JP3412302B2 - 反射防止膜を有するプラスチック製光学部品の製造方法 - Google Patents

反射防止膜を有するプラスチック製光学部品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反射防止フィルムや、
反射防止膜を有する偏光板等、反射防止膜を有するプラ
スチック製光学部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レンズ等の光学部品には、従来、無機ガ
ラスが多く使用されてきたが、近年、軽量、耐衝撃性、
易加工性の長所を持ち、かつ量産性に優れているプラス
チックが用いられるようになってきた。しかし、プラス
チック製光学部品は、無機ガラス製光学部品に比べて表
面硬度が低く、傷が付きやすいうえに、無機ガラス製光
学部品と同様に表面での反射光が強いという欠点も有し
ている。このような問題に対しては、プラスチック基材
表面に硬化被膜を設けて耐擦傷性を向上させるととも
に、さらにその硬化被膜の表面に反射防止膜を付与し、
実用的な性能を確保している。
【0003】このようなレンズ等の光学部品において
は、反射率を1%以下に抑える必要があることから、反
射防止膜は、フッ化マグネシウム、二酸化珪素、二酸化
ジルコニウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム等の屈
折率の異なる誘電体の多層構成となっている。しかし、
このような多層構成のものは、反射防止性能は優れてい
るものの、価格が高くなることから、レンズ等の比較的
高価な光学部品に限られていた。一方、ディスプレイ表
面に用いられる反射防止フィルムや偏光板等の光学部品
については、例えば、フッ化マグネシウム膜一層からな
る反射防止膜を有し、安価で、しかも量産化に適した反
射防止膜を有するプラスチック製光学部品が望まれてい
る。
【0004】一般的に使われている硬化被膜の屈折率
は、1.5 付近であるため、屈折率が1.38 であるフ
ッ化マグネシウム一層からなる反射防止膜では、基準波
長での反射率を1.4% まで低減させるのにとどまり、
反射防止性能は十分に満足されるものではなかった。硬
化被膜と反射防止膜の屈折率の差を大きくすることによ
って、反射防止性能を向上させることができ、このよう
な問題を解決する試みとして、例えば、特開昭 62-1180
1 号公報には、高屈折率のプラスチック基材に、ほぼ同
等の屈折率を持つ硬化被膜を形成し、さらにその上に反
射防止膜を設けることにより、反射防止性能を向上させ
ることが示されている。しかし、この方法では、その素
材自体として使用できる物質が少ないうえに、耐衝撃性
や密着性の面から、高屈折率のプラスチック基材上に形
成できる硬化被膜の種類が限られてしまうので、実用化
できるものがさらに少ない。また、これらのプラスチッ
ク基材と硬化被膜はともに高価なものが多いことも、問
題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】屈折率の差が大きい硬
化被膜とプラスチック基材とを組み合わせて使用する場
合には、屈折率の差に起因する干渉が起き、分光光学特
性が低下してしまう。このように、反射防止性能に優
れ、かつ安価に量産できる一層からなる反射防止膜を有
するプラスチック製光学部品に関して、様々な検討が行
われてきたにも関わらず、未だに充分なものは得られて
いない。
【0006】本発明は、このような状況に鑑みてなされ
たものであり、一層からなる反射防止膜でも良好な反射
防止性能を有するプラスチック製光学部品を、量産性良
く製造する方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、プラスチ
ック基材表面に順次、硬化被膜および反射防止膜を形成
してなる反射防止膜を有するプラスチック製光学部品に
ついて、良好な反射防止性能を持ち、干渉による分光光
学特性が低下することなく、かつ工業的量産性にも優れ
る製造方法を開発すべく、鋭意検討した結果、反射防止
膜形成の前処理として、プラスチック基材に形成された
硬化被膜表面に酸素イオンビーム照射を行うことによ
り、硬化被膜表面の屈折率が上昇することを見出し、こ
のことにより、容易に硬化被膜と反射防止膜の屈折率の
差を大きくすることができ、反射防止性能と量産性を両
立させて製造する方法を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、プラスチック基材表面
に順次、硬化被膜および反射防止膜を形成して、反射防
止膜を有するプラスチック製光学部品を製造する方法で
あって、反射防止膜を形成する前に予め硬化被膜を酸素
イオンビームで照射し、かつ酸素イオンビームが照射さ
れた硬化被膜の表面に反射防止膜を一層で形成すること
を特徴とする、反射防止膜を有するプラスチック製光学
部品の製造方法を提供するものである。
【0009】以下にその内容を詳細に述べる。本発明で
対象とする反射防止膜を有するプラスチック製光学部品
としては、反射防止フィルム、反射防止膜を有する偏光
板などが挙げられる。プラスチック基材としては、光学
用途に適した透明性のある材料であればどのようなもの
でもよく、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート
系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹
脂、ポリプロピレン系樹脂等のフィルム、シートなどを
挙げることができる。
【0010】本発明におけるプラスチック基材の好適な
例としては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから
なる偏光膜や、これにセルロース系樹脂の保護層等が形
成された偏光板を例示することができる。
【0011】プラスチック基材上に形成される硬化被膜
としては、アクリル系硬化被膜を挙げることができる。
アクリル系硬化被膜を形成するための硬化被膜剤とし
て、具体的には例えば、広栄化学工業(株)から販売さ
れている「コーエーハード」、三菱レイヨン(株)から
販売されている「ダイヤナール」などが挙げられる。
【0012】本発明における反射防止膜に用いる物質と
しては、一般の光学用途に使われ、硬化被膜よりも低い
屈折率を有するものであれば特に限定されず、フッ化マ
グネシウム、二酸化珪素等の無機化合物や、含フッ素重
合体などの低屈折率物質が例示できる。また、反射防止
膜の形成方法についても特に限定されず、ディップコー
ト法、スピンコート法、イオンプレーティング法、スパ
ッタリング法など、どのような方法でもよいが、酸素イ
オンビーム照射後、同一チャンバー内で連続して反射防
止膜を形成できる、電子ビーム加熱蒸着法や抵抗加熱蒸
着法などが好ましい。
【0013】硬化被膜に酸素イオンビームを照射するこ
とにより、硬化被膜の屈折率が上昇する。用いられる酸
素イオンビームの加速電圧は、300〜1500Vの範
囲が好ましく、800〜1000Vの範囲がさらに好ま
しい。加速電圧が低すぎる場合には、硬化被膜の屈折率
の上昇が僅かであって、反射防止性能向上の効果が乏し
く、一方、加速電圧が高すぎる場合には、酸素イオンビ
ームの照射によりプラスチック基材の温度が上昇し、プ
ラスチック基材自体が変形したり着色したりするので、
好ましくない。酸素イオンビームの照射時間は、1〜5
分の範囲が好ましく、照射時間が1分未満の場合には、
反射防止性能向上の効果が乏しく、5分より長時間にわ
たる照射は、プラスチック基材の温度上昇により基材自
体が変形化するので、好ましくない。
【0014】
【実施例】以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】実施例1 プラスチック基材として、片側表面にアクリル系硬化被
膜が形成された偏光板(住友化学工業(株)製、商品
名:スミカラン)を用い、これを真空蒸着機にセット
し、チャンバー内部を3×10-5Torrまで排気した後、
カウフマン型のイオン銃を用いて、加速電圧1.0kV、
加速電流80mA の条件で、酸素イオンビームをこの硬
化被膜表面に2分間照射した。反射率から見積もった硬
化被膜の屈折率は、処理前の1.50から処理後は1.5
9に上昇していた。照射時の真空度は5×10-5Torrで
あった。その後、この硬化被膜上に、電子ビーム加熱蒸
着法により光学膜厚0.25λ(λ=550nm) のフッ
化マグネシウムを蒸着し、反射防止層を形成した。この
分光反射率特性を図1の1aに示す。可視光領域(30
0〜800nm)での最低反射率は0.8%であった。
【0016】実施例2 実施例1と同一の基材を用い、チャンバー内部を3×1
-5Torrまで排気した後、カウフマン型のイオン銃を用
いて、加速電圧1.5kV、加速電流120mA の条件で酸
素イオンビームを硬化被膜表面に1分間照射した。反射
率から見積もった硬化被膜の屈折率は、処理前の1.5
0から処理後は1.67に上昇していた。照射時の真空
度は5×10-5Torrであった。その後、この硬化被膜上
に、電子ビーム加熱蒸着法により光学膜厚0.25λ
(λ=550nm) の二酸化珪素を蒸着し、反射防止層
を形成した。この分光反射率特性を図2の2aに示す。
可視光領域(300〜800nm)での最低反射率は1.
2%であった。
【0017】比較例1 酸素イオンビームを照射することなく、実施例1と同一
のプラスチック基材に同一の蒸着方法でフッ化マグネシ
ウム一層からなる反射防止膜を形成した。この分光反射
率特性を図1の1bに示す。可視光領域(300〜80
0nm)での最低反射率は1.4%であった。
【0018】比較例2 酸素イオンビームを照射することなく、実施例1と同一
のプラスチック基材に同一の蒸着方法で二酸化珪素一層
からなる反射防止膜を形成した。この分光反射率特性を
図2の2bに示す。可視光領域(300〜800nm)で
の最低反射率は2.6%であった。
【0019】
【発明の効果】本発明の方法によれば、得られる反射防
止膜を有するプラスチック製光学部品は、一層からなる
反射防止膜でも良好な反射防止性能を示し、干渉による
分光光学特性の低下がなく、酸素イオンビーム照射後、
同一チャンバー内で連続して反射防止膜を形成できる。
したがって本発明の方法は、安価でかつ量産性に優れた
製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、比較例1の偏光板の分光反
射率特性図である。
【図2】本発明の実施例2、比較例2の偏光板の分光反
射率特性図である。
【符号の説明】
1a:実施例1 1b:比較例1 2a:実施例2 2b:比較例2
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波岡 誠 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友 化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−113401(JP,A) 特開 平7−76048(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18 G02B 1/11,5/30

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチック基材表面に順次、硬化被膜お
    よび反射防止膜を形成して反射防止膜を有するプラス
    チック製光学部品を製造する方法であって、反射防止膜
    を形成する前に予め硬化被膜を酸素イオンビームで照射
    し、かつ該酸素イオンビームが照射された硬化被膜の表
    面に反射防止膜を一層で形成することを特徴とする
    射防止膜を有するプラスチック製光学部品の製造方法。
  2. 【請求項2】プラスチック製光学部品が偏光板である請
    求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】硬化被膜がアクリル系硬化被膜である請求
    項1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】反射防止膜が、フッ化マグネシウムおよび
    二酸化珪素から選ばれる無機化合物の膜である請求項1
    〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】酸素イオンビーム照射後、同一チャンバー
    内で連続的に、電子ビーム加熱蒸着法または抵抗加熱蒸
    着法により反射防止膜を形成する請求項1〜4のいずれ
    かに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】酸素イオンビームの照射が、300〜15
    00Vの加速電圧で1〜5分間行われる請求項1〜5の
    いずれかに記載の製造方法。
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