JP3424810B2 - 高性能血液浄化膜 - Google Patents
高性能血液浄化膜Info
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- JP3424810B2 JP3424810B2 JP32690398A JP32690398A JP3424810B2 JP 3424810 B2 JP3424810 B2 JP 3424810B2 JP 32690398 A JP32690398 A JP 32690398A JP 32690398 A JP32690398 A JP 32690398A JP 3424810 B2 JP3424810 B2 JP 3424810B2
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Description
関する。詳しくは腎不全などの治療に用いる膜であり、
より高分子量物質の除去が可能な分画特性の高い血液浄
化膜に関する。
法が確立され、今では透析歴30年を超える患者もみら
れるようになってきた。日本国内でもここ数年は透析患
者が約8000人ずつ増え続けており、1997年の統
計では約17万人に達したと報告されている。
透析アミロイドーシス、疼痛、掻痒感をはじめとした合
併症が多く報告されている。合併症の原因の一つとし
て、透析では十分に除去できない物質が存在するという
考え方がある。そういった物質を除去するために透析膜
の孔径が拡大された高透水量の膜が開発され、製造され
るようになった。しかし、ただ単に孔径を拡大するだけ
では、分子量67,000のアルブミンをはじめとした
人体に有用な蛋白まで膜を透過してしまい、短期的には
血圧低下、長期的には栄養失調に陥ることにつながりか
ねない。そこで、アルブミンの漏出量を最低限に抑えつ
つ、シャープな孔径分布をもつ、分画特性の高い膜の開
発が試みられてきた。
とすると、孔径の拡大が必要であり、アルブミン漏出量
が大きくなった膜になってしまう。逆にアルブミン漏出
量を低減することに注力すると、***物質の除去が不
充分になる。1985年の下条博士による透析アミロイ
ドーシスの原因物質である分子量11,800のβ2−
ミクログロブリンの同定により、分子量11,800ま
での***物質の除去性能は高くなるような膜の開発が
進められてきた。
トンの***物質の存在が示唆されてきた。こういった
物質の同定はまだされているとはいえないが、分画分子
量の高い膜を使うほど、透析患者の疼痛や掻痒感が改善
される報告が後をたたない。例えば、補体系の第二経路
におけるD因子は透析患者での血中濃度が正常人の10
〜20倍と報告されており、補体系の活性化により骨関
節痛を惹起する可能性が示唆されている。補体D因子の
分子量は約23,000であり、従来の透析膜では除去
量が不充分である可能性が高く、蛋白漏出型の分画分子
量の大きな膜で血液透析、あるいは血液透析濾過を行
い、補体D因子の血中濃度を低減させ、骨関節痛を軽減
させる取り組みがされている。
は、同時にアルブミン漏出量も多いため、膜の使用は制
限されてしまう。よって、分子量2〜4万ダルトンの物
質の除去を継続的に実施できる膜は存在しないのが現状
である。
研究を重ねた結果、血液と接触しないときはアルブミン
も透過する能力があるものの、血液透析膜が血液接触し
たときにアルブミン漏出量を低く抑えかつ、極限まで孔
径を拡大しているものの、膜の目詰まりが少ない血液透
析膜の実現が可能であることを見出した。
ものの、アルブミンの漏出量を最低限に抑えることがで
き、透析患者の合併症である疼痛、掻痒感を低減する高
性能の血液透析膜を提供することにある。
するために下記の構成を有する。 5重量%のアルブミン水溶液を濾過したときの濾過
開始から30分後のアルブミンの篩い係数(SCAlb
(A))と、血液を濾過したときの濾過開始から30分
後のアルブミンの篩い係数(SCAlb(B))につい
て、SCAlb(B)/SCAlb(A)が、0.03
≦SCAlb(B)/SCAlb(A)≦0.4であ
り、かつSCAlb(A)≧0.1、SCAlb(B)
≦0.08であることを特徴とする高性能血液浄化膜。 血液浄化膜であって、37℃、pH7.2に調整し
た5重量%の牛血清アルブミン水溶液で溶液流量200
ml/min、濾過流量15ml/minの膜使用条件
で該血液浄化膜1.5m2 を充填したモジュールを用い
て濾過したとき、濾過開始から30分後のアルブミンの
篩い係数(SCAlb(A))と、蛋白濃度6.5±
0.5g/dlでヘマトクリット30±3%、37℃に
調整した牛血液を血液流量200ml/min、濾過流
量15ml/minで該血液浄化膜1.5m2 を充填し
たモジュールで濾過したとき、濾過開始から30分後の
アルブミンの篩い係数(SCAlb(B))について、
SCAlb(B)/SCAlb(A)が、0.03≦S
CAlb(B)/SCAlb(A)≦0.4であり、か
つSCAlb(A)≧0.1、SCAlb(B)≦0.
08であることを特徴とする高性能血液浄化膜。 SCAlb(B)/SCAlb(A)が、0.03
≦SCAlb(B)/SCAlb(A)≦0.1である
上記又は記載の高性能血液浄化膜。 β2 −ミクログロブリンの篩い係数が0.8以上で
ある上記乃至記載の高性能血液浄化膜。 分子量約2万のデキストランの篩い係数が0.3以
上である上記乃至記載の高性能血液浄化膜。
2に調整した5重量%の牛血清アルブミン水溶液で溶液
流量200ml/min、濾過流量15ml/minの
膜使用条件で該血液浄化膜1.5m2 を充填したモジュ
ールを用いて濾過したとき、濾過開始から30分後のア
ルブミンの篩い係数(SCAlb(A))と、蛋白濃度
6.5±0.5g/dlでヘマトクリット30±3%に
調整した牛血液を血液流量200ml/min、濾過流
量15ml/minで該血液浄化膜1.5m2 を充填し
たモジュールで濾過したとき、濾過開始から30分後の
アルブミンの篩い係数(SCAlb(B))について、
SCAlb(B)/SCAlb(A)が、0.03≦S
CAlb(B)/SCAlb(A)≦0.4であり、か
つSCAlb(A)≧0.1、SCAlb(B)≦0.
08であるとき、孔径は大きく***物質の除去能力が
高いにもかかわらず、アルブミンの漏出量を最低限に抑
えることができるものである。
を採用した。すなわち、流量200ml/min、濾過
流量(除水量)15ml/minである。しかし、篩い
係数を測定することが目的のため、透析液は流さない
で、濾過液をサンプリングして篩い係数を求めた。SC
Alb(A)、SCAlb(B)は以下の式で算出され
る。 SCAlb(A)=2×Cfil(A)/(Cin(A)+Cout(A)) 式(1) SCAlb(B)=2×Cfil(B)/(Cin(B)+Cout(B)) 式(2) ここでCfil(A)、Cfil(B)は濾過液のアル
ブミン濃度であり、Cin(A)、Cin(B)は膜へ
入ってくる液のアルブミン濃度、Cout(A)、Co
ut(B)は膜から出ていく液のアルブミン濃度であ
る。(A)は測定液にアルブミン水溶液を用いたときの
値であり、(B)は測定液に血液を用いたときの値であ
る。
(B)を測定することによってはじめてSCAlb
(B)/SCAlb(A)が計算される。SCAlb
(B)/SCAlb(A)は、従来まで全く考慮に入れ
られなかった概念であり、この概念を用いて膜を説明す
ることにより、本発明の効果が明らかとなる。SCAl
b(B)/SCAlb(A)が0.03以上、0.4以
下を満たし、かつSCAlb(A)が0.1以上、SC
Alb(B)が0.08以下であるとき、孔径は大きく
***物質の除去能力が高いにもかかわらず、アルブミ
ンの漏出量を最低限に抑えることができる膜が得られ
る。
0.03未満の場合は、血液と接触することにより極端
に性能が落ちる場合である。アルブミン溶液では、アル
ブミンが膜に吸着し、膜性能を低下させることもある
が、血液ではアルブミンだけでなく、他の蛋白も多く含
まれるだけでなく、赤血球などの細胞成分も含まれ、ア
ルブミン水溶液と血液のSCAlbに大きな乖離が生じ
ることがある。
たときによくみられるだけでなく、膜の血液接触面が粗
くなっているときに多くみられる。これは血液接触面が
疎水性、あるいは粗になることで、分子量の高い蛋白
が、膜血液接触面に吸着、ときには膜内部にまで入り込
んで膜性能を低下させると考えられる。この場合、血液
と膜が接触することで、実質的な膜孔径が大きく低下
し、膜使用中も膜の目詰まり等によって膜性能が低下し
続けるため、好ましくない。また、濾過性能も低く、血
液透析濾過、血液濾過といった大量除水療法には全く対
応できない膜となり、好ましくない。
が0.4を超えるときは2つの場合が考えられる。第一
に膜の孔径が小さい場合である。この場合、膜孔径が小
さいためにアルブミンをはじめとした蛋白の目詰まり、
内表面への吸着が非常に少ないため、牛血系と水系での
乖離は小さくなる。すなわちSCAlb(A)もSCA
lb(B)も非常に小さい状態である。透析アミロイド
ーシスの原因物質であるβ2 −ミクログロブリン(分子
量11,800)はもとより、補体D因子をはじめとし
た分子量2〜4万の未知の疼痛、掻痒感原因物質の除去
はまず不可能であり好ましくない。β2 −ミクログロブ
リンを十分に除去するためには、0.8以上のβ2 −ミ
クログロブリンふるい係数が少なくとも必要であるが、
この場合、0.8を超えることはまず不可能である。ま
た、補体D因子をはじめとした分子量2〜4万の物質の
除去を視野に入れるためには分子量2万のデキストラン
の篩い係数が0.3以上必要であるが、孔径が小さい
と、このレベルは達成できない。
極端に多い場合である。すなわち、SCAlb(B)が
大きいために、SCAlb(B)/SCAlb(A)が
大きくなる状態である。この場合、***原因物質の除
去能力が非常に高い血液透析膜となるが、人体に有用な
蛋白であるアルブミンの漏出が多大であり、短期的には
血圧低下、長期的には栄養失調に陥ることにつながりか
ねないため好ましくない。
lb(A)が0.1未満であると、膜孔径が小さく分子
量2〜4万の疼痛、掻痒感原因物質の除去は極めて困難
であるため、好ましくなく、SCAlb(A)が0.1
以上であるが必要である。SCAlb(B)について
は、SCAlb(B)が0.08を超えると身体に有用
な蛋白が過剰に漏出し、患者が危険な状態になることが
あるため好ましくなく、SCAlb(B)が0.08以
下であることが必要である。
Alb(A)≦0.4、かつSCAlb(A)≧0.
1、SCAlb(B)≦0.08を満たすときに、孔径
は大きく***物質の除去能力が高いにもかかわらず、
アルブミンの漏出量を最低限に抑えることができる膜が
得られる。そのため、SCAlb(B)/SCAlb
(A)の値は膜の特性を説明する上で非常に重要な因子
であるといえる。
(A)≦0.4を満たす膜は、適度な孔径を有している
と同時に血液との接触面が活性化されていることが必要
である。孔径に関して適度な大きさより、小さくても大
きくてもSCAlb(B)/SCAlb(A)は大きな
値となる。孔径が小さいと、蛋白の吸着、目詰まりが少
なくなるためSCAlb(B)とSCAlb(A)の値
の差が小さくなり、SCAlb(B)/SCAlb
(A)が大きくなる。逆に孔径が大きすぎてもSCAl
b(B)/SCAlb(A)の分子であるSCAlb
(B)の値が大きくなるため、SCAlb(B)/SC
Alb(A)は大きな値となる。よってSCAlb
(B)/SCAlb(A)が極小となる領域の孔径が最
も好ましく、具体的には0.4以下であることが必要で
ある。しかし、血液との接触面が活性化されていない
と、血液と接触することにより極端に性能が落ち、具体
的にはSCAlb(B)/SCAlb(A)が0.03
を下回る。血液に触れることで実質的な膜孔径が大きく
低下し、膜使用中も膜の目詰まり等によって膜性能が低
下し続ける。濾過性能も低く、血液透析濾過、血液濾過
といった大量除水療法には全く対応できない膜となる。
(B)/SCAlb(A)が0.03以上、0.4以下
を満たしかつSCAlb(A)≧0.1、SCAlb
(B)≦0.08のときにはじめて、適度な孔径を有
し、膜の血液接触面が活性化された、濾過性能に優れた
膜が得られる。SCAlb(B)/SCAlb(A)が
0.03以上、0.1以下の場合は、更に好ましい。
中空糸型、平膜、その他の形式で、本発明を適応しても
好ましい膜が得られるが、以下に述べていく乾湿式紡糸
法による中空糸膜の製膜が血液接触面を活性化する方法
としては最も好ましい。膜の素材となるポリマーも特に
限定されるものでなく、再生セルロース系、酢酸セルロ
ース系、ポリスルホン系、ポリアクリロニトリル系、ポ
リアミド系、PMMA、エバールなどの膜素材で本発明
が適応でき、好ましい膜が得られるがポリエーテルスル
ホンで膜孔径の制御が容易であり、最も好ましい。SC
Alb(B)/SCAlb(A)が0.03以上、0.
4以下かつSCAlb(A)≧0.1、SCAlb
(B)≦0.08を実現するためには、前述の通り孔径
をコントロールし、膜の血液接触面が活性化させること
が必要である。孔径のコントロールする方法は既知の手
段を応用することで可能である。すなわち、製膜法にお
いて膜素材となるポリマーと溶媒、内液組成、凝固浴な
どを制御することで可能である。
接触面を活性化させる手段として、凝固浴で凝固させる
前に、膜の血液接触面を凝固させて、緻密層にしておく
ことが必要である。
(B)/SCAlb(A)が0.03以上、0.4以下
かつSCAlb(A)≧0.1、SCAlb(B)≦
0.08を実現するためには、凝固能力を向上させた紡
糸原液を用いて、製膜することが効果的であることを我
々は発見した。すなわち、紡糸原液吐出とともに、凝固
が速やかに起こり、凝固浴に達する前に膜が形成され
る。
非溶媒、親水化剤の4成分を用い、非溶媒の量を増やす
ことでエアーギャップ部での凝固を促進することができ
る。さらに紡糸方法として乾湿式紡糸法を採用し、紡糸
口金から吐出されてから、凝固浴に浸かるまでの間であ
るエアギャップ部の滞留時間を0.3秒以上2.4秒以
内にすることで、エアーギャップ部での凝固を完了さ
せ、かつ安定した製造が可能となる。
3(非溶媒:溶媒)が好ましい。非溶媒:溶媒の比率が
3:7より小さい場合、すなわち、非溶媒の量が少ない
場合、凝固能力が低く、凝固浴に達する前に凝固を完了
することができない。これでは血液接触面を活性緻密層
にすることはできない。非溶媒:溶媒の比率が7:3よ
り大きい場合、すなわち、非溶媒の量が非常に多い場
合、紡糸原液が溶解せず、均一な凝固状態を得ることが
できず、好ましくない。非溶媒:溶媒の比率が4:6か
ら5:5のとき、もっとも良好な性能を得ることができ
るが、紡糸原液中のポリマー濃度や親水化剤の量によっ
て、最適な非溶媒比率は異なってくる。非溶媒は、溶媒
と任意の割合で混合するがポリマーを溶解する能力はも
たないものをいう。本発明では水、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、1,3―ブチレングリコール、
へキシレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテルなどが好ましい。
かるまでの間であるエアギャップ部の滞留時間は0.3
秒以上2.4秒以内が好ましい。0.3秒未満の場合、
凝固能力を促進した紡糸原液を用いても、凝固浴に達す
る前に凝固を完了することはできないので好ましくな
い。2.4秒以上の場合、エアーギャップでの時間が長
すぎるため、安定して製造ができなくなるので好ましく
ない。よって、エアギャップ部の滞留時間は0.3秒以
上2.4秒以内が好ましい。さらに0.6秒以上1.2
秒以内が最も好ましい。
親水化剤の量を減少させることができる。具体的には親
水化剤が紡糸原液中の1から5重量%の量で十分であ
る。これは血液接触面が活性化しているため、親水化剤
の量が少なくても、血液性能を発現できるからである。
SCAlb(B)/SCAlb(A)≦0.4かつSC
Alb(A)≧0.1、SCAlb(B)≦0.08を
満たし、***物質の除去能力が高いものの、アルブミ
ンの漏出量は最低限に抑えることができる。以下に実施
例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はなんら限定
されるものではない。
S)が23.0重量%、非溶媒としてトリエチレングリ
コール(TEG)を30.4重量%、溶媒にN―メチル
ピロリドン(NMP)45.6%(非溶媒:溶媒=4:
6)、親水化剤にポリビニルピロリドンK−90(K9
0)を1.0重量%、内液濃度(NMP+水)が60%
として、紡糸原液を40℃に保った二重紡糸口金の外側
から、内液を二重紡糸口金の内側から吐出し、エアギャ
ップ走行時間0.6秒に調節して膜厚38μmの中空糸
膜を得た。こうして得られた中空糸膜の純水の透過性能
を示す限外濾過係数は561ml/hr/m2 /mmH
gであった。
のアルブミン濃度に近い5重量%のアルブミン水溶液を
準備して用いた。アルブミンにはナカライテスク社製牛
血清アルブミン(F−V)を用い、リン酸緩衝液に所定
量の牛血清アルブミンを溶解し、水酸化ナトリウム水溶
液でpHを7.2に調整した。こうして得られた水溶液
を37℃に保ち、溶液流量200ml/min、濾過流
量15ml/minの膜使用条件で該血液浄化膜を用い
て濾過し、モジュールの入口部での液、モジュールの出
口部での液、濾過液を7ml採取した。採取した液には
アルブミン以外の蛋白を含まないため、紫外線光(波長
280nm)の吸光度を測定することで定量した。入口
部と出口部の採取液は、リン酸緩衝液を用い、50倍に
希釈して吸光度を測定し、希釈倍率である50を吸光度
にかけて正しい濃度を得られるようにした。濾過液はS
CAlb(A)の値で大きく変わるが、そのまま吸光度
を測定して、0.800を超えない場合はそのまま測定
し、0.800を超える場合は2〜50倍の倍率で希釈
し、吸光度が0.100以上0.800以下になるよう
にして吸光度を得て、希釈した倍率と吸光度の積を求め
ることで正しい濃度を得られるようにした。この場合は
50倍で希釈して吸光度を求めた。こうして測定された
SCAlb(A)は0.522だった。
5g/dlでヘマトクリット30±3%に調整した血液
を用いて測定した。血液には牛血液を採取し、牛血漿あ
るいは生理食塩水を加えて、蛋白濃度6.5±0.5g
/dlでかつ、ヘマトクリット30±3%に調整した。
蛋白濃度、ヘマトクリット共に正常なヒトの値よりはや
や低めであるが、透析患者としては平均的な値であり、
この場合、蛋白濃度6.6g/dl、ヘマトクリット3
1%のウシ血液を用いた。こうして得られたウシ血液を
37℃に保ち、血液流量200ml/min、濾過流量
15ml/minの膜使用条件で該血液浄化膜を用いて
濾過し、モジュールの入口部での血液、モジュールの出
口部での血液、及び濾過液を7ml採取した。採取した
血液はすぐに6,000rpmにて遠心分離し、その上
澄みである血漿を得た。血漿や濾過液のアルブミン濃度
(Cfil(B))には、アルブミンだけでなく、他の
蛋白も含まれているため、アルブミンの濃度は、和光純
薬製アルブミンテストワコー(BCG法)にて定量し
た。入口血漿と出口血漿は20μl採取してキットの試
薬を用いて定量したが、濾過液のアルブミン濃度は通常
の血液透析膜では薄くなるため、濾過液を200μl採
取して定量した。採取するサンプル量によって、検量線
を作成し、吸光度をアルブミン濃度に換算するのはいう
までもない。こうして測定したSCAlb(B)は0.
019であった。これより、SCAlb(B)/SCA
lb(A)は0.036となり、0.03以上、0.4
以下を満たしていた。
(B)を求める際に、測定する牛血へあらかじめ、シグ
マ社製ヒト尿由来β2 −ミクログロブリン(β2 MG)
を0.1mg/lの濃度で加えておき、膜を血液濾過し
たときに得られた入口部血漿と出口部血漿、濾過液を5
倍に希釈し、β2 MG濃度をグラザイムβ2 −マイクロ
グロブリンEIAテスト(和光純薬製)を用いて定量
し、SCβ2 MGを式(3)にて計算した。 SCβ2 MG=2×Cfil(β2 MG)/(Cin(β2 MG)+Cout( β2 MG)) 式(3)
のβ2 MG濃度、Cin(β2 MG)は入口部血漿のβ
2 MG濃度、Cout(β2 MG)は出口部血漿のβ2
MG濃度である。こうして求めたSCβ2 MGは0.9
50であり、β2 MGを十分に除去するために必要な
0.8以上のSCβ2 MGが実現されていた。分子量2
万のデキストランの篩い係数もSCAlb(B)を求め
る際に、シグマ社製FITCデキストラン分子量約1
9,600を牛血へ25mg/lの濃度で加えておき、
血液濾過ときに得られた入口部血漿、出口部血漿、濾過
液を100μl試験管に採り、ヘパリン化生理食塩水
(ヘパリン3単位/ml)を5ml加えて約50倍に希
釈し、濾過液には血漿100μlを加え、蛋白濃度を調
整し、ブランクには血漿100μlにヘパリン化生理食
塩水5ml加えたものを使って蛍光分光計で定量し、S
CfitcDex20,000を求めた。 SCfitcDex20,000=2×Cfil(fitcDex)/(Cin (fitcDex)+Cout(fitcDex)) 式(4)
濾過液のfitcDex20,000濃度、Cin(f
itcDex)は入口部血漿のfitcDex20,0
00濃度、Cout(fitcDex)は出口部血漿の
fitcDex20,000濃度である。こうして求め
たSCfitcDex20,000は0.342と0.
3を超えており、補体D因子をはじめとした分子量2〜
4万の疼痛、掻痒感原因物質の除去を視野に入れた治療
が可能である。
S)が19.0重量%、非溶媒としてトリエチレングリ
コール(TEG)を38.0重量%、溶媒にN―メチル
ピロリドン(NMP)38.0%(非溶媒:溶媒=5:
5)、親水化剤にポリビニルピロリドンK−90(K9
0)を5.0重量%、内液濃度(NMP+水)が60%
として、紡糸原液を52℃に保った二重紡糸口金の外側
から、内液を二重紡糸口金の内側から吐出し、エアギャ
ップ走行時間1.0秒に調節して膜厚30μmの中空糸
膜を得た。こうして得られた中空糸膜の純水の透過性能
を示す限外濾過係数は255ml/hr/m2 /mmH
gであった。
b(A)、SCAlb(B)を測定したところ、SCA
lb(A)は0.218、SCAlb(B)は0.01
5であり、SCAlb(B)/SCAlb(A)は0.
069となり、0.03以上、0.4以下を満たしてい
た。SCAlb(B)と同時に測定したSCβ2 MGは
0.891と非常に良好であり、SCfitcDexは
0.376と0.3を超えていた。
S)が23.0重量%、非溶媒は添加せず、溶媒にN―
メチルピロリドン(NMP)74.0%(非溶媒:溶媒
=0:10)、親水化剤にポリビニルピロリドンK−9
0(K90)を3.0重量%、内液濃度(NMP+水)
が50%として、紡糸原液を二重紡糸口金の外側から、
内液を40℃に保った二重紡糸口金の内側から吐出し、
エアギャップ走行時間1.2秒に調節して膜厚31μm
の中空糸膜を得た。こうして得られた中空糸膜の純水の
限外濾過係数は100ml/hr/m2 /mmHgだっ
た。SCAlb(A)は0.832、SCAlb(B)
は0.523であり、SCAlb(B)/SCAlb
(A)は0.629と0.4未満を満たしていなかっ
た。このときのSCβ2 MGは0.902、SCfit
cDexは0.633と高かったが、SCAlb(B)
が0.523と高く、この膜では患者からのアルブミン
漏出量が極めて多く、患者を危険な状態にさらすことに
なる。これは紡糸原液に非溶媒が添加されておらず、凝
固能力が低く、エアギャップ走行時間1.2秒を設定し
ても、膜構造が決定する前に凝固浴に入るため、膜内表
面に活性層が形成されておらず、内面が粗になり蛋白漏
出量が増大したためである。
S)が18.0重量%、非溶媒にトリエチレングリコー
ル(TEG)を7.7重量%、溶媒にN―メチルピロリ
ドン(NMP)69.3%(非溶媒:溶媒=1:9)、
親水化剤にポリビニルピロリドンK−90(K90)を
5.0重量%、内液濃度(NMP+水)が60%とし
て、紡糸原液を39℃に保った二重紡糸口金の外側か
ら、内液を二重紡糸口金の内側から吐出し、エアギャッ
プ走行時間0.6秒に調節して膜厚30μmの中空糸膜
を得た。こうして得られた中空糸膜の純水の限外濾過係
数は181ml/hr/m2 /mmHgだった。このと
きのSCAlb(A)は0.193、SCAlb(B)
は0.005であり、SCAlb(B)/SCAlb
(A)は0.026と0.03を超えていなかった。S
Cβ2 MGも0.381、SCfitcDexは0.1
42と極めて低く、水系での性能が良好だったのに対
し、血液系膜孔径が小さい膜となった。これでは分子量
2〜4万ダルトンの疼痛、掻痒感原因物質の除去は望む
ことはできない。このように非溶媒の添加量が少ない場
合、内面の凝固が完了しないうちに凝固浴に入るため、
内面が活性緻密層とならず、蛋白を多く吸着する膜とな
り、水系性能に比べて血液性能が発現しない膜となる。
Claims (5)
- 【請求項1】5重量%のアルブミン水溶液を濾過したと
きの濾過開始から30分後のアルブミンの篩い係数(S
CAlb(A))と、血液を濾過したときの濾過開始か
ら30分後のアルブミンの篩い係数(SCAlb
(B))について、SCAlb(B)/SCAlb
(A)が、0.03≦SCAlb(B)/SCAlb
(A)≦0.4であり、かつSCAlb(A)≧0.
1、SCAlb(B)≦0.08であることを特徴とす
るポリスルホン系血液浄化膜。 - 【請求項2】血液浄化膜であって、37℃、pH7.2
に調整した5重量%の牛血清アルブミン水溶液で溶液流
量200ml/min、濾過流量15ml/minの膜
使用条件で該血液浄化膜1.5m2 を充填したモジュー
ルを用いて濾過したとき、濾過開始から30分後のアル
ブミンの篩い係数(SCAlb(A))と、蛋白濃度
6.5±0.5g/dlでヘマトクリット30±3%、
37℃に調整した牛血液を血液流量200ml/mi
n、濾過流量15ml/minで該血液浄化膜1.5m
2 を充填したモジュールで濾過したとき、濾過開始から
30分後のアルブミンの篩い係数(SCAlb(B))
について、SCAlb(B)/SCAlb(A)が、
0.03≦SCAlb(B)/SCAlb(A)≦0.
4であり、かつSCAlb(A)≧0.1、SCAlb
(B)≦0.08であることを特徴とするポリスルホン
系血液浄化膜。 - 【請求項3】SCAlb(B)/SCAlb(A)が、
0.03≦SCAlb(B)/SCAlb(A)≦0.
1である請求項1又は2記載のポリスルホン系血液浄化
膜。 - 【請求項4】β2 −ミクログロブリンの篩い係数が0.
8以上である請求項1乃至3記載のポリスルホン系血液
浄化膜。 - 【請求項5】分子量約2万のデキストランの篩い係数が
0.3以上である請求項1乃至4記載のポリスルホン系
血液浄化膜。
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