JP3454477B2 - 感圧接着剤組成物、それを用いた情報担持用シート及び隠蔽情報担持シート - Google Patents

感圧接着剤組成物、それを用いた情報担持用シート及び隠蔽情報担持シート

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、新規な情報担持機能と一時接着用機能とを
同時に付与しうる感圧接着剤組成物、それを用いた情報
担持用シート及び隠蔽情報担持シート、さらに詳しく
は、情報担持面及び剥離可能な一時接着面を構成するの
に好適な一時接着用感圧接着剤組成物及びそれを用いた
折り畳みカード、重ね合わせカード、情報隠ぺいシート
などの親展性をもつハガキやカード等の情報担持用シー
ト及び隠蔽情報担持シートに関するものである。
従来の技術 近年、郵便法の改正に伴い、親展性をもつハガキシス
テムが実用化され、普及しはじめている。この親展性を
もつハガキシステムは、例えば個人的用件、あるいはプ
リント情報、印刷情報などの各種情報が記載されたハガ
キを折り畳み、重ね合わせ部分を2枚の透明フィルムを
疑似接着した積層体を介して接着して、該情報を隠ぺい
したのち、郵送し、受取人が重ね合わせ接着部分を再び
剥離して隠ぺい情報を読み取るシステムである。
このような親展性をもつハガキシステムは、一般に三
ツ折りハガキ、二ツ折りハガキ及び一部を折り畳むタイ
プのハガキに適用されている。第1図、第2図、第3図
及び第4図は、それぞれ該システムを三ツ折りハガキ、
通常のハガキ及び一部折り畳みタイプのハガキ、重ね合
わせタイプのハガキに適用した場合の1例を示す説明図
であって、第1図に示す三ツ折りハガキの場合は、第5
図に示すように、まず、裏面に接着層2が設けられた部
分を点線部3にそって折り、4に重ね合わせたのち、表
面に接着層1が設けられた部分を点線部3′に沿って折
り、該接着層1に重ね合わせて接着させるものであり、
また、第2図に示す通常のハガキ及び第3図の一部折り
畳みタイプのハガキの場合には、第6図及び第7図に示
すように、片面に接着層1が設けられた部分を点線部
3′に沿って折り、接着層面を重ね合わせて接着するも
のである。また、第4図のタイプの場合は、重ね合わせ
面に接着層1,2を設け、この面を重ね合わせて接着する
ものである。
このようなシステムにおいては、発信人が通信欄に情
報を記入したのち、情報面をいったん接着しこれを隠ぺ
いし、受取人が受領後再び接着面を剥離しなければなら
ないため、剥離可能な接着を行うことが必要である。
これまで、このような機能をもつ接着方式としては、
中間で剥離可能な2枚の透明フイルムの積層体の片面に
接着剤層を設け、剥離紙でこの接着剤層を被覆したもの
を隠ぺい用蓋体部分に貼着し、通信欄に所要の情報を記
入後、剥離紙を除いて通信欄上に重ね、貼着し、受信者
がこれを受領後、2枚の透明フイルムの中間で剥離し、
情報を読み取る方式のものが知られている。しかしなが
ら、このような方式のものは、接着用のフイルム積層体
がコスト高になるのを免れない上に、使用に際して、剥
離紙を除かなければならないという不便さがある。
他方、貯蔵、輸送時のブロッキングを防止するため
に、特定の接着剤に熱可塑性のない微小硬質物質を配合
した感圧接着剤を塗布したハガキ用、封筒用帳票等も提
案されているが、これは接着剤層表面へ印刷を行った場
合のブロッキング防止は十分ではなく、また加圧装置の
圧力によってはいったん接着したのちに、その接着部を
剥離することが容易にできないため、接着状態で用いる
か、部分的な接着を行い、それ以外の部分にミシン目等
を施して切り開く方法で用いられており、前記したハガ
キシステムに利用するには十分とはいえなかった。
発明が解決しようとする課題 本発明は、このような従来の隠ぺい用シートなどの親
展性をもつハガキシステム及び折り畳みシート、重ね合
わせシート等における接着層が有する欠点を克服し、在
庫時にブロッキングを生じることがなく、シート等の基
材に塗工した場合、乾燥、硬化状態等の通常の状態では
接着することなく、所定の接着条件下すなわち押圧下で
は接着剤組成物同士の接着により優れた接着性と剥離性
を示す一時接着機能及び情報担持機能をもつ接着剤組成
物とそれを用いた情報担持用シート及び隠蔽情報担持シ
ートを提供することを目的としてなされたものである。
課題を解決するための手段 本発明者は、一時接着用材料について種々研究を重ね
た結果、従来普通に用いられている感圧接着剤基剤に、
それに対し情報担持機能及び一時的接着機能の両方を同
時に付与しうるように調整された非親和性の充てん剤を
配合することにより、その上に簡単に情報を担持させる
ことができる上に、在庫時にブロッキングを生じること
がなく、接着時には容易に接着ができ、必要時には容易
に剥離しうる接着剤が得られることを見出し、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、感圧接着剤基剤に、この基剤に
対して非親和性の充てん剤であって、情報担持機能及び
一時的接着機能の両方を同時に付与しうるように調整さ
れた充てん剤を含ませることにより、シートの重ね合わ
せ面となる両面に塗布した場合に、塗布層表面が直接情
報担持機能を有すると共に、塗布層表面同士が、500g/c
m2、50℃にて30分間の加圧では接着せずに、50Kg/cm2
上の所定の加圧で剥離可能に直接一時接着する機能を有
する感圧接着剤層を形成しうる感圧接着剤組成物、この
感圧接着剤組成物を重ね合わせ面に塗布して、塗布層表
面が直接情報担持機能を有するとともに、塗布層表面同
士が、500g/cm2、50℃にて30分間の加圧では接着せず
に、50Kg/cm2以上の所定の加圧で剥離可能に直接一時接
着する機能を有する感圧接着層を形成させたことを特徴
とする情報担持用シート及びこの情報担持用シートの重
ね合わせ面に直接所要の情報を印字又は印刷したのち、
塗布層表面同士を一時的に接着した隠蔽情報担持シート
を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明組成物に用いる接着剤基剤としては、非剥離性
感圧接着剤基剤が用いられる。これは、通常の感圧接着
剤として用いられているもので、本来いったん接着した
ならば、再び剥離しない形式のものである。
この非剥離性感圧接着剤基剤は、シートに塗布した場
合、単にシート同士を接触した状態では接着しないが、
加圧により接着する性質を有するものである。本発明の
接着剤組成物の主剤としては、従来の感圧接着剤として
慣用されているものの基剤の中から任意に選択して用い
ることができるが、特に、天然ゴムにスチレンとメタク
リル酸メチルとをグラフト共重合させて得られた天然ゴ
ムラテックスが、耐ブロッキング性、耐熱性、耐摩耗性
などの点で好適である。
次に、本発明組成物に用いる、上記感圧接着剤基剤に
対し非親和性の微粒状充てん剤は、上記感圧接着剤基剤
を構成する各成分によって溶解ないし膨潤されないもの
を意味し、このようなものとしては、例えば酸化亜鉛、
酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、活性白土、球
状アルミナ、小麦デンプン、シリカ、ガラス粉末、シラ
スバルーンなどが用いられる。本発明においては、これ
らの微粒状充てん剤の2種以上を組み合わせて用いるこ
とが必要であり、特にシリカと他の充てん剤との組合せ
が好適である。また、この2種以上の微粒状充てん剤と
しては、粒径の異なるものを選ぶのが好ましく、このよ
うに粒径の異なる2種以上を組み合わせて用いることに
より接着剤層の表面を凹凸状に形成し、剥離性能を向上
させることができる。該シリカを添加することにより、
接着剤の塗膜を強化しうるとともに、シリカは多孔質で
あるため、接着剤が表面に付着しやすく、接着力や剥離
力を調整しやすい上、シリコーンオイルを用いているプ
リンタにより、ノンインパクトプリンタ方式で印字した
場合でも、シリカがシリコーンオイルを吸収するので、
接着剤層がシリコーンオイルにより接着しなくなること
もない。これらの微粒状充てん剤は、平均粒子径が10m
μm〜30μm、好ましくは1〜20μmの範囲にあるもの
が好適である。
前記微粒状充てん剤は、感圧接着剤基剤の1〜4重量
倍の割合すなわち感圧接着剤基剤100重量部に対し、100
〜400重量部、好ましくは130〜300重量部、より好まし
くは150〜250重量部の割合で配合される。
微粒状充てん剤の配合量が前記範囲より少ないと耐ブ
ロッキング性に劣り、かつ接着力が強すぎるし、前記範
囲を超えると接着力が低くなりすぎる傾向がみられ、好
ましくない。
本発明の接着剤組成物は、前記第1図ないし第7図に
示すような三ツ折りハガキ、二ツ折りハガキ及び未重ね
合わせ部を有する一部折り畳みタイプ、重ね合わせタイ
プのハガキなどの親展性をもつハガキシステムのほか、
くじ用、学習教材等における接着層の材料として好適に
用いられる。
発明の効果 各種シートの接着においては親展性をもつハガキシス
テムにおける接着層に本発明の接着剤組成物を用いるこ
とにより、在庫中にブロッキングを生じることがなく、
接着剤組成物塗布層の表面が直接情報担持面の機能をも
つので、情報を容易に担持でき、ノンインパクトプリン
タ方式の採用も可能である上、その表面同士が500g/c
m2、50℃にて30分間の加圧では、耐ブロッキング性に優
れているので接着せず、プリント前後の表面同士の重ね
合わせ状態での在庫、保管および隠蔽情報担持シートで
の使用において、印字又は印刷された情報が重ね合わせ
面の相手面に接着して破壊されるようなことはない。加
えて、塗布面表面同士が直接接着し、かつ剥離可能な一
時接着面としての機能をもつので、別途剥離手段を用い
ることもなく、また、50Kg/cm2以上の所定の圧力であれ
ば、加圧装置の圧力を剥離可能にいちいち設定する必要
もなく、塗布層表面同士の剥離可能な接着が容易に行え
るものであり、従来の粘着性フィルムを貼付するのに比
べて、製造コストが大幅に低下する。
また、一部を未重ね合わせ面として構成することによ
り、重ね合わせ部分と未重ね合わせ部分との境に段差が
生じるので、この部分を剥離時の指掛り部として剥離を
容易に行うことができるとともに、未重ね合わせ面に隠
蔽しない表出する情報を印字又は印刷しておくことによ
って、他のシートとの識別を容易に行える等、大変有益
である。
実施例 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの例によってなんら限定されるもの
ではない。
なお、接着力、耐ブロッキング性及び耐熱耐摩耗性は
次のようにして求めた。
(1)接着力1 テストサンプルを180℃で、2秒間加熱したのち、ド
ライシーラーの圧力を50kg/cm2に調整して加圧接着した
のち、剥離強度を測定した。
(2)接着力2 テストサンプルを180℃で、2秒間加熱したのち、RI
テスターにて、シリコーンオイルを0.5g/m2塗布し、ド
ライシーラーの圧力を100kg/cm2に調整して加圧接着し
たのち、剥離強度を測定した。
(3)耐ブロッキング性 テストサンプルの接着剤面同士を合わせ、500g/cm2
圧力を加え、50℃にて30分間放置後、剥離強度を測定し
た。
(4)耐熱耐摩耗性 150℃の温度で200〜500g/cm2の荷重をかけながら、接
着剤表面を金属で摩耗し、その消耗度を調べた。
なお、前記剥離強度の測定には島津製作所社製の引張
試験機オートグラフAGS 50型を使用した。また、各物
性は、次の記号に従って評価した。
◎:優、○:良、△:可、×:不可 実施例1 天然ゴム100重量部に対し、スチレン2重量部とメタ
クリル酸メチル(MMA)10重量部とをグラフト共重合さ
せて得られた天然ゴムラテックスに、粘着付与剤として
のテンペル樹脂5重量部を添加してベース接着剤を調製
した。次いで、このベース接着剤100重量部に対し、平
均粒径4μmのシリカゲル50重量部及び平均粒径15μm
の小麦デンプン150重量部を添加して感圧接着剤組成物
を調製した。
次に、この接着剤組成物を、ワイヤーバーを使用して
70kgの上質紙にコート量が5g/m2(固形分換算)になる
ようにコーティングしたのち、100℃で1分間乾燥して
テストサンプルを作成し、各物性を求めた。その結果を
第1表に示す。
実施例2 実施例1における小麦デンプン量を250重量部に変え
た以外は、実施例1と同様にして実施した。その結果を
第1表に示す。
実施例3 実施例1におけるシリカの量を100重量部、小麦デン
プンの量を200重量部に変えた以外は、実施例1と同様
にして実施した。その結果を第1表に示す。
実施例4 実施例1におけるスチレン量を8重量部及びMMAを16
重量部に変えた以外は、実施例1と同様にして実施し
た。その結果を第1表に示す。
実施例5 実施例4における小麦デンプン量を250重量部に変え
た以外は、実施例4と同様にして実施した。その結果を
第1表に示す。
実施例6 実施例4におけるシリカの量を100重量部及び小麦デ
ンプンの量を200重量部に変えた以外は、実施例4と同
様にして実施した。その結果を第1表に示す。
比較例1 実施例1におけるシリカの量を30重量部及び小麦デン
プンの量を60重量部に変えた以外は、実施例1と同様に
して実施した。その結果を第1表に示す。
比較例2 実施例1におけるシリカの量を60重量部及び小麦デン
プンの量を30重量部に変えた以外は、実施例1と同様に
して実施した。その結果を第1表に示す。
比較例3 実施例1におけるシリカの量を200重量部及び小麦デ
ンプンの量を250重量部に変えた以外は、実施例1と同
様にして実施した。その結果を第1表に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は、それぞれ親展性をもつハガキシ
ステムの異なった態様の例を示す説明図、第5図ないし
第7図は第1図ないし第3図の折り畳み状態説明図であ
って、図中符号1は表面接着層、2は裏面接着層、3,
3′は折り線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09J 201/00 C09J 11/00 - 11/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】感圧接着剤基剤に、この基剤に対して非親
    和性の充てん剤であって、情報担持機能及び一時的接着
    機能の両方を同時に付与しうるように調整された充てん
    剤を含ませることにより、シートの重ね合わせ面となる
    両面に塗布した場合に、塗布層表面が直接情報担持機能
    を有すると共に、塗布層表面同士が、500g/cm2、50℃に
    て30分間の加圧では接着せずに、50Kg/cm2以上の所定の
    加圧で剥離可能に直接一時接着する機能を有する感圧接
    着剤層を形成しうる感圧接着剤組成物。
  2. 【請求項2】感圧接着剤基剤に、この基剤に対して非親
    和性の充てん剤であって、情報担持機能及び一時的接着
    機能の両方を同時に付与しうるように調整された充てん
    剤を含ませた感圧接着剤組成物をシートの重ね合わせ面
    となる両面に塗布して、塗布層表面が直接情報担持機能
    を有すると共に、塗布層表面同士が、500g/cm2、50℃に
    て30分間の加圧では接着せずに、50Kg/cm2以上の所定の
    加圧で剥離可能に直接一時接着する機能を有する感圧接
    着剤層を形成させたことを特徴とする情報担持用シー
    ト。
  3. 【請求項3】感圧接着剤基剤に、この基剤に対して非親
    和性の充てん剤であって、情報担持機能及び一時的接着
    機能の両方を同時に付与しうるように調整された充てん
    剤を含ませた感圧接着剤組成物をシートの重ね合わせ面
    となる両面に塗布して、塗布層表面が直接情報担持機能
    を有すると共に、塗布層表面同士が、500g/cm2、50℃に
    て30分間の加圧では接着せずに、50Kg/cm2以上の所定の
    加圧で剥離可能に直接一時接着する機能を有する感圧接
    着剤層を形成し、その表面に直接所要の情報を印字又は
    印刷したのち、重ね合わせ面同士を接着し、かつ該重ね
    合わせ面の一方の延設面を未重ね合わせ面としたことを
    特徴とする隠蔽情報担持シート。
  4. 【請求項4】重ね合わせ面の一方の延設面の未重ね合わ
    せ面に情報が印字又は印刷された請求項3記載の隠蔽情
    報担持シート。
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