JP3440700B2 - 潜熱蓄熱材 - Google Patents
潜熱蓄熱材Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潜熱蓄熱材に関す
る。更に詳しくは、凝固時の過冷却の程度を軽減し、長
期の熱サイクルに対し安定した性能を発揮する潜熱蓄熱
材に関する。 【0002】 【従来の技術】リン酸水素2ナトリウム・12水和物 Na2H
PO4・12 H2Oは、融解温度が36℃であり、潜熱量が54cal
/g(示差走査熱量計による)の潜熱蓄熱材であるが、この
無機水和物の場合にも過冷却現象がみられる。即ち、一
旦融解させたリン酸水素2ナトリウム・12水和物は、約
20℃前後の室温に放置しても固化しないのである。これ
は、リン酸水素2ナトリウム・12水和物の凝固開始温度
が約10℃であり、結局約25℃近い温度差に相当する過冷
却を生ずるためである。従って、36℃における熱の吸収
・放出が全く円滑に行われないので、これ単独では潜熱
蓄熱材として使用することができない。 【0003】本発明者らは先に、リン酸水素2ナトリウ
ム・12水和物などのリン酸水素2ナトリウム-水系蓄熱
材の過冷却の程度を軽減させることを目的として、水が
57〜76重量%を占めるリン酸水素2ナトリウム-水系蓄熱
材に発核剤として無機酸カルシウム塩を添加した潜熱蓄
熱材を提案している(特開平2-132,181号公報)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
潜熱蓄熱材系内にヒドロキシアパタイトが生成し、それ
が極く少量でも過冷却の軽減に有効に働くことを見い出
した。 【0005】従って、本発明の目的とするところは、水
が57〜76重量%を占めるリン酸水素2ナトリウム-水系蓄
熱材の過冷却の程度を軽減せしめるのに有効な発核剤を
新たに提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
発核剤としてヒドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2を
用いることによって達成される。 【0007】 【発明の実施の形態】リン酸水素2ナトリウム-水系蓄
熱材を潜熱蓄熱材として利用する場合、それに必要な潜
熱量を満足させる組成は、リン酸水素2ナトリウム43〜
24重量%に対し水が57〜76重量%を占める範囲であり、こ
の範囲をはずれると潜熱量が30cal/g以下となり、蓄熱
材としての使用に支障をきたすことになる。かかる組成
のリン酸水素2ナトリウム-水系蓄熱材は、無水リン酸
水素2ナトリウムと水との混合物であり得るばかりでは
なく、Na2HPO4・12H2O(H2O:60.3重量%)である水和物自
体を用いることもできる。 【0008】これに添加される発核剤としてのヒドロキ
シアパタイトは、骨格や歯の無機質を構成する主要成分
であり、細かく分割された結晶性の非化学量論的物質で
あって、その表面には各種のイオン(炭酸塩、マグネシ
ウム、クエン酸塩)を多く存在させている。この物質の
添加による過冷却軽減の程度は、発核剤の添加割合によ
っても異なるが、必要量以上の発核剤を添加すると、リ
ン酸水素2ナトリウム-水系蓄熱材本来の潜熱量が著し
く低下し、蓄熱材としての機能が失われるばかりではな
く、材料の変質をも招くため、一般にNa2HPO4-水系蓄熱
材に対して、約0.005〜10重量%、好ましくは約0.01〜5
重量%の割合で用いられる。 【0009】 【発明の効果】リン酸水素2ナトリウム・12水和物を含
むリン酸水素2ナトリウム-水系蓄熱材に無機酸カルシ
ウム塩より少量のヒドロキシアパタイトを発核剤として
添加することにより、過冷却度を著しく軽減することが
できる。また、それに伴って、融解温度への復帰時間も
短かくなり、それをくり返し加熱融解させた場合にも、
その効果が失われることがなく、長期にわたる使用にお
いても安定した効果が発揮される。 【0010】 【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。 【0011】実施例 Na2HPO4・12H2O 10gを容量20mlのガラス製容器にとり、
これにヒドロキシアパタイト0.05gを添加し、密栓す
る。これを恒温槽内に入れ、加熱したところ36℃で融解
した。次いで、これを冷却すると30℃で凝固が開始さ
れ、試料温度は36℃に上昇して凝固が進行し、凝固が終
了するとその温度は低下した。このような状態は、図1
のグラフに実線で示されている。一方、ヒドロキシアパ
タイトを添加しないものは、グラフに点線で示されてお
り、20℃の環境温度では凝固しなかった。 【0012】また、発核剤を添加したものの凝固開始温
度は、融解-凝固を20回くり返しても±2℃の差の範囲内
に収った。従って、ヒドロキシアパタイトを発核剤とし
て用いることで、融解温度(Tm)と凝固開始温度(Tm´)と
の差(ΔTsc)は、発核剤を用いないときの26℃から約7℃
に迄その値を低下させることができた。
る。更に詳しくは、凝固時の過冷却の程度を軽減し、長
期の熱サイクルに対し安定した性能を発揮する潜熱蓄熱
材に関する。 【0002】 【従来の技術】リン酸水素2ナトリウム・12水和物 Na2H
PO4・12 H2Oは、融解温度が36℃であり、潜熱量が54cal
/g(示差走査熱量計による)の潜熱蓄熱材であるが、この
無機水和物の場合にも過冷却現象がみられる。即ち、一
旦融解させたリン酸水素2ナトリウム・12水和物は、約
20℃前後の室温に放置しても固化しないのである。これ
は、リン酸水素2ナトリウム・12水和物の凝固開始温度
が約10℃であり、結局約25℃近い温度差に相当する過冷
却を生ずるためである。従って、36℃における熱の吸収
・放出が全く円滑に行われないので、これ単独では潜熱
蓄熱材として使用することができない。 【0003】本発明者らは先に、リン酸水素2ナトリウ
ム・12水和物などのリン酸水素2ナトリウム-水系蓄熱
材の過冷却の程度を軽減させることを目的として、水が
57〜76重量%を占めるリン酸水素2ナトリウム-水系蓄熱
材に発核剤として無機酸カルシウム塩を添加した潜熱蓄
熱材を提案している(特開平2-132,181号公報)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
潜熱蓄熱材系内にヒドロキシアパタイトが生成し、それ
が極く少量でも過冷却の軽減に有効に働くことを見い出
した。 【0005】従って、本発明の目的とするところは、水
が57〜76重量%を占めるリン酸水素2ナトリウム-水系蓄
熱材の過冷却の程度を軽減せしめるのに有効な発核剤を
新たに提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
発核剤としてヒドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2を
用いることによって達成される。 【0007】 【発明の実施の形態】リン酸水素2ナトリウム-水系蓄
熱材を潜熱蓄熱材として利用する場合、それに必要な潜
熱量を満足させる組成は、リン酸水素2ナトリウム43〜
24重量%に対し水が57〜76重量%を占める範囲であり、こ
の範囲をはずれると潜熱量が30cal/g以下となり、蓄熱
材としての使用に支障をきたすことになる。かかる組成
のリン酸水素2ナトリウム-水系蓄熱材は、無水リン酸
水素2ナトリウムと水との混合物であり得るばかりでは
なく、Na2HPO4・12H2O(H2O:60.3重量%)である水和物自
体を用いることもできる。 【0008】これに添加される発核剤としてのヒドロキ
シアパタイトは、骨格や歯の無機質を構成する主要成分
であり、細かく分割された結晶性の非化学量論的物質で
あって、その表面には各種のイオン(炭酸塩、マグネシ
ウム、クエン酸塩)を多く存在させている。この物質の
添加による過冷却軽減の程度は、発核剤の添加割合によ
っても異なるが、必要量以上の発核剤を添加すると、リ
ン酸水素2ナトリウム-水系蓄熱材本来の潜熱量が著し
く低下し、蓄熱材としての機能が失われるばかりではな
く、材料の変質をも招くため、一般にNa2HPO4-水系蓄熱
材に対して、約0.005〜10重量%、好ましくは約0.01〜5
重量%の割合で用いられる。 【0009】 【発明の効果】リン酸水素2ナトリウム・12水和物を含
むリン酸水素2ナトリウム-水系蓄熱材に無機酸カルシ
ウム塩より少量のヒドロキシアパタイトを発核剤として
添加することにより、過冷却度を著しく軽減することが
できる。また、それに伴って、融解温度への復帰時間も
短かくなり、それをくり返し加熱融解させた場合にも、
その効果が失われることがなく、長期にわたる使用にお
いても安定した効果が発揮される。 【0010】 【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。 【0011】実施例 Na2HPO4・12H2O 10gを容量20mlのガラス製容器にとり、
これにヒドロキシアパタイト0.05gを添加し、密栓す
る。これを恒温槽内に入れ、加熱したところ36℃で融解
した。次いで、これを冷却すると30℃で凝固が開始さ
れ、試料温度は36℃に上昇して凝固が進行し、凝固が終
了するとその温度は低下した。このような状態は、図1
のグラフに実線で示されている。一方、ヒドロキシアパ
タイトを添加しないものは、グラフに点線で示されてお
り、20℃の環境温度では凝固しなかった。 【0012】また、発核剤を添加したものの凝固開始温
度は、融解-凝固を20回くり返しても±2℃の差の範囲内
に収った。従って、ヒドロキシアパタイトを発核剤とし
て用いることで、融解温度(Tm)と凝固開始温度(Tm´)と
の差(ΔTsc)は、発核剤を用いないときの26℃から約7℃
に迄その値を低下させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】融解潜熱蓄熱材の凝固時の挙動を示すグラフで
ある。
ある。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭57−174376(JP,A)
特開 昭62−238300(JP,A)
特開 平1−292090(JP,A)
特開 平2−132181(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C09K 5/06
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 水が57〜76重量%を占めるリン酸水素2
ナトリウム-水系蓄熱材に発核剤としてヒドロキシアパ
タイトを添加してなる潜熱蓄熱材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17996896A JP3440700B2 (ja) | 1996-06-20 | 1996-06-20 | 潜熱蓄熱材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17996896A JP3440700B2 (ja) | 1996-06-20 | 1996-06-20 | 潜熱蓄熱材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH108042A JPH108042A (ja) | 1998-01-13 |
JP3440700B2 true JP3440700B2 (ja) | 2003-08-25 |
Family
ID=16075133
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17996896A Expired - Fee Related JP3440700B2 (ja) | 1996-06-20 | 1996-06-20 | 潜熱蓄熱材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3440700B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114106784B (zh) * | 2021-12-13 | 2024-05-28 | 江苏金合能源科技有限公司 | 一种可用于冷库存储冷链运输的低温相变蓄冷材料及其制备方法 |
-
1996
- 1996-06-20 JP JP17996896A patent/JP3440700B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH108042A (ja) | 1998-01-13 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |