JP3424810B2 - 高性能血液浄化膜 - Google Patents

高性能血液浄化膜

Info

Publication number
JP3424810B2
JP3424810B2 JP32690398A JP32690398A JP3424810B2 JP 3424810 B2 JP3424810 B2 JP 3424810B2 JP 32690398 A JP32690398 A JP 32690398A JP 32690398 A JP32690398 A JP 32690398A JP 3424810 B2 JP3424810 B2 JP 3424810B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scalb
membrane
blood
albumin
blood purification
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP32690398A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000153134A (ja
Inventor
基樹 京
秀彦 櫻井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP32690398A priority Critical patent/JP3424810B2/ja
Publication of JP2000153134A publication Critical patent/JP2000153134A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3424810B2 publication Critical patent/JP3424810B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • External Artificial Organs (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な血液浄化膜に
関する。詳しくは腎不全などの治療に用いる膜であり、
より高分子量物質の除去が可能な分画特性の高い血液浄
化膜に関する。
【0002】
【従来の技術】腎不全に対する治療法として血液透析療
法が確立され、今では透析歴30年を超える患者もみら
れるようになってきた。日本国内でもここ数年は透析患
者が約8000人ずつ増え続けており、1997年の統
計では約17万人に達したと報告されている。
【0003】しかし、長期的に透析を実施する患者には
透析アミロイドーシス、疼痛、掻痒感をはじめとした合
併症が多く報告されている。合併症の原因の一つとし
て、透析では十分に除去できない物質が存在するという
考え方がある。そういった物質を除去するために透析膜
の孔径が拡大された高透水量の膜が開発され、製造され
るようになった。しかし、ただ単に孔径を拡大するだけ
では、分子量67,000のアルブミンをはじめとした
人体に有用な蛋白まで膜を透過してしまい、短期的には
血圧低下、長期的には栄養失調に陥ることにつながりか
ねない。そこで、アルブミンの漏出量を最低限に抑えつ
つ、シャープな孔径分布をもつ、分画特性の高い膜の開
発が試みられてきた。
【0004】すなわち、多くの***物質を除去しよう
とすると、孔径の拡大が必要であり、アルブミン漏出量
が大きくなった膜になってしまう。逆にアルブミン漏出
量を低減することに注力すると、***物質の除去が不
充分になる。1985年の下条博士による透析アミロイ
ドーシスの原因物質である分子量11,800のβ2
ミクログロブリンの同定により、分子量11,800ま
での***物質の除去性能は高くなるような膜の開発が
進められてきた。
【0005】しかし、最近になって分子量2〜4万ダル
トンの***物質の存在が示唆されてきた。こういった
物質の同定はまだされているとはいえないが、分画分子
量の高い膜を使うほど、透析患者の疼痛や掻痒感が改善
される報告が後をたたない。例えば、補体系の第二経路
におけるD因子は透析患者での血中濃度が正常人の10
〜20倍と報告されており、補体系の活性化により骨関
節痛を惹起する可能性が示唆されている。補体D因子の
分子量は約23,000であり、従来の透析膜では除去
量が不充分である可能性が高く、蛋白漏出型の分画分子
量の大きな膜で血液透析、あるいは血液透析濾過を行
い、補体D因子の血中濃度を低減させ、骨関節痛を軽減
させる取り組みがされている。
【0006】しかし、蛋白漏出型の分画分子量が高い膜
は、同時にアルブミン漏出量も多いため、膜の使用は制
限されてしまう。よって、分子量2〜4万ダルトンの物
質の除去を継続的に実施できる膜は存在しないのが現状
である。
【0007】我々はこういった要求を満たすために鋭意
研究を重ねた結果、血液と接触しないときはアルブミン
も透過する能力があるものの、血液透析膜が血液接触し
たときにアルブミン漏出量を低く抑えかつ、極限まで孔
径を拡大しているものの、膜の目詰まりが少ない血液透
析膜の実現が可能であることを見出した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は孔径は大きい
ものの、アルブミンの漏出量を最低限に抑えることがで
き、透析患者の合併症である疼痛、掻痒感を低減する高
性能の血液透析膜を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために下記の構成を有する。 5重量%のアルブミン水溶液を濾過したときの濾過
開始から30分後のアルブミンの篩い係数(SCAlb
(A))と、血液を濾過したときの濾過開始から30分
後のアルブミンの篩い係数(SCAlb(B))につい
て、SCAlb(B)/SCAlb(A)が、0.03
≦SCAlb(B)/SCAlb(A)≦0.4であ
り、かつSCAlb(A)≧0.1、SCAlb(B)
≦0.08であることを特徴とする高性能血液浄化膜。 血液浄化膜であって、37℃、pH7.2に調整し
た5重量%の牛血清アルブミン水溶液で溶液流量200
ml/min、濾過流量15ml/minの膜使用条件
で該血液浄化膜1.5m2 を充填したモジュールを用い
て濾過したとき、濾過開始から30分後のアルブミンの
篩い係数(SCAlb(A))と、蛋白濃度6.5±
0.5g/dlでヘマトクリット30±3%、37℃に
調整した牛血液を血液流量200ml/min、濾過流
量15ml/minで該血液浄化膜1.5m2 を充填し
たモジュールで濾過したとき、濾過開始から30分後の
アルブミンの篩い係数(SCAlb(B))について、
SCAlb(B)/SCAlb(A)が、0.03≦S
CAlb(B)/SCAlb(A)≦0.4であり、か
つSCAlb(A)≧0.1、SCAlb(B)≦0.
08であることを特徴とする高性能血液浄化膜。 SCAlb(B)/SCAlb(A)が、0.03
≦SCAlb(B)/SCAlb(A)≦0.1である
上記又は記載の高性能血液浄化膜。 β2 −ミクログロブリンの篩い係数が0.8以上で
ある上記乃至記載の高性能血液浄化膜。 分子量約2万のデキストランの篩い係数が0.3以
上である上記乃至記載の高性能血液浄化膜。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の血液透析膜は、pH7.
2に調整した5重量%の牛血清アルブミン水溶液で溶液
流量200ml/min、濾過流量15ml/minの
膜使用条件で該血液浄化膜1.5m2 を充填したモジュ
ールを用いて濾過したとき、濾過開始から30分後のア
ルブミンの篩い係数(SCAlb(A))と、蛋白濃度
6.5±0.5g/dlでヘマトクリット30±3%に
調整した牛血液を血液流量200ml/min、濾過流
量15ml/minで該血液浄化膜1.5m2 を充填し
たモジュールで濾過したとき、濾過開始から30分後の
アルブミンの篩い係数(SCAlb(B))について、
SCAlb(B)/SCAlb(A)が、0.03≦S
CAlb(B)/SCAlb(A)≦0.4であり、か
つSCAlb(A)≧0.1、SCAlb(B)≦0.
08であるとき、孔径は大きく***物質の除去能力が
高いにもかかわらず、アルブミンの漏出量を最低限に抑
えることができるものである。
【0011】測定条件として実際の血液透析に近い条件
を採用した。すなわち、流量200ml/min、濾過
流量(除水量)15ml/minである。しかし、篩い
係数を測定することが目的のため、透析液は流さない
で、濾過液をサンプリングして篩い係数を求めた。SC
Alb(A)、SCAlb(B)は以下の式で算出され
る。 SCAlb(A)=2×Cfil(A)/(Cin(A)+Cout(A)) 式(1) SCAlb(B)=2×Cfil(B)/(Cin(B)+Cout(B)) 式(2) ここでCfil(A)、Cfil(B)は濾過液のアル
ブミン濃度であり、Cin(A)、Cin(B)は膜へ
入ってくる液のアルブミン濃度、Cout(A)、Co
ut(B)は膜から出ていく液のアルブミン濃度であ
る。(A)は測定液にアルブミン水溶液を用いたときの
値であり、(B)は測定液に血液を用いたときの値であ
る。
【0012】こうして、SCAlb(A)とSCAlb
(B)を測定することによってはじめてSCAlb
(B)/SCAlb(A)が計算される。SCAlb
(B)/SCAlb(A)は、従来まで全く考慮に入れ
られなかった概念であり、この概念を用いて膜を説明す
ることにより、本発明の効果が明らかとなる。SCAl
b(B)/SCAlb(A)が0.03以上、0.4以
下を満たし、かつSCAlb(A)が0.1以上、SC
Alb(B)が0.08以下であるとき、孔径は大きく
***物質の除去能力が高いにもかかわらず、アルブミ
ンの漏出量を最低限に抑えることができる膜が得られ
る。
【0013】SCAlb(B)/SCAlb(A)が
0.03未満の場合は、血液と接触することにより極端
に性能が落ちる場合である。アルブミン溶液では、アル
ブミンが膜に吸着し、膜性能を低下させることもある
が、血液ではアルブミンだけでなく、他の蛋白も多く含
まれるだけでなく、赤血球などの細胞成分も含まれ、ア
ルブミン水溶液と血液のSCAlbに大きな乖離が生じ
ることがある。
【0014】この現象は疎水性材料を用いて膜を形成し
たときによくみられるだけでなく、膜の血液接触面が粗
くなっているときに多くみられる。これは血液接触面が
疎水性、あるいは粗になることで、分子量の高い蛋白
が、膜血液接触面に吸着、ときには膜内部にまで入り込
んで膜性能を低下させると考えられる。この場合、血液
と膜が接触することで、実質的な膜孔径が大きく低下
し、膜使用中も膜の目詰まり等によって膜性能が低下し
続けるため、好ましくない。また、濾過性能も低く、血
液透析濾過、血液濾過といった大量除水療法には全く対
応できない膜となり、好ましくない。
【0015】逆にSCAlb(B)/SCAlb(A)
が0.4を超えるときは2つの場合が考えられる。第一
に膜の孔径が小さい場合である。この場合、膜孔径が小
さいためにアルブミンをはじめとした蛋白の目詰まり、
内表面への吸着が非常に少ないため、牛血系と水系での
乖離は小さくなる。すなわちSCAlb(A)もSCA
lb(B)も非常に小さい状態である。透析アミロイド
ーシスの原因物質であるβ2 −ミクログロブリン(分子
量11,800)はもとより、補体D因子をはじめとし
た分子量2〜4万の未知の疼痛、掻痒感原因物質の除去
はまず不可能であり好ましくない。β2 −ミクログロブ
リンを十分に除去するためには、0.8以上のβ2 −ミ
クログロブリンふるい係数が少なくとも必要であるが、
この場合、0.8を超えることはまず不可能である。ま
た、補体D因子をはじめとした分子量2〜4万の物質の
除去を視野に入れるためには分子量2万のデキストラン
の篩い係数が0.3以上必要であるが、孔径が小さい
と、このレベルは達成できない。
【0016】第二に血液を処理したときに蛋白漏出量が
極端に多い場合である。すなわち、SCAlb(B)が
大きいために、SCAlb(B)/SCAlb(A)が
大きくなる状態である。この場合、***原因物質の除
去能力が非常に高い血液透析膜となるが、人体に有用な
蛋白であるアルブミンの漏出が多大であり、短期的には
血圧低下、長期的には栄養失調に陥ることにつながりか
ねないため好ましくない。
【0017】つぎにSCAlb(A)であるが、SCA
lb(A)が0.1未満であると、膜孔径が小さく分子
量2〜4万の疼痛、掻痒感原因物質の除去は極めて困難
であるため、好ましくなく、SCAlb(A)が0.1
以上であるが必要である。SCAlb(B)について
は、SCAlb(B)が0.08を超えると身体に有用
な蛋白が過剰に漏出し、患者が危険な状態になることが
あるため好ましくなく、SCAlb(B)が0.08以
下であることが必要である。
【0018】よって0.03≦SCAlb(B)/SC
Alb(A)≦0.4、かつSCAlb(A)≧0.
1、SCAlb(B)≦0.08を満たすときに、孔径
は大きく***物質の除去能力が高いにもかかわらず、
アルブミンの漏出量を最低限に抑えることができる膜が
得られる。そのため、SCAlb(B)/SCAlb
(A)の値は膜の特性を説明する上で非常に重要な因子
であるといえる。
【0019】0.03≦SCAlb(B)/SCAlb
(A)≦0.4を満たす膜は、適度な孔径を有している
と同時に血液との接触面が活性化されていることが必要
である。孔径に関して適度な大きさより、小さくても大
きくてもSCAlb(B)/SCAlb(A)は大きな
値となる。孔径が小さいと、蛋白の吸着、目詰まりが少
なくなるためSCAlb(B)とSCAlb(A)の値
の差が小さくなり、SCAlb(B)/SCAlb
(A)が大きくなる。逆に孔径が大きすぎてもSCAl
b(B)/SCAlb(A)の分子であるSCAlb
(B)の値が大きくなるため、SCAlb(B)/SC
Alb(A)は大きな値となる。よってSCAlb
(B)/SCAlb(A)が極小となる領域の孔径が最
も好ましく、具体的には0.4以下であることが必要で
ある。しかし、血液との接触面が活性化されていない
と、血液と接触することにより極端に性能が落ち、具体
的にはSCAlb(B)/SCAlb(A)が0.03
を下回る。血液に触れることで実質的な膜孔径が大きく
低下し、膜使用中も膜の目詰まり等によって膜性能が低
下し続ける。濾過性能も低く、血液透析濾過、血液濾過
といった大量除水療法には全く対応できない膜となる。
【0020】今まで述べてきたことより、SCAlb
(B)/SCAlb(A)が0.03以上、0.4以下
を満たしかつSCAlb(A)≧0.1、SCAlb
(B)≦0.08のときにはじめて、適度な孔径を有
し、膜の血液接触面が活性化された、濾過性能に優れた
膜が得られる。SCAlb(B)/SCAlb(A)が
0.03以上、0.1以下の場合は、更に好ましい。
【0021】膜の形態は特に限定されるものではなく、
中空糸型、平膜、その他の形式で、本発明を適応しても
好ましい膜が得られるが、以下に述べていく乾湿式紡糸
法による中空糸膜の製膜が血液接触面を活性化する方法
としては最も好ましい。膜の素材となるポリマーも特に
限定されるものでなく、再生セルロース系、酢酸セルロ
ース系、ポリスルホン系、ポリアクリロニトリル系、ポ
リアミド系、PMMA、エバールなどの膜素材で本発明
が適応でき、好ましい膜が得られるがポリエーテルスル
ホンで膜孔径の制御が容易であり、最も好ましい。SC
Alb(B)/SCAlb(A)が0.03以上、0.
4以下かつSCAlb(A)≧0.1、SCAlb
(B)≦0.08を実現するためには、前述の通り孔径
をコントロールし、膜の血液接触面が活性化させること
が必要である。孔径のコントロールする方法は既知の手
段を応用することで可能である。すなわち、製膜法にお
いて膜素材となるポリマーと溶媒、内液組成、凝固浴な
どを制御することで可能である。
【0022】こうした膜孔径制御手段に加え、膜の血液
接触面を活性化させる手段として、凝固浴で凝固させる
前に、膜の血液接触面を凝固させて、緻密層にしておく
ことが必要である。
【0023】膜の血液接触面を緻密層にしてSCAlb
(B)/SCAlb(A)が0.03以上、0.4以下
かつSCAlb(A)≧0.1、SCAlb(B)≦
0.08を実現するためには、凝固能力を向上させた紡
糸原液を用いて、製膜することが効果的であることを我
々は発見した。すなわち、紡糸原液吐出とともに、凝固
が速やかに起こり、凝固浴に達する前に膜が形成され
る。
【0024】具体的には、紡糸原液にポリマーと溶媒、
非溶媒、親水化剤の4成分を用い、非溶媒の量を増やす
ことでエアーギャップ部での凝固を促進することができ
る。さらに紡糸方法として乾湿式紡糸法を採用し、紡糸
口金から吐出されてから、凝固浴に浸かるまでの間であ
るエアギャップ部の滞留時間を0.3秒以上2.4秒以
内にすることで、エアーギャップ部での凝固を完了さ
せ、かつ安定した製造が可能となる。
【0025】溶媒に対する非溶媒の量は3:7から7:
3(非溶媒:溶媒)が好ましい。非溶媒:溶媒の比率が
3:7より小さい場合、すなわち、非溶媒の量が少ない
場合、凝固能力が低く、凝固浴に達する前に凝固を完了
することができない。これでは血液接触面を活性緻密層
にすることはできない。非溶媒:溶媒の比率が7:3よ
り大きい場合、すなわち、非溶媒の量が非常に多い場
合、紡糸原液が溶解せず、均一な凝固状態を得ることが
できず、好ましくない。非溶媒:溶媒の比率が4:6か
ら5:5のとき、もっとも良好な性能を得ることができ
るが、紡糸原液中のポリマー濃度や親水化剤の量によっ
て、最適な非溶媒比率は異なってくる。非溶媒は、溶媒
と任意の割合で混合するがポリマーを溶解する能力はも
たないものをいう。本発明では水、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、1,3―ブチレングリコール、
へキシレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテルなどが好ましい。
【0026】紡糸口金から吐出されてから、凝固浴に浸
かるまでの間であるエアギャップ部の滞留時間は0.3
秒以上2.4秒以内が好ましい。0.3秒未満の場合、
凝固能力を促進した紡糸原液を用いても、凝固浴に達す
る前に凝固を完了することはできないので好ましくな
い。2.4秒以上の場合、エアーギャップでの時間が長
すぎるため、安定して製造ができなくなるので好ましく
ない。よって、エアギャップ部の滞留時間は0.3秒以
上2.4秒以内が好ましい。さらに0.6秒以上1.2
秒以内が最も好ましい。
【0027】また、本発明を用いた場合、紡糸原液中の
親水化剤の量を減少させることができる。具体的には親
水化剤が紡糸原液中の1から5重量%の量で十分であ
る。これは血液接触面が活性化しているため、親水化剤
の量が少なくても、血液性能を発現できるからである。
【0028】こうして得られた血液透析膜は0.03≦
SCAlb(B)/SCAlb(A)≦0.4かつSC
Alb(A)≧0.1、SCAlb(B)≦0.08を
満たし、***物質の除去能力が高いものの、アルブミ
ンの漏出量は最低限に抑えることができる。以下に実施
例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はなんら限定
されるものではない。
【0029】
【実施例】〔実施例1〕ポリエーテルスルホン(PE
S)が23.0重量%、非溶媒としてトリエチレングリ
コール(TEG)を30.4重量%、溶媒にN―メチル
ピロリドン(NMP)45.6%(非溶媒:溶媒=4:
6)、親水化剤にポリビニルピロリドンK−90(K9
0)を1.0重量%、内液濃度(NMP+水)が60%
として、紡糸原液を40℃に保った二重紡糸口金の外側
から、内液を二重紡糸口金の内側から吐出し、エアギャ
ップ走行時間0.6秒に調節して膜厚38μmの中空糸
膜を得た。こうして得られた中空糸膜の純水の透過性能
を示す限外濾過係数は561ml/hr/m2 /mmH
gであった。
【0030】SCAlb(A)を測定するために、人体
のアルブミン濃度に近い5重量%のアルブミン水溶液を
準備して用いた。アルブミンにはナカライテスク社製牛
血清アルブミン(F−V)を用い、リン酸緩衝液に所定
量の牛血清アルブミンを溶解し、水酸化ナトリウム水溶
液でpHを7.2に調整した。こうして得られた水溶液
を37℃に保ち、溶液流量200ml/min、濾過流
量15ml/minの膜使用条件で該血液浄化膜を用い
て濾過し、モジュールの入口部での液、モジュールの出
口部での液、濾過液を7ml採取した。採取した液には
アルブミン以外の蛋白を含まないため、紫外線光(波長
280nm)の吸光度を測定することで定量した。入口
部と出口部の採取液は、リン酸緩衝液を用い、50倍に
希釈して吸光度を測定し、希釈倍率である50を吸光度
にかけて正しい濃度を得られるようにした。濾過液はS
CAlb(A)の値で大きく変わるが、そのまま吸光度
を測定して、0.800を超えない場合はそのまま測定
し、0.800を超える場合は2〜50倍の倍率で希釈
し、吸光度が0.100以上0.800以下になるよう
にして吸光度を得て、希釈した倍率と吸光度の積を求め
ることで正しい濃度を得られるようにした。この場合は
50倍で希釈して吸光度を求めた。こうして測定された
SCAlb(A)は0.522だった。
【0031】SCAlb(B)は蛋白濃度6.5±0.
5g/dlでヘマトクリット30±3%に調整した血液
を用いて測定した。血液には牛血液を採取し、牛血漿あ
るいは生理食塩水を加えて、蛋白濃度6.5±0.5g
/dlでかつ、ヘマトクリット30±3%に調整した。
蛋白濃度、ヘマトクリット共に正常なヒトの値よりはや
や低めであるが、透析患者としては平均的な値であり、
この場合、蛋白濃度6.6g/dl、ヘマトクリット3
1%のウシ血液を用いた。こうして得られたウシ血液を
37℃に保ち、血液流量200ml/min、濾過流量
15ml/minの膜使用条件で該血液浄化膜を用いて
濾過し、モジュールの入口部での血液、モジュールの出
口部での血液、及び濾過液を7ml採取した。採取した
血液はすぐに6,000rpmにて遠心分離し、その上
澄みである血漿を得た。血漿や濾過液のアルブミン濃度
(Cfil(B))には、アルブミンだけでなく、他の
蛋白も含まれているため、アルブミンの濃度は、和光純
薬製アルブミンテストワコー(BCG法)にて定量し
た。入口血漿と出口血漿は20μl採取してキットの試
薬を用いて定量したが、濾過液のアルブミン濃度は通常
の血液透析膜では薄くなるため、濾過液を200μl採
取して定量した。採取するサンプル量によって、検量線
を作成し、吸光度をアルブミン濃度に換算するのはいう
までもない。こうして測定したSCAlb(B)は0.
019であった。これより、SCAlb(B)/SCA
lb(A)は0.036となり、0.03以上、0.4
以下を満たしていた。
【0032】SCβ2 MGを求める方法は、SCAlb
(B)を求める際に、測定する牛血へあらかじめ、シグ
マ社製ヒト尿由来β2 −ミクログロブリン(β2 MG)
を0.1mg/lの濃度で加えておき、膜を血液濾過し
たときに得られた入口部血漿と出口部血漿、濾過液を5
倍に希釈し、β2 MG濃度をグラザイムβ2 −マイクロ
グロブリンEIAテスト(和光純薬製)を用いて定量
し、SCβ2 MGを式(3)にて計算した。 SCβ2 MG=2×Cfil(β2 MG)/(Cin(β2 MG)+Cout( β2 MG)) 式(3)
【0033】ここでいうCfil(β2 MG)は濾過液
のβ2 MG濃度、Cin(β2 MG)は入口部血漿のβ
2 MG濃度、Cout(β2 MG)は出口部血漿のβ2
MG濃度である。こうして求めたSCβ2 MGは0.9
50であり、β2 MGを十分に除去するために必要な
0.8以上のSCβ2 MGが実現されていた。分子量2
万のデキストランの篩い係数もSCAlb(B)を求め
る際に、シグマ社製FITCデキストラン分子量約1
9,600を牛血へ25mg/lの濃度で加えておき、
血液濾過ときに得られた入口部血漿、出口部血漿、濾過
液を100μl試験管に採り、ヘパリン化生理食塩水
(ヘパリン3単位/ml)を5ml加えて約50倍に希
釈し、濾過液には血漿100μlを加え、蛋白濃度を調
整し、ブランクには血漿100μlにヘパリン化生理食
塩水5ml加えたものを使って蛍光分光計で定量し、S
CfitcDex20,000を求めた。 SCfitcDex20,000=2×Cfil(fitcDex)/(Cin (fitcDex)+Cout(fitcDex)) 式(4)
【0034】ここでいうCfil(fitcDex)は
濾過液のfitcDex20,000濃度、Cin(f
itcDex)は入口部血漿のfitcDex20,0
00濃度、Cout(fitcDex)は出口部血漿の
fitcDex20,000濃度である。こうして求め
たSCfitcDex20,000は0.342と0.
3を超えており、補体D因子をはじめとした分子量2〜
4万の疼痛、掻痒感原因物質の除去を視野に入れた治療
が可能である。
【0035】〔実施例2〕ポリエーテルスルホン(PE
S)が19.0重量%、非溶媒としてトリエチレングリ
コール(TEG)を38.0重量%、溶媒にN―メチル
ピロリドン(NMP)38.0%(非溶媒:溶媒=5:
5)、親水化剤にポリビニルピロリドンK−90(K9
0)を5.0重量%、内液濃度(NMP+水)が60%
として、紡糸原液を52℃に保った二重紡糸口金の外側
から、内液を二重紡糸口金の内側から吐出し、エアギャ
ップ走行時間1.0秒に調節して膜厚30μmの中空糸
膜を得た。こうして得られた中空糸膜の純水の透過性能
を示す限外濾過係数は255ml/hr/m2 /mmH
gであった。
【0036】実施例1で示した方法を適応してSCAl
b(A)、SCAlb(B)を測定したところ、SCA
lb(A)は0.218、SCAlb(B)は0.01
5であり、SCAlb(B)/SCAlb(A)は0.
069となり、0.03以上、0.4以下を満たしてい
た。SCAlb(B)と同時に測定したSCβ2 MGは
0.891と非常に良好であり、SCfitcDexは
0.376と0.3を超えていた。
【0037】〔比較例1〕ポリエーテルスルホン(PE
S)が23.0重量%、非溶媒は添加せず、溶媒にN―
メチルピロリドン(NMP)74.0%(非溶媒:溶媒
=0:10)、親水化剤にポリビニルピロリドンK−9
0(K90)を3.0重量%、内液濃度(NMP+水)
が50%として、紡糸原液を二重紡糸口金の外側から、
内液を40℃に保った二重紡糸口金の内側から吐出し、
エアギャップ走行時間1.2秒に調節して膜厚31μm
の中空糸膜を得た。こうして得られた中空糸膜の純水の
限外濾過係数は100ml/hr/m2 /mmHgだっ
た。SCAlb(A)は0.832、SCAlb(B)
は0.523であり、SCAlb(B)/SCAlb
(A)は0.629と0.4未満を満たしていなかっ
た。このときのSCβ2 MGは0.902、SCfit
cDexは0.633と高かったが、SCAlb(B)
が0.523と高く、この膜では患者からのアルブミン
漏出量が極めて多く、患者を危険な状態にさらすことに
なる。これは紡糸原液に非溶媒が添加されておらず、凝
固能力が低く、エアギャップ走行時間1.2秒を設定し
ても、膜構造が決定する前に凝固浴に入るため、膜内表
面に活性層が形成されておらず、内面が粗になり蛋白漏
出量が増大したためである。
【0038】〔比較例2〕ポリエーテルスルホン(PE
S)が18.0重量%、非溶媒にトリエチレングリコー
ル(TEG)を7.7重量%、溶媒にN―メチルピロリ
ドン(NMP)69.3%(非溶媒:溶媒=1:9)、
親水化剤にポリビニルピロリドンK−90(K90)を
5.0重量%、内液濃度(NMP+水)が60%とし
て、紡糸原液を39℃に保った二重紡糸口金の外側か
ら、内液を二重紡糸口金の内側から吐出し、エアギャッ
プ走行時間0.6秒に調節して膜厚30μmの中空糸膜
を得た。こうして得られた中空糸膜の純水の限外濾過係
数は181ml/hr/m2 /mmHgだった。このと
きのSCAlb(A)は0.193、SCAlb(B)
は0.005であり、SCAlb(B)/SCAlb
(A)は0.026と0.03を超えていなかった。S
Cβ2 MGも0.381、SCfitcDexは0.1
42と極めて低く、水系での性能が良好だったのに対
し、血液系膜孔径が小さい膜となった。これでは分子量
2〜4万ダルトンの疼痛、掻痒感原因物質の除去は望む
ことはできない。このように非溶媒の添加量が少ない場
合、内面の凝固が完了しないうちに凝固浴に入るため、
内面が活性緻密層とならず、蛋白を多く吸着する膜とな
り、水系性能に比べて血液性能が発現しない膜となる。
【0039】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 61/14 500 B01D 69/08 B01D 71/68

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】5重量%のアルブミン水溶液を濾過したと
    きの濾過開始から30分後のアルブミンの篩い係数(S
    CAlb(A))と、血液を濾過したときの濾過開始か
    ら30分後のアルブミンの篩い係数(SCAlb
    (B))について、SCAlb(B)/SCAlb
    (A)が、0.03≦SCAlb(B)/SCAlb
    (A)≦0.4であり、かつSCAlb(A)≧0.
    1、SCAlb(B)≦0.08であることを特徴とす
    ポリスルホン系血液浄化膜。
  2. 【請求項2】血液浄化膜であって、37℃、pH7.2
    に調整した5重量%の牛血清アルブミン水溶液で溶液流
    量200ml/min、濾過流量15ml/minの膜
    使用条件で該血液浄化膜1.5m2 を充填したモジュー
    ルを用いて濾過したとき、濾過開始から30分後のアル
    ブミンの篩い係数(SCAlb(A))と、蛋白濃度
    6.5±0.5g/dlでヘマトクリット30±3%、
    37℃に調整した牛血液を血液流量200ml/mi
    n、濾過流量15ml/minで該血液浄化膜1.5m
    2 を充填したモジュールで濾過したとき、濾過開始から
    30分後のアルブミンの篩い係数(SCAlb(B))
    について、SCAlb(B)/SCAlb(A)が、
    0.03≦SCAlb(B)/SCAlb(A)≦0.
    4であり、かつSCAlb(A)≧0.1、SCAlb
    (B)≦0.08であることを特徴とするポリスルホン
    血液浄化膜。
  3. 【請求項3】SCAlb(B)/SCAlb(A)が、
    0.03≦SCAlb(B)/SCAlb(A)≦0.
    1である請求項1又は2記載のポリスルホン系血液浄化
    膜。
  4. 【請求項4】β2 −ミクログロブリンの篩い係数が0.
    8以上である請求項1乃至3記載のポリスルホン系血液
    浄化膜。
  5. 【請求項5】分子量約2万のデキストランの篩い係数が
    0.3以上である請求項1乃至4記載のポリスルホン系
    血液浄化膜。
JP32690398A 1998-11-17 1998-11-17 高性能血液浄化膜 Expired - Fee Related JP3424810B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32690398A JP3424810B2 (ja) 1998-11-17 1998-11-17 高性能血液浄化膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32690398A JP3424810B2 (ja) 1998-11-17 1998-11-17 高性能血液浄化膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000153134A JP2000153134A (ja) 2000-06-06
JP3424810B2 true JP3424810B2 (ja) 2003-07-07

Family

ID=18193045

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32690398A Expired - Fee Related JP3424810B2 (ja) 1998-11-17 1998-11-17 高性能血液浄化膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3424810B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2003281177A1 (en) 2002-07-12 2004-02-02 Kuraray Co., Ltd. Porous membrane
JP4103037B2 (ja) * 2002-10-03 2008-06-18 東洋紡績株式会社 透析液清浄化用中空糸膜およびその製造方法
US20090078641A1 (en) 2006-03-09 2009-03-26 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Hollow fiber membrane with excellent performance stability and blood purifier and method for producing hollow fiber membrane
JP2008246402A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Toyobo Co Ltd 中空糸型血液浄化膜およびその製造方法
PL3427814T3 (pl) * 2014-02-06 2023-01-02 Gambro Lundia Ab Hemodializator do oczyszczania krwi

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000153134A (ja) 2000-06-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3474205B2 (ja) ポリスルホン系中空糸型血液浄化膜とその製造方法
CN100457242C (zh) 改良的除去中分子的透析膜
JP4211168B2 (ja) 透析器の製造方法および滅菌法
EP1572330B1 (en) Perm selective asymmetric hollow fibre membrane for the separation of toxic mediators from blood
US6042783A (en) Hollow yarn membrane used for blood purification and blood purifier
JP4061798B2 (ja) 血液処理用半透膜およびそれを用いた血液処理用透析器
JP4725524B2 (ja) セルロースアセテート系非対称中空糸膜
AU672856B2 (en) High flux hollow fiber membrane
JP3424810B2 (ja) 高性能血液浄化膜
JP3934340B2 (ja) 血液浄化器
JP3253861B2 (ja) 選択透過性中空糸膜
JP4103037B2 (ja) 透析液清浄化用中空糸膜およびその製造方法
JPH09308685A (ja) 血液浄化用中空糸膜及び血液浄化器
JP3295321B2 (ja) 選択透過性中空糸膜
JP4190361B2 (ja) 中空糸型の体液処理器、これに用いる中空糸束およびそれらの製造方法
JPH10263375A (ja) 選択透過性中空糸膜
JP2007054470A (ja) 血液浄化用中空糸膜およびその製造方法
JP2003033632A (ja) 血液浄化膜の製造方法
JPH09308684A (ja) 選択分離膜
JP3253885B2 (ja) 選択透過性中空糸膜
JP4003982B2 (ja) ポリスルホン系選択透過性分離膜
JP2000300973A (ja) 血液浄化用中空糸膜
JP3345260B2 (ja) 選択透過性中空糸膜
JP4381022B2 (ja) 中空糸型血液浄化膜
JP2005021510A (ja) 高透水性中空糸型血液浄化器

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080502

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090502

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090502

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100502

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100502

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110502

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110502

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130502

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130502

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees