JP3447379B2 - 繰り返し模様をもった画像の作成装置 - Google Patents

繰り返し模様をもった画像の作成装置

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JP3447379B2
JP3447379B2 JP16637394A JP16637394A JP3447379B2 JP 3447379 B2 JP3447379 B2 JP 3447379B2 JP 16637394 A JP16637394 A JP 16637394A JP 16637394 A JP16637394 A JP 16637394A JP 3447379 B2 JP3447379 B2 JP 3447379B2
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家治 橋爪
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佳夫 助川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繰り返し模様をもった
画像の作成装置に関し、特に、フラクタル理論を利用す
ることにより自然なゆらぎをもった模様を形成する技術
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータを利用して生成、加
工した画像が、あらゆる印刷物に見られるようになって
きている。特に、壁紙などの建材製品や、商品のパッケ
ージなどに見られる模様は、コンピュータグラフィック
スの技術を多少なりとも利用して作成した画像が多い。
コンピュータ内にデジタルデータとして取り込まれた画
像に対しては、拡大したり縮小したりすることはもちろ
んのこと、画像を意図的に歪ませるなどの処理が自由に
行えるため、加工の自由度は非常に高く、特殊な効果を
狙うための独特の加工方法もよく用いられている。
【0003】このような画像情報は、非常にデータ量の
多い情報である。このため、壁紙のような非常に面積の
広い印刷物に適用する場合、繰り返し模様を利用するの
が一般的である。たとえば、数m×数10mといった広
い面積をもつ壁紙を印刷する場合、このような広い面積
の画像データを実際に用意すると、データ量は膨大にな
り、このような膨大なデータをそのまま取り扱うと、ハ
ードウエアの負担が非常に重くなってしまう。そこで、
たとえば、1m×1mといった単位画像を用意してお
き、この単位画像を平面的に相互に隣接させた状態で複
数配列するようにすれば、理論的には、どのような広さ
の壁紙も印刷可能になる。しかも、実際にコンピュータ
内で取り扱う画像情報は、1m×1mの大きさの単位画
像ですむため、ハードウエアの負担は著しく軽減され
る。
【0004】ただし、この場合、単位画像として用意す
る画像には、境界部分が連続的に接続されるような、い
わゆるリピータブル模様を形成しておく必要がある。境
界部分の模様が不連続であると、視覚的に各単位画像の
境界線が認識され、1m×1mの大きさの升目が模様と
して現れてしまうことになる。そこで、通常は、単位画
像として用いる模様を生成する段階で、境界部分におけ
る模様が連続するような配慮がなされ、リピータブル模
様が生成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、科学技術の進歩
とは裏腹に、より自然に適合したライフスタイルが尊重
されるようになってきている。このため、壁紙などの建
材製品や種々の商品パッケージなどをはじめとするあら
ゆる工業製品について、より自然なデザインが求められ
るようになってきている。ところが、コンピュータなど
を利用して人為的にデザインされた模様には、どうして
も人工的な肌合いが残ってしまい、自然界の万物と比べ
ると、どうしても人為的な違和感が払拭できない。たと
えば、壁紙の模様として、コンピュータグラフィックス
の技術により人為的に発生させた疑似木目や疑似石目の
デザインを用いることが試みられているが、天然の木目
模様や石目模様と比較すると、どこかぎこちなく人工的
な肌合いが残ってしまう。
【0006】そこで、より自然な模様を得るために、天
然木板や天然石板の表面模様をデジタルデータとして取
り込み、このデジタルデータを加工することにより、壁
紙などに印刷する木目模様や石目模様を生成する手法も
広く利用されている。しかしながら、自然の肌合いを完
全に表現した印刷物を作成することは非常に困難であ
る。また、上述したように、単位画像を連続的に配列す
ることにより繰り返し模様を形成する場合には、単位画
像の境界部分における模様が連続するようなリピータブ
ル模様を形成しなければならない。このため、天然木板
や天然石板の表面模様をコンピュータ内に取り込んだと
しても、境界部分の模様に対しては人為的な修正を加え
なければならず、自然の模様をそのまま印刷物として利
用することはできない。
【0007】そこで本発明は、自然なゆらぎをもち、し
かも繰り返し模様を連続的に配置することにより形成さ
れた画像を作成する装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】(1) 本発明の第1の態様は、繰り返し模
様をもった画像の作成装置において、所定のスカラー値
を自己相似的に各格子点に定義した単位フラクタル格子
であって、この単位フラクタル格子を空間的に複数配列
した場合に、個々の単位フラクタル格子の境界部分が連
続的に接続されるように各スカラー値が定義されたリピ
ータブル単位フラクタル格子を生成する手段と、このリ
ピータブル単位フラクタル格子内に分布する各スカラー
値を利用して、所定の単位領域内に分布した画素からな
る単位画像を生成する手段と、この単位画像を空間的に
複数配列することにより、空間的な繰り返し模様が表現
された合成画像を生成する手段と、 を設けるようにした
ものである。
【0010】(2) 本発明の第2の態様は、繰り返し模
様をもった画像の作成装置において、所定のスカラー値
を自己相似的に二次元平面上の各格子点に定義した二次
元単位フラクタル格子であって、この二次元単位フラク
タル格子を平面上に複数配列した場合に、個々の二次元
単位フラクタル格子の境界部分が連続的に接続されるよ
うに各スカラー値が定義されたリピータブル二次元単位
フラクタル格子を生成する手段と、このリピータブル二
次元単位フラクタル格子内に分布する各スカラー値を利
用して、所定の平面領域内に分布した画素からなる単位
画像を生成する手段と、この単位画像を平面上に複数配
列することにより、平面的な繰り返し模様が表現された
合成画像を生成する手段と、 を設けるようにしたもので
ある。
【0011】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2
の態様に係る繰り返し模様をもった画像の作成装置にお
いて、リピータブル二次元単位フラクタル格子を生成す
る手段が、 外部からの設定操作に応じて所定の位置に所
定のスカラー値をもつ第0段階の格子点を定義し、第
(i−1)段階までに定義された格子点のもつスカラー
値に基づいて、第i段階に定義される格子点に所定のス
カラー値を与える作業を、パラメータiを初期値1から
1ずつ増加させながら、パラメータiが所定値nに達す
るまで繰り返し実行し、上記スカラー値を与える作業に
おいて、各格子点に所定のスカラー値を与える場合に、
格子の第1の境界辺上の格子点については、この第1の
境界辺に向かい合った第2の境界辺上の接続対応位置の
格子点について与えたスカラー値と同じスカラー値を与
え、格子の第3の境界辺上の格子点については、この第
3の境界辺に向かい合った第4の境界辺上の接続対応位
置の格子点について与えたスカラー値と同じスカラー値
を与えることにより、リピータブル二次元単位フラクタ
ル格子を生成するようにしたものである。
【0012】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3
の態様に係る繰り返し模様をもった画像の作成装置にお
いて、リピータブル二次元単位フラクタル格子を生成す
る手段が、 外部からの設定操作に応じて、同一のスカラ
ー値をもった第0段階の4つの格子点を、格子の外形を
形成する外形矩形のそれぞれ4隅位置に定義し、第(i
−1)段階までに定義された格子点を内部に含まない現
段階での最小矩形を認識し、この最小矩形の各辺の中点
およびこの最小矩形の中心点に、それぞれ第i段階に定
義すべき格子点を生成し、各辺の中点に生成した格子点
については、その辺の端点に存在する第(i−1)段階
までに定義された2つの格子点のもつスカラー値に乱数
を作用させることによって得られるスカラー値を与え、
最小矩形の中心点に生成した格子点については、その最
小矩形の4隅位置に存在する第(i−1)段階までに定
義された4つの格子点のもつスカラー値に乱数を作用さ
せることによって得られるスカラー値を与えることによ
り、第i段階に定義される格子点に所定のスカラー値を
与える作業を行い、上記作業を、パラメータiを初期値
1から1ずつ増加させながら、パラメータiが所定値n
に達するまで繰り返し実行し、上記作業において、最小
矩形の辺が外形矩形の第1の辺に一致する場合には、こ
の最小矩形の辺の中点に生成した格子点については、第
1の辺に向かい合った外形矩形の第2の辺上の接続対応
位置の格子点について与えたスカラー値と同じスカラー
値を与え、最小矩形の辺が外形矩形の第3の辺に一致す
る場合には、この最小矩形の辺の中点に生成した格子点
については、第3の辺に向かい合った外形矩形の第4の
辺上の接続対応位置の格子点について与えたスカラー値
と同じスカラー値を与えることにより、リピータブル二
次元単位フラクタル格子を生成するようにしたものであ
る。
【0013】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第2
〜4の態様に係る繰り返し模様をもった画像の作成装置
において、単位画像を生成する手段が、リピータブル二
次元単位フラクタル格子を構成する各格子点と、所定の
矩形領域内に分布した各画素と、を対応させ、各画素に
ついて、対応する格子点のもつスカラー値に応じた画素
値を定義することにより、単位画像を生成するようにし
たものである。
【0014】(6) 本発明の第6の態様は、上述の第2
〜4の態様に係る繰り返し模様をもった画像の作成装置
において、リピータブル二次元単位フラクタル格子を生
成する手段が、XY二次元平面上の座標位置(x,y)
に格子点F(x,y)を配置してなるリピータブル二次
元単位フラクタル格子を生成し、単位画像を生成する手
段が、所定の画素値をもつ画素P(x,y)をXY二次
元平面上の座標位置(x,y)に配置することにより構
成される第1の画像Pに基づいて、所定の画素値をもつ
画素Q(x,y)をXY二次元平面上の座標位置(x,
y)に配置することにより構成される第2の画像Qを
成する機能を有し、第2の画像Qを生成するにあたって
は、座標位置(x,y)に配置された画素Q(x,y)
について、座標位置(x,y)に配置された格子点F
(x,y)に対して定義されたスカラー値に応じた変位
量dを決定し、座標位置(x+d,y)に配置された画
素P(x+d,y)を参照画素として特定し、この参照
画素P(x+d,y)のもつ画素値Zを、画素Q(x,
y)に付与することにより第2の画像Qを完成させるよ
うにしたものである。
【0015】(7) 本発明の第7の態様は、上述の第2
〜4の態様に係る繰り返し模様をもった印刷物の作成方
法において、リピータブル二次元単位フラクタル格子を
生成する手段が、XY二次元平面上の座標位置(x,
y)に格子点F(x,y)を配置してなるリピータブル
二次元単位フラクタル格子を生成し、単位画像を生成す
る手段が、この二次元単位フラクタル格子の各格子点の
もつスカラー値に応じて、所定面の各点を所定方向に変
位させることにより有皺面を形成し、所定の画素値をも
つ画素をXYZ三次元空間内に配置することにより構成
される三次元立体画像を入力し、この三次元立体画像を
上記有皺面によって切断し、切断面に現れた画素を平面
上に投影することにより単位画像を生成するようにした
ものである。
【0016】(8) 本発明の第8の態様は、繰り返し模
様をもった画像を作成する装置において、単位フラクタ
ル格子を生成するために必要な条件を設定するフラクタ
ル条件設定部と、単位フラクタル格子を構成する各格子
点に与えるスカラー値にゆらぎを与えるための乱数を発
生する乱数発生部と、フラクタル条件設定部において設
定された条件と、乱数発生部が発生した乱数と、に基づ
く所定の演算により、各格子点に与えるべきスカラー値
を演算するスカラー値演算部と、生成された単位フラク
タル格子を空間的に複数配列した場合に、個々の単位フ
ラクタル格子の境界部分が連続的に接続されるように、
境界部分の所定の格子点に与えるべきスカラー値を別な
格子点のスカラー値から転用するスカラー値転用部と、
スカラー値演算部によって演算されたスカラー値または
スカラー値転用部によって転用されたスカラー値のいず
れかを各格子点に与えることにより、所定のスカラー値
を自己相似的に各格子点に定義してなる単位フラクタル
格子を生成するフラクタル格子生成部と、印刷物として
表現する単位模様を生成するために必要な条件を設定す
る模様条件設定部と、フラクタル格子生成部によって生
成された単位フラクタル格子内に分布する各スカラー値
と、模様条件設定部において設定された条件と、に基づ
く所定の演算により、所定の単位領域内に分布した画素
からなる単位画像を生成し、この単位画像を空間的に複
数配列することにより、空間的な繰り返し模様が表現さ
れた合成画像を生成する画像生成部と、を設けたもので
ある。
【0017】(9) 本発明の第9の態様は、上述の第8
の態様に係る繰り返し模様をもった画像を作成する装置
において、フラクタル条件設定部に、生成すべき単位フ
ラクタル格子のサイズと、最大半振幅値Tと、格子の外
形を形成する外形矩形の4隅の各位置に配置された同一
のスカラー値をもった初期格子点と、を条件として設定
する機能をもたせ、フラクタル格子生成部は、隣接する
2つの格子点の中点および他の格子点を内部に含まない
最小矩形を形成する4つの格子点の中心点に新たな格子
点を定義する機能をもたせ、スカラー値演算部は、2つ
の格子点の中点に定義された新たな格子点に与えるべき
スカラー値として、2つの格子点のもつスカラー値の平
均値と、乱数発生部が発生した乱数に最大半振幅値Tも
しくはその(1/2)を乗じた数と、の合計値を用
い、4つの格子点の中心点に定義された新たな格子点に
与えるべきスカラー値として、4つの格子点のもつスカ
ラー値の平均値と、乱数発生部が発生した乱数に最大半
振幅値Tもしくはその(1/2)を乗じた数と、の合
計値を用いるようにし、スカラー値転用部は、境界部分
の格子点に転用すべきスカラー値として、生成された単
位フラクタル格子を空間的に複数配列した場合に隣接す
ることになる別な境界部分の格子点に与えられたスカラ
ー値を用いるようにし、フラクタル格子生成部は、フラ
クタル条件設定部において設定されたサイズが得られる
まで、新たな格子点を定義する処理を繰り返し実行し、
新たに定義した格子点が外形矩形の第1の辺またはこれ
に直交する第2の辺上にある場合には、スカラー値転用
部が転用したスカラー値をこの格子点に与え、新たに定
義した格子点が第1の辺または第2の辺上にない場合に
は、スカラー値演算部が演算したスカラー値をこの格子
点に与える処理を行うようにしたものである。
【0018】
【作 用】フラクタル図形が、自然界の多くのものを表
現するのに適していることは広く知られている。このフ
ラクタル図形の特徴は、ミクロ的に見ても、マクロ的に
見ても、その複雑さは常に同じであるという点にある。
自然界に見られる海岸線の形状、樹木や葉脈の形状、雪
の結晶の形状、などは、いずれもこのフラクタル図形の
代表的なものであり、ミクロ的に見てもマクロ的に見て
も、入り組んだ独特の形状をしている。このような性質
は一般に自己相似性と呼ばれている。フラクタル理論の
本質は、この自己相似性にあり、この理論をより一般的
に拡張すると、所定のスカラー値を自己相似的に個々の
格子点に定義したフラクタル格子を考えることができ
る。たとえば、二次元フラクタル格子は、二次元平面上
に配列された各格子点のそれぞれに、所定のスカラー値
を定義したものであり、二次元スカラー場を与えるもの
である。この二次元スカラー場において、各スカラー値
は、自然なゆらぎをもって空間的に変化することにな
る。別言すれば、この変化のパターンは、ミクロ的に見
ても、マクロ的に見ても、その複雑さは常に同じ、すな
わち自己相似的になる。
【0019】このようなフラクタル格子を生成する一般
的な方法は、次のような段階からなる。まず、初期段階
において、それぞれ所定のスカラー値をもった格子点を
定義する。次に、これら初期段階の格子点に基づいて、
第1段階の格子点を生成し、この第1段階の格子点につ
いては、初期段階の格子点のスカラー値に基づいて所定
の方法でスカラー値を決定する。同様に、第1段階まで
の格子点に基づいて、第2段階の格子点を生成し、この
第2段階の格子点については、第1段階までの格子点の
スカラー値に基づいて所定の方法でスカラー値を決定す
る。このような段階を繰り返し実行することにより、多
数の格子点が生成され、各格子点にはそれぞれスカラー
値が定義される。
【0020】本願発明者は、このようなフラクタル格子
を生成するプロセスにおいて、境界部分の格子点に対し
て与えるスカラー値に所定の条件を付加することによ
り、いわば「リピータブル単位フラクタル格子」という
べきフラクタル格子を生成できることを見出だした。こ
の「リピータブル単位フラクタル格子」とは、要する
に、「空間的に複数配列した場合に、境界部分が連続的
に接続されるようなフラクタル格子」であり、別言すれ
ば、「この単位フラクタル格子を空間的に複数配列する
ことにより得られる合成フラクタル格子のスカラー場
が、単位フラクタル格子の境界線によって乱されないよ
うなフラクタル格子」である。
【0021】更に、本願発明者は、この「リピータブル
フラクタル格子」に基づいて単位画像を生成すれば、こ
の単位画像には自然なゆらぎをもった模様が表現される
ことになり、しかも、この単位画像を空間的に複数配置
して得られる合成画像には、境界部分が連続的に接続さ
れるような模様が形成されることを見出だしたのであ
る。この原理を利用することにより、自然のゆらぎをも
ち、しかも繰り返し模様をもった印刷物を作成すること
が可能になる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて詳
述する。
【0023】§1. 一次元フラクタル格子 本発明の根本的な思想は、フラクタル格子によって表現
される自然なゆらぎを、印刷物の模様に反映させる点に
ある。そこで、はじめに、このフラクタル格子について
の簡単な説明を行うことにする。ここでは、一次元フラ
クタル格子について、図を参照しながら説明する。
【0024】いま、図1に示すように、1本の線上に所
定の距離だけ離して2つの格子点A,B(図では二重の
円で示す)を定義し、これら各格子点A,Bにそれぞれ
スカラー値a,bを定義する。このように定義した2つ
の格子点A,Bは、初期段階(以下、第0段階と呼ぶ)
の格子点であり、スカラー値a,bは、この2つの格子
点A,Bに設定されたいわば初期条件である。
【0025】続いて、図2に示すように、2つの格子点
A,Bの中点に、第1段階の格子点Cを定義する。この
とき、この格子点Cに対しても、スカラー値cを定義す
ることになるが、このスカラー値cはスカラー値a,b
に基づいて、所定の演算によって定義することになる。
図2は、格子点Cのスカラー値cがまだ定まっていない
状態を示している。なお、ここでは、スカラー値が未定
義の状態の格子点を一重の円で示し、スカラー値が定義
された状態の格子点を二重の円で示すことにする。スカ
ラー値cは、次のような演算式 c=(a+b)/2 + T・RND (1) によって計算される。ここで、aおよびbは、格子点A
およびBについて定義されたスカラー値であり、Tはゆ
らぎの最大半振幅値、RNDは、−1≦RND≦+1な
る任意の乱数である。このように、スカラー値cの定義
には、乱数が用いられており、偶然の要素が左右するこ
とになる。ただし、スカラー値cとしては、全くデタラ
メな値が定義されるわけではなく、両隣の格子点A,B
のスカラー値a,bと、最大半振幅値Tと、によって制
限を受けることになる。すなわち、上述の式(1) に示さ
れているように、スカラー値a,bの平均値に、−T〜
+Tの範囲内の任意の値(乱数によって定まる)を加え
た値が、スカラー値cの値となる。したがって、最大半
振幅値Tは、平均値からずれるゆらぎの程度を制限する
パラメータとなる。
【0026】こうして、第1段階の格子点Cについての
スカラー値cが定義できたら、続いて、図3に示すよう
に、格子点A,Cの中点および格子点C,Bの中点に、
それぞれ第2段階の格子点D,Eを定義する。そして、
これら格子点D,Eに対して、それぞれスカラー値d,
eを、 d=(a+c)/2 + (1/2)・T・RND (2) e=(c+b)/2 + (1/2)・T・RND (3) なる式によって計算する。ここで、上述したように、T
はゆらぎの最大半振幅値、RNDは、−1≦RND≦+
1なる任意の乱数である。式(2) ,(3) は、式(1) と非
常に似ているが、最大半振幅値Tに(1/2)なる係数
がかかっている点は留意すべきである。
【0027】続いて、第2段階までで定義された5つの
格子点A,D,C,E,Bのそれぞれ中点に、第3段階
の格子点を定義し、これらの格子点にもスカラー値を計
算して定義する。たとえば、格子点A,Dの中点として
定義された格子点F(図示されていない)についてのス
カラー値fは、 f=(a+d)/2 + (1/4)・T・RND (4) なる式によって計算される。この式(4) では、最大半振
幅値Tに(1/4)なる係数がかかっている。
【0028】理解を容易にするために、以上のステップ
を実際の数値を用いて説明してみる。たとえば、図4に
示すように、第0段階の格子点A,Bに対して、それぞ
れスカラー値「50」,「80」を初期条件として設定
した場合を考える。このような2つの格子点A,Bの中
点として、図5に示すように、第1段階の格子点Cが定
義されることになるが、この場合、この格子点Cについ
て定義されるスカラー値cは、前述の式(1) により、 c=(50+80)/2+T・RND (1) なる演算で与えられる。ここでは、ゆらぎの最大半振幅
値T=5と設定し、上式の演算時には、たまたま乱数R
ND=+0.6になったものとしよう。この場合、演算
により求まるスカラー値c=68となる。
【0029】続いて、格子点A,Cおよび格子点C,B
の中点として、図6に示すように、第2段階の格子点D
および格子点Eが定義されることになるが、この場合、
これらの格子点D,Eについて定義されるスカラー値
d,eは、前述の式(2) ,(3)により、 d=(50+68)/2+(1/2)・T・RND (2) e=(68+80)/2+(1/2)・T・RND (3) なる演算で与えられる。ここで、上各式の演算時に、た
またま乱数RND=−0.4、RND=+0.8になっ
たものとすると、演算により求まるスカラー値d=5
8、e=76となる。結局、第2段階の格子点について
のスカラー値が求まった段階では、図7に示すように、
5つの格子点A,D,C,E,Bについて、それぞれス
カラー値が定義されたことになる。
【0030】同様にして、これらの5つの格子点A,
D,C,E,Bのそれぞれ中点に、第3段階の格子点を
定義し、これらの格子点にもスカラー値を計算して定義
し、更に、第4段階、第5段階、…、と同じ操作を繰り
返し実行してゆく。このような操作を所定の有限回数n
だけ繰り返し行ってゆけば、第0段階の格子点A,Bの
間に多数の格子点が定義され、これら各格子点には所定
のスカラー値が定義されることになる。なお、第n段階
の格子点についてのスカラー値sの計算方法を一般式で
示せば、 s=(α+β)/2+(1/2(n−1))・T・RND (5) となる。ここで、αおよびβは、その格子点の両隣の格
子点のスカラー値(第(n−1)段階で計算されてい
る)であり、上述したように、Tはゆらぎの最大半振幅
値、RNDは、−1≦RND≦+1なる任意の乱数であ
る。
【0031】このような方法によって、所定のスカラー
値をもった格子点を多数定義すると、これらの格子点は
一次元フラクタル格子を構成することになる。このよう
なフラクタル格子の発生方法は、一般にランダム中点変
位法と呼ばれている方法である。上述の具体例では、こ
の一次元フラクタル格子の左端点に「50」、右端点に
「80」、というスカラー値が定義され、これら両端点
の間に定義された多数の格子点にも、それぞれ特有のス
カラー値が定義される。いま、こうして求まった一次元
フラクタル格子の配列方向を横軸にとり、個々のスカラ
ー値を縦軸にとると、図8に示すようなグラフが描かれ
ることになる。このようなグラフは、たとえば、自然界
の海岸線の形状に似た性質をもつ。すなわち、個々のス
カラー値は、部分的に大きくなったり小さくなったり
と、様々な分布をとることになるが、この分布パターン
の複雑さは、ミクロ的に見ても、マクロ的に見ても同じ
になることが知られている。この性質をより具体的に説
明すれば、図8において、格子点AB間のグラフの複雑
さも、格子点AD間のグラフの複雑さも、同じであり、
また、この格子点ADの間のごく微小区間を虫めがねで
拡大して見た場合も、やはり同じ複雑さをもっていると
いうことである。別言すれば、個々のスカラー値は自己
相似的に個々の格子点に定義されており、自然なゆらぎ
をもって空間的に増減変化していることになる。
【0032】§2. 二次元フラクタル格子 以上、単純な一次元のフラクタル格子をランダム中点変
位法によって発生させる方法を、具体例を掲げながら説
明を行ったが、後述する実施例において実際に用いられ
るフラクタル格子は、格子点が平面的に配列された二次
元フラクタル格子である。そこで、ここでは、上述の一
次元フラクタル格子で説明したランダム中点変位法を二
次元に適用した方法の一例を述べておく。二次元フラク
タル格子を発生させるには、第0段階の格子点として、
図9に示すように、正方形の4頂点に格子点A,B,
C,Dを配置し、それぞれスカラー値a,b,c,dを
定義する。ここで、この正方形は、最終的に生成された
二次元フラクタル格子の外形を形成する外形矩形であ
る。
【0033】続いて、図10に示すように、格子点AB
間、BC間、CD間、DA間のそれぞれ中点に、第1段
階の格子点E,F,G,Hを定義するとともに、4つの
格子点ABCDの対角線の交点に、もうひとつの第1段
階の格子点Iを定義する。そして、これら5つの格子点
について、それぞれスカラー値e,f,g,h,iを定
義するが、これは次のような演算式 e=(a+b)/2 + T・RND (6) f=(b+c)/2 + T・RND (7) g=(c+d)/2 + T・RND (8) h=(d+a)/2 + T・RND (9) i= (a+b+c+d)/4 + T・RND (10) によって計算される。なお、一次元フラクタル格子の例
と同様に、Tはゆらぎの最大半振幅値、RNDは、−1
≦RND≦+1なる任意の乱数である。
【0034】こうして、第1段階の格子点E,F,G,
H,Iについてのスカラー値e,f,g,h,iが定義
できたら、続いて、図11に示すように、隣接する各格
子点の中点および4つの格子点の対角線の交点に、それ
ぞれ第2段階の格子点J,K,L,M,N,…を定義す
る(繁雑になるのを避けるため、図11では、格子点
J,K,L,M,Nのみ格子点名を表示してある)。そ
して、これらの各格子点について、それぞれスカラー値
j,k,l,m,n,…を定義するが、これは次のよう
な演算式(j〜nまでについての演算式のみを示す) j=(a+e)/2 + (1/2)・T・RND (11) k=(e+i)/2 + (1/2)・T・RND (12) l=(i+h)/2 + (1/2)・T・RND (13) m=(h+a)/2 + (1/2)・T・RND (14) n= (a+e+i+h)/4 + (1/2)・T・RND (15) によって計算する。この第2段階の格子点のスカラー値
を求める式では、前述した一次元フラクタル格子の場合
と同様に、最大半振幅値Tに(1/2)なる係数がかか
っている。
【0035】以下、同様に、第3段階、第4段階、…、
第n段階の処理を繰り返し実行してゆけば、二次元平面
上に配列された多数の格子点について、スカラー値が定
義されることになる。
【0036】以上の処理を、一般論として説明すると、
まず、第0段階において、外形矩形のそれぞれ4隅位置
に4つの格子点を定義し、各格子点にそれぞれ所定のス
カラー値を定義する。そして、以下、第i段階の処理と
して、次のような処理を順次実行すればよい。すなわ
ち、まず、第(i−1)段階までに定義された格子点を
内部に含まない現段階での最小矩形を認識する。たとえ
ば、i=1の第1段階の場合は、図9に示す矩形ABC
Dが最小矩形(第0段階までに定義された格子点A,
B,C,Dを内部に含まない矩形)であり、i=2の第
2段階の場合は、図10に示す4つの矩形AEIH,E
BFI,HIGD,IFCGがそれぞれ最小矩形(第1
段階までに定義された格子点A〜Iをいずれも内部に含
まない矩形)である。
【0037】そして、この最小矩形の各辺の中点および
この最小矩形の中心点に、第i段階に定義すべき格子点
を生成する(たとえば、i=1の第1段階の場合は、図
10に示すように、最小矩形ABCDの各辺の中点E,
F,G,Hおよび中心点Iに、定義すべき格子点が生成
されている)。更に、これらの格子点のうち、各辺の中
点に生成した格子点については、その辺の端点に存在す
る第(i−1)段階までに定義された2つの格子点のも
つスカラー値に乱数を作用させることによって得られる
スカラー値を与える。たとえば、図10に示す格子点E
については、2つの格子点A,Bのもつスカラー値a,
bに乱数RNDを作用させることによって得られたスカ
ラー値eが与えられている。一般に、第n段階において
隣接する格子点の中点として定義される格子点について
のスカラー値s1の計算方法を式で示せば、 s1=(α+β)/2+(1/2(n−1))・T・RND (16) となる。ここで、αおよびβは、その格子点の両隣の格
子点のスカラー値(第(n−1)段階で計算されてい
る)である。
【0038】一方、最小矩形の中心点に生成した格子点
については、その最小矩形の4隅位置に存在する第(i
−1)段階までに定義された4つの格子点のもつスカラ
ー値に乱数を作用させることによって得られるスカラー
値を与える。たとえば、図10に示す格子点Iについて
は、4つの格子点A,B,C,Dのもつスカラー値a,
b,c,dに乱数RNDを作用させることによって得ら
れたスカラー値iが与えられている。一般に、第n段階
において最小矩形の中心点として定義される格子点につ
いてのスカラー値s2の計算方法を式で示せば、 s2= (α+β+γ+δ)/4 +(1/2(n−1))・T・RND (17) となる。ここで、α,β,γ,δは、その最小矩形の4
つの隅にある格子点のスカラー値(第(n−1)段階で
計算されている)である。
【0039】このような方法によって生成された二次元
フラクタル格子は、結局、二次元平面的に広がったスカ
ラー場を与えるものになる。そこで、この二次元フラク
タル格子の面を水平面上にとり、各スカラー値を垂直方
向の高さ(標高)としてグラフにプロットすれば山岳の
***構造のような凹凸パターンが表現できる。このよう
な***構造は、自然界に存在する実際の山岳の***構造
の凹凸パターンと似た性質をもつことが知られている。
すなわち、凹凸構造の複雑さは、ミクロ的に見ても、マ
クロ的に見ても同じになり、この凹凸構造の一部を虫め
がねで拡大して見た場合も、やはり同じ複雑さをもって
いる。別言すれば、二次元平面上に分布した個々のスカ
ラー値は自己相似的に配置されており、自然なゆらぎを
もって空間的に増減変化していることになる。
【0040】§3. リピータブル単位フラクタル格子 いま、上述したランダム中点変位法によって、図12に
示すような二次元単位フラクタル格子10が生成された
ものとする。この二次元単位フラクタル格子10は、縦
横に配列された多数の格子点11(ここでは便宜上、1
つの升目によって1つの格子点を示してある)から構成
されており、各格子点11にはそれぞれ所定のスカラー
値が定義されている。いわば、この二次元単位フラクタ
ル格子10は、それぞれ所定の数字が描かれたタイル
を、縦横に多数配列した正方形のボードのようなものと
考えることができる。
【0041】続いて、図13に示すように、このような
正方形のボード9枚を、平面上に並べてみれば、面積が
9倍の大きなボードが得られる。ここでは、こうして得
られる大きなフラクタル格子を、二次元合成フラクタル
格子20と呼ぶことにする。図12に示した二次元単位
フラクタル格子10における「単位」なる文言は、この
図13に示す「二次元合成フラクタル格子20」の「合
成」なる文言に対応して用いているものである。
【0042】ところで、二次元単位フラクタル格子10
内に定義されたスカラー場は、この単位格子という閉じ
た領域内に関する限り、自然なゆらぎを与えている。し
かしながら、図13に示すような二次元合成フラクタル
格子20内に定義されたスカラー場は、全体として必ず
しも自然なゆらぎを与えるものにはならない。なぜな
ら、図13にハッチングを施して示した境界部分が連続
的に接続されないからである。別言すれば、この境界部
分において、スカラー場は不連続になり、自然なゆらぎ
が阻害されることになる。本発明では、このように空間
的に複数を隣接させた状態で配置した場合にも、全体と
して、自然なゆらぎを与えるスカラー場が得られる「単
位フラクタル格子」を「リピータブル単位フラクタル格
子」と呼ぶことにする。したがって、図12に示す二次
元単位フラクタル格子10が「リピータブル単位フラク
タル格子」であれば、図13に示す二次元合成フラクタ
ル格子20は、全体として自然なゆらぎを与えるスカラ
ー場を提供できることになる。
【0043】続いて、リピータブル二次元単位フラクタ
ル格子を生成するための基本概念を図14を参照して説
明する。いま、図14(a) に示すように、左辺31、右
辺32、上辺33、下辺34の4辺によって格子の外形
となる外形矩形が構成された二次元単位フラクタル格子
30を考える。このとき、図にハッチングを施した下辺
34に沿った格子列上の任意の格子点35に与えるスカ
ラー値として、同じく図にハッチングを施した上辺33
に沿った格子列上の同じ横方向位置にある格子点36に
与えたスカラー値と同じ値を与えるようにすると、この
単位フラクタル格子を上下に複数配列した場合、境界部
分のスカラー場は連続になる。同様に、図14(b) にお
いて、図にハッチングを施した右辺32に沿った格子列
上の任意の格子点37に与えるスカラー値として、同じ
く図にハッチングを施した左辺31に沿った格子列上の
同じ縦方向位置にある格子点38に与えたスカラー値と
同じ値を与えるようにすると、この単位フラクタル格子
を左右に複数配列した場合、境界部分のスカラー場は連
続になる。結局、下辺34上の格子点35のスカラー値
としては、上辺33上の格子点36のスカラー値を転用
し、右辺32上の格子点37のスカラー値としては、左
辺31上の格子点38のスカラー値を転用すれば、図1
3にハッチングを施した境界部分の格子点のスカラー値
は連続的になる。
【0044】リピータブル二次元単位フラクタル格子を
生成するための本発明の基本概念は、上述したように、
外形矩形において対辺上の格子点のスカラー値を転用す
るという手法にある。しかしながら、既に生成された二
次元単位フラクタル格子に対して、上述のようなスカラ
ー値の転用による修正を加えた場合、外形矩形上の格子
点とそのすぐ内側の格子点との間が不連続になってしま
う。そこで、本発明では、フラクタル格子の生成プロセ
スに、このスカラー値の転用という手法を盛り込み、単
位フラクタル格子の内部に連続的なスカラー場を維持し
つつ、境界部分においても連続的なスカラー場を実現で
きるようにしている。以下、具体的な例を参照しなが
ら、このリピータブル二次元単位フラクタル格子の生成
方法を説明する。
【0045】§4. リピータブル二次元単位フラクタ
ル格子の生成方法 リピータブル二次元フラクタル格子を発生させるには、
第0段階の格子点として、図15に示すように、外形矩
形の4頂点位置に格子点A,B,C,Dを配置し、これ
ら各格子点に同一のスカラー値aを定義する。
【0046】続いて、第1段階では、図16に示すよう
に、格子点AB間、BC間、CD間、DA間のそれぞれ
中点に、格子点E,F,G,Hを定義するとともに、こ
の時点での最小矩形(外形矩形と同じ四角形ABCD)
の中心点に、もうひとつの格子点Iを定義する。そし
て、これら5つの格子点について、それぞれスカラー値
e,f,g,h,iを定義するが、外形矩形の右辺上の
格子点Fについてのスカラー値fと、外形矩形の下辺上
の格子点Gについてのスカラー値gと、を決定する場合
には、§2で述べた通常のスカラー値の演算方法を採ら
ずに、§3で述べたスカラー値の転用という本発明に特
有の方法を採る。すなわち、これを演算式で示せば、 e=(a+a)/2 + T・RND (18) h=(a+a)/2 + T・RND (19) i= (a+a+a+a)/4 + T・RND (20) f=h (21) g=e (22) となる。ここで、Tはゆらぎの最大半振幅値、RND
は、−1≦RND≦+1なる任意の乱数である。この結
果、外形矩形ABCDの左右の辺上の対応する各格子点
には、全く同じスカラー値が定義され、上下の辺上の対
応する各格子点にも、全く同じスカラー値が定義される
ことになる。
【0047】こうして、第1段階の格子点E,F,G,
H,Iについてのスカラー値e,f,g,h,iが定義
できたら、続いて、図17に示すように、第2段階へと
進み、4つの最小矩形AEIH,EBFI,IFCG,
HIGDを認識した上で、各最小矩形について、4辺の
各中点位置および中心点に新たな格子点J〜Yを生成す
る。そして、これら各格子点J〜Yに、それぞれスカラ
ー値j〜yを定義する。この場合、基本的には§2で述
べた演算方法に従って各格子点に定義するスカラー値を
求めるが、例外として、外形矩形の右辺上の格子点につ
いてのスカラー値については、左辺上の対応位置の格子
点についてのスカラー値を転用し、外形矩形の下辺上の
格子点についてのスカラー値については、上辺上の対応
位置の格子点についてのスカラー値を転用することにな
る。具体的には、図17において、外形矩形ABCDの
右辺上に定義される新たな格子点N,O、および下辺上
に定義される新たな格子点P,Qについては、通常の演
算によるスカラー値ではなく、転用によるスカラー値が
与えられることになる。すなわち、この外形矩形ABC
D上に新たに定義される8つの格子点J〜Qについて与
えるスカラー値j〜qは、 j=(a+e)/2 + (1/2)・T・RND (23) k=(e+a)/2 + (1/2)・T・RND (24) l=(a+h)/2 + (1/2)・T・RND (25) m=(h+a)/2 + (1/2)・T・RND (26) n=l (27) o=m (28) p=k (29) q=j (30) なる式によって決定されることになる。ここで、外形矩
形ABCDの上辺上に定義された新たな格子点J,Kに
ついてのスカラー値および外形矩形ABCDの左辺上に
定義された新たな格子点L,Mについてのスカラー値j
〜mを求めるための式(23)〜(26)なる演算式は、§2で
述べた通常の演算式であるが、外形矩形ABCDの右辺
上に定義された新たな格子点N,Oについてのスカラー
値および外形矩形ABCDの下辺上に定義された新たな
格子点P,Qについてのスカラー値n〜qを求めるため
の式(27)〜(30)は、単に対応する格子点のスカラー値の
転用を示すものである。なお、外形矩形ABCDの内部
に新たに定義された8つの格子点R〜Yについて与える
スカラー値r〜yは、§2で述べた通常の演算式、 r= (a+e+i+h)/4 + (1/2)・T・RND (31) s=(e+i)/2 + (1/2)・T・RND (32) t= (e+a+f+i)/4 + (1/2)・T・RND (33) u=(f+i)/2 + (1/2)・T・RND (34) v= (i+f+a+g)/4 + (1/2)・T・RND (35) w=(g+i)/2 + (1/2)・T・RND (36) x= (h+i+g+a)/4 + (1/2)・T・RND (37) y=(h+i)/2 + (1/2)・T・RND (38) によって演算される。
【0048】結局、図17に示すように、第2段階まで
に定義された25個の格子点A〜Yのうち、外形矩形A
BCDの右辺上の格子点B,N,F,O,Cのスカラー
値は、それぞれ左辺上の格子点A,L,H,M,Dのス
カラー値をそのまま転用したものとなり、外形矩形AB
CDの下辺上の格子点D,Q,G,P,Cのスカラー値
は、それぞれ上辺上の格子点A,J,E,K,Bのスカ
ラー値をそのまま転用したものとなる。第3段階以降の
処理も全く同様に行われるため、最終的に、リピータブ
ル二次元単位フラクタル格子が得られることになる。す
なわち、図13に示すように、平面的に複数を配列した
場合に、境界部分が連続的に接続されるようになる。な
お、外形矩形の右辺上の格子点および下辺上の格子点に
ついてのスカラー値の転用処理は、フラクタル格子を生
成する各段階のプロセスごとに行われるため、最終的に
生成されたフラクタル格子は、内部に連続的なスカラー
場を有した自然なものになる。
【0049】ところで、二次元単位フラクタル格子を平
面上に隙間なく配列する方法は、図13に示すような方
法に限られるわけではない。たとえば、図18に示すよ
うに、上下の列について、横方向にオフセット量Wだけ
ずらして配列するような方法もある。このように、オフ
セット量Wだけずらして配置することを想定したリピー
タブル二次元単位フラクタル格子を生成する場合には、
スカラー値を転用する相手先として、外形矩形の対辺の
同じ位置にある格子点を必ずしもそのまま用いるわけに
はゆかない。これは、図18において、境界部分に示し
た種々の幾何学記号の位置関係を考慮すれば、容易に理
解できよう。この概念を図19に示す。図19(a) に示
すように、右辺上の格子点12については、上述の例と
同様に、左辺上の同位置にある格子点13のスカラー値
をそのまま転用することができるが、下辺上の格子点1
4については、これをオフセット量Wだけずらした位置
の格子点15を考え、上辺上で格子点15と同位置にあ
る格子点16のスカラー値を転用する必要がある。ま
た、図19(b) に示すように、下辺上の格子点17につ
いて左方向にオフセット量Wだけずらすと単位格子から
外れてしまう場合には、単位格子の右端から残りのオフ
セット量をずらした位置にある格子点18を考え、上辺
上で格子点18と同位置にある格子点19のスカラー値
を転用する必要がある。
【0050】以上の例はオフセット方向が横方向の場合
であるが、オフセット方向を縦方向にとることも可能で
ある。しかし、いずれの場合であっても、オフセット量
が定まっていれば、下辺上の所定位置に対する上辺上の
接続対応位置、および右辺上の所定位置に対する左辺上
の接続対応位置は、一義的に求められるため、それぞれ
接続対応位置の格子点についてのスカラー値を転用する
ようにすれば、どのような配列を行う場合であっても、
リピータブル二次元単位フラクタル格子を生成すること
は可能である。
【0051】§5. リピータブル二次元単位フラクタ
ル格子の生成手順 ここで、リピータブル二次元単位フラクタル格子を生成
するための一般的な手順を、図20の流れ図に基づいて
説明しておく。まず、ステップS1において、格子サイ
ズnと、最大半振幅値Tを設定する。ここで、格子サイ
ズnは、生成したフラクタル格子の解像度、すなわち、
格子密度を示すものであり、この例では、前述した格子
点の発生作業を何段階まで行うかを示す段数nによって
格子サイズを規定している(n=1であれば、図16に
示すように3×3のサイズ、n=2であれば、図17に
示すように5×5のサイズのフラクタル格子が生成され
ることになる)。
【0052】次に、ステップS2において、処理中の段
数を示すパラメータiを初期値0に設定する。すなわ
ち、これから第0段階の処理が行われることになり、そ
の後、順次パラメータiを1,2,3…と1ずつ増加さ
せながらi=nになるまで、以下に述べる各処理が繰り
返し実行されることになる。
【0053】ステップS3は、第0段階の処理を示すも
のである。すなわち、第0段階では、図15に示すよう
に、外形矩形の4隅位置に4つの格子点A,B,C,D
が定義され、これらの格子点に共通のスカラー値aが与
えられる。なお、このスカラー値aおよびステップS1
で設定した最大半振幅値Tは、最終的に得られるフラク
タル格子のもつスカラー値の絶対値およびゆらぎ幅を決
定する要因になる。したがって、後述する画像生成処理
において、どの程度の絶対値をもち、どの程度のゆらぎ
幅をもったスカラー場が必要になるかを考慮して、aお
よびTの値を適宜設定すればよい。
【0054】次のステップS4において、パラメータi
を1だけ増加させる。これにより、i=0の初期段階か
らi=1の第1段階へと移行し、以下、第1段階の処理
が行われることになる。
【0055】ステップS5は、各段階における最初の処
理であり、第i段階の格子点を発生させる処理である。
この処理を一般的に定義すると、次のような処理という
ことができる。まず、第(i−1)段階までに定義され
た格子点を内部に含まない、現段階での最小矩形を認識
する。i=1の第1段階の場合は、第0段階までに定義
された格子点A,B,C,Dを内部に含まない最小矩形
として、図9に示す矩形ABCDが認識される。また、
i=2の第2段階の場合は、第1段階までに定義された
格子点A〜Iを内部に含まない最小矩形として、図10
に示す4つの矩形AEIH,EBFI,IFCG,HI
GDが認識される。そして、認識した1つの最小矩形に
ついて、それぞれ5つの新たな格子点を発生させるので
ある(なお、隣接する最小矩形についてそれぞれ発生し
た格子点は、一部重複したものになる)。具体的には、
最小矩形の4つの辺のそれぞれ中点位置と、最小矩形の
中心点位置と、に新たな格子点が発生する。
【0056】続くステップS6では、ステップS5で発
生した新たな格子点について、ステップS1で設定した
最大半振幅値Tおよび乱数RNDを用いてスカラー値を
定義する。このとき、原則として、最小矩形の各辺の中
点に発生した格子点については、前述した式、 s1=(α+β)/2+(1/2(i−1))・T・RND (16) で求まるスカラー値s1を用い、最小矩形の中心点に発
生した格子点については、前述した式、 s2= (α+β+γ+δ)/4 +(1/2(i−1))・T・RND (17) で求まるスカラー値s2を用いる。ただし、例外とし
て、外形矩形の右辺上の格子点については、左辺上の接
続対応位置の格子点のスカラー値を転用し、下辺上の格
子点については、上辺上の接続対応位置の格子点のスカ
ラー値を転用する。
【0057】そして、ステップS7において、設定した
格子サイズが得られたか否か、すなわち、パラメータi
=nとなったかが判定され、i<nの場合には、再びス
テップS4からの処理が繰り返し実行される。こうし
て、第n段階までの処理が実行されると、求めるリピー
タブル二次元単位フラクタル格子は完成する。
【0058】なお、これまでの説明では、外形矩形の右
辺上の格子点については、左辺上の接続対応位置の格子
点のスカラー値を転用し、下辺上の格子点については、
上辺上の接続対応位置の格子点のスカラー値を転用して
いるが、逆に、外形矩形の左辺上の格子点について、右
辺上の接続対応位置の格子点のスカラー値を転用するよ
うにしてもよいし、上辺上の格子点について、下辺上の
接続対応位置の格子点のスカラー値を転用するようにし
てもよい。
【0059】また、これまで、リピータブルな二次元フ
ラクタル格子を、ランダム中点変位法を利用して生成す
る方法を説明したが、この方法は、一次元フラクタル格
子あるいは三次元以上のフラクタル格子を生成する場合
にも同様に利用できる。たとえば、リピータブル一次元
フラクタル格子を生成するには、第0段階における2つ
の格子点に同一のスカラー値を設定しておくだけでよ
い。また、リピータブル三次元フラクタル格子を生成す
るには、第0段階において、立方体の8隅に同一のスカ
ラー値をもつ格子点を定義しておき、この立方体の3面
上の格子点については、それぞれ対面上の格子点のスカ
ラー値を転用するようにすればよい。たとえば、この立
方体をサイコロにたとえ、1の目の面上の格子点につい
ては、6の目の面上の格子点のスカラー値を転用し、2
の目の面上の格子点については、5の目の面上の格子点
のスカラー値を転用し、3の目の面上の格子点について
は、4の目の面上の格子点のスカラー値を転用するよう
にすればよい。
【0060】§6. 本発明に係る画像の作成装置 これまで、リピータブル単位フラクタル格子を生成する
方法について述べてきた。このリピータブル単位フラク
タル格子は、本発明の本質に関わる重要な概念である
が、本発明の実体は、あくまでもこのリピータブル単位
フラクタル格子を利用して、繰り返し模様をもった画像
を生成する装置にある。そこで、図21に、本発明によ
り画像を作成し、更に印刷物を作成する装置の基本構成
をブロック図として示す。
【0061】この装置は、単位フラクタル格子を生成す
るために必要な条件を設定するフラクタル条件設定部1
と、この単位フラクタル格子を構成する各格子点に与え
るスカラー値にゆらぎを与えるための乱数を発生する乱
数発生部2と、フラクタル条件設定部1において設定さ
れた条件と、乱数発生部2が発生した乱数と、に基づく
所定の演算により、各格子点に与えるべきスカラー値を
演算するスカラー値演算部3と、生成された単位フラク
タル格子を空間的に複数配列した場合に、個々の単位フ
ラクタル格子の境界部分が連続的に接続されるように、
境界部分の所定の格子点に与えるべきスカラー値を別な
格子点のスカラー値から転用するスカラー値転用部4
と、スカラー値演算部3によって演算されたスカラー値
またはスカラー値転用部4によって転用されたスカラー
値のいずれかを各格子点に与えることにより、リピータ
ブル単位フラクタル格子を生成するフラクタル格子生成
部5と、印刷物として表現する単位模様を生成するため
に必要な条件を設定する模様条件設定部6と、フラクタ
ル格子生成部5によって生成されたリピータブル単位フ
ラクタル格子内に分布する各スカラー値と、模様条件設
定部6において設定された条件と、に基づく所定の演算
により、所定の単位領域内に分布した画素からなる単位
画像を生成し、この単位画像を空間的に複数配列するこ
とにより、空間的な繰り返し模様が表現された合成画像
を生成する画像生成部7と、この画像生成部7で生成さ
れた合成画像を印刷物上に形成する画像印刷部8と、に
よって構成されている。
【0062】ここで、フラクタル条件設定部1は、生成
すべき単位フラクタル格子のサイズnと、最大半振幅値
Tと、格子の外形を形成する外形矩形の4隅の各位置に
配置された同一のスカラー値aをもった初期格子点と、
を条件として設定する機能を有し、図20に示す流れ図
におけるステップS1およびステップS3の設定を行う
機能を有する。また、乱数発生部2は、これまでに述べ
てきた実施例の場合、−1≦RND≦+1の範囲をとる
乱数RNDを発生する機能を有する。更に、スカラー値
演算部3は、図20に示す流れ図におけるステップS6
に示した原則的なスカラー値の演算処理を行う機能を有
し、スカラー値転用部4は、図20に示す流れ図におけ
るステップS6に示した例外的なスカラー値の転用処理
を行う機能を有する。フラクタル格子生成部5は、隣接
する2つの格子点の中点および最小矩形を形成する4つ
の格子点の中心点に新たな格子点を定義し、原則とし
て、これらの各格子点にスカラー値演算部3が求めた演
算スカラー値を与えるが、これらの各格子点が外側矩形
の右辺上もしくは下辺上の格子点の場合には、例外的
に、スカラー値転用部4が求めた転用スカラー値を与え
る処理を行う。
【0063】こうして、フラクタル格子生成部5によっ
て、リピータブル単位フラクタル格子が生成されること
は、既に述べてきたとおりである。画像生成部7は、模
様条件設定部6に設定された所定の条件に基づいて、リ
ピータブル単位フラクタル格子に分布する自己相似的な
スカラー場を特有の方法で利用し(この特有の方法につ
いては、後述する)、所定の単位画像を生成する。その
結果、この単位画像には、自己相似的なスカラー場に基
づく自然のゆらぎをもった模様が形成されることにな
り、しかも、この模様は、平面上に複数配列した場合に
境界部分が連続的に接続されるような模様になる。そこ
で、画像生成部7は、このような単位画像を複数配列す
ることにより合成画像を生成する。この合成画像は、全
体的に自然のゆらぎをもった連続模様から構成されてい
る。したがって、画像印刷部8によって、この合成画像
を壁紙などに印刷すれば、自然のゆらぎがある繰り返し
模様をもった壁紙を作成することが可能になる。
【0064】なお、図21にそれぞれブロックで示した
各構成要素のうち、画像印刷部8は実際の印刷機などの
機械で構成される要素であるが、その他の構成要素はい
ずれもコンピュータによって実現される要素であり、各
ブロックは、このコンピュータによって行われる個々の
処理を機能ブロックとして示したものである。これら各
機能ブロックのうち、リピータブル単位フラクタル格子
の生成に寄与するブロックの処理内容については、これ
までの説明により十分に理解できたものと思われる。そ
こで、以下、模様条件設定部6の設定内容および画像生
成部7の処理内容について詳述することにする。
【0065】この画像生成部7による画像生成処理は、
リピータブル単位フラクタル格子に分布する自己相似的
なスカラー場を、何らかの形で利用し、単位画像内にこ
のスカラー場による自然なゆらぎが取り込まれるような
処理であればよい。本明細書では、このような処理の3
つの具体例を、§7〜§9に分けて開示する。
【0066】§7. スカラー値に基づいて画素値を決
定する方法 リピータブル単位フラクタル格子に分布する自己相似的
なスカラー場を利用して単位画像を生成する最も簡単な
方法は、各スカラー値に基づいて画素値を決定する方法
である。この方法では、模様条件設定部6内には、スカ
ラー値を画素値に変換する式を用意しておけばよい。た
とえば、スカラー値=画素値とする最も単純な変換式を
模様条件設定部6内に用意した場合は、画像生成部7
は、フラクタル格子生成部5から与えられるリピータブ
ル二次元単位フラクタル格子の各格子点をそのまま各画
素とする単位画像を生成することになる。この場合、単
位画像の各画素には、対応する格子点のスカラー値がそ
のまま画素値として与えられることになり、たとえば、
図17に示すような5×5のサイズのリピータブル二次
元単位フラクタル格子が用意された場合には、各格子点
に与えられたスカラー値a〜yをそれぞれ画素値とする
5×5の大きさの単位画像が生成されることになる(も
っとも、このような5×5程度の大きさの単位画像は現
実的ではなく、実際には、より大きなサイズのフラクタ
ル格子を用いて、より大きな単位画像が生成される)。
【0067】ただ、画像印刷部8において印刷を行うよ
うな場合、画素値の範囲に制限が設けられるのが一般的
である(たとえば、1画素を8ビットで表現するような
場合には、画素値としては0〜255の範囲内の値が要
求される)。また、壁紙など実際の製品としての要求か
ら、画素値の範囲が制限される場合もある(たとえば、
明るい壁紙を印刷するために、画素値を200〜255
の範囲に制限する)。このような場合には、所定の範囲
内の画素値が得られるように、模様条件設定部6内に、
単位フラクタル格子内のスカラー値を単位画像内の画素
値に変換するための所定の変換式を用意しておけばよ
い。
【0068】また、各画素と各格子点との対応関係を模
様条件設定部6内に定義しておけば、用意した単位フラ
クタル格子とはサイズの異なる単位画像を生成すること
も可能である。たとえば、2n×2nの大きさの単位フ
ラクタル格子に基づいて、n×nの大きさの単位画像を
生成する場合(縮小した単位画像を生成する場合)、単
位画像内の各画素を、単位フラクタル格子内の1つおき
の格子点に対応づけるような対応関係を定めておけばよ
い。逆に、n×nの大きさの単位フラクタル格子に基づ
いて、2n×2nの大きさの単位画像を生成する場合
(拡大した単位画像を生成する場合)、単位画像内の1
つおきの画素を、単位フラクタル格子内の各格子点に対
応づけるような対応関係を定めておき、対応する格子点
のない画素については、隣接する画素のもつ画素値の平
均値を画素値として与えるようにすることもできる。
【0069】いずれにしても、このようにして生成され
た単位画像は、もとの単位フラクタル格子と同様にリピ
ータブルになる。したがって、画像生成部7において、
この単位画像を平面上に多数配列することにより合成画
像を生成すれば、この合成画像には、フラクタル格子に
基づくゆらぎをもった模様が表現されることになり、し
かも、この模様は単位画像の境界部分において連続的な
接続がなされる模様になる。
【0070】§8. スカラー値に基づいてもとの画像
を歪ませる方法 前述した§7で説明した方法では、単位フラクタル格子
内のスカラー値がそのまま画素値として反映されること
になるため、作成される模様は全体的に自然なゆらぎを
もった濃淡分布によって表現される模様になる。したが
って、たとえば、縞状模様、水玉模様、木目模様、石目
模様といった意図的な模様を作成することはできない。
ここに述べる方法は、単位フラクタル格子内のスカラー
値を変位量として用いて、もとの画像(意図的な模様)
を歪ませることにより、単位画像を生成する方法であ
る。
【0071】上述した縞状模様、水玉模様、木目模様、
石目模様といった意図的な模様は、コンピュータグラフ
ィックスの技術を用いることにより、人為的に容易に作
成することができる。たとえば、図22に示すように、
XYZ三次元座標系において、幾何学的な同心円柱体4
0のモデルを作り、これをXY平面50で切断したとき
の断面模様を考えると、図23に示すように、平面50
上には、年輪パターン51が得られることがわかる。単
純な同心円柱体40の代わりに、樹木の形状や内部の濃
淡分布をより正確にシミュレートした模擬樹木モデルを
作れば、平面50上には、より天然目に近い木目模様が
得られることになる。また、平面50を傾斜させたり
(壁紙の模様などでは、傾斜させるのが一般的であ
る)、平面50の代わりに曲面を用いたりすれば、より
バリエーションに富んだ模様が得られる。このように、
コンピュータシミュレーションにより、人為的に木目模
様を作成する手法は、種々のものが知られており、シミ
ュレーションの条件を適当に設定してやることにより、
リピータブル模様(平面上に複数配列した場合に、境界
部分が連続的に接続されるような模様)を得ることも可
能である。
【0072】しかし、このように人為的なシミュレーシ
ョンにより作成した模様は、人間の目で観察した場合、
何となく不自然な印象を与える。本願発明者は、このよ
うな不自然な印象を与える原因は、人為的に発生させた
模様には、自然のゆらぎの成分が含まれていないためで
あると考えている。そこで、このように人為的に発生さ
せた模様を有する画像を、単位フラクタル格子内のスカ
ラー値を変位量として歪ませてみたところ、より自然な
印象を与える模様を有する画像に変換できることが確認
できた。以下、この画像変換方法を説明する。
【0073】まず、図24の上段に示されているような
変換対象となる単位画像Pの画像データを用意する。こ
の単位画像Pは、XY二次元平面上の座標位置(x,
y)に、所定の画素値をもつ画素P(x,y)を配置す
ることにより構成される画像であり、たとえば、図23
に示す年輪パターン51のように、人為的に作成した何
らかの模様を含む画像である。しかも、この模様は、リ
ピータブル模様になっているものとする。これから行う
画像変換処理の目的は、このような単位画像Pに基づい
て、図24の中段に示されているような単位画像Qを得
ることである。ここで、単位画像Qは、単位画像Pと同
様に、XY二次元平面上の座標位置(x,y)に、所定
の画素値をもつ画素Q(x,y)を配置することにより
構成される画像であり、ここでは、単位画像P,Qとも
に同じ大きさの画素配列を有するものとする。以下の処
理は、各画素Q(x,y)についての画素値を決定する
処理である。
【0074】まず、図24の下段に示されているよう
な、リピータブル二次元単位フラクタル格子Fを用意す
る。このリピータブル二次元単位フラクタル格子Fを構
成する格子点の配列は、必ずしも、単位画像P,Qの画
素配列と同じ大きさにする必要はないが、単位画像Q内
の任意の1画素に対して、空間的に対応する位置にある
1つの格子点が対応づけられる必要があるため、単位画
像P,Qの画素配列とフラクタル格子Fの格子点配列と
を同じ大きさにしておけば便利である。すなわち、同じ
大きさの配列を用いておけば、各配列の空間的位置によ
って、単位画像P内の1画素、単位画像Q内の1画素、
フラクタル格子F内の1格子点、が相互に単純に対応づ
けられる。
【0075】リピータブル二次元単位フラクタルFを構
成する各格子点には、前述のように、自己相似的な性質
をもった所定のスカラー値が定義されている。既に§5
において流れ図を用いて説明したように、このようなリ
ピータブル二次元単位フラクタルFは、コンピュータに
よる演算で発生させることができる。この場合、各格子
点に定義されるスカラー値の厳密な値は、乱数が関与す
るために制御不可能であるが、全体的なおおまかな値に
ついては、ある程度設定することが可能である。すなわ
ち、§5において述べた方法の場合は、第0段階の格子
点A,B,C,Dに与える同一のスカラー値aおよびゆ
らぎの最大半振幅値Tの設定により、スカラー値のおお
まかな値やおおまかな増減幅を設定することができる。
そこで、このフラクタル格子Fによって定義されるスカ
ラー値Sが、変位量dとして利用される点を考慮し、変
位量dとして用いるのに適したスカラー値Sをもったフ
ラクタル格子Fを生成するのが好ましい。たとえば、こ
の画像変換によって最大で10画素分程度の歪みを生じ
させるのであれば、−10〜+10程度の範囲のスカラ
ー値Sが定義されたフラクタル格子Fを生成して用いれ
ば、このスカラー値Sをそのまま変位量dとして利用す
ることができる。もっとも、スカラー値Sに対して何ら
かの演算を施した値を変位量dとして利用するのであれ
ば、どのようなスカラー値の分布をもったフラクタル格
子を用意してもかまわない。たとえば、+90〜+11
0程度の範囲のスカラー値Sが定義されたフラクタル格
子Fを用いた場合であっても、変位量d=S−100と
すれば、−10〜+10程度の範囲で分布する変位量d
が得られる。
【0076】さて、単位画像Q内の座標位置(x,y)
に配置された画素Q(x,y)について与えるべき画素
値Zは、次のような処理により決定できる。まず、同じ
座標位置(x,y)に配置された格子点F(x,y)に
対して定義されたスカラー値Sを認識し、このスカラー
値Sに基づいて変位量dを決定する。上述したように、
変位量dとスカラー値Sとの間に所定の関係式を定義し
ておけば、歪みを生じさせるのに適した変位量dを得る
ことができる。ここでは、変位量d=スカラー値Sとし
て、スカラー値Sをそのまま変位量dとして利用できる
ものとする。こうして、変位量dが決定できたら、座標
位置(x+d,y)に配置された画素P(x+d,y)
を参照画素として特定する。この参照画素P(x+d,
y)は、座標位置(x,y)に存在する空間的対応画素
P(x,y)に対して変位量dだけX方向にずれた画素
である。そして、この参照画素P(x+d,y)のもつ
画素値Zを、画素Q(x,y)に付与すべき画素値とす
る。なお、変位量dだけずらすと、単位画像Pの輪郭線
を越えてしまうような場合には、たとえば、輪郭線を越
えた時点で対辺側に移動し、余った変位量だけ対辺から
ずれた位置にある画素を参照画素とするというように、
所定の方法を予め定めておけばよい。
【0077】このような方法によって、単位画像Qを構
成するすべての画素について、それぞれ画素値を与えて
やれば、単位画像Pから単位画像Qへの変換処理は完了
である。なお、上述の例は、X方向に画素をずらし、画
像をX方向に歪ませる場合の処理である。画像をY方向
に歪ませる場合には、画素をY方向にずらすようにすれ
ばよい。すなわち、画素P(x,y+d)を参照画素と
して特定すればよい。
【0078】以上のように、フラクタル格子内のスカラ
ー値を変位量として用いて単位画像Pを歪ませる処理を
行い、その結果として単位画像Qが得られたわけである
が、こうして得られた画像Qには、自然のゆらぎ成分が
含まれることになり、人間の目にはより自然な模様とし
て映るのである。しかも、もとになる単位画像Pとし
て、リピータブル模様をもった画像を用意しておけば、
これを歪ませることにより得られた単位画像Qも、リピ
ータブル模様をもった画像になるのである。これは、境
界線上の画素についての変換処理を考えれば、容易に理
解できる。
【0079】たとえば、図25の上段に示した単位画像
Pを、中段に示した単位画像Qに変換するために、下段
に示したフラクタル格子Fを用いた場合、単位画像Qの
上辺の座標位置(a,b)に存在する画素Q(a,b)
と、下辺の座標位置(a,c)に存在する画素Q(a,
c)とに対して、どのような画素値が与えられることに
なるかを考えてみる。まず、上辺の画素Q(a,b)に
ついては、同じ座標位置(a,b)に配置された格子点
F(a,b)に対して定義されたスカラー値Sを認識
し、このスカラー値Sに基づいて変位量dを決定する。
一方、下辺の画素Q(a,c)については、同じ座標位
置(a,c)に配置された格子点F(a,c)に対して
定義されたスカラー値を認識し、このスカラー値に基づ
いて変位量を決定することになるが、フラクタル格子F
はリピータブルフラクタル格子であるため、格子点F
(a,b)と格子点F(a,c)には、同一のスカラー
値Sが定義されており、変位量dも同じ値になる。続い
て、この変位量dを用いて、単位画像Pにおいて、座標
位置(a+d,b)に配置された画素P(a+d,b)
が画素Q(a,b)の参照画素として決定され、座標位
置(a+d,c)に配置された画素P(a+d,c)が
画素Q(a,c)の参照画素として決定されることにな
るが、これら一対の参照画素は、図の横方向に関して同
じ位置(a+d)にあるため、単位画像Pがリピータブ
ル模様をもった画像であれば、同じ画素値Z(または、
非常に近似した画素値)を有することになる。結局、単
位画像Qの上辺の画素Q(a,b)と下辺の画素Q
(a,c)とには、同じ画素値Z(または、非常に近似
した画素値)が付与されることになり、単位画像Qもリ
ピータブル模様をもった画像になる。したがって、得ら
れた単位画像Qを平面上に複数配列して合成画像を生成
した場合、この合成画像には、フラクタル格子に基づく
ゆらぎをもった模様が表現されることになり、しかも、
この模様は単位画像の境界部分において連続的な接続が
なされる模様になる。
【0080】なお、この§8で述べた方法を図21に示
す装置構成で実施する場合には、模様条件設定部6内
に、もとになる単位画像Pの画像データと、スカラー値
Sから変位量dを決定する関係式と、を模様条件として
設定してしておけばよい。
【0081】§9. スカラー値に基づいて有皺面を定
義する方法 この方法は、三次元立体画像を所定の面で切断し、この
切断面に現れる画像を模様として利用する方法である。
【0082】たとえば、図26に示すように、XYZ三
次元座標系において、幾何学的な同心円柱体45の立体
画像を作る。このとき、この同心円柱体45の各部に
は、それぞれ濃淡の異なる画素が定義されているものと
する(図示する例では、天然木の年輪のように同心円状
にグラデーションがかかっている)。ここで、有皺面6
0なるものを用意する。この有皺面60は、たとえば平
面状の紙を皺くちゃに丸めた後、再び平面状に伸ばした
ときに得られる皺のよった面と考えればよい。そして、
図26に示すように、この有皺面60によって、同心円
柱体45を切断し、切断面に現れた画素を所定の投影面
65に投影する。このとき、投影面65に得られる模様
を考えると、図27に示すようなゆらぎをもった年輪パ
ターン61(図ではゆらぎの成分は表現されていない)
が得られることがわかる。
【0083】ここで、この有皺面60を定義するのに、
二次元フラクタル格子のスカラー場を利用すれば、年輪
パターン61のもつゆらぎは、自己相似的な自然のゆら
ぎになる。以下、有皺面60の定義方法を具体的に説明
する。たとえば、ある紙面上に、図17に示すような5
×5のサイズの二次元フラクタル格子を定義し、各格子
点A〜Yを、それぞれスカラー値a〜yを変位量として
もとの紙面から離れる所定方向に変位させるのである。
スカラー値として正負両方の値を用意しておけば、ある
格子点は紙面上方に変位し、ある格子点は紙面下方に変
位する。変位後の格子点によって新たな面を構成すれ
ば、この新たな面は、全体に皺がよった状態になり、有
皺面60が形成されることになる。もっとも、5×5の
サイズでは、得られる有皺面60は、かなりぎこちない
面になるが、実際には、より大きなサイズのフラクタル
格子が用いられるため、こうして得られる有皺面60
は、自然のゆらぎに基づく皺をもった比較的なだらかな
面になる。このように、自然のゆらぎに基づく皺が形成
された有皺面60によって同心円柱体45を切断する
と、もとになる同心円柱体45上に表現された濃淡パタ
ーンが人為的なものであったとしても、投影面65に得
られる年輪パターン61は、自然のゆらぎをもった模様
になるのである。
【0084】なお、皺のない面で切断した場合に、投影
面65上にリピータブル模様が得られるような切断条件
設定(たとえば、同心円柱体45の中心軸に対して垂直
な面による切断)をしておけば、有皺面60を用いた場
合にも、投影面65上にリピータブル模様を得ることが
可能である。それには、有皺面60を定義するのに、リ
ピータブル二次元単位フラクタル格子を用いればよい。
したがって、この§9に示した方法は、壁紙など、繰り
返し模様をもった印刷物についても、実用上、十分に利
用可能である。
【0085】また、上述の例では、もとになる三次元立
体画像として、同心円柱体45の画像を用いているが、
三次元立体画像としては、要するに三次元空間内に種々
の画素値をもった多数の画素が定義された立体画像であ
れば、どのような立体画像を用いてもかまわない。たと
えば、中心点からの距離に基づいて画素値が一義的に定
義された球のような完全な幾何学モデルを用いた場合で
あっても、投影面65上には、自然のゆらぎをもった円
形模様が得られることになる。なお、この§9で述べた
方法を図21に示す装置構成で実施する場合には、模様
条件設定部6内に、もとになる三次元立体画像データと
切断の条件とを模様条件として設定してしておけばよ
い。
【0086】§10. その他の実施例 以上、本発明を図示する実施例に基づいて説明したが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、こ
の他にも種々の態様で実施可能である。以下にいくつか
の変形例を述べておく。
【0087】(1) 上述の実施例では、いずれも二次元
フラクタル格子を用いて二次元画像を生成しているが、
三次元フラクタル格子を用いて三次元立体画像を生成
し、この三次元立体画像を二次元平面に投影することに
より二次元画像を生成するようにしてもよい。
【0088】(2) §3,§4において、リピータブル
フラクタル格子の発生方法を簡単に説明したが、この方
法は、一般に「ランダム中点変位法」と呼ばれている方
法である。フラクタル格子の発生方法としては、この他
にも、たとえば「高速フーリエ変換フィルタリング
法」、「逐次ランダム加算法」など、種々の方法が知ら
れている。したがって、「ランダム中点変位法」以外の
方法で、リピータブルフラクタル格子を生成することも
可能である。どのような方法で生成したとしても、結果
的にリピータブルなフラクタル格子が生成できれば、本
発明に係る印刷物の生成は可能である。
【0089】(3) 単位フラクタル格子のスカラー場を
利用して、単位画像を生成する方法として、§7,§
8,§9に、それぞれ別個特有の方法を開示したが、本
発明は、これらの方法だけに限定されるものではない。
要するに、単位フラクタル格子のもつ自然のゆらぎ成分
をもった単位画像を生成できる方法であれば、どのよう
な方法を用いてもかまわない。
【0090】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、単位フラ
クタル格子に基づいて単位画像を作成し、この単位画像
を空間的に複数配置することにより画像を生成するよう
にしたため、自然なゆらぎをもち、しかも繰り返し模様
を連続的に配置してなる画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一次元フラクタル格子を発生させる第0段階の
状態を示す図である。
【図2】一次元フラクタル格子を発生させる第1段階の
状態を示す図である。
【図3】一次元フラクタル格子を発生させる第2段階の
状態を示す図である。
【図4】一次元フラクタル格子を発生させる第0段階に
おいて、各格子点に定義された具体的なスカラー値を示
す図である。
【図5】一次元フラクタル格子を発生させる第1段階に
おいて、各格子点に定義された具体的なスカラー値を示
す図である。
【図6】一次元フラクタル格子を発生させる第2段階に
おいて、各格子点に定義された具体的なスカラー値を示
す図である。
【図7】5つの格子点からなる一次元フラクタル格子に
おいて、各格子点に定義された具体的なスカラー値を示
す図である。
【図8】多数の格子点からなる一次元フラクタル格子の
自然なゆらぎを示すグラフである。
【図9】二次元単位フラクタル格子を発生させる第0段
階の状態を示す図である。
【図10】二次元単位フラクタル格子を発生させる第1
段階の状態を示す図である。
【図11】二次元単位フラクタル格子を発生させる第2
段階の状態を示す図である。
【図12】二次元単位フラクタル格子の基本構造を示す
図である。
【図13】図12に示す二次元単位フラクタル格子を平
面上に複数配置することにより、二次元合成フラクタル
格子を形成した状態を示す図である。
【図14】本発明において、リピータブル二次元単位フ
ラクタル格子を生成する基本原理を説明する図である。
【図15】リピータブル二次元単位フラクタル格子を発
生させる第0段階の状態を示す図である。
【図16】リピータブル二次元単位フラクタル格子を発
生させる第1段階の状態を示す図である。
【図17】リピータブル二次元単位フラクタル格子を発
生させる第2段階の状態を示す図である。
【図18】図12に示す二次元単位フラクタル格子を平
面上に複数配置することにより、二次元合成フラクタル
格子を形成する別な態様を示す図である。
【図19】図18に示す態様で配置を行う場合のリピー
タブル二次元単位フラクタル格子を生成する基本原理を
説明する図である。
【図20】本発明においてリピータブル単位フラクタル
格子を生成する一般的な手順を示す流れ図である。
【図21】本発明に係る印刷物の作成装置の基本構成を
示すブロック図である。
【図22】人為的に年輪パターンを発生させるための幾
何学的な原理を説明する図である。
【図23】図22に示す原理に基づいて発生された年輪
パターンの一例を示す図である。
【図24】本発明において、フラクタル格子Fを利用し
て、もとになる単位画像Pを自然なゆらぎをもった単位
画像Qに変換する方法を示す図である。
【図25】図24に示す方法において、リピータブルフ
ラクタル格子を用いることにより、リピータブル模様を
もった単位画像Qが得られることを説明する図である。
【図26】三次元立体画像を有皺面によって切断した状
態を示す図である。
【図27】図26に示す有皺面を平面上に投影すること
により得られるパターンを示す図である。
【符号の説明】
1…フラクタル条件設定部 2…乱数発生部 3…スカラー値演算部 4…スカラー値転用部 5…フラクタル格子生成部 6…模様条件設定部 7…画像生成部 8…画像印刷部 10…二次元単位フラクタル格子 11…格子点 12…右辺上の格子点 13…左辺上の格子点 14…下辺上の格子点 15…オフセット量Wずれた下辺上の格子点 16…上辺上の格子点 17…下辺上の格子点 18…オフセット量Wずれた下辺上の格子点 19…上辺上の格子点 20…二次元合成フラクタル格子 30…二次元単位フラクタル格子 31…外形矩形の左辺 32…外形矩形の右辺 33…外形矩形の上辺 34…外形矩形の下辺 35…下辺上の格子点 36…上辺上の格子点 37…右辺上の格子点 38…左辺上の格子点 40,45…同心円柱体 50…XY平面 51…年輪パターン 60…有皺面 61…ゆらぎをもった年輪パターン 65…投影面
フロントページの続き (72)発明者 橋爪 家治 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 有吉 俊雄 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 岡本 優 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 助川 佳夫 埼玉県入間郡三芳町竹間沢311 株式会 社大日本トータルプロセス建材内 (72)発明者 室田 秀樹 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−133183(JP,A) 特開 平6−52277(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06T 11/00 100

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定のスカラー値を自己相似的に各格子
    点に定義した単位フラクタル格子であって、この単位フ
    ラクタル格子を空間的に複数配列した場合に、個々の単
    位フラクタル格子の境界部分が連続的に接続されるよう
    に各スカラー値が定義されたリピータブル単位フラクタ
    ル格子を生成する手段と、 このリピータブル単位フラクタル格子内に分布する各ス
    カラー値を利用して、所定の単位領域内に分布した画素
    からなる単位画像を生成する手段と、 この単位画像を空間的に複数配列することにより、空間
    的な繰り返し模様が表現された合成画像を生成する手段
    と、 を備える ことを特徴とする繰り返し模様をもった画像の
    作成装置
  2. 【請求項2】 所定のスカラー値を自己相似的に二次元
    平面上の各格子点に定義した二次元単位フラクタル格子
    であって、この二次元単位フラクタル格子を平面上に複
    数配列した場合に、個々の二次元単位フラクタル格子の
    境界部分が連続的に接続されるように各スカラー値が定
    義されたリピータブル二次元単位フラクタル格子を生成
    する手段と、 このリピータブル二次元単位フラクタル格子内に分布す
    る各スカラー値を利用して、所定の平面領域内に分布し
    た画素からなる単位画像を生成する手段と、 この単位画像を平面上に複数配列することにより、平面
    的な繰り返し模様が表現された合成画像を生成する手段
    と、 を備える ことを特徴とする繰り返し模様をもった画像の
    作成装置
  3. 【請求項3】 請求項に記載の画像の作成装置におい
    て、リピータブル二次元単位フラクタル格子を生成する手段
    が、 外部からの設定操作に応じて 所定の位置に所定のスカラ
    ー値をもつ第0段階の格子点を定義し、第(i−1)段
    階までに定義された格子点のもつスカラー値に基づい
    て、第i段階に定義される格子点に所定のスカラー値を
    与える作業を、パラメータiを初期値1から1ずつ増加
    させながら、パラメータiが所定値nに達するまで繰り
    返し実行し、 前記作業において、各格子点に所定のスカラー値を与え
    る場合に、格子の第1の境界辺上の格子点については、
    この第1の境界辺に向かい合った第2の境界辺上の接続
    対応位置の格子点について与えたスカラー値と同じスカ
    ラー値を与え、格子の第3の境界辺上の格子点について
    は、この第3の境界辺に向かい合った第4の境界辺上の
    接続対応位置の格子点について与えたスカラー値と同じ
    スカラー値を与えることにより、リピータブル二次元単
    位フラクタル格子を生成する機能を有することを特徴と
    する繰り返し模様をもった画像の作成装置
  4. 【請求項4】 請求項に記載の画像の作成装置におい
    て、リピータブル二次元単位フラクタル格子を生成する手段
    が、 外部からの設定操作に応じて、 同一のスカラー値をもっ
    た第0段階の4つの格子点を、格子の外形を形成する外
    形矩形のそれぞれ4隅位置に定義し、 第(i−1)段階までに定義された格子点を内部に含ま
    ない現段階での最小矩形を認識し、この最小矩形の各辺
    の中点およびこの最小矩形の中心点に、それぞれ第i段
    階に定義すべき格子点を生成し、各辺の中点に生成した
    格子点については、その辺の端点に存在する第(i−
    1)段階までに定義された2つの格子点のもつスカラー
    値に乱数を作用させることによって得られるスカラー値
    を与え、最小矩形の中心点に生成した格子点について
    は、その最小矩形の4隅位置に存在する第(i−1)段
    階までに定義された4つの格子点のもつスカラー値に乱
    数を作用させることによって得られるスカラー値を与え
    ることにより、第i段階に定義される格子点に所定のス
    カラー値を与える作業を行い、 前記作業を、パラメータiを初期値1から1ずつ増加さ
    せながら、パラメータiが所定値nに達するまで繰り返
    し実行し、 前記作業において、 最小矩形の辺が前記外形矩形の第1の辺に一致する場合
    には、この最小矩形の辺の中点に生成した格子点につい
    ては、前記第1の辺に向かい合った前記外形矩形の第2
    の辺上の接続対応位置の格子点について与えたスカラー
    値と同じスカラー値を与え、 最小矩形の辺が前記外形矩形の第3の辺に一致する場合
    には、この最小矩形の辺の中点に生成した格子点につい
    ては、前記第3の辺に向かい合った前記外形矩形の第4
    の辺上の接続対応位置の格子点について与えたスカラー
    値と同じスカラー値を与えることにより、リピータブル
    二次元単位フラクタル格子を生成する機 能を有すること
    を特徴とする繰り返し模様をもった画像の作成装置
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれかに記載の画像の
    作成装置において、単位画像を生成する手段が、 リピータブル二次元単位フ
    ラクタル格子を構成する各格子点と、所定の矩形領域内
    に分布した各画素と、を対応させ、各画素について、対
    応する格子点のもつスカラー値に応じた画素値を定義す
    ることにより、単位画像を生成することを特徴とする繰
    り返し模様をもった画像の作成装置
  6. 【請求項6】 請求項2〜4のいずれかに記載の画像の
    作成装置において、リピータブル二次元単位フラクタル格子を生成する手段
    が、 XY二次元平面上の座標位置(x,y)に格子点F
    (x,y)を配置してなるリピータブル二次元単位フラ
    クタル格子を生成し、単位画像を生成する手段が、 所定の画素値をもつ画素P
    (x,y)をXY二次元平面上の座標位置(x,y)に
    配置することにより構成される第1の画像Pに基づい
    て、所定の画素値をもつ画素Q(x,y)をXY二次元
    平面上の座標位置(x,y)に配置することにより構成
    される第2の画像Qを生成する機能を有し、 前記第2の画像Qを生成するにあたっては、座標位置
    (x,y)に配置された画素Q(x,y)について、座
    標位置(x,y)に配置された格子点F(x,y)に対
    して定義されたスカラー値に応じた変位量dを決定し、
    座標位置(x+d,y)に配置された画素P(x+d,
    y)を参照画素として特定し、この参照画素P(x+
    d,y)のもつ画素値Zを、画素Q(x,y)に付与す
    ることにより前記第2の画像Qを完成させることを特徴
    とする繰り返し模様をもった画像の作成装置
  7. 【請求項7】 請求項2〜4のいずれかに記載の画像の
    作成装置において、リピータブル二次元単位フラクタル格子を生成する手段
    が、 XY二次元平面上の座標位置(x,y)に格子点F
    (x,y)を配置してなるリピータブル二次元単位フラ
    クタル格子を生成し、単位画像を生成する手段が、 この二次元単位フラクタル格子の各格子点のもつスカラ
    ー値に応じて、所定面の各点を所定方向に変位させるこ
    とにより有皺面を形成し、 所定の画素値をもつ画素をXYZ三次元空間内に配置す
    ることにより構成される三次元立体画像を入力し、 前記三次元立体画像を前記有皺面によって切断し、切断
    面に現れた画素を平面上に投影することにより単位画像
    を生成することを特徴とする繰り返し模様をもった画像
    の作成装置
  8. 【請求項8】 単位フラクタル格子を生成するために必
    要な条件を設定するフラクタル条件設定部と、 単位フラクタル格子を構成する各格子点に与えるスカラ
    ー値にゆらぎを与えるための乱数を発生する乱数発生部
    と、 前記フラクタル条件設定部において設定された条件と、
    前記乱数発生部が発生した乱数と、に基づく所定の演算
    により、各格子点に与えるべきスカラー値を演算するス
    カラー値演算部と、 生成された単位フラクタル格子を空間的に複数配列した
    場合に、個々の単位フラクタル格子の境界部分が連続的
    に接続されるように、境界部分の所定の格子点に与える
    べきスカラー値を別な格子点のスカラー値から転用する
    スカラー値転用部と、 前記スカラー値演算部によって演算されたスカラー値ま
    たは前記スカラー値転用部によって転用されたスカラー
    値のいずれかを各格子点に与えることにより、所定のス
    カラー値を自己相似的に各格子点に定義してなる単位フ
    ラクタル格子を生成するフラクタル格子生成部と、 印刷物として表現する単位模様を生成するために必要な
    条件を設定する模様条件設定部と、 前記フラクタル格子生成部によって生成された単位フラ
    クタル格子内に分布する各スカラー値と、前記模様条件
    設定部において設定された条件と、に基づく所定の演算
    により、所定の単位領域内に分布した画素からなる単位
    画像を生成し、この単位画像を空間的に複数配列するこ
    とにより、空間的な繰り返し模様が表現された合成画像
    を生成する画像生成部と、を備える ことを特徴とする繰り返し模様をもった画像
    作成装置。
  9. 【請求項9】 請求項に記載の画像の作成装置におい
    て、 フラクタル条件設定部は、生成すべき単位フラクタル格
    子のサイズと、最大半振幅値Tと、格子の外形を形成す
    る外形矩形の4隅の各位置に配置された同一のスカラー
    値をもった初期格子点と、を条件として設定する機能を
    有し、 フラクタル格子生成部は、隣接する2つの格子点の中点
    および他の格子点を内部に含まない最小矩形を形成する
    4つの格子点の中心点に新たな格子点を定義する機能を
    有し、 スカラー値演算部は、2つの格子点の中点に定義された
    新たな格子点に与えるべきスカラー値として、前記2つ
    の格子点のもつスカラー値の平均値と、前記乱数発生部
    が発生した乱数に前記最大半振幅値Tもしくはその(1
    /2)の値を乗じた数と、の合計値を用い、4つの格
    子点の中心点に定義された新たな格子点に与えるべきス
    カラー値として、前記4つの格子点のもつスカラー値の
    平均値と、前記乱数発生部が発生した乱数に前記最大半
    振幅値Tもしくはその(1/2)の値を乗じた数と、
    の合計値を用い、 スカラー値転用部は、境界部分の格子点に転用すべきス
    カラー値として、生成された単位フラクタル格子を空間
    的に複数配列した場合に隣接することになる別な境界部
    分の格子点に与えられたスカラー値を用い、 前記フラクタル格子生成部は、前記フラクタル条件設定
    部において設定されたサイズが得られるまで、新たな格
    子点を定義する処理を繰り返し実行し、新たに定義した
    格子点が前記外形矩形の第1の辺またはこれに直交する
    第2の辺上にある場合には、前記スカラー値転用部が転
    用したスカラー値をこの格子点に与え、新たに定義した
    格子点が前記第1の辺または前記第2の辺上にない場合
    には、前記スカラー値演算部が演算したスカラー値をこ
    の格子点に与える処理を行うことを特徴とする繰り返し
    模様をもった画像の作成装置。
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