JP3450663B2 - S,s−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の製造法 - Google Patents
S,s−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の製造法Info
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エチレンジアミンとフマル酸からS,S−エチレンジア
ミン−N,N’−ジコハク酸を製造する方法に関する。
S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸は重
金属を補足するという特異な性質を持ち、且つ、自然界
に放出された後に生分解を受け易いため、キレート剤や
洗剤用ビルダーなどの用途が見込まれる。 【0002】 【従来の技術】エチレンジアミン−N,N’−ジコハク
酸の立体異性体混合物(S,S−、R,R−、meso
−体)は有機合成的手法によりマレイン酸とエチレンジ
アミンから〔米国特許第3,158,635 号参照〕、また、そ
の光学活性体の一つであるS,S−体はL−アスパラギ
ン酸とジブロムエタンから〔John A. Neal et al. Inor
ganic Chem. 7, 2405 (1968)参照〕各々製造できると
の報告がある。しかし、L−アスパラギン酸とジブロム
エタンからの製法では、製造原料が比較的高価となり、
安価で汎用性のある光学活性体を供給することは困難で
ある。 【0003】一方、微生物による生産に関して、S,S
−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸が、放線菌
MG417−CF17株の培養液からホスホリパーゼC
の特異的阻害剤として単離同定されている〔T. Nishiki
ori et al., J. Antibiotics37, 426 (1984) 参照〕。
しかし、この放線菌による生産性は極めて低く、工業的
製法とは成り難い。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】これに対し、本発明者
らは、先に、微生物の触媒作用を利用して、フマル酸と
各種ジアミンから効率よく光学活性ジアミノアルキレン
−N,N’−ジコハク酸などを製造する新規な方法を提
案した〔特開平9-140390号公報参照〕。本発明は、同方
法のS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸
の反応収率を向上させることを課題としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、この課題
を改善すべく鋭意研究を行った結果、反応系に、生成す
るS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸が
配位し、錯体を形成し得る金属のイオンを存在させるこ
とにより、S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコ
ハク酸の反応収率を飛躍的に改善できることを見い出し
本発明に到達した。 【0006】すなわち、本発明は、リアーゼ活性を有す
る微生物または該処理物の作用により、エチレンジアミ
ンとフマル酸の混合物からS,S−エチレンジアミン−
N,N’−ジコハク酸を製造するに際し、該反応系にア
ルカリ土類金属(ただし、マグネシウムを除く)、鉄、
亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、チタニウムおよび
マンガンからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属
のイオンを存在させることを特徴とするS,S−エチレ
ンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法、である。 【0007】上記したところを要旨とする本発明の反応
機構については、以下の様に考えられる。まず最初に、
リアーゼ活性を有する微生物または該処理物の作用によ
りフマル酸とエチレンジアミンからS,S−エチレンジ
アミン−N,N’−ジコハク酸が生成し、次いで、生成
したS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸
が基質であるフマル酸やエチレンジアミンに比べて反応
系に存在する金属のイオンに、より強く配位し、安定な
錯体を形成することにより、化学平衡点が生成物側に移
動する。すなわち、フマル酸とエチレンジアミンから
S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸が生
成する平衡反応に、安定な錯体を形成する平衡反応が加
わることにより、遊離のS,S−エチレンジアミン−
N,N’−ジコハク酸とその金属錯体の総和としての収
率が、金属イオンを存在させない場合に比べて向上する
ものと推察される。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明における金属のイオンは、
アルカリ土類金属(ただし、マグネシウムを除く)、
鉄、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、チタニウムお
よびマンガンのイオンであり、例えば、Ca(II)、Sr
(II)、Ba(II)、Fe(II)、Fe(III)、Zn(II))、
Cu(II)、Ni(II)、Al(III)、Ti(IV)およびMn
(II)イオンならびにこれらの各種錯イオンを挙げること
ができる。 【0009】これら金属のイオン源としては、これら金
属の水酸化物、酸化物ならびに硫酸、塩酸、硝酸、リン
酸、炭酸および酢酸等の無機または有機酸塩、さらにこ
れら金属化合物を含む鉱物や本発明の基質であるフマル
酸やエチレンジアミンとの化合物等を挙げることができ
る。これらの化合物は2種以上混合して用いることも可
能である。 【0010】また、これらの金属化合物中には、水に対
し溶解度の低いものあるいは難溶性のものもあるが、こ
れらを飽和濃度以上に、例えば、懸濁状態として存在さ
せた場合でも、S,S−エチレンジアミン−N,N’−
ジコハク酸の配位能により相当量が可溶化されるため使
用可能である。すなわち、本発明の「金属のイオン」源
としての化合物は、金属のイオンがS,S−エチレンジ
アミン−N,N’−ジコハク酸と配位し、本発明の効果
が得られるものである限り使用できる。 【0011】前記の通り、本発明は、金属のイオンによ
り化学平衡点を基質側から生成物側に移動させることに
基づいているが、通常、化学平衡点は触媒の種類に左右
されない。したがって、本発明における化学平衡点は金
属のイオンの種類によってのみ値が変化し、副反応やそ
の他の反応が関わらない限り、すべての触媒について一
定の値を示す。このことは、本発明の実施例および参考
例によって立証される。すなわち、本発明の触媒である
リアーゼは、いずれの微生物由来であるかは、それが
S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を生
成する能力を有する限り、特に限定されない。 【0012】リアーゼ活性を有する微生物としては、例
えば、バークホルデリア(Burkholderia)属、アシドボ
ラックス(Acidovorax)属、シュードモナス(Pseudomo
nas)属、パラコッカス(Paracoccus)属、スフィンゴモ
ナス(Sphingomonas)属およびブレブンジモナス(Brev
undimonas)属等の細菌を挙げることができる。 【0013】具体的には、Burkholderia sp.KK−5株
〔FERM BP−5412〕、同KK−9株〔FER
M BP−5413〕、Acidovorax sp.TN−51株
〔FERM BP−5416〕、Pseudomonas sp. TN
−131株〔FERM BP−5418〕、Paracoccus
sp.KK−6株〔FERM BP−5415〕、Sphing
omonas sp.TN−28株〔FERM BP−541
9〕、Brevundimonas sp. TN−30株〔FERM B
P−5417〕および同TN−3株〔FERM BP−
5886〕を挙げることができる。 【0014】これらの細菌は、本発明者らにより自然界
から新たに分離され、上記番号にて通産省工業技術院生
命工学工業技術研究所に寄託されている。本菌の菌学的
性質は以下に示す通りである。 【0015】 菌学的性質 KK−5株 KK−9株 形態 桿菌 桿菌 グラム染色 − − 胞子 − − 運動性 + + 鞭毛 極多毛 極多毛 酸素に対する態度 好気性 好気性 オキシダーゼ + + カタラーゼ + + OFテスト O O キノン系 Q−8 Q−8 プロトカテキン酸の開裂 ortho型 ortho型 蛍光色素の生成 − − 硝酸塩還元 − + インドール生成 − − アルギニンジヒドロラーゼ − − 尿素分解 − − エスクリン分解 − − ゼラチン液化 − − PNPG + − キシロースからの酸生成 + + 資化性 グルコース + + L−アラビノース + + D−マンノース + + D−マンニトール + + マルトース − − グルコン酸カリウム + + n−カプリン酸 + + アジピン酸 − − dl−リンゴ酸 + + クエン酸 + − 酢酸フェニル + + 【0016】【0017】 【0018】【0019】 【0020】 TN−30株 TN−3株 形態 桿菌 桿菌 グラム染色性 − − 胞子 − − 運動性 + + 鞭毛 極毛 極毛 酸素に対する態度 好気性 好気性 オキシダーゼ + + カタラーゼ + + OFテスト − − 集落の色調 特徴的色素 特徴的色素 を生成せず を生成せず 蛍光色素の生成 − − PHBの蓄積 + + 栄養要求性 + + キノン系 Q−10 Q−10 硝酸塩還元 + + インドール生成 − − アルギニンジヒドロラーゼ − − 尿素分解 − − エスクリン分解 − − ゼラチン液化 − − PNPG − − 資化性 グルコース − − L−アラビノース − − D−マンノース − − D−マンニトール − − N−アセチル− − − D−グルコサミン マルトース − − グルコン酸カリウム + + n−カプリン酸 − − アジピン酸 + + dl−リンゴ酸 − + クエン酸 + + 酢酸フェニル − − 【0021】上記菌学的性質を、Bergey's Manual of S
ystematic Bacteriology Vol.1(1984)およびBergey's M
anual of Determinative Bacteriology 9版(1994)によ
り分類すると、KK−5株およびKK−9株はバークホ
ルデリア(Burkholderia)属に、TN−51株はアシド
ボラックス(Acidovorax)属に、TN−131株はシュ
ードモナス(Pseudomonas)属に、Bergey's Manual of S
ystematic Bacteriology Vol.1(1984)により分類すると
KK−6株はパラコッカス(Paracoccus)属に、Berge
y's Manual of Determinative Bacteriology 9版(199
4)およびMicrobiol. Immunol. 34, 99(1990)により分類
するとTN−28株はスフィンゴモナス(Sphingomona
s)属に、また、Bergey's Manual of Determinative Ba
cteriology9版(1994)およびInt. J. Syst. Bacteriol.
44, 499(1994)により分類すると、TN−30 株および
TN−3株はブレブンジモナス(Brevundimonas)属に属
する細菌と同定された。 【0022】生物界に幅広く存在するフマラーゼは、本
反応の基質であるフマル酸をリンゴ酸に水和し、収率を
低下させる要因となるため、使用する菌株のフマラーゼ
活性が弱いか、容易に失活する場合を除いて、除去ある
いは阻害するのが望ましい。例えば、菌体破砕液から、
クロマトグラフィー、塩析、電気泳動等の手法で除去す
る方法、阻害剤により阻害する方法、菌体のままでフマ
ラーゼを失活させる方法〔I. Umehara et al., Appl Mi
crobiol Biotechnol 20, 291(1984)および湯川ら農芸化
学 59, 279(1985)〕などが知られている。 【0023】次に本発明の一般的実施態様について説明
する。本発明で使用される微生物の培養液には何ら特別
の制限がなく、資化しうる炭素源、窒素源、無機塩、更
に微量の有機栄養物などを適当に含有するものであれば
合成培地、天然培地のいずれでもよい。また、培養に当
っては培地へのエチレンジアミン−N,N’−ジコハク
酸、エチレンジアミン−N−モノコハク酸、アスパラギ
ン酸、グルタミン酸、ヒスチジンなどのアミノ酸やフマ
ル酸等の添加は、目的とする活性の高い菌体が得られる
ことがあり好ましい。培養条件は菌体や培地により異な
るが、培地のpHは4〜10、好ましくは6〜9の範
囲、培養温度は20〜45℃、好ましくは25〜35℃
の範囲で1〜10日間好気的に行い、活性が最大となる
まで1〜10日間培養すればよい。 【0024】一般に、S,S−エチレンジアミン−N,
N’−ジコハク酸生産反応は、前記の金属化合物、およ
びエチレンジアミンとフマル酸を含む水溶液中で、上記
菌体または該菌体処理物(乾燥菌体、菌体の破砕物、粗
・精製酵素、固定化菌体・酵素など)を接触させること
により行われるが、菌体培養液に、金属化合物およびエ
チレンジアミンとフマル酸を直接添加しても行うことが
できる。 【0025】反応温度やpHにより異なるが、フマル酸
の濃度は0.01M〜飽和濃度、好ましくは0.02〜
1.2Mの範囲であり、エチレンジアミンの濃度は0.
01M〜2M、好ましくは0.015〜1Mの範囲であ
る。金属化合物の量は生成するS,S−エチレンジアミ
ン−N,N’−ジコハク酸の理論量に対して、通常、金
属として0.01〜2倍モルである。金属化合物は、反
応開始時に一括して添加しても、反応途上で添加しても
構わない。微生物などの使用量は基質に対する乾燥菌体
換算で、通常、0.01〜5重量%である。反応液のp
Hは4〜11、好ましくは6〜10の範囲である。 【0026】反応は、通常5〜60℃、好ましくは10
〜55℃の範囲で行うが、反応速度の面では高い温度が
有利である。しかしながら、フマル酸とエチレンジアミ
ンからS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク
酸が生成する反応も、それが金属錯体を形成する反応も
発熱反応であるため、反応収率の面からいえば低い温度
が有利である。したがって、反応は、初期には高い温度
で、後期には低い温度で行うことも可能である。 【0027】反応は回分、連続のいずれの方法でも行う
ことができる。また、原料がいずれかに関わらず、エチ
レンジアミン、フマル酸を他化合物から合成し得る反応
系を、本反応系に共存させたとしても、本発明の要旨と
する効果が得られる限り差し支えない。 【0028】S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジ
コハク酸の金属錯体を必要とする場合には、所定の金属
のイオンの存在下で反応を行った後、pH調整、濃縮、
その他の操作により目的化合物を直接得ることができ
る。一方、反応終了液からS,S−エチレンジアミン−
N,N’−ジコハク酸を採取するには、通常、鉱酸によ
る酸析が行われる。しかしながら、鉄等の重金属のイオ
ンの存在下に反応を行った場合のように、酸析のpHで
安定な錯体を形成している系においては、酸析以前に該
金属のイオンを除去する操作が必要である。したがっ
て、S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸
を必要とする場合には、酸析に際し上記のような除去操
作を省略できるカルシウム等のアルカリ土類金属(ただ
し、マグネシウムを除く)のイオンの存在下に反応を行
うことが効率的である。 【0029】 【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 【0030】実施例1 (1)培養 Brevundimonas sp. TN−3株、Sphingomonas sp.TN
−28株およびPseudomonas sp. TN−131株を斜面
培地から1白金耳取り、下記の培地に接種し、30℃、
4日間好気的に振とう培養した。 【0031】 培地組成(pH7.5,100ml) エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸 0.2g グルコース 0.2g 酵母エキス 0.1g ポリペプトン 0.05g 硫酸マグネシウム・7H2 O 0.1g 硫酸ナトリウム 0.28g 燐酸緩衝液 25mM 金属塩混合物溶液* 0.5ml 【0032】*金属塩混合物溶液(100ml);塩化
マグネシウム・6H2 O 8g,塩化カルシウム 0.
8g,硫酸マンガン・4H2 O 0.6g,塩化第二鉄
・6H2 O 0.12g,硫酸亜鉛 0.06g 【0033】(2)フマラーゼ等を除去した活性画分の
取得 菌体培養液20mlを遠心管に取り10,000rp
m、5℃、15分間遠心分離し菌体を集めた後、50m
Mリン酸緩衝液で2回洗浄した。得られた菌体に対し5
0W、5分間の超音波処理を行い、10,000rp
m、20分間の遠心分離により粗酵素液を得た。さら
に、60%飽和硫安沈殿、透析による脱塩の後、50m
Mリン酸緩衝液で平衡化されたDEAE−セファセル
〔ファルマシア〕に吸着させ、同緩衝液から、0.6M
食塩を含む同緩衝液までの直線勾配法で溶出させた。さ
らに、必要に応じ、同条件で、DEAE−セファセルの
代わりにHPLC〔TSK-gel DEAE-5PW(東ソー)〕を用
い、フマラーゼ等のフマル酸減少活性をできる限り除去
した画分を得た。 【0034】(3)反応 反応液は、68.4mMフマル酸と34.2mMエチレ
ンジアミン、200mMほう酸緩衝液、17.1mM
(金属としての濃度)の表1に示す金属化合物、上記活
性画分を含み、6N水酸化ナトリウムによってpH8に
調整したものを用い、30℃で10日間反応させた。反
応液のpHは、6N硫酸、6N水酸化ナトリウムを用い
て8に保った。尚、比較のため、金属化合物を含まない
系についても同様に反応を行った。反応終了液中の生成
物であるS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハ
ク酸(S,S−EDDS)の定量は、15,000rp
m、5℃で5分間遠心分離後の上清を WAKOSIL 5C8(和
光純薬)〔溶出液;10mM 水酸化テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムと0.4mM CuSO4 を含む50m
M燐酸pH2〕およびMCI GEL CRS 10W (三菱化学)
〔溶出液;10mM CuSO4 〕による液体クロマト
グラフィーで行った。また、S,S−EDDSの分離精
製は、T, Nishikiori et al., J. Antibiotics 37, 426
(1984)に記載のイオン交換樹脂を用いる手法で行い、結
晶を取得した後にNMRとマススペクトルによる分析で
化学構造の確認を行った。 【0035】(4)結果 【0036】実施例2 (1)培養 実施例1と同様に行った。 (2)フマラーゼ等を除去した活性画分の取得 実施例1と同様に行った。 (3)反応 金属化合物として塩化カルシウムおよび硫酸マンガンを
使用した以外は実施例1と同様に行った。 【0037】(4)結果 【0038】参考例1 次に、実施例1および2で得られたS,S−EDDS生
成量 (mM)が、平衡点における生成量であることを確か
めた。 (1)培養 Brevundimonas sp. TN−3株を実施例1と同様の条件
で培養した。 (2)フマラーゼ等を除去した活性画分の取得 実施例1と同様に行った。 【0039】(3)反応 反応液は、34.2mMS,S−EDDS、200mM
ほう酸緩衝液、17.1mM(金属としての濃度)の表
3に示す金属化合物、上記活性画分を含み、6N水酸化
ナトリウムによってpH8に調整したものを用い、30
℃で10日間、S,S−EDDSの分解がほぼ見られな
くなるまで反応させた。反応液のpHは6N硫酸、6N
水酸化ナトリウムを用いて8に保った。尚、比較のた
め、金属化合物を含まないものについても同様に反応を
行った。反応液中のS,S−EDDSは、実施例1と同
様の方法で定量した。 【0040】【0041】実施例3 (1)培養 Brevundimonas sp. TN−3株を実施例1と同様の条件
で培養した。 (2)フマラーゼ等を除去した活性画分の取得 実施例1と同様に行った。 【0042】(3)反応 反応液は、68.4mMフマル酸と34.2mMエチレ
ンジアミン、200mMほう酸緩衝液、表4に示す濃度
の硫酸第二鉄、上記活性画分を含み、6N水酸化ナトリ
ウムによってpH8に調整したものを用い、30℃で4
〜10日間、S,S−EDDSの生成がほぼ見られなく
なるまで反応させた。反応液のpHは6N硫酸を用いて
8に保った。尚、比較のため、硫酸第二鉄を含まないも
のについても同様に反応を行った。反応液中のS,S−
EDDSは、実施例1と同様の方法で定量した。 【0043】 【0044】実施例4 (1)培養 Brevundimonas sp. TN−3株を実施例1と同様の条件
で培養した。 (2)フマラーゼ等を除去した活性画分の取得 実施例1と同様に行った。 【0045】(3)反応 反応液は、68.4mMフマル酸と34.2mMエチレ
ンジアミン、200mMほう酸緩衝液、17.1mM硫
酸第二鉄(鉄として34.2mM)、上記活性画分を含
み、6N水酸化ナトリウムによってpH8に調整したも
のを用い、20、30、40℃で4〜10日間、S,S
−EDDSの生成がほぼ見られなくなるまで反応させ
た。反応液のpHは6N硫酸を用いて8に保った。尚、
比較のため、硫酸第二鉄を含まないものについても同様
に反応を行った。反応液中のS,S−EDDSは、実施
例1と同様の方法で定量した。 【0046】【0047】実施例5 (1)培養 Brevundimonas sp. TN−3株を実施例1と同様の条件
で培養した。 (2)フマラーゼ等を除去した活性画分の取得 実施例1と同様。 【0048】(3)反応 反応液は、68.4mMフマル酸と34.2mMエチレ
ンジアミン、200mMほう酸緩衝液、17.1mM硫
酸第二鉄(鉄として34.2mM)、上記活性画分を含
み、6N水酸化ナトリウムによってpH6、7、8 9
に調整したものを用い、30℃で4〜10日間、S,S
−EDDSの生成がほぼ見られなくなるまで反応させ
た。反応液のpHは6N硫酸を用いてそれぞれ一定に保
った。尚、比較のため、金属化合物を含まないものにつ
いても同様に反応を行った。反応液中のS,S−EDD
Sは、実施例1と同様の方法で定量した。 【0049】 【0050】実施例6 (1)培養 Brevundimonas sp. TN−3株を実施例1と同様の条件
で培養した。 (2)フマラーゼ等を除去した活性画分の取得 実施例1と同様に行った。 【0051】(3)反応 反応液は、342mMフマル酸、171mMエチレンジ
アミン、金属として171mMの水酸化カルシウムまた
は水酸化第二鉄、上記活性画分を含み、6N水酸化ナト
リウムによって表7に示すpHに調整したものを用い、
30℃で10〜20日間、S,S−EDDSの生成がほ
ぼ見られなくなるまで反応させた。反応液のpHは6N
水酸化ナトリウムまたは6N硫酸を用いてそれぞれ一定
に保った。尚、比較のため、水酸化カルシウムおよび水
酸化第二鉄を含まないものについても同様に反応を行っ
た。反応液中のS,S−EDDSは、実施例1と同様の
方法で定量した。 【0052】 【0053】実施例7 (1)培養 Burkholderia sp.KK−5株、同KK−9株、Acidovor
ax sp. TN−51株、Pseudomonas sp. TN−131
株、Paracoccus sp.KK−6株、Sphingomonassp.TN
−28株、Brevundimonas sp. TN−30株および同T
N−3株を斜面培地から1白金耳取り、実施例1記載の
培地に接種し、30℃、3日間好気的に振とう培養し
た。 【0054】(2)菌体の取得 菌体培養液20mlを遠心管に取り、10,000rp
m、5℃、15分間遠心し菌体を集めた後、50mMほ
う酸緩衝液pH8.0で2回洗浄した。 【0055】(3)反応 反応液は、200mMフマル酸と200mMエチレンジ
アミン、100mMの水酸化第一鉄または水酸化第二
鉄、上記菌体を含み、6N水酸化ナトリウムによってp
H8に調整したものを用い、30℃で24時間、振とう
しながら反応させた。尚、比較のため、水酸化第一鉄お
よび水酸化第二鉄を含まないものについても同様に反応
を行った。反応液中のS,S−EDDSは、実施例1と
同様の方法で定量した。 【0056】 【0057】 【発明の効果】特定の金属のイオンを存在させることに
より、反応収率を向上させると共に、適宜、S,S−エ
チレンジアミン−N,N’−ジコハク酸またはその金属
錯体を効率的に製造し得る。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 リアーゼ活性を有する微生物または該処
理物の作用により、エチレンジアミンとフマル酸の混合
物からS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク
酸を製造するに際し、該反応系にアルカリ土類金属(た
だし、マグネシウムを除く)、鉄、亜鉛、銅、ニッケ
ル、アルミニウム、チタニウムおよびマンガンからなる
群から選ばれる少なくとも一種の金属のイオンを存在さ
せることを特徴とするS,S−エチレンジアミン−N,
N’−ジコハク酸の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22206697A JP3450663B2 (ja) | 1996-08-20 | 1997-08-05 | S,s−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の製造法 |
Applications Claiming Priority (5)
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JP8-235797 | 1996-08-20 | ||
JP08235797 | 1996-08-20 | ||
JP9-31399 | 1997-01-31 | ||
JP3139997 | 1997-01-31 | ||
JP22206697A JP3450663B2 (ja) | 1996-08-20 | 1997-08-05 | S,s−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の製造法 |
Publications (2)
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- 1997-08-05 JP JP22206697A patent/JP3450663B2/ja not_active Expired - Lifetime
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