JP3439684B2 - 足場板用巾木 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建築現場等で仮設
される足場板に、その側縁部に沿って取り付ける足場板
用巾木に関する。

【０００２】

【従来技術とその課題】建築現場等における足場板上で
の高所作業では、作業者の手にしたボルト、ナット、金
具類等の種々の施工用物品や工具類、足元に置いた各種
資材や用具等を誤って落下させ、事故に繋がるという危
険性が常に付きまとう。そこで、安全対策として、従来
では、足場板の側縁部に、別の足場板や施工現場にある
適当な帯板材を堰板状に立てた形で針金やワイヤー等で
縛り付けて固定することにより、物品が足場板上から外
側へ転げ落ちるのを防止する方法が採られている。

【０００３】しかるに、このような従来の落下防止手段
では、各足場板毎に別の足場板や帯板材を取り付け、ま
た施工後に取り外すための作業に多大な労力と時間を費
やす上、取付状態の安定性及び信頼性も不充分であると
いう問題があった。

【０００４】本発明は、上述の情況に鑑み、足場板の側
縁部に取り付けて物品の足場板上から外側への落下を防
止する足場板用巾木として、対策を必要とする足場板に
対してワンタッチ操作で極めて簡単に取付け及び取外し
を行えると共に、取付状態の安定性及び信頼性に優れ、
且つ構造的にも簡素で安価に製作できるものを提供する
ことを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項１に係る足場板用巾木は、図面の参
照符号を付して示せば、足場板６の側縁部６ａに沿って
取り付けられる巾木１であって、巾木本体１０の外面側
にセット金具２が垂直姿勢と下部を外側へ突き出す傾斜
姿勢との間で揺動可能に枢着されると共に、該巾木本体
１０の下面から下方へ突出する複数の直立用金具３を備
え、前記セット金具２は、ばね力によって垂直姿勢側に
付勢され、垂直姿勢において巾木本体１０よりも下方へ
張出する下部に内向きの係止部２１を備え、且つ該係止
部２１と巾木本体１０との間は足場板６の側縁部６ａを
嵌合させ得る距離を持つように寸法設定されており、な
お且つ該係止部２１は、該セット金具２の下端部を内側
へ鋭角に折り曲げて形成されており、前記直立用金具３
を足場板６の側縁部６ａの取付孔６１に上方から挿嵌し
た状態で、巾木本体１０の下面と前記セット金具２の係
止部２１との間に足場板６の側縁部６ａが嵌合するよう
に構成されてなるものとしている。

【０００６】上記構成の足場板用巾木１では、足場板６
に取り付けた状態において、該足場板６の取付孔６１に
挿嵌した複数の直立用金具３により直立姿勢が安定に保
たれると共に、該足場板６の側縁部６ａの下側には、ば
ね力によって垂直姿勢を維持するセット金具２の係止部
２１が位置するため、当該巾木１の上方への抜け出しも
該係止部２１と足場板６の側縁部６ａ下面との係合によ
って阻止される。しかして、足場板用巾木１の取り付け
に際しては、直立用金具３を足場板６の取付孔６１に上
方から挿嵌させ、巾木本体１０の下面とセット金具２の
係止部２１との間に足場板６の側縁部６ａを嵌合させれ
ばよい。また、取り外しに際しては、セット金具２の下
側をばね力に抗して外側へ引き出し、もって係止部２１
が足場板６の側縁部６ａから外側へ脱した状態で、その
まま当該巾木１を上方へ持ち上げればよい。

【０００７】また本発明は、上記請求項１の足場板用巾
木において、前記セット金具２の係止部２１は、該セッ
ト金具２の下端部を内側へ鋭角に折り曲げて形成したも
のとしている。この場合、セット金具２は下端部に前記
折り曲げによって内側斜め上方へ向かう傾斜面２ａを有
するため、足場板６への取り付けにおいて、直立用金具
３を該足場板６の取付孔６１に上方から挿嵌させる際、
ばね力によって垂直姿勢となっているセット金具２の前
記傾斜面２ａが足場板６の側端縁に接触するから、その
まま巾木１を押し下げるだけでセット金具２が自然に外
側へ傾動変位し、巾木１を足場板６上に載せた段階で該
セット金具２がばね力によって自動的に垂直姿勢に戻
り、係止部２１が足場板６の側縁部の下側へ入り込むこ
とになる。

【０００８】請求項２の発明は、上記請求項１の足場板
用巾木において、巾木本体１０の長手方向両側に各一個
の前記直立用金具３，３が設けられると共に、同長手方
向中央部に一個の前記セット金具２が取り付けられてな
る構成としている。この場合、巾木１は、足場板６への
取付状態において、二個の直立用金具３，３のみで確実
に直立姿勢の保持と水平方向の位置ずれ防止がなされる
と共に、一個のセット金具２のみで上方への抜け止めが
果たされる。

【０００９】請求項３の発明は、上記請求項１または２
の足場板用巾木において、板状のセット金具２とピン状
の直立用金具３を有する構成としている。この場合、両
金具２，３は極めて簡単な形態であるから、材料コスト
が安く、巾木本体１０への取り付けを容易に行え、また
足場板６側の取付孔６１も加工容易な小径の丸孔とでき
る上、係止部２１を広幅に設定してより確実な抜け止め
作用を発揮させることができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る足場板用巾木
の一実施例について、図面を参照して具体的に説明す
る。

【００１１】図１に示すように、この足場板用巾木１
は、横長の巾木本体１０に、その長手方向中央に配置す
る板状のセット金具２と、同両側部に位置するピン状の
直立用金具３，３とが設けられたものである。

【００１２】巾木本体１０は、鋼板等よりなる帯状金属
板材の両側縁部を曲げ加工してコ字枠状としたものであ
り、図２（イ）（ロ）でも示すように、側板部１０ａ
と、その上下端より後述する足場板６への取付状態にお
ける外側へ延出した幅狭の上下板部１０ｂ，１０ｃと、
これら上下板部１０ｂ，１０ｃより延出した外向きの縁
片部１０ｄ，１０ｅとを有している。そして、この巾木
本体１０の長手方向両端位置と中間二箇所には、帯板状
の補強片１１…が上下の縁片部１０ｄ，１０ｅ間に溶接
固着され、また側板部１０ａの外面側には、セット金具
２を取付けるための平面視コ字形のブラケット１２が左
右両側片１２ａ，１２ａを外側へ突出する形で溶接固着
されている。

【００１３】セット金具２は、図２（イ）（ロ）及び図
３に示すように、略縦長矩形をなす鋼板等の一枚板より
なり、下端側には板材下端部を側面視Ｖ字形に内側へ鋭
角に折り曲げて形成した係止部２１を有すると共に、や
や上部寄り位置の左右両側部に内向きに突出した突片２
２，２２を備えており、これら突片２２，２２と巾木本
体１０のコ字状金具１２の左右両側片１２ａ，１２ａと
の重合部分に貫設した水平ピン４により、巾木本体１０
の下側縁片部１０ｅに当接する垂直姿勢と、下部を外側
へ突き出す傾斜姿勢との間で揺動可能に枢着され、且つ
該水平ピン４に嵌装したタコばね５の付勢によって常時
は垂直姿勢を保持するように設定されている。なお、こ
のセット金具２の下端部には、前記折り曲げによって内
側斜め上方へ向かう傾斜面２ａを有している。

【００１４】そして、該セット金具２は、垂直姿勢にお
いて巾木本体１０よりも下方へ張出して、且つ係止部２
１の先端と該巾木本体１０の下板部１０ｃとの間に、図
２（イ）（ロ）の仮想線で示す足場板６の側縁部６ａを
嵌合させ得る距離を持つように寸法設定されている。一
方、各直立用金具３は、巾木本体１０の上板部１０ｂに
接する上端と同下板部１０ｃを貫通する中間部とを溶接
固着して、当該巾木本体１０より下方へ突出した垂直ピ
ンよりなり、その下方への突出長さが図２（イ）（ロ）
の仮想線で示す足場板６の側縁部６ａの上下幅を越える
ように設定されている。

【００１５】上記構成の足場板用巾木１を取り付けるに
は、図４（イ）に示すように該巾木１を足場板６の側縁
部６ａの上方に位置させ、各直立用金具３の先端を該足
場板６の側縁部６ａに予め設けた取付孔６１（側縁部６
ａが枠状であるために上下２個ずつ存在する）に合わ
せ、そのまま押し下げて各直立用金具３を取付孔６１に
挿嵌させればよい。このとき、垂直姿勢であったセット
金具２は、下端部の内側斜め上方へ向かう傾斜面２ａが
足場板６の側端縁に接触するから、図４（ロ）に示すよ
うに、傾斜誘導作用によって自動的にタコばね５の付勢
に抗して外側へ傾動変位し、係止部２１の先端が該足場
板６の側縁部６ａの外側面に摺接する形で巾木１と一体
に下降することになる。しかして、図４（ハ）に示すよ
うに、巾木１が足場板６上に載った段階では、セット金
具２の係止部２１の先端が足場板６の側縁部６ａよりも
下位にくるから、該セット金具２はタコばね５の畜力に
よって自動的に垂直姿勢に戻り、係止部２１が足場板６
の側縁部の下側へ入り込み、もって取付けが完了する。

【００１６】この取付状態における足場板用巾木１は、
長手方向の両側で直立用金具３，３が足場板６の取付孔
６１に挿嵌しているため、倒れたり水平方向の位置ずれ
を生じたりすることがなく、しかも該足場板６の側縁部
６ａの下位にはばね力によって垂直姿勢を維持するセッ
ト金具２の係止部２１が位置し、足場板６からの浮き上
がりも該係止部２１と側縁部６ａ下面との係合によって
阻止されるから、定位置で抜落の恐れもない安定した直
立状態を保持する。しかして、この足場板用巾木１を足
場板６から取り外すには、セット金具２の下側をばね力
に抗して外側へ引き出し、もって係止部２１が足場板６
の側縁部６ａから外側へ脱した状態で、そのまま当該巾
木１を上方へ持ち上げればよい。

【００１７】従って、建築現場等における高所作業の
際、この巾木１を足場板６に取り付けることにより、作
業者がボルト、ナット、金具類等の種々の施工用物品や
工具類を誤って落としたり、あるいは足元に置いた各種
資材や用具等が外力で移動することがあっても、足場板
６上から外側への転げ落ちを巾木１によって阻止でき、
もって作業の安全性が著しく向上する。しかも、この巾
木１は足場板６に対する着脱をワンタッチ操作で行える
から、従来のように別の足場板や帯板材を針金やワイヤ
ー等で縛り付けて堰板状に固定する場合に比較して着脱
の労力と時間が大幅に軽減され、また着脱方式であるた
めに足場板き保管や運搬に際して嵩張るといった問題も
ない。なお、このような足場板用巾木１は、足場板６の
片側のみならず、必要とあれば両側に取り付けることも
可能である。

【００１８】なお、本発明の足場板用巾木においては、
巾木本体１０に３個以上の直立用金具３を設けたり、セ
ット金具２を二か所以上に取り付けることも可能である
が、上記実施例のように該巾木本体１０の長手方向両側
に各一個の直立用金具３と中央部に一つのセット金具２
とを設ける構成とすれば、両金具２，３が最低限の数で
既述の作用効果を確実に発揮できるから、それだけ巾木
全体が簡素となって低コストで容易に製作できる。ま
た、セット金具２は、板状以外の形態でもよいが、板状
では金属板材の曲げ加工によって容易に製作できると共
に、確実な抜け止め作用を発揮させるための広幅の係止
部２１を形成できる利点がある。そして、直立用金具３
としても、帯片状、断面Ｌ字状、パイプ状等の様々な形
態が可能であるが、前記実施例のようにピン状であれ
ば、材料コストが安く巾木本体１０への取付けも容易で
ある上、足場板６側の取付孔６１も小径の丸孔でよいか
ら加工容易となる。

【００１９】一方、本発明においては、巾木本体１０を
中空枠状としたり、セット金具２を付勢するためのばね
材として板ばねを用いる等、細部構成については実施例
以外に種々設計変更可能である。また、足場板として
も、例示したような側縁部のみが枠状をなすものに限ら
ず、全体が中空枠状をなすものや、板体の両側部に角パ
イプ等が固着されたもの等、様々な構造のものを適用対
象とできる。

【００２０】

【発明の効果】請求項１の発明によれば、足場板の側縁
部に取り付けて物品の足場板上から外側への落下を防止
する足場板用巾木として、足場板の側縁部に係合し得る
係止部を有するセット金具と、足場板の取付孔に挿嵌さ
せる複数の直立用金具とを具備し、足場板に対してワン
タッチ操作によって極めて簡単に取付け及び取外しを行
えると共に、前記セット金具及び直立用金具によって足
場板上の定位置で抜落の恐れもない安定した直立状態を
保持でき、取付状態の安定性及び信頼性に優れ、且つ構
造的にも簡素で安価に製作できるものが提供される。

【００２１】また本発明によれば、上記の足場板用巾木
において、足場板への取り付けにおいてセット金具が自
動的に傾動変位することから、より操作容易になるとい
う利点がある。

【００２２】請求項２の発明によれば、上記の足場板用
巾木として、特に構成的に簡素で安価に製作できるもの
が提供される。

【００２３】請求項３の発明によれば、上記の足場板用
巾木において、特にセット金具及び直立用金具が極めて
簡単な形態であるため、材料コストが安く、巾木本体へ
の取り付けを容易に行え、また足場板側の取付孔を加工
容易な小径の丸孔とできる上、セット金具の係止部を広
幅に設定してより確実な抜け止め効果を発揮させること
ができるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例に係る足場板用巾木の外面
側から見た正面図である。

【図２】 同足場板用巾木のセット金具部分を示し、
（イ）は正面図、（ロ）は縦断側面図である。

【図３】 同足場板用巾木のセット金具部分の横断平面
図である。

【図４】 同足場板用巾木の足場板に対する取付けを示
し、（イ）は取付け開始状態の縦断側面図、（ロ）は取
付け途上の縦断側面図、（ハ）は取付け終了後の縦断側
面図である。

【符号の説明】

１ 足場板用巾木 １０ 巾木本体 ２ セット金具 ２ａ 傾斜面 ２１ 係止部 ３ 直立用金具 ４ 水平ピン ５ タコばね ６ 足場板 ６ａ ユニット ６１ 取付孔

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 足場板６の側縁部６ａに沿って取り付け
   られる巾木１であって、巾木本体１０の外面側にセット
   金具２が垂直姿勢と下部を外側へ突き出す傾斜姿勢との
   間で揺動可能に枢着されると共に、該巾木本体１０の下
   面から下方へ突出する複数の直立用金具３を備え、 前記セット金具２は、ばね力によって垂直姿勢側に付勢
   され、垂直姿勢において巾木本体１０よりも下方へ張出
   する下部に内向きの係止部２１を備え、且つ該係止部２
   １と巾木本体１０との間は足場板６の側縁部６ａを嵌合
   させ得る距離を持つように寸法設定されており、なお且
   つ該係止部２１は、該セット金具２の下端部を内側へ鋭
   角に折り曲げて形成されており、 前記直立用金具３を足場板６の側縁部６ａの取付孔６１
   に上方から挿嵌した状態で、巾木本体１０の下面と前記
   セット金具２の係止部２１との間に足場板６の側縁部６
   ａが嵌合するように構成されてなる足場板用巾木。
2. 【請求項２】 巾木本体１０の長手方向両側に各一個の
   前記直立用金具３，３が設けられると共に、同長手方向
   中央部に一個の前記セット金具２が取り付けられてなる
   請求項１に記載の足場板用巾木。
3. 【請求項３】 板状のセット金具２とピン状の直立用金
   具３を有する請求項１または２に記載の足場板用巾木。