JP3455802B2 - ホスファゼン化合物、樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

ホスファゼン化合物、樹脂組成物及び成形体

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JP3455802B2 JP2001194030A JP2001194030A JP3455802B2 JP 3455802 B2 JP3455802 B2 JP 3455802B2 JP 2001194030 A JP2001194030 A JP 2001194030A JP 2001194030 A JP2001194030 A JP 2001194030A JP 3455802 B2 JP3455802 B2 JP 3455802B2
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裕行 高瀬
隆 亀島
祐二 多田
真司 中野
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大塚化学ホールディングス株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホスファゼン化合
物、樹脂組成物及び成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂の高機能化に伴い、合成樹脂に
優れた難燃性、耐候性、耐光性等の性能を付与するとい
うニーズが益々高まりつつある。
【0003】合成樹脂の難燃性、耐候性及び耐光性を向
上させるために、合成樹脂にホスファゼン化合物、リン
化合物等の難燃剤及びベンゾトリアゾール化合物、トリ
アジン化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化
合物、シュウ酸アニリド化合物、ジフェニルシアノアク
リレート化合物等の紫外線吸収剤を添加することは、一
般に行われている。
【0004】しかしながら、合成樹脂に高水準の難燃
性、耐候性及び耐光性を付与することを目的として、合
成樹脂に難燃剤及び紫外線吸収剤を単に添加するだけで
は、これら難燃剤及び紫外線吸収剤を多量に添加する必
要があり、そのため合成樹脂が本来有している機械的強
度、透明性等の諸性能を低下させるという欠点がある。
また、これら難燃剤及び紫外線吸収剤を合成樹脂に練り
込む際の加熱により、難燃剤及び紫外線吸収剤、特に紫
外線吸収剤が分解又は揮散し、所望の性能を合成樹脂に
付与できないことも起こる。更に、樹脂組成物の成形体
表面から難燃剤及び紫外線吸収剤、特に紫外線吸収剤が
徐々にブリードアウトし、該成形体の難燃性、耐候性及
び耐光性が低下、特に耐候性及び耐光性が大きく低下す
るという問題もある。
【0005】このような欠点を解決するために、例え
ば、特開平6−135977号公報、特開平6−220
223号公報等では、ホスファゼン骨格のリン原子にベ
ンゾフェノン化合物又はベンゾトリアゾール化合物に由
来する紫外線吸収性基を結合させたホスファゼン化合物
が提案されている。これらホスファゼン化合物は、ジハ
ロゲン化ホスファゼンのハロゲン原子とベンゾフェノン
化合物又はベンゾトリアゾール化合物のベンゼン環上に
置換した水酸基とを反応させることにより製造されてい
る。
【0006】ベンゾフェノン化合物及びベンゾトリアゾ
ール化合物は、ベンゼン環上のオルト位に紫外線吸収能
の発現に関与する水酸基を有しており、該水酸基が消失
すると紫外線吸収能そのものが失われてしまう。従っ
て、上記特許公報では、該オルト位の水酸基がジハロゲ
ン化ホスファゼンのハロゲン原子と反応するのを避ける
ため、オルト位の水酸基の他にも水酸基が置換したベン
ゾフェノン化合物及びベンゾトリアゾール化合物が使用
されている。
【0007】しかしながら、上記特許公報に記載の反応
では、オルト位の水酸基以外の水酸基がジハロゲン化ホ
スファゼンのハロゲン原子と選択的に反応することは非
常に困難であり、実際には、オルト位の水酸基とハロゲ
ン原子とが反応することが避けられない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、合成樹脂に
高度の難燃性、耐候性及び耐光性を同時に付与できる新
規なホスファゼン化合物を提供することを課題とする。
【0009】本発明は、高度の難燃性、耐候性及び耐光
性を備えた合成樹脂組成物を提供することを課題とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、合成樹脂に高度の難
燃性と耐候性とを同時に付与できる新規なホスファゼン
化合物を得ることに成功し、本発明を完成するに至っ
た。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものであ
る。 1.本発明は、一般式
【0011】
【化8】
【0012】〔式中、2n個のRは、同一又は異なっ
て、紫外線吸収性基、アルキル基又はアリール基を示
す。但し、2n個のRのうち少なくとも1つは紫外線吸
収性基を示すものとする。nは3〜10000の整数を
示す。〕で表わされる基を含む環状又は鎖状ホスファゼ
ン化合物であって、該紫外線吸収性基が一般式
【0013】
【化9】
【0014】〔式中、8個のR1は、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシ基、水酸基、炭素数2〜5のアルキルカ
ルボニル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数2
〜5のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又は炭素数1
〜4のアルキレン基を示す。但し、8個のR1のうち少
なくとも1つは炭素数1〜4のアルキレン基を示すもの
とする。また、ベンゼン環の4位のR1はオキシプロピ
レン基であってはならない。〕で表わされるベンゾトリ
アゾール系紫外線吸収性基、一般式
【0015】
【化10】
【0016】〔式中、9個のR2は、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシ基、水酸基、炭素数2〜5のアルキルカ
ルボニル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数2
〜5のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又は炭素数1
〜4のアルキレン基を示す。9個のR2のうち少なくと
も1つは炭素数1〜4のアルキレン基を示すものとす
る。〕で表わされるベンゾフェノン系紫外線吸収性基及
び一般式
【0017】
【化11】
【0018】〔式中、14個のR3は、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数7
〜15のフェニルアルキル基、炭素数2〜4のアルケニ
ル基、炭素数2〜6のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン
原子、フェニル基、単結合又は炭素数1〜6のアルキレ
ン基を示す。但し、14個のR3のうち少なくとも1つ
は単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基を示すものと
する。〕で表わされるトリアジン系紫外線吸収基から選
ばれる少なくとも1種であることを特徴とするホスファ
ゼン化合物である。 2.本発明は、紫外線吸収性基が一般式
【0019】
【化12】
【0020】〔式中、7個のR1aは、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示す。a
は1又は2を示す。〕で表わされるベンゾトリアゾール
系紫外線吸収性基、一般式
【0021】
【化13】
【0022】〔式中、8個のR2aは、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示す。a
は1又は2を示す。〕で表わされるベンゾフェノン系紫
外線吸収性基及び一般式
【0023】
【化14】
【0024】〔式中、13個のR3aは、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示す。b
は0、1又は2を示す。〕で表わされるトリアジン系紫
外線吸収基からなる群より選ばれた少なくとも1種であ
る上記1に記載のホスファゼン化合物である。 3.本発明は、2n個のRのうちの10〜70%が上記
2に記載の紫外線吸収性基であるホスファゼン化合物で
ある。 4.本発明は、合成樹脂に上記1〜3のいずれかに記載
のホスファゼン化合物を配合してなる樹脂組成物であ
る。 5.本発明は、上記4に記載の樹脂組成物を成形してな
る成形体である。
【0025】本発明者の研究によれば、ベンゾトリアゾ
ール化合物又はベンゾフェノン化合物のベンゼン環上に
オルト位水酸基及びヒドロキシアルキル基を置換してな
る化合物とジハロゲン化ホスファゼンとを反応させる場
合には、ヒドロキシアルキル基のアルコール性水酸基と
ジハロゲン化ホスファゼンのハロゲン原子とが選択的に
反応し、紫外線吸収性能の発現に関与するオルト位のフ
ェノール性水酸基は未反応のまま残るため、紫外線吸収
性能の低下が起こらないことが判明した。
【0026】更に本発明者の研究によれば、トリアジン
化合物のベンゼン環上にオルト位水酸基の他に更に置換
基として水酸基(紫外線吸収性能に関与するオルト位水
酸基以外の水酸基)又はヒドロキシアルキル基を有する
化合物とジハロゲン化ホスファゼンとを反応させる場合
には、該置換基の種類に関係なく、即ち該置換基が水酸
基であっても、該置換基とジハロゲン化ホスファゼンの
ハロゲン原子とが選択的に反応して結合し、オルト位の
水酸基が未反応のまま残存し、紫外線吸収性能の低下が
起こらないことが判明した。
【0027】本発明のホスファゼン化合物は、合成樹脂
に著しく優れた難燃性、耐候性及び耐光性を付与するこ
とができる。本発明のホスファゼン化合物を使用すれ
ば、少ない使用量で合成樹脂に優れた難燃性、耐候性及
び耐光性を付与することができ、しかも、各種合成樹脂
との相溶性に優れているので、合成樹脂の機械的強度、
透明性等を損なうことがない。
【0028】また、合成樹脂に本発明のホスファゼン化
合物を配合してなる樹脂組成物を成形する際に、該ホス
ファゼン化合物が分解又は揮発することもなく、成形体
とした後も、その表面から該ホスファゼン化合物がブリ
ードアウトすることが無い。
【0029】従って、本発明の樹脂組成物及び該樹脂組
成物を成形してなる成形体は、長期間に亘って格別に高
度な難燃性、耐候性、耐光性、機械的強度、透明性等の
諸性能を備えている。
【0030】尚、従来技術の項で例示した特開平6−1
35977号公報には、一般式
【0031】
【化15】
【0032】〔式中7個のR4は同一又は異なって、水
素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、アルキル
カルボニル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アルコキ
シカルボニル基又はニトロ基を示す。〕で表される紫外
線吸収性基が示唆されている。しかしながら、本発明者
の文献検索によれば、該紫外線吸収性基は新規なもので
あるにもかかわらず、上記公報には該紫外線吸収性基を
合成するための方法は一切開示されていない。従って、
いかに当業者と言えども、上記公報から該紫外線吸収性
基を合成することは不可能であり、ましてや、ホスファ
ゼンとベンゾトリアゾール化合物とをオキシプロピレン
基を介して結合させることにより達成される上記本発明
特有の効果が得られることは予測できない。
【0033】
【発明の実施の形態】ホスファゼン化合物 上記一般式(1)において、Rで示されるアルキル基と
しては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチ
ル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル
基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル
基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ペンタデシル基等の直鎖又は分岐
鎖状の炭素数1〜18のアルキル基を挙げることができ
る。これらの中で、メチル基及びエチル基が好ましい。
【0034】アリール基としては、例えば、フェニル
基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等の炭素数
6〜20のアリール基を挙げることができる。これらの
中でフェニル基が好ましい。
【0035】上記のアルキル基には、例えば、ハロゲン
原子、炭素数2〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル
基及び炭素数6〜20のアリール基から選ばれる1種又
は2種以上の基が置換してもよい。
【0036】上記のアルキル基及びアリール基には、例
えば、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル
基、アルキル部分が炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖
状のアルキル基であるハロゲン化アルキル基、炭素数2
〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、フェニル基
及び置換フェニル基から選ばれる1種又は2種以上の基
が置換してもよい。
【0037】上記一般式(2)及び(3)において、R
1及びR2で示される炭素数1〜4のアルキレン基として
は、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テト
ラメチレン、2−メチルトリメチレン、1−メチルトリ
メチレン、メチルメチレン、エチルメチレン等の直鎖又
は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキレン基を挙げること
ができる。
【0038】R1及びR2で示される炭素数1〜4のアル
キル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、se
c−ブチル基、tert−ブチル基等の直鎖又は分岐鎖
状の炭素数1〜4のアルキル基を挙げることができる。
【0039】R1及びR2で示される炭素数1〜4のアル
コキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブ
トキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基
等の直鎖又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基を
挙げることができる。
【0040】R1及びR2で示される炭素数2〜5のアル
キルカルボニル基としては、例えばアセチル基、プロピ
オニル基、プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボ
ニル基、ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル
基、tert−ブチルカルボニル基等の、アルキル部分
が上記と同様の直鎖又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアル
キル基であるアルキルカルボニル基を挙げることができ
る。
【0041】R1及びR2で示される炭素数2〜5のアル
コキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボ
ニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボ
ニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボ
ニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキ
シカルボニル基等の、アルコキシ部分が上記と同様の直
鎖又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基であるア
ルコキシカルボニル基を挙げることができる。
【0042】R1及びR2で示されるハロゲン原子として
は、例えば、弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子
等を挙げることができる。
【0043】上記一般式(4)において、R3で示され
る炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えば、メチ
レン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、2−
メチルトリメチレン、1−メチルトリメチレン、メチル
メチレン、エチルメチレン、2,2−ジメチルトリメチ
レン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等の直鎖又は分
岐鎖状の炭素数1〜6のアルキレン基を挙げることがで
きる。
【0044】R3で示される炭素数1〜12のアルキル
基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソ
プロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、te
rt−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチ
ル、tert−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘ
プチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデ
シル等の直鎖又は分岐鎖状の炭素数1〜12のアルキル
基を挙げることができる。
【0045】R3で示される炭素数7〜15のフェニル
アルキル基としては、例えば、ベンジル等の、アルキル
部分が直鎖又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基で
あるフェニルアルキル基を挙げることができる。
【0046】R3で示される炭素数2〜4のアルケニル
基としては、例えば、ビニル、アリル、1−プロペニ
ル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、
2−ブテニル、イソブテニル等の直鎖又は分岐鎖状の炭
素数2〜4のアルケニル基を挙げることができる。
【0047】R3で示される炭素数1〜4のアルコキシ
基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポ
キシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ
基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の直
鎖又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げる
ことができる。
【0048】R3で示されるハロゲン原子としては、例
えば、弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を挙
げることができる。
【0049】本発明のホスファゼン化合物の中でも、紫
外線吸収性基が以下のものであるのが好ましい。
【0050】一般式
【0051】
【化16】
【0052】〔式中、8個のR1aは、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、メチレン基
又はエチレン基を示す。但し、8個のR1aのうち少なく
とも一つは、メチレン基又はエチレン基を示すものとす
る。aは1又は2を示す。〕で表されるベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収性基。
【0053】一般式
【0054】
【化17】
【0055】〔式中、9個のR2aは、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、メチレン基
又はエチレン基を示す。但し、9個のR2aのうち少なく
とも一つは、メチレン基又はエチレン基を示すものとす
る。aは1又は2を示す。〕で表されるベンゾフェノン
系紫外線吸収性基。
【0056】一般式
【0057】
【化18】
【0058】〔式中、14個のR3aは、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、単結合、メ
チレン基又はエチレン基を示す。但し、14個のR3a
うち少なくとも一つは、単結合、メチレン基又はエチレ
ン基を示すものとする。bは0、1又は2を示す。〕で
表されるトリアジン系紫外線吸収性基。
【0059】本発明のホスファゼン化合物は、上記一般
式(2a)で表される紫外線吸収性基、一般式(3a)
で表される紫外線吸収性基及び一般式(4a)で表され
る紫外線吸収性基から選ばれる1種又は2種以上の紫外
線吸収性基を有するホスファゼン化合物であるのが好ま
しい。
【0060】更に上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
性基及びベンゾフェノン系紫外線吸収性基の中でも、そ
れぞれ、フェノール性水酸基が2位に置換したベンゼン
環の5位のR1a又はR2aがメチレン基又はエチレン基で
あるものが特に好ましい。
【0061】また、上記トリアジン系紫外線吸収性基の
中でも、フェノール性水酸基が2位に置換したベンゼン
環の4位のR3aが単結合、メチレン基又はエチレン基で
あるものが特に好ましい。
【0062】2n個のRのうちの10〜70%が上記紫
外線吸収性基であるホスファゼン化合物であるのが、好
ましい。
【0063】上記トリアジン系紫外線吸収性基の中で
も、以下のものが最も好ましい。
【0064】
【化19】
【0065】
【化20】
【0066】
【化21】
【0067】[上記各化学式において、aは1又は2、
bは0、1又は2を示す。]ホスファゼン化合物の製造方法 本発明のホスファゼン化合物は、例えば、一般式
【0068】
【化22】
【0069】〔式中、Xはハロゲン原子を示す。nは上
記に同じ。〕で表わされる基を含むジハロゲン化ホスフ
ァゼン(以下「ジハロゲン化ホスファゼン(1a)とい
う)と、一般式
【0070】
【化23】
【0071】〔式中、8個のR1'は、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシ基、水酸基、炭素数2〜5のアルキルカ
ルボニル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数2
〜5のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又はヒドロキ
シアルキル基を示す。但し、8個のR1bのうち少なくと
も1つは、ヒドロキシアルキル基を示すものとする。ま
た、ベンゼン環の4位のR 1bは−(CH23OHであっ
てはならない。〕で表わされるベンゾトリアゾール化合
物(以下「ベンゾトリアゾール化合物(2c)とい
う」)、一般式
【0072】
【化24】
【0073】〔式中、9個のR2'は、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルコキシ基、水酸基、炭素数2〜5のアルキルカ
ルボニル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数2
〜5のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又はヒドロキ
シアルキル基を示す。但し、9個のR2'のうち少なくと
も1つは、ヒドロキシアルキル基を示すものとする。〕
で表わされるベンゾフェノン化合物(以下「ベンゾフェ
ノン化合物(3c)」という)及び一般式
【0074】
【化25】
【0075】〔式中、14個のR3'は、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数7
〜15のフェニルアルキル基、炭素数1〜4のアルケニ
ル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン
原子、フェニル基、ヒドロキシ基又はヒドロキシアルキ
ル基を示す。但し、14個のR3'のうち少なくとも1つ
は、ヒドロキシ基又はヒドロキシアルキル基を示すもの
とする。〕で表わされるトリアジン化合物(以下「トリ
アジン化合物(4c)」という)から選ばれる少なくと
も1種の紫外線吸収性化合物とを、塩基の存在下で反応
させることにより製造できる。
【0076】この反応により生成する化合物中にハロゲ
ン原子が残存している場合は、更に一般式 R’−O−
M(5)〔式中、R’は、アルキル基又はアリール基を
示す。Mはアルカリ金属を示す。〕で表されるアルカリ
金属化合物(以下「アルカリ金属化合物(5)」とい
う)と反応させればよい。
【0077】好ましくは、本発明のホスファゼン化合物
は、ジハロゲン化ホスファゼン(1a)と上記紫外線吸
収性化合物とを、塩基の存在下、該ジハロゲン化ホスフ
ァゼン(1a)中のハロゲン原子が少なくとも1個残存
するように、より好ましくはハロゲン原子の全個数の3
0〜90%が残存するように反応させ、更にアルカリ金
属化合物(5)を反応させることにより製造できる。
【0078】一般式(1a)において、Xで示されるハ
ロゲン原子としては、例えば、弗素原子、塩素原子、臭
素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0079】本発明のホスファゼン化合物の原料として
使用される、ジハロゲン化ホスファゼン(1a)には、
繰返し数nが3〜10000、好ましくは3〜1000
である鎖状ジハロゲン化ホスファゼンの他に、例えば、
一般式
【0080】
【化26】
【0081】〔式中、Xは上記に同じ。mは3〜25の
整数を示す。〕で表わされる環状ジハロゲン化ホスファ
ゼンも包含される。
【0082】ジハロホスファゼン(1a)は、例えば、
特開昭57−87427号公報、特開昭58−1960
4号公報、特開昭61−1363号公報、特開昭62−
20124号公報等に記載の公知の方法に従って製造で
きる。
【0083】より具体的には、例えば、クロルベンゼン
中で、塩化アンモニウムと五塩化リン(又は塩化アンモ
ニウムと三塩化リンと塩素)とを120〜130℃程度
で反応させ、脱塩酸すればよい。
【0084】ジハロゲン化ホスファゼン(1a)は、1
種を単独で用いてもよく、更には鎖状のものと環状のも
のとを2種以上併用してもよく、繰返し数の異なるもの
を2種以上の混合物を用いてもよい。
【0085】ジハロゲン化ホスファゼン(1a)と反応
させる紫外線吸収性化合物のうち、ベンゾトリアゾール
化合物(2c)は、例えば、特公平6−53733号公
報、特開平9−316060号公報等に記載の方法に従
い製造できる。
【0086】即ち、o−ニトロアニリン化合物と亜硝酸
ナトリウムを反応させてジアゾニウム塩を得、このジア
ゾニウム塩とフェノール化合物とを塩基性条件下でアゾ
カップリングさせて、2−[(2−ニトロフェニル)ア
ゾ]フェノール化合物を得、引き続きこの化合物を塩基
性条件下で還元することにより製造できる。
【0087】ベンゾトリアゾール化合物(2c)の具体
例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
(ヒドロキシメチル)フェニル)−2H−ベンゾトリア
ゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(2−ヒドロ
キシエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−(3−ヒドロキシプロ
ピル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(ヒドロキ
シメチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(2−ヒ
ドロキシエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−
(3−ヒドロキシプロピル)フェニル)−2H−ベンゾ
トリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブ
チル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル)−2H−
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−
t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロ
キシ−3’−t−ブチル−5’−(3−ヒドロキシプロ
ピル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(ヒ
ドロキシメチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−
5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)−2H−ベ
ンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t
−オクチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロ
キシ−3’−t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチ
ル)フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾー
ル等を挙げることができる。
【0088】これらの中でも、2−(2'−ヒドロキシ
−5'−(ヒドロキシメチル)フェニル)−2H−ベン
ゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−(2−
ヒドロキシエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾ
ール等が好ましい。
【0089】ベンゾフェノン化合物(3c)は、例え
ば、特公平4−60979号公報に記載の方法に従い製
造できる。
【0090】即ち、窒素ガス気流下にヒドロキシメチル
ベンゾエートをフッ素化スルホン酸樹脂を触媒として加
熱し、そのベンゾイル基をフェニル基側に転移させるこ
とにより製造できる。ベンゾフェノン化合物(3c)の
具体例としては、例えば、2−ヒドロキシ−5−ヒドロ
キシメチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−(2
−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−5−(3−ヒドロキシプロピル)ベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−3−メチル−5−ヒドロキシメチルベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−メチル−5−(2−
ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
3−メチル−5−(3−ヒドロキシプロピル)ベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−ヒドロ
キシメチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−t−
ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(3−ヒド
ロキシプロピル)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3
−t−オクチル−5−ヒドロキシメチルベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−3−t−オクチル−5−(2−ヒ
ドロキシエチル)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3
−t−オクチル−5−(3−ヒドロキシプロピル)ベン
ゾフェノン等を挙げることができる。
【0091】これらの中でも、2−ヒドロキシ−5−ヒ
ドロキシメチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−
(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン等が好まし
い。
【0092】トリアジン化合物(4c)は、例えば、
“HELVETICA CHIMICA ACTA”,H.Brunrtti,Vol.55,p.156
6-1595(1972)等に記載の公知の方法に従って製造でき
る。即ち、ベンズアミジン塩酸塩をナトリウムメトキシ
ドで処理してベンズアミジンを遊離させ、これに2,4
−ジヒドロキシ安息香酸フェニルエステルを反応させる
ことにより製造できる。
【0093】また、トリアジン化合物(4c)は、例え
ば、特開平5−70443号公報、特開平6−2118
13号公報、特開平9−59263号公報、特開平9−
323980号公報、特開平10−182621号公
報、特開平11−71356号公報、特開平11−31
5232号公報等に記載されている。
【0094】トリアジン化合物(4c)の具体例として
は、例えば、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−
4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2,4−
ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2, 4−ジメ
チルフェニル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジヒ
ドロキシフェニル)−4,6−ビス(2−メトキシフェ
ニル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ
フェニル)−4,6−ビス(4−メトキシフェニル)−
s−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニ
ル)−4,6−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−
s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキ
シメチルフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリア
ジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフ
ェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)
−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(2−
ヒドロキシエチル)フェニル)−4,6−ジフェニル−
s−トリアジン、2−(2ヒドロキシ−4−(2−ヒド
ロキシエチル)フェニル)−4, 6−ビス(2,4−ジ
メチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロ
キシ−4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル)
−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒ
ドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニ
ル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s
−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(3−ヒド
ロキシプロピル)フェニル)−4,6−ジフェニル−s
−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(3−ヒド
ロキシプロピル)フェニル)−4,6−ビス(2,4−
ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒド
ロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル)−
4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒド
ロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル)−
4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリ
アジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシ
プロピルオキシ)フェニル)−4,6−ジフェニル−s
−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(3−ヒド
ロキシプロピルオキシ)フェニル)−4,6−ビス
(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−
(2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェ
ニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−
(2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェ
ニル)−4,6−ビス(2, 4−ジメチルフェニル)−
s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(4−ヒ
ドロキシブチル)フェニル)−4,6−ジフェニル−s
−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(4−ヒド
ロキシブチル)フェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ
メチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロ
キシ−4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)フェニル)
−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒ
ドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)フェニ
ル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s
−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)
−4,6−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−s
−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)
−4,6−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−s−トリ
アジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,
6−ビス(2−ヒドロキシ−4−ジメチルフェニル)−
s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキ
シメチルフェニル)−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−
4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−
ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)
−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−ジメチルフェニ
ル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−
(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル)−4,6−
ビス(2−ヒドロキシ−4−ジメチルフェニル)−s−
トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロ
キシプロピル)フェニル)−4,6−ビス(2−ヒドロ
キシ−4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−
(2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フ
ェニル)−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−ジメチ
ルフェニル)−s−トリアジン等を挙げることができ
る。
【0095】これらの中でも、例えば、2−(2,4−
ジヒドロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−ト
リアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−
4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリ
アジン等が好ましい。
【0096】これらの紫外線吸収性化合物は、1種を単
独で使用でき又は2種以上を併用できる。
【0097】紫外線吸収性化合物の使用量は特に制限は
されないが、通常はジハロゲン化ホスファゼン(1a)
中のXで示されるハロゲン原子が少なくとも1個は残存
する量とすればよく、好ましくはXで示されるハロゲン
原子の総モル数に対して10〜70モル%、より好まし
くは10〜50モル%置換する量を用いればよい。
【0098】塩基としては特に制限されず、公知のもの
をいずれも使用できるが、紫外線吸収性化合物の種類に
応じて適宜選択するのがよい。
【0099】例えば、ベンゾトリアゾール化合物(2
a)及びベンゾフェノン化合物(3a)を用いる場合に
は、ハロゲン化水素を捕捉するアミン類が好ましい。こ
のようなアミン類としては特に制限はなく、例えば、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエ
チルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジ
イソプロピルアニリン、ピリジン、4,4−ジメチルア
ミノピリジン、4,4−ジエチルアミノピリジン、4−
ジイソプロピルアミノピリジン等の脂肪族又は芳香族ア
ミン類を挙げることができる。これらの中でも、トリエ
チルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等が好まし
い。
【0100】トリアジン化合物(4a)を用いる場合、
ハロゲン化水素を捕捉し得る塩基であれば特に制限され
ず、上記と同様の脂肪族又は芳香族アミン類の他、例え
ば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のア
ルカリ金属水酸化物等を挙げることができる。これらの
中でも、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等が
好ましい。
【0101】塩基は、1種を単独で使用でき又は必要に
応じて2種以上を併用してもよい。
【0102】塩基の使用量は特に制限されないが、ジハ
ロゲン化ホスファゼン(1a)中の置換しようとするハ
ロゲン原子に対して1当量前後とすればよい。
【0103】ジハロゲン化ホスファゼン(1a)と紫外
線吸収性化合物との反応は、無溶媒下又は溶媒中で行う
ことができる。
【0104】溶媒を使用する場合、該溶媒としては、反
応に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限はない
が、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ブチ
ルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−
ジエトキシエタン、ジフェニルエーテル等のエーテル
類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベン
ゼン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼ
ン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン等
のハロゲン化炭化水素、ペンタン、ヘキサン、シクロヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、ウンデカン、ド
デカン等の脂肪族炭化水素、ピリジン等の複素環式芳香
族炭化水素、第三級アミン、シアン化合物等の有機溶媒
等が挙げられる。
【0105】これらの中でも、分子内にエーテル結合を
有し且つ水酸基含有化合物のアルカリ金属塩の溶解度が
高いエーテル類、水との分離が容易である芳香族炭化水
素等が好ましい。
【0106】本反応の反応温度は、目的とする反応の種
類、生成物の熱安定性等によって異なるが、通常0℃か
らその溶媒系の沸点までの温度で行うのがよい。また、
無溶媒下での反応温度は、40〜200℃の範囲に保持
するのがよい。
【0107】アルカリ金属化合物(5)としては、例え
ば、アルカリ金属フェノラート、アルカリ金属アルコラ
ート等を好ましく使用できる。アルカリ金属フェノラー
トとしては公知のものを使用でき、例えば、ナトリウム
フェノラート、カリウムフェノラート、リチウムフェノ
ラート等を挙げることができる。またアルカリ金属アル
コラートとしても公知のものが使用でき、例えば、ナト
リウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメト
キシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、
リチウムエトキシド、ナトリウムトリフルオロエトキシ
ド、カリウムトリフルオロエトキシド、リチウムトリフ
ルオロエトキシド等を挙げることができる。
【0108】これらアルカリ金属化合物(5)は、それ
ぞれ1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
また、アルカリ金属フェノラートとアルカリ金属アルコ
ラートとを併用してもよい。
【0109】アルカリ金属化合物(5)の使用量は特に
制限されないが、紫外線吸収性化合物との反応により生
成するホスファゼン化合物中に残存しているハロゲン原
子がアルカリ金属化合物(5)との反応によって全て消
費されるように、アルカリ金属化合物(5)の使用量を
適宜調整すればよいが、通常ホスファゼン化合物中に残
存している活性ハロゲン原子量を基準にして、通常1〜
2当量程度、好ましくは1.1〜1.5当量程度とすれ
ばよい。
【0110】アルカリ金属化合物(5)をそのまま用い
る場合には、0℃〜使用する溶媒の沸点までの温度下に
反応を行うのがよい。また、アルカリ金属化合物(5)
を水溶液の形態で用いる場合には、使用する溶媒との共
沸下に反応を行うのがよい。
【0111】尚、本発明においては、アルカリ金属化合
物(5)を水溶液の形態で使用する場合に該水溶液に由
来する水及び水酸基含有化合物のアルカリ金属塩が生成
する際に副生する水が存在する。これらの水は、有機溶
媒との共沸脱水により反応系外に除去するのがよい。反
応系中の水分はカールフィッシャー法によって測定され
る。反応系中の水分量は、反応系全重量の10重量%以
下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.01
重量%以下に保持するのがよい。水分が共存すると活性
ハロゲン原子又は既にホスファゼン骨格中のリン原子に
結合しているオキシ基と反応し、P−OH結合や架橋結
合(P−O−P結合)を生じる副反応が起こりやすい。
【0112】上記で得られる本発明のホスファゼン化合
物は、濾過、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再
結晶等の通常の方法により単離精製できる。
【0113】樹脂組成物 合成樹脂に上記のホスファゼン化合物を配合してなる本
発明樹脂組成物は、顕著に優れた難燃性、耐候性、耐光
性等の性能を備えている。
【0114】合成樹脂としては従来公知の熱可塑性樹脂
及び熱硬化性樹脂を広く使用できる。
【0115】熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチ
レン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、塩素化ポリエ
チレン、ポリ塩化ビニル、スチレン樹脂、耐衝撃性ポリ
スチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹
脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂
(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−
スチレン樹脂(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(MAB
S樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン
樹脂(AAS樹脂)、ポリメチル(メタ)アクリレー
ト、ポリカーボネート、(変性)ポリフェニレンエーテ
ル(PPE)、ポリアミド(脂肪族系及び/又は芳香族
系)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポ
リプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリフェニレン
スルフィド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルニトリル、ポリチオエーテルスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、
ポリカルボジイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテル
イミド、液晶ポリマー等を挙げることができる。
【0116】これら熱可塑性樹脂の中でも、ポリエステ
ル、ABS樹脂、ポリカーボネート、変性ポリフェニレ
ンエーテル、ポリアミド等が好ましい。
【0117】熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレ
タン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコ
ン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。エポキ
シ樹脂としては、より具体的には、ビスフェノール−A
型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、
ビスフェノール−AD型エポキシ樹脂、ビスフェノール
型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹
脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族
エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジル
アミン系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ウレタ
ン変性エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール−A型エポ
キシ樹脂等が挙げられる。
【0118】これら熱硬化性樹脂の中でも、ポリウレタ
ン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が
好ましい。
【0119】合成樹脂は、1種を単独で使用でき又は必
要に応じて2種以上を併用できる。
【0120】本発明のホスファゼン化合物の使用量は、
合成樹脂の種類、得られる樹脂組成物の用途等の各種条
件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常合成樹
脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましく
は0.5〜40重量部、より好ましくは1〜30重量部
とすればよい。
【0121】本発明の樹脂組成物には、その難燃性能を
更に向上させるために、フッ素樹脂を配合してもよい。
【0122】フッ素樹脂としては公知のものを使用で
き、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PF
A)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(E
TFE)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン)(CT
FE)、ポリフルオロビニリデン(PVdF)等を挙げ
ることができる。これらの中でも、PTFEが好まし
い。
【0123】フッ素樹脂は1種を単独で使用でき又は2
種以上を併用できる。
【0124】フッ素樹脂の配合量は特に制限されず、配
合する樹脂の種類、ホスファゼン化合物の使用量、他の
添加剤の種類や配合量、得られる樹脂組成物の用途等の
各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常
本発明樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5重
量部程度、好ましくは0.1〜1.2重量部程度とすれ
ばよい。
【0125】本発明の樹脂組成物には、その機械的強度
等を損なわない範囲で、公知の紫外線吸収剤及び難燃剤
のそれぞれ1種又は2種以上を配合することができる。
【0126】紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾト
リアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シ
ュウ酸アニリド系、ジフェニルシアノアクリレート系、
トリアジン系及びこれらの骨格を有するオリゴマー及び
ポリマー系の紫外線吸収剤や、無機系の紫外線吸収剤を
挙げることができる。
【0127】また、難燃剤としては、例えば、赤リン、
トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ト
リブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、ト
リフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、
トリキシリルホスフェート、クレジルジフェニルホスフ
ェート、キシリルジフェニルホスフェート、トリルジキ
シリルホスフェート、トリス(ノリルフェニル)ホスフ
ェート、(2−エチルヘキシル)ジフェニルホスフェー
ト等のリン酸エステル、レゾルシノールジフェニルホス
フェート、ハイドロキノンジフェニルホスフェート等の
水酸基含有リン酸エステル、レゾルシノールビス(ジフ
ェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニ
ルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジフェニ
ルホスフェート)、ビスフェノール−Sビス(ジフェニ
ルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシリルホ
スフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシリルホスフ
ェート)、ビスフェノール−Aビス(ジトリルホスフェ
ート)、ビフェノール−Aビス(ジキシリルホスフェー
ト)、ビスフェノール−Sビス(ジキシリルホスフェー
ト)等の縮合リン酸エステル化合物、トリラウリルホス
フィン、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィンオキシド、トリトリルホス
フィンオキシド等のホスフィン又はホスフィンオキシド
化合物、シリコン系化合物等を挙げることができる。
【0128】更に、本発明の樹脂組成物には、その優れ
た特性を損なわない範囲で、公知の樹脂添加剤の1種又
は2種以上を配合することができる。斯かる樹脂添加剤
としては、例えば、無機質充填剤、難燃助剤、ドリップ
防止剤(滴下防止剤)、光安定剤、酸化防止剤、遮光
剤、金属不活性剤、消光剤、耐熱安定剤、潤滑剤、離型
剤、着色剤、帯電防止剤、老化防止剤、可塑剤、衝撃強
度改良剤、相溶化剤、防曇剤、防黴剤、抗菌剤等を挙げ
ることができる。
【0129】また、本発明の樹脂組成物を適当な有機溶
媒を選択して溶解又は分散させ、各種基材の適用する塗
料とすることもできる。該基材としては特に制限され
ず、例えば、合成樹脂、セラミックス材料、金属材料、
木質材料、紙類等から選ばれる1種又は2種以上で構成
されている基材を挙げることができる。
【0130】本発明の樹脂組成物は、合成樹脂にホスフ
ァゼン化合物の所定量及び必要に応じて公知の樹脂添加
剤の適量を添加し、公知の方法で混合、混練することに
より得ることができる。例えば、合成樹脂として熱可塑
性樹脂を用いる場合は、粉末、ビーズ、フレーク又はペ
レット状の各成分の混合物を、1軸押出機、2軸押出機
等の押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、2本
ロール等の混練機等を用いて混練すればよい。また、液
体を配合する場合には、公知の液体注入装置を用い、上
記の押出機又は混練機等で混練することができる。合成
樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合は、例えば、各成
分をミキサー等によって十分混合した後、低圧トランス
ファー成形、インジェクション成形、圧縮成形等を行え
ばよい。
【0131】樹脂組成物の成形体 本発明の樹脂組成物を成形することにより、樹脂成形体
を得ることができる。成形手段としては公知の樹脂成形
法がいずれも採用でき、例えば、プレス成形、射出成
形、押出成形等を挙げることができる。成形品の形状に
は制限はなく、例えば、板、シート、フィルム、異形品
等を挙げることができる。また共押出混練機等を用い
て、二層乃至三層構造の樹脂板を製造することも可能で
ある。
【0132】本発明の樹脂組成物及び成形体は、電気・
電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣
類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機
器、木材、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用
できる。
【0133】より具体的には、本発明の樹脂組成物及び
成形体は、各種物品の内部又は外部機構部品、筐体(ハ
ウジング)等として使用できる。該物品の具体例として
は、例えば、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボ
ード、PDA(小型情報端末)、電話機、ファクシミ
リ、複写機、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子
手帳、電子辞書、カード、ホルダー、文具等の事務・O
A機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器
具、ゲーム機、アイロン、炬燵等の家電機器、TV、V
TR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミ
ニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディス
プレイ等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサ
ー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封
止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、
偏向ヨーク、分電盤、時計等を挙げることができる。
【0134】また、本発明の樹脂組成物及び成形体は、
各種物品の構成材料として使用できる。該物品の具体例
としては、例えば、座席(詰物、表地等)、ベルト、天
井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアト
リム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サ
ンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバ
ック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被服材、電気絶
縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、
デッキパネル、カバー類、合板、天井板、仕切り板、側
壁、カーペット、壁紙、壁装材、外壁材、内装材、屋根
材、防音板、断熱板、窓材等の自動車、車両、船舶、航
空機及び建築用材料や、衣類、カーテン、シーツ、合
板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホー
ス、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラ
ケット、テント、楽器等の生活・スポーツ用品を挙げる
ことができる。
【0135】
【発明の効果】本発明のホスファゼン化合物は、合成樹
脂に著しく優れた難燃性、耐候性及び耐光性を付与する
ことができ、しかも、各種合成樹脂との相溶性に優れる
ため、合成樹脂の機械的強度、透明性等を損なうことが
ない。
【0136】また、合成樹脂に本発明のホスファゼン化
合物を配合してなる樹脂組成物を成形する際に、該ホス
ファゼン化合物が分解又は揮発することもなく、成形体
とした後も、その表面から該ホスファゼン化合物がブリ
ードアウトすることがない。
【0137】従って、本発明の樹脂組成物及び該樹脂組
成物を成形してなる成形体は、長期間に亘って格別に高
度な難燃性、耐候性、耐光性、機械的強度、透明性等の
諸性能を備えている。
【0138】
【実施例】以下に参考例、実施例、比較例及び試験例を
挙げ、本発明を具体的に説明する。尚、特に断りがない
限り、「%」及び「部」とあるのはそれぞれ重量基準で
ある。Phはフェニル基を意味する。また各種物性測定
は以下の方法で行った。
【0139】(1)NMR測定:試料を重クロロホルム
に溶解し、1H−NMR及び31P−NMRを測定した。
【0140】(2)質量分析:試料をフィールド脱着法
(以下「FD」と略す)でイオン化したものを質量分析
計で分析した。
【0141】(3) 加水分解性塩素:試料200〜3
00mgに1/20Nの水酸化ナトリウムイソプロパノ
ール溶液50mlを加え、15分間煮沸し、この溶液を
50mlのイソプロピルアルコールで希釈した後、硝酸
酸性下で、1/20NのAgNO3溶液を用いて沈殿滴
定を行った。この加水分解性塩素の消失で反応の完結が
確認できる。
【0142】(4)紫外吸収スペクトル:試料をジクロ
ロメタンに溶解し、分光光度計で分析した。
【0143】(5)難燃試験:予め、乾燥させたポリカ
ーボネート樹脂(商品名:ユーピロンS−2000F、
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)75
部、ABS樹脂(商品名:サンタックUT−61、三井
化学(株)製)25部及びポリテトラフルオロエチレン
(PTFE、商品名:フルオンG307、旭硝子(株)
製)0.5部に、本発明のホスファゼン化合物12.5
部を二軸押出機(商品名:S1−KRC、25mm二軸
押出機、(株)栗本鐵工所製)にて混練し、ペレット化
した後、射出成形機(MINIMAT−26/15B、
住友重機械工業(株)製)にて厚み1/16インチ(約
1.6mm)、幅12.5mm、長さ127mmの成形
体を成形し、UL−94Vの試験法(Test for Flammab
ility of Plastic Materials for Parts in Devices an
d Appliances UL 94,Fourth Edition)に従って難燃性
評価を行った。
【0144】(6)吸光度保持試験:試料を含むポリカ
ーボネート被膜石英板を、70℃の温水中に浸漬し、該
被膜の340nmにおける吸光度を一定時間毎に測定し
た。
【0145】参考例1(原料ホスファゼンの合成) 還流冷却器、温度計、撹拌機、三塩化リン滴下器及び塩
素ガス吹き込み管を備えた10リットルのフラスコにク
ロルベンゼン5リットル、塩化アンモニウム365g
(6.8モル)及び塩化亜鉛5.0gを仕込んで混合分
散液を得た。
【0146】該分散液を温度130℃に加熱して還流下
で三塩化リン851gを8.9g/分の速度で96分間
要して滴下すると同時に、塩素ガス454gを4.7g
/分の速度で96分間要して供給した。三塩化リン及び
塩素ガスを供給した後、更に144分間還流(132
℃)を行って反応を完結した。
【0147】次いで吸引濾過して未反応の塩化アンモニ
ウムを除去し、濾液を1.3〜2.7hPaの減圧下に
て30〜40℃でクロルベンゼンを留去して反応生成物
704gを得た。該反応生成物の三塩化リンを基準とし
た収率は98%であった。
【0148】反応生成物をクロルベンゼンに再溶解し、
再結晶によってヘキサクロロシクロトリホスファゼン及
びオクタクロロシクロテトラホスファゼンの混合物(4
52g,ヘキサクロロシクロトリホスファゼン:76
%,オクタクロロシクロテトラホスファゼン:24%)
を得た。
【0149】また、再結晶で残ったクロルベンゼン溶液
を濃縮し、環状及び鎖状のクロロホスファゼン(一般式
(1a)のXが塩素原子で、nが3〜15の混合物)2
49gを得た。
【0150】また、先に得たヘキサクロロシクロトリホ
スファゼン及びオクタクロロシクロテトラホスファゼン
の混合物を、ヘキサンを用い3回再結晶することで、純
度99.9%のヘキサクロロシクロトリホスファゼン3
12gを得た。
【0151】参考例2(原料ホスファゼンポリマーの合
成) ヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.5
モル)を窒素雰囲気下で12時間250℃に加熱し、開
環重合によってジクロロホスファゼンポリマーを得た。
未反応のヘキサクロロシクロホスファゼンを70℃、減
圧下で7時間昇華して除去して、ジクロロホスファゼン
ポリマー224gを得た。収率43%。
【0152】得られたジクロロホスファゼンポリマー
は、上記一般式(1a)におけるnが3〜10000の
混合物であった。
【0153】実施例1(ベンゾトリアゾール系化合物を
置換したフェノキシホスファゼン化合物(以下、「PZ
−1」と略す。)の合成) 還流冷却器、温度計、撹拌機及び滴下ロートを備えた1
リットルの4ツ口フラスコに、上記参考例1で得られた
純度99.9%のヘキサクロロシクロトリホスファゼン
58.0g(0.50ユニットモル、NPCl2を1ユ
ニットとする)及びテトラヒドロフラン250mlを仕
込み均一溶液にした後、2−(2'−ヒドロキシ−5'−
(2−ヒドロキシエチル)フェニル)−2H−ベンゾト
リアゾール42.6g(0.17モル)、トリエチルア
ミン17.2g(0.17モル)及びテトラヒドロフラ
ン250mlの混合溶液を撹拌しながら、反応温度が3
0℃以下になるように冷却し、30分かけて滴下した。
滴下終了後、65〜67℃で10時間反応を行った。反
応終了後15℃まで冷却し、濾過により固体(トリエチ
ルアミン塩酸塩)を分離し、ベンゾトリアゾール置換ホ
スファゼン混合溶液を調製した。
【0154】これとは別に還流冷却器、温度計、撹拌機
及び滴下ロートを備えた2リットルの4ツ口フラスコに
フェノール117.6g(1.25モル)、テトラヒド
ロフラン250mlを仕込んで溶液を得た。この溶液
に、金属ナトリウム28.8g(1.25グラム原子)
を撹拌しながら、反応温度を30℃以下になるように適
宜冷却し、1時間かけて添加した。さらに1時間かけて
昇温し、67℃で5時間反応を行い、15℃に冷却し
て、ナトリウムフェノラート溶液を調製した。
【0155】このナトリウムフェノラート溶液に、先に
調製した前記ベンゾトリアゾール置換ホスファゼン混合
溶液を滴下した。滴下終了後、67℃で24時間反応し
た。
【0156】反応終了後、反応混合物を濃縮し、150
0mlのトルエンに再溶解した後、2.5%水酸化ナト
リウム水溶液で2回、2%塩酸水で1回、7%重曹水で
1回及び2%芒硝水で2回洗浄を順次行い、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥後、濃縮乾固して淡黄色油状物を得た。
【0157】更にこの生成物を、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=100:0→
20:1→5:1)で紫外線吸収性基未置換体(紫外線
吸収性基が置換していないホスファゼン)を分離し、目
的物を得た。
【0158】収量129.7g、収率91%1 H−NMR:11.2(s,1H,−OH),8.0
−6.6(m,32H,芳香族H),3.8(t,2
H),2.9(t,2H)ppm31 P−NMR:10−8ppm。
【0159】上記の分析結果から、主生成物はリン原子
にフェノキシ基5個及び下記紫外線吸収性基1個が置換
したシクロトリホスファゼン(一置換体)であった。更
に、リン原子にフェノキシ基4個及び下記紫外線吸収性
基2個が置換したシクロトリホスファゼン(二置換体)
も確認された。
【0160】
【化27】
【0161】加水分解性塩素:0.01% UV(CH2Cl2):λmax=339nm MS(FD):m/e=856(M+1,一置換体)、
m/e=1018(M+1,二置換体)。
【0162】実施例2(ベンゾトリアゾール系化合物を
置換したフェノキシホスファゼンポリマー(以下、「P
Z−2」と略す。)の合成) ヘキサクロロシクロトリホスファゼンに代えて参考例2
で得られたジクロロホスファゼンポリマー58.0g
(0.50ユニットモル)を使用する以外は、実施例1
と同様に操作し、更に水洗して、ベンゾトリアゾール置
換フェノキシホスファゼンポリマーの混合物を得た。
【0163】収量126.8g、収率89% 加水分解性塩素:0.01% UV(CH2Cl2):λmax=339nm1 H−NMR、31P−NMR、加水分解性塩素及び紫外
吸収スペクトルから、構造は以下のように決定した。
【0164】
【化28】
【0165】上記化学式において、nは3〜10000
の混合物である。
【0166】実施例3(トリアジン系化合物を置換した
フェノキシホスファゼン化合物(以下、「PZ−3」と
略す。)の合成) 還流冷却器を付けたディーンスタークトラップ、温度
計、撹拌機及び滴下ロートを備えた2リットルの4ツ口
フラスコに2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−
4,6−ジフェニル−s−トリアジン58.0g(0.
17モル)及びトルエン1100mlを仕込み、この溶
液を111℃まで昇温した。そこへ水酸化カリウム9.
5g(0.17モル)の48%水溶液を1時間かけて滴
下し、反応系中の水(水酸化カリウム水溶液由来の水及
びトリアジンのカリウム塩生成により副生する水)はト
ルエンとの共沸により直ちに系外へ除去し、トルエンの
みを系内へ戻した。この間反応液の温度は107〜11
1℃であった。水酸化カリウム水溶液の滴下終了後、1
11℃で4時間加熱して反応系内の含水率が0.01重
量%以下(カールフィッシャー法による、以下同じ)に
なるまで脱水した。
【0167】この反応液を15℃まで冷却し、純度9
9.9%のヘキサクロロシクロトリホスファゼン58.
0g(0.50ユニットモル)の35%トルエン溶液に
冷却しながら徐々に滴下した。この溶液を再び加熱し、
111℃で17時間攪拌して反応させた。
【0168】これとは別に還流冷却器を付けたディーン
スタークトラップ、温度計、撹拌機及び滴下ロートを備
えた3リットルの4ツ口フラスコにフェノール117.
6g(1.25モル)及びトルエン1000mlを仕込
み、この溶液を111℃まで昇温した。そこへ水酸化カ
リウム70.1g(1.25モル)の48%水溶液を3
時間かけて滴下し、反応系中の水(水酸化カリウム水溶
液由来の水及びフェノールのカリウム塩生成により副生
する水)はトルエンとの共沸により直ちに系外へ除去
し、トルエンのみを系内へ戻した。この間反応液の温度
は105〜111℃であった。水酸化カリウム水溶液の
滴下終了後、111℃で4時間加熱して反応系内の含水
率が0.01重量%以下になるまで脱水し、15℃まで
冷却して、カリウムフェノラート溶液を調製した。
【0169】このカリウムフェノラート溶液に、先に調
製した前記トリアジン置換ホスファゼン混合溶液を滴下
した。滴下終了後、111〜112℃で24時間反応し
た。
【0170】反応終了後、2.5%水酸化ナトリウム水
溶液で2回、2%塩酸水で1回、7%重曹水で1回及び
2%芒硝水で2回洗浄を順次行い、無水硫酸ナトリウム
で乾燥後、濃縮乾固して淡黄色固体を得た。さらにこの
生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トル
エン:酢酸エチル=100:0→20:1→5:1)で
紫外線吸収性基未置換体を分離し、目的物を得た。
【0171】収量150.6g、収率96%1 H−NMR:13.2(s,1H,−OH),8.8
−6.5(m,38H,芳香族H)ppm31 P−NMR:10−7ppm 分析結果から、主生成物はリン原子にフェノキシ基5個
及び下記紫外線吸収性基1個が置換したシクロトリホス
ファゼン(一置換体)であった。更に、リン原子にフェ
ノキシ基4個及び下記紫外線吸収性基2個が置換したシ
クロトリホスファゼン(二置換体)も確認された。
【0172】加水分解性塩素:0.01% UV(CH2Cl2):λmax=338nm MS(FD):m/e=941(M+1,一置換体)、
m/e=1189(M+1,二置換体)
【0173】
【化29】
【0174】実施例4(トリアジン系化合物を置換した
フェノキシホスファゼンポリマー(以下、「PZ−4」
と略す。)の合成) 実施例3におけるヘキサクロロシクロトリホスファゼン
をジクロロホスファゼンポリマー58.0g(0.50
ユニットモル)に変更した以外は実施例3と同様に合成
し、水洗処理をしてトリアジン置換フェノキシホスファ
ゼンポリマーの混合物を得た。
【0175】収量142.8g、収率91% 加水分解性塩素:0.01% UV(CH2Cl2):λmax=339nm1 H−NMR、31P−NMR、加水分解性塩素及び紫外
吸収スペクトルから、構造は以下のように決定した。
【0176】
【化30】
【0177】上記化学式において、nは3〜10000
の混合物である。
【0178】実施例5(ベンゾフェノン系化合物を置換
したフェノキシホスファゼン化合物(以下、「PZ−
5」と略す。)の合成) 還流冷却器、温度計、撹拌機及び滴下ロートを備えた1
リットルの4ツ口フラスコに純度99.9%のヘキサク
ロロシクロトリホスファゼン58.0g(0.50ユニ
ットモル)及びテトラヒドロフラン250mlを仕込み
均一溶液にした後、2−ヒドロキシ−5−(2−ヒドロ
キシエチル)ベンゾフェノン41.2g(0.17モ
ル)、トリエチルアミン17.2g(0.17モル)及
びテトラヒドロフラン250mlの混合溶液を撹拌しな
がら、反応温度が30℃以下になるように冷却し、30
分かけて滴下した。滴下終了後、65〜67℃で10時
間反応を行った。反応終了後15℃まで冷却し、濾過に
より固体(トリエチルアミン塩酸塩)を分離した。
【0179】これとは別に還流冷却器、温度計、撹拌機
及び滴下ロートを備えた2リットルの4ツ口フラスコに
フェノール117.6g(1.25モル)、テトラヒド
ロフラン250mlを仕込んで溶液を得た。この溶液
に、金属ナトリウム28.8g(1.25グラム原子)
を撹拌しながら、反応温度を30℃以下になるように適
宜冷却し、1時間かけて添加した。さらに1時間かけて
昇温し、67℃で5時間反応を行い、15℃に冷却し
て、ナトリウムフェノラート溶液を調製した。
【0180】このナトリウムフェノラート溶液に、先に
調製した前記ベンゾフェノン置換ホスファゼン混合溶液
を滴下した。滴下終了後、67℃で24時間反応した。
【0181】反応終了後、反応混合物を濃縮し、150
0mlのトルエンに再溶解した後、2.5%水酸化ナト
リウム水溶液で2回、2%塩酸水で1回、7%重曹水で
1回及び2%芒硝水で2回洗浄を順次行い、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥後、濃縮乾固して淡黄色油状物を得た。
【0182】更にこの生成物を、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=100:0→
20:1→5:1)で紫外線吸収性基未置換体を分離
し、目的物を得た。
【0183】収量127.7g、収率91%1 H−NMR:12.4(s,1H,−OH),8.2
−6.7(m,33H,芳香族H),3.7(t,2
H),2.8(t,2H)ppm31 P−NMR:10−8ppm。
【0184】分析結果から、主生成物はリン原子にフェ
ノキシ基5個及び下記紫外線吸収性基1個が置換したシ
クロトリホスファゼン(一置換体)であった。更に、リ
ン原子にフェノキシ基4個及び下記紫外線吸収性基2個
が置換したシクロトリホスファゼン(二置換体)も確認
された。
【0185】加水分解性塩素:0.01% UV(CH2Cl2):λmax=339nm MS(FD):m/e=843(M+1,一置換体)、
m/e=991(M+1,二置換体)。
【0186】
【化31】
【0187】実施例6(ベンゾトリアゾール系化合物を
置換したトリフルオロエトキシホスファゼン化合物(以
下、「PZ−6」と略す。)の合成) 還流冷却器、温度計、撹拌機及び滴下ロートを備えた1
リットルの4ツ口フラスコに純度99.9%のヘキサク
ロロシクロトリホスファゼン58.0g(0.50ユニ
ットモル)及びテトラヒドロフラン250mlを仕込み
均一溶液にした後、2−[2'−ヒドロキシ−5'−(2
−ヒドロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリア
ゾール42.6g(0.17モル)、トリエチルアミン
17.2g(0.17モル)及びテトラヒドロフラン2
50mlの混合溶液を撹拌しながら、反応温度を30℃
以下になるように冷却し、30分かけて滴下した。滴下
終了後、65〜67℃で10時間反応を行った。反応終
了後15℃まで冷却し、濾過により固体(トリエチルア
ミン塩酸塩)を分離し、前記ベンゾトリアゾール置換ホ
スファゼン混合溶液を調製した。
【0188】これとは別に還流冷却器、温度計、撹拌機
及び滴下ロートを備えた2リットルの4ツ口フラスコに
トリフルオロエタノール125.1g(1.25モ
ル)、テトラヒドロフラン250mlを仕込んで溶液を
得た。この溶液に、金属ナトリウム28.8g(1.2
5グラム原子)を撹拌しながら、反応温度を30℃以下
になるように冷却し、1時間かけて添加した。さらに1
時間かけて昇温し、67℃で5時間反応を行い、15℃
に冷却して、ナトリウムトリフルオロエトキシド溶液を
調製した。
【0189】このナトリウムトリフルオロエトキシド溶
液に、先に調製した前記ベンゾトリアゾール置換ホスフ
ァゼン混合溶液を滴下した。滴下終了後、67℃で24
時間反応した。
【0190】反応終了後、反応混合物を濃縮し、150
0mlのトルエンに再溶解した後、2.5%水酸化ナト
リウム水溶液で2回、2%塩酸水で1回、7%重曹水で
1回及び2%芒硝水で2回洗浄を順次行い、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥後、濃縮乾固して淡黄色油状物を得た。
更にこの生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(トルエン:酢酸エチル=100:0→20:1→
5:1)で紫外線吸収性基未置換体を分離し、目的物を
得た。
【0191】収量130.9g、収率89%1 H−NMR:11.3(s,1H,−OH),8.3
−7.1(m,7H,芳香族H),4.5(s,2
H),3.8(t,2H),2.9(t,2H)ppm31 P−NMR:10−5ppm 分析結果から、主生成物はリン原子にトリフルオロエト
キシ基5個及び下記紫外線吸収性基1個が置換したシク
ロトリホスファゼン(一置換体)であった。更に、リン
原子にトリフルオロエトキシ基4個及び下記紫外線吸収
性基2個が置換したシクロトリホスファゼン(二置換
体)も確認された。
【0192】加水分解性塩素:0.01% UV(CH2Cl2):λmax=339nm MS(FD):m/e=884(M+1,一置換体)、
m/e=1040(M+1,二置換体)
【0193】
【化32】
【0194】実施例7(トリアジン系化合物を置換した
トリフルオロエトキシホスファゼン化合物(以下、「P
Z−7」と略す。)の合成) 還流冷却器を付けたディーンスタークトラップ、温度
計、撹拌機及び滴下ロートを備えた2リットルの4ツ口
フラスコに2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−
4,6−ジフェニル−s−トリアジン58.0g(0.
17モル)及びトルエン1100mlを仕込み、この溶
液を111℃まで昇温した。そこへ水酸化カリウム9.
5g(0.17モル)の48%水溶液を1時間かけて滴
下し、反応系中の水(水酸化カリウム水溶液由来の水及
びトリアジンのカリウム塩生成により副生する水)はト
ルエンとの共沸により直ちに系外へ除去し、トルエンの
みを系内へ戻した。この間反応液の温度は107〜11
1℃であった。水酸化カリウム水溶液の滴下終了後、1
11℃で4時間加熱して反応系内の含水率が0.01重
量%以下(カールフィッシャー法による、以下同じ)に
なるまで脱水した。この反応液を15℃まで冷却し、純
度99.9%のヘキサクロロシクロトリホスファゼン5
8.0g(0.50ユニットモル)の35%トルエン溶
液に冷却しながら徐々に滴下した。この溶液を再び加熱
し、111℃で17時間攪拌して反応させた。 これと
は別に還流冷却器を付けたディーンスタークトラップ、
温度計、撹拌機及び滴下ロートを備えた3リットルの4
ツ口フラスコにトリフルオロエタノール125.1g
(1.25モル)及びトルエン1000mlを仕込み、
この溶液を111℃まで昇温した。そこへ水酸化カリウ
ム70.1g(1.25モル)の48%水溶液を3時間
かけて滴下し、反応系中の水(水酸化カリウム水溶液由
来の水及びトリフルオロエタノールのカリウム塩生成に
より副生する水)はトルエンとの共沸により直ちに系外
へ除去し、トルエンのみを系内へ戻した。この間反応液
の温度は105〜111℃であった。水酸化カリウム水
溶液の滴下終了後、111℃で4時間加熱して反応系内
の含水率が0.01重量%以下になるまで脱水し、15
℃まで冷却して、カリウムトリフルオロエトキシド溶液
を調製した。
【0195】このカリウムトリフルオロエトキシド溶液
に、先に調製した前記トリアジン置換ホスファゼン混合
溶液を滴下した。滴下終了後、111〜112℃で24
時間反応した。
【0196】反応終了後、2.5%水酸化ナトリウム水
溶液で2回、2%塩酸水で1回、7%重曹水で1回及び
2%芒硝水で2回洗浄を順次行い、無水硫酸ナトリウム
で乾燥後、濃縮乾固して淡黄色固体を得た。さらにこの
生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トル
エン:酢酸エチル=100:0→20:1→5:1)で
紫外線吸収性基未置換体を分離し、目的物を得た。
【0197】収量146.8g、収率91%1 H−NMR:13.2(s,1H,−OH),8.6
−6.3(m,13H,芳香族H),4.5(s,2
H)ppm31 P−NMR:10−5ppm 分析結果から、主生成物はリン原子にトリフルオロエト
キシ基5個及び下記紫外線吸収性基1個が置換したシク
ロトリホスファゼン(一置換体)であった。更に、リン
原子にトリフルオロエトキシ基4個及び下記紫外線吸収
性基2個が置換したシクロトリホスファゼン(二置換
体)も確認された。
【0198】加水分解性塩素:0.01% UV(CH2Cl2):λmax=338nm MS(FD):m/e=970(M+1,一置換体)、
m/e=1212(M+1,二置換体)
【0199】
【化33】
【0200】実施例8 ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンS−200
0F、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
75部、ABS樹脂(商品名:サンタックUT−61、
三井化学(株)製)25部及びポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE、商品名:フルオンG307、旭硝子
(株)製)0.5部に、実施例1で得られたPZ−1
12.5部を二軸押出機にて混練し、ペレット化した
後、射出成形機にて厚み1/16インチ(約1.6m
m)、幅12.5mm、長さ127mmの本発明の成形
体を製造した。
【0201】実施例9〜14 PZ−1に代えてPZ−2、PZ−3、PZ−4,PZ
−5、PZ−6又はPZ−7を使用する以外は、実施例
8と同様に操作し、本発明の成形体を製造した。
【0202】比較例1 PZ−1に代えてフェノキシホスファゼン系難燃剤
([N=P(OPh)2n =3,4(3量体62%と4量体
38%との混合体、以下「FR−1」と略す。)を使用
する以外は、実施例8と同様に操作し、比較用の成形体
を製造した。
【0203】比較例2〜3 PZ−1に代えて2−[2'−ヒドロキシ−5'−(2−
ヒドロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾ
ール(以下「UVA−1」と略す。比較例2)又は2−
(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ジフェニ
ル−s−トリアジン(以下「UVA−2」と略す。比較
例3)を使用する以外は、実施例8と同様に操作し、比
較用の成形体を製造した。
【0204】試験例1 実施例8〜14及び比較例1〜3で得られた成形体につ
き、UL−94Vの試験法に従って難燃性評価を行った
ところ、実施例8〜14及び比較例1の成形体は「V−
0」であったのに対し、比較例2及び3は「V−2」以
下であった。結果を表1に示す。
【0205】実施例15 ポリカーボネート樹脂(ユー
ピロンS−2000F)70部及び実施例1で得られた
PZ−1 30部を1,1,2,2−テトラクロロエタ
ン500部に溶解し、本発明の樹脂組成物を製造した。 実施例16〜21 PZ−1に代えてPZ−2、PZ−3、PZ−4,PZ
−5、PZ−6又はPZ−7を使用する以外は、実施例
15と同様にして、本発明の樹脂組成物を製造した。
【0206】比較例4 ポリカーボネート樹脂(ユーピ
ロンS−2000F)91部及び2−(2’−ヒドロキ
シ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(以下
「UVA−3」と略す)9部を1,1,2,2−テトラ
クロロエタン500部に溶解し、比較用の樹脂組成物を
製造した。
【0207】比較例5 UVA−3に代えて2−[2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ(tert−ブチル)フェニル]ベンゾトリア
ゾール(以下「UVA−4」と略す)を使用する以外
は、比較例4と同様にして比較用の樹脂組成物を製造し
た。
【0208】試験例2 実施例15〜21及び比較例4〜5で得られた樹脂組成
物を、直径30mmの円形石英板上にスピナーによりコ
ートした。得られた薄膜を1時間風乾後、60℃で12
時間減圧乾燥して、円形石英板上に膜厚約1μmの均一
薄膜を形成した。該薄膜の340nmにおける吸光度
(初期吸光度)を測定した後、これを70℃の温水中に
浸漬し、10時間後及び40時間後の340nmにおけ
る吸光度を測定し、下記の式に従って吸光度保持率
(%)を算出した。結果を表1に示す。
【0209】吸光度保持率(%)=(一定時間後の吸光
度/初期吸光度)×100)
【0210】
【表1】
【0211】従来の添加型紫外線吸収剤を含む比較例4
及び5は、これらの溶出により被膜の吸光度が減少する
のに対し、本発明の新規ホスファゼン化合物は紫外線吸
収性基がホスファゼンに担持され分子量が高くなってい
るため、これを含むポリカーボネート樹脂膜(実施例1
5〜21)は、新規ホスファゼン化合物の流出がなく、
被膜の吸光度がほとんど初期のまま保持されることが分
かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 101/00 C08L 101/00 C09K 3/00 104 C09K 3/00 104A 104B 104C (72)発明者 中野 真司 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚 化学株式会社徳島研究所内 (56)参考文献 特開 平2−209880(JP,A) 特開 平6−135977(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 79/02 - 79/06 C07F 9/6581

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 〔式中、2n個のRは、同一又は異なって、紫外線吸収
    性基、アルキル基又はアリール基を示す。但し、2n個
    のRのうち少なくとも1つは紫外線吸収性基を示すもの
    とする。nは3〜10000の整数を示す。〕で表わさ
    れる基を含む環状又は鎖状ホスファゼン化合物であっ
    て、該紫外線吸収性基が一般式 【化2】 〔式中、8個のR1は、同一又は異なって、水素原子、
    炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ
    基、水酸基、炭素数2〜5のアルキルカルボニル基、ハ
    ロゲン原子、カルボキシル基、炭素数2〜5のアルコキ
    シカルボニル基、ニトロ基又は炭素数1〜4のアルキレ
    ン基を示す。但し、8個のR1のうち少なくとも1つは
    炭素数1〜4のアルキレン基を示すものとする。また、
    ベンゼン環の4位のR1はオキシプロピレン基であって
    はならない。〕で表わされるベンゾトリアゾール系紫外
    線吸収性基、一般式 【化3】 〔式中、9個のR2は、同一又は異なって、水素原子、
    炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ
    基、水酸基、炭素数2〜5のアルキルカルボニル基、ハ
    ロゲン原子、カルボキシル基、炭素数2〜5のアルコキ
    シカルボニル基、ニトロ基又は炭素数1〜4のアルキレ
    ン基を示す。9個のR2のうち少なくとも1つは炭素数
    1〜4のアルキレン基を示すものとする。〕で表わされ
    るベンゾフェノン系紫外線吸収性基及び一般式 【化4】 〔式中、14個のR3は、同一又は異なって、水素原
    子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数7〜15のフ
    ェニルアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素
    数2〜6のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、フェ
    ニル基、単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基を示
    す。但し、14個のR3のうち少なくとも1つは単結合
    又は炭素数1〜6のアルキレン基を示すものとする。〕
    で表わされるトリアジン系紫外線吸収基から選ばれる少
    なくとも1種であることを特徴とするホスファゼン化合
    物。
  2. 【請求項2】 紫外線吸収性基が一般式 【化5】 〔式中、7個のR1aは、同一又は異なって、水素原子、
    炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ
    基、水酸基又はハロゲン原子を示す。aは1又は2を示
    す。〕で表わされるベンゾトリアゾール系紫外線吸収性
    基、一般式 【化6】 〔式中、8個のR2aは、同一又は異なって、水素原子、
    炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ
    基、水酸基又はハロゲン原子を示す。aは1又は2を示
    す。〕で表わされるベンゾフェノン系紫外線吸収性基及
    び一般式 【化7】 〔式中、13個のR3aは、同一又は異なって、水素原
    子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコ
    キシ基、水酸基又はハロゲン原子を示す。bは0、1又
    は2を示す。〕で表わされるトリアジン系紫外線吸収基
    からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1
    に記載のホスファゼン化合物。
  3. 【請求項3】 2n個のRのうちの10〜70%が請求
    項2に記載の紫外線吸収性基である請求項1に記載のホ
    スファゼン化合物。
  4. 【請求項4】 合成樹脂に請求項1〜請求項3のいずれ
    かに記載のホスファゼン化合物を配合してなる樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の樹脂組成物を成形して
    なる成形体。
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