JP3448780B2 - ニトログリセリン貼付剤 - Google Patents

ニトログリセリン貼付剤

Info

Publication number
JP3448780B2
JP3448780B2 JP04800493A JP4800493A JP3448780B2 JP 3448780 B2 JP3448780 B2 JP 3448780B2 JP 04800493 A JP04800493 A JP 04800493A JP 4800493 A JP4800493 A JP 4800493A JP 3448780 B2 JP3448780 B2 JP 3448780B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nitroglycerin
weight
patch
copolymer
adhesive layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04800493A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06256178A (ja
Inventor
隆司 中川
弘子 塚原
佐藤  誠
力 石田
充士 中野
紀子 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
NOF Corp
Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp, Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd, Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical NOF Corp
Priority to JP04800493A priority Critical patent/JP3448780B2/ja
Publication of JPH06256178A publication Critical patent/JPH06256178A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3448780B2 publication Critical patent/JP3448780B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高吸収性かつ低刺激性
であり貼付性の良好なニトログリセリン貼付剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】狭心症、心筋梗塞、心不全などの心疾患
の治療薬または予防薬としてニトログリセリンが用いら
れている。ニトログリセリンは、例えば静脈注射により
投与すると、一時的かつ急激に血中濃度が上昇するが、
その薬効は極めて短時間しか持続せず、頭痛、めまい、
起立性低血圧などの副作用を引き起こす。そこで、ニト
ログリセリンの血中濃度を比較的長時間にわたり所要の
値に保つために、ニトログリセリンを含有する粘着剤層
が支持体上に設けられた貼付剤を用い、ニトログリセリ
ンを経皮吸収させることが行われている。ニトログリセ
リンは、比較的経皮吸収されやすい薬物であり、そのた
めニトログリセリンの溶解度の低い粘着基剤(例えば、
天然ゴム、ポリイソブチレン、シリコン樹脂など)を用
いると、ニトログリセリンの皮膚への分配率が高くな
り、血液中への吸収速度が大きくなりすぎ、上記静脈注
射の場合と同様に副作用が起きる。ニトログリセリンの
薬効を効果的に得るには、その血中濃度を0.05〜
2.0ng/mlに保つように薬物を持続的に経皮吸収
させることが望ましく、粘着基剤を種々選択することに
よって、ニトログリセリンの経皮吸収速度をコントロー
ルする工夫がなされている。
【0003】特開昭56−133381号、特開昭57
−77617号、特開昭55−2604号および特開昭
63−246325号公報には、上記粘着基剤に比べて
ニトログリセリンの放出速度をコントロールし得る粘着
基剤を使用した貼付剤が記載されている。例えば、特開
昭57−77617号公報には、粘着基剤としてドデシ
ルメタクリレート、アクリル酸などの官能性単量体、特
定の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどを共重合
させて得られる共重合体を用いた貼付剤が記載されてい
る。このような粘着基剤をニトログリセリンとともに適
当な有機溶媒に溶解させて、これを支持体上に塗布し乾
燥させることによって貼付剤が調製される。しかし、こ
の方法では、ドデシルメタクリレートのような比較的柔
軟なポリマーを形成し得る共重合成分を大量に使用して
いるため、得られるポリマーは凝集力が不十分なもので
ある。そのため、該粘着基剤に高濃度でニトログリセリ
ンを投与するためには貼付面積を大きくする必要がある
が、貼付面積を大きくすると、貼付による刺激および違
和感も増大するので好ましくない。
【0004】また、特開昭63−246325号公報に
は、粘着基剤として特定の(メタ)アクリル酸アルキル
エステル共重合体を用いた貼付剤が記載されている。こ
の特定の共重合体は、共重合成分である(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が6以上で
あり、同エステルとして2−エチルヘキシルメタクリレ
ートを40〜90重量%の割合で含有し、そして該共重
合体のポールタック値が2以下であるものである。この
貼付剤は、比較的高濃度のニトログリセリンを含有する
ことができるが、貼付性を満足する範囲の濃度のニトロ
グリセリン含有量では、放出性に限界があった。
【0005】この他に、含浸法によりニトログリセリン
貼付剤を調製する方法もある。この方法では、支持体上
に形成された薬物非含有粘着剤層に、ニトログリセリン
を移行させる。この方法では、ニトログリセリンを高濃
度かつ均一に粘着剤層中に移行させることが難しい。そ
のため、この方法により得られた貼付剤では長時間にわ
たる薬効が得られない。さらに、単位面積あたりのニト
ログリセリン含量が低いため、所定量のニトログリセリ
ンを投与するためには貼付面積を大きくする必要があ
る。
【0006】特表昭61−502760号公報および特
表昭62−502965号公報には、アクリル系の粘着
基剤にニトログリセリンを高濃度(約20〜60重量
%)で配合することにより、ニトログリセリンの放出速
度を高めた貼付剤が記載されている。しかし、これらの
貼付剤では、ニトログリセリンが高濃度で粘着基剤中に
存在するため、爆発の危険性が高い。さらに、高濃度の
ニトログリセリンを含有させるために、粘着基剤に極性
基を導入したり、粘着基剤を架橋させたりしてその凝集
力を高めているが、そのことにより以下のような問題が
生じる。例えば、上記特表昭61−502760号公報
では、ニトログリセリンを混合した後に化学反応により
架橋を行っている。そのため、ニトログリセリンの分解
が起こり分解産物が蓄積する。さらに、上記架橋反応を
完結させることが難しいために、未反応の活性基が残留
する。この薬物分解物や未反応の活性基は、皮膚刺激性
を呈するおそれがある。さらに、これらの凝集力を高め
る処理により、逆にニトログリセリンの放出性が低下す
るという問題も生じる。この問題を解決するために、上
記特表昭62−502965号公報では、ニトログリセ
リンの放出性を増大させるための吸収助剤を使用してい
る。しかし、一般に界面活性能を持つ吸収助剤は皮膚刺
激性を有し、貼付剤の成分として好ましくない。
【0007】その他、粘着基剤の種類を選択すること以
外の方法でニトログリセリンの経皮吸収をコントロール
する貼付剤も提案されている。例えば、特公昭54−1
6566号公報には、支持体上にニトログリセリンを高
濃度で含有する貯蔵層を設け、この上に微孔を有する制
御膜と粘着剤層とを順次積層した貼付剤が開示されてい
る。特開昭55−94316号、特開昭57−1452
2号、特開昭57−500831号および特開昭57−
59806号公報には、ニトログリセリンを含有させた
ポリビニルアルコールなどの非粘着性基剤に、皮膚表面
に密着させるための粘着剤層を積層した貼付剤が開示さ
れている。特開昭59−207149号および特開昭5
6−125311号公報には、支持体上にニトログリセ
リンを異なる濃度で含有する基剤を複数積層し、さらに
その上に粘着剤層を積層した貼付剤が開示されている。
また、微孔膜を用いてマイクロカプセル化したニトログ
リセリンを含有する粘着剤層が形成された貼付剤も提案
されている。しかし、これらの貼付剤は、いずれも製造
工程が複雑であり、容易かつ安価に得ることのできない
ものである。
【0008】また、ニトログリセリンに限らない貼付剤
では、薬物吸収性や貼付性の改良について多価アルコー
ルを利用した改良が行われており、特開昭61−186
316号公報には、水溶性高分子に吸収促進剤と共に多
価アルコールを添加することで、生物学的利用率を高め
た製剤が記載されている。さらに特開昭63−2036
13号公報には、水溶性高分子に架橋剤と多価アルコー
ルを添加して皮膚に対するなじみを良くし、かつ粘着力
を維持させた貼付剤が記載されている。しかし、前者の
場合には柔軟なフィット感は得られるが粘着剤層の凝集
力と粘着力の調節が難しい。後者の場合は、上述したと
おり、架橋剤の存在によって薬物分解物や未反応活性基
による皮膚刺激性の生じる危険性がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ニト
ログリセリンの放出が改善されて体内への透過促進が充
分発揮され、柔軟なフィット感を有しながらも剥離時の
糊残りや機械的皮膚刺激、および粘着剤層の粘着力の低
下がない、ニトログリセリン貼付剤を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による貼付剤は、
上記目的を達成すべく工夫されたものであって、支持体
の片面に(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合
体、ニトログリセリン、放出助剤および無水ケイ酸を含
有する粘着剤層が設けられた貼付剤において、該共重合
体の含有量が35〜84重量%、該ニトログリセリンの
含有量が10〜30重量%、該放出助剤の含有量が1〜
15重量%、そして該無水ケイ酸の含有量が5〜20重
量%であり、該共重合体は、共重合成分である(メタ)
アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が6
以上であり、同エステルとしてオクチルメタクリレート
が40〜90重量%の割合で含まれ、かつポールタック
値が2以下であるものであり、該放出助剤は、分子量が
1,500〜50,000であり、ポリオキシアルキレ
ングリコール、そのブロック共重合体およびこれらの誘
導体よりなる群から選ばれた少なくとも1つのポリマー
である、ニトログリセリン貼付剤である。
【0011】以下、本発明によるニトログリセリン貼付
剤の構成成分および調製法について詳述する。
【0012】 イ) (メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体 本発明によるニトログリセリン貼付剤には、粘着剤層の
主構成成分である粘着基剤として、極性基を持たない
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が使用さ
れる。この(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合
体の共重合成分である(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルは、そのアルキル基の炭素数が6以上のものであ
る。上記アルキル基の炭素数が6未満であると、共重合
体とニトログリセリンとの親和力が大きすぎるため、ニ
トログリセリンの皮膚への分配率が低く、ニトログリセ
リンの経皮吸収性が劣る。アルキル基の炭素数が6以上
である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例として
は、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘ
キシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)ア
クリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−
ドデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メ
タ)アクリレート、ジメチルブチル(メタ)アクリレー
ト、ジメチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチ
ルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。こ
のような(メタ)アクリル酸アルキルエステルで構成さ
れる共重合体に対するニトログリセリンの飽和溶解度
は、約30重量%以下である。
【0013】さらに、上記共重合体を構成する(メタ)
アクリル酸アルキルエステルのうち40〜90重量%、
好ましくは60〜80重量%は、アルキル基の炭素数が
8であるオクチルメタクリレートであり、例えば2−エ
チルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレ
ート、ジメチルヘキシルメタクリレートなどである。
【0014】このように、(メタ)アクリル酸アルキル
エステルのアルキル基の炭素数が6以上であり、かつオ
クチルメタクリレートを上記範囲で含有する共重合体に
対するニトログリセリンの溶解度は、約10〜30重量
%である。
【0015】上記共重合体とニトログリセリンとを混合
すると、共重合体が適度な極性を有し、該共重合体とニ
トログリセリンとの親和性が適切であるため、長時間に
わたり所定の速度でニトログリセリンが皮膚に分配され
る。該共重合体の構成成分中のオクチルメタクリレート
含量が40重量%未満であると、ニトログリセリンを高
濃度で配合した場合に、粘着基剤の凝集力が低下し、粘
着剤層が過度に軟化する。そのため、貼付剤を皮膚面か
ら剥離したときに、いわゆる糊残りを生じる。そして粘
着力が強くなるため、貼付剤の剥離時に痛みを伴うこと
もある。逆に、オクチルメタクリレート含量が90重量
%を越える場合には、粘着剤層が硬くなって粘着力に乏
しいため、貼付剤を皮膚に貼付したときにこれが剥がれ
やすくなる。オクチルメタクリレート以外の共重合成分
は、得られる共重合体のボールタック値が2以下となる
ように、上記共重合体成分のうちから適宜選択される。
【0016】本発明における共重合体としては、そのボ
ールタック値が2以下のものが使用される。ボールタッ
ク値が2を越えると、得られる貼付剤は、糊残りの生じ
易いものとなる。
【0017】ボールタック値は、共重合体層の厚み約5
0〜100μmを有するテープ試験片を作成し、JIS
Z0237の粘着テープ粘着シート試験方法に準じ、
測定する。
【0018】上記共重合体には、必要に応じて微量のラ
ジカル重合性の多官能性単量体が、共重合成分として含
有されてもよい。多官能性単量体は、ビニル基、アリル
基などのラジカル重合性の官能基を1分子中に2個以上
有する単量体であり、例えば、ジビニルベンゼン、メチ
レンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどがある。
これらの多官能性単量体が共重合時に加えられている
と、共重合により高重合度のものが得られるため、最終
的に得られる粘着基剤は凝集性に優れ、いわゆる糊残り
現象を生じない。多官能性単量体は、共重合体を構成す
る全単量体の0.1重量%以下、通常0.01〜0.1
重量%の割合で使用される。この割合が0.1重量%を
越えると、重合時にゲル化が起こり均一な重合体溶液が
得られない。
【0019】共重合体は、通常の溶液重合法(ラジカル
重合法)などにより調製される。例えば、上記オクチル
メタクリレートを含む2種以上の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルおよび必要に応じて多官能性単量体と溶
媒とを反応容器に仕込み、過酸化物などを触媒として添
加し、60〜100℃にて窒素雰囲気下で攪拌しながら
重合反応を行う。このようにして得られるボールタック
値が2以下の共重合体は、それ自体実質的に粘着性を持
たない。しかし、この共重合体にニトログリセリンが加
えられると、ニトログリセリンの可塑化作用により適当
な粘着性が発現されるようになる。上記共重合体は粘着
剤層の重量に対して35〜84重量%、好ましくは45
〜75重量%の割合で粘着剤層に含有される。
【0020】ところで、一般にアクリル系粘着基剤を貼
付剤に用いる場合には、適当な凝集性を確保するため
に、カルボキシル基、水酸基、アミド基などの極性基
を有する単量体を共重合成分として粘着基剤を調製する
方法や、粘着剤層形成後、金属イオン架橋、ウレタン
架橋、エポキシ架橋、メラミン架橋、過酸化物や電子線
によるラジカル反応による架橋などを行う方法が採用さ
れている。しかし、上記の方法が適用されると極性基
とニトログリセリンとの親和性が強すぎるためにニトロ
グリセリンの皮膚への分配率が低下する。さらに、粘着
基剤を充分に柔らかくすることができないため、ニトロ
グリセリンの拡散係数を大きくすることに限界があり、
ニトログリセリンの放出速度が低下する。の方法が適
用されると、架橋反応中にニトログリセリンの分解が起
こること、架橋により粘着剤層の柔らかさが充分でなく
なることなどのために、やはりと同様にニトログリセ
リンの放出速度が低下する。
【0021】これに対して、本発明においては、上記の
ように特定組成を有しポールタック値が2以下の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を使用し、該
共重合体とニトログリセリンと無水ケイ酸とを配合する
ことにより、粘着性を発現させると同時に、良好な凝集
性を付与している。したがって、上記従来法のようにニ
トログリセリンの放出速度が低下することがない。
【0022】ロ)無水ケイ酸 本発明によるニトログリセリン貼付剤の粘着剤層には、
さらに、粘着剤層の凝集力を改善する目的で無水ケイ酸
が配合される。無水ケイ酸の配合量は、粘着基剤の組
成、ニトログリセリンおよび放出助剤の配合量によって
調整されるが、通常、粘着剤層の重量に対して5〜20
重量%、好ましくは8〜18重量%の割合である。この
割合が5重量%未満であると凝集力の向上効果が小さ
く、20重量%を越えると粘着剤層の粘着性がなくな
る。好ましくは粒径約0.01〜数10μmの微粉末状
の無水ケイ酸(酸化ケイ素よりなる)が用いられる。無
水ケイ酸としては表面に水酸基を有する親水性のものが
一般的であるが、表面がジメチルシラノール基で覆われ
た疎水性の無水ケイ酸もある。このような疎水性無水ケ
イ酸は、上記表面に水酸基を有する無水ケイ酸粒子をジ
メチルジクロルシランで処理して得られる。
【0023】無水ケイ酸として親水性無水ケイ酸のみを
用いた場合に、その配合量が粘着剤層の約5重量%以上
になると、粘着剤層のチクソトロピー性が大きくなりす
ぎ、通常のロールコーターやブレードによる塗工が困難
となる場合がある。しかも、得られた粘着剤層は吸湿し
やすくなるため、これを皮膚表面に貼付した場合に剥が
れ易いことがある。これらの点を解消するには、親水性
無水ケイ酸と疎水性無水ケイ酸の組合せを用いることが
好ましい。親水性無水ケイ酸と疎水性無水ケイ酸との好
ましい配合割合は、無水ケイ酸全量に対して親水性無水
ケイ酸が20〜80重量%、そして疎水性無水ケイ酸が
80〜20重量%の割合である。疎水性無水ケイ酸の割
合が20重量%未満であると、塗工性や貼付性が充分に
改善されず、80重量%を超えると粘着基剤の凝集力を
向上させる効果が少なくなる。
【0024】このように、粘着剤層に無水ケイ酸を配合
すると、粘着剤層全体の凝集力および硬さが増して粘着
力は低下する。しかし、粘着剤層中で粘着基剤とニトロ
グリセリンとが相溶している部分の粘度は無水ケイ酸の
添加によって変化しないので、粘着剤層中のニトログリ
セリンの拡散速度も無水ケイ酸の添加に影響されないと
考えられる。したがって無水ケイ酸を添加することによ
って、ニトログリセリンの放出速度を低下させることな
く、粘着剤層の凝集力を向上させ、硬さを高めることが
できる。
【0025】ハ) 放出助剤 本発明によるニトログリセリン貼付剤の粘着剤層中に
は、さらにニトログリセリンの放出性を高める目的で放
出助剤が配合される。放出助剤は、ポリオキシアルキレ
ングリコール、そのブロック共重合体およびこれらの誘
導体よりなる群から選ばれた少なくとも1つのポリマー
である。
【0026】ポリオキシアルキレングリコールは、炭素
数2〜4のオキシアルキレン単位の繰り返し構造を有す
るものであって、具体的にはポリオキシエチレングリコ
ール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブ
チレングリコールが例示され、ポリオキシアルキレング
リコールのブロック共重合体としては、ポリオキシエチ
レングリコール−ポリオキシプロピレングリコール・ブ
ロック共重合体が例示され、ポリオキシアルキレングリ
コールまたはそのブロック共重合体の誘導体としては、
エチレンジアミンのポリオキシエチレングリコール−ポ
リオキシプロピレングリコール・ブロック縮合体が例示
される。これらの中でもポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチ
レングリコール−ポリオキシプロピレングリコール・ブ
ロック共重合体などが好適に用いられる。
【0027】これらのポリマーの種類および配合量は、
粘着基剤との相溶性、必要とされる放出促進効果および
柔軟性の程度によって設定される。親水性の高いポリオ
キシエチレングリコールでは、ポリオキシプロピレング
リコールに比べて放出促進効果は高いが、粘着基剤との
相溶性が低くなり、また外観的には吸水時に粘着基剤の
白化が起きやすい。ポリオキシエチレングリコール−ポ
リオキシプロピレングリコール・ブロック共重合体は、
各々の重合比と分子量を調節することで放出促進効果と
相溶性のバランスをとることが可能である。
【0028】これらのポリマーの分子量については、分
子量が低い方が粘着基剤に対する可塑化効果が高く、粘
着基剤中への分散・溶解が速い。また、重量当りの水酸
基の数が多いため、吸水速度が高く、それによる放出促
進効果も高いと考えられる。しかし、分子量があまり低
いと揮散性が高く、製剤調製工程の塗工時にかなりの量
を損失することになる。また、放出助剤が投与前にブリ
ーディングしてしまい、粘着基剤層表面に液膜を生じて
初期粘着性を落とすことがある。貼付した後も放出助剤
が皮膚からの水分を吸収すると、粘着基剤中に溶けきれ
なくなって水分と共に表面にブリーディングし、貼付剤
の剥れが生じることもある。さらに、これらの放出助剤
は元来低刺激性のものとして知られているが、低分子量
の場合は放出助剤自身が皮膚に浸透するために、予期し
ない生体反応が生じ、皮膚刺激を発現する可能性もあ
る。このような点から、放出助剤として用いるポリオキ
シエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコー
ル、およびポリオキシエチレングリコール−ポリオキシ
プロピレングリコール・ブロック共重合体の分子量は
1,500〜50,000であることが適当である。
【0029】本発明によるニトログリセリン貼付剤では
放出助剤は通常粘着剤層に1〜15重量%の範囲で配合
される。この割合が1%以下であると放出促進の効果が
充分ではなく、15%以上であると放出助剤と粘着基剤
との相溶性が悪化したり、放出助剤が表面ににじみ出た
り粘着性を低下させたりする。
【0030】ニ) ニトログリセリン 本発明によるニトログリセリン貼付剤の粘着剤層には、
ニトログリセリンが好ましくは10〜30重量%の割合
で配合される。この割合が10重量%未満であるとニト
ログリセリンの放出性が充分でなく、30重量%を越え
るとニトログリセリンが粘着基剤に相溶せず、表面にに
じみ出たり粘着性を低下させたりする。Fickの拡散方程
式によれば、薬剤の放出速度と薬剤の濃度とは一次関数
の関係にある。薬剤がニトログリセリンである場合、ニ
トログリセリンの配合量が多くなるほど、粘着剤層の粘
度が低下し、その結果、ニトログリセリンの拡散係数は
ニトログリセリンの配合量が多くなるほど大きくなる。
したがって、ニトログリセリンが高濃度であるほど、拡
散係数が大きくなる分だけ放出速度も増加し、放出速度
は一次関数(比例)以上の増加を示す。さらに、ニトロ
グリセリンの濃度が高くなると、粘着剤層の粘度が低下
して柔らかくなり、柔軟で機械刺激性の小さい優れた貼
付性を発現する。
【0031】ホ) 脂肪酸アルキルエステル 本発明の貼付剤の粘着剤層には、必要に応じて脂肪酸ア
ルキルエステルが添加される。脂肪酸アルキルエステル
を添加することによって、粘着剤層中のニトログリセリ
ンの拡散係数が大きくなる。したがって、粘着基剤にニ
トログリセリンと脂肪酸アルキルエステルとを同時に添
加することにより、ニトログリセリンの放出速度を大幅
に大きくすることができる。脂肪酸アルキルエステルと
しては、好ましくは炭素数約22以下の脂肪酸と炭素数
約22以下の1価または2価以上のアルコールとのエス
テルが使用される。このような脂肪酸アルキルエステル
としては、例えば、中性油脂脂肪酸エステル、ラウリル
酸オクチルエステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリ
スチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチルなどが
挙げられる。これらの脂肪酸アルキルエステルはいずれ
も、皮膚に対する刺激性が少ない油性基剤である。これ
ら脂肪酸アルキルエステルの1種または2種以上の組合
せを、上記共重合体、ニトログリセリン、放出助剤およ
び無水ケイ酸を含む粘着剤層に配合すると、脂肪酸アル
キルエステルは、共重合体とニトログリセリンおよび放
出助剤との混合相に相溶して混合相の粘度を低下させ
る。このことによりニトログリセリンの拡散係数が大幅
に増大し、粘着剤層からのニトログリセリンの放出性を
高める。そして、柔軟で機械刺激性の小さい優れた粘着
性を発現する。脂肪酸アルキルエステルの配合量は、2
0重量%以下であることが好ましい。この割合が20重
量%を越えると、脂肪酸アルキルエステルが粘着剤層中
に相溶しにくくなる。
【0032】ヘ) 支持体 支持体は、柔軟であるが貼付剤に自己支持性を付与し、
かつ粘着剤層中の薬物の揮散や移行を防止する役目を果
たす。支持体の素材としては、酢酸セルロース、エチル
セルロース、ポリエチレンテレフタレート、可塑化酢酸
ビニル−塩化ビニル共重合体、ナイロン、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピ
レン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、アルミニウムなど
がある。これら素材はたとえば単層のシートないしフィ
ルムや2枚以上の積層体として用いられる。アルミニウ
ム以外の素材は織布や不織布として使用してもよい。支
持体としては、皮膚面に対して追従性を有する素材より
なるものが好適に用いられ、特にポリエチレンフィル
ム:ポリエチレンテレフタレートとエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体とのラミネートフィルムなどが好ましい。支
持体の厚みは500μm以下、好ましくは5〜150μ
mである。
【0033】ト) 剥離紙 本発明による貼付剤は、通常、使用時までその粘着剤層
表面を保護するために通常はその貼付面に剥離紙を有し
ている。剥離紙としてはポリエチレンテレフタレートの
フィルムをシリコン処理してなるものがよく用いられる
が、剥離紙はこれに限定されない。剥離紙の厚みは10
0μm以下、好ましくは5〜50μmである。
【0034】チ) 調製法 本発明によるニトログリセリン貼付剤は、例えば、上記
共重合体、ニトログリセリン、放出助剤および必要に応
じて脂肪酸アルキルエステルを適当な有機溶媒に溶解さ
せ、この溶液に無水ケイ酸を混合し、この混合液を支持
体上に塗布・乾燥することによって調製される。あるい
は上記剥離紙上に上記混合液を塗布・乾燥した後、得ら
れた粘着剤層を支持体に密着させることによって調製さ
れる。ニトログリセリンは上記のように粘着剤層中に約
10〜30重量%となるように配合されるが、製造工程
で数%が発揮するため、調製時には上記量よりもやや過
剰に配合することが好ましい。ここで、上記溶媒として
は、溶解性パラメータが8.9〜9.9である溶媒系が
好ましく使用される。このような溶媒は、トルエン、プ
ロピオン酸メチル、ジクロルエタン、ジクロルプロパ
ン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、クロ
ロホルム、メチルエチルケトン、ペンタクロルエタン、
酢酸メチル、トリクロルエタン、テトラクロルエタン、
ジクロロエタン、アセトンなどである。複数種の溶媒を
組合せて溶解性パラメータを上記範囲に調整してもよ
い。上記溶媒系は、共重合体、放出助剤、共重合体およ
び必要に応じて脂肪酸アルキルエステルを均一に溶解さ
せることが可能である。
【0035】高分子量の放出助剤のうちには溶解に時間
のかかるものがある。このような場合は放出助剤を溶媒
に適当な濃度で混合し、これを60℃程度に加温するか
超音波によって溶解させ、この溶液をニトログリセリ
ン、放出助剤、共重合体および必要に応じて脂肪酸アル
キルエステルの混合液に加える。
【0036】さらに、上記溶媒系は、乾燥時に比較的低
温で短時間のうちに除去することができるため、ニトロ
グリセリンの揮散量を最小限とすることができる。溶解
性パラメータが8.9未満の溶媒系を用いた場合には、
溶媒と共重合体との親和力が強いため、溶媒の除去およ
び共重合体の乾燥に高温で長時間を要する。そのため、
ニトログリセリンの揮散量が大きく、危険でもある。他
方、溶解性パラメータが9.9以上の極性溶媒系を用い
ると、共重合体が均一に溶解しにくくなる。
【0037】ニトログリセリン、放出助剤、共重合体、
無水ケイ酸および脂肪酸エステルを含有する混合液を支
持体または剥離紙上に塗工して形成される粘着剤層の乾
燥は、ニトログリセリンの揮発を最小限とするため、通
常は室温〜100℃前後で行われる。さらに必要に応じ
て、ニトログリセリンの放出性、貼付性を損なわない範
囲で、上記混合液に抗アレルギー剤、抗酸化剤、脱臭剤
などが添加される。
【0038】
【作用】本発明に用いた(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル共重合体は、極性基を持たないため、ニトログリ
セリンを加えていくとその量が多くなるにつれて粘着剤
層は軟らかくなり(ニトログリセリンの可塑化作用)、
ニトログリセリンの拡散係数が大きくなり、そのためニ
トログリセリンの放出性が高くなる。したがって、ニト
ログリセリンの放出速度は、粘着剤層中のニトログリセ
リンの濃度の増加以上に増大する。
【0039】さらに、本発明による貼付剤は、ポリオキ
シアルキレングリコール、そのブロック共重合体および
これらの誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1つ
の放出助剤を含むことにより、ニトログリセリンの粘着
剤層からの放出性をさらに高めることができる。放出助
剤は、皮膚からの水分を粘着剤層中に呼び込んで水分と
相溶し、ニトログリセリンの放出速度を上げると考えら
れる。この吸水作用は放出助剤を親水性無水ケイ酸と併
用することで大きな効果をもたらす。また、放出助剤は
粘着基剤に対して可塑化作用を持ち、これがニトログリ
セリンを溶解し、皮膚への浸透性を高めていると考えら
れる。
【0040】本発明の貼付剤に用いた無水ケイ酸は、放
出助剤との併用でニトログリセリンの放出性を促進する
だけでなく、粘着剤層の凝集力を向上させている。この
作用は、アクリル酸アルキルエステルに極性基を有する
モノマーを共重合させて凝集力を上げる上記従来方法で
も、また、架橋剤を併用することにより凝集力を上げる
方法でも達成されない。それは、これらの方法では、凝
集力が上がると同時に粘着剤層が硬くなり、ニトログリ
セリンの粘着剤層中での拡散係数が小さくなるからであ
る。このように、本発明による貼付剤では、特定の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルを使用することにより
初めて、高い放出性を維持しながら所要の貼付性を満足
する凝集力を発現せることができる。
【0041】さらに、本発明においては、必要に応じて
脂肪酸アルキルエステルを添加することにより、凝集力
を確保しながら粘着剤層を柔軟にしてニトログリセリン
の放出速度を高めることができる。
【0042】本発明の貼付剤では、粘着剤層の粘着力は
比較的低いが、粘着剤層が柔軟であるため、皮膚への密
着性が高く、剥がれにくい。そして、粘着力が弱いた
め、引き剥し時に角質が剥離したり、毛がむしり取られ
て皮膚を引っ張るという機械的刺激が生じることが極め
て少なく、粘着剤層の凝集力が大きいため、貼付剤の引
き剥し時に糊残りを生じることがない。
【0043】本発明の貼付剤では、粘着剤層中における
ニトログリセリンの拡散係数が大きいので、界面活性剤
などの吸収助剤を用いる必要がなく、皮膚刺激性を少な
くすることができる。さらに架橋反応による未反応活性
基や薬物分解物が存在しないので、皮膚刺激性の少ない
貼付剤を得ることができる。
【0044】さらに、本発明の貼付剤に含有されるニト
ログリセリンの濃度は、10〜30重量%と中等度の濃
度であり、30重量%以上の比較的高濃度の製剤と比較
して、爆発に対する安全性が高い。
【0045】本発明によるニトログリセリン貼付剤は、
粘着剤層と支持体の2層構造をなすものであり、複雑な
製造工程を必要とせず、容易かつ安価に製造することが
できる。
【0046】
【実施例】つぎに、本発明を具体的に説明するために、
本発明の一例を示す実施例およびこれとの比較を示す比
較例をいくつか挙げ、さらに得られた各貼付剤の性能試
験結果を示す。
【0047】実施例1 i) 温度計、撹拌機、窒素導入管および還流冷却器を
備えた40リットルの重合反応器内に、メタクリル酸ド
デシル2286g、メタクリル酸2−エチルヘキシル1
4256g、アクリル酸2−エチルヘキシル1656
g、ヘキサンジオールジメタクリレート2.3gおよび
酢酸エチル8500gを仕込み、この混合物を窒素気流
下にて攪拌しながら80℃に加熱した。ついで、この反
応液に、シクロヘキサン1500gに過酸化ラウロイル
16gを溶かした重合開始剤溶液を6時間かけて滴下
し、重合反応を行った。
【0048】こうして、重量平均分子量1.05×10
6 で固形分58重量%の(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル共重合体Aの溶液を得た。
【0049】ii) 粘着基剤として上記共重合体A(乾
燥後の粘着基剤として53.8重量%)に、乾燥後の重
量換算値で、薬物としてニトログリセリンの10重量%
酢酸エチル溶液(乾燥後の粘着基剤として21.3重量
%)、放出助剤としてポリオキシエチレングリコール−
ポリオキシプロピレングリコール・ブロック共重合体
(旭電化社製「プルロニックL64」、PN−L64と
略記する)5.2重量%、無水ケイ酸として親水性無水
ケイ酸(日本アエロジル社製「アエロジル200」、A
200と略記する)7.1重量%および疎水性無水ケイ
酸(日本アエロジル社製「アエロジルR972」、R9
72と略記する)7.1重量%、および脂肪酸アルキル
エステルとしてミリスチン酸イソプロピル(局外規品、
IPMと略記する)5.5重量%を配合した。ついで、
これらをディゾルバーで均一に混合し、固形分濃度が3
0重量%になるように酢酸エチル添加により濃度を調整
した後、この液を攪拌・混合して配合物を均一に溶解も
しくは分散させた。
【0050】こうして、塗工液を調製した。
【0051】iii) この塗工液を、シリコン処理したポ
リエチレンテレフタレートからなる厚さ50μmの剥離
紙の片面に、乾燥後の粘着剤層厚が80μmとなるよう
に均一に塗布し、温度60℃で30分加熱乾燥した。つ
ぎに、得られた粘着剤層を厚み40μmのポリエチレン
/エチレン−酢酸ビニル共重合体ラミネートフィルムか
らなる支持体に密着させた。
【0052】こうしてテープ状のニトログリセリン貼付
剤を得た。
【0053】実施例2 放出助剤としてPN−L64の代わりにポリオキシエチ
レングリコール4000(局方品、PEG4000と略
記する)を9.5重量%使用し、その他の成分として実
施例1のものと同じ成分をそれぞれ表1に示す配合量で
使用して、実施例1と同じ操作でテープ状のニトログリ
セリン貼付剤を得た。
【0054】実施例3 無水ケイ酸として親水性無水ケイ酸A200を12.7
重量%使用し、その他の成分として実施例1のものと同
じ成分をそれぞれ表1に示す配合量で使用して、実施例
1と同じ操作でテープ状のニトログリセリン貼付剤を得
た。
【0055】比較例1 無水ケイ酸、放出助剤および脂肪酸アルキルエステルを
使用せず、その他の成分として実施例1のものと同じ成
分をそれぞれ表1に示す配合量で使用して、実施例1と
同じ操作でテープ状のニトログリセリン貼付剤を得た。
【0056】比較例2 無水ケイ酸および放出助剤を使用せず、その他の成分と
して実施例1のものと同じ成分をそれぞれ表1に示す配
合量で使用して、実施例1と同じ操作でテープ状のニト
ログリセリン貼付剤を得た。
【0057】比較例3 放出助剤を使用せず、その他の成分として実施例1のも
のと同じ成分をそれぞれ表1に示す配合量で使用して、
実施例1と同じ操作でテープ状のニトログリセリン貼付
剤を得た。
【0058】比較例4 無水ケイ酸を使用せず、その他の成分として実施例1の
ものと同じ成分をそれぞれ表1に示す配合量で使用し
て、実施例1と同じ操作でテープ状のニトログリセリン
貼付剤を得た。
【0059】比較例5 放出助剤としてPN−L64の代わりにポリオキシエチ
レングリコール200(局方品、PEG200と略記す
る)を9.3重量%使用し、その他の成分として実施例
1のものと同じ成分をそれぞれ表1に示す配合量で使用
して、実施例1と同じ操作でテープ状のニトログリセリ
ン貼付剤を得た。
【0060】比較例6 共重合成分としてアクリル酸ブチル70g、アクリル酸
2−エチルヘキシル130g、およびヘキサンジオール
メタクリレート0.025gを用い、酢酸エチル136
gに加え、これらの混合液を窒素気流下にて攪拌しなが
ら60℃に加熱した。ついで、この反応液に、シクロヘ
キサン10gに過酸化ラウロイル0.6gを溶かした重
合開始剤溶液を分割して添加しながら10時間重合反応
を行った。
【0061】こうして、粘度350,000cPで固形
分59重量%のアクリル系共重合体Bの溶液を得た。
【0062】粘着基剤として上記共重合体Bを用い、そ
の他の成分として実施例3のものと同じ成分をそれぞれ
表1に示す配合量で使用して、実施例1と同じ操作でテ
ープ状のニトログリセリン貼付剤を得た。
【0063】実施例および比較例の粘着基剤の構成成分
および各配合量を表1にまとめて示す。
【0064】
【表1】 PN−L64:ポリオキシエチレングリコール−ポリオ
キシプロピレングリコール・ブロック共重合体 (旭電化社製「プルロニックL64」 PEG4000:ポリオキシエチレングリコール400
0 PEG200:ポリオキシエチレングリコール200 A200:親水性無水ケイ酸(日本アエロジル社製「ア
エロジル200」) R972:疎水性無水ケイ酸(日本アエロジル社製「ア
エロジルR972) IPM:ミリスチン酸イソプロピル。
【0065】貼付剤の性能評価試験 実施例および比較例のニトログリセリン貼付剤につい
て、放出性試験、保持力試験、移行量試験、貼付性試験
および刺激性試験を行った。
【0066】i) 薬物放出性試験 実施例および比較例で得られた各貼付剤について、下記
の手法によりマウスの摘出皮膚に対する薬物の放出性試
験を行った。
【0067】まず、添付図1に示すFranz タイプの拡散
セル(1) を準備した。拡散セル(1)は、下側の有底円筒
状のレセプター槽(2) と、これの上に配置された有底円
筒状のドナー槽(3) とよりなる。ドナー槽(3) の底壁中
央には開口部(4) が設けられ、またドナー槽(3) の下端
およびレセプター槽(2) の上端にはそれぞれ上側フラン
ジ(5) および下側フランジ(6) が設けられている。そし
て、上側フランジ(5)と下側フランジ(6) を対向状に重
ね合わせることによって、ドナー槽(3) とレセプター槽
(2) が気密状にかつ同心状に積み重ねられている。レセ
プター槽(2) にはその側部に側方突出状のサンプリング
口(7) が取付けられ、レセプター槽(2)の内部にはマグ
ネット攪拌子(9) が入れてある。
【0068】ヌードマウス(8週齢、雄)を頚椎脱臼に
より屠殺した後、ただちに背部皮膚を剥離して皮下脂肪
と筋層を除去し、約4cm×4cmの皮膚片を得た。こ
の皮膚片(8) を拡散セル(1) の上側フランジ(5) と下側
フランジ(6) の間に挟着して、ドナー槽(3) の開口部
(4) を皮膚片(8) で完全に閉じるようにした。
【0069】面積3.14cm2 の円形に打ち抜いた貼
付剤を皮膚片(8) の上面に貼付した。レセプター槽(2)
には、pH7.2に調整した生理食塩水よりなるレセプ
ター液を満たした。
【0070】ついで拡散セル(1) を温度37℃に保たれ
た恒温槽内に設置し、マグネット攪拌装置によりレセプ
ター液の攪拌を行った。試験開始後24時間経時的に、
サンプリング口(7) からレセプター液1mlをサンプリ
ングし、このレセプター液へのニトログリセリンの放出
量を高速液体クロマトグラフ法により測定した。
【0071】各貼付剤中のニトログリセリンの24時間
後の放出量を表3にまとめて示す。なお、グリセリンの
放出性は、比較例1の貼付剤で得られた24時間後のニ
トログリセリン透過量(0.32mg/cm2 )を10
0とした相対値で示した。また、実施例1〜3、比較例
1の放出試験におけるニトログリセリン透過量の経時累
積量を図2および表2に示す。
【0072】
【表2】 ii) 保持力試験 JIS Z0237の粘着テープ・粘着シート試験方法
に準じて下記の手法で貼付剤の保持力を測定した。すな
わち、貼付剤を25mm×50mmの長方形に切断し、
得られた試験片の上半25mm×25mmの部分をステ
ンレス製の板に貼付し、試験片の下端に、1kgの荷重
をかけた。この状態で、貼付剤を40℃のオーブン中に
放置して、試験片がステンレス板から剥がれて落下する
までの時間(分)を測定し、その値を保持力とした。
【0073】各貼付剤の保持力の測定値を表4にまとめ
て示す。
【0074】iii) 移行量試験 貼付剤を15mm×15mmのサイズに切断し、この試
験片をそれぞれ複数の被験者(男性健常人)の胸部に貼
付した。24時間後にこれを剥離し、被験者に移行した
ニトログリセリンの量を、貼付前の貼付剤中のニトログ
リセリン量と、24時間貼付後の貼付剤中のニトログリ
セリン量との差から求めた。
【0075】各貼付剤の移行量の測定値を表4にまとめ
て示す。
【0076】iv) 刺激性試験・貼付性試験 貼付剤を10mm×10mmのサイズに切断し、この試
験片をそれぞれ複数の被験者(男性健常人)の胸部に貼
付し、24時間後にこれを剥離し、剥離1時間後の貼付
部皮膚の紅斑状態を目視で観察した。紅斑状態はDraiz
法(1959年FDA、1973年、Federal Registe
r)で評価した。紅斑生成の判断基準は下記表3に示す
とおりである。試験は各試験片につき5名で行い、5名
の評点の平均値を各々の貼付剤の皮膚刺激指数とした。
【0077】
【表3】 各製剤の貼付性については、試験中の試験片の剥れ、試
験終了時の糊残りの有無について観察し、該当する人数
を調べた(該当人数/5で表4中に表記)。なお、本試
験において、浮腫および痂皮の形成は認められなかっ
た。
【0078】各貼付剤の皮膚刺激性および貼付性試験の
結果を表4にまとめて示す。
【0079】
【表4】 これらの試験結果から明らかなように、実施例の貼付剤
では、いずれも高いニトログリセリン放出性が発揮せら
れ、良好な保持性および移行性を発揮し、刺激性が低
く、さらに、24時間の貼付試験において剥れや糊残り
は認められなかった。
【0080】
【発明の効果】この発明によれば、粘着剤層からのニト
ログリセリンの放出性が改善されてニトログリセリン放
出促進が充分発揮され、柔軟なフィット感を発揮しなが
らも、剥離時の糊残りや機械的皮膚刺激、および粘着剤
層の粘着力の低下の恐れがない、ニトログリセリン放出
性と貼付性とを共に改善した貼付剤を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Franz タイプの拡散セルを示す斜視図である。
【図2】時間と透過量の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 誠 愛知県中島郡祖父江町山崎下枇448 (72)発明者 石田 力 愛知県岩倉市東町東市場屋敷208 (72)発明者 中野 充士 愛知県半田市新川町22−1 (72)発明者 清水 紀子 愛知県西春日井郡師勝町大字鹿田字西赤 土95 (56)参考文献 特開 平3−291217(JP,A) 特開 平4−103528(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/21 A61K 9/70 A61K 47/04 A61K 47/32 A61P 9/10 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の片面に(メタ)アクリル酸アル
    キルエステル共重合体、ニトログリセリン、放出助剤お
    よび無水ケイ酸を含有する粘着剤層が設けられた貼付剤
    において、 該共重合体の含有量が35〜84重量%、該ニトログリ
    セリンの含有量が10〜30重量%、該放出助剤の含有
    量が1〜15重量%、そして該無水ケイ酸の含有量が5
    〜20重量%であり、 該共重合体は、共重合成分である(メタ)アクリル酸ア
    ルキルエステルのアルキル基の炭素数が6以上であり、
    同エステルとしてオクチルメタクリレートが40〜90
    重量%の割合で含まれ、かつポールタック値が2以下で
    あるものであり、 該放出助剤は、分子量が1,500〜50,000であ
    り、ポリオキシアルキレングリコール、そのブロック共
    重合体およびこれらの誘導体よりなる群から選ばれた少
    なくとも1つのポリマーである、ニトログリセリン貼付
    剤。
  2. 【請求項2】 前記粘着剤層が、脂肪酸アルキルエステ
    ルを25重量%以下の割合で含有する、請求項1に記載
    のニトログリセリン貼付剤。
  3. 【請求項3】 前記無水ケイ酸が、疎水性無水ケイ酸2
    0〜80重量%と親水性無水ケイ酸80〜20重量%と
    よりなる、請求項1に記載のニトログリセリン貼付剤。
JP04800493A 1993-03-09 1993-03-09 ニトログリセリン貼付剤 Expired - Fee Related JP3448780B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04800493A JP3448780B2 (ja) 1993-03-09 1993-03-09 ニトログリセリン貼付剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04800493A JP3448780B2 (ja) 1993-03-09 1993-03-09 ニトログリセリン貼付剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06256178A JPH06256178A (ja) 1994-09-13
JP3448780B2 true JP3448780B2 (ja) 2003-09-22

Family

ID=12791163

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04800493A Expired - Fee Related JP3448780B2 (ja) 1993-03-09 1993-03-09 ニトログリセリン貼付剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3448780B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5485495B2 (ja) * 2006-05-11 2014-05-07 積水化学工業株式会社 貼付剤
DE102007055341A1 (de) * 2007-11-19 2009-05-20 Bayer Animal Health Gmbh Stabilisierung öliger Suspensionen enthaltend hydrophobe Kieselsäuren

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06256178A (ja) 1994-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2700835B2 (ja) アクリル系ゲル材およびアクリル系ゲル製剤
JP4145996B2 (ja) アクリル系粘着テープおよび経皮吸収製剤
JP7174632B2 (ja) 親水性ドメインおよび疎水性ドメインならびに処置剤との接着剤マトリックス
EP0450986B1 (en) A percutaneous-administration-type pharmaceutical preparation of nitroglycerin
CA2338987A1 (en) Adhesive agent composition, and permeable adhesive tape, adhesive drug composition and adhesive tape preparation containing the adhesive agent composition
EP0531938B1 (en) Acrylic gel material and gel-based medical preparation for percutaneous absorption employing the same
KR950014444B1 (ko) 니트로글리세린의 경피 투여형 약제
US8092827B2 (en) Medical non-crosslinked pressure-sensitive adhesive composition, medical adhesive sheet employing the same, and process for producing medical non-crosslinked pressure-sensitive adhesive composition
JP3014188B2 (ja) アクリル系ゲル材およびアクリル系ゲル製剤
JP3448780B2 (ja) ニトログリセリン貼付剤
JP2971998B2 (ja) アクリル系粘着シートおよびこれを用いてなる粘着製剤
JP2000026285A (ja) 貼付剤
JPH0543457A (ja) 経皮吸収製剤
JP3285617B2 (ja) 貼付剤
JP3676567B2 (ja) 医療用粘着剤組成物及び医療用貼付剤
JPH09110681A (ja) 貼付剤
JPH0565224A (ja) ゲル材およびこれを用いた治療用ゲル製剤
JP3792305B2 (ja) 医療用粘着性組成物
JPH06343685A (ja) 外用粘着テープおよびテープ製剤
JP3130350B2 (ja) 経皮吸収製剤
JP3242324B2 (ja) ニトログリセリン経皮吸収型製剤
JPS6344723B2 (ja)
JP3361628B2 (ja) 貼付剤
JPH09309824A (ja) 粘着剤組成物及びそれを用いた貼付剤
JPH06239752A (ja) アスピリン含有経皮吸収製剤

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030520

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees