JP3446649B2 - 酸化物イオン伝導体の製造方法 - Google Patents

酸化物イオン伝導体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ペロブスカイト型
構造をとる希土類ガレ−ト系の新規な酸化物イオン伝導
の製造方法に関する。本発明の方法で製造した酸化物
イオン伝導体は、燃料電池の固体電解質または空気極、
酸素ガスセンサ−等のガスセンサ−、電気化学的酸素ポ
ンプ等の酸素分離膜、およびガス分離膜等として有用で
ある。 【0002】 【従来の技術】これまで、酸化物イオン伝導体の代表例
は、酸化ジルコニウム(ZrO2)に少量のCaO,M
gO,Y23,Gd23等の2価または3価の金属酸化
物を固溶させた安定ジルコニアであったが、最近、安定
ジルコニアより高い酸化物イオン導電性を示すペロブス
カイト型構造のLaGaO3系電解質が発見された。そ
の中でも、例えば、Laの一部をSrで、Gaの一部を
MgとCoで置換した(La,Sr)(Ga,Mg,C
o)O3は、特に高いイオン導電性を示すことがすでに
報告されている(第6回SOFC研究発表会要旨(20
4B),第7回SOFC研究発表会要旨(209A),
FUELCELLSEMINERAbstracts
(1998)P104−、442−)が、この電解質を
製造する際、Coの原料としてはCoO粉が用いられて
来た。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上述せる従来
技術により、Coの原料としてCoO粉を用いて製造し
た酸化物イオン伝導体である(Ln,Sr)(Ga,M
g,Co)O3は、高いイオン輸率(電気伝導度に対す
る酸化物イオン伝導度の割合)を示すが、最適組成であ
るLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.15Co0.053であって
も、900℃で、最高値を示した後、降温にともないイ
オン輸率は低下し、低温域(650℃以下)では0.9
より低くなる。例えば、酸化物イオン伝導体をSOFC
の電解質として用いる場合、その電気伝導度とイオン輸
率は、電池の性能を決定づける重大なポイントである。
電池の発電性能を更に向上させ、低温(600〜800
℃)での発電を可能にするためには、広い温度範囲でよ
り酸化物イオン伝導性が高く、電子伝導性が低い電解
質、つまり高いイオン輸率を示す酸化物イオン伝導体が
強く求められている。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記要望
に答えるべく鋭意研究を押し進める中で、酸化物イオン
伝導性が非常に高く、固体電解質材料として良好な新材
料のLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.15Co0.053を作製
する際、Coの原料をCoO粉からCo34粉又はCo
OとCo34との混合粉にすることで、低温領域を含む
広い温度範囲で高い電気伝導度を保持したまま、これま
で以上に高いイオン輸率をもつ(即ち、従来よりも酸化
物イオン伝導性が高く、電子伝導性が低い)酸化物イオ
ン伝導体を得ることが出来るとの知見を得たのである
(図1参照)。 【0005】本発明は、上記の如くして得られた知見に
基づいて得られたものであって、成分元素の酸化物の粉
末およびまたは焼成中に熱分解して酸化物になる前駆体
物質の粉末を、所定の配合割合で混合し、焼成する、次
の一般式(1)で示される酸化物イオン伝導体の製造方
法において、 Ln1-xSrxGa1-(y+z)MgyCoz3 式(1)中 Ln=La,Ndの内の1種または2種、 x=0.05〜0.3 y=0〜0.29 z=0.01〜0.3 y+z=0.025〜0.3 成分元素の酸化物の内、コバルトの酸化物として、Co
34粉またはCoOとCo34との混合粉を用いること
を特徴とする、酸化物イオン伝導体(1)の製造方法、
に特徴を有するものである。 【0006】本発明において、「酸化物イオン伝導体」
とは、実質的な酸化物イオン伝導性を示す電気伝導性材
料を意味する。即ち、電気伝導性の大部分を酸化物イオ
ン伝導度が占める狭義の酸化物イオン伝導体でなく、場
合により電子−酸化物イオン混合伝導体(または酸化物
イオン混合伝導体)と呼ばれる電子伝導度と酸化物イオ
ン伝導度の両方が大きな割合を占める材料も、本発明で
は酸化物イオン伝導性を示す材料として、酸化物イオン
伝導体に含める。 【0007】電気伝導性の大部分を酸化物イオン伝導性
が占める狭義の酸化物イオン伝導体の場合、イオン輸率
(電気伝導度に占める酸化物イオン伝導度の割合)は好
ましくは0.7以上であり、より好ましくは0.9以上
である。一方、電子−イオン混合伝導体の場合には、イ
オン輸率は好ましくは0.1〜0.7、より好ましくは
0.2〜0.6である。 【0008】本発明の方法で製造した酸化物イオン伝導
体は、固体酸化物型燃料電池の電解質および空気極、ガ
スセンサ−、電気化学的酸素ポンプ用酸素分離膜、並び
にガス濃度差を利用するガス分離膜等に応用される。 【0009】 【本発明の実施の形態】以下、本発明の方法で製造した
酸化物イオン伝導体について説明する。上記一般式
(1)でしめされる本発明の製造方法によって得られる
酸化物イオン伝導体は、ペロブスカイト型結晶構造を持
ち、ABO3で示されるペロブスカイト型結晶のAサイトを
上記一般式のLn原子とSr原子が占め、そのBサイト
を残りのGa原子、Mg原子、およびCo原子が占めて
いる。但し、Cu−Kαを線源としたときにX線回折角
2θの約30°約50°にピ−クが現れるLn,Sr,
Ga,Mg,Coの1種または複数の元素の酸化物、ま
たはLnSrGa37、または一部LnSrGa
(3-a-b)MgaCob7(但し、Ln=La,Ndの内の
1種又は2種、a≠0及び/又はb≠0,かつa=b<
3)で示される他相を含む2相構造を有する場合もあ
る。 【0010】本来は、3価金属が占めるA、B両サイト
の一部を2価金属(例えば、Aサイトを占める上記Sr
原子、Bサイトを占めるMg原子)または遷移金属Co
が占めることにより、酸素空孔を生じ、この酸素空孔に
より酸化物イオン伝導性が生じる。従って、酸素原子数
は、この酸素空孔の分だけ減少することになる。 【0011】即ち、上記一般式(1)では、酸素原子数
が3であるかのように表示されているが、実際には酸素
原子数は3以下である。一般式(1)における酸素空孔
の数は最大で0.3であるので、正確な酸素原子数は
2.7〜3の範囲となる。但し、酸素空孔の数は添加原
子(Sr,Mg,Co)の種類のみならず、温度、酸素
分圧、添加原子の種類・量等によっても変動するため、
正確に表示することは困難である。そのため、本発明の
ペロブスカイト型材料を示す化学式では、酸素原子比の
数値を便宜上3として表示する。 【0012】上記一般式(1)において、Lnはランタ
ノイド系希土類金属であり、Bは非遷移金属である。即
ち、本発明の方法で製造した酸化物イオン伝導体は、ラ
ンタノイド・ガレ−ト(LnGaO3)を基本構造と
し、これにアルカリ土類金属(Sr)、非遷移金属(M
g)、および遷移金属(Co)の3種類の原子をド−プ
した複合酸化物である。 【0013】本発明の方法で製造した酸化物イオン伝導
において、各サイトにおけるド−プ原子、即ち、Aサ
イトにおけるSr原子の原子比(x)、またBサイトに
おけるMg原子+Co原子の合計原子比(y+z)が前
述の範囲外になると、本発明の複合酸化物の電気伝導性
が低下する。 【0014】本発明の方法で製造した酸化物イオン伝導
においては、一般式(1)で現される酸化物イオン伝
導体に加え、Cu−Kαを線源としたときにX線回折角
2θの約30°および約50°にピ−クが現れるLn、
Sr、Ga、Mg、Coの1または複数の元素の酸化
物、或いは酸化物LnSrGa37又はLnSrGa
(3-a-b)MgaCob7(但し、Ln=La,Ndの内の
1種又は2種、a≠0及び/又はb≠0,かつa=b<
3)で表される第2相を含む混合物からなる酸化物イオ
ン伝導体である場合もある。この場合も、電気伝導特性
としては、一般式(1)で現される酸化物イオン伝導体
の特性と何等変わりはない。 【0015】ところで、一般式(1)において、Bサイ
トのCo原子については、Coの原子比であるz値が増
大するほど、電気伝導性は高くなる。これは、Coが遷
移金属であり、原子価の変動によりn型またはp型の電
子性電気伝導性を発現し易いため、この原子が多くなる
ほど電子性電気伝導が増大して、電気伝導性が高くなる
ためである。それに伴なって、酸化物イオン伝導性の割
合(イオン輸率)が低下する。 【0016】また、z値が0.15以下の複合酸化物で
あれば、イオン輸率が0.7以上となり、特にz値が
0.10以下であるとイオン輸率は0.9以上と高く、
前述した狭義の酸化物イオン伝導体として機能すること
が判っている。但し、この場合はBサイトに非遷移金属
であるMg原子がある程度含まれていないと、電子性電
気伝導の寄与割合を0.3以下に維持できない。このよ
うな材料は、後述するように、固体酸化物型燃料電池の
電解質、ガスセンサ−、電気化学的酸素ポンプ用酸素分
離膜等として有用である。 【0017】一方、z値が0.15を超えると、イオン
輸率が0.7以下に下がって、電子−イオン混合伝導体
として機能するようになる。前述したように、このよう
な材料も本発明では酸化物イオン伝導体の中に含める。
これらは、酸化物イオン伝導体として十分に機能し、前
述したように伝導性は最も高くなる。このような混合伝
導体は、後述するように、固体酸化物型燃料電池の空気
極またはガス分離膜に有用である。 【0018】上記一般式(1)において好ましい組成は
つぎの通りである。 x=0.10〜0.25、特に0.17〜0.22、y
=0〜0.17、特に、0.09〜0.13、y+z=
0.10〜0.25、特に、0.15〜0.20。 【0019】z値は、高い酸化物イオン伝導性(イオン
輸率が0.7以上、好ましくは0.9以上)を持つ狭義
の意味での酸化物イオン伝導体として機能させる場合、
y≧0.025、かつz=0.02〜0.15、特に
0.07〜0.10であることが好ましい。一方、電子
−イオン混合伝導体として機能させたい場合には、zは
0.15<z≦0.3であり、好ましくは0.15<z
≦0.25である。 【0020】本発明の酸化物イオン伝導体の製造方法
は、成分元素の各酸化物の粉末、CoについてはCo、
Co 3 4 粉またはCoOとCo34の混合粉を所定の配
合割合で良く混合した混合物を適宜手段で成形し、焼成
して焼結させることに特徴を有する。原料粉末として
は、酸化物以外に、焼成中に熱分解して酸化物になる前
駆物質(例えば、炭酸塩、カルボン酸等)も使用でき
る。焼結のための焼成温度は1200℃以上、好ましく
は1300℃以上であり、焼成時間は数時間ないし数十
時間である。焼成時間を短縮するため、原料混合物を焼
成温度より低温で予備焼成してもよい。この予備焼成
は、例えば、500〜1300℃で1〜10時間程度加
熱することにより実施できる。予備焼成した混合物を必
要があれば粉砕した後、成形し、最終的に焼結させる。
成形は、一軸圧縮成形、静水圧プレス、押し出し成形、
テ−プキャスト成形等の適宜の粉体成形手段を採用でき
る。予備焼結も含めて焼成雰囲気は、空気等の酸化雰囲
気か不活性ガス雰囲気が好ましい。 【0021】本発明の方法で製造した酸化物イオン伝導
体のうち、y値が0.025以上で、かつz値が0.1
5以下のものは、電気伝導性において酸化物イオン伝導
性が支配的(即ち、イオン輸率が0.7以上)であり、
上記の狭義の酸化物イオン伝導体となる。この材料は、
従来使用されてきた各種の酸化物イオン伝導体の用途
(例えば、固体酸化物型燃料電池の電解質、ガスセンサ
−)に利用できる。本発明の方法で製造したこの種の酸
化物イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性が高く、低温
でも作動可能であることから、より性能の優れた製品を
与えるものと期待される。 【0022】酸化物イオン伝導体の応用分野は広範囲に
及んでいるが、重要な用途の1つが固体酸化物型(固体
電解質型)燃料電池(SOFC)の電解質である。SO
FCの構造は特に制限されず、円筒型でも平板型でもよ
く[図3(a)、(b)参照]また平板型の場合はスタッ
ク型と一体焼結型(モノリス型)のいずれでもよい。い
ずれの場合も、電解質層を空気極と燃料極とで挟んだ3
層の積層体(電解質層は片面が空気極層に、他面が燃料
極層に接する)が基本セル構造になる。電解質層はガス
不透過性であり、空気極と燃料極の各層は、ガスが通過
できるように多孔質である。円筒型の場合には、円筒の
内部と外部に分けて燃料ガス(例えば、水素)と空気
(または酸素)が別々に供給され、多数の円筒型セルが
その外面の一部に設けたインタ−コネクタを介して接続
される。平板型の場合には、燃料ガスと空気を別々に供
給できる流路を設けた概ね平板型のインタ−コネクタを
利用してガスが供給される。このインタ−コネクタを上
記の3層の積層構造からなる平板型セルと交互に積み重
ねて多層化される。 【0023】現時点で最も開発が進んでいるSOFC
は、Y23安定化ジルコニア(YSZ)の薄膜を電解質
とし、カソ−ドには電子性電気伝導性を示すペロブスカ
イト型材料(例えば、Sr含有LaMnO3)、アノ−
ドにはNi等の金属またはNi−YSZなどのサ−メッ
トを用いた電池構成をとる。YSZの伝導性が低温では
低いことと、1000℃付近では排ガスの熱を利用した
タ−ビン発電機の運転を行うコジェネレ−ションによる
発電効率の増大が可能となることから、YSZを電解質
とするSOFCは、1000℃前後の高温で作動させる
ように設計されている。 【0024】SOFCは電解質の抵抗損による電圧降下
が大きく、薄膜ほど高出力が得られる。そのため、電解
質のYSZは30〜50μm程度の薄膜で使用されてい
る。しかし、それでもなおYSZの酸化物イオン伝導度
が小さいため、実用上十分な性能を得るために約100
0℃に加熱する必要がある。膜厚30μmの薄膜YSZ
で作動温度1000℃における実用的な出力密度は、
0.35W/cm2程度と報告されている。これより電
池の出力を高くするか、作動温度を低くするために、数
μmないし10μm程度と言う薄さのYSZ薄膜を使用
した実験例が報告されているが、このような薄膜では電
解質に求められるガス不透過性が不確実となり、信頼性
の面で望ましくない。 【0025】本発明の方法で製造したペロブスカイト型
酸化物からなる狭義の酸化物イオン伝導体は、YSZよ
り酸化物イオン伝導性が非常に高いものを得ることが出
来るので、例えば厚さ0.5mm(=500μm)とい
う焼結法で可能な厚膜の電解質を用いてSOFCを構成
した場合でも、上記YSZ薄膜より高い出力を得ること
ができる。この場合の最大出力密度は、Co原子の原子
比によっても異なるが、30μm厚のYSZ薄膜をも用
いたSOFCと比べて作動温度800℃では数倍(例え
ば、3倍以上)も大きくなる。或いは、厚さ30μmの
薄膜で用いれば、600℃ないし700℃という低温に
おいて、同じ30μm厚のYSZ膜が1000℃で発揮
する以上の出力密度を得ることができる。 【0026】前述したように、本発明の方法で製造した
複合酸化物は、YSZに比べて酸化物イオン伝導性が非
常に高いため、電解質を厚くして、例えば0.5mm程
度の焼結体から製造することが可能となるため、機械的
強度、寿命が大幅に向上し、しかもYSZを電解質とす
る場合より最大出力密度の非常に高いSOFCを製造す
ることができる。 【0027】酸化物イオン伝導体の現時点での最も大き
い用途は酸素センサ−であり、自動車の空撚比制御に大
量に使用されているほか、製鋼等の工業プロセスの制御
にも利用されている。この酸素センサ−は固体電解質酸
素センサ−と呼ばれ、酸素濃淡電池の原理により酸素濃
度を測定するものである。即ち、酸化物イオン伝導体か
らなる材料の両端に酸素ガス分圧の差があると、材料内
部に酸化物イオンが拡散して酸素濃淡電池を構成するた
め、両端に電極をつけて起電力を測定することにより酸
素分圧を測定することが可能となる。固体電解質酸素セ
ンサ−は、酸素ガス以外にSOx,NOxといった酸素含
有ガスのセンサ−としても利用できる。 【0028】YSZからなる酸素センサ−は、比較的安
価ではあるが、低温では酸化物イオン伝導性が低下する
ため、600℃以上の高温でしかセンサ−として使用で
きず、用途が制限されていた。これに対し、酸化物イオ
ン伝導性が支配的な本発明の方法で製造した複合酸化物
イオン伝導体(y≧0.025、z≦0.15)は、非
常に高い酸化物イオン伝導性を示すので、ガスセンサ
−、特に酸素センサ−として有用であり、低温でも酸化
物イオン伝導性が高いことから600℃以下でも十分に
使用可能なガスセンサ−となる。 【0029】酸化物イオン伝導性が支配的である本発明
方法で製造した複合酸化物イオン伝導体(y≧0.0
25、z≦0.15)は、電気化学的酸素ポンプ用酸素
分離膜としても使用できる。酸化物イオン伝導体からな
る分離膜の両端に電位差を与えると、内部を酸化物イオ
ンが移動して電流が流れ、酸素が片側の面から反対側の
面に1方向にながれるようになる。これが酸素ポンプで
ある。たとえば、空気を流すと、反対側の面から酸素が
富化された空気が得られるので、酸素分離膜として利用
されている。 【0030】このような酸素分離膜は、例えば軍事用航
空機やヘリコプタ−などで、周囲の希薄空気から酸素富
化空気を作るのに利用されている。医療用酸素ボンベの
代替品としても応用可能性があると考えられる。また、
電子−イオン混合伝導性(即ち、イオン輸率が0.7以
下)を示す本発明の方法で製造したペロブスカイト型酸
化物イオン伝導体(z>0.15)は、酸素に電子を付
与するイオン化触媒として機能し、集電体として機能す
るのに必要な電子伝導性と酸化物イオンを電解質に送り
こむための酸化物イオン伝導体として機能するのに十分
な酸化物イオン伝導性の両方を示すので、前述したSO
FCの空気極の材料に適しており、空気極の少なくとも
一部を、この材料から構成することが好ましい。 【0031】電子−イオン混合伝導性を示す本発明の
法で製造した酸化物イオン伝導体(z>0.15)は、
ガス濃度差を利用するガス分離膜としても利用できる。
ガス分離膜の場合には、膜の両側に外部から電位差を与
える必要はなく、分離膜の両側のガス中の酸素濃度差が
分離の駆動力となる。この酸素濃度差により、酸化物イ
オンが高濃度側から低濃度側に流れ、この流れを電気的
に補償するために電子が逆方向に流れる。従って、酸化
物イオン伝導性と一緒にある程度の電子性電気伝導もな
いと(即ち、電子−イオン混合伝導体でないと)電子が
流れないために機能しなくなる。 【0032】このガス分離膜は、酸素ばかりでなく、例
えば、水やNOxの分離にも使用できる。水の場合、分
離膜の表面で酸化物イオンと水に分解すると、膜の両側
で酸化物イオン濃度に差ができ、これが駆動力となって
酸化物イオンの流れができ、水素は流れずに残るので、
水から水素を製造することができる。NOxの場合も、
分解してNOxが無害化され、窒素と酸素に分離され
る。 【0033】その他、本発明の方法で製造した酸化物イ
オン伝導体は、電気化学的反応器や酸素同位体分離膜等
にも利用可能である。 【0034】 【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明
する。La23、SrCO3、Ga23、MgO、Co
OおよびCo34の金属酸化物の各原料粉を用意し、C
oについては、Co:Co34のCoのモル比が、0:
100,40:60,70:30,100:0の混合粉
を夫々原料として、他の原料粉とLa0.8Sr0.2Ga
0.8Mg0.15Co0.053を生ずる割合で配合し、夫々を
よく混合した後、1000℃で6時間予備焼成した。こ
の予備焼成した混合粉を粉砕し、静水圧プレスにより厚
み0.5mm、直径15mmのディスク状に圧縮成形
し、成形体を1500℃で3時間焼成して焼結させた。
得られた焼結体の結晶構造をX線回折により調べたとこ
ろ、いずれもペロブスカイト型結晶構造の相を有してい
た。ただしCu−Kαを線源としてX線回折を行ったと
ころ、CoO/Co34のCoのモル比;0:100の
原料を用いた場合には、回折角2θが、約30°および
約50°にピ−クが現れる化合物が確認された(図
4)。 【0035】得られた焼結体の電気伝導性は、ディスク
形の焼結体から切断した直方体試料に、電極となる白金
ペ−ストを塗布した後、白金線を接続して950〜12
00℃で10分間焼き付け、任意の酸素分圧と温度に調
整可能な装置内で、直流四端子法または交流二端子法で
抵抗値を測定することにより求めた。酸素分圧の調整
は、O2−N2ガスを用いて行った。イオン輸率の測定
は、得られたディスク状焼結体に電極を焼き付けた試料
の両端の雰囲気の酸素分圧が、お互いに異なる既知の値
にして酸素濃淡電池を作製し、この電池の起電力を測定
すると共に、同条件の理論起電力をネルンスト式から求
め、起電力の測定値の理論起電力に対する比を求めた。 【0036】測定結果を図1および図2に示す。図1は
イオン輸率、図2は酸素分圧が一定(10-5atm)
で、温度を変化させた場合の電気伝導度(伝導度のアレ
ニウスプロット)。図2から、原料Co34の配合によ
る電気伝導度の相違は小さく、広い温度範囲でいずれも
高い導伝率を示すことがわかる。一方、図1からは、原
料粉Co34を含まない場合、650℃以下の低温にお
いて、イオン輸率が急激に低下し0.9以下の値となる
のに対し、原料粉Co34を含むものは、高いイオン輸
率を保持していることがわかる。従って、低温でも高い
導伝率を維持したまま、高いイオン輸率を示すという、
優れた電気特性が可能となった。 【0037】 【発明の効果】本発明によれば、従来の代表的な酸化物
イオン伝導体である安定化ジルコニアよりも酸化物イオ
ン伝導性が高いCo含有ペロブスカイト型複合酸化物に
おいて、Coの原料としてCo34粉またはCoOとC
34との混合粉を使用したものは、酸化物イオン伝導
度と電子伝導度の割合、即ちイオン輸率が高いのは勿
論、低温においても高い電気伝導性を保持したまま、高
いイオン輸率を示す。従って、電気伝導性が高く、かつ
低温でもイオン輸率が0.9以上と高い狭義の酸化物イ
オン伝導体として有用な材料だけでなく、Co含有量に
よって、イオン輸率を自由に制御することが出来ること
から、電子−イオン混合伝導体として有用な材料も得ら
れる。 【0038】特に、低温におけるイオン輸率が高い本発
明の方法で製造した酸化物イオン伝導体は、広い温度範
囲で使用でき、かつ酸素雰囲気から水素雰囲気に至る全
ての酸素分圧下で高い酸化物イオン伝導性を示すので、
固体酸化物型燃料電池の電解質、酸素センサ−等のガス
センサ−、および電気化学式酸素ポンプ用分離膜として
有用であり、従来より高性能の製品を実現できる可能性
がある。また、電子−イオン混合伝導性を示す本発明の
酸化物イオン伝導体は、固体酸化物型燃料電池の空気極
やガス濃度差を利用するガス分離膜として利用できる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の製造方法に係るCoの原料としてCo
O:Co34のCoのモル比を変化させて製造したLa
0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.15Co0.053なる組成を持つ
複合酸化物からなるペロブスカイト型イオン伝導体の温
度変化に応じたイオン輸率の変化を示すグラフである。 【図2】本発明の製造方法に係るCaの原料としてCo
O:Co34のCoのモル比を変化させて製造したLa
0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.15Co0.053なる組成を持つ
複合酸化物からなるペロブスカイト型イオン伝導体の温
度変化に応じた電気伝導率の変化を示すグラフである。 【図3】SOFCの基本セル構造の概略図。 【図4】本発明の製造方法に係わるCoの原料として、
Co:Co34のCoのモル比を変化させて製造したL
0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.15Co0.053なる組成をも
つ複合酸化物からなるイオン伝導体のX線回折(Cu−
Kα)のピ−クを示すグラフである。 【符号の説明】 1:基体、2:空気極層、3:電解質層、4:燃料極
層、5:インタ−コネクタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 27/409 H01M 8/02 K H01M 8/02 G01N 27/58 A (72)発明者 駒田 紀一 埼玉県大宮市北袋町1−297 三菱マテ リアル株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平10−255832(JP,A) 特開 平10−114520(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 1/06 - 1/08,13/00 C01G 51/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】成分元素の酸化物の粉末およびまたは焼成
    中に熱分解して酸化物になる前駆体物質の粉末を、所定
    の配合割合で混合し、焼成する、次の一般式(1)で示
    される酸化物イオン伝導体の製造方法において、 Ln 1-x Sr x Ga 1-(y+z) Mg y Co z 3 式(1)中 Ln=La,Ndの内の1種または2種、 x=0.05〜0.3 y=0〜0.29 z=0.01〜0.3 y+z=0.025〜0.3 成分元素の酸化物の内、コバルトの酸化物として、Co
    3 4 粉またはCoOとCo 3 4 との混合粉を用いること
    を特徴とする、酸化物イオン伝導体(1)の製造方法。
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