JP3418423B2 - 経粘膜投与用薬剤組成物 - Google Patents

経粘膜投与用薬剤組成物

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JP3418423B2
JP3418423B2 JP08103393A JP8103393A JP3418423B2 JP 3418423 B2 JP3418423 B2 JP 3418423B2 JP 08103393 A JP08103393 A JP 08103393A JP 8103393 A JP8103393 A JP 8103393A JP 3418423 B2 JP3418423 B2 JP 3418423B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粘膜表面からの吸収に
よる薬物の送達に適した薬剤組成物に関するものであっ
て、トレハロースを含有することを特徴とする新規な経
粘膜投与用薬剤組成物に関する。
【0002】更に詳しくは経粘膜投与用薬剤組成物にト
レハロースを含有せしめることにより粘膜刺激作用を著
しく減少させ、吸収促進剤との併用の系では、その吸収
促進効果を損なうことのない経粘膜投与用薬剤組成物に
関する。
【0003】
【背景技術】近年、鼻粘膜等の粘膜を介して吸収させる
薬物投与方法への関心が高まってきている。特に経鼻粘
膜投与は、他の投与経路に比べて多くの有利な点を有す
る。まず、経口投与では薬物が胃腸管で代謝されるため
吸収量が左右される欠点を有するが、鼻粘膜は酵素活性
が低いため薬物の分解が少なく、生理活性ペプチド等の
投与に適しているという点が挙げられる。また、経口投
与では肝臓において初回通過代謝を受けるが、経鼻粘膜
投与においては、薬剤は直接に全身の循環系に移行する
ので初回通過代謝は受けない。しかも鼻粘膜の透過性
は、膣粘膜等の他の粘膜に比して高く、薬物の吸収は効
率的である。さらに、経鼻粘膜投与は注射剤等の置き換
えすなわちコンプライアンスの向上の点からみても望ま
しい投与法である。
【0004】ところで、経鼻粘膜投与による薬物の吸収
は鼻腔内のクリアランス速度の影響を受ける。たとえば
風邪などの病的条件下における鼻腔内のクリアランス速
度は正常時をはるかに上回っており薬物の吸収効率を著
しく低下させている。そこで、今日まで経鼻粘膜投与に
よる薬物の吸収効率を高めることを目的として薬物の鼻
腔内での滞留性を増すことや、クリアランスを司る繊毛
運動能を低下させるなど様々なアプローチが試みられて
きた。その中で、最も一般的に試みられているのは粘膜
の透過性を高めることであり、その目的には多種多様な
吸収促進剤が用いられている。その例としては脂肪酸、
胆汁酸塩、多くの界面活性剤、キレート剤等の使用があ
げられる。(Life Sciences Serie
s AVol.125 p87〜104,Critic
al Reviews inTherapeutic
Drug Carrier Systems,8
(4),331〜394,1991)。
【0005】従来の経粘膜投与用薬剤組成物において
は、刺激作用の問題があり、さらに、吸収促進剤との併
用系においては、薬剤に対する吸収促進効果と共に存在
する毒性副作用の問題がある。たとえば吸収促進剤とし
て用いられる多くの胆汁酸塩やその他の界面活性剤には
組織学的に粘膜上皮表面層に広範囲な破壊作用を及ぼ
し、回復不可能な損傷をあたえるものがあり(ファルマ
シアvol.28no.61992)また、キレート剤
においても、カルシウムイオン能の妨害や繊毛上皮に対
する損傷作用を有することが知られている。唯一、タウ
ロ24,25−ジヒドロフシジン酸ナトリウム(STD
HF)については組織学的毒性が低いことが認められて
いるが(Pharmaceutical Reseac
h,Vol.7,No,5,1990)、感覚刺激を伴
うとの報告(Pharmaceutical Rese
ach,Vol.9,No.1,1992)もなされて
おり、多くの吸収促進剤についてはそれらの毒性、副作
用の低減が重要な課題となっている。
【0006】本発明の発明者らは、従来技術における上
記の問題点を解決すべく組成物成分について鋭意検討し
た結果、トレハロースを経粘膜投与用薬剤組成物中に配
合することにより、毒性、副作用を著しく低減し、しか
も吸収促進剤との併用の場合においても吸収促進効果を
失うことなく粘膜刺激作用を著しく軽減しうる事実を見
いだした。
【0007】
【発明の開示】本発明により、トレハロースを含有する
ことを特徴とする新規な経粘膜投与用薬剤組成物が提供
される。
【0008】以下に本発明を具体的に説明する。本発明
に係る新規な経粘膜投与用薬剤組成物に用いられるトレ
ハロースは、ミコースとも呼ばれ、分子量が342.3
0を示す二糖類の一つで、2分子のD−グルコースがそ
の還元性基どうしで結合した構造を有するものである。
その結合様式において、α,α−結合、α,β−結合、
およびβ,β−結合の3種の異性体が存在するが、天然
にはα,α体として存在する。従来、トレハロースは、
細胞の乾燥保護物質、あるいは凍結保護物質として知ら
れている。そして、このトレハロースについては食品や
医薬品などの新しい保存剤などとしての応用が検討され
ている。例えば、ワクチンに対する免疫アジュバントと
して(Adv Immunopharmacology
4 149〜158 1989)、あるいは、ジミリ
ストイルホスファチジルコリンリポソームの相転移保護
剤として(Biochem Biophys Act
a,May 24 1990,1024(2),p38
0〜4)、また、ホスホフルクトキナーゼの保存剤とし
て(Biochem Biophys Acta,Ja
n 20 1987 923(1),p109〜1
5)、さらに脂質膜の安定化剤として(Arch Bi
ochem Biophys,Feb 15 198
6,245(1),p134〜43)、それぞれその使
用が検討されている。しかしながら、経粘膜投与を対象
とした外用製剤におけるトレハロースの刺激低減作用あ
るいは副作用低下作用についての検討はこれまでになさ
れていない。
【0009】本発明に係る新規な経粘膜投与用薬剤組成
物においては、前述した3種の異性体のそれぞれの単体
またはそれらの混合体を用い、それを配合するものであ
る。本発明の組成物中において配合されるトレハロース
の量は、組合せられる薬理活性物質及び添加物の種類に
よって異なるが、組成物全重量に対して0.01%〜9
9.99%の範囲で適宜決定することができる。
【0010】本発明に係る経粘膜投与用薬剤組成物にお
ける薬理活性物質としては、格別に特定されることはな
い。薬理活性物質の例をあげれば次のような物質を例示
することができる。タンパク質及びペプチド、たとえば
インスリン(六量体/二量体/単量体)、グルカゴン、
成長ホルモン(ソマトトロピン)、カルシトニン及びそ
の合成修飾体、エンケファリン、インターフェロン(特
に普通のかぜの治療用α−2インターフェロン)、黄体
形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)及び類似体(ナ
ファレリン、ブセレリン、ロイプロレリン、ゴセレリ
ン)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、セクレ
チン、ブラジキニン拮抗剤、成長ホルモン放出因子(G
RF)、胸腺液性因子(THF)、チロトロピン放出ホ
ルモン(TRH)、ACTH類似体、インスリン様増殖
因子(IGF)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(C
GRP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド、バソプレシ
ン及び類似体(DDAVP、リプレシン)、メトクロプ
ラミド、片頭痛治療剤(ジヒドロエルゴタミン、エルゴ
メトリン、エルゴタミン、ピゾチジン)、経鼻ワクチン
(特にAIDSワクチン)、第VIII因子;
【0011】抗生物質及び抗菌剤、グリセオフルビン、
セファドロキシル、セフスロジンナトリウム、塩酸テト
ラサイクリン、塩酸ピラルビシン、ロイコマイシン、ゲ
ンタマイシン、ペニシリン、ペニシリン誘導体及びエリ
スロマイシン;化学療法剤たとえばスルフィソミジン、
スルファジメトキシン、パラアミノサリチル酸カルシウ
ム、イソニアジド、塩酸エタンブトール、ナリジクス
酸、ピロミド酸、トシル酸トスフロキサシン;局所麻酔
剤たとえば塩酸リドカイン、塩酸ブロカイン、オキセサ
ゼイン、ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチル;
【0012】血管収縮剤たとえば塩酸ノルフェネフリ
ン、塩酸フェニレフリン、塩酸ミドドリン、塩酸メトキ
サミン、メシル酸ジヒドロエルゴタミン;強心剤たとえ
ばリン酸ジソピラミド、ジギタリス及びジゴキシン;血
管拡張剤たとえばニセルゴリン、ビンポセチン、ニトロ
グリセリン、塩酸ベラパミル、硝酸イソソルビド、ニフ
ェジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン;酵素製剤た
とえば塩化リゾチウム、ウロキナーゼ;骨代謝調整剤た
とえばビタミンB3及び活性ビタミンD3、PTH(パ
ラソルモン、パラサイロイドホルモン);
【0013】降圧剤たとえばメチルドパ;鎮静剤;抗不
安剤;ステロイド系抗炎症剤たとえばヒドロコルチゾ
ン、プレドニソン、フルチカソン、プレドニソロン、ト
リアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、デキサ
メタゾン、ベータメタゾン、ベクロメタゾン及びニプロ
ピオン酸ベクロメタゾン;非ステロイド系抗炎症剤たと
えば、ロキソプロフェンナトリウム、イププロフェンピ
コノール、インドメタシン、ウフェナマート、グリチル
レチン酸、ケトプロフェン、スプロフェン、デキストラ
ン硫酸ナトリウム、ピロキシカム、フェルビナク、ブフ
ェキサマク、フルルピプロフェン、ベンダザック;
【0014】消炎酵素製剤たとえばキモトリプシン及び
ブロメライン、セラチオペプチダーゼ;抗ヒスタミン剤
たとえばオキサトミド、塩酸ジフェンヒドラミン、マレ
イン酸クロルフェニラミン及びクレマスチン;抗アレル
ギー剤(鎮咳・去痰喘息治療剤)たとえばクロモグリク
酸ナトリウム、リン酸コデイン及び塩酸イソプロテレノ
ール、塩酸エフェドリン、イプジラスト;各種ホルモン
剤たとえば酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)、
プロゲステロン、テストステロン、エストリオール、酢
酸テトラコサクチド、フルオキシメステロン;抗うつ剤
たとえば塩酸イミプラミン、アルプラゾラム、オキサゾ
ラム、オキサゼパム、ジアゼパム、クロキサゾラム;
【0015】免疫調節剤たとえば2−シアノ−3−
(1,4−ジヒドロ−1−フェニル−(1)−ベンゾチ
オピラン) (4,3C)−ピラゾール−3−イル−3
−オキソ−N−フェニルプロパンアミド等;抗腫瘍剤た
とえばドキシフルリジン、シクロホスファミド、塩酸ニ
ムスチン、チオテパ、メトトレキサート、エトポシド、
塩酸ブレオマイシン、硫酸ペプレオマイシン、塩酸ドキ
ソルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸エピルビシ
ン;
【0016】抗痴呆剤たとえばアニラセタム、シチコリ
ン、チトクロームC、イデベノン、塩酸インデロキサジ
ン、メクロフェノキセート、ピラセタム、ピリチオキシ
ン、塩酸ビフェメラン、メシル酸ジヒドロエルゴトキシ
ン、イフェンプロジル、ニカルジピン、ニセルゴリン、
γ−アミノ−β−ヒドロキシブチル酸(GABOB)、
L−ドーパ、アセチル−L−カルニチン、ジメチルスル
フォキサイド(DMSO)、塩酸アマンタジン、アスピ
リン;
【0017】トランキライザー類たとえばブロムペリド
ール、塩酸チアプリド、ハロペリドール、ゾテピン、ス
ルピリド、エチゾラム、トフィソパム、クロチアゼパ
ム、ジアゼパム、アルプラゾパム;睡眠導入剤たとえば
トリアゾラム、フルニトラゼパム、エスタゾラム、ニト
ラゼパム、塩酸フルラゼパム、エチゾラム、ゾピクロ
ン;精神神経用剤たとえば塩酸クロルプロマジン、塩酸
トリフルプロマジン、塩酸レボメプロマジン、マレイン
酸ペラジン、メシル酸チオプロペラジン、プロペリシア
ジン、ハロペリドール、スピペロン、メプロバメート、
塩酸ヒドロキシジン、オキシペルチン、塩酸カルピプラ
ミン、塩酸イミプラミン、塩酸アミトリプチリン、塩酸
ミアンセリン、塩酸サフラジン;
【0018】骨格筋弛緩剤たとえば塩化スキサメトニウ
ム、クロルメザノン、塩酸トルペリゾン;自立神経用剤
たとえば塩化アセチルコリン、臭化ネオスチグミン、塩
酸トラゾリン;抗痙攣剤たとえば臭化ブトロピウム、N
−メチルスコポラミンメチル硫酸塩、臭化チメピジウ
ム、ヨウ化オキサピウム、塩化トロスピウム、フロプロ
ピオン;抗パーキンソン剤たとえば塩酸ビペリデン、塩
酸トリヘキシフェニジル、メシル酸ブロモクリプチン、
レボドパ;
【0019】抗てんかん剤たとえばフェニトイン、フェ
ノバルビタール、フェノバルビタールナトリウム、バル
プロ酸ナトリウム;眼科用剤たとえば塩酸ピロカルビ
ン、硫酸アトロピン、トロピカミド、ピレノキシン;耳
鼻科用剤たとえば硝酸ナファゾリン、クロラムフェニコ
ール、プロピオン酸ベクロメタゾン、アンレキサノク
ス;麻薬たとえば塩酸アヘンアルカロイド、塩酸モルヒ
ネ、硫酸モルヒネ、塩酸コカイン、クエン酸フェンタニ
ル、リン酸コデイン;糖尿病薬たとえばトルブタミド、
クロルプロパミド、グリベンクラミド、塩酸メトホルミ
ン。
【0020】薬理活性物質に異性体あるいは光学異性体
が存在する場合にはこれらの異性体並びにそれらの混合
物も使用しうる。薬理活性物質は、単独で含有されてい
てもよく、あるいは2種以上使用されていてもよい。そ
の配合量は、各薬理活性物質の種類あるいはその適用の
態様に応じて適宜定められることは当然である。
【0021】本発明に係る経粘膜投与用薬剤組成物には
必要に応じて、添加剤として経鼻用あるいは外用剤に通
常用いられる吸収促進剤、殺菌剤、防腐剤、乳化剤、可
溶化剤、安定化剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤等を配合す
ることができる。その配合割合は通常は、組成物全量に
対して、0.001%〜20%である。吸収促進剤とし
ては、格別に特定されないが、通常、使用される吸収促
進剤を以下に例示する。キレート剤たとえばエチレンジ
アミン四酢酸、エチレングリコールビス(2−アミノエ
チルエーテル)四酢酸、クエン酸、サリチル酸塩、アル
ギン酸塩、コラーゲンのN−アシル誘導体及びエナミン
(β−ジケトンのN−アミノアシル誘導体);
【0022】脂肪酸たとえばヤシ油の鎖長炭素数8及び
10のモノ−及びジ−グリセリド抽出物、モノオレイン
又は不飽和脂肪酸;胆汁酸塩たとえば3α、12α−ジ
ヒドロキシ−5β−コラン酸塩、デオキシコール酸ナト
リウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、タウロデ
オキシコール酸ナトリウム、3α、7α、12α−トリ
ヒドロキシ−5β−コラン酸塩、コラン酸ナトリウム、
グリココラン酸塩、タウロコラン酸ナトリウム;
【0023】他の界面活性剤たとえばサポニン(配糖
体)、サーファクチン(ペプチド脂質)、非イオン界面
活性剤たとえばポリオキシエチレン−9−ラウリルエー
テル(BL−9)及び双性イオン界面活性剤たとえば
(3−〔3−コルアミドプロピル−ジメチルアンモニオ
1−プロパンスルフォナート);フシジン酸及びその誘
導体たとえばタウロ24,25−ジヒドロフシジン酸ナ
トリウム(STDHF)及びグリコ24,25−ジヒド
ロフシジン酸ナトリウム(SGDHF);
【0024】リゾホスファチドたとえばリゾホスファチ
ジルコリン及び特にL−α−リゾホスファチジルコリ
ン;環状ペプチド抗生物質たとえばバシトラシン及びバ
シトラシンA;保存剤たとえばp−ヒドロキシ安息香酸
メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、クロロブタ
ノール、クロロクレゾール、塩化ベンザルコニウム、ク
ロルヘキシジン、有機水銀化合物;
【0025】その他にアスコルビン酸、塩基性アミノ酸
及びその塩、グリチルレチン酸及びグリチルリチン、O
−アシルカルニチン誘導体たとえばオクタノイルカルニ
チン、ラウロイルカルニチン、ホスファチジルカルニチ
ン及び誘導体、バルミトイルカルニチン、並びにマロネ
ートたとえばジエチレンオキシメチレンマロネート;ア
ザシクロアルカン誘導体たとえば1−(2−(デシルチ
オ)エチルアザシクロペンタン2−オン(以下、HPE
−101と略記する)または1−n−ドデシルアザシク
ロヘプタン;直鎖アルカンスルフォネート;炭素数15
からなる大環状カルボニル化合物たとえばシクロペンタ
デカノン、シクロペンタデカノリド、エチレンブラシレ
ート。
【0026】これらの吸収促進剤は一種または一種以上
の配合により使用されるが、吸収促進剤を配合する場
合、トレハロースの配合量はこれら吸収促進剤の吸収促
進効果を阻害しない範囲であるべきであり、通常は組成
物全量に対し、0.01%〜50%の範囲で配合処方さ
れる。種々の吸収促進剤に対するトレハロースの使用量
は通常は、1%〜30重量%の割合で配合するのが好ま
しい。好ましい配合割合は組合せられる吸収促進剤、薬
理活性物質の種類により異なる。組成物中に殺菌剤、防
腐剤が配合される場合、その例としては、パラオキシ安
息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、プロ
ピレングリコール、塩化べンゼトニウム、ソルビン酸、
ソルビン酸ナトリウム、等が挙げられる。その他、乳化
剤あるいは可溶化剤が、各種添加剤や薬理活性物質の分
散、乳化を目的として添加される場合には、粘膜刺激の
少ないノニオン性界面活性剤、たとえばポリオキシエチ
レンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン
モノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(H
CO−60など)、クロタミトン等やグリチルリチン酸
ジカリウム、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキ
ストリンの様な刺激性の少ないシクロデキストリン類が
用いられる。配合される安定化剤の例としてはゼラチン
やアルブミンなどが挙げられる。配合される紫外線吸収
剤の例としては公知のP−アミノ安息香酸誘導体、アン
トラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導
体、アミノ酸系化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、フ
ラン誘導体、ピロン誘導体、カンファー誘導体、核酸誘
導体、アラントイン誘導体、ニコチン誘導体、シコニン
あるいはビタミンB誘導体等が例として挙げられる。
抗酸化剤の例としては、たとえば、アスコルビン酸ナト
リウム、トコフェロール、及びそのエステル誘導体、ノ
ルジヒドログアセレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエ
ン、ブチルヒドロキシアニソール、tert−ブチルヒ
ドロキノン没食子酸エステル、1−オキソ−3−メチル
−4−イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
【0027】本発明において、トレハロースを必須成分
とする経粘膜投与用薬剤組成物の薬剤の形態は、格別の
形態に特定されることはない。例えば、軟膏、クリー
ム、ゲル状クリーム、ローション、エアゾール、液剤、
坐剤等の各種製剤形態をとることができ点眼剤、点鼻
剤、口腔剤、直腸剤及び外皮剤などの種々の経粘膜投与
用薬剤の医薬製剤の形態とすることができる。
【0028】以下に、トレハロースの刺激低減効果と、
吸収促進剤の促進効果を阻害せずにその破壊的作用から
鼻粘膜を保護するトレハロースの作用効果をみるために
行ったインビボ試験とその結果を示す。
【0029】〔試験方法〕 I トレハロースの一般点鼻薬に対する刺激軽減効果の
評価 ラットをウレタン麻酔し、下記実施例1、2および比較
例1、2の処方物を100mg/kgで経鼻的に投与し
120分後に、鼻中隔を摘出した。走査型電子顕微鏡
(SEM)観察用試料作製手順により、摘出した鼻中隔
を固定、脱水、臨界点乾燥及び金蒸着を施し鼻粘膜表面
の形態をSEMにて観察した。鼻粘膜の損傷程度は表1
に示した判定基準にしたがって判定し、得られた数値の
平均値をもってそれぞれの組成物の鼻粘膜刺激指数とし
た(表2 実施例1、2および比較例1、2参照)。
【0030】実施例1 市販点鼻薬A 950mg トレハロース 50mg
【0031】実施例2 市販点鼻薬B 950mg トレハロース 50mg
【0032】比較例1 市販点鼻薬A 1000mg
【0033】比較例2 市販点鼻薬B 1000mg
【0034】II トレハロースの添加による吸収促進
剤の吸収効果に与える影響、及び鼻粘膜刺激軽減効果の
評価 ラットをウレタン麻酔し、下記比較例4に示す組成物を
100mg/kgの投与量で筋肉内に、実施例3〜8及
び比較例3、5〜11の各組成物を100mg/kgの
投与量で経鼻的に投与してa)吸収促進効果ならびに
b)鼻粘膜刺激性の両者を評価した。
【0035】a) 吸収促進効果の評価:実施例3〜6
及び比較例3〜9の各組成物を投与後、0、5、15、
30、60、120分に採血を行い、血清中グルコース
濃度の測定をした。吸収促進効果は、インスリンの薬効
(血清中グルコール濃度の低下)を指標とし、比較例3
(インスリン非投与群)の血糖値に対する各投与群の血
糖値の低下をもって評価した(図1〜図4参照)。
【0036】b)鼻粘膜刺激性の評価:試験法a)にお
いて、120分の採血を終えた後、Iの方法に準じて評
価した(表2 実施例3〜8および比較例3、5〜11
参照)。
【0037】実施例3 インスリン 8mg トレハロース 50mg HPE−101 2.5mg グリチルリチン酸ジカリウム 10mg 生理食塩水 929.5mg
【0038】実施例4 インスリン 8mg トレハロース 100mg HPE−101 2.5mg グリチルリチン酸ジカリウム 10mg 生理食塩水 879.5mg
【0039】実施例5 インスリン 8mg トレハロース 200mg HPE−101 2.5mg グリチルリチン酸ジカリウム 10mg 生理食塩水 779.5mg
【0040】実施例6 インスリン 8mg トレハロース 50mg ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル 5mg (以下BL−9と略記する) 生理食塩水 937mg
【0041】実施例7 インスリン 8mg トレハロース 100mg BL−9 5mg 生理食塩水 887mg
【0042】実施例8 インスリン 8mg トレハロース 200mg BL−9 5mg 生理食塩水 787mg
【0043】比較例3 生理食塩水 1000mg
【0044】比較例4 インスリン 8mg 生理食塩水 992mg
【0045】比較例5 インスリン 8mg HPE−101 2.5mg グリチルリチン酸ジカリウム 10mg 生理食塩水 979.5mg
【0046】比較例6 インスリン 8mg BL−9 5mg 生理食塩水 987mg
【0047】比較例7 インスリン 8mg シュークロース 100mg BL−9 5mg 生理食塩水 887mg
【0048】比較例8 インスリン 8mg ジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 5mg BL−9 5mg 生理食塩水 982mg
【0049】比較例9 インスリン 8mg ジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 10mg BL−9 5mg 生理食塩水 977mg
【0050】比較例10 インスリン 8mg ジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 20mg BL−9 5mg 生理食塩水 967mg
【0051】比較例11 インスリン 8mg ジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 40mg BL−9 5mg 生理食塩水 947mg
【0052】〔結果〕結果を表2及び図1〜4に示す。
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】〔作用〕市販点鼻薬A及び市販点鼻薬Bの
それぞれにトレハロースを5%添加することにより鼻粘
膜刺激指数を低下させた(表2、実施例1、2と比較例
1、2との対比)。吸収促進剤としてHPE−101を
用いた場合、トレハロースを5%添加することにより吸
収促進効果を損なうことなく鼻粘膜刺激指数を低下せし
めたが、10%以上添加すると、吸収促進効果が失われ
た(図1、実施例3及び4参照)。吸収促進剤としてB
L−9を用いた場合、トレハロースの添加量を増加させ
ると鼻粘膜刺激指数が低下する傾向が認められた(表
2、実施例6〜8参照)。しかも、20%添加してもな
お吸収促進効果は維持された(図2参照)。トレハロー
スと同じ二糖類であるシュークロース10%を添加した
場合、吸収促進効果は阻害されなかったが(図3参照)
刺激指数は2.3となり同濃度のトレハロースに比べて
高い値を示し、ほとんど刺激の軽減効果は認められなか
った(表2、実施例7及び比較例7参照)。特開平4−
235927号公報にある粘膜刺激低減剤のジヒドロキ
シプロピル−β−シクロデキストリンの使用において
は、1%と2%の添加量間で刺激指数の低下が認められ
た(表2、比較例9、10参照)が、それと同時に吸収
促進効果も失われることが認められた(図4参照)。こ
れらの結果より、トレハロースの経鼻投与用薬剤組成物
における鼻粘膜刺激性の低減作用が証明された。さら
に、吸収促進剤に対しては、その吸収促進効果を損なう
ことなく刺激性を低減させ得る優れた刺激低減作用を有
することが判明した。また、HPE−101を併用した
場合、トレハロースの至適濃度が5%であるのに対し、
BL−9との併用時のトレハロースの至適濃度は10〜
20%前後であったことより、吸収促進効果を損なうこ
となく刺激軽減効果を有するトレハロースの添加量は、
併用する吸収促進剤の種類に応じて影響されることも判
明した。
【0055】
【発明の効果】トレハロースを含有する本発明の経粘膜
投与用薬剤組成物を使用することにより、従来の経粘膜
投与用製剤に比べ、薬理活性物質の粘膜吸収性が良好で
かつ、粘膜刺激性の非常に少ない経粘膜投与用製剤が得
られるため、有用で安全性の高い経粘膜投与用医薬品を
提供することが可能となり、医薬産業上極めて有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】HPE−101のインスリン経鼻吸収促進効果
に対するトレハロースの影響
【図2】BL−9のインスリン経鼻吸収促進効果に対す
るトレハロースの影響
【図3】BL−9のインスリン経鼻吸収促進効果に対す
る二糖類の影響
【図4】BL−9のインスリン経鼻吸収促進効果に対す
るジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの影
【符号の説明】
各図における符号は、実施例および比較例における各処
方により調整された組成物についての測定値を表示した
ものである。以下に各符号が表示している組成物の実施
例番号および比較例番号を示す。 図1: + 比較例3 □ 比較例4 ◇ 比較例5 ▽ 実施例3 △ 実施例4 × 実施例5 図2: + 比較例3 □ 比較例4 ▽ 比較例6 × 実施例6 △ 実施例7 ◇ 実施例8 図3: + 比較例3 □ 比較例4 ▽ 比較例6 △ 実施例7 ◇ 比較例7 図4: + 比較例3 □ 比較例4 ▽ 比較例8 × 比較例9 △ 比較例10 ◇ 比較例11
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−120229(JP,A) 特開 昭62−89627(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 47/26 A61K 9/107 A61K 9/08 BIOSIS(STN) CAPLUS(STN) MEDLINE(STN) EMBASE(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トレハロースを含有し、軟膏、クリー
    ム、ゲル状クリーム、ローション、エアゾール、液剤、
    坐剤からなる群から選択される剤型であることを特徴と
    する経粘膜投与用薬剤組成物。
  2. 【請求項2】 トレハロースとともに吸収促進剤を含有
    することを特徴とする請求項1に記載の経粘膜投与用薬
    剤組成物。
  3. 【請求項3】 トレハロースの含有量が組成物の全体量
    に対し、0.01〜50重量であることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の経粘膜投与用薬剤組成
    物。
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