JP3424955B2 - 電動送風機の組立方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本発明は家庭用の掃除機に使用す
る電動送風機に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】近年、電気掃除機は、じゅうたんの掃除
やダニを吸い込む用途に対応するため高出力化の傾向に
ある。このため、これに使用される電動送風機にも高出
力化が要望されている。 【０００３】以下、従来の電動送風機について図４に基
づいて説明する。ケーシング１はこの中にエアガイド２
とインペラ３を収容しており、モータ４に気密に取り付
けられている。前記インペラ３は、ブレード５と、これ
を挟み込む前面シュラウド６・後面シュラウド７によっ
て構成されている。 【０００４】以上の構成で、モータ４によってインペラ
３を高速で回転させ、生じた遠心力によって、所定の風
量と真空圧を得るようになっている。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成の電動
送風機は、送風効率を向上させることが大きな課題とな
っている。効率向上を妨げる要因の一つに、ケーシング
の吸気孔１ａとインペラの吸気孔３ａとの間付近での気
流の漏れがある。即ち、ケーシングの吸気孔１ａとイン
ペラの吸気孔３ａとの間には微少ではあるが隙間があ
り、この隙間から気流の漏れが発生して、圧力損失が発
生するものである。この圧力損失は、流量が少ないとき
即ち圧力が高くなるときに大きくなるものである。しか
し、ケーシングの吸気孔１ａとインペラの吸気孔３ａと
の間をシールすることは、耐久性、精度的に難しいもの
である。 【０００６】そこで本発明は、簡単な手段で、ケーシン
グの吸気孔とインペラの吸気孔の間隙を殆ど無くして、
シール性能を向上させ、送風効率を向上した電動送風機
を実現することを目的としている。 【０００７】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明の手段は、複数枚のブレードを前面シュラウド
及び後面シュラウドで挟持して構成し、前面シュラウド
の中央部に吸気孔を設けたインペラと、前記インペラの
中央部を回転軸に固定し前記インペラを回転駆動するモ
ータと、インペラから吐出された気流をモータ内に案内
するエアガイドと、前記エアガイドとインペラとを内包
し前記前面シュラウドの吸気孔と対向する中央部に吸気
孔を有するケーシングと、前記ケーシングの吸気孔を包
囲するように前記ケーシングに一体的に形成されたモー
タの回転軸方向に延びる筒状のガイド部と、前記ガイド
部内を軸方向に摺動可能な大きさに形成され、前記ガイ
ド部内に挿入固定される筒状のキャップとを備え、前記
キャップを前記ガイド部内に挿入し、前記ガイド部に沿
って軸方向に摺動させることにより前記キャップの下端
部を前記前面シュラウドの吸気孔の周りに当接させ、そ
の状態で、前記キャップを前記ガイド部に固定するよう
になしたことを特徴とする電動送風機の組立方法とする
ものである。 【０００８】 【作用】本発明の手段は、ガイド部に案内されて軸方向
に摺動可能としたキャップが寸法ばらつきを吸収してイ
ンペラとケーシングとの間隙を無くすように作用するも
ので、空気漏れによる圧力損失を低減でき、しかも摩擦
損失も小さくできるものである。 【０００９】 【実施例】（実施例１） 以下、本発明の第１の実施例を図１に基づいて説明す
る。２１は所定の風量と真空圧を発生する遠心形のイン
ペラであり、複数枚のブレード２２の上下端を円板形の
前面シュラウド２３及び後面シュラウド２４で挟持し、
かしめて構成している。前面シュラウド２３の中央部に
は吸気孔３０を有している。２５は、前記インペラ２１
を回転駆動するモータであり、その回転軸２６にはイン
ペラ２１がネジ止めにより固定されている。２７はイン
ペラ２１の外周に設置したエアガイドであり、インペラ
２１から吐出された気流をモータ２５内に案内する機能
を有している。エアガイド２７は、本実施例ではモータ
２５のブラケットを兼ねた構成になっており、外周部に
複数枚の静翼（図示せず）が構成されている。すなわ
ち、モータ２５にインペラ２１を固着したとき、その外
側にエアガイド２７の静翼が対峙して配置される。エア
ガイド２７は、インペラ２１から吐出された高速の気流
をモータ２５の内部へ導くもので、静翼によって構成さ
れるディフューザ部（図示せず）、戻り通路（図示せ
ず）を備えている。２９はエアガイド２７・インペラ２
１を内包し、中央部に吸気孔３０を有しているケーシン
グである。ケーシング２９は、モータ２５の外周に圧入
固定している。３２は前記ケーシング２９の中央部に設
けたガイド部で、回転軸２６に対して同軸の内壁面を有
する円筒形状をしている。３３はこのガイド部３２に挿
入固定されるキャップであり、吸気孔３４を有した円筒
形状をしている。このキャップ３３は、固定前において
はガイド部３２に沿って軸方向に摺動可能であるような
寸法設定となっている。従ってガイド部３２は、キャッ
プ３３をインペラ２１に案内する機能を有している。３
５はキャップ３３を固定するために設けたキャップ固定
部で、本実施例ではかしめのための打痕を示している。 【００１０】以下本実施例の電動送風機の組立方法につ
いて説明する。モータ２５にインペラ２１を固定した
後、ケーシング２９をエアガイド２７の上端面との隙間
が無くなるまでモータ２５の外周に圧入固定する。 【００１１】この状態で図３に示すようなキャップ３３
を、ガイド部３２に沿ってその下端面３６がインペラ２
１の吸気孔の上端部３７に接するまで挿入する。こうし
て、図２に示すようなキャップ固定部３５を設けて、キ
ャップ３３をガイド部３２内に固定する。つまり、ガイ
ド部３２を外側からかしめてキャップ固定部３５とする
ものであり、キャップ固定部３５は少なくとも運転初期
には前記インペラ２１の吸気孔の上端部３７がキャップ
３３と当接するようキャップの位置を固定するものであ
る。 【００１２】以下本実施例の動作について説明する。前
記したように電動送風機を組み立てることによって、キ
ャップ３３はインペラ２１とケーシング２９の寸法にば
らつきがあっても、必ずキャップの下端面３６がインペ
ラ２１の吸気孔の上端部に接触することになるものであ
る。しかもこの接触の状態は、キャップ３３がインペラ
２１に対して完全に平行で面接触することはほとんどな
く、点接触となっているものである。このため、この状
態で電動機を駆動すれば前記接触部が削られることにな
り、僅かな隙間を有した状態で安定するものである。し
かし、この空隙は0.1mm以下の小さなものであって、空
気の漏れによる圧力損失は非常に小さいものである。ま
たこの状態では、キャップ３３とインペラ２１との接触
が殆んど無く、耐久性にも問題は無いものである。 【００１３】 【発明の効果】本発明は、インペラの吸気孔付近とケー
シングの間をキャップによりシールすることにより、イ
ンペラから排出された気流がインペラの吸気孔へ還流す
ることを防ぐことができるとともに、組立上での寸法バ
ラツキがあってもキャップをインペラと当接してシール
効果を確保でき、送風効率の高い電動送風機を提供でき
るものである。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の第一の実施例を示す電動送風機の断面
図 【図２】同インペラの吸気孔付近を示す拡大断面図 【図３】同ケーシングとキャップの組立方法を示す拡大
断面図 【図４】従来の電動送風機の断面図 【符号の説明】 ２１ インペラ ２６ 回転軸 ２９ ケーシング ３３ キャップ ３５ キャップ固定部

フロントページの続き (72)発明者 笹原 文彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平２−238196（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−77312（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 複数枚のブレードを前面シュラウド及び
   後面シュラウドで挟持して構成し、前面シュラウドの中
   央部に吸気孔を設けたインペラと、前記インペラの中央
   部を回転軸に固定し前記インペラを回転駆動するモータ
   と、インペラから吐出された気流をモータ内に案内する
   エアガイドと、前記エアガイドとインペラとを内包し前
   記前面シュラウドの吸気孔と対向する中央部に吸気孔を
   有するケーシングと、前記ケーシングの吸気孔を包囲す
   るように前記ケーシングに一体的に形成されたモータの
   回転軸方向に延びる筒状のガイド部と、前記ガイド部内
   を軸方向に摺動可能な大きさに形成され、前記ガイド部
   内に挿入固定される筒状のキャップとを備え、前記キャ
   ップを前記ガイド部内に挿入し、前記ガイド部に沿って
   軸方向に摺動させることにより前記キャップの下端部を
   前記前面シュラウドの吸気孔の周りに当接させ、その状
   態で、前記キャップを前記ガイド部に固定するようにな
   したことを特徴とする電動送風機の組立方法。