
する。また0.6%を越えると焼入れ性が高くなり、熱
間圧延後の硬さが上昇するため、その含有量は0.3〜
0.6%である。 P:0.01%以下 Pは優れた耐候性を得るのに有効であるが、0.01%
を越えると靭性が劣化するため、その含有量は0.01
%以下である。
るとMnS量が多くなって靭性が劣化するため、その含
有量は0.01%以下である。
て析出することにより組織を微細化して靭性を向上させ
るため、その添加量は0.01%以上である。しかし
0.05%を越えると酸化物系の介在物が多くなりかえ
って靭性が劣化するため、その含有量は0.01〜0.
05%である。
靭性を向上させるため、その添加量は0.002%以上
である。しかし0.01%を越えると固溶Nによって靭
性が劣化するため、その含有量は0.002〜0.01
%である。
添加で0.05mdd以上の塩分が飛来する環境におい
て耐候性を大幅に改善する効果を有する。1%未満では
その効果が得られず、2%を越えると焼入れ性が高くな
り、熱間圧延後の硬さが上昇するため、その含有量は1
〜2%である。
添加で0.05mdd以上の塩分が飛来する環境におい
て耐候性を大幅に改善する効果を有する。0.1%未満
ではその効果が得られず、0.3%を越えると焼入れ性
が高くなり、熱間圧延後の硬さが上昇するため、その含
有量は0.1〜0.3%である。
出を抑え、焼入れ性に対して有効に作用する効果を有す
る。0.01%以上で効果を有するが、0.05%を越
えると効果が飽和するため、その含有量は0.01〜
0.05%である。 B:0.0003〜0.005% Bは焼入れ性を高める効果があるが、0.0003%未
満ではその効果が得られず、0.005%を越えると効
果が飽和するため、その含有量は0.0003〜0.0
05%である。
Crの一種または二種を適宜添加することができる。
る。
効な元素であるが、その含有量が0.1%未満では効果
がなく、0.5%をこえると加工性が低下するため、そ
の添加量は0.1〜0.5%である。
な元素であるが、その含有量が0.3%未満では効果が
なく、1%を越えると熱間圧延後の硬さが上昇するた
め、その添加量は0.3〜1%である。
溶製し、熱間圧延により丸棒にされた後、冷間でボルト
成形・ネジ転造され、焼入れ焼戻し処理をされて製造さ
れる。ナットはボルトと同一の化学成分の鋼を熱間圧延
により丸棒にしたものを素材とし、熱間鍛造で成形、そ
のまま鍛造焼き入れされ、引き続き焼戻し処理されて製
造される。ボルト施工に際しては、座金もボルト・ナッ
トと共金にすることが望ましい。以下に本発明の実施例
を挙げ、本発明の効果を立証する。
1に示す化学成分を有する鋼(No.1〜9:本発明
鋼、No.10〜15:比較鋼)を溶製し、熱間圧延に
より22mmφの丸棒にした。この丸棒の断面のHRB
硬さを1/4d位置で5点測定し、その平均値を求めた
結果を併せて表1に示す。
さが85未満であり、冷間鍛造前の焼鈍が不要であるの
に対し、比較鋼No.10、11、13、15はそれぞ
れC、Mn、Ni、Mo添加量が多いために熱間圧延後
の硬さが増加しており、焼鈍なしでは冷間鍛造ができな
い状況であった。比較鋼No.12および14について
はHRB硬さは85未満であった。
た。比較鋼No.10、11、13、15については軟
化焼鈍の後冷間鍛造で、それ以外については直接冷間鍛
造で(焼鈍無しで)行った。ボルト成形後、850℃か
ら1000℃の温度に加熱して焼入れを行い、その後1
030〜1130MPa級の引張強さになるよう焼戻し
処理をおこなった。ナットについては、ボルトと同一の
化学成分(表1)を有する鋼を熱間圧延により28mm
径の丸棒にしたあと、熱間鍛造でナットに成形してその
まま焼入れ、HRC25〜30の硬さが得られるよう焼
戻し処理を行った。
を暴露腐食試験に供した。締め付けはボルト耐力の85
%の軸力で行った。施工の際、ボルト・ナット・座金す
べて共金とした。暴露腐食試験地は銚子で、試験期間は
1年間、飛来する塩分量はおよそ0.25mddであ
る。1年間の暴露の後、各供試鋼からなるボルトとナッ
トそれぞれの最大孔あき腐食深さを測定した。
ぞれの最大孔あき腐食深さでより大きな孔あき腐食深
さ)の測定結果を併せて表1に示す。本発明鋼No.1
〜9はいずれも最大孔あき腐食深さが0.4mm未満で
あり、厳しい暴露条件のもとでも良好な耐候性を示すこ
とがわかる。
ぞれそれぞれNi、Moが少ないために、耐候性が劣化
している。比較鋼No.10、11、13、15は本発
明鋼と同等の耐候性を示した。
鋼組成を特定することにより、0.05mdd以上の塩
分が飛来する環境において高い耐候性を有し、かつ高力
ボルトの製造においては熱間圧延後硬さがHRB:85
以下であり、冷間鍛造前の焼鈍が不要で、さらに、上述
した耐候性を有するナットの製造も可能な高強度鋼を提
供することができる。
量の多い海岸地域においても、無塗装のまま摩擦接合用
高力ボルトとしての使用が可能であり、その上熱処理コ
ストも少なくてすむため産業上極めて有用である。
Claims (4)
- 【請求項1】 質量%で、C:0.15〜0.3%
と、Si:0.15%以下と、Mn:0.3〜0.6%
と、P:0.01%以下と、S:0.01%以下と、A
l:0.01〜0.05%と、N:0.002〜0.0
1%と、Ni:1〜2%と、Mo:0.1〜0.3%
と、Ti:0.01〜0.05%と、B:0.0003
〜0.005%と、残部Fe及び不可避的不純物とから
なる、海岸耐候性に優れた高強度鋼。 - 【請求項2】 鋼成分として、質量%でさらに、Cu:
0.1〜0.5%、Cr:0.3〜1%のうちの一種ま
たは二種を含有する、請求項1に記載の海岸耐候性に優
れた高強度鋼。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の鋼成分を有するボ
ルト。 - 【請求項4】 請求項1又は2記載の鋼成分を有するナ
ット。
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JP22904198 | 1998-08-13 | ||
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CN114908303B (zh) * | 2022-04-28 | 2022-11-15 | 宁波金鼎紧固件有限公司 | 一种紧固件用复合材料及其制备方法 |
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1999
- 1999-04-23 JP JP11630799A patent/JP3458762B2/ja not_active Expired - Fee Related
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