JP3426903B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JP3426903B2
JP3426903B2 JP05630097A JP5630097A JP3426903B2 JP 3426903 B2 JP3426903 B2 JP 3426903B2 JP 05630097 A JP05630097 A JP 05630097A JP 5630097 A JP5630097 A JP 5630097A JP 3426903 B2 JP3426903 B2 JP 3426903B2
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ptc element
aqueous electrolyte
electrolyte secondary
aqueous
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裕之 長谷部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は過大電流通電時に電
流経路を遮断する機能を有するPTC素子を備えた非水
電解液二次電池に関するものである。特に、前記PTC
素子を改良した非水電解液二次電池に係わる。
【0002】
【従来の技術】近年、リチウム二次電池やリチウムイオ
ン二次電池という非水電解液を使用した二次電池がニッ
ケルカドミウム二次電池や、ニッケル水素二次電池に比
較し、エネルギー密度が高く、また3V以上の高い電圧
を示すという特徴を有することから、携帯電子機器の電
源として広く使用されるようになってきた。
【0003】ところが、このような二次電池は、過大電
流による充電、過大電圧による充電(以下、これらの充
電を併せて過充電と称する)を行うと、電極群を構成す
る正極や負極の化学変化や、非水電解液の分解により電
池内圧が上昇し、電解液の漏液、電池の破裂や発火等に
至る恐れがある。
【0004】このようなことから、従来より、電池内圧
が上昇した際に電池内圧を低減させて電池の破裂を防止
するための安全弁機構、電池内圧の上昇を検知して電池
内圧の原因となる過大電流を遮断するための電流遮断機
構や、電池温度の上昇を検知して過大電流を遮断するた
めのPTC素子等の導入が行われている。
【0005】例えば公称容量が650mAh、1250
mAhの非水電解液二次電池においては、25℃での直
流抵抗が40mΩ、30mΩ程度のPTC素子がそれぞ
れ使用されている。
【0006】これらの対策の目的は全て同一であるにも
拘らず、それぞれの機構・素子の動作原理が異なるため
に動作に至るまでの時間、温度、電流範囲が違ってお
り、これらのバランスをとるために多くの試作検討が必
要となる場合が多く、製品開発のネックとなっていた。
また、非水電解液二次電池に3C以上の大電流による充
電を行った場合の電流遮断は、おおむねPTC素子によ
ってなされる。このため、PTC素子の最適化は、細心
の注意を払う必要があり、そのうえ、通常、PTC素子
の形態が電池寸法によって制限をうけるため、困難を極
めることが多い。
【0007】一方、公開特許公報の特開平5−7449
3号の特許請求の範囲には、Li,Coを主成分とする
複合金属酸化物を正極活物質とし、炭素質材料を負極活
物質とする二次電池であって、前記二次電池に作動温度
が140℃以下であり、感応温度係数が−10〜−13
0の範囲にあるPTC素子を装着することを特徴とする
安全素子付き二次電池が開示されている。また、前記公
報には、前記PTC素子を用いると、2C程度の大電流
で充電を施した際の破裂を未然に防止できると記載され
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、PT
C素子を改良することにより、過充電、特に3C以上の
過大電流での充電に対する安全性が向上された非水電解
液二次電池を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によると、リチウ
ムイオンを吸蔵・放出する正極と、リチウムイオンを吸
蔵・放出する負極と、非水電解液と、PTC素子とを具
備した非水電解液二次電池であって、前記PTC素子
は、25℃における直流抵抗をR(mΩ)とし、前記二
次電池の公称容量をP(Ah)とした際に、次式(1)
を満たし、かつ前記PTC素子の作動温度は70℃〜1
50℃の範囲内であることを特徴とする非水電解液二次
電池が提供される。 50/P<R<167/P (1)
【0010】本発明によると、開口部を有する有底円筒
形容器と、前記容器内に収納されたリチウムイオンを吸
蔵・放出する正極と、前記容器内に収納されたリチウム
イオンを吸蔵・放出する負極と、前記正極と前記負極の
間に配置されたセパレータと、前記容器内に収容された
非水電解液と、前記容器の前記開口部に配置され、PT
C素子を有する封口部材とを具備した非水電解液二次電
池であって、前記PTC素子は、25℃における直流抵
抗をR(mΩ)とし、前記二次電池の公称容量をP(A
h)とした際に、次式(1)を満たし、かつ前記PTC
素子の作動温度は70℃〜150℃の範囲内であること
を特徴とする非水電解液二次電池が提供される。 50/P<R<167/P (1)
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる非水電解液
二次電池の一例である円筒形非水電解液二次電池の一例
を図1を参照して詳細に説明する。例えば負極端子を兼
ねる有底円筒状の金属(例えば軟鋼)製容器1は、上端
を内方に折り曲げることにより形成された折曲部2と、
前記折曲部2の下方に形成された内方に突出した形状の
段部3とを有する。前記容器1のうち、前記段部3より
上方が開口部である。前記容器1内には、正極4とセパ
レータ5と負極6とを積層してスパイラル状に捲回する
ことにより作製された電極群7が収納されている。非水
電解液は、前記容器1内に収容されている。絶縁板8
は、前記容器1の底部に配置され、前記電極群7の前記
正極4が前記負極端子を兼ねる容器1と電気的に接触す
るのを防止している。前記電極群7の負極6と前記容器
1内の底部は、図示しない負極リードによって接続され
ている。防爆機構及び正極端子を兼ねる封口部材9は、
例えばポリプロピレンのような合成樹脂からなる絶縁ガ
スケット10と、正極端子を兼ねる第1の蓋体11と、
防爆機構を有する第2の蓋体12と、PTC素子13と
を備える。前記絶縁ガスケット10は、有底円筒形状を
なし、底部に円形穴14を有する。前記PTC素子13
は、前記第1蓋体11と前記第2蓋体12の間に配置さ
れている。前記第1蓋体11、前記第2蓋体12及び前
記PTC素子13は、前記絶縁ガスケット10内に配置
されている。このような絶縁ガスケット10は、前記容
器1の前記段部3に載置され、前記容器1の前記折曲部
2、前記開口部及び前記段部3により圧縮されている。
すなわち、前記第1蓋体11、前記第2蓋体12及び前
記PTC素子13は、前記容器1内の前記折曲部2と前
記段部3とにより囲まれた空間内に前記絶縁ガスケット
10を介してかしめ固定されている。
【0012】前記第2の蓋体12は、金属製(例えばア
ルミニウム)の皿状封口板15と、可撓性薄膜から形成
された弁膜16と、金属製(例えばステンレス)補強板
17とを有する。前記皿状封口板15は、前記電極群7
と対向して配置されている。前記弁膜16は、前記封口
板15上に配置されている。前記補強板17は、前記弁
膜16上に配置され、前記封口板15周縁を内側に折り
曲げて形成した環状部18により挟持されている。前記
PTC素子13は、前記封口板15の環状部18上に配
置されている。前記PTC素子13は、リング状のPT
C素子部19の両面にリング状の集電部20a,20b
が積層された構造を有する。前記第1の蓋体11は、帽
子形状で、例えばステンレスのような金属からなる。前
記第1の蓋体11は、前記PTC素子13の集電部20
a上に周縁部を当接して配置されている。前記封口板1
5、前記補強板17、前記PTC素子13および前記第
1蓋体11には、それぞれガス抜き孔21、22、2
3、24が開口されている。正極リード25は、一端が
前記電極群7の正極4に接続され、他端が前記封口部材
11の前記封口板15の下面に接続されている。
【0013】前記正極4、負極6、セパレータ5、非水
電解液及びPTC素子13について説明する。 1)正極3 前記正極3としては、例えば、活物質としてリチウムイ
オンを吸蔵・放出する正極材料,導電剤および結着剤を
適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を正極集電体に塗布、
乾燥、プレスしてすることにより作製される。
【0014】前記正極材料は、Lix MO2 、但し、M
は1種以上の遷移金属であり、MはCo及び/またはN
iであることが好ましく、xは0.05<x<1.10
である、で表されるリチウム複合酸化物、Lix2
4 、但し、Mは1種以上の遷移金属、MはMnであるこ
とが好ましく、xは0.05<x<1.10である、で
表されるリチウム複合酸化物を挙げることができる。具
体的には、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMn2
4 、Lix Niy Co(1-y)2 、ただし、x,yは、
0.05<x<1.10、0<y<1をそれぞれ示す、
で表される複合酸化物を挙げることができる。
【0015】かかる複合酸化物は、例えば、リチウム、
コバルト、ニッケルの炭酸塩を出発原料とし、これら炭
酸塩を組成に応じて混合し、酸素存在雰囲気下で600
℃〜1000℃で焼成することによって作製することが
できる。また、出発原料は炭酸塩に限定されず、水酸化
物、酸化物からも同様に合成が可能である。
【0016】前記導電剤としては、例えばアセチレンブ
ラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができ
る。前記結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVD
E)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPD
M)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いる
ことができる。
【0017】前記集電体としては、例えばアルミニウム
箔、ステンレス箔等を用いることが好ましい。 2)負極5の構成 前記負極5は、具体的には次のような方法により作製さ
れる。すなわち、前記負極5は、活物質としてリチウム
イオンを吸蔵・放出する負極材料及び結着剤を適当な溶
媒に懸濁し、この懸濁物を負極集電体に塗布し、乾燥し
た後、プレスすることにより作製される。
【0018】前記負極材料としては、例えば、炭素質
物、金属リチウム、リチウム合金、金属間化合物、ポリ
アセチレン、ポリピロール等を挙げることができる。前
記炭素質物としては、熱分解炭素類、コークス類(ピッ
チコークス、ニードルコークス、石油コークスなど)、
グラファイト類(天然グラファイト、人造グラファイ
ト、繊維状グラファイト、球状グラファイトなど)、ガ
ラス状炭素類、有機高分子化合物体(フェノール樹脂、
フラン樹脂等を適当な温度で焼成したもの)、特に、メ
ソフェーズピッチ系炭素が好ましい。前記メソフェーズ
ピッチ系炭素の中でも、2500℃以上で黒鉛化したメ
ソフェーズピッチ系炭素繊維、2500℃以上で黒鉛化
したメソフェーズ球状カーボンが良い。このような炭素
繊維や、球状カーボンを含む負極は、容量が高くなるた
めに好ましい。
【0019】前記炭素質物は、示差熱分析で700℃以
上に発熱ピーク、より好ましくは800℃以上に発熱ピ
ークを有し、X線回折による黒鉛構造の(101)回折
ピーク(P101 )と(100)回折ピーク(P100 )の
強度比P101 /P100 が0.7〜2.2の範囲にあるこ
とが好ましい。このような炭素質物を含む負極はリチウ
ムイオンの急速な吸蔵・放出ができるため、前記二次電
池の急速充放電性能が向上される。
【0020】前記結着剤としては、例えばポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、
カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いること
ができる。
【0021】前記集電体としては、例えば銅箔、ステン
レス箔、ニッケル箔等を用いることが好ましい。 3)セパレータ4 前記セパレータ4は、例えば合成樹脂製不織布、ポリエ
チレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルム
等から形成することができる。
【0022】4)非水電解液 この非水電解液としては、非水溶媒に電解質(リチウム
塩)を溶解させたものが用いられる。
【0023】前記非水溶媒としては、例えばエチレンカ
ーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)
などの環状カーボネート、例えばジメチルカーボネート
(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジ
エチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネー
ト、ジメトキシエタン(DME)やジエトキシエタン
(DEE)、エトキシメトキシエタンなどの鎖状エーテ
ル、テトラヒドロフラン(THF)や2−メチルテトラ
ヒドロフラン(2−MeTHF)などの環状エーテルや
クラウンエーテル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)な
どの脂肪酸エステル、アセトニトリル(AN)などの窒
素化合物、スルホラン(SL)やジメチルスルホキシド
(DMSO)などの硫黄化合物を挙げることができる。
前記非水溶媒は、単独で使用しても、2種以上混合して
使用しても良い。中でも、EC、DMC、DEC及びM
ECから選ばれる1種以上を非水溶媒として用いると良
い。このような非水溶媒を含む非水電解液を備えた非水
電解液二次電池は、過充電時の安全性をより向上するこ
とができる。
【0024】前記電解質としては、例えば過塩素酸リチ
ウム(LiClO4 )、六フッ化リン酸リチウム(Li
PF6 )、ホウフッ化リチウム(LiBF4 )、六フッ
化砒素リチウム(LiAsF6 )、トリフルオロメタス
ルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、ビストリフル
オロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3
SO22 ]などのリチウム塩を挙げることができる。
中でも、LiPF6 及び/またはLiBF4 からなる電
解質として用いると良い。このような電解質を含む非水
電解液を備えた非水電解液二次電池は、過充電時の安全
性をより向上することができる。
【0025】前記電解質の非水溶媒に対する溶解量は、
0.1モル/l〜3.0モル/lの範囲にすることが好
ましい。 5)PTC素子13 前記PTC素子13は、次式(1)を満たす。
【0026】50/P<R (1) ここで、R(mΩ)は、前記PTC素子の25℃におけ
る直流抵抗であり、P(Ah)は、前記PTC素子を有
する非水電解液二次電池の公称容量を示す。なお、前記
公称容量P(Ah)は、前記二次電池の理論容量を意味
する。
【0027】前記直流抵抗R(mΩ)は、直流電流に対
する抵抗である。前記直流抵抗R(mΩ)は、4線式抵
抗測定器により測定することができる。この測定は、前
記測定器にPTC素子を直立させた状態で保持させて行
う。また、リング状のPTC素子13の場合、図2に示
すように、測定点は、PTC素子の両面とも下半分の部
分、すなわち、図2において斜線で示す領域、に設定す
る。なお、4線式抵抗測定器としては、ヒューレットパ
ッカード(Hewlett Packard)社製で、
商品名がHP3456Aのものか、もしくはこれと同等
器を用いると良い。
【0028】前記PTC素子は、Positive T
hermal Coefficient特性(PTC特
性)を有する。このようなPTC素子における温度と直
流抵抗値の対数との関係の一例を図3に示す。図3に示
すように、前記PTC特性を有するPTC素子は、ある
一定温度(T0 )に上昇するまでは低い抵抗値(RL
を示し、この温度(T0 )を越えると急激に抵抗値が増
大し、温度T1 以上では高抵抗(RH )を示し、再び温
度が先の温度(T0 )まで低くなると低抵抗(RL )を
示すPTC素子を意味する。また、前記PTC素子の抵
抗値が前記低抵抗値(RL )と前記高抵抗値(RH )の
中間の抵抗値(Rt)に到達するときの温度を作動温度
T(℃)という。
【0029】前記作動温度T(℃)は、70〜150の
範囲にすると良い。これは次のような理由によるもので
ある。前記作動温度Tを70℃未満にすると、前記二次
電池に異常発熱が生じていないにもかかわらず、前記P
TC素子が作動して電池の機能が停止する恐れがある。
一方、前記作動温度Tが150℃を越えると、過充電時
における温度上昇や、内圧上昇を抑制することが困難に
なる場合があり、破裂や、発火を生じる恐れがある。ま
た、破裂や、発火を生じなくとも、前記二次電池は、過
充電の毎に繰り返し高温に晒されることとなるため、正
極や負極が熱により劣化する可能性が高くなる。より好
ましい作動温度T(℃)は、80〜130の範囲であ
る。
【0030】前記PTC素子の前記PTC素子部は、例
えば、セラミックス、PTC特性を有する導電性ポリマ
ーから形成することができる。特に、かしめ固定の際に
PTC素子にひび割れ等の破損が生じるのを回避する観
点から、前記導電性ポリマーが良い。
【0031】かかる導電性ポリマーを含むPTC素子部
は、例えば、導電性のカーボンと、ポリオレフィンやフ
ッ素樹脂のような温度変化によって膨脹収縮を繰り返す
ポリマーとを適量混合し、これらを放射線架橋させるこ
とにより作製することができる。このようなPTC素子
は、平常状態では前記ポリマー中に分散されたカーボン
が導電パスを形成して低抵抗を示し、温度が前記ポリマ
ーの融点以上になると、前記ポリマーの体積膨脹が生じ
るために前記カーボンによる導電パスが切断され、高抵
抗を示し、再び温度が低下すると前記ポリマーが凝固し
て前記カーボンによる導電パスが形成され、低抵抗を示
す性質を有する。このようなPTC素子部を有するPT
C素子としては、レイケム社製の商品名がLTPシリー
ズのPTC素子等を挙げることができる。このPTC素
子の抵抗変化率は、104 〜106 倍の範囲である。
【0032】前記PTC素子の前記集電部は、例えば、
ニッケルから形成することができる。本発明者らは、3
C以上の大電流による充電時のPTC素子の動作メカニ
ズムを解析することによって、前記(1)式を満たすP
TC素子を備えた非水電解液二次電池が過充電時、特に
3C以上の大電流による充電時の安全性を向上できるこ
とを見出だした。
【0033】すなわち、3C以上の大電流による充電時
におけるPTC素子の動作メカニズムが以下の(a)〜
(d)の特徴を有することがわかった。 (a) 前記充電を行うと、はじめのうち電池温度は徐
々に上昇し、ある充電量を越えた時点から急上昇するこ
と。
【0034】(b) PTC素子は、電池の容器内の電
極群の発熱と共に、通電されている電流による自己発熱
により加熱され、これにより抵抗が急上昇する温度に至
ること。
【0035】(c) 非水電解液二次電池においては、
通常、大電流による充電の際、容器内の電極群の発熱量
のほうがPTC素子の発熱量に比べて圧倒的に大きくな
る。しかしながら、電極群の発熱は容器のような各種電
池構成部品を伝達してからPTC素子へと伝わるため、
PTC素子の温度上昇へ与える影響は自己発熱に比べて
小さなものとなること。
【0036】(d) 電池寸法が大きくなるほど、PT
C素子の作動が遅くても安全性を確保できること。これ
らの知見から、過充電のような異常条件下でPTC素子
を迅速に作動させるためには、従来広く言われていた電
池の容器内の電極群の発熱をPTC素子へ効率良く伝え
る構造にするよりは、PTC素子自身の発熱を効率よく
起こさせる構造や、条件を設定する方が有効であること
がわかった。
【0037】PTC素子の自己発熱は、通電電流による
オーム損失によるジュール発熱であることから、PTC
素子インピーダンスが大きく影響するものと考えられ
る。ここで、PTC素子の25℃における直流抵抗をR
(mΩ)、通電電流をI(A)とすると、PTC素子の
自己発熱は、(I )式で表される。
【0038】I2 ・R (I ) また、過充電領域における電極群の発熱は、過充電中の
電池電圧および過充電により電池内部に生じた化学反応
量をほぼ一定と考えると、下記(II)式に示すように通
電電流I(A)に比例する。
【0039】I・K0 (II) ここで、K0 は通電電流を発熱量に換算するための定数
である。前記(I )式および前記(II)式より求められ
る発熱量のうち、PTC素子へと伝達されてPTC素子
の温度上昇を引き起こした分がPTC素子の動作を引き
起こすものと考えられる。この量は、下記(III )式で
表すことができる。
【0040】 I2 ・R・K1 + I・K2 (III ) ここで、K1 は、前記(I )式の発熱のうち実質的にP
TC素子に蓄積される熱量を求めるための定数である。
また、K2 は、前記(II)式における定数K0に容器内
の電極群とPTC素子との間の熱伝達率を掛け合わせた
ものである。
【0041】前記(III )式における第2項(I・K
2 )の寄与は、前記特徴(c)で記載した通り、小さい
と考えられる。前記(III )式より求められる発熱量が
ある一定値に達したときにPTC素子が作動すると考
え、この一定値をK3 とし、また、前記特徴(d)で説
明した経験則、つまり、電池容量が大きくなるとPTC
素子の作動が遅くても安全性を確保できることを考慮す
れば、この一定値K3 は電池の公称容量P(Ah)に比
例するため、下記(IV)式が成立する。
【0042】 I2 ・R・K1 + I・K2 > K3 ・P (IV) また、充放電電流をCレートで表示すると、電池の充放
電特性を検討する際に電池容量の違いを加味する必要が
ないため、充放電特性の検討が容易になる。このことか
ら、前記(IV)式に対してもCレート表示を導入する。
1Cが電池公称容量を1時間で充放電し得る電流値であ
ることから、1Cは1Pと同値になる。従って、前記
(IV)式は、 P2 ・R・K1 + P・K2 > K3 ・P (V) となる。前記(V)式において、移項し、定数をまとめ
ることによって、下記(VI)式とすることができる。
【0043】R>K/P (VI) ここで、Kは各定数K1 〜K3 をまとめたもの{K=
(K3 −K2 )/K1 }である。
【0044】このようにして求められた(VI)式を満た
すPTC素子を用いることによって、つまり25℃にお
ける直流抵抗R(mΩ)が定数Kで電池公称容量P(A
h)を除した値よりも大きいPTC素子を使用すること
によって、過充電時、特に3C以上の充電時の安全性を
向上できることを本発明者らは見出だした。
【0045】また、前述したK1 〜K3 の値を検討し、
かつ直流抵抗R(mΩ)がK/P以下であるPTC素子
を備えた二次電池の過充電時の現象を調べることによっ
て、定数Kは50が最適であることがわかった。すなわ
ち、25℃における直流抵抗R(mΩ)を50/P以下
にすると、過充電の際、特に3C以上の大電流による充
電の際、通電電流によるPTC素子の自己発熱量が減少
するため、PTC素子による電流遮断に至までに要する
時間が長くなる。このため、電池内部での前記過充電に
伴う化学反応が進行し、電池温度上昇と共に電池内圧が
上昇してしまい、封口部からの漏液や発火が生じる恐れ
がある。前記直流抵抗R(mΩ)を50/Pよりも大き
くすることによって、過充電、特に3C以上での充電時
におけるPTC素子の自己発熱を促進することができる
ため、PTC素子を速やかに作動させ、二次電池の電流
経路を遮断することができ、過度の温度上昇や内圧上昇
を未然に防止することができる。安全性をより向上する
観点から、直流抵抗R(mΩ)は70/Pより大きいこ
とが好ましい。しかしながら、前記直流抵抗R(mΩ)
が167/P以上になると、高抵抗のPTC素子を備え
ることによる放電時の電圧降下が顕著になる恐れがあ
る。このような電圧降下は例えば、以下に説明するよう
な問題点を招く。
【0046】すなわち、直流抵抗が前述したように大き
いPTC素子を備えた非水電解液二次電池をセルラーフ
ォーンやパーソナルコンピュータのような携帯電子機器
に組み込み、大電流(例えば3C)で放電させると、前
記PTC素子に起因する放電電圧の降下が顕著に生じ
る。例えば、抵抗が167/PのPTC素子を使用した
場合、前記電圧降下の大きさは、約0.5Vになる。こ
の二次電池を3Cで放電すると、平均端子電圧は、3.
5Vから先の0.5Vを差し引いた値、つまり3Vにな
る。その結果、まだ電池の容量が残っているにも拘ら
ず、電池の端子電圧が前記携帯電子機器の過放電禁止回
路の動作電圧(例えば3V)を下回るため、前記回路が
作動する。このため、前記電池は容量が残っているにも
拘らず放電できなくなり、結果として放電容量が低下す
るという問題点が生じる。小型民生用非水電解液二次電
池の主たる用途である前記携帯電子機器においては、3
C以下での使用が98%を占め、そのうち1C以下での
使用が80%以上を占めている。また、前記携帯電子機
器に組み込まれている過放電禁止回路の動作電圧は3V
近辺に設定されているものが多い。従って、PTC素子
の直流抵抗の上限を167/Pに設定することによっ
て、大電流で放電した際に過放電と誤認されることによ
って放電が中断されるのを回避しつつ、安全性を向上す
ることができる。特に、過放電禁止回路の動作電圧が3
V近辺に設定された携帯電子機器における3Cのような
大電流での放電で放電容量が低下するのを回避すること
ができる。また、この大電流放電特性をより向上する観
点から、直流抵抗R(mΩ)は120/Pより小さい方
が好ましい。特に、優れた大電流放電特性を保持しつ
つ、安全性をより向上する観点から、次式(2)を満た
すPTC素子を用いるのが良い。
【0047】70/P<R<120/P (2) なお、前記(VI)式は、前述した式導出過程で説明した
ように、PTC素子の自己発熱が所望の割合で素子作動
に寄与するとの仮定に基づいて導き出されている。公称
容量が40Ah以上の電気自動車用の大型非水電解液二
次電池では、電池容量に対する表面積が小さく、過充電
時に容器内の電極群が発熱すると、前記電極群の中心付
近の熱が外部に放出されずにそのまま蓄積され、この熱
によりPTC素子が加熱される。このため、前記PTC
素子は、自己発熱を生じる前、あるいは自己発熱が生じ
てから僅かの間に、高抵抗を示す温度まで加熱されるも
のと考えられる。つまり、大型非水電解液二次電池にお
いては、電極群の発熱の素子作動への寄与がPTC素子
の自己発熱の寄与に比べて十分に大きいと考えられるた
め、PTC素子の自己発熱の寄与を考慮した前記式
(1)を満たすPTC素子より低抵抗のPTC素子にて
も過充電時の安全性を確保することが可能となる場合が
生じる。
【0048】従って、前記二次電池の公称容量P(A
h)は、0.5〜5Ahの範囲にすることが好ましい。
このような範囲の公称容量を有する非水電解液二次電池
においては、過充電時の容器内の電極群の発熱が適度に
外部に放出され、PTC素子の自己発熱がPTC素子作
動に高い割合で寄与するため、前記式(1)を満たすP
TC素子を用いることによって高い安全性を確保するこ
とができる。より好ましい公称容量P(Ah)は、0.
5〜3Ahの範囲である。
【0049】また、電極群として正極と負極をその間に
セパレータを介在して交互に積層された積層物を用いる
場合にはその厚さ、また、電極群として正極と負極とを
そのの間にセパレータを介在して渦巻状に捲回すること
により作製されたものを用いる場合にはその直径を0.
5〜4cmの範囲にすることが好ましい。このような厚
さもしくは直径を有する電極群を備えた非水電解液二次
電池は、過充電時の前記電極群の発熱を適度に外部に放
出させることができるため、前記式(1)を満たすPT
C素子を用いることによって高い安全性を確保すること
ができる。
【0050】以上説明したように、本発明に係る非水電
解液二次電池は、25℃における直流抵抗R(mΩ)が
次式(1)を満たすPTC素子を備える。 50/P<R (1) (1)式において、P(Ah)は、前記PTC素子を有
する非水電解液二次電池の公称容量を示す。
【0051】このような二次電池は、過充電、特に3C
以上での充電時の際、この充電電流によるPTC素子の
自己発熱量を増加させることができるため、前記PTC
素子の温度を短期間で作動温度まで上昇させることがで
きる。その結果、前記二次電池の温度が比較的低いうち
に前記二次電池の電流経路を前記PTC素子によって遮
断することができるため、過度の温度上昇や内圧上昇を
未然に防止することができ、安全性を向上することがで
きる。
【0052】また、前記PTC素子が次式(2) 50/P<R<167/P (2) を満たすことによって、優れた放電特性を保持しつつ、
特に大電流で放電した際に過放電と誤認されて放電が中
断されるのを防止しつつ、過充電の際の安全性を向上す
ることができる。
【0053】なお、前述した図1においては、円筒形非
水電解液二次電池に適用した例を説明したが、本発明に
係る非水電解液二次電池は角形構造のものにも適用する
ことができる。この例を図4に示す。例えば軟鋼からな
る負極端子を兼ねる有底矩形筒形の容器31内には、電
極群32が収納されている。前記電極群32は、正極3
3、セパレータ34および負極35の積層物を渦巻状に
巻回して構成されている。なお、前記電極群32は籠形
の電極カバー36に収納されている。非水電解液は、前
記容器31内に収容されている。前記正極33は、前述
した正極集電体の両面に正極合剤33a、33bを形成
した構造を有する。このような正極33は、例えば、前
記集電体の両面に前述した正極材料を含む懸濁物を塗布
し、乾燥した後、プレスすることにより作製することが
できる。一方、前記負極35は、負極集電体の両面に負
極合剤35a、35bを形成した構造を有する。このよ
うな負極35は、例えば、前記集電体の両面に前述した
負極材料を含む懸濁物を塗布し、乾燥した後、プレスす
ることにより作製することができる。
【0054】中央に円形穴37およびこの穴37に隣接
した個所に矩形状の圧力開放用孔38がそれぞれ開口さ
れた例えば軟鋼からなる封口体39は、前記容器31の
上端開口部にレーザ溶接により気密に取り付けられてい
る。例えば高クロム鋼からなる正極端子ピン40は、前
記封口体39の前記穴37内にその上下端が前記封口体
39の上下面から突出するように挿入されていると共
に、前記穴37に充填されたガラス製絶縁材41により
ハーメティクシールされている。前記正極端子ピン40
は、リード42により前記電極群32の正極33と接続
されている。
【0055】例えばステンレスからなる矩形状の薄板4
3は、前記封口体39の上面に前記圧力開放用孔38を
塞ぐようにレーザ溶接により気密に取り付けられてい
る。直線部およびこの両端をV字型にした形状を有する
切り込み溝44は、前記薄板43に形成されている。P
TC素子45は、ニッケル製の帯状接続タブ46を介し
て前記容器1の底面に固定されている。前記PTC素子
45は、矩形板状のPTC素子部47の両面に矩形板状
の集電部48a,48bが積層された構造を有する。例
えばステンレスからなる矩形板状の負極端子板49は、
前記PTC素子45の集電部48bの下面に取付けられ
ている。熱収縮性樹脂からなる外装チューブ50は、前
記容器31の外周面、前記容器31の底面周縁および前
記封口体39の上面周縁を被覆している。なお、前述し
た図4においては、PTC素子は、容器の底部に配置し
たが、容器の側面に配置しても良い。
【0056】
【実施例】以下、本発明の実施例を前述した図1を参照
して詳細に説明する。 実施例1 <負極の作製>繊維状グラファイトであるMCF(メソ
フェーズカーボンファイバー)87重量%と、導電助剤
として導電性グラファイト10重量%と、結着剤(スチ
レンブタジエンゴムを1.7重量%とカルボキシメチル
セルロースを1.3重量%)とを水を溶剤にして混練
し、ペーストとしたものを銅箔へ塗布し、乾燥、プレス
を行うことにより負極を作製した。 <正極の作製>一方、リチウムコバルト酸化物(LiC
oO2 )粉末97.6重量%、アセチレンブラック1.
2重量%、グラファイト1.2重量%及びフッ素ゴム2
重量%とに酢酸エチルとエチルセロソルブの混合溶液を
加えて混合し、アルミニウム箔に塗布し、乾燥、プレス
を行うことにより正極を作製した。
【0057】得られた正極及び負極の間にポリエチレン
製の多孔質セパレータを介在し、渦巻状に捲回すること
により直径が16mmの電極群を作製した。 <封口部材の作製>前述した図1および図2に示すよう
なリング形状をなし、外径が14.5mmで、内径が6
mmで、25℃における直流抵抗Rが78mΩで、作動
温度Tが110℃のPTC素子(レイケム社製;商品名
LTPシリーズ)を用意した。なお、PTC素子の25
℃における直流抵抗Rは、ヒューレットパッカード(H
ewlett Packard)社製で、商品名がHP
3456Aの4線式抵抗測定器により測定した。測定
は、前記測定器内に前記PTC素子を直立させた状態で
行った。また、測定点は、前記PTC素子の両面とも下
半分に設定した。前記PTC素子を用いて前述した図1
に示す構造を有する防爆機構及び正極端子を有する封口
部材を組み立てた。 <電池の組み立て>有底円筒形をなし、直径が17mm
で、高さが50mmで、ニッケルメッキが施された軟鋼
製の容器内に前記電極群を収納し、エチレンカーボネー
ト及びメチルエチルカーボネートの混合溶媒へLiPF
6 を1mol/l溶解させたものを非水電解液として前
記容器内に収容した。前記容器の開口部に前記第1の蓋
体、前記PTC素子及び前記第2の蓋体を前記絶縁ガス
ケットを介してかしめ固定することによって前述した図
1に示す構造を有し、公称容量が650mAhの175
00型の円筒型リチウムイオン二次電池を製造した。 実施例2 PTC素子の前記直流抵抗Rを100mΩにすること以
外は、実施例1と同様な円筒型リチウムイオン二次電池
を製造した。 比較例1 PTC素子の前記直流抵抗Rを23mΩにすること以外
は、実施例1と同様な円筒型リチウムイオン二次電池を
製造した。 比較例2 PTC素子の前記直流抵抗Rを41mΩにすること以外
は、実施例1と同様な円筒型リチウムイオン二次電池を
製造した。 比較例3 PTC素子の前記直流抵抗Rを64mΩにすること以外
は、実施例1と同様な円筒型リチウムイオン二次電池を
製造した。
【0058】得られた実施例1〜2及び比較例1〜3の
二次電池について、組み立て後、2日間静置した後、電
池電圧が4.2Vになるまでは1Cの定電流で、4.2
Vに達してからは4.2Vの定電圧で合計5時間充電す
ることにより初充電を施した。
【0059】初充電が施された実施例1〜2及び比較例
1〜3の二次電池について、3C(1.95A),4C
(2.6A),5C(3.25A)の各電流で定電流充
電を行うことにより過充電試験を実施し、PTC素子が
作動して外観変化を生じることなく安全に電池機能が停
止した場合を〇、PTC素子が作動する前に封口部より
漏液が生じた場合を△、PTC素子が作動する前に発火
した場合を×として評価し、その結果を下記表1に示
す。 実施例3 <負極の作製>繊維状グラファイトであるMCF(メソ
フェーズカーボンファイバー)87重量%と、導電助剤
として導電性グラファイト10重量%と、結着剤(スチ
レンブタジエンゴムを1.7重量%とカルボキシメチル
セルロースを1.3重量%)とを水を溶剤にして混練
し、ペーストとしたものを銅箔へ塗布し、乾燥、プレス
を行うことにより負極を作製した。 <正極の作製>一方、リチウムコバルト酸化物(LiC
oO2 )粉末97.6重量%、アセチレンブラック1.
2重量%、グラファイト1.2重量%及びフッ素ゴム2
重量%とに酢酸エチルとエチルセロソルブの混合溶液を
加えて混合し、アルミニウム箔に塗布し、乾燥、プレス
を行うことにより正極を作製した。
【0060】得られた正極及び負極の間にポリエチレン
製の多孔質セパレータを介在し、渦巻状に捲回すること
により直径が17mmの電極群を作製した。 <封口部材の作製>前述した図1および図2に示すよう
なリング形状をなし、外径が15.5mmで、内径が
7.5mmで、25℃における直流抵抗Rが42mΩ
で、作動温度Tが100℃のPTC素子(レイケム社
製;商品名LTPシリーズ)を用意した。なお、PTC
素子の25℃における直流抵抗Rは、前述したのと同様
にして行った。前記PTC素子を用いて前述した図1に
示す構造を有する防爆機構及び正極端子を有する封口部
材を組み立てた。 <電池の組み立て>有底円筒形をなし、直径が18mm
で、高さが65mmで、ニッケルメッキが施された軟鋼
製の容器内に前記電極群および実施例1と同様な組成の
非水電解液を収納した。前記容器の開口部に前記第1の
蓋体、前記PTC素子及び前記第2の蓋体を前記絶縁ガ
スケットを介してかしめ固定することによって前述した
図1に示す構造を有し、公称容量が1250mAhの1
8650型の円筒型リチウムイオン二次電池を製造し
た。 実施例4 PTC素子の前記直流抵抗Rを57mΩにすること以外
は、実施例3と同様な円筒型リチウムイオン二次電池を
製造した。 実施例5 PTC素子の前記直流抵抗Rを78mΩにすること以外
は、実施例3と同様な円筒型リチウムイオン二次電池を
製造した。 実施例6 PTC素子の前記直流抵抗Rを90mΩにすること以外
は、実施例3と同様な円筒型リチウムイオン二次電池を
製造した。 比較例4 PTC素子の前記直流抵抗Rを12mΩにすること以外
は、実施例3と同様な円筒型リチウムイオン二次電池を
製造した。 比較例5 PTC素子の前記直流抵抗Rを31mΩにすること以外
は、実施例3と同様な円筒型リチウムイオン二次電池を
製造した。
【0061】得られた実施例3〜6及び比較例4〜5の
二次電池について、組み立て後、2日間静置した後、前
述したのと同様にして初充電を行った。初充電が施され
た実施例3〜6及び比較例4〜5の二次電池について、
3C(3.75A),4C(5A),5C(6.25
A)の各電流で定電流充電を行うことにより過充電試験
を実施し、PTC素子が作動して外観変化を生じること
なく安全に電池機能が停止した場合を〇、PTC素子が
作動する前に封口部より漏液が生じた場合を△、PTC
素子が作動する前に発火した場合を×として評価し、そ
の結果を下記表2に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】ここで、前述した実施例1〜2および比較
例1〜3の二次電池のPTC素子の25℃における直流
抵抗R(mΩ)について検討する。これら二次電池の公
称容量Pは0.65Ahである。従って、前記二次電池
は、PTC素子の25℃における直流抵抗Rを50/
0.65、つまり76.9mΩより大きくすれば、過充
電時の安全性を向上できることとなる。表1から明らか
なように、直流抵抗Rが76.9mΩより大きい、つま
り前述した(1)式、R>50/Pを満たすPTC素子
を備えた実施例1〜2の二次電池は、3C以上の過大電
流での充電の際に安全性を確保できることがわかる。こ
れに対し、直流抵抗Rが76.9mΩ以下、つまり前記
直流抵抗Rが50/P(mΩ)以下のPTC素子を備え
た比較例1〜3の二次電池は、前記過充電の際、PTC
素子が作動する前に封口部からの漏液や、発火を生じる
ことがわかる。
【0065】また、前述した実施例3〜6および比較例
4〜5の二次電池のPTC素子の25℃における直流抵
抗R(mΩ)について検討する。これら二次電池の公称
容量Pは1.25Ahである。従って、前記二次電池
は、PTC素子の25℃における直流抵抗Rを50/
1.25、つまり40mΩより大きくすれば、過充電時
の安全性を向上できることとなる。表2から明らかなよ
うに、直流抵抗Rが40mΩより大きい、つまり前述し
た(1)式、R>50/Pを満たすPTC素子を備えた
実施例3〜6の二次電池は、3C以上の過大電流での過
充電の際に安全性を確保できることがわかる。これに対
し、直流抵抗Rが40mΩ以下、つまり前記直流抵抗が
50/P(mΩ)以下のPTC素子を備えた比較例4〜
5の二次電池は、前記過充電の際、PTC素子が作動す
る前に封口部からの漏液や、発火を生じることがわか
る。
【0066】従って、表1及び表2から、非水電解液二
次電池は前述した(1)式を満足するPTC素子を備え
れば、いかなる電池寸法においても3C以上の過大電流
での充電の際の破裂や、発火を回避できることがわか
る。 実施例7 PTC素子の前記直流抵抗Rを130mΩにすること以
外は、実施例3と同様な円筒型リチウムイオン二次電池
を製造した。 実施例8 PTC素子の前記直流抵抗Rを152mΩにすること以
外は、実施例3と同様な円筒型リチウムイオン二次電池
を製造した。 実施例9 PTC素子の前記直流抵抗Rを185mΩにすること以
外は、実施例3と同様な円筒型リチウムイオン二次電池
を製造した。
【0067】得られた実施例7〜9の二次電池及び前記
実施例4、6の二次電池について、過放電禁止回路が3
Vに設定された携帯電子機器に組み込み、3C(375
0mA)で放電した際の放電容量を測定し、その結果を
下記表3に示す。
【0068】
【表3】
【0069】表3から明らかなように、25℃における
直流抵抗Rが167/P(mΩ)より小さい、つまりこ
の式にP=1.25Ahを代入して算出した133.6
mΩより小さいPTC素子を備えた実施例4,6,7の
二次電池は、3C放電の際の平均放電電圧及び放電容量
が高いことがわかる。一方、前記直流抵抗が167/P
(mΩ)以上のPTC素子を備えた実施例8〜9の二次
電池は、3C放電の際の平均放電電圧が過放電禁止回路
の動作電圧である3Vを下回り、過放電禁止回路が放電
末期に作動するため、実施例4,6,7に比べて放電容
量が低下することがわかる。従って、表2および表3か
ら、50/P<R<167/Pを満足するPTC素子を
備えた実施例3〜7の二次電池は、大電流で放電した際
に過放電と誤認され、放電容量が低下するのを防止しつ
つ、過充電の際の安全性を向上できることがわかる。
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の非水電解液
二次電池によれば、25℃における直流抵抗R(mΩ)
が式50/P<Rを満足するPTC素子を備えることに
よって、過充電、特に3C以上の過大電流での充電の際
の破裂や、発火を回避することができる等の顕著な効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解液二次電池の一例を示す
断面図。
【図2】本発明に係る非水電解液二次電池に組み込まれ
るPTC素子の25℃における直流抵抗の測定方法を説
明するための平面図。
【図3】本発明に係る非水電解液二次電池に組み込まれ
るPTC素子における温度と直流抵抗(対数)との関係
の一例を示す特性図。
【図4】本発明に係る非水電解液二次電池の一例を示す
断面図。
【符号の説明】
1…容器、4…正極、5…セパレータ、6…負極、9…
封口部材、13…PTC素子。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムイオンを吸蔵・放出する正極
    と、 リチウムイオンを吸蔵・放出する負極と、 非水電解液と、 PTC素子とを具備した非水電解液二次電池であって、 前記PTC素子は、25℃における直流抵抗をR(m
    Ω)とし、前記二次電池の公称容量をP(Ah)とした
    際に、次式(1)を満たし、かつ前記PTC素子の作動
    温度は70℃〜150℃の範囲内であることを特徴とす
    る非水電解液二次電池。 50/P<R<167/P (1)
  2. 【請求項2】 開口部を有する有底円筒形容器と、 前記容器内に収納されたリチウムイオンを吸蔵・放出す
    る正極と、 前記容器内に収納されたリチウムイオンを吸蔵・放出す
    る負極と、 前記正極と前記負極の間に配置されたセパレータと、 前記容器内に収容された非水電解液と、 前記容器の前記開口部に配置され、PTC素子を有する
    封口部材とを具備した非水電解液二次電池であって、 前記PTC素子は、25℃における直流抵抗をR(m
    Ω)とし、前記二次電池の公称容量をP(Ah)とした
    際に、次式(1)を満たし、かつ前記PTC素子の作動
    温度は70℃〜150℃の範囲内であることを特徴とす
    る非水電解液二次電池。 50/P<R<167/P (1)
  3. 【請求項3】 前記封口部材は、端子を兼ねる第1の蓋
    体と、第2の蓋体とを有し、前記PTC素子は前記第1
    蓋体と前記第2蓋体の間に配置されることを特徴とする
    請求項2記載の非水電解液二次電池。
  4. 【請求項4】 前記PTC素子は、次式(3)70/P<R<120/P (3) 満たすことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載
    の非水電解液二次電池。
  5. 【請求項5】 前記作動温度は、80℃〜130℃の範
    囲内であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項
    記載の非水電解液二次電池。
  6. 【請求項6】 前記公称容量Pは、0.5Ah〜5Ah
    の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5いずれか
    1項記載の非水電解液二次電池。
  7. 【請求項7】 前記正極は、Li x MO 2 (但し、Mは1
    種以上の遷移金属であり、xは0.05<x<1.1で
    ある)で表されるリチウム複合酸化物と、Li x 2 4
    (但し、Mは1種以上の遷移金属であり、xは0.05
    <x<1.1である)で表されるリチウム複合酸化物と
    から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含むことを特徴
    とする請求項1〜6いずれか1項記載の非水電解液二次
    電池。
  8. 【請求項8】 前記負極は、メソフェーズピッチ系炭素
    質物を含むことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項
    記載の非水電解液二次電池。
  9. 【請求項9】 前記非水電解液は、非水溶媒と、前記非
    水溶媒に溶解された電解質とを含み、前記非水溶媒は、
    エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメ
    チルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチ
    ルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタ
    ン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラ
    ン、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルホラン
    及びジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種
    類の溶媒を含むことを特徴とする請求項1〜6いずれか
    1項記載の非水電解液二次電池。
  10. 【請求項10】 前記電解質は、LiClO 4 、LiP
    6 、LiBF 4 、LiAsF 6 、LiCF 3 SO 3 及び
    [LiN(CF 3 SO 2 2 ]から選ばれる少なくとも1
    種類の化合物を含むことを特徴とする請求項9記載の非
    水電解液二次電池。
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