JP3453953B2 - オキシチタニウムフタロシアニンの製造方法およびそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

オキシチタニウムフタロシアニンの製造方法およびそれを用いた電子写真感光体

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JP3453953B2 JP26138095A JP26138095A JP3453953B2 JP 3453953 B2 JP3453953 B2 JP 3453953B2 JP 26138095 A JP26138095 A JP 26138095A JP 26138095 A JP26138095 A JP 26138095A JP 3453953 B2 JP3453953 B2 JP 3453953B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオキシチタニウムフ
タロシアニン(以下、「TiOPc」と略記する)の製
造方法およびこのTiOPcを用いた電子写真感光体に
関するものである。
【従来の技術】
【0002】フタロシアニン化合物は良好な光導電性を
有することが見いだされて以来、光電変換材料、例えば
電子写真感光体、太陽電池、センサーとして多くの研究
が成されている。また、近年、従来の白色光のかわりに
レーザー光を光源とし、高速化、高画質化、ノンインパ
クト化をメリットとしたレーザービームプリンターの開
発研究が盛んに行われている。特に最近の半導体レーザ
ーの発展は著しく、小型で安定したレーザー発振器の低
価格化が可能となり、電子写真用光源として用いられつ
つある。このような半導体レーザー光源の波長は800
nm前後であることから800nm前後の長波長域に対
し高い感度を有する感光体が強く望まれている。この要
求を満たす有機系光導電材料としては、スクアリック
酸、メチン系色素、シアニン系色素、ピリリウム系色
素、チアピリリウム系色素、ポリアゾ系色素、フタロシ
アニン系色素等が知られている。これらのうち、スクア
リック酸、メチン系色素、シアニン系色素、ピリリウム
系色素、チアピリリウム系色素は分光感度の長波長化が
比較的容易であるが繰り返し使用するような実用上の安
定性に欠けており、ポリアゾ系色素は、吸収の長波長化
が困難であり、かつ製造上難点がある。一方、フタロシ
アニン系色素は、600nm以上の波長域に吸収ピーク
を有し、さらに他の色素より比較的長波長域まで吸収波
長が伸びているものが多いことから長波長光源用電荷発
生剤として期待され広く検討されてきた。
【0003】フタロシアニン類は、中心金属の種類によ
り吸収スペクトルや光導電性が異なるだけでなく、結晶
型によってもこれらの物性には差があり同じ中心金属を
持つフタロシアニンでも、特定の結晶型が電子写真感光
体に選択されている例がいくつか報告されている。例え
ばTiOPcには種々の結晶型が存在し、その結晶型の
違いにより帯電性、暗減衰、感度等に大きな差があるこ
とが報告されている。特開昭59−49544号公報で
は、TiOPcの結晶型としては、ブラッグ角(2θ±
0.2°)=9.2°、13.1°、20.7°、2
6.2°、27.1°に強いX線回折ピークを与えるも
のが好適であると記載されている。また特開昭59−1
66959号公報では、TiOPcの蒸着膜をテトラヒ
ドロフランの飽和蒸気中に1〜24時間放置し、結晶型
を変化させて、電荷発生層としている。X線回折スペク
トルは、ピークの数が少なく、かつ幅が広く、ブラッグ
角(2θ±0.2°)=7.5°、12.6°、13.
0°、25.4°、26.2°、28.6°に強い回折
ピークを示すことが示されている。
【0004】本発明者らは、TiOPcの製造方法につ
いて種々検討した結果、X線回折スペクトルにおいて、
ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°、10.6°、
13.2°、15.2°、20.8°、26.3°に主
たる回折ピークを有するTiOPc(以下、「β型Ti
OPc」と略記する)および7.6°、10.2°、2
2.3°、25.3°、28.6°に主たる回折ピーク
を有するTiOPc(以下、「α型TiOPc」と略記
する)、さらには、7.0°、15.6°、23.4
°、25.6°に主たる回折ピークを有するTiOPc
の結晶型の存在を確認し、それらの製造方法を考案した
(特開昭62−256865号公報、特開昭62−25
6867号公報、特開昭63−366号公報参照)。
【0005】上記製造方法は、オルトフタロジニトリル
と四塩化チタンを反応させる際の昇温速度、反応後の濾
過温度等を微妙に制御する必要があり、ややもすると生
成物中に2種の結晶型が混在する傾向があった。また、
特開昭61−217050号公報によれば、ジクロロチ
タニウムフタロシアニン(以下、「TiCl2 Pc」と
略記する)を濃アンモニア水と共に加熱したのち、アセ
トン洗浄してTiOPcを得ているが、操作が煩雑で結
晶型もα型とβ型の混合物になり易い欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来法では下
記式(1)、(2)の様に、オルトフタロジニトリルと
四塩化チタン、三塩化チタンとの縮合反応で生成するT
iCl2 Pcを水、アンモニア水等で加水分解すること
によってTiOPcを得ているが前述の欠点のみなら
ず、操作が煩雑でTiCl2 Pcの次式における
【0007】
【化1】
【0008】加水分解に長時間を要すること、得られる
TiOPcの結晶化度が低く非晶性であったり、種々の
結晶型の混合物であるため、電子写真感光体に供するに
必要な結晶型を得るため、さらに2−エトキシエタノー
ル、ジグライム、ジオキサン、テトラヒドロフラン、
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリド
ン、ピリジン、モルホリン等の有機溶媒処理により結晶
化や結晶変換を必要とする等の問題点を内包している。
【0009】また、加水分解以外の方法として、特開平
3−50270号公報には、TiCl2 Pcまたはジブ
ロモチタニウムフタロシアニン(以下、「TiBr2
c」と略記する)を特定の有機溶媒と接触させることに
より、特定の結晶型を有するTiOPcを選択的に製造
できるとしているが、このTiOPcを電子写真感光体
に適用した場合、感度、帯電性、暗減衰、耐久性すなわ
ち繰り返し使用による電位の安定性等の点で十分でなか
った。
【0010】本発明は、前述の様な製造上の問題点を解
決したβ型TiOPcの製造方法を提供することを主た
る目的とする。また、本発明のもう一つの目的は、80
0nm前後の長波長域に高い感度を有し、繰り返し使用
による電位の安定性のより優れた電子写真感光体を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の様
な製造上の問題点を解決し、優れた特性を有する電子写
真感光体を提供すべく鋭意検討した結果、TiCl2
c、TiBr2 Pc等のジハロゲノチタニウムフタロシ
アニン(以下、「TiX2 Pc」と略記する)から、従
来知られている加水分解以外の方法でβ型TiOPcを
極めて容易に得る方法を見いだし、本発明に到達した。
【0012】即ち、本発明の要旨は、TiX2 Pcを脱
酸剤の存在下、N−アルキルラクタム類と水を含む混合
溶媒と接触させることを特徴とするβ型TiOPcの製
造方法に存する。しかして、この構成により、極めて容
易にβ型TiOPcを製造することができる。また、従
来法に認められた他の結晶型のTiOPcは混在せず、
結晶化度も十分に高いのでそのまま実用に供し得るもの
であるが、必要に応じて水、メタノール、アセトン、N
−メチルピロリドン、ジメジルスルホキシド、N,N−
ジメチルホルムアミド等の溶媒で精製することも可能で
ある。さらに、導電性支持体上に感光層を有する電子写
真感光体において、感光層に上述の様にして得られたβ
型TiOPcを含有することによって、800nm前後
の長波長域に高い感度を有し、耐久性の優れた電子写真
感光体を提供するという目的も達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で目的とするβ型TiOPcは、そのCu−Kα
線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角
(2θ±0.2°)9.3°、10.6°、13.2
°、15.2°、20.8°、26.3°に通常、主た
る回折ピークを示しているが、その他結晶学的にこれと
同じ結晶型も含む。前記β型TiOPcの構造式は、下
記一般式[1]によって表される。
【0014】
【化2】
【0015】(式中、Xはハロゲン原子を表し、nは0
から1までの数を表す。)
【0016】本発明に係るβ型TiOPcの製造方法を
具体的例を挙げて記載する。原料とするTiX2 Pcの
合成法は限定されないが、通常、オルトフタロジニトリ
ルとチタン化合物から合成できる。即ち、オルトフタロ
ジニトリルとチタンのハロゲン化物を、不活性溶剤中で
加熱し、反応させる。
【0017】チタン化合物としては、四塩化チタン、三
塩化チタン、四臭化チタンなどを用いることができる
が、四塩化チタンがコストの面で好ましい。不活性溶剤
としては、トリクロロベンゼン、α−クロロナフタレ
ン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレン、メ
トキシナフタレン、ジフェニルエーテル、ジフェニルメ
タン、ジフェニルエタン、エチレングリコールジアルキ
ルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテ
ル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル等の反
応に不活性な高沸点有機溶剤が好ましい。
【0018】反応温度は通常150〜300℃、特に1
80〜250℃が好ましい。反応後、生成したTiX2
Pcを通常、濾別し、反応に用いた溶剤で洗浄し、反応
時に生成した不純物や、未反応の成分を除く。次に通
常、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール
等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエー
テル等のエーテル類等の不活性溶剤で洗浄し反応に用い
た溶剤を除去する。
【0019】得られたTiX2 Pcを脱酸剤の存在下、
N−アルキルラクタム類と水を含む混合溶媒と接触させ
ることによりβ型TiOPcが得られる。脱酸剤として
は、塩基性化合物であればいずれの化合物でも使用する
ことができ、たとえば、γ−ピコリン、トリエチルアミ
ン、NaOH、KOH、Na2 CO3 、CH3 COON
a、アンモニア等が挙げられる。また、これら脱酸剤の
量は、TiX2 Pc1モルに対して、通常0.1から1
5モル、特に1から8モルが好ましい。
【0020】N−アルキルラクタム類としては、N−メ
チルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ン等が挙げられる。また、これらN−アルキルラクタム
類と水との混合比率(体積比)は、N−アルキルラクタ
ム類に対して水が1〜50%が好ましく、特に1〜30
%の範囲が好ましい。混合溶媒は、実質的にN−アルキ
ルラクタム類と水のみから構成することが好ましいが、
N−アルキルラクタム類と水を主体とする限り、他の溶
媒が混合していてもよい。
【0021】TiX2 Pcと混合溶媒を接触させる時の
温度は任意に選択できるが、50〜200℃が好まし
く、特に90〜150℃が好ましい。また、TiX2
cと混合溶媒との接触時間は、脱酸剤の種類と添加量、
有機溶媒の種類と水との混合比率及び接触温度によって
決まるが、90〜150℃の場合、通常、1〜3時間が
効果的である。
【0022】TiX2 Pcと混合溶媒の使用比に特に制
限は無いが、接触効率、操作性等を考慮すれば重量比で
1:5〜100の範囲が好ましい。混合溶媒の使用量が
低すぎると接触効率が悪くなり、TiOPcの生産速度
が低下する。脱酸剤存在下でのTiX2 Pcと混合溶媒
の接触方法にも特に制限は無いが、攪拌槽で両者を接触
混合する方法が好適である。また、TiX2 Pcを充填
したカラムに脱酸剤を添加した混合溶媒を流通させる方
法も採用できるが、要するに脱酸剤存在下で両者を接触
させる方法であればよい。
【0023】このようにして得られるβ型TiOPc
は、従来法に認められる他の結晶型のTiOPcは混在
せず、結晶化度も十分に高いのでそのまま実用に供し得
るものであるが、必要に応じて水、メタノール、アセト
ン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、
N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒で精製すること
も可能である。
【0024】前記TiOPc結晶は、例えば光導電体と
しての機能に優れており、電子写真感光体、太陽電池、
センサー、スイッチング素子等の電子材料などに適用す
ることができる。以下、本発明のTiOPc結晶を導電
性支持体上に感光層を有する電子写真感光体における感
光層中に電荷発生剤として適用する場合の例を説明す
る。
【0025】本発明のTiOPc結晶を分散媒中で分散
処理し、最終的に結着樹脂と混合された状態で感光層を
塗布するための塗布液として調整する。分散媒として
は、種々の溶媒を用いて良い。例えば、ジエチルエーテ
ル、ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、1,2−
ジメトキシエタン等のエーテル類;アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等の
エステル類;メタノール、エタノール、プロパノール等
のアルコール類を単独あるいは2種以上混合して使用す
ることができる。
【0026】結着樹脂としてはポリビニルブチラール、
ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリスチレン、ポリエステルカーボネート、ポリス
ルホン、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ
塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、フェ
ノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等またはこれらの部
分的架橋硬化物等を単独あるいは2種以上用いることが
できる。
【0027】TiOPc結晶を分散処理する方法として
は、公知の方法例えばボールミル、サンドグラインドミ
ル、遊星ミル、ロールミル等の方法を用いることができ
る。結着樹脂とTiOPc粒子との混合方法としては例
えば、TiOPc粒子を分散処理中に結着樹脂を粉末の
ままあるいはそのポリマー溶液を加え同時に分散する方
法、分散液を結着樹脂のポリマー溶液中に混合する方
法、あるいは逆に分散液中にポリマー溶液を混合する方
法等のいずれの方法を用いてもかまわない。
【0028】次にここで得られた分散液は、塗布をする
のに適した液物性にするために、種々の溶剤を用いて希
釈してもかまわない。この溶剤としては、例えば前記分
散媒として例示した溶媒を使用することができる。Ti
OPcと結着樹脂との割合は特に制限はないが一般的に
は樹脂100重量部に対してTiOPcが5〜500重
量部の範囲より使用される。また、この分散液におい
て、TiOPcの濃度は、0.1重量%から10重量%
の範囲で使用されることが好ましい。
【0029】また必要に応じて電荷移動剤や、他の電荷
発生剤を含むことができる。電荷移動剤としては例え
ば、2,4,7−トリニトロフルオレノン、テトラシア
ノキシジメタン等の電子吸引性物質、カルバゾール、イ
ンドール、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾ
ール、ピラゾリン、チアゾールなどの複素環化合物、ア
ニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導
体、スチルベン誘導体、あるいはこれらの化合物からな
る基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体等の電子供与性
物質が挙げられる。電荷発生剤としては、一般に電子写
真感光体に使用されるものであればさしつかえなく、例
えば、ビスアゾ化合物、トリスアゾ化合物、ペリレン化
合物、ペリノン化合物、多環キノン化合物、アントラキ
ノン化合物、キナクリドン化合物、スクアリック酸、メ
チン系色素、シアニン系色素、ピリリウム系色素、チア
ピリリウム系色素、ポリアゾ系色素、本発明以外の他の
フタロシアニン系色素等が挙げられる。電荷移動剤およ
び電荷発生剤と結着樹脂の割合は、結着樹脂100重量
部に対して電荷移動剤および電荷発生剤が5〜500重
量部の範囲より使用される。
【0030】この様にして調整された分散液を用いて、
(1)導電性支持体上に電荷発生層を形成させ、その上
に電荷移動層を積層させて感光層を形成する、或いは、
(2)導電性支持体上に電荷移動層を形成しその上に前
記分散液を用いて電荷発生層を形成し感光層を形成す
る、或いは、(3)導電性支持体上に前記分散液を用い
て電荷発生層を形成させ感光層とする、のいずれかの構
造で感光層を形成することができる。電荷発生層の膜厚
は電荷移動層と積層させて感光層を形成する場合0.1
μm〜10μmの範囲が好適であり、電荷移動層の膜厚
は5μm〜60μmが好適である。電荷発生層のみの単
独構造で感光層を形成する場合の電荷発生層の膜厚は5
μm〜60μmの範囲が好適である。
【0031】電荷移動層を設ける場合、そこに使用され
る電荷移動剤としては、前記電荷移動剤として例示した
材料を使用することができる。これら電荷移動剤ととも
に必要に応じて結着樹脂が配合される。結着樹脂として
は、例えば前記結着樹脂として例示したものを使用する
ことができる。感光層には、必要に応じて酸化防止剤、
増感剤等の各種添加剤を含んでいても良い。
【0032】さらにこれらの感光層を外部の衝撃から保
護するために感光層表面に薄い保護層を設けてもよい。
感光層を設ける導電性支持体としては、アルミニウム、
ステンレス鋼、ニッケル等の金属材料、表面にアルミニ
ウム、銅、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム等の
導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙、ガラス等
の絶縁性支持体が使用される。
【0033】導電性支持体と感光層の間には通常使用さ
れるような公知のバリアー層が設けられていても良い。
バリアー層としては、例えばアルミニウム陽極酸化被
膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機
層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロ
リドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デ
ンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、等の
有機層が使用される。バリアー層の膜厚は0.1μmか
ら20μmの範囲が好ましく、0.1μmから10μm
の範囲で使用されるのが最も効果的である。
【0034】これらの感光層、保護層およびバリアー層
の塗布方法としては、ディッピング法、スプレーコーテ
ィング法、スピンナーコーティング法、ブレードコーテ
ィング法等公知の方法を用いることができる。このよう
な電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LE
Dプリンター、CRTプリンターなどのプリンターのみ
ならず、通常の電子写真機やその他の電子写真応用分野
に広く適用することができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を製造例及び実施例により、よ
り詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限
り以下の実施例によって限定されるものではない。Ti
Cl2 Pcの製造例温度計、攪拌器、還流冷却器を備え
た1L反応フラスコに、オルトフタロジニトリル92.
0gとα−クロロナフタレン600mlを仕込み、攪拌
下四塩化チタン20mlを滴下した。滴下後昇温し、2
00〜220℃で5時間反応させた後放冷し、130℃
で熱濾過し、120℃に加熱したα−クロロナフタレン
400ml、続いてメタノール200mlで洗浄乾燥し
てTiCl2 Pcの青色粉末61.3gを得た。得られ
たTiCl2 Pcの元素分析値は下記第1表の通りであ
った。
【0036】
【表1】
【0037】実施例1 温度計、攪拌器、還流冷却器を備えた200ml反応フ
ラスコに、TiCl2Pc10.0g(0.01584
mol)と、脱酸剤としてγ−ピコリン2.95g
(0.03168mol)、N−メチルピロリドン98
に対して水2を混合した混合溶媒100ml(N−メチ
ルピロリドン98ml、水2ml)を仕込み、135℃
(還流状態)に昇温して3時間攪拌した後、100℃に
冷却して濾過し、得られたケーキをメタノールで洗浄後
乾燥してβ型TiOPc青色粉末5.8gを得た。この
様にして得られたβ型TiOPcのX線回折スペクトル
を図1に示す。
【0038】実施例2 脱酸剤としてγ−ピコリンに代えて、NaOH1.27
g(0.03168mol)、N−メチルピロリドンと
水の混合比率を、N−メチルピロリドン98に対して水
2に代えて、N−メチルピロリドン90に対して水10
とした以外は実施例1と同様に実験をした。この様にし
て得られたβ型TiOPcのX線回折スペクトルを図2
に示す。
【0039】実施例3 脱酸剤としてγ−ピコリンに代えて、Na2 CO3 1.
68g(0.01584mol)、N−メチルピロリド
ンと水の混合比率を、N−メチルピロリドン98に対し
て水2に代えて、N−メチルピロリドン90に対して水
10とした以外は実施例1と同様に実験をした。この様
にして得られたβ型TiOPcのX線回折スペクトルを
図3に示す。
【0040】実施例4 脱酸剤としてγ−ピコリンに代えて、28%アンモニア
水5.79g(アンモニア:0.09504mol)、
N−メチルピロリドンと水の混合比率を、N−メチルピ
ロリドン98に対して水2に代えて、N−メチルピロリ
ドン90に対して水10とした以外は実施例1と同様に
実験をした。この様にして得られたβ型TiOPcのX
線回折スペクトルを図4に示す。
【0041】比較例1 脱酸剤としてγ−ピコリンを加えない以外は製造例1と
同様に実験をした。この様にして得られたβ型TiOP
cのX線回折スペクトルを図5に示す。 比較例2 脱酸剤としてγ−ピコリンを加えず、N−メチルピロリ
ドンと水の混合比率を、N−メチルピロリドン98に対
して水2に代えて、N−メチルピロリドン90に対して
水10とした以外は製造例1と同様に実験をした。この
様にして得られたβ型TiOPcのX線回折スペクトル
を図6に示す。
【0042】実施例5 実施例1で製造したβ型TiOPc10重量部を4−メ
トキシ−4−メチルペンタノン−2 200重量部と共
に、サンドグラインドミルで6時間粉砕、微粒化分散処
理を行った。次に、ポリビニルブチラール(電気化学工
業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)5
重量部の10%4−メトキシ−4−メチルペンタノン−
2溶液と混合して分散液を調整した。この分散液をポリ
エステルフィルム上に蒸着したアルミニウム蒸着面の上
にバーコータにより乾燥後の膜厚が0.4μmとなるよ
うに電荷発生層を設けた。次に、この電荷発生層の上
に、下に示すヒドラゾン化合物56重量部と
【0043】
【化3】
【0044】下に示すヒドラゾン化合物14重量部、
【0045】
【化4】
【0046】及び下記のシアノ化合物1.5重量部
【0047】
【化5】
【0048】及びポリカーボネート樹脂(三菱化学
(株)製、商品名ノバレックス(商標)7030A)1
00重量部を1,4−ジオキサン1000重量部に溶解
させた液をフィルムアプリケータにより塗布し、乾燥後
の膜厚が17μmとなるように電荷移動層を設けた。こ
の様にして得られた感光体を感光体Aとする。
【0049】実施例6 実施例5において用いたβ型TiOPcに代えて、実施
例2で製造したβ型TiOPcを用いた他は、実施例5
と同様にして感光体を作成した。この様にして得られた
感光体を感光体Bとする。 実施例7 実施例5において用いたβ型TiOPcに代えて、実施
例3で製造したβ型TiOPcを用いた他は、実施例5
と同様にして感光体を作成した。この様にして得られた
感光体を感光体Cとする。
【0050】実施例8 実施例5において用いたβ型TiOPcに代えて、実施
例4で製造したβ型TiOPcを用いた他は、実施例5
と同様にして感光体を作成した。この様にして得られた
感光体を感光体Dとする。
【0051】比較例3 実施例5において用いたβ型TiOPcに代えて、比較
例1で製造したβ型TiOPcを用いた他は、実施例5
と同様にして感光体を作成した。この様にして得られた
感光体を比較感光体Eとする。 比較例4 実施例5において用いたβ型TiOPcに代えて、比較
例2で製造したβ型TiOPcを用いた他は、実施例5
と同様にして感光体を作成した。この様にして得られた
感光体を比較感光体Fとする。
【0052】評価 得られた感光体は、初期電気特性として帯電電位、暗減
衰、残留電位、半減露光量感度を静電複写紙試験装置
(川口電気製作所製、モデルEPA−8100)を用い
て測定した。すなわち、暗所でコロナ電流が35μAに
なるように設定した印加電圧によるコロナ放電により感
光体を負帯電し、2秒後に780nm単色光(1.0μ
W/cm2 )を10秒間連続的に露光し、表面電位の減
衰を測定し、帯電電位、暗減衰、残留電位、表面電位が
−700Vから−350Vに減少するのに要した露光量
(感度)を求めた。その結果を第2表に示す。
【0053】
【表2】
【0054】第2表より、感光体A,B,CおよびD
は、比較感光体EおよびFより780nm単色光に対し
て高い感度を有していることがわかる。次に、感光体D
および比較感光体Fについて、静電複写紙試験装置(川
口電気製作所製、モデルEPA−8100)を用い、帯
電露光繰り返し電位安定性を評価した。すなわち、暗所
でコロナ電流が35μAになるように設定した印加電圧
によるコロナ放電により感光体を負帯電し、0.5秒後
に白色光(400 lux)を3秒間連続的に露光する
というサイクルを2000回繰り返し行い、初期の帯電
電位を基準にし、繰り返し後にどの程度帯電するか(V
o保持率:初期電位に対する繰り返し後電位の比率)お
よび残留電位の変化(△Vr:繰り返し後残留電位−初
期残留電位)を求めた。その結果を第3表に示す。
【0055】
【表3】
【0056】第3表より、感光体Dは、比較感光体Fよ
り繰り返し使用時の電位安定性に優れていることがわか
る。
【0057】
【発明の効果】本発明は、従来法に比べて極めて簡単に
β型TiOPcを製造する方法を提供するものであり、
工業的規模での製造も極めて有利である。さらに本発明
に係る製造方法により得られたβ型TiOPcを電子写
真感光体に適用することにより、800nm前後の長波
長域に高い感度を有し、繰り返し使用時の電位安定性の
より優れた電子写真感光体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたβ型TiOPcのX線回折
スペクトル図である。
【図2】実施例2で得られたβ型TiOPcのX線回折
スペクトル図である。
【図3】実施例3で得られたβ型TiOPcのX線回折
スペクトル図である。
【図4】実施例4で得られたβ型TiOPcのX線回折
スペクトル図である。
【図5】比較例1で得られたβ型TiOPcのX線回折
スペクトル図である。
【図6】比較例2で得られたβ型TiOPcのX線回折
スペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−50270(JP,A) 特開 平5−86302(JP,A) 特開 平8−27392(JP,A) 特開 平4−246472(JP,A) 特開 昭62−256865(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09B 67/50 C09B 67/10 - 67/12 C09B 67/20 G03G 5/06 371 C09B 47/00 C07D 487/22

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジハロゲノチタニウムフタロシアニンを
    脱酸剤の存在下、N−アルキルラクタム類と水を含む混
    合溶媒と接触させることを特徴とするβ型オキシチタニ
    ウムフタロシアニンの製造方法。
  2. 【請求項2】 N−アルキルラクタム類に対する水の混
    合割合が1〜50%であることを特徴とする請求項1記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】 脱酸剤の存在量が、ジハロゲノチタニウ
    ムフタロシアニン1モルに対して、0.1から15モル
    であることを特徴とする請求項1または2記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 導電性支持体上に感光層を有する電子写
    真感光体において、感光層に請求項1記載の方法によっ
    て得たオキシチタニウムフタロシアニンを含有すること
    を特徴とする電子写真感光体。
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