JP3453893B2 - ポリアリーレンスルフィド複合材料およびその製造方法 - Google Patents
ポリアリーレンスルフィド複合材料およびその製造方法Info
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Description
ド複合材料及びその製造方法に関するものであり、さら
に詳しくは強度及び伸びに優れた靭性に富むポリアリー
レンスルフィド複合材料及びその製造方法に関するもの
である。
略す)を代表とするポリアリーレンスルフィド(以下P
ASと略す)は、その優れた耐熱性、耐薬品性を生かし
て電気・電子機器部材、自動車機器部材として注目を集
めている。また、射出成形、押出成形等により各種成型
部品、フィルム、シート、パイプ、繊維等に成形可能で
あり、耐熱性、耐薬品性の要求される分野に幅広く用い
られている。
を介して結ばれたポリマーであり、その製造方法は特公
昭45−3368号公報等に開示されている。しかしな
がら、この様な方法で製造されたPASは、分子量が低
く脆いものであったため、重合反応により直鎖状に高分
子量化する方法が特公昭52−12240号公報等に開
示されている。本方法によれば、PASの靭性は多少改
善されるものの、まだ十分に満足するレベルには達して
いない。
エラストマーをPASに配合することが特開昭58−1
54757号公報、特開昭59−113055号公報等
に記載されている。しかし、このような方法で得られた
PAS組成物においては、靭性の改良効果は認められる
もののエラストマーを多量に配合するため、PASが本
来有している優れた耐熱性、耐薬品性が低下し難燃性が
消失してしまうばかりでなく、強度も大幅に低下してし
まうといった欠点を有していた。
細に分散させる方法としては、特定の有機金属錯体を含
むポリマーを加熱する方法が特公昭61−38938号
公報に開示されている。しかし、我々の検討によれば、
PAS系にこの方法を適用するとPASの溶融加工条件
が非常に苛酷なためか、有機金属錯体の分解速度が著し
く速く、その結果、粗大な金属粒子が多数生成してしま
い、本発明の目的とする効果が十分に得られないことが
判明した。
技術の欠点を解決した、PAS本来の優れた耐熱性、耐
薬品性、難燃性を保持しつつ、かつ強度及び伸びに優れ
た高靭性PAS複合材料及びその製造方法を提供するも
のである。
た結果、ポリアリーレンスルフィドに特定の金属を特定
の条件で分散することにより、PAS本来の優れた耐熱
性、耐薬品性、難燃性を保持しつつ、かつ強度及び伸び
に優れた高靭性PAS複合材料となることを見出だし本
発明を完成するに至った。
重量%、及び、元素周期表VIII族及びIb族から選
ばれる少なくとも一種類の金属0.01〜5重量%から
なり、該金属がPASマトリックス中に平均粒径0.5
〜30nmの大きさで均一に分散していることを特徴と
するPAS複合材料及びその製造方法に関するものであ
る。
III族及びIb族から選ばれる少なくとも一種類の金
属をPAS中に平均粒径0.5〜30nmの大きさで均
一に分散させていることを特徴とするものである。ここ
で言う「均一に分散」した状態とは、金属粒子が互いに
凝集することなくその少なくとも70%、好ましくは9
0%以上が独立に分散している状態を示すものである。
する上で、この分散している金属の平均粒子径が極めて
大きな影響を及ぼす。金属の平均粒子径が0.5nm未
満であると、金属粒子の形成が十分でなく、強度及び伸
びに優れた高靭性PAS複合材料が得られず好ましくな
い。一方、30nmを越えると金属粒子の表面積が減少
し、PASを十分に拘束し得なくなるためか強度及び伸
びに優れた高靭性PAS複合材料が得られず好ましくな
い。
がチオエーテル結合を介して結ばれたポリマーを指すも
のであり、主として下記一般式(I)〜(VI)の繰り
返し単位からなるポリマーを指すものである。
OOR、−COOM、−NR2、−CONR2又は−CN
(Rは水素、炭素数1〜24のアルキル基又は炭素数6
〜24のシクロアルキル基,アリール基,アラルキル基
であり、Mはアルカリ金属である。)、Xは−CO−、
−CONR1−、−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−CR2R3−又は−SiR2R3−(R1、R2及び
R3は、それぞれ水素、炭素数1〜24のアルキル基又
は炭素数6〜24のシクロアルキル基,アリール基,ア
ラルキル基である。)、aは0〜4の整数、bは0〜2
の整数、cは0〜4の整数、dは0〜3の整数、eは0
〜3の整数、fは0〜3の整数、gは0〜5の整数、h
は0〜4の整数、iは0〜4の整数、jは0〜4の整
数、kは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表わす。) 本発明で用いられるPASは、繰り返し単位(I)〜
(VI)を単独で含むポリマーであっても複数の繰り返
し単位を含むものであってもよく、繰り返し単位を複数
含む場合にはランダム共重合体であってもブロック共重
合体であってもかまわない。また、本発明で用いられる
PASは線状のものであっても、ハロゲンを3個以上含
むポリハロ芳香族化合物を共重合させたり、空気中で加
熱硬化させたPASのような分岐、架橋構造を有するも
のであっても良い。この様なPASの若干の例として
は、特公昭45−3368号公報や特公昭52−122
40号公報に開示されているようなPPS、インディア
ン ジャーナル オブ ケミストリー,21,501
(1982)に開示されているようなポリフェニレンス
ルフィドケトン、特公昭53−25880号公報に開示
されているようなポリフェニレンスルフィドスルホン、
特公昭45−3368号公報に開示されているようなポ
リビフェニレンスルフィド、特開昭63−83135号
公報に開示されているようなポリフェニレンスルフィド
アミド、特開平1−263118号公報に開示されてい
るようなポリシアノフェニレンスルフィド等が挙げられ
る。
的とする靭性改善効果が十分に得られ易く、溶融加工性
に優れることから10000〜1000000の重量平
均分子量を有しているものが好適に用いられる。ここで
言う重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ装置
(以下GPCと略す)を用い測定したものであり、例え
ばPPSの場合には、1−クロロナフタレンを溶媒とし
て用い、210℃で測定することにより重量平均分子量
を決定することができる。
金属とは、元素周期表VIII族及びIb族から選ばれ
る少なくとも一種類の金属であり、例えば鉄、コバル
ト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オ
スミウム、イリジウム、白金、銅、銀、金等が挙げられ
る。これら金属は、単独又は二種類以上の合金、混合物
の形として使用することができる。
は、複合材料全体の重量に対して0.01〜5重量%で
あることが好ましい。金属含有量が0.01重量%未満
では、金属量が少なすぎるため十分なPASの拘束が達
成されず、本発明の効果が得られにくい。一方、金属含
有量が5重量%を越えると、金属の分散が不十分になる
ばかりでなく、溶融粘度が著しく高くなり成形加工性に
悪影響を及ぼすため好ましくない。
99.99重量%、及び、元素周期表VIII族及びI
b族から選ばれる少なくとも一種類の金属0.01〜5
重量%からなり、該金属がPASマトリックス中に平均
粒径0.5〜30nmの大きさで均一に分散しているこ
とを特徴とするPAS複合材料であり、この様な複合材
料が得られる方法であればいかなる方法を本発明のPA
S複合材料の製造方法として用いても良い。
複合材料の製造方法として、下記(1)および(2)の
少なくとも二つの工程を含むことを特徴とする製造方法
を挙げることができる。
り、Xはハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リ
ン酸イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオンから
選ばれる少なくとも一種類のイオンであり、mは1又は
2、nは1〜4の整数を示す。)で示される少なくとも
一種類の金属塩0.02〜10重量%を溶媒に溶解さ
せ、ポリアリーレンスルフィド90〜99.98重量%
と混合した後、溶媒を除去する工程。
塩からなる固溶体、又は、混合物を300℃〜400℃
に加熱し、10〜500sec-1の剪断速度を加えて溶
融混練し該金属塩を金属に還元するとともに該金属をポ
リアリーレンスルフィド中に均一に微細分散させる工
程。
金属塩とPASとからなる固溶体又は均一な混合物を調
製する工程である。
る(2)の工程で還元されて元素周期表VIII族及び
Ib族の金属を生成させるための前駆物質であり、例え
ば塩化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、臭化コバルト、塩化コバル
ト、ナフテン酸コバルト、硝酸コバルト、ステアリン酸
コバルト、酢酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸ニッケ
ル、臭化ニッケル、塩化ニッケル、2−エチルヘキサン
酸ニッケル、ギ酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケ
ル、塩化ルテニウム、酢酸ロジウム、塩化ロジウム、硝
酸ロジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パ
ラジウム、硫酸パラジウム、塩化イリジウム、塩化白
金、酢酸銅、臭化銅、塩化銅、クエン酸銅、フッ化銅、
ギ酸銅、ヨウ化銅、ナフテン酸銅、硝酸銅、4−シクロ
ヘキシル酪酸銅、オレイン酸銅、グルコン酸銅、シュウ
酸銅、硫酸銅、フタル酸銅、テレフタル酸銅、二リン酸
銅、リン酸銅、酢酸銀、臭化銀、塩化銀、ヨウ化銀、乳
酸銀、硝酸銀、硫酸銀、トルエンスルホン酸銀、トリフ
ルオロメタンスルホン酸銀等があげられる。これら金属
塩は、一種類または二種類以上の混合物の形で使用する
ことができる。
は、得られるPAS複合材料における金属とPASの配
合割合が、金属0.01〜5重量%に対してPAS95
〜99.99重量%となることから、金属塩0.02〜
10重量%に対してPAS90〜99.98重量%であ
ることが好ましい。
に対し十分な溶解性を有していれば十分であり、特に制
限はない。そして、例えば水、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、
アセトン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、塩化メチレン、クロロホルム、ピリジン、酢酸
エチル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、1−クロロナフタレン等が挙げられる。これら溶媒
は、単一で用いても二種類以上の混合溶媒として用いて
もさしつかえない。また、金属塩溶液とPASとの混合
方法としては、金属塩溶液と固体状PASとを混合する
方法や、PASを溶媒に溶解させた溶液と金属塩溶液と
を液体状態で混合する方法等が用いられる。
方法については、通常の操作,即ち加熱及び/又は減圧
条件下での溶媒除去が採用できる。ただし、この際の加
熱は、金属塩の分解があまり進行しない温度範囲で行わ
れることが好ましい。
工程は、(1)の工程で得られた金属塩とPASとの固
溶体又は均一な混合物を特定の条件下で加熱、溶融混練
し、PASマトリックス中に金属粒子が均一に微細分散
したPAS複合材料を製造する工程である。
還元が十分に進行し、PASの分解が生じる恐れがない
ことから300〜400℃が好ましく、特に320〜3
80℃が好ましい。また、溶融混練時の剪断速度は、金
属の凝集が起こらず微細な分散が達成され、剪断発熱に
よるPASの劣化、主鎖切断の恐れがないことから10
〜500sec-1であることが好ましい。
属塩の還元反応が十分に進行する範囲内で自由に選択す
ることができ、通常3〜15分程度で十分である。
金属前駆体としての金属塩の少なくとも50%以上は還
元され金属となり、本発明の強度及び伸びに優れた高靭
性PAS複合材料が得られる。
しては、通常の溶融ブレンド装置が使用可能であり、例
えばバッチ式の溶融混練装置、一軸押出機又は二軸押出
機が好適に用いられる。
出成形、圧縮成形等により各種成形品、フィルム、シー
ト、繊維、パイプ等に成形することができるが、必要に
応じてガラス繊維,炭素繊維,アルミナ繊維等のセラミ
ック繊維,アラミド繊維,全芳香族ポリエステル繊維,
金属繊維,チタン酸カリウムウィスカー等の補強用充填
剤、炭酸カルシウム,マイカ,タルク,シリカ,硫酸バ
リウム,硫酸カルシウム,カオリン,クレー,パイロフ
ェライト,ベントナイト,セリサイト,ゼオライト,ネ
フェリンシナイト,アタパルジャイト,ウォラストナイ
ト,セピオライト,フェライト,ケイ酸カルシウム,炭
酸マグネシウム,ドロマイト,三酸化アンチモン,酸化
亜鉛,酸化チタン,酸化マグネシウム,酸化鉄,二硫化
モリブデン,黒鉛,石こう,ガラスビーズ,ガラスパウ
ダー,ガラスバルーン,石英,石英ガラス等の無機充て
ん剤、有機顔料又は無機顔料を配合することも可能であ
る。
タネート系のカップリング剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候
性安定剤、結晶核剤、発泡剤、防錆剤、イオントラップ
剤、難燃剤、難燃助剤等を必要に応じて添加してもよ
い。
レン系,ウレタン系,エステル系,フッ素系,アミド
系,アクリル系等の熱可塑性エラストマー、ポリブタジ
エン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリブテ
ン、スチレン−ブタジエンゴム若しくは水添物、アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネ
ン共重合体等のゴム成分、又は、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポ
リ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリ
ル、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン610,ナイ
ロン12,ナイロン11,ナイロン46等のポリアミ
ド、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフ
タレート,ポリアリレート等のポリエステル、ポリウレ
タン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニ
レンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、
ポリアリルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、シ
リコーン樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、異方性溶
融相を形成する溶融加工可能な液晶ポリマーなどの単独
重合体、ランダム,ブロック,グラフト共重合体の一種
以上を混合して使用することもできる。
が、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは
ない。
0lの反応器にN−メチルピロリドン110l、硫化ナ
トリウム(純度:Na2S 60.2重量%)61.1
kgを仕込み、撹拌下ジャケットにより加熱し、内温が
約200℃に達するまで脱水塔を通じて脱水を行った。
この際、13.5lの主として水からなる留出液を留去
した。次いで、p−ジクロロベンゼン68.0kg、N
−メチルピロリドン48lを添加し、2時間かけて22
5℃まで昇温し、225℃にて2時間反応させた後、3
0分かけて250℃に昇温し、さらに250℃で3時間
反応させた。この時、圧力は10.5kg/cm2まで
上昇した。
ット及び減圧ラインを装備する溶媒回収器に移した。こ
の際、N−メチルピロリドン30lを追加した。続い
て、減圧下で加熱して、主としてN−メチルピロリドン
からなる留出液200lを留去した。続いて、水200
lを添加して水スラリーとし、80℃で15分間加熱撹
拌した後、遠心分離してポリマーを回収した。
200lを添加し、180℃で30分間加熱撹拌を行
い、冷却後、遠心分離機でポリマー粉末を回収した。
尚、この操作を2回繰り返した。
付きリボンブレンダーに移し乾燥を行った。このPPS
を一部サンプリングし、重量平均分子量を測定したとこ
ろ41000であった。サンプリング終了後、攪拌下空
気を400l/時間の流量で流しながら265℃に昇温
し、2時間硬化処理を行った。硬化終了後の重量平均分
子量は52000であった。この様にして得られたPP
Sを以下PPS−Iと略す。
ロロベンゼン67.3kgおよび2,4−ジクロロ安息
香酸0.88kgを用いたことを除いて合成例1と同様
の操作にてカルボン酸変性PPSを製造した。得られた
ポリマーの重量平均分子量は37000であった。この
PPSを合成例1と同様に265℃で1時間硬化したと
ころ、重量平均分子量は46000に増大した。この様
にして得られたPPSを以下PPS−IIと略す。
ル/H20=1:1の混合溶媒100mlに溶解させた
均一溶液を調製し、合成例1で得たPPS−I100g
と該溶液を混合した後減圧乾燥により溶媒を除去し、P
PS−Iと硝酸銀の均一混合物を得た。この混合物をラ
ボミキサー(東洋精機製、商品名ラボプラストミル)に
て340℃、剪断速度100sec-1の条件下10分間
溶融混練した。混練後のサンプルを粉砕した後、小型射
出成形機(松下電器製、商品名パナジェクション)を使
用してシリンダー温度330℃、金型温度120℃の成
形条件下射出成形を行い試験片を作成し、ASTM D
638に従い引張強度、引張破断伸びを測定した。
伸びはそれぞれ880kg/cm2、15.0%であ
り、PPS単体と比較して強度,伸び共に優れているこ
とがわかる。
製、商品名JPX−11PA)を測定したところ、2θ
=38°、44.2°付近に回折ピークが認められ、本
試料中に金属状態の銀粒子が析出していることを確認し
た。このことから、添加した硝酸銀は、PPSとの溶融
混練の過程で熱分解、還元されて0価の銀金属になった
ものと推定される。
型電子顕微鏡(日本電子製、商品名JEM−2000F
X)を用いて観察を行った。その結果、銀粒子はPPS
マトリックス中に平均粒径15nmで均一に分散してい
ることを確認した。
1と同様の方法で混合し、さらに実施例1と同様に混
練、成形して引張強度,引張破断伸びの測定を行った。
結果を表1にまとめて示すが、PPS単体と比較して強
度,伸びに優れていることがわかる。また、金属の分散
状態を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、金属粒子
は平均粒径5〜20nmと極めて微細に分散しているこ
とが判明した。
混練し、同様の評価を行った。結果を表2に示すが、金
属塩を添加しないと実施例に比べ強度、伸び共に小さい
ことがわかる。
I)アセチルアセトナートを用い、これをクロロホルム
に溶解させ実施例1と同様の操作で混合,溶媒除去後混
練し、同様の評価を行った。結果を表2に示すが、有機
金属錯体を用いると、本条件下では錯体の分解が急激に
進行するためか分散金属の粒径の粗大化が生じ、強度、
伸びの改善効果はわずかであった。
33gとPPS−I100gとを粉末状態のまま両者を
均一にブレンドした後、実施例1と同様の操作で混練
し、同様の評価を行った。結果を表2に示すが、塩化パ
ラジウムを粉末状態のままPPSと混合しただけではパ
ラジウムの微分散は達成されず、強度,伸びの改善効果
もわずかであった。
54gを粉末状態でPPS−I100gと均一にブレン
ドした後、実施例1と同様の操作で混練し、同様の評価
を行った。結果を表2に示すが、塩化銅を粉末状態のま
まPPSと混合しただけでは銅の微分散は達成されず、
強度,伸びの改善効果もわずかであった。
用いたこと及び混練操作を行わなかったことを除いて、
実施例1と同様の操作でPPSとの混合を行った。得ら
れたPPS/塩化銅混合物をプレス成形機を用い、30
0℃でプレス成形し、試験片を作成して実施例1と同様
の評価を行った。結果を表2に示すが、混練操作を行わ
ずに成形すると銅粒子の分散が不十分となり、強度、伸
びの改善効果も小さいことがわかる。
の操作でPPS/硝酸銀混合物を調製し、得られた混合
物を比較例6と同様の操作でプレス成形して試験片と
し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す
が、混練操作を行わずに成形すると銀粒子の分散が不十
分となり、強度,伸びの改善効果も小さいことがわか
る。
(和光純薬製、試薬特級)13.2gを用いたことを除
いて実施例1と同様の方法で混合、混練を行い、射出成
形による試験片の成形を試みたが、サンプルの溶融粘度
が高く成形することができなかった。このように本発明
の範囲を越えて、金属を含有させると成形加工性に著し
い悪影響をあたえることがわかる。
のPAS複合材料は、従来のPASの欠点であった脆性
を改善するとともに高強度化をも達成しており、従来か
らPASが使用されてきた電気・電子部品や自動車部品
分野での応用のみならず、PASを用いることが性能的
に制限されてきた非強化PASとしての応用等を可能に
した点で極めて有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】ポリアリーレンスルフィド95〜99.9
9重量%、及び、元素周期表VIII族及びIb族から
選ばれる少なくとも一種類の金属0.01〜5重量%か
らなり、該金属がポリアリーレンスルフィドマトリック
ス中に平均粒径0.5〜30nmの大きさで均一に分散
していることを特徴とするポリアリーレンスルフィド複
合材料。 - 【請求項2】少なくとも下記の2工程、 (1)一般式(a)、 MmXn (a) (式中Mは元素周期表VIII族及びIb族の金属であ
り、Xはハロゲンイオン,硫酸イオン,硝酸イオン,リ
ン酸イオン,カルボン酸イオン,スルホン酸イオンから
選ばれる少なくとも一種類のイオンであり、mは1また
は2,nは1〜4の整数を示す。)で示される少なくと
も一種類の金属塩0.02〜10重量%を溶媒に溶解さ
せ、ポリアリーレンスルフィド90〜99.98重量%
と混合した後、溶媒を除去する工程。 (2)ポリアリーレンスルフィド及び金属塩からなる固
溶体、又は、混合物を300℃〜400℃に加熱し、1
0〜500sec-1の剪断速度を加えて溶融混練し,該
金属塩を金属に還元するとともに該金属をポリアリーレ
ンスルフィド中に均一に微細分散させる工程。よりなる
ことを特徴とするポリアリーレンスルフィド複合材料の
製造方法。
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