JP3453893B2 - ポリアリーレンスルフィド複合材料およびその製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド複合材料およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアリーレンスルフィ
ド複合材料及びその製造方法に関するものであり、さら
に詳しくは強度及び伸びに優れた靭性に富むポリアリー
レンスルフィド複合材料及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと
略す)を代表とするポリアリーレンスルフィド(以下P
ASと略す)は、その優れた耐熱性、耐薬品性を生かし
て電気・電子機器部材、自動車機器部材として注目を集
めている。また、射出成形、押出成形等により各種成型
部品、フィルム、シート、パイプ、繊維等に成形可能で
あり、耐熱性、耐薬品性の要求される分野に幅広く用い
られている。
【0003】
【従来の技術】PASは芳香族残基がチオエーテル結合
を介して結ばれたポリマーであり、その製造方法は特公
昭45−3368号公報等に開示されている。しかしな
がら、この様な方法で製造されたPASは、分子量が低
く脆いものであったため、重合反応により直鎖状に高分
子量化する方法が特公昭52−12240号公報等に開
示されている。本方法によれば、PASの靭性は多少改
善されるものの、まだ十分に満足するレベルには達して
いない。
【0004】また、PASの靭性改良を目的として各種
エラストマーをPASに配合することが特開昭58−1
54757号公報、特開昭59−113055号公報等
に記載されている。しかし、このような方法で得られた
PAS組成物においては、靭性の改良効果は認められる
もののエラストマーを多量に配合するため、PASが本
来有している優れた耐熱性、耐薬品性が低下し難燃性が
消失してしまうばかりでなく、強度も大幅に低下してし
まうといった欠点を有していた。
【0005】一方、ポリマーマトリックス中に金属を微
細に分散させる方法としては、特定の有機金属錯体を含
むポリマーを加熱する方法が特公昭61−38938号
公報に開示されている。しかし、我々の検討によれば、
PAS系にこの方法を適用するとPASの溶融加工条件
が非常に苛酷なためか、有機金属錯体の分解速度が著し
く速く、その結果、粗大な金属粒子が多数生成してしま
い、本発明の目的とする効果が十分に得られないことが
判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
技術の欠点を解決した、PAS本来の優れた耐熱性、耐
薬品性、難燃性を保持しつつ、かつ強度及び伸びに優れ
た高靭性PAS複合材料及びその製造方法を提供するも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討し
た結果、ポリアリーレンスルフィドに特定の金属を特定
の条件で分散することにより、PAS本来の優れた耐熱
性、耐薬品性、難燃性を保持しつつ、かつ強度及び伸び
に優れた高靭性PAS複合材料となることを見出だし本
発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、PAS95〜99.99
重量%、及び、元素周期表VIII族及びIb族から選
ばれる少なくとも一種類の金属0.01〜5重量%から
なり、該金属がPASマトリックス中に平均粒径0.5
〜30nmの大きさで均一に分散していることを特徴と
するPAS複合材料及びその製造方法に関するものであ
る。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明のPAS複合材料は、元素周期表V
III族及びIb族から選ばれる少なくとも一種類の金
属をPAS中に平均粒径0.5〜30nmの大きさで均
一に分散させていることを特徴とするものである。ここ
で言う「均一に分散」した状態とは、金属粒子が互いに
凝集することなくその少なくとも70%、好ましくは9
0%以上が独立に分散している状態を示すものである。
【0011】本発明においては、その効果を十分に達成
する上で、この分散している金属の平均粒子径が極めて
大きな影響を及ぼす。金属の平均粒子径が0.5nm未
満であると、金属粒子の形成が十分でなく、強度及び伸
びに優れた高靭性PAS複合材料が得られず好ましくな
い。一方、30nmを越えると金属粒子の表面積が減少
し、PASを十分に拘束し得なくなるためか強度及び伸
びに優れた高靭性PAS複合材料が得られず好ましくな
い。
【0012】本発明で用いられるPASは、芳香族残基
がチオエーテル結合を介して結ばれたポリマーを指すも
のであり、主として下記一般式(I)〜(VI)の繰り
返し単位からなるポリマーを指すものである。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】(ここでYは−R、−OR、−OM、−C
OOR、−COOM、−NR2、−CONR2又は−CN
(Rは水素、炭素数1〜24のアルキル基又は炭素数6
〜24のシクロアルキル基,アリール基,アラルキル基
であり、Mはアルカリ金属である。)、Xは−CO−、
−CONR1−、−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−CR23−又は−SiR23−(R1、R2及び
3は、それぞれ水素、炭素数1〜24のアルキル基又
は炭素数6〜24のシクロアルキル基,アリール基,ア
ラルキル基である。)、aは0〜4の整数、bは0〜2
の整数、cは0〜4の整数、dは0〜3の整数、eは0
〜3の整数、fは0〜3の整数、gは0〜5の整数、h
は0〜4の整数、iは0〜4の整数、jは0〜4の整
数、kは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表わす。) 本発明で用いられるPASは、繰り返し単位(I)〜
(VI)を単独で含むポリマーであっても複数の繰り返
し単位を含むものであってもよく、繰り返し単位を複数
含む場合にはランダム共重合体であってもブロック共重
合体であってもかまわない。また、本発明で用いられる
PASは線状のものであっても、ハロゲンを3個以上含
むポリハロ芳香族化合物を共重合させたり、空気中で加
熱硬化させたPASのような分岐、架橋構造を有するも
のであっても良い。この様なPASの若干の例として
は、特公昭45−3368号公報や特公昭52−122
40号公報に開示されているようなPPS、インディア
ン ジャーナル オブ ケミストリー,21,501
(1982)に開示されているようなポリフェニレンス
ルフィドケトン、特公昭53−25880号公報に開示
されているようなポリフェニレンスルフィドスルホン、
特公昭45−3368号公報に開示されているようなポ
リビフェニレンスルフィド、特開昭63−83135号
公報に開示されているようなポリフェニレンスルフィド
アミド、特開平1−263118号公報に開示されてい
るようなポリシアノフェニレンスルフィド等が挙げられ
る。
【0020】本発明で用いられるPASは、本発明の目
的とする靭性改善効果が十分に得られ易く、溶融加工性
に優れることから10000〜1000000の重量平
均分子量を有しているものが好適に用いられる。ここで
言う重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ装置
(以下GPCと略す)を用い測定したものであり、例え
ばPPSの場合には、1−クロロナフタレンを溶媒とし
て用い、210℃で測定することにより重量平均分子量
を決定することができる。
【0021】一方、本発明のもう一つの構成成分である
金属とは、元素周期表VIII族及びIb族から選ばれ
る少なくとも一種類の金属であり、例えば鉄、コバル
ト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オ
スミウム、イリジウム、白金、銅、銀、金等が挙げられ
る。これら金属は、単独又は二種類以上の合金、混合物
の形として使用することができる。
【0022】本発明の複合材料における金属の含有量
は、複合材料全体の重量に対して0.01〜5重量%で
あることが好ましい。金属含有量が0.01重量%未満
では、金属量が少なすぎるため十分なPASの拘束が達
成されず、本発明の効果が得られにくい。一方、金属含
有量が5重量%を越えると、金属の分散が不十分になる
ばかりでなく、溶融粘度が著しく高くなり成形加工性に
悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0023】本発明のPAS複合材料は、PAS95〜
99.99重量%、及び、元素周期表VIII族及びI
b族から選ばれる少なくとも一種類の金属0.01〜5
重量%からなり、該金属がPASマトリックス中に平均
粒径0.5〜30nmの大きさで均一に分散しているこ
とを特徴とするPAS複合材料であり、この様な複合材
料が得られる方法であればいかなる方法を本発明のPA
S複合材料の製造方法として用いても良い。
【0024】そして、本発明において、好ましいPAS
複合材料の製造方法として、下記(1)および(2)の
少なくとも二つの工程を含むことを特徴とする製造方法
を挙げることができる。
【0025】(1)一般式(a)、 MmXn (a) (式中Mは元素周期表VIII族及びIb族の金属であ
り、Xはハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リ
ン酸イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオンから
選ばれる少なくとも一種類のイオンであり、mは1又は
2、nは1〜4の整数を示す。)で示される少なくとも
一種類の金属塩0.02〜10重量%を溶媒に溶解さ
せ、ポリアリーレンスルフィド90〜99.98重量%
と混合した後、溶媒を除去する工程。
【0026】(2)ポリアリーレンスルフィド及び金属
塩からなる固溶体、又は、混合物を300℃〜400℃
に加熱し、10〜500sec-1の剪断速度を加えて溶
融混練し該金属塩を金属に還元するとともに該金属をポ
リアリーレンスルフィド中に均一に微細分散させる工
程。
【0027】(1)の工程は、一般式(a)で示される
金属塩とPASとからなる固溶体又は均一な混合物を調
製する工程である。
【0028】一般式(a)で示される金属塩は、後述す
る(2)の工程で還元されて元素周期表VIII族及び
Ib族の金属を生成させるための前駆物質であり、例え
ば塩化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、臭化コバルト、塩化コバル
ト、ナフテン酸コバルト、硝酸コバルト、ステアリン酸
コバルト、酢酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸ニッケ
ル、臭化ニッケル、塩化ニッケル、2−エチルヘキサン
酸ニッケル、ギ酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケ
ル、塩化ルテニウム、酢酸ロジウム、塩化ロジウム、硝
酸ロジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パ
ラジウム、硫酸パラジウム、塩化イリジウム、塩化白
金、酢酸銅、臭化銅、塩化銅、クエン酸銅、フッ化銅、
ギ酸銅、ヨウ化銅、ナフテン酸銅、硝酸銅、4−シクロ
ヘキシル酪酸銅、オレイン酸銅、グルコン酸銅、シュウ
酸銅、硫酸銅、フタル酸銅、テレフタル酸銅、二リン酸
銅、リン酸銅、酢酸銀、臭化銀、塩化銀、ヨウ化銀、乳
酸銀、硝酸銀、硫酸銀、トルエンスルホン酸銀、トリフ
ルオロメタンスルホン酸銀等があげられる。これら金属
塩は、一種類または二種類以上の混合物の形で使用する
ことができる。
【0029】この工程での金属塩とPASの配合割合
は、得られるPAS複合材料における金属とPASの配
合割合が、金属0.01〜5重量%に対してPAS95
〜99.99重量%となることから、金属塩0.02〜
10重量%に対してPAS90〜99.98重量%であ
ることが好ましい。
【0030】金属塩を溶解させる溶媒としては、金属塩
に対し十分な溶解性を有していれば十分であり、特に制
限はない。そして、例えば水、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、
アセトン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、塩化メチレン、クロロホルム、ピリジン、酢酸
エチル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、1−クロロナフタレン等が挙げられる。これら溶媒
は、単一で用いても二種類以上の混合溶媒として用いて
もさしつかえない。また、金属塩溶液とPASとの混合
方法としては、金属塩溶液と固体状PASとを混合する
方法や、PASを溶媒に溶解させた溶液と金属塩溶液と
を液体状態で混合する方法等が用いられる。
【0031】これら溶媒を含んだ混合物からの溶媒除去
方法については、通常の操作,即ち加熱及び/又は減圧
条件下での溶媒除去が採用できる。ただし、この際の加
熱は、金属塩の分解があまり進行しない温度範囲で行わ
れることが好ましい。
【0032】次に(2)の工程について説明する。この
工程は、(1)の工程で得られた金属塩とPASとの固
溶体又は均一な混合物を特定の条件下で加熱、溶融混練
し、PASマトリックス中に金属粒子が均一に微細分散
したPAS複合材料を製造する工程である。
【0033】本工程で用いられる加熱温度は、金属塩の
還元が十分に進行し、PASの分解が生じる恐れがない
ことから300〜400℃が好ましく、特に320〜3
80℃が好ましい。また、溶融混練時の剪断速度は、金
属の凝集が起こらず微細な分散が達成され、剪断発熱に
よるPASの劣化、主鎖切断の恐れがないことから10
〜500sec-1であることが好ましい。
【0034】また、上記条件下での溶融混練時間は、金
属塩の還元反応が十分に進行する範囲内で自由に選択す
ることができ、通常3〜15分程度で十分である。
【0035】以上のような条件で混練することにより、
金属前駆体としての金属塩の少なくとも50%以上は還
元され金属となり、本発明の強度及び伸びに優れた高靭
性PAS複合材料が得られる。
【0036】この(2)の工程で用いられる製造装置と
しては、通常の溶融ブレンド装置が使用可能であり、例
えばバッチ式の溶融混練装置、一軸押出機又は二軸押出
機が好適に用いられる。
【0037】本発明の複合材料は、単独で射出成形、押
出成形、圧縮成形等により各種成形品、フィルム、シー
ト、繊維、パイプ等に成形することができるが、必要に
応じてガラス繊維,炭素繊維,アルミナ繊維等のセラミ
ック繊維,アラミド繊維,全芳香族ポリエステル繊維,
金属繊維,チタン酸カリウムウィスカー等の補強用充填
剤、炭酸カルシウム,マイカ,タルク,シリカ,硫酸バ
リウム,硫酸カルシウム,カオリン,クレー,パイロフ
ェライト,ベントナイト,セリサイト,ゼオライト,ネ
フェリンシナイト,アタパルジャイト,ウォラストナイ
ト,セピオライト,フェライト,ケイ酸カルシウム,炭
酸マグネシウム,ドロマイト,三酸化アンチモン,酸化
亜鉛,酸化チタン,酸化マグネシウム,酸化鉄,二硫化
モリブデン,黒鉛,石こう,ガラスビーズ,ガラスパウ
ダー,ガラスバルーン,石英,石英ガラス等の無機充て
ん剤、有機顔料又は無機顔料を配合することも可能であ
る。
【0038】また、ワックス等の離型剤、シラン系,チ
タネート系のカップリング剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候
性安定剤、結晶核剤、発泡剤、防錆剤、イオントラップ
剤、難燃剤、難燃助剤等を必要に応じて添加してもよ
い。
【0039】さらに必要に応じて、オレフィン系,スチ
レン系,ウレタン系,エステル系,フッ素系,アミド
系,アクリル系等の熱可塑性エラストマー、ポリブタジ
エン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリブテ
ン、スチレン−ブタジエンゴム若しくは水添物、アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネ
ン共重合体等のゴム成分、又は、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポ
リ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリ
ル、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン610,ナイ
ロン12,ナイロン11,ナイロン46等のポリアミ
ド、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフ
タレート,ポリアリレート等のポリエステル、ポリウレ
タン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニ
レンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、
ポリアリルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、シ
リコーン樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、異方性溶
融相を形成する溶融加工可能な液晶ポリマーなどの単独
重合体、ランダム,ブロック,グラフト共重合体の一種
以上を混合して使用することもできる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0041】合成例1(PPSの製造) 攪拌機、脱水塔およびジャケットを装備する内容積53
0lの反応器にN−メチルピロリドン110l、硫化ナ
トリウム(純度:Na2S 60.2重量%)61.1
kgを仕込み、撹拌下ジャケットにより加熱し、内温が
約200℃に達するまで脱水塔を通じて脱水を行った。
この際、13.5lの主として水からなる留出液を留去
した。次いで、p−ジクロロベンゼン68.0kg、N
−メチルピロリドン48lを添加し、2時間かけて22
5℃まで昇温し、225℃にて2時間反応させた後、3
0分かけて250℃に昇温し、さらに250℃で3時間
反応させた。この時、圧力は10.5kg/cm2まで
上昇した。
【0042】反応終了後、反応混合液を攪拌機、ジャケ
ット及び減圧ラインを装備する溶媒回収器に移した。こ
の際、N−メチルピロリドン30lを追加した。続い
て、減圧下で加熱して、主としてN−メチルピロリドン
からなる留出液200lを留去した。続いて、水200
lを添加して水スラリーとし、80℃で15分間加熱撹
拌した後、遠心分離してポリマーを回収した。
【0043】さらに、ポリマーを溶媒回収器に戻し、水
200lを添加し、180℃で30分間加熱撹拌を行
い、冷却後、遠心分離機でポリマー粉末を回収した。
尚、この操作を2回繰り返した。
【0044】得られたポリマー(PPS)をジャケット
付きリボンブレンダーに移し乾燥を行った。このPPS
を一部サンプリングし、重量平均分子量を測定したとこ
ろ41000であった。サンプリング終了後、攪拌下空
気を400l/時間の流量で流しながら265℃に昇温
し、2時間硬化処理を行った。硬化終了後の重量平均分
子量は52000であった。この様にして得られたPP
Sを以下PPS−Iと略す。
【0045】合成例2(カルボン酸変性PPSの製造) p−ジクロロベンゼン68.0kgの代わりにp−ジク
ロロベンゼン67.3kgおよび2,4−ジクロロ安息
香酸0.88kgを用いたことを除いて合成例1と同様
の操作にてカルボン酸変性PPSを製造した。得られた
ポリマーの重量平均分子量は37000であった。この
PPSを合成例1と同様に265℃で1時間硬化したと
ころ、重量平均分子量は46000に増大した。この様
にして得られたPPSを以下PPS−IIと略す。
【0046】実施例1 硝酸銀(和光純薬製、試薬特級)0.32gをメタノー
ル/H20=1:1の混合溶媒100mlに溶解させた
均一溶液を調製し、合成例1で得たPPS−I100g
と該溶液を混合した後減圧乾燥により溶媒を除去し、P
PS−Iと硝酸銀の均一混合物を得た。この混合物をラ
ボミキサー(東洋精機製、商品名ラボプラストミル)に
て340℃、剪断速度100sec-1の条件下10分間
溶融混練した。混練後のサンプルを粉砕した後、小型射
出成形機(松下電器製、商品名パナジェクション)を使
用してシリンダー温度330℃、金型温度120℃の成
形条件下射出成形を行い試験片を作成し、ASTM D
638に従い引張強度、引張破断伸びを測定した。
【0047】結果を表1に示すが、引張強度、引張破断
伸びはそれぞれ880kg/cm2、15.0%であ
り、PPS単体と比較して強度,伸び共に優れているこ
とがわかる。
【0048】また、上記試験片のX線回折(日本電子
製、商品名JPX−11PA)を測定したところ、2θ
=38°、44.2°付近に回折ピークが認められ、本
試料中に金属状態の銀粒子が析出していることを確認し
た。このことから、添加した硝酸銀は、PPSとの溶融
混練の過程で熱分解、還元されて0価の銀金属になった
ものと推定される。
【0049】一方、銀の分散状態を確認するため、透過
型電子顕微鏡(日本電子製、商品名JEM−2000F
X)を用いて観察を行った。その結果、銀粒子はPPS
マトリックス中に平均粒径15nmで均一に分散してい
ることを確認した。
【0050】実施例2〜14 合成例で得たPPSと表1記載の各種金属塩とを実施例
1と同様の方法で混合し、さらに実施例1と同様に混
練、成形して引張強度,引張破断伸びの測定を行った。
結果を表1にまとめて示すが、PPS単体と比較して強
度,伸びに優れていることがわかる。また、金属の分散
状態を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、金属粒子
は平均粒径5〜20nmと極めて微細に分散しているこ
とが判明した。
【0051】比較例1、2 合成例で得られたPPSのみを実施例1と同様の操作で
混練し、同様の評価を行った。結果を表2に示すが、金
属塩を添加しないと実施例に比べ強度、伸び共に小さい
ことがわかる。
【0052】比較例3 硝酸銀の代わりに有機金属錯体であるパラジウム(I
I)アセチルアセトナートを用い、これをクロロホルム
に溶解させ実施例1と同様の操作で混合,溶媒除去後混
練し、同様の評価を行った。結果を表2に示すが、有機
金属錯体を用いると、本条件下では錯体の分解が急激に
進行するためか分散金属の粒径の粗大化が生じ、強度、
伸びの改善効果はわずかであった。
【0053】比較例4 塩化パラジウム(II)(和光純薬製,試薬特級)0.
33gとPPS−I100gとを粉末状態のまま両者を
均一にブレンドした後、実施例1と同様の操作で混練
し、同様の評価を行った。結果を表2に示すが、塩化パ
ラジウムを粉末状態のままPPSと混合しただけではパ
ラジウムの微分散は達成されず、強度,伸びの改善効果
もわずかであった。
【0054】比較例5 塩化銅(II)二水和物(和光純薬製,試薬特級)0.
54gを粉末状態でPPS−I100gと均一にブレン
ドした後、実施例1と同様の操作で混練し、同様の評価
を行った。結果を表2に示すが、塩化銅を粉末状態のま
まPPSと混合しただけでは銅の微分散は達成されず、
強度,伸びの改善効果もわずかであった。
【0055】比較例6 硝酸銀の代わりに塩化銅(II)二水和物0.54gを
用いたこと及び混練操作を行わなかったことを除いて、
実施例1と同様の操作でPPSとの混合を行った。得ら
れたPPS/塩化銅混合物をプレス成形機を用い、30
0℃でプレス成形し、試験片を作成して実施例1と同様
の評価を行った。結果を表2に示すが、混練操作を行わ
ずに成形すると銅粒子の分散が不十分となり、強度、伸
びの改善効果も小さいことがわかる。
【0056】比較例7 混練操作を行わなかったことを除いて、実施例1と同様
の操作でPPS/硝酸銀混合物を調製し、得られた混合
物を比較例6と同様の操作でプレス成形して試験片と
し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す
が、混練操作を行わずに成形すると銀粒子の分散が不十
分となり、強度,伸びの改善効果も小さいことがわか
る。
【0057】比較例8 硝酸銀0.32gの代わりに、塩化パラジウム(II)
(和光純薬製、試薬特級)13.2gを用いたことを除
いて実施例1と同様の方法で混合、混練を行い、射出成
形による試験片の成形を試みたが、サンプルの溶融粘度
が高く成形することができなかった。このように本発明
の範囲を越えて、金属を含有させると成形加工性に著し
い悪影響をあたえることがわかる。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のPAS複合材料は、従来のPASの欠点であった脆性
を改善するとともに高強度化をも達成しており、従来か
らPASが使用されてきた電気・電子部品や自動車部品
分野での応用のみならず、PASを用いることが性能的
に制限されてきた非強化PASとしての応用等を可能に
した点で極めて有用である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアリーレンスルフィド95〜99.9
    9重量%、及び、元素周期表VIII族及びIb族から
    選ばれる少なくとも一種類の金属0.01〜5重量%か
    らなり、該金属がポリアリーレンスルフィドマトリック
    ス中に平均粒径0.5〜30nmの大きさで均一に分散
    していることを特徴とするポリアリーレンスルフィド複
    合材料。
  2. 【請求項2】少なくとも下記の2工程、 (1)一般式(a)、 MmXn (a) (式中Mは元素周期表VIII族及びIb族の金属であ
    り、Xはハロゲンイオン,硫酸イオン,硝酸イオン,リ
    ン酸イオン,カルボン酸イオン,スルホン酸イオンから
    選ばれる少なくとも一種類のイオンであり、mは1また
    は2,nは1〜4の整数を示す。)で示される少なくと
    も一種類の金属塩0.02〜10重量%を溶媒に溶解さ
    せ、ポリアリーレンスルフィド90〜99.98重量%
    と混合した後、溶媒を除去する工程。 (2)ポリアリーレンスルフィド及び金属塩からなる固
    溶体、又は、混合物を300℃〜400℃に加熱し、1
    0〜500sec-1の剪断速度を加えて溶融混練し,該
    金属塩を金属に還元するとともに該金属をポリアリーレ
    ンスルフィド中に均一に微細分散させる工程。よりなる
    ことを特徴とするポリアリーレンスルフィド複合材料の
    製造方法。
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