JP3422991B2 - 荷電粒子描画装置 - Google Patents

荷電粒子描画装置

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JP3422991B2
JP3422991B2 JP2001158796A JP2001158796A JP3422991B2 JP 3422991 B2 JP3422991 B2 JP 3422991B2 JP 2001158796 A JP2001158796 A JP 2001158796A JP 2001158796 A JP2001158796 A JP 2001158796A JP 3422991 B2 JP3422991 B2 JP 3422991B2
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heat conduction
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子描画装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、DRAMなどの半導体装置の高集
積化の要求はいよいよ高まっており、これらの半導体装
置の製造に使用するフォトマスクに描画されるパターン
の微細化、高精度化が急速に進んでいる。このような微
細パターンを高精度に描画する装置として、電子ビーム
などを利用した荷電粒子描画装置が広く用いられている
が、要求される微細化、高精度化を達成するためにいろ
いろな技術的な試みがなされて来ている。
【0003】特に、描画対象となるフォトマスクの温度
管理、描画装置の試料室の温度管理、フォトマスクなど
の試料を搭載する試料ステージの温度管理などが近年非
常に重要視されてきている。
【0004】図14は従来の荷電粒子描画装置の構成を
示した図である。試料室2には電子光学鏡筒1が設置さ
れており、真空化された試料室2の内部にフォトマスク
などの試料を搭載する試料ステージが設置されている。
【0005】試料ステージはステージの位置測定に使用
されるレーザミラー5、試料7を保持する試料保持手段
6などが設置された試料台3と、その試料台3を支持す
る試料台支持手段8をもつ第1のステージ9、第1のステ
ージ9を所定方向にガイドする第1のステージ9の案内
装置10、この案内装置10と接続され第1のステージ
9とは直角方向に移動する第2のステージ11とこれを
ガイドする第2のステージ11の案内装置12及びこれ
ら第1のステージ1、第2のステージを保持するベース
13から構成され、試料室2の内部にステージ支持手段
14により固定されている。
【0006】この試料ステージの位置はレーザミラー5
と試料室2に取り付けられた干渉計4により測定され
る。この試料ステージはステージ制御装置32により制
御された駆動装置16により連結装置15を介して第1
のステージ9を移動させ、図示していない駆動装置によ
り第2のステージを移動させて、試料7の全体にパター
ンを描画できるようにしている。
【0007】このような荷電粒子描画装置では試料室2
の置かれている環境の温度変動により、試料室2が変形
すると試料ステージの位置測定の誤差が生じて、描画す
るパターンの位置精度が悪化するため、試料室2の壁面
に恒温水配管20を埋め込み、試料室恒温水制御装置2
1により一定温度に保たれた恒温水を試料室の壁面内に
循環させて試料室2の温度変化を極力小さくするように
している。
【0008】このような方法により試料室2の温度変化
は抑えることはできるが、この試料室2の内部は真空状
態のため、内部に設置された試料ステージの温度までは
制御することは不可能である。さらに、試料ステージ
は、第1のステージ9、第2のステージ11が移動する
ため、第1のステージ9の案内装置10、第2のステー
ジ11の案内装置12などの摩擦熱による発熱が避けら
れず、描画動作など頻繁なステージ動作を行っているう
ちに、第1のステージ9、第2のステージ11の温度が
上昇し、その上に設置されている試料台3まで、熱が伝
導し試料台3の温度も上昇してしまう。これによる試料
台3の熱膨張のため設置されているレーザミラー5の取
り付け位置が変化してステージの位置測定精度が悪化し
たり、試料台3に搭載された試料7自体が試料台3の輻
射熱により温度上昇してしまい、試料7の熱膨張が生じ
て描画するパターンの位置精度が悪化してしまう。
【0009】このため、従来より試料室2内の試料ステ
ージのベース13に温度を一定に保たれた恒温水を循環
させて、ステージの温度上昇を防ぐ試みが行われたが、
ステージ構造物に用いられる材料の熱伝導係数が小さい
ためにベース部分の温度安定化はある程度できても移動
部分を含めた試料ステージ全体の温度を安定化させるこ
とは困難であった。また、さらに試料ステージのベース
13から可とう性の恒温水配管やヒートパイプなどを上
部の可動部分に接続し、ステージ全体の温度制御を行う
ことも考えられたが、可とう性のパイプの耐久性、変形
力などの問題から実用には至っていないものがほとんど
である。また、冷却水が接続できたとしても、ステージ
全体の熱容量が大きいために恒温水の流量、熱伝達面積
が十分でない場合には温度制御は困難である。これとは
別に、可動部分など上部機構にペリチェ素子など発熱冷
却機能を持つ素子を接続することにより温度制御するこ
とも考えられてはいるが、ペリチェ素子を駆動するには
大電流が必要で、これによる磁場変動の影響が電子ビー
ムなどに大きく影響すること、吸熱した熱の排出にやは
り冷却水などの使用が必要なことなどからやはり実用化
は難しいのが現状である。
【0010】さらに、非常に高い位置精度を要求される
場合には試料台3に搬入された試料7の温度も問題とな
る。搬入された試料7の温度と、対向する位置にある試
料台3の温度に差がある場合には輻射により熱の交換が
行われ搬入時から描画時まで次第に試料7の温度が変化
してしまい、パターン位置誤差の要因となる。この対策
として、ステージに搬入する前に試料7の温度を試料台
3の温度にできるだけ等しくなるように温度安定化する
ことが行われているが、試料台3の温度を正確に測定す
ること、試料7を別な場所で温度安定化する際の温度セ
ンサとの誤差などの問題もあり容易ではなかった。また
試料台3に搬入された状態では試料7の温度を正確に測
定することは困難であったため、試料7と試料台3の温
度差を十分な程度にしてから描画するといったことも不
可能であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】今後荷電粒子描画装置
に要求される高精度化に対応するためには、試料ステー
ジ、特に試料を搭載する試料台の温度制御を精密に行う
必要がある。従来、試料ステージが真空内に設置されて
いるため、温度を一定に保った恒温水による温度安定化
によるしかなかったが、ステージの熱伝導率が小さいた
め、十分な温度制御ができず、さらに可動ステージ部分
に恒温水を循環させるのが困難であった。このため、最
も精密な温度管理が必要な試料台の温度を精度良く制御
ことができなかった。
【0012】さらに試料を搭載する試料台の温度と描画
する試料の温度差も正確に測ることができず、試料と試
料台の温度差が所定の範囲になってから描画するといっ
たことが不可能であった。
【0013】本発明では高い描画位置精度を実現するた
めに、試料室内の試料ステージの試料台部分の温度を高
精度に制御可能で、さらに試料と試料台の温度差を測定
してその差をより早く必要範囲内としてから描画するこ
とが可能である荷電粒子描画装置及びこれを用いた描画
方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、試料を導入する試料室と、前記試料室内
に設けられ、前記荷電粒子が前記試料面上に照射される
ように前記試料を保持可能とされた試料台と、前記試料
台上に設けられた発熱手段と、前記試料の温度を検出す
る温度測定手段と、前記試料台を搭載し、少なくとも1
方向に前記試料台を移動可能とするステージと、前記ス
テージを保持するベースと、前記ベースに設けられた冷
却手段と、前記温度測定手段の出力に基づき前記発熱手
段を制御する温度制御装置とを具備し、前記発熱手段に
よる発熱は前記荷電粒子が前記試料に照射されている間
停止されることを特徴とする荷電粒子描画装置を提供す
る。
【0015】このとき、前記発熱手段は電熱装置であ
り、通電電流を前記温度制御装置により制御することで
発熱が制御されることが好ましい。
【0016】また、前記発熱手段は、前記試料台上の熱
伝導板に設けられ、前記温度測定手段が前記熱伝導板に
設けられていることが好ましい。
【0017】また、前記発熱手段及び前記温度測定手段
は、前記荷電粒子が前記試料に照射されている間接地さ
れることが好ましい。
【0018】また、前記ステージに設けられた発熱手段
及び温度測定手段とを具備することが好ましい。
【0019】また、前記試料室の温度及び前記試料台の
温度が所定の温度に略一致するようにし、前記試料を前
記試料台に導入し、前記温度測定手段により試料の温度
を測定し、前記温度が前記所定の温度から、予め定めら
れた温度範囲を越えて外れていた場合には、前記発熱手
段を発熱させるか或いは放置することにより前記温度範
囲に収まるまで待機し、前記温度測定手段の温度が前記
温度範囲に収まった場合には描画動作を開始し、所定描
画領域を描画した後に前記温度測定手段の温度を測定
し、前記温度が前記所定の温度から、予め定められた温
度範囲を越えて外れていた場合には、前記発熱手段を発
熱させるか或いは放置することにより前記温度範囲に収
まるまで待機し、前記温度測定手段の温度が前記温度範
囲に収まった場合には次の描画領域の描画に移ることが
好ましい。
【0020】また、前記試料を描画する前に、前記試料
室の温度と前記試料の温度を略一致させるようにし、前
記ベースの温度を前記試料台の温度よりも低く維持する
ようにすることが好ましい。
【0021】前記試料を描画する前に、前記試料室の温
度と前記試料台の温度を略一致させるようにし、前記ス
テージの温度を前記試料台の温度よりも低くし、前記ベ
ースの温度を前記ステージの温度よりも低くすることが
好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照しつつ説明する。
【0023】(第1の実施形態)図1は本発明の第1の
実施形態にかかる荷電粒子描画装置を示す構成図であ
る。
【0024】図1を用いて本発明の荷電粒子描画装置の
構成について説明する。
【0025】試料室2には電子光学鏡筒1が設置されて
おり、真空化された試料室2の内部にフォトマスクなど
の試料を搭載する試料ステージが設置されている。この
電子光学鏡筒1は描画制御装置31により制御され荷電
粒子の照射を制御し、同時にステージ制御装置32によ
り試料ステージを移動させて試料7の全面にパターンを
描画する。この処理は図示されていない構成要素ととも
に全体制御装置30により制御される。
【0026】試料ステージはステージの位置測定に使用
されるレーザミラー5、試料7を保持する試料保持手段
6などが設置された試料台3と、その試料台3を支持す
る試料台支持手段8をもつ第1のステージ9、第1のス
テージ9を所定方向にガイドする第1のステージ9の案
内装置10、この第1のステージの案内装置10と接続
され第1のステージ9とは直角方向に移動する第2のス
テージ11とこれをガイドする第2のステージ11の案
内装置12及びこれら第1のステージ9、第2のステー
ジ11を保持するベース13から構成され、試料室2の
内部にステージ支持手段14により固定されている。
【0027】なお、本実施形態では、試料ステージを互
いに直交する方向に移動する第1のステージ9と第2の
ステージ11の積層型ステージとしているが、第1のス
テージ9がベース13の平面上で2方向に移動可能な単
一ステージ構成でも本発明の効果に影響を与えないこと
をあらかじめ明記しておく。
【0028】さて、この試料ステージの位置はレーザミ
ラー5と試料室2に取り付けられた干渉計4により測定
される。この試料ステージはステージ制御装置32によ
り制御された駆動装置16により連結装置15を介して
第1のステージ9を移動させ、図示していない駆動装置
により第2のステージ11を移動させて、試料7の全体
にパターンを描画できるようにしている。
【0029】このような荷電粒子描画装置では試料室2
の置かれている環境の温度変動により、試料室2が変形
すると試料ステージの位置測定の誤差が生じて、描画す
るパターンの位置精度が悪化するため、試料室2の壁面
に恒温水配管20を埋め込み、試料室恒温水制御装置2
1により一定温度に保たれた恒温水を試料室の壁面内に
循環させて試料室2の温度変化を極力小さくするように
している。
【0030】このような方法により試料室2の温度変化
は抑えることはできる。しかしながらこの試料室2の内
部は真空状態のため、試料室2に設けられた恒温水配管
20では、内部に設置された試料ステージの温度までは
制御することは不可能である。さらに、試料ステージ
は、第1のステージ9、第2のステージ11が移動する
ため、第1のステージ9の案内装置10、第2のステー
ジ11の案内装置12などの摩擦熱による発熱が避けら
れず、描画動作など頻繁なステージ動作を行っているう
ちに、第1のステージ9、第2のステージ11の温度が
上昇し、その上に設置されている試料台3まで、熱が伝
導し試料台3の温度も上昇してしまう。これによる試料
台3の熱膨張のため設置されているレーザミラー5の取
り付け位置が変化してステージの位置測定精度が悪化し
たり、試料台3に搭載された試料7自体が試料台3の輻
射熱により温度上昇してしまい、試料7の熱膨張が生じ
て描画するパターンの位置精度が悪化してしまう。
【0031】そこで、本発明では試料台3の試料7に対
向する位置に、ステージ温度制御装置41によって制御
され発熱可能な熱伝導板40を接続する。また、試料ス
テージのベース13の下面にステージ恒温水制御装置2
4により供給される恒温水により吸熱を行うことが可能
な冷却板22を接続する。
【0032】熱伝導板40の温度はステージ温度制御装
置41によって任意の温度に設定可能であるが、この熱
伝導板40自体に吸熱機能がないため、熱伝導板40が
接続されている試料台3などの周辺部の温度が熱伝導板
40の温度より高い場合には熱伝導板40の温度を任意
の温度に制御することは不可能である。そこで冷却板2
2をベース13に接続することにより、試料ステージ全
体の熱を順次この冷却板22により吸収し、試料台3の
温度を常に熱伝導板40の温度より十分低く保って置け
ば、ある程度熱伝導板40の温度を任意温度に制御する
ことが可能となる。
【0033】なお、本実施形態ではステージのベース1
3を冷却する装置として、恒温水を循環させる冷却板2
2をベース13に接続する構成としたが、これはベース
13の冷却装置としてベース13と分離可能な冷却板を
用いた場合、直接ベース13に恒温水を接続する方法に
比べて、試料ステージ全体をメンテナンスなどのために
試料室2から取り出す場合等に恒温水配管を取り外すこ
となく冷却板22をベース13から取り外すだけで良い
ので、配管の気密を維持しやすいこと、試料ステージの
取付け取り外しが容易であることによる。
【0034】ベース13を冷却する装置としてはこの他
に、ベース13の構造体自体に恒温水を循環させる配管
を内蔵し直接ベース13全体を冷却する方法も有効であ
る。また、恒温水などを用いずに、ヒートパイプなどで
ベース13或いは冷却板22とステージ温度制御装置4
1を接続する方法も有効である。
【0035】次に図2を用いて熱伝導板40の構成とそ
の作用について説明する。
【0036】図2は本発明の第1の実施形態にかかる荷
電粒子描画装置の試料台3を示す斜視図である。
【0037】試料台3には試料支持手段6が複数個設置
されており、試料7を試料台3から離した状態で支持す
るようになっている。この試料7に対向する位置に試料
7の投影面積と同等或いは大きな面積を持つ熱伝導板4
0を設置し、試料台3に固定する。この状態で熱伝導板
40に内蔵された白金測温抵抗体などの温度測定器50
とステージ温度制御装置41に含まれる白金温度計など
の温度読込装置53により熱伝導板40の温度を測定
し、所定の温度となるように電流増幅器などの加熱制御
装置52を用いて熱伝導板40に内蔵された発熱電線5
1に通電を行い熱伝導板40の温度を上昇させ熱伝導板
40の温度を一定に維持する。この時、先に説明したよ
うに図示していないステージ冷却板により試料台3は熱
伝導板40の設定温度より低い温度に維持されているた
め、発熱電線51の通電電流を減らせば熱伝導板40の
温度を低下させることが可能となる。
【0038】試料7はこの温度が一定に保たれた熱伝導
板40に主に面しているため、輻射の効果により試料7
の温度が熱伝導板40の温度に等しくなるように温度変
化する。つまり試料台3に搬入された試料7の温度が熱
伝導板40の温度より高い場合には、試料7から熱伝導
板40に熱が移動し熱伝導板40の温度が上昇するが、
温度測定器50によりその温度上昇が検出され温度調節
計などの熱伝導板温度制御装置54により発熱電線51
への通電電流が減少され試料7から移動した熱を下部の
試料台3に逃がす。同様に、試料7の温度が熱伝導板4
0より低い場合には、熱が熱伝導板40から試料7に移
動するため熱伝導板40の温度が下がるが、熱伝導板温
度制御装置54により発熱電線51の通電量が増加し熱
伝導板40の温度が維持されるとともに、試料7に熱が
移動し、試料7の温度が熱伝導板40の温度と等しくな
るのに必要な時間が短縮される。
【0039】なお、試料7は試料支持手段6により試料
台3と接続されているが、試料7と試料支持手段6の接
触面積は極めて小さく、伝導による試料台3との熱の移
動は熱伝導板による輻射の効果に比べて十分に小さいも
のである。
【0040】さて熱伝導板40は試料台3には接続され
ているが、その接触面には間隙があり試料台3との熱の
伝導は大きくはない。したがって、熱伝導板40自体の
熱容量分の発熱、冷却を考慮すれば十分であるので、熱
伝導板の材質を銅など高熱伝導率材料を用いれば、発熱
電線を直接試料台3に貼り付けて試料台3全体の温度を
制御しようとする場合よりも応答良く温度制御すること
が可能となる。
【0041】また、試料台3自体も熱伝導板40からの
輻射と接触点での熱伝導により、より温度の安定化が図
られるため、試料台3に搭載されたレーザミラー5など
の位置が試料台3の熱膨張により変位して描画位置精度
を悪化させることを防ぐことが可能である。
【0042】なお、本実施形態ではステージ温度制御装
置41に含まれる温度読込装置53と熱伝導板温度制御
装置54を独立した構成としているが、熱伝導板温度制
御装置54に温度読込装置53の機能を含んだ構成とし
ても本発明の効果に何ら影響は与えない。
【0043】また本実施形態では熱伝導板40から出る
発熱電線51と温度測定器50の信号線は直接ステージ
温度制御装置41に接続される形態となっているが、も
ちろん実際にはこれらの信号線、電線は試料台3から図
1に示す第1のステージ9、第2のステージ11、ベー
ス13を経て試料室2に設けられた電流導入端子などに
より大気側に導かれステージ温度制御装置41に接続さ
れていることは言うまでもない。
【0044】次に図3を用いて熱伝導板40に内蔵され
た発熱電線51、と温度測定器50などの詳細について
説明する。
【0045】図3は熱伝導板の構造を示す平面図、部分
断面図及び部分拡大図である。
【0046】白金測温抵抗体などの温度測定器50は一
般的に熱伝導板40の代表温度となる中央部付近に設置
される。温度測定器50としては白金測温抵抗体の他、
サーミスタ、水晶振動子、熱電対なども用いることが可
能で、必要な温度制御精度に合わせて選択され、この種
類は本発明の効果に影響は与えない。
【0047】発熱電線51としてはニクロム線などを用
いることが一般的であるが、この他タングステンなどの
高抵抗金属を用いたものの使用も可能である。ただし、
荷電粒子を扱う性質上、ステージの移動により磁場の変
動を生じないように線材自体に磁性を有しないものを選
択する必要がある。
【0048】また、発熱電線51に通電することによ
り、発熱電線51周辺に発生する磁場の影響をなるべく
試料7付近に与えないようにするために、図3のA部拡
大図に示すように、先端で発熱電線51を折り返して、
図3のB部拡大図に示すように電流の向きが相異なり、
電流量の等しい電線51a、51bが平行に接触して内
蔵されるようにする。これにより発熱電線51の発生す
る磁場の影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0049】また発熱電線51の敷設方法は図3に示す
ようにジグザグに敷設してできるだけ熱伝導板40全体
での温度分布が均一になるように熱伝導解析などを行っ
て決定することが望ましい。また発熱電線51の敷設方
法としてはこの他に渦巻き状に発熱電線51を敷設する
方法を取ることも可能である。
【0050】また熱伝導板40上での温度分布が懸念さ
れる場合には図4に示すように、熱伝導板40に複数の
温度測定器50a、50b、50cを埋め込み、温度分
布を観察し、温度制御点を変更することも可能である。
これは熱伝導板40の大きさが試料7に比べて大きく、
試料7と熱伝導板40の対向位置がずれている場合に特
に有効である。この場合熱伝導板40の温度制御に使用
する温度測定器は代表点とする温度測定器50bとし
て、観測される他の温度測定器50a、50cとの温度
差分をオフセットとして熱伝導板40の設定温度とする
とよい。
【0051】さらに熱伝導板40上の温度の均一性を向
上させるには図5に示すように熱伝導板40の試料に対
向する面に高熱伝導率材料、たとえば金、グラファイ
ト、銀などの均熱部材61を間隙無く接合することが有
効である。さらにこの均熱部材61に温度測定器を接触
するように配置すれば一層均熱性、温度制御性が向上す
る。
【0052】またこのような構成にした場合、熱伝導板
40の構造部材60の熱伝導率が若干小さくなっても効
果がそれほど減少しないため、銅などの低抵抗材料を使
用して問題となる渦電流による磁場変動を小さくするた
めに、高熱伝導率セラミクス(SiC、AlN)などの
高抵抗或いは絶縁材料を熱伝導板構造部材60として使
用することも可能となる。
【0053】またさらに、図6に示すように発熱体とし
てタングステン材のような高抵抗材を用いた面状発熱体
62を表面に接合することも可能である。この場合、試
料に対向する面に面状発熱体62を形成し、その下に高
熱伝導率の均熱部材61を形成する方法或いは逆に、均
熱部材61を表面に形成する構成も可能である。さらに
面状発熱体62の熱伝導率が十分に高ければ、直接熱伝
導板構造部材60の表面に形成することも可能である。
【0054】次の熱伝導板に内蔵された発熱電線、温度
測定器の信号線によるノイズの影響を回避する方法につ
いて図7を用いて説明する。
【0055】図7は熱伝導板の制御系を示す構成図であ
る。
【0056】熱伝導板40は内部に発熱電線51、温度
測定器50を内蔵している。この発熱電線51及び温度
測定器50等に接続されている信号線の長さは非常に長
くなるため、他のノイズ源となる信号線からのノイズを
拾ってしまうのは避けられない。特に、発熱電線51及
び4線式白金測温抵抗体を用いた温度測定器50の信号
線はインピーダンスが高いためノイズを拾いやすく、こ
のノイズが荷電粒子に影響を与えてしまい、描画精度が
悪化することがある。このような場合、荷電粒子照射中
は発熱電線51への通電を遮断するだけでなく、発熱電
線51や温度測定器50に接続された信号線がアンテナ
となるのを防ぐために、発熱電線51及び温度測定器5
0に接続された信号線の一端を接地することが有効であ
る。
【0057】具体的には図7に示したように、ステージ
温度制御装置41の内部に発熱電線51a、51b及び
温度測定器50の温度測定部電線1(56a,56
b)、及び温度測定部電線2(57a、57b)をスイ
ッチする回路を設け、発熱電線スイッチ制御信号58に
より、必要な場合に発熱電線51a、51bを切り替え
てアースに接地できるようにする。図7に示した構成で
は、発熱電線51a、51b両方を接地できるような構
成としているが、このどちらかを接地せず開放する構成
も考えられる。
【0058】また温度測定器50の温度測定部電線1
(56a、56b)及び温度測定部電線2(57a、5
7b)は温度測定部電線スイッチ制御信号59により片
方が接地され、もう片方は開放されるように構成する。
これによりループのできないノイズに強い回路とするこ
とができる。
【0059】このスイッチの切り替え操作は図7に示し
たように、ステージ温度制御装置41に接続されたステ
ージ制御装置32或いはそのステージ制御装置32に接
続された描画制御装置31から熱伝導板温度制御装置5
4への指令で行われる構成となっている。
【0060】なお、本実施形態では発熱電線スイッチ制
御信号58及び温度測定部電線スイッチ制御信号59は
熱伝導板温度制御装置54から操作される構成となって
いるが、その先のステージ制御装置32或いは描画制御
装置31などから直接操作する構成でも同様の効果が得
られる。
【0061】次に本発明の第2の実施形態にかかる荷電
粒子描画装置について説明する (第2の実施形態)図9は本発明の第2の実施形態を示
す荷電粒子描画装置の構成図である。
【0062】図9に示す荷電粒子描画装置は図1に示し
た荷電粒子描画装置の試料ステージの第1のステージ9
上に熱伝導板42を設置したものである。熱伝導板42
は、第1の実施形態で説明した熱伝導板40と同様のも
のである。熱伝導板42は、試料台3の裏面に対向する
位置に設けられている。
【0063】熱伝導板42の機能は、熱伝導板40と同
様であるが、試料7から離れた場所に設置されているた
め、熱伝導板40の場合のように、発熱電線からの磁場
やノイズに対して対策を考慮する必要はない。そのた
め、発熱電線の容量を大きく取ることが可能となる。
【0064】熱伝導板42は、熱伝導板40と同様にス
テージ温度制御装置41で温度制御される。そのためス
テージ温度制御装置41は、試料台3上に設置された熱
伝導板40の制御機能に加えて熱伝導板42の温度制御
機能を追加したものとなる。そして熱伝導板40及び熱
伝導板42の設定温度は各々独立に設定可能である。
【0065】以下、第1のステージ3上に設けられた熱
伝導板42の機能について説明する。
【0066】試料台3上に設けられた熱伝導板40は図
示されていない発熱電線からの磁場の影響を小さくする
ために、できるだけ通電時の電流が小さくなるように高
抵抗の発熱電線が使用される。このため熱伝導板40の
発生可能な熱量は小さく、試料台3の温度が低く熱伝導
板40から試料台3に移動する熱量が熱伝導板40の発
熱容量より大きい場合には、熱伝導板40は一定の温度
を維持することはできなくなる。
【0067】一方、この問題を解決するためにベース1
3に接続された冷却板22の温度を、熱伝導板40の温
度に近づけると、第1のステージ9或いは第2のステー
ジ11が高頻度で動作した場合に、第1のステージ9の
温度が熱伝導板40の温度を超えてしまう場合がありう
る。このような状態では、試料台3は下部の第1のステ
ージ9からも加熱されることになり、試料台3の温度が
熱伝導板40の温度を超えてしまい熱伝導板40の温度
制御が不可能になる場合がある。とはいえ、冷却板22
の温度を低下させて第1のステージ9及び第2のステー
ジ11が頻繁に移動しても第1のステージ9の温度が熱
伝導板40の温度を超えないように設定した場合には先
に説明したように熱伝導板40での発熱量が不足してや
はり熱伝導板40を一定温度に維持できない事態となっ
てしまう。
【0068】この問題を解決するために、冷却板22の
温度を第1のステージ9或いは第2のステージ11の温
度により変更できるようにすることも可能ではあるが、
ステージ材質の熱伝導係数が大きくないこと、体積が大
きく熱容量が大きいことから応答良く第1のステージ9
の温度を制御することは困難である。
【0069】そこで、第1のステージ9に、熱伝導板4
0より発熱容量の大きい熱伝導板42を接続して温度制
御する構成とすれば、冷却板22の温度を第1のステー
ジ9及び第2のステージ11が頻繁に移動した場合でも
第1のステージ9の温度が熱伝導板40の温度より低く
なるように設定する。これにより、第1のステージ9の
温度が上昇し過ぎることを防ぐことができる。ここでさ
らに、ステージが移動しない場合に第1のステージ9の
温度が低下し過ぎることが無いよう、第1のステージ9
上に設けられた熱伝導板42の設定温度を冷却板22の
温度よりも高く、試料台3の温度が熱伝導板40の温度
制御下限よりも高くなるように設定すれば、ステージの
移動が少ない場合には熱伝導板42により第1のステー
ジ9ひいては試料台3に熱を供給して熱伝導板40の温
度制御を常に可能な状態に維持することができる。さら
にステージの移動が頻繁な時は熱伝導板42の発熱を減
少させて冷却板22による冷却効率を高めてやはり試料
台3上に設けられた熱伝導板40を常に一定温度で制御
可能とすることができる。
【0070】なお、この効果は第1の実施形態にかかる
荷電粒子描画装置の場合と同様に、移動するステージが
単一で平面上を2次元的に移動可能なステージ構成で
も、そのステージを図9に示す第1のステージ9とする
ことにより同様な効果が得られることは言うまでもな
い。これは以下の説明でも同様である。
【0071】次に冷却板22によるステージひいては試
料台3の冷却効率を向上させる方法について図10及び
図11を用いて説明する。
【0072】図10は図9に示した荷電粒子描画装置の
試料ステージに冷却板22の冷却効率向上のための対策
を施した試料ステージの側面図である。
【0073】この試料ステージでは、冷却板22が接続
されたベース13或いは冷却板22から直接高熱伝導率
を有する銅やグラファイトをシート状にした伝熱促進部
材70が第2のステージ11に接続され、さらに電熱促
進部材71により第1のステージ9の上面まで接続され
ており、さらにその上の試料台3の下面まで伝熱促進部
材72が接続されている。このような構成とすることに
より、試料台3及び第1のステージ9を冷却するための
熱の伝達経路が試料台支持装置8、第1のステージ9、
第1のステージ9の案内装置10、第2のステージ1
1、第2のステージの案内装置12及びベース13の経
路のほかに、伝熱促進部材70、71、72の経路も加
わるため、最下部にある冷却板22によって上部の試料
台3及び第1のステージ9を効率良く冷却することが可
能となる。
【0074】試料台3と第1のステージ9を接続する伝
熱促進部材72は試料台支持装置8の熱伝導率が十分に
高い時は不要ではあるが、それから下のステージ部分で
は、案内装置10、12での各ステージとの接触面積が
小さいため、伝熱促進部材70、71としてステージの
材質や案内装置の材質の100倍以上の熱伝導率を有す
る銅テープやグラファイトシートを用いれば、十分に冷
却板22の冷却効率を向上させることが可能である。
【0075】ただし、実際には第1のステージ9と第2
のステージ11は直角方向に移動するため図10に示し
たような接続方法は困難であり、具体的には図11に示
したようにテープ状の伝熱促進部材70、71をそれぞ
れ第2のステージ11、第1のステージ9の移動の妨げ
とならないように接続し、これらの伝熱促進部材70、
71を同じ材質の部材でつなぐ方法により行う。
【0076】なお、この種の試料ステージでは試料台3
或いは第1のステージ9に設置された熱伝導板40、4
2及びその他のセンサ等より出る配線を同様の機構によ
りベース13或いは図示していない試料室まで引き出す
ことが行われるため、これらの配線を支持する部材とし
て先に述べた銅テープやグラファイトシートなどを利用
した伝熱促進部材70、71を使用することも有効であ
る。また図10に示したように、試料台3に伝熱促進部
材72を接続する面のほぼ全面に銅やグラファイトなど
高熱伝導率を有する均熱部材73を間隙無く接合し、ま
た第1のステージ9にも均熱部材74を固着し、これら
均熱部材72,73に伝熱促進部材72を接続する構成
にすればさらに冷却板22による冷却効率を向上させる
ことが可能である。ただしこれら均熱部材72、73に
熱伝導板40及び熱伝導板42を接触させると、熱伝導
板40及び熱伝導板42で発生した熱が必要以上に移動
してしまうため、熱伝導板40及び熱伝導板42と均熱
部材72、73は接触しない構成とした方が良い。
【0077】次に以上説明した荷電粒子描画装置を実際
に運用して描画する方法について説明する。
【0078】先に説明したように本発明の荷電粒子描画
装置では、温度を設定可能な要素として試料台3の温度
(試料台3に接続された熱伝導板40の温度)、ベース
13に接続された冷却板22などのステージ冷却装置の
温度、ステージの温度(第1のステージ9に接続された
熱伝導板42の温度)、試料室2の温度などがある。
【0079】まず図1に示したような荷電粒子描画装置
では、試料台3の温度は接続された熱伝導板40の温度
でほぼ設定される。この設定温度はフォトマスクなどの
試料が描画後、ステッパなどの装置で使用される際の温
度に一致するように設定するのが一般的である。そこで
ステージ温度制御装置41により熱伝導板40の温度を
所定の温度に設定し熱伝導板40の温度制御を開始す
る。
【0080】試料ステージの外側にある試料室2の温度
は、任意の温度とすることも可能ではあるが、試料台3
の温度との間に温度差があると、輻射熱などにより試料
台3に熱の移動が生じ、試料台3及び熱伝導板40の温
度制御に影響を与えてしまう。そこで試料室2の温度を
試料台3の温度とあわせるため、試料室恒温水制御装置
21の設定温度をステージ温度制御装置41の設定温度
と等しくする。これにより試料台3の温度安定化が容易
とある。
【0081】この他、ステッパなどの描画後の試料を使
用する装置が同じ温度環境にある場合などには、ステッ
パなどの装置だけでなく荷電粒子描画装置についてもそ
の環境の温度下で使用されるので、試料室2の温度を周
辺の環境温度に合わせた方が荷電粒子描画装置の試料室
に温度勾配が出来ず高精度の描画が行える場合がある。
この場合はまず試料室恒温水制御装置21の温度を周辺
環境の温度と一致するように設定し、さらにその温度が
試料台に接続された熱伝導板40の温度になるようにス
テージ温度制御装置41の温度設定を行う。
【0082】次に、試料台3に接続された熱伝導板40
の温度制御を容易とするために、試料台3より下のステ
ージの温度をベース13に接続された冷却板22に循環
させる恒温水の温度をステージ恒温水制御装置24によ
り先に設定した熱伝導板40の温度より低く設定する。
なお、この設定温度は試料ステージの移動による発熱に
よりステージの温度が試料台の温度を超えないように定
められる。
【0083】このように各部の温度を設定して各部の温
度が安定した状態になった後に試料の描画を行うことに
より高精度な描画が可能となる。
【0084】次に図2に示したような荷電粒子描画装置
の場合について説明する。この場合でも試料台3に接続
された熱伝導板40の温度と試料室2の温度がほぼ同じ
温度となるようにステージ温度制御装置41と試料室恒
温水制御装置21の温度設定を行うことは同じである。
【0085】この次に試料ステージが過度に冷却されな
いように第1のステージ9上に設けられた熱伝導板42
の温度を先に定めた試料台3上に設けられた熱伝導板4
0よりある程度低い温度となるようにステージ温度制御
装置41の温度設定を行う。ただし、この温度は先にも
説明したように試料台3に接続された熱伝導板40の温
度制御が可能である下限温度以上の温度である。その後
に、ステージの移動が頻繁に行われてもステージの温度
が先に定めた熱伝導板42の温度を超えないようにベー
ス13に接続された冷却板22の恒温水の温度をステー
ジ恒温水制御装置24により設定する。
【0086】これらの工程を経て各部の温度が安定化し
た後に描画を行うことにより、よりステージ移動などの
温度外乱に強く、高精度な描画が可能となる。
【0087】次に、図1に示したような荷電粒子描画装
置で、試料台3に接続した熱伝導板40による磁場変動
或いはノイズの影響を最小限にして高い描画精度を得る
ための方法を説明する。
【0088】図8は図1に示したような荷電粒子描画を
用いて試料に描画を行う際の電子ビームなどの荷電粒子
の照射のON/OFF、ステージ動作のON/OFF、
試料台の温度を決める熱伝導板の温度制御のON/OF
Fの推移のタイミングとその際の試料台に接続された熱
伝導板の温度の推移の例を示した図である。
【0089】試料に描画を行う前に、試料を搬入したり
するためステージ動作が行われることがあるが、電子ビ
ームは照射されていないため、熱伝導板の温度制御は引
きつづき行い、試料の温度の安定化を行う。その後に試
料の描画を行うために描画開始点までステージ動作を行
うがこの間も熱伝導板の温度制御は続けることが可能で
ある。そして描画のためステージが動作し始め、電子ビ
ームが照射される直前に熱伝導板の温度制御を停止す
る。これにより描画中の熱伝導板による磁場変動に由来
する描画誤差は排除できる。
【0090】さらに先に図7で示したような熱伝導板の
温度制御系を有している場合には、スイッチを操作して
発熱電線や温度測定器の電線の一端を接地することによ
りこれらの配線に由来するノイズの影響も最小限とする
ことが可能である。試料への電子ビームの照射が終了す
るとステージは次の描画開始点への移動を行うが、既に
電子ビームの照射は終了しているため、照射終了直後に
熱伝導板の温度制御を再開する。この間、熱伝導板の温
度制御が停止するので熱伝導板の温度は若干低下する
が、描画制御装置31に含まれる偏向制御装置などから
の信号に基づいて温度制御の時間を極力短くすることに
より、温度低下の量を最小限にとどめることが可能であ
る。また、熱伝導板は発熱電線により加熱されるため、
特に温度を上昇させる方向には応答良く対応し,熱伝導
板の温度を設定温度に戻すことが可能である。
【0091】この他、試料に電子ビームを照射せずに電
子ビームの調整のため電子ビームを試料台3上のマーク
などに照射する場合があるが、この場合にも描画制御装
置のなかの偏向制御装置などにより電子ビームの照射の
直前に温度制御を停止し、照射終了後温度制御を再開す
るようにすればより効果的である。
【0092】次に図1に示したような荷電粒子描画装置
で試料の描画を行う際の工程の流れについて説明する。
【0093】図12は試料を描画する際の工程を示した
フローチャート、図13はその間の熱伝導板の温度の推
移の例を示したグラフである。
【0094】まず描画に先立ち試料台に接続された熱伝
導板の温度を先に説明したような方法で設定し(S
1)、試料台の熱伝導板の温度制御を開始して熱伝導板
の温度を安定化させる(S2)。次に試料を試料台に搬
入し(S3)、その際の熱伝導板の温度を測定する(S
4)。例えば、試料の温度が熱伝導板の温度より高い場
合には図13に示すように、輻射の効果で熱伝導板の温
度が一時的に上昇する。この温度があらかじめ設定して
おいた描画可能な温度範囲内にあれば(S5)問題ない
ので描画を開始する(S7)が、熱伝導板の温度が描画
可能な温度範囲外であれば、試料の温度も当然描画可能
範囲外であるので、描画を開始せず待機する(S6)。
熱伝導板の温度制御が行われているため熱伝導板の発熱
量が低下し、熱伝導板の温度はもとの設定温度に戻って
行く。この際試料の方も熱伝導板の温度にづいていくた
め、再び熱伝導板の温度を測定し(S4)、熱伝導板の
温度が描画可能な温度範囲内ならば(S5)、描画を開
始する。
【0095】試料の描画を行うと試料は電子ビームなど
の荷電粒子のエネルギーを吸収するので温度が上昇す
る。これに応じて熱伝導板の温度も上昇してしまう場合
もあり得る。このため試料に描画するパターンがストラ
イプなどの一定の描画領域に分けられている場合などに
は、その描画領域の描画終了時に熱伝導板の温度を測定
し(S4)、先に説明したように熱伝導板の温度が描画
可能範囲にあるかを確認し(S5)、描画可能な温度範
囲内であれば次の描画領域の描画を再開する(S7)。
このような工程を繰り返し、全ての描画領域の描画を終
了すれば(S8)、試料を搬出して(S9)終了する。
【0096】このような工程を取ることにより常に必要
な描画精度を得るために必要な温度範囲内で試料の描画
を行うことが出来、非常に高い描画位置精度を実現でき
る。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
試料室内の試料ステージの試料台部分の温度を高精度に
制御可能で、さらに試料と試料台の温度差を測定してそ
の差をより早く必要範囲内としてから描画することが可
能であり、より高い描画位置精度を実現できる荷電粒子
描画装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態にかかる荷電粒子描
画装置の構成図。
【図2】 本発明の荷電粒子描画装置に用いられる試料
台の斜視図。
【図3】 本発明の荷電粒子描画装置の試料台に用いら
れる熱伝導板の平面図、B断面図及びA部拡大図。
【図4】 本発明の荷電粒子描画装置の試料台に用いら
れる異なる熱伝導板の平面図。
【図5】 本発明の荷電粒子描画装置の試料台に用いら
れる異なる熱伝導板の断面図。
【図6】 本発明の荷電粒子描画装置の試料台に用いら
れる異なる熱伝導板の断面図。
【図7】 本発明の荷電粒子描画装置の試料台に用いら
れる熱伝導板の制御系を示す構成図。
【図8】 本発明の荷電粒子描画装置の試料台に用いら
れる熱伝導板の制御例を示すタイミング図。
【図9】 本発明の第2の実施形態にかかる荷電粒子描
画装置の構成図。
【図10】 本発明の第2の実施形態にかかる荷電粒子
描画装置の試料台ステージの側面図。
【図11】 本発明の第2の実施形態にかかる荷電粒子
描画装置の試料台ステージの斜視図。
【図12】 本発明の荷電粒子描画装置の描画方法を示
すフロー図。
【図13】 本発明の荷電粒子描画装置の描画方法を実
施した場合の試料台の熱伝導板の温度変化を推移の例を
を示したグラフ。
【図14】 従来の荷電粒子描画装置を示す構成図。
【符号の説明】
1・・・電子光学鏡筒 2・・・試料室 3・・・試料台 6・・・試料支持手段 7・・・試料 8・・・試料台支持手段 9・・・第1のステージ 10・・・案内装置 11・・・第2のステージ 12・・・案内装置 13・・・ベース 20・・・試料室恒温水配管 22・・・ステージ冷却板 23・・・ステージ恒温水配管 40、42・・・熱伝導板 50・・・温度測定部 51、51a、51b・・・発熱電線 56a、56b・・・温度測定部電線 57a、57b・・・温度測定部電線 58・・・発熱電線スイッチ制御信号 59・・・温度測定部電線スイッチ制御信号 60・・・熱伝導板構造部材 61、73,74・・・均熱部材 62・・・面状発熱部材 70、71,72・・・伝熱促進部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−241621(JP,A) 特開 平10−79344(JP,A) 特開 平8−97130(JP,A) 特開 平5−315231(JP,A) 特開 平2−134811(JP,A) 特開 昭56−83937(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/027 G03F 7/20 504 H01J 37/20 H01J 37/305

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料を導入する試料室と、 前記試料室内に設けられ、前記荷電粒子が前記試料面上
    に照射されるように前記試料を保持可能とされた試料台
    と、 前記試料台上に設けられた発熱手段と、 前記試料の温度を検出する温度測定手段と、 前記試料台を搭載し、少なくとも1方向に前記試料台を
    移動可能とするステージと、 前記ステージを保持するベースと、 前記ベースに設けられた冷却手段と、 前記温度測定手段の出力に基づき前記発熱手段を制御す
    る温度制御装置とを具備し、 前記発熱手段による発熱は前記荷電粒子が前記試料に照
    射されている間停止されることを特徴とする荷電粒子描
    画装置。
  2. 【請求項2】前記発熱手段は電熱装置であり、通電電流
    を前記温度制御装置により制御することで発熱が制御さ
    れることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子描画装
    置。
  3. 【請求項3】前記発熱手段は、前記試料台上の熱伝導板
    に設けられ、前記温度測定手段が前記熱伝導板に設けら
    れていることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子描画
    装置。
  4. 【請求項4】前記発熱手段及び前記温度測定手段は、前
    記荷電粒子が前記試料に照射されている間接地されるこ
    とを特徴とする請求項2記載の荷電粒子描画装置。
  5. 【請求項5】前記ステージ上に発熱手段及び温度測定手
    段がさらに設けられていることを特徴とする請求項1記
    載の荷電粒子描画装置。
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