JP3446368B2 - 水晶振動子及びその製造方法 - Google Patents

水晶振動子及びその製造方法

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JP3446368B2
JP3446368B2 JP01689395A JP1689395A JP3446368B2 JP 3446368 B2 JP3446368 B2 JP 3446368B2 JP 01689395 A JP01689395 A JP 01689395A JP 1689395 A JP1689395 A JP 1689395A JP 3446368 B2 JP3446368 B2 JP 3446368B2
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素之 田中
貴浩 今井
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低価格化及び高周波化
に対応した水晶振動子、及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】水晶は二酸化ケイ素の低温相(<573
℃)であるが、この水晶型構造の基本となる石英型の骨
格は870℃以下でなければ安定ではない。しかし、二
酸化ケイ素の融点はこれよりもはるかに高い1730℃
であり、この融点の近傍ではクリストバライト型結晶構
造が安定であるので、単純な高温処理では水晶を生成す
ることができないとされている。
【0003】従来の水晶製造術としては、高温高圧下で
温度差を設けて二酸化ケイ素のアルカリ溶液から種結晶
上に水晶単結晶を成長させる水熱合成法しかなかった。
この方法による水晶の製造プロセスは、例えば「セラミ
ックス」15、(1980)、No.3、p.170〜1
75に記載されている。
【0004】しかし、この水熱合成法では塊状の大型結
晶か若しくは粒状の粉末しか合成できないので、薄膜形
状が要求される製品にそのまま利用することは出来な
い。実際に、実装する際に薄膜化が要求される水晶振動
子は、この水熱合成法で製造された大型単結晶の中から
切り出し、加工して使用されている。
【0005】又、近年の通信周波数の高周波化に伴い、
振動子として用いる水晶を一層薄くすることが求めら
れ、例えば特開平5−327383号公報で示されてい
るように、水晶を半導体基板上に張り付けて研磨を行
い、水晶を薄膜に加工する技術が提案されている。しか
し、研磨等の加工による薄膜化では膜厚に限界があり、
かつコストが高くなる問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記のごとく、従来の
水晶の製造法は水熱合成法であるが、高圧を実現するた
めの大がかりな装置が必要であり、巨大な装置で大型の
単結晶を育成しないとコストの低減が図れない。しか
も、この方法では薄膜等の任意の形状の水晶単結晶を形
成することは困難であるから、振動子とするためには塊
状の大型単結晶を薄膜化する必要があった。
【0007】特に水晶振動子では近年の通信周波数の高
周波化に伴い、水晶をより薄くすることが要求されてい
る。しかし、従来の水熱合成法で製造した大型の単結晶
から薄い水晶を切り出す方法では、達成できる水晶の薄
さは実用上50μmが限界であった。
【0008】本発明は、かかる従来の事情に鑑み、水熱
合成法のような大がかりな装置を必要とせず、任意の膜
厚と形状に製造でき、低価格化及び高周波化に対応した
水晶振動子の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、ケイ素のア
ルコキシドなどの原料を溶媒に希釈した溶液を単結晶基
板上に塗布した後、加熱によって結晶化するゾルゲル法
を利用して、原料、添加剤、焼成条件などを工夫するこ
とにより、5nm以上の任意の厚さ及び任意の形状の単
結晶薄膜水晶を合成する方法を見いだした。
【0010】本発明の水晶振動子の製造方法は、かかる
知見に基づいてなされたものであって、単結晶基板上に
ゾルゲル法により二酸化ゲルマニウムを主成分とする水
晶型結晶構造を有する酸化物単結晶膜を形成する工程
と、酸化物単結晶膜上にゾルゲル法により単結晶薄膜水
晶を形成する工程と、水溶液中で酸化物単結晶膜を溶解
することにより単結晶基板から単結晶薄膜水晶を剥離す
る工程と、得られた単結晶薄膜水晶を振動部として組み
込む工程とを備えたことを特徴とする。
【0011】上記本発明の水晶振動子の製造方法により
得られる水晶振動子は、ゾルゲル法により単結晶基板上
に形成された後に該単結晶基板から剥離された、厚みが
5nm以上50μm以下の単結晶薄膜水晶を、振動部と
して用いたことを特徴とするものである。
【0012】
【作用】本発明において、単結晶薄膜水晶及び水晶振動
子の「水晶」とは、ケイ素(Si)とゲルマニウム(G
e)の含有量の合計が全金属含有量の70モル%以上で
あって、水晶型結晶構造を有する全ての酸化物を含む意
味で使用する。
【0013】ケイ素及びゲルマニウムは水晶型結晶構造
を有する酸化物を構成することのできる金属元素であ
り、ケイ素とゲルマニウムの含有量の合計が全金属含有
量の70モル%未満になると水晶型結晶構造の構成が弱
くなり、単結晶薄膜水晶の特性を著しく劣化させること
になる。よって、特性の優れた単結晶薄膜水晶を得るに
は、ケイ素とゲルマニウムの含有量の合計を全金属含有
量の70モル%以上、好ましくは90モル%以上とす
る。
【0014】本発明のゾルゲル法による水晶振動子の製
造は以下の手順で行う。まず、基板に用いる単結晶を用
意する。この単結晶は、二酸化ケイ素や二酸化ゲルマニ
ウムを主成分とする水晶型結晶構造を有する酸化物の単
結晶が成長しやすいものである必要が有り、単結晶水晶
を用いることが最も好ましいが、サファイア、Mg0、
SrTi03、LiNb03、LiTa03等の酸化物単
結晶を用いることもできる。
【0015】第2に、ゲルマニウムのアルコキシドなど
溶媒に可溶なゲルマニウムの化合物を、アルコールなど
の溶媒で希釈した金属含有溶液に、必要に応じてリチウ
ム又は水若しくはアミンなどの添加、あるいは溶液の還
流を行い前駆体溶液を形成する。次に、この前駆体溶液
をスピンコートやディップコートにより、水晶やサファ
イアなどの単結晶基板上に塗布する。最後に、前駆体溶
液を塗布した基板を昇温処理し、溶媒などを蒸発させて
ゲル化及び固化させ、更に結晶化させ、二酸化ゲルマニ
ウムを主成分とする酸化物単結晶膜を形成させる。
【0016】第3に、ケイ素のアルコキシドなどの溶媒
に可溶なケイ素及び又はゲルマニウムの化合物を用い
て、前記二酸化ゲルマニウムの場合と同様の方法によ
り、酸化物単結晶膜の上に単結晶薄膜水晶を形成する。
【0017】第4に、水晶振動子の形成に必要な単結晶
薄膜水晶の支持部を形成するため、単結晶薄膜水晶の上
に支持板を貼り付ける。支持板には表面が正常で平滑な
Siウェハーやガラス板が適しており、単結晶薄膜水晶
の上に圧着して加熱するだけで強固に接合できる。又、
酸化物単結晶膜の上にゾルゲル法の前駆体溶液を塗布し
た後、支持板を重ねて熱処理することで接合することも
でき、単結晶薄膜水晶の形成工程と支持板の接合工程を
同時に行うことができる。尚、支持部の形成は次の剥離
工程の後でも良いが、各工程での単結晶薄膜水晶の取り
扱いを容易にするためには、剥離工程前に支持部の形成
を行うことが好ましい。
【0018】第5に、二酸化ゲルマニウムを主成分とす
る酸化物単結晶膜を水溶液中で溶解し、少なくとも振動
部として用いる部分の単結晶薄膜水晶を単結晶基板から
剥離させる。水溶液は純水でも良いが、剥離の早さの点
から塩酸、王水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを
適当な濃度に希釈したものが好ましい。
【0019】第6に、単結晶薄膜水晶の全面を支持して
いる支持板の一部をエッチングし、単結晶薄膜水晶の振
動部を形成する。又、単結晶薄膜水晶の一部が接着しな
いような構造の支持板を用いれば、剥離後の支持板のエ
ッチング工程を省略することができる。
【0020】第7に、単結晶薄膜水晶を酸性フッ化アン
モニウム水溶液などを用いてエッチングすることによ
り、水晶振動子の振動部の形状を調整する。得られた単
結晶薄膜水晶からなる振動部の両面に、蒸着法などによ
り電極を形成することにより、水晶振動子が得られる。
【0021】このように、ゾルゲル法によれば、二酸化
ゲルマニウムや二酸化ケイ素などを主成分とする結晶固
体の低温合成が可能となる。更に、溶液状態でコーティ
ングを行うため腑形性が高く、薄膜の形成が容易であ
る。又、膜厚は前駆体溶液の粘度、回転数、引き上げ速
度などのコーティングの条件で調整することができ、必
要な厚さが得られるまで塗布から結晶化までを繰り返せ
ば良い。
【0022】単結晶薄膜水晶及び二酸化ゲルマニウムを
主成分とする酸化物単結晶膜の膜厚は、基板塗布面の平
滑性の問題から、均質で安定な特性を有する膜を形成す
るには5nm以上必要である。厚い膜はコーティングと
乾燥の過程を複数回繰り返すことによって形成すること
が可能であるが、各繰り返しの間に生じる欠陥、熱応
力、面粗度などの積み重なりから結晶性が劣化する可能
性があるので、安定な特性を得るためには膜厚が50μ
m以下であることが好ましい。
【0023】塗布した前駆体溶液は乾燥した後、500
〜1200℃の温度で加熱処理することにより、単結晶
基板上において結晶化してエピタキシャル成長し、単結
晶薄膜水晶又は水晶型結晶構造を有する酸化物単結晶薄
膜が形成される。加熱処理の温度が500℃未満では結
晶化が起こらず、1200℃を越えると高温相の別種の
結晶構造が形成される。最も好ましい加熱処理温度は8
00℃〜1000℃である。又、この加熱処理は酸素雰
囲気中又は水蒸気を含む酸素雰囲気中、若しくは大気中
又は水蒸気を含む大気中で行うことが好ましい。
【0024】尚、ゾルゲル法の原料として用いる金属化
合物としては、Si(OCH3)4、Si(OC25)4、S
i(OC37)4、Ge(OCH3)4、Ge(OC25)4、G
e(OC37)4などの金属アルコキシド、Si(COCH
2COCH3)4などの金属アセチルアセテート、SiCl
4などの金属塩化物などが挙げられる。
【0025】一般に、水晶型結晶構造を有する酸化物単
結晶の圧電特性は、その結晶構造に起因している。従っ
て、これらの特性を充分に発揮させるためには、結晶の
すべての軸を揃えて結晶性の優れた単結晶を製造する必
要がある。本発明方法では、基板に単結晶基板を用い、
基板と薄膜との界面における結合を通して基板の結晶構
造を薄膜の結晶構造に反映させるエピタキシャル成長を
利用するので、結晶性の優れた単結晶薄膜を製造するこ
とができる。特に単結晶基板として水晶を使用すれば、
結晶構造、格子定数共に、成長する薄膜とほぼ一致して
いるので最も好ましく、基板面とする結晶方位もいずれ
の方位でも良いが、振動子の温度特性の点からAT面が
最も好ましい。
【0026】水晶型結晶構造は低温相であるため、単に
昇温処理を施しただけでは結晶化が起こらなかったり、
結晶化しても高温相の別種の結晶型になることがある。
ところが、Li、Na、Kなどアルカリ金属の添加によ
り、水晶型結晶構造が安定に存在する温度領域を広げる
効果が得られることが判った。従って、金属含有溶液中
にアルカリ金属を微量添加することにより、ゾルゲル法
による水晶の合成が一層容易になる。アルカリ金属の混
入量は少なすぎると効果がなく、多すぎると水晶の特性
を損なうことがあるため、金属含有溶液中の全金属元素
量に対して3×10-4モル%以上5モル%以下であるこ
とが好ましい。
【0027】特にLiは、微量で水晶型結晶構造が安定
に存在する温度領域を広げることができるので好まし
い。又、Liはアルカリ金属類の中で最も原子半径が小
さいため、水晶の特性に与える影響は他の元素に比べて
小さい。更に、単結晶生成後に高圧電界を印加し、金属
イオンを拡散させて取り除く電解拡散処理も、Liは他
の元素に比べて効果的に行うことができる。よって、添
加するアルカリ金属元素としては、Liが最も好まし
い。Liの好ましい添加量は3×10-4モル%〜5モル
%である。3×10-4モル%未満になると水晶型結晶構
造を安定に存在できる温度領域を広げる効果が弱く、5
モル%を越えると水晶の特性の劣化が顕著になるからで
ある。
【0028】ただし、水晶型結晶構造を有する二酸化ゲ
ルマニウムは1033℃まで安定であるため、上記アル
カリ金属を添加しなくても、ゾルゲル法により安定して
水晶型結晶構造の二酸化ゲルマウムを形成することがで
きる。即ち、アルカリ金属添加の効果は、二酸化ケイ素
を主成分とする単結晶薄膜水晶の形成において顕著であ
る。よって、アルカリ金属を添加する時は、金属含有溶
液中のケイ素含有量が全金属元素含有量に対して50モ
ル%以上であることが好ましく、90モル%以上である
ことが更に好ましい。
【0029】このように、二酸化ゲルマニウムはゾルゲ
ル法により安定して水晶型結晶構造を形成することがで
きるので、ケイ素含有溶液に二酸化ゲルマニウムを添加
することによって、上記アルカリ金属を添加しなくて
も、水晶を合成することが容易になる。その場合、金属
含有溶液中のケイ素とゲルマニウムの含有量の合計が、
全金属含有量に対して70モル%以上であり、ケイ素に
対するゲルマニウムのモル比が0.01以上4以下とな
るように添加することが好ましい。Ge/Siのモル比
が0.01未満では水晶型結晶構造を安定化させる効果
が小さく、4を越えると二酸化ゲルマニウムの不安定性
が顕著になるからである。Ge/Siのモル比のより好
ましい範囲は0.2以上1.5以下である。
【0030】更に、ゾルゲル法によって固体の合成を行
うには、溶液のゲル化過程を制御する必要がある。ゲル
化が不十分な場合には熱処理過程で原料が蒸発してしま
うことがあり、逆にゲル化が進み過ぎると大きなゲル体
が集まるため、ゲル体間に隙間が生じたり結晶性に差が
生じたりして、緻密で良質な結晶膜の形成が困難になる
からである。
【0031】ゲル化過程を制御する方法には、前駆体溶
液に各種添加剤を添加する方法がある。水の添加は、前
駆体溶液中の金属化合物を加水分解して活性の高い金属
水酸化物を形成し、金属水酸化物間の重縮合によりゲル
化を促進することができる。水の添加量は他の添加剤と
の組み合わせによって異なるが、適度なゲル化には金属
含有溶液中の全金属元素量に対して0.2モル当量以上
20モル当量以下の水を添加することが好ましい。0.
2モル当量未満だとゲル化の促進が弱く、熱処理の際に
原料が蒸発するため緻密な膜の形成が困難になる。又、
20モル当量を越えて水を添加するとゲル化が進みす
ぎ、均一に塗布することが困難になるので好ましくな
い。
【0032】逆に、ジエタノールアミン、ジイソプロパ
ノールアミン、トリエタノールアミン、又はジエチレン
グリコールの添加は、金属化合物との置換反応により金
属化合物の活性化を低くし、前駆体溶液を安定にする働
きがある。よって、これらの添加剤を添加することによ
りゲル化の進み過ぎを制御し、前駆体溶液の経時変化を
抑えることが可能である。添加量は他の添加剤との組み
合わせによって異なるが、金属含有溶液中の全金属元素
量に対して6モル当量以下添加することが好ましい。6
モル当量を越えて添加しても、添加の効果は6モル当量
以下と大きな差はなく、逆に炭素など不純物の混入生じ
ることになるからである。
【0033】又、上記したアルカリ金属、水、ジエタノ
ールアミンなどの添加剤は組み合わせて使用でき、それ
によりこれら添加剤の効果を更に高めることができる。
以上に記述した本発明方法により水晶振動子を形成すれ
ば、膜厚の制御が容易で、かつ単結晶基板の形状に応じ
て任意の形状の水晶振動子を安価に形成することができ
る。
【0034】
【実施例】実施例1 金属アルコキシドを原料とするゾルゲル法により、本発
明の水晶振動子を製造した。まず、図1に示す単結晶基
板1として、鏡面研磨を施した水晶のAT面(2mm×
3mm)を用い、アセトンでの超音波洗浄、20重量%
塩酸への浸漬処理、純水洗浄、及び乾燥の順で前処理を
行った。
【0035】次に、エタノール100ml中にGe(O
25)4を溶解してGe濃度約0.5モル/1のエタノ
ール溶液を作成し、水2.7gを添加した。この前駆体
溶液を、前記単結晶基板1の上に2000rpmでスピ
ンコートした後200℃で乾燥させ、更にスピンコート
と乾燥の過程を10回繰り返した。その後、酸素雰囲気
中において10℃/分の昇温速度で800℃まで昇温
し、800℃で2時間保持して結晶化を行い、図2に示
すように単結晶基板1上にGeO2を主成分とする水晶
型結晶構造の酸化物単結晶膜2を形成した。
【0036】次に、単結晶薄膜水晶用の前駆体溶液とし
て、エタノール100ml中にSi(OC25)4を溶解
してSi濃度約0.5モル/lのエタノール溶液を作成
し、水を2.7g、ジエタノールアミンを5.257g、
LiOC25を0.026g(Siに対して1モル%)
を添加した。この前駆体溶液を、前記酸化物単結晶膜2
上に2000rpmでスピンコートした後200℃で乾
燥させ、更にスピンコートと乾燥の過程を60回繰り返
した。その後、酸素雰囲気中において10℃/分の昇温
速度で850℃まで昇温し、850℃で2時間保持する
ことにより、図3に示すように単結晶薄膜水晶3を形成
した。
【0037】この単結晶薄膜水晶3上に、図4に示すよ
うに鏡面研磨した単結晶Siウェハー(2mm×3m
m)の支持板4を載せて荷重を加え、乾燥空気中500
℃で10分間加熱して接着した。支持板4に接着した試
料を、20重量%の塩酸水溶液中で3時間処理したとこ
ろ、GeO2を主成分とする酸化物単結晶膜2が溶解
し、図5に示すごとく単結晶薄膜水晶3が単結晶基板1
から剥離した。得られた単結晶薄膜水晶3をX線回析に
より評価した結果、良好な結晶性を有する単結晶薄膜水
晶のAT板が得られたことが分かり、またその厚みは
9.8μmであった。
【0038】更に、図6に示すように、この単結晶薄膜
水晶3の中央部分(1mm×1.5mm)が露出するよ
うに、支持板4を水酸化カリウム水溶液でエッチングし
た後、図7に示すように単結晶薄膜水晶3の一部を酸性
フッ化アンモニウム水溶液でエッチングして、1mm×
0.5mmの振動部を形成し、最後に図8及び図9に示
すように支持板4の両側より振動部に銀を蒸着して電極
5を形成した。以上の方法で形成された水晶振動子6
は、基本振動数が172MHzであった。
【0039】実施例2 単結晶薄膜水晶を形成するまでは前記実施例1と同様に
行った。得られた単結晶薄膜水晶上に、水晶形成用の前
駆体溶液を1度塗布し、その上に支持板として単結晶薄
膜水晶の中心部分(1mm×1mm)が接触しないよう
に穴のあいた石英ガラス(2mm×3mm)を載せて、
200度℃で乾燥させた後、酸素雰囲気中において10
℃/分の昇温速度で950℃まで昇温し、950℃で2
時間保持することにより、前駆体溶液の固化による単結
晶薄膜水晶の形成と同時に、これに支持板を接着した。
【0040】支持板に接着した試料を、5M水酸化ナト
リウム溶液中で2時間煮沸処理したところ、GeO2
主成分とする酸化物単結晶膜が溶解し、単結晶薄膜水晶
が単結晶基板から剥離した。得られた単結晶薄膜水晶を
X線回析により評価した結果、良好な結晶性を有する単
結晶薄膜水晶のAT板が得られたことが分かり、その厚
みは10μmであった。
【0041】更に、単結晶薄膜水晶の一部を実施例1と
同様に酸性フッ化アンモニウム水溶液でエッチングし、
1mm×0.5mmの振動部を形成した。最後に、シリ
コン支持板の両側より振動部に銀を蒸着して電極を形成
した。以上の方法で形成された水晶振動子は、基本振動
数が165MHzであった。
【0042】実施例3 GeO2を主成分とする酸化物単結晶膜を形成するまで
は前記実施例1と同様に行った。次に、単結晶薄膜水晶
用の前駆体溶液として、エタノール100ml中にSi
(OCH3)4とGe(OC25)4を溶解し、ケイ素とゲル
マニウムのモル比が1で両元素の濃度が0.5モル/l
のエタノール溶液を作成し、更に水を2.7g添加して
前駆体溶液を調整した。
【0043】この前駆体溶液を、前記酸化物単結晶膜上
に2000rpmでスピンコートした後、更にスピンコ
ートと乾燥の過程を60回繰り返した。その上に支持板
として単結晶薄膜水晶の中心部(1mm×1mm)が接
触しないように穴のあいた石英ガラス(2mm×3m
m)を載せ、200℃で乾燥させた後、酸素雰囲気中に
おいて10℃/分の昇温速度で950℃まで昇温し、9
50℃で2時間保持することにより、単結晶薄膜水晶の
形成と同時に支持板を接着した。
【0044】支持板に接着した試料を、5M水酸化ナト
リウム溶液中で2時間煮沸処理したところ、GeO2
主成分とする酸化物単結晶膜が溶解し、単結晶薄膜水晶
が単結晶基板から剥離した。得られた単結晶薄膜水晶を
X線回析により評価した結果、良好な結晶性を有する単
結晶薄膜水晶のAT板が得られたことが分かり、その厚
みは11μmであった。
【0045】更に、この単結晶薄膜水晶の一部を酸性フ
ッ化アンモニウム水溶液でエッチングし、1mm×0.
5mmの振動部を形成した。最後に、シリコン支持板の
両側より振動部に銀を蒸着して電極を形成した。以上の
方法で形成された水晶振動子は、基本振動数が154M
Hzであった。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、振動部の厚みが5nm
以上50μm以下の任意の厚さで、高周波化に伴う一層
の薄膜化の要求に対応可能で、かつ任意の形状の水晶振
動子を形成でき、大がかりな装置を用いないゾルゲル法
により安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水晶振動子の製造に用いる単結晶基板の断面図
である。
【図2】実施例1の製造工程に従って、単結晶基板上に
GeO2を主成分とする酸化物単結晶膜を形成した状態
の断面図である。
【図3】実施例1の製造工程に従って、酸化物単結晶膜
上に単結晶薄膜水晶を形成した状態の断面図である。
【図4】実施例1の製造工程に従って、単結晶薄膜水晶
に支持板を接着した状態の断面図である。
【図5】実施例1の製造工程に従って、単結晶薄膜水晶
を単結晶基板から剥離した状態の断面図である。
【図6】実施例1の製造工程に従って、単結晶薄膜水晶
に接着した支持板の一部分を除去した状態の断面図であ
る。
【図7】実施例1の製造工程に従って、単結晶薄膜水晶
の一部を除去して振動部を形成した状態の断面図であ
る。
【図8】実施例1の製造工程に従って、振動部に電極を
形成して製造された水晶振動子の断面図である。
【図9】図8の水晶振動子の平面図である。
【符号の説明】
1 単結晶基板 2 酸化物単結晶膜 3 単結晶薄膜水晶 4 支持板 5 電極 6 水晶振動子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H03H 3/02 H01L 41/22 A (56)参考文献 特開 平8−157297(JP,A) 特開 平6−32613(JP,A) 特公 昭64−849(JP,B1) 特公 昭64−6159(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 9/19 C01G 17/02 C30B 5/00 H01L 41/08 H01L 41/24 H03H 3/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶基板上にゾルゲル法により二酸化
    ゲルマニウムを主成分とする水晶型結晶構造を有する酸
    化物単結晶膜を形成する工程と、酸化物単結晶膜上にゾ
    ルゲル法により単結晶薄膜水晶を形成する工程と、水溶
    液中で酸化物単結晶膜を溶解することにより単結晶基板
    から単結晶薄膜水晶を剥離する工程と、得られた単結晶
    薄膜水晶を振動部として組み込む工程とを備えたことを
    特徴とする水晶振動子の製造方法
  2. 【請求項2】 単結晶基板が水晶であることを特徴とす
    る、請求項1に記載の水晶振動子の製造方法
  3. 【請求項3】 ゾルゲル法による単結晶薄膜水晶の形成
    時に、ケイ素及び/又はゲルマニウムを含む金属含有溶
    液に、全金属元素量に対して0.2モル当量以上20モ
    ル当量以下の水を添加して調整した前駆体溶液を用いる
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の水晶振動子
    の製造方法
  4. 【請求項4】 ゾルゲル法による単結晶薄膜水晶の形成
    時に、ケイ素及び/又はゲルマニウムを含む金属含有溶
    液に、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミ
    ン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールの少
    なくとも1種を、全金属元素量に対して6モル当量以下
    添加して調整した前駆体溶液を用いることを特徴とす
    る、請求項1〜3のいずれかに記載の水晶振動子の製造
    方法
  5. 【請求項5】 ゾルゲル法による単結晶薄膜水晶の形成
    時に、ケイ素及び/又はゲルマニウムを含む金属含有溶
    液に、全金属元素量に対して3×10 −4 モル%以上5
    モル%以下のリチウムを添加して調整した前駆体溶液を
    用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記
    載の水晶振動子の製造方法
  6. 【請求項6】 ゾルゲル法による単結晶薄膜水晶の形成
    時に、ケイ素とゲルマニウムの含有量の合計が全金属元
    素量に対して70モル%以上で、ケイ素に対するゲルマ
    ニウムのモル比が0.01以上4以下である金属含有溶
    液を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の水晶振動子の製造方法
  7. 【請求項7】 ゾルゲル法による単結晶薄膜水晶の形成
    時に、前駆体溶液を500℃以上1200℃以下で熱処
    理することにより結晶化させることを特徴とする、請求
    項1〜6のいずれかに記載の水晶振動子の製造法
  8. 【請求項8】 単結晶薄膜水晶表面の全部又は一部に支
    持板を接合し、単結晶薄膜水晶を単結晶基板から剥離し
    た後、単結晶薄膜水晶と支持板又は単結晶薄膜水晶をエ
    ッチングして振動部を形成し、振動部に電極を形成する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の水晶振動子の製造
    方法
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