JP3420094B2 - プラスチックカード基材 - Google Patents
プラスチックカード基材Info
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Description
ットカード、およびICカード等各種カードに利用でき
るエンボス加工性に優れ、且つ耐熱性、耐衝撃強度、及
び機械的特性に優れ、燃焼時に有害なガスを発生しない
プラスチックカード基材(以下カード基材と略称するこ
とがある)に関する。 【0002】 【従来の技術】キャッシュカード、クレジットカード、
会員カード、及びICカード等の一般的なカードには、
特に日本においてはエンボス加工により個人名や登録番
号等が浮き出し文字として表示されているのが一般的で
あり、この種のプラスチックカード基材にはエンボス加
工が容易なポリ塩化ビニル樹脂(PVC)が用いられて
いる。 【0003】しかし、PVCは燃焼時に有害な塩素ガス
を発生する為環境的に問題があり、またPVCは熱変形
温度が50〜80℃と低く、車載等高温に晒される環境
下での使用に不安がある。更には、PVCは機械強度が
弱く、衝撃及び曲げに対する割れやクラックの問題があ
り、ICカード等の精密な部分を含むカードに対しては
十分なものとはいえず、この様な背景で、PVCから他
のプラスチックへの切り替えが望まれている。 【0004】これまでに、耐熱及び強度に優れるポリカ
ーボネート樹脂、ABS樹脂及びポリカーボネート−A
BSアロイ樹脂等が検討されている。 【0005】例えば、特開平1−130994号公報に
はポリカーボネート−ABSアロイ樹脂からなるICカ
ードが開示されているが、かかる公報に提案されたカー
ドではエンボス加工時に反り(エンボスソリ)や割れ等
を生じ、エンボス加工した文字の高さ(エンボスハイ
ツ)も低いという問題点があった。エンボスソリが大き
いとカードを読み取り機械で処理する際に不具合が生じ
たり、ICチップが十分に保持できず脱落したり、また
カード自体の質感の低下を招き好ましくない。またエン
ボスハイツが十分にならない場合は文字が不鮮明であっ
たり、長期の使用により不鮮明となりやすいため好まし
くない。 【0006】特開平9−141785号公報にはポリカ
ーボネート−ABSアロイのコアシートと全光線透過率
80%以上のオーバーシートからなる積層シートから製
造するカードが開示されているが、同様にエンボスソリ
を生じ、エンボスハイツが低いという問題があった。 【0007】特開平9−175062号公報にはエンボ
ス可能なカードとして、カードの引張強度を600kg
f/cm2以上、破壊伸びを40%以下とするプラスチ
ックカードが開示されているが、エンボスソリ、エンボ
スハイツに問題が有り、エンボス加工性は不充分であ
る。 【0008】このように、PVCからの他のプラスチッ
クへの切り替えが望まれているにもかかわらず、エンボ
ス加工性に優れ、且つ耐熱性、耐衝撃性、及び機械的特
性の優れるカード基材が無く、PVCが使用され続けて
いるのが現状である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、磁気
カード、クレジットカード、およびICカード等各種プ
ラスチックカードに利用できる、エンボス加工性に優
れ、且つ耐熱性、耐衝撃強度、及び機械的特性が良好
で、更に燃焼時に有害なガスを発生しないカード基材を
提供するものである。 【0010】本発明者は、エンボス加工性とカード基材
の機械的特性の相関について鋭意検討を重ねた結果、カ
ード基材を特定の割合及び成分からなる樹脂組成物とし
た場合、かかる樹脂組成物の特定の機械的性質が、極め
てエンボス加工性に影響を与えることを見出し、かかる
機械的特性及び熱的特性を特定の範囲とする事により、
エンボス加工性に優れ、且つ耐熱性、耐衝撃強度、及び
機械的特性が良好で、更に燃焼時に有害なガスを発生し
ないプラスチックカード基材を発明するに至った。 【0011】 【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、芳香
族ポリカーボネート樹脂(A成分)20〜99重量%、
ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ポリ
スチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂から選択される
少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B成分)1〜80重量
%、ゴム状弾性体(C成分)0〜30重量%からなり、
かかるA成分、B成分及びC成分の合計が100重量%
である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部
に対して、平均粒子径0.5〜50μmの粒状充填材、
平均粒子径0.5〜50μmの板状充填材、及び平均繊
維径が0.5〜20μmの繊維状充填材から選択される
少なくとも1種の無機充填材(D成分)5〜50重量部
を配合した充填材含有樹脂組成物からなり、かつAST
M D−638に従って測定した引張降伏強度が350
〜570kgf/cm2、ASTM D−790に従っ
て測定した曲げ弾性率が30,000〜65,000k
gf/cm2、曲げ弾性率/引張降伏強度の比が60以
上であり、更にASTM D−648に従って測定した
荷重たわみ温度が100℃以上である充填材含有樹脂組
成物からなる層を有するプラスチックカード基材に関す
るものである。 【0012】本発明でA成分として使用する芳香族ポリ
カーボネート樹脂とは、二価フェノールとカーボネート
前駆体とを溶液法あるいは溶融法で反応させて製造され
る芳香族ポリカーボネート樹脂である。二価フェノール
の代表的な例を挙げると、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,
2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等があ
げられる。好ましい二価フェノールはビス(4−ヒドロ
キシフェニル)アルカン、特にビスフェノールAを主原
料とするものである。 【0013】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カルボニルエステルまたはハロホルメート等が
挙げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネー
ト、二価フェノールのジハロホルメート及びそれらの混
合物である。ポリカーボネート樹脂を製造するに当た
り、前記二価フェノールを単独で使用してもまたは2種
以上を使用してもよい。また、適当な分子量調節剤、分
岐剤、反応を促進するための触媒等も使用できる。芳香
族ポリカーボネート樹脂の分子量は粘度平均分子量で表
して10,000〜50,000、好ましくは14,0
00〜30,000のものである。また芳香族ポリカー
ボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。本
発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlに
芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解し
た溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求め
る。 ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c (但し
[η]は極限粘度) [η]=1.23×10-4M0.83 c=0.7 【0014】次にポリカーボネート樹脂を製造する基本
的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆物質とし
てホスゲンを用いる溶液法では、通常酸結合剤及び有機
溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水
酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水
酸化物、及びピリジン等のアミン化合物が挙げられる。
有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進の
ために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の
触媒を用いることができ、分子量調節剤として例えばフ
ェノール、p−tert−ブチルフェノール及び4−
(2−フェニルイソプロピル)フェノールのようなアル
キル置換フェノール等の末端停止剤を用いることが望ま
しいが、末端停止剤及び必要に応じて分岐剤を、それぞ
れ反応の初期からまたは反応の途中から添加する。反応
温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応
中のpHは10以上に保つのが好ましい。尚結果として
得られた分子鎖末端の全てが末端停止剤に由来の構造を
有する必要はない。 【0015】カーボネート前駆物質として炭酸ジエステ
ルを用いるエステル交換反応(溶融法)では、不活性ガ
スの存在下に所定割合の二価フェノール及び必要に応じ
て分岐剤等を炭酸ジエステルと加熱しながら攪拌し、生
成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法
により行う。反応温度は生成するアルコールまたはフェ
ノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300
℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成す
るアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応
を完結させる。また反応を促進するために現在公知のエ
ステル交換反応に用いられる触媒を用いることができ
る。このエステル交換反応に用いられる炭酸ジエステル
としては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチル
カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジブチルカーボネート等があげられる。これら
のうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。またか
かる反応の初期段階で二価フェノール等と同時にまたは
反応の途中段階で、末端停止剤としてジフェニルカーボ
ネートやメチル(2−フェニルオキシカルボニルオキ
シ)ベンゼンカルボキシレートを更に添加することも好
ましく行われる。 【0016】本発明においてB成分として使用するAB
S樹脂とは、ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物
と芳香族ビニル化合物をグラフト重合した熱可塑性グラ
フト共重合体、または該熱可塑性グラフト共重合体と、
シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体
との混合物である。更にB成分として使用するABS樹
脂は一般に射出成形用途等で使用されているもの、すな
わちABS樹脂中のジエン系ゴム成分の量が5〜30重
量%程度のものをいう。ジエン系ゴム成分としては、例
えばポリブタジエン、ポリイソプレン及びスチレン−ブ
タジエン共重合体等のガラス転移点が10℃以下のジエ
ン系ゴムが用いられる。ジエン系ゴム成分にグラフトさ
れるシアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニ
トリル、メタアクリロニトリル等を挙げることができ、
またジエン系ゴム成分にグラフトされる芳香族ビニル化
合物としては、例えばスチレン及びα−メチルスチレン
を挙げることができる。かかるシアン化ビニル化合物及
び芳香族ビニル化合物の含有割合は、かかるシアン化ビ
ニル化合物及び芳香族ビニル化合物の合計量100重量
%に対して、シアン化ビニル化合物が5〜50重量%、
芳香族ビニル化合物が95〜50重量%である。更にメ
チル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、無水
マレイン酸、N置換マレイミド等のモノマーを混合して
共重合することもできるが、これらの含有割合はB成分
であるABS樹脂中15重量%以下とすべきである。本
発明のB成分であるABS樹脂は塊状重合、懸濁重合、
乳化重合のいずれの方法で製造されたものでもよいが、
特に塊状重合によるものが、乳化剤等の不純物を含有せ
ず、ICチップ等の情報記録部分に悪影響を及ぼさない
ため好ましい。また共重合の方法も一段で共重合して
も、多段で共重合してもよい。 【0017】本発明のB成分として使用するAS樹脂と
は、シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物の共重
合体であり、かかるシアン化ビニル化合物及び芳香族ビ
ニル化合物の合計量100重量%に対して、シアン化ビ
ニル化合物が5〜50重量%、芳香族ビニル化合物が9
5〜50重量%ものをいい、特にシアン化ビニル化合物
が15〜35重量%、芳香族ビニル化合物が85〜65
重量%のものが好ましい。更にメチル(メタ)アクリレ
ート、エチルアクリレート、無水マレイン酸、N置換マ
レイミド等のモノマーを混合して共重合することもでき
るが、これらの含有割合はB成分であるAS樹脂中15
重量%以下とすべきである。本発明のB成分であるAS
樹脂は塊状重合、懸濁重合のいずれの方法で製造された
ものでもよいが、特に塊状重合によるものが、乳化剤等
の不純物を含有せず、ICチップ等の情報記録部分に悪
影響を及ぼさないため好ましい。 【0018】本発明のB成分として使用するAES樹脂
とは、エチレン−プロピレンゴム成分またはエチレン−
プロピレン−ジエンゴム成分にシアン化ビニル化合物と
芳香族ビニル化合物をグラフト重合した熱可塑性グラフ
ト共重合体、または該熱可塑性グラフト共重合体と、シ
アン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体と
の混合物である。 【0019】本発明のB成分として使用するASA樹脂
とは、アクリルゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香
族ビニル化合物をグラフト重合した熱可塑性グラフト共
重合体、または該熱可塑性グラフト共重合体と、シアン
化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体との混
合物をいう。本発明でいうアクリルゴムとは、炭素数が
2〜10のアルキルアクリレート単位を含有するもので
あり、更に必要に応じてその他の共重合可能な成分とし
て、スチレン、メチルメタクリレート、ブタジエンを含
有してもよい。炭素数が2〜10のアルキルアクリレー
トとして好ましくは2−エチルヘキシルアクリレート、
n−ブチルアクリレートが挙げられ、かかるアルキルア
クリレートはアクリレートゴム100重量%中50重量
%以上含まれるものが好ましい。更にかかるアクリレー
トゴムは少なくとも部分的に架橋されており、かかる架
橋剤としては、エチレングリコールジアクリレート、ブ
チレングリコールジアクリレート、エチレングリコール
ジメタクリレート、アリルメタクリレート、ポリプロピ
レングリコールジアクリレート等を挙げることができ、
かかる架橋剤はアクリレートゴムに対して0.01〜3
重量%使用されることが好ましい。またシアン化ビニル
化合物及び芳香族ビニル化合物の割合はかかる合計量1
00重量%に対して、シアン化ビニル化合物が5〜50
重量%、芳香族ビニル化合物が95〜50重量%であ
り、特にシアン化ビニル化合物が15〜35重量%、芳
香族ビニル化合物が85〜65重量%のものが好まし
い。 【0020】本発明のB成分として使用するポリスチレ
ン樹脂とは、スチレン、α−メチルスチレン、及びp−
メチルスチレン等のスチレン誘導体の単独重合体または
共重合体が挙げられる。尚かかるスチレン系樹脂はその
製造時にメタロセン触媒等の触媒使用により、シンジオ
タクチックポリスチレン等の高い立体規則性を有するも
のであってもよい。更に場合によっては、アニオンリビ
ング重合、ラジカルリビング重合等の方法により得られ
る、分子量分布の狭い重合体及び共重合体、ブロック共
重合体、及び立体規則性の高い重合体、共重合体を使用
することも可能である。またポリカーボネート樹脂との
相溶性改良等を目的として、かかるスチレン系樹脂に無
水マレイン酸やN置換マレイミドといった官能基を持つ
化合物を共重合することも可能であるが、これらの含有
割合はB成分であるポリスチレン樹脂中15重量%以下
とすべきである。また、ポリスチレン樹脂を2種以上混
合して使用することも可能である。 【0021】本発明のB成分として使用する芳香族ポリ
エステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸とジオール、ま
たはそのエステル誘導体とを主成分とする縮合反応によ
り得られる重合体ないしは共重合体である。 【0022】ここでいう芳香族ジカルボン酸としてはテ
レフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−
ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−
ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニ
ルメタンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホン
ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルイソプロピリデン
ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−
4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカル
ボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4’
−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジン
ジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸が好適に用いら
れ、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸が好ましく使用できる。 【0023】芳香族ジカルボン酸は二種以上を混合して
使用してもよい。なお少量であれば、該ジカルボン酸と
共にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸等の脂環族ジカルボン酸等を一種以上混合使用する
ことも可能である。 【0024】また本発明の芳香族ポリエステルの成分で
あるジオールとしては、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−
プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール等の脂環族ジオール等、及びそれらの
混合物等が挙げられる。 【0025】具体的な芳香族ポリエステル樹脂として
は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロ
ピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレー
ト(PBN)、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキ
シ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、等の他、
ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート/イソフタレート、等のような共
重合ポリエステルが挙げられる。これらのうち、機械的
性質等のバランスがとれたポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリブチレンナフタレートが好ましく使用でき
る。 【0026】かかる芳香族ポリエステル樹脂の製造方法
については、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、アン
チモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しなが
らジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重合させ、
副生する水または低級アルコールを系外に排出すること
により行われる。 【0027】また芳香族ポリエステル樹脂の分子量につ
いては、o−クロロフェノールを溶媒として25℃で測
定した固有粘度が0.4〜1.2、好ましくは0.65
〜1.15である。 【0028】 【0029】 【0030】 【0031】 【0032】 【0033】 【0034】 【0035】 【0036】 【0037】 【0038】 【0039】 【0040】 【0041】 【0042】 【0043】上記で記載したB成分のうち、芳香族ポリ
カーボネート樹脂との相溶性、カードに適した機械的特
性及び成形加工性等の観点から、ABS樹脂、AS樹
脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレートから選択される1種または
2種以上が好ましく、特に好ましくはABS樹脂、AS
樹脂またはその混合樹脂からなるものである。 【0044】本発明においては、カードに必要な靭性を
高めるため及び制御を容易にするためゴム状弾性体を使
用することができる。本発明においてC成分として使用
するゴム状弾性体とは、ガラス転移温度が10℃以下の
ゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル
酸エステル、メタクリル酸エステル、及びこれらと共重
合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種ま
たは2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げる
ことができる。一方架橋構造を有しない熱可塑性エラス
トマーとして知られている各種、例えばポリウレタンエ
ラストマー、ポリエステルエラストマー、スチレン−エ
チレンプロピレン−スチレンエラストマー、ポリエーテ
ルアミドエラストマー等を使用することも可能である。
熱可塑性エラストマーでないゴム状弾性体は、単独では
射出成形等の付形が困難なものであって、ゴム成分を4
0%以上含有するものであり、この点で本発明のB成分
のABS樹脂等とは明確に区別されるものである。 【0045】ここでいうガラス転移温度が10℃以下の
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アク
リル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコン複合
ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ク
ロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリル
ゴム、エチレン−アクリルゴム、シリコンゴム、エピク
ロロヒドリンゴム、フッ素ゴム及びこれらの不飽和結合
部分に水素が添加されたものを挙げることができる。 【0046】中でもガラス転移温度が10℃以下のゴム
成分を含有するゴム状弾性体が好ましく、特にブタジエ
ンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴ
ム、アクリル-シリコン複合ゴムを使用したゴム状弾性
体が好ましい。ブタジエン−アクリル複合ゴムとは、ブ
タジエンゴムの成分と、アクリルゴムの成分とを共重合
または分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造を
とるように重合したゴムであり、アクリル−シリコン複
合ゴムとは、アクリルゴムの成分とシリコンゴムの成分
とを分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造とし
たまたはシリコンゴム中の官能基と共重合したものをい
う。 【0047】芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレ
ン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にス
チレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等
を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとして
は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチ
ルが特に好ましい。 【0048】ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を
含有するゴム状弾性体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重
合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであって
もよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グ
ラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生す
るグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であっても
よい。かかるゴム状弾性体は市販されており容易に入手
することが可能である。例えばガラス転移温度が10℃
以下のゴム成分として、ブタジエンゴム、またはブタジ
エン−アクリル複合ゴムを主体とするものとしては、鐘
淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ、三菱レーヨ
ン(株)のメタブレンCシリーズ、呉羽化学工業(株)
のEXLシリーズ、HIAシリーズ、BTAシリーズ、
KCAシリーズが挙げられ、ガラス転移温度が10℃以
下のゴム成分としてアクリル−シリコン複合ゴムを主体
とするものとしては三菱レーヨン(株)よりメタブレン
S−2001あるいはRK−200という商品名で市販
されているものが挙げられる。 【0049】本発明においてD成分として使用する無機
充填材のうち、平均粒子径が0.5〜50μmの板状ま
たは粒状の充填材としては、タルク、マイカ、ガラスフ
レーク、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、酸化チタン等
があげられる。一方平均繊維径が0.5〜20μmの繊
維状充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ワラスト
ナイト、各種ウイスカー等を挙げることができる。尚繊
維状充填材とは、長さ(L)に対する繊維径(D)の比
L/Dが3以上のものをいう。 【0050】これらの無機充填材は、板状または粒状の
充填材において平均粒子径が0.5μm未満、また繊維
状充填材においては平均径が0.5μm未満ではエンボ
スソリが大きくなり、平均粒子径が50μmより大きく
なると、または平均繊維径が20μmより大きくなると
カード基材の表面外観が悪化するとともに、エンボス時
の割れが発生しやすくなるため好ましくない。これらの
中で、板状の充填材がカード成形品自体の反りを低減す
ることが可能であり、かつ引張降伏強度及び曲げ弾性率
のバランスが本発明の目的に合致しやすく、その制御が
容易であるため好ましく使用される。更にそのなかでも
平均粒子径0.5〜10μmのものが特に好ましく、か
かる板状充填材の中でもタルク及びマイカが好ましい。 【0051】尚ここにいう、平均粒子径及び平均繊維径
とは、組成物中における大きさをいい、これらの大きさ
は組成物を溶剤に溶解して濾取する、及び高温で樹脂成
分を焼失される等の処理により、充填材のみを取り出し
その走査型電子顕微鏡等の顕微鏡写真から、任意に20
0個を抽出し、大きさを測定しその平均値により算出す
ることができる。特に板状及び粒子状の場合には、顕微
鏡写真より画像解析装置によって面積を求め、そのメジ
アン値の平方根の値を平均粒子径として求める。また繊
維状充填材の場合の平均繊維径は同様に顕微鏡写真か
ら、任意に200個を抽出して測定した繊維径のメジア
ン値を算出すればよい。 【0052】本発明のA成分、B成分、D成分、及び任
意にC成分の各成分の配合割合は、A成分20〜99重
量%、B成分1〜80重量%、C成分0〜30重量%か
らなりかかる合計が100重量%である芳香族ポリカー
ボネート樹脂組成物100重量部に対し、D成分が5〜
50重量部である。好ましくはA成分30〜90重量
%、B成分10〜70重量%、C成分0〜30重量%か
らなりかかる合計が100重量%である芳香族ポリカー
ボネート樹脂組成物100重量部に対し、D成分が10
〜50重量部である。更に好ましくはA成分40〜80
重量%、B成分20〜60重量%、C成分0〜20重量
%からなりかかる合計が100重量%である芳香族ポリ
カーボネート樹脂組成物100重量部に対し、D成分が
10〜45重量部であり、特に好ましくは、A成分50
〜70重量%、B成分20〜40重量%、C成分10〜
20重量%からなりかかる合計が100重量%である芳
香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対し、
D成分が10〜40重量部である。A成分が20重量%
未満及びB成分が80重量%を越えると、耐熱性が不足
すると共に引張降伏強度が特定の範囲を満足しにくいも
のとなりエンボス加工性に劣るため好ましくない。一方
A成分が99重量%以上及びB成分が1重量%未満の場
合には、引張降伏強度が高くなり特定の範囲を満足せず
エンボス加工性が劣るために好ましくない。またC成分
が30重量%以上の場合は引張降伏強度が不十分となり
良好なエンボス加工性が得られない。更にA成分、B成
分、及びC成分からなる樹脂組成物100重量部に対
し、D成分が5重量部未満の場合には、曲げ弾性率が低
く特定の範囲を満足しにくいものとなりエンボス加工性
が劣るため好ましくない。またD成分が50重量部を越
えると、エンボス加工時に割れ、クラックを生じ好まし
くない。 【0053】本発明においてはA成分、B成分、D成分
及び任意にC成分からなる充填材含有樹脂組成物に対し
て、更に任意にE成分として、カルボキシル基及び/ま
たはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワック
スを添加することも、A成分〜D成分からなる樹脂組成
物の曲げ弾性率を低下させることなく、効果的に引張降
伏強度を低下させることができるため好ましく使用でき
るものである。かかるカルボキシル基及び/またはカル
ボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックスとは、
オレフィン系ワックスを後処理により、カルボキシル基
及び/またはカルボン酸無水物基を含有させた化合物、
好ましくはマレイン酸及び/または無水マレイン酸で後
処理により変性したものが挙げられる。更にエチレン及
び/または1−アルケンを重合または共重合する際にか
かるモノマー類と共重合可能なカルボキシル基及び/ま
たはカルボン酸無水物基を含有する化合物、好ましくは
マレイン酸及び/または無水マレイン酸を共重合したも
のも挙げられ、かかる共重合をしたものはカルボキシル
基及び/またはカルボン酸無水物基が高濃度かつ安定し
て含まれるので好ましい。このカルボキシル基やカルボ
ン酸無水物基は、このオレフィン系ワックスのどの部分
に結合してもよく、またその濃度は特に限定されない
が、オレフィン系ワックス1g当り0.1〜6meq/
gの範囲が機械特性及び熱的特性を損なうことなくエン
ボス加工性を更に効率よく改良できるため好ましい。か
かるオレフィン系ワックスは、市販品としては例えばダ
イヤカルナ−PA30[三菱化学(株)の商品名]、ハ
イワックス酸処理タイプの2203A、1105A[三
井石油化学(株)の商品名]等が挙げられ、これら単独
でまたは二種以上の混合物として用いられる。 【0054】かかるE成分のワックスを使用する場合に
は、A成分、B成分、及び任意にC成分からなる樹脂組
成物100重量部に対し、0.02〜5重量部添加する
ことにより、機械特性を損なうことなくエンボス加工性
(エンボスソリ・エンボスハイツ)を更に向上する事が
できる。5重量部を超えると機械特性の低下・層剥離等
を起こし好ましくない。 【0055】また、一般的にカード基材には白色度と遮
光性を付与する為に酸化チタンが添加されており、本発
明においても、D成分に含まれない平均粒子径0.5μ
m未満の酸化チタンを必要量添加することが好ましい。 【0056】カード基材樹脂組成物は上記A成分、B成
分、D成分、及び任意にC成分及びE成分と酸化チタン
からなるものであるが、更に必要に応じ、各種添加材等
を本発明の目的を阻害しない範囲ですなわちA成分〜E
成分及び酸化チタンの合計100重量部に対して5重量
部以下を目安に配合する事ができる。各種添加材として
は、現在公知の各種リン酸エステル又は亜リン酸エステ
ル等の熱安定剤、ヒンダードフェノール又はチオエーテ
ル等の酸化防止剤、光安定剤、ベンゾフェノール、ヒン
ダードアミン等の紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、離型
剤、帯電防止剤、酸化チタン以外の着色剤等が挙げられ
る。 【0057】更に本発明のプラスチックカード基材は、
上記樹脂組成物からなるカード基材において、ASTM
D−638に従って測定した引張降伏強度が350〜
570kgf/cm2、ASTM D−790に従って
測定した曲げ弾性率が30,000〜65,000kg
f/cm2の範囲にあり、且つ曲げ弾性率/引張強度の
比が60以上であり、ASTM D−648に従って測
定した荷重たわみ温度が100℃以上を満足するもので
ある。かかる特定の曲げ弾性率、引張降伏強度、及び曲
げ弾性率/引張降伏強度の比の値を満足する場合にの
み、エンボスハイツを高くし文字の認識性を十分とした
場合においても、エンボスソリを生ずることなく良好な
エンボス加工性を有するプラスチックカード基材及びそ
こから得られるプラスチックカードを得ることが可能と
なる。更に本発明のプラスチックカード基材及びそこか
ら得られるプラスチックカードは耐熱性、耐衝撃性、及
び他の機械的特性についても優れるものである。 【0058】好ましくは引張降伏強度が450〜550
kgf/cm2、曲げ弾性率が35,000〜55,0
00kgf/cm2の範囲である。ASTM D−63
8に従って測定した引張降伏強度が350kgf/cm
2未満ではカードが変形し易く、実使用上好ましくな
く、570kgf/cm2より高いとエンボスハイツが
高くならず好ましくない。ASTM D−790に従っ
て測定した曲げ弾性率が30,000kgf/cm2未
満ではエンボスソリが大きく、65,000kgf/c
m2より大きいとエンボス加工時に割れまたはクラック
等を生じ好ましくない。 【0059】更にエンボスソリ、エンボスハイツを共に
良好とする為には、曲げ弾性率/引張降伏強度の比を6
0以上とする必要がある。更に70以上がより好まし
い。曲げ弾性率/引張降伏強度の比が60未満では、エ
ンボスソリ・エンボスハイツを共に良好とすることがで
きない。 【0060】本発明のプラスチックカード基材は、上記
各成分及び必要に応じて用いられる各種添加剤をタンブ
ラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェル
ミキサー、バンバリーミキサー、混錬ロール、押出機等
の混合機により混合し得られた樹脂組成物を使用し以下
の方法により作成する。 【0061】カード基材の作成方法としては、射出成形
によるものが挙げられる。上記の方法で得た樹脂組成物
を、一般の射出成形法、射出圧縮成形法、及び高速射出
成形法等の成形法によりカード基材を作成することがで
きる。この方法ではカード基材を直接作成でき、工程を
単純化できる。一方、印刷を施した場合に印刷面がカー
ド表面となる為、傷つき易い、または高級感(ツヤ)が
出しにくい等の問題点があるが、カード製造工程を大幅
に単純化できるという利点がより優勢であるため好まし
い作成方法である。 【0062】一方上記の方法で得られた樹脂組成物をシ
ート化し、打ち抜き、カッティング、裁断などの方法で
カード基材を得ることもできる。詳しくは、カレンダー
成形法またはTダイ押出成形法等により厚み0.015
〜0.80mmのシートを作成し、これらの厚みの異な
るシートを熱融着法または接着剤により接着積層し使用
する一般的な方法が使用できる。詳しいシートの接着方
法としては、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、ビ
ニル系、アミド系等の従来既知の接着剤による方法、及
びオーバーシートの材質により異なるが100〜180
℃、15〜30kgf/cm2荷重の条件で5〜20分
程度熱融着(プレスラミネート)する方法等があげられ
る。 【0063】シートの組み合わせとしては、厚み0.6
0〜0.80mm程度のコアシートの両面または片面に
印刷を施し、印刷面に更にオーバーシートを積層するの
が一般的である。またコアシートには厚み0.10〜
0.30mm程度のシートを2層以上積層したものも使
用できる。オーバーシートとしては、全光線透過率70
%以上のものが印刷絵柄の色調・美観を損なわず好まし
く、更に全光線透過率を80%以上であるものがより好
ましい。 【0064】本発明では、コアシートに上記の方法で得
た樹脂組成物を使用する。一方オーバーシートとして
は、上記の方法で得た樹脂組成物以外にも、本発明のカ
ード基材の特性を損なわない範囲で芳香族ポリエステ
ル、酢酸セルロース、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体鹸化物、ポリプロピレン、ポリビニルブチラー
ル、ABS樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート、ポリメ
タクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−ブタジエン−
スチレン共重合体もしくはそれらのアロイ樹脂であり未
延伸シート(フィルム)の厚みが0.015〜0.10
mmのものが使用できる。中でも、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネ
ート、ポリメタクリル酸メチル、ABS樹脂、AS樹脂
等が本発明のカード基材の特性を損なうことなく好まし
く使用できる。 【0065】本発明では、上記のような2層以上のコア
シート及びオーバーシート1層または2層を上記の方法
で接着積層したシートを打ち抜き、カッティング、裁断
等の方法でカード基材とすることができる。 【0066】更に、上記の方法で得られたカード基材に
は、昇華転写プリントまたは転写により磁気ストライ
プ、光記録部材、画像情報、文字情報、バーコード、ホ
ログラム、及び繰り返し表示及び書き換えが可能な部材
等を1種または2種類以上を組み合わせて設けてもよ
い。またカード表面に座ぐり加工を施して凹部を形成
し、ICモジュールを接着固定により積載してもよい。
かくして得られたプラスチックカード基材は、磁気カー
ド、クレジットカード、およびICカード等各種プラス
チックカードに利用できるものである。 【0067】 【発明の実施の形態】[実施例1〜17、比較例1〜6
及び参考例1]以下に実施例をあげて本発明を更に詳細
に説明する。実施例及び比較例は、表1〜表4に示す各
成分を表記載の配合割合にてV型ブレンダーで混合した
後、スクリュー径30mmのベント式二軸押出機[神戸
製鋼(株)製KTX−30]によりシリンダー温度26
0℃でペレット化した。このペレットを110℃で6時
間乾燥した後、射出成形機[FANUC(株)製T−1
50D]によりシリンダー温度270℃、金型温度80
℃でカード基材成形品(長さ85.5mm×幅54.0
mm×厚み0.80mm)、及び試験片を作成し、評価
結果を表1〜表4に示した。但し、参考例1はコアシー
トに白色PVC、オーバーシートに透明PVCを配した
市販のPVCのカードを使用しエンボス加工性のみ評価
を行った。 【0068】評価は下記の方法によった。耐熱性、引張
降伏強度、及び曲げ弾性率の測定については、各AST
M規格に準拠した物性試験片を、カードの場合と同様の
温度条件で成形することにより測定を行った。 【0069】(1)エンボス加工性 エンボス加工は(株)クスダ製小型電動エンボッサーK
E−7000ES(文字はJISX9001準拠)を用
いて行った。エンボス時のソリは、カードに「1234
567890987654321」という特定の数字の
列を図1に示す位置に2列エンボスした後、カードを水
平な台に乗せ、エンボス文字の無い部分のうち台から最
も離れた点の高さをエンボスソリとして(株)ミツトヨ
製ハイトゲージ(No.570−223)を用いて測定
した。この場合エンボスソリは2mm以下が好ましい。
エンボスハイツは、カードに数字の“1“をエンボス
し、エンボス文字の高さを(株)ミツトヨ製マイクロゲ
ージ(No.293−111)にて測定した。また、エ
ンボス加工後のカードについて、割れ・クラックの有無
を目視にて観察した。この場合エンボスハイツは0.4
5mm以上が好ましい。 (2)耐熱性 ASTM D−648に従い、荷重たわみ温度を測定し
た。 (3)引張強度 ASTM D−638に従い、引張試験を実施し、引張
降伏強度を測定した。 (4)曲げ弾性率 ASTM D−790に従い、曲げ試験を実施し、曲げ
弾性率を測定した。 【0070】なお、表1〜表4に記載の各成分を示す記
号は下記の通りである。 (5)充填材の平均粒子径 成形により得られたカード基材サンプルを電気炉にて5
00℃で3時間燃焼させ灰分を得た。得られた灰分を日
本電子(株)製JSM−6100型でタルク入りサンプ
ルについては4000倍、マイカ入りサンプルについて
は2000倍にて電子顕微鏡画像を異なる箇所で撮り、
この画像を(株)ピアス製PIAS−IIIシステムによ
り画像解析することにより平均粒径を算出した。画像解
析は電子顕微鏡画像を2値化処理した後、原画像との比
較によりフィラー同士が重なったものや着色剤などの不
適切な画像を除去した後、それぞれの画像上のドット数
から画像上の充填材個々の面積を算出した。これを繰り
返し測定総数を200個とした後、測定総面積を算出
し、更に面積の小さなものから面積を積算しこれが総面
積の50%となる部分を挟む2つ充填材の面積の平均値
を50%面積として算出した。この平方根を平均粒子径
として算出した。 【0071】(A成分) PC:ビスフェノールAとホスゲンより製造される粘度
平均分子量25,000の直鎖状芳香族ポリカーボネー
ト樹脂:帝人化成(株)製「パンライトL−1250」 (B成分) ABS:ABS樹脂(三井化学(株)製「サンタックU
T−61」) AS:アクリロニトリル−スチレン共重体(三井化学
(株)製「ライタック980PC」) PS:ポリスチレン(日本ポリスチレン(株)製「H4
50K」) PET:ポリエチレンテレフタレート(帝人(株)製
「TR−8580」、固有粘度0.8) (C成分) ゴム状弾性体1:ポリオルガノシリコンゴム成分とポリ
アルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離できな
い様に相互に絡み合った構造を有している複合ゴムに1
種または2種以上ビニル系単量体がグラフト重合されて
なる複合ゴム系グラフト共重合体(三菱レイヨン(株)
製「S−2001」) ゴム状弾性体2:ブタジエン−スチレン−アクリルメタ
クリレート共重合体(クレハ化学工業(株)製「HIA
TYPE−15」) (D成分) タルク:Upn H−ST0.8(林化成工業(株)
製、測定された平均粒子径:3.0μm) マイカ:ミクロマイカ MK−100(コープケミカル
(株)、測定された平均粒子径:5.5μm) (E成分) オレフィン系ワックス:1−アルケンと無水マレイン酸
との共重合によるオレフィン系ワックス(ダイヤカルナ
−PA30;三菱化学(株)製(無水マレイン酸含有量
=10重量%)) (その他) 酸化チタン:Tioxide R−TC30(タイオキ
サイドジャパン(株)製、平均粒子径:0.2μm) 【0072】 【表1】 【0073】 【表2】【0074】 【表3】 【0075】 【表4】【0076】この表から明らかなように、本発明の条件
を満足する組成物から得られたカード基材は100℃以
上の耐熱性及び、現行汎用されているPVC製カードよ
りも良好なエンボスソリ及びエンボスハイツを達成し、
エンボス加工性が極めて良好であることがわかる。一方
樹脂単独で特定の無機充填材が配合されない場合は、適
正な曲げ弾性率が得られず、またそれによって十分な曲
げ弾性率/引張降伏強度の比が得られずエンボスハイツ
が不十分であると共に、エンボスソリも大きくなる。同
様のことが比較例3及び比較例4からも示されている。
また比較例5からは本発明の組成の条件及び引張降伏強
度、曲げ弾性率の値を達成する場合であっても、曲げ弾
性率/引張降伏強度の比が本発明の条件を満足しない場
合には、十分にエンボス加工性が改良されないことが分
かる。更に比較例6からは無機充填材が多すぎ、引張降
伏強度が高すぎる場合にはエンボス時に割れが発生し好
ましくないことが分かる。 【0077】 【発明の効果】本発明のプラスチックカード基材は、エ
ンボス加工性に優れ、且つ耐熱性、耐衝撃強度、及び機
械的特性に優れ、更に燃焼時に有害なガスを発生せず、
磁気カード、クレジットカード、およびICカード等各
種カードとして最適である。
001に準拠したカード成形品(長さ85.5mm×幅
54.0mm×厚み0.80mm)にエンボスした位置
を示す正面図である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)
20〜99重量%、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹
脂、ASA樹脂、ポリスチレン樹脂、芳香族ポリエステ
ル樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂
(B成分)1〜80重量%、ゴム状弾性体(C成分)0
〜30重量%からなり、かかるA成分、B成分及びC成
分の合計が100重量%である芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物100重量部に対して、平均粒子径0.5〜
50μmの粒状充填材、平均粒子径0.5〜50μmの
板状充填材、及び平均繊維径が0.5〜20μmの繊維
状充填材から選択される少なくとも1種の無機充填材
(D成分)5〜50重量部を配合した充填材含有樹脂組
成物からなり、かつASTM D−638に従って測定
した引張降伏強度が350〜570kgf/cm2、A
STM D−790に従って測定した曲げ弾性率が3
0,000〜65,000kgf/cm2、曲げ弾性率
/引張降伏強度の比が60以上であり、更にASTM
D−648に従って測定した荷重たわみ温度が100℃
以上である充填材含有樹脂組成物からなる層を有するプ
ラスチックカード基材。
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