JP3405774B2 - 自動車の経路誘導装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、地図データベースを用
いて自車現在位置から所定の走行目的地までの走行経路
の計画を行い、この計画された走行経路に基づいて自車
の経路誘導を行う自動車の経路誘導装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】近年、不案内な土地での車両走行を支援
するため、経路誘導装置（ナビゲーション装置）が自動
車に搭載されるようになってきている。この経路誘導装
置は、例えば特開平２−１２９８００号公報に開示され
ているように、一般に、地図データベースを用いて自車
現在位置から所定の走行目的地までの走行経路の計画を
行い、この計画された走行経路に基づいて自車の経路誘
導を行うようになっている。

【０００３】上記走行経路の計画は、走行経路ロス（す
なわち、走行時間のロス、走行距離のロス、走行し易さ
のロス等の所期走行阻害要因）が最小となるような最適
走行経路を地図データベースから検索することにより行
うのが一般的である。例えば上記公報記載の経路誘導装
置では、自車現在位置から走行目的地までの走行所要時
間が最も短くなるような最短時間経路を地図データベー
スから検索して走行経路計画を行うようになっている。
さらに上記公報記載の経路誘導装置では、外部からの交
通情報（例えば渋滞情報）を加味して走行経路計画を行
うようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような交通情報を
加味した走行経路計画により、実際の道路状況に即応し
た最適走行経路を得ることができるのであるが、このよ
うにした場合においても、まだ次のような問題がある。
すなわち、外部からの交通情報がすべての道路について
得られるわけではなく、また、経路誘導装置のシステム
起動直後のように外部からの交通情報がまだ得られてい
ない状況下においては、これを加味した走行経路計画を
行うことができず、したがって、実際の道路状況に即応
した最適走行経路を得る上でまだ不十分である、という
問題がある。

【０００５】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、たとえ外部から交通情報を入手できな
い場合であっても実際の道路状況に即応した最適走行経
路を得ることができる自動車の経路誘導装置を提供する
ことを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る経路誘導装
置は、道路状況に関するヒューリスティクスから現在の
道路状況を推測し、この推測された道路状況を加味して
走行経路計画を行うようにすることにより、上記目的達
成を図るようにしたものである。

【０００７】すなわち、請求項１に記載したように、地
図データベースを用いて自車現在位置から所定の走行目
的地までの走行経路の計画を行う走行経路計画手段と、
この計画された走行経路に基づいて自車の経路誘導を行
う経路誘導手段と、を備えた自動車の経路誘導装置であ
って、道路状況に関するヒューリスティクスを記憶する
ヒューリスティックス記憶手段と、前記ヒューリスティ
クスから現在の道路状況を推測する道路状況推測手段と
を備え、前記走行経路計画手段は、走行経路に関する渋
滞情報が外部情報受信装置によって受信されていない場
合に、前記道路状況推測手段によりヒューリスティクス
に基づいて推測された道路状況を用いて走行経路計画を
行う一方、前記外部情報受信装置で渋滞情報が受信され
ている場合は、この渋滞情報に前記推測された道路状況
を加味して前記走行経路計画を行うように構成されてい
る、ことを特徴とするものである。

【０００８】上記「ヒューリスティクス」とは、「経験
的に得られた種々の情報」を意味するものである。した
がって、上記「道路状況に関するヒューリスティクス」
とは、「道路状況に関して経験的に得られた種々の情
報」を意味するものであるが、その具体例としては、例
えば、自車走行により得られた情報や、口コミ、ラジオ
等により外部から入手した情報等がある。また、このヒ
ューリスティクスをヒューリスティクス記憶手段へ記憶
させるための入力方法については、運転者等の入力操作
によるものであってもよいし、経路誘導装置において自
動的に入力するものであってもよい。

【０００９】

【発明の作用および効果】上記構成に示すように、ヒュ
ーリスティクス記憶手段に記憶された道路状況に関する
ヒューリスティクスから現在の道路状況が道路状況推測
手段により推測され、この推測された道路状況を加味し
て走行経路計画手段による走行経路計画が行われるよう
になっているので、経路誘導装置のシステム起動直後の
ように外部からの交通情報がまだ得られていない状況下
においても、上記ヒューリスティクスを用いることによ
り、道路状況を的確に把握した上で、走行経路計画を行
うことができる。また、外部から交通情報が入手できな
い道路についてヒューリスティクスを蓄積しておけば、
このような道路についてもその道路状況を的確に把握し
た上で、走行経路計画を行うことができる。

【００１０】このように本発明によれば、たとえ外部か
ら交通情報を入手できない場合であっても実際の道路状
況に即応した最適走行経路を得ることができる。

【００１１】ところで、上記ヒューリスティクスに誤っ
た情報が含まれているためにこれから推測された道路状
況が実際の道路状況とは異なっている場合や、ヒューリ
スティクスが記憶された時点の道路状況に対して現在の
道路状況が変化してしまっているような場合がある。こ
のような場合には、ヒューリスティクスから推測された
道路状況を加味して走行経路計画を行うと、実際の道路
状況に即応しない走行経路しか得られないという事態も
生じ得る。

【００１２】そこで、請求項２に記載したように、ヒュ
ーリスティクスから推測された道路状況と自車を実際に
走行させたときの道路状況とを比較してヒューリスティ
クスの信頼性を評価するようにすれば、ヒューリスティ
クスをその信頼性の程度を明らかにした上で道路状況の
推測に用いることができるので、このようにして推測さ
れた道路状況を加味して走行経路計画を行うことによ
り、実際の道路状況により即応した最適走行経路を得る
ことができる。

【００１３】

【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例に
ついて説明する。

【００１４】図１は、本発明に係る自動車の経路誘導装
置の一実施例を示すブロック図である。

【００１５】この経路誘導装置は、自動車に搭載された
装置であって、図示のように、地図データベース１２
と、定位装置１４と、経路計画装置１６と、データ処理
装置１８と、画像出力装置２０と、音声出力装置２２
と、データ入力装置２４と、交通情報受信装置２６と、
ヒューリスティクス入力装置２８と、道路状況推測装置
３０と、ヒューリスティクスメモリ３２とを備えてなっ
ている。

【００１６】上記地図データベース１２は、広範囲にわ
たる道路網その他の地図データを記憶したデータベース
であり、経路計画装置１６およびデータ処理装置１８か
らアクセス可能とされている。この地図データベース１
２における道路網は、複数のノード（交差点等の節目）
と、これら各ノード間を接続するリンク（走行路の最小
単位）とによって記憶されている。

【００１７】上記定位装置１４は、自車現在位置を認識
するための装置であって、ＧＰＳ受信機、ジャイロある
いは地磁気センサ等を用いた公知の方法で自車現在位置
の認識を行うように構成されており、この定位装置１４
において認識された自車現在位置のデータは経路計画装
置１６およびデータ処理装置１８に出力されるようにな
っている。

【００１８】上記経路計画装置１６は、地図データベー
ス１２を用いて自車現在位置から予め設定された走行目
的地までの走行経路の計画を行うようになっている。こ
の走行経路計画においては、自車現在位置から走行目的
地までの走行経路ロスが最小となる最適走行経路を、ダ
イキストラ法等の手法を用いて求める処理が行われるよ
うになっている。上記走行経路ロスは、上記各リンク毎
および各ノード毎に設定されたコスト（すなわち、該リ
ンクを走破するのに要する時間（旅行時間）、該リンク
の道幅、勾配、舗装有無、該ノードにおける直進、右
折、左折の別等、走行し易さを阻害する程度）の累積値
として算出されるようになっている。

【００１９】上記データ処理装置１８は、経路計画装置
１６によって計画された走行経路に基づいて自車の経路
誘導のためのデータ処理を行う装置であって、上記走行
経路を現在の車両走行位置に応じて順次運転者に提示し
て上記経路誘導を行うようになっている。上記走行経路
の提示は、画像出力装置２０および音声出力装置２２を
用いて画像および音声により運転者の視覚および聴覚に
訴えて行うようになっている。

【００２０】上記走行目的地の設定は、データ入力装置
２４においてタッチパネル等を用いたマニュアル入力に
より行われるようになっている。

【００２１】上記外部情報受信装置２６は、渋滞情報や
事故・障害等の道路交通情報を受信するようになってい
る。ここで渋滞情報は、上記各リンク毎の旅行時間で表
現されている。受信された道路交通情報は、経路計画装
置１６に出力されるようになっている。

【００２２】上記ヒューリスティクス入力装置２８は、
道路状況に関するヒューリスティクス、特に本実施例に
おいては渋滞状況に関するヒューリスティクス、すなわ
ち渋滞状況に関して経験的に得られる種々の情報を運転
者等の入力操作により入力する装置であって、上記各リ
ンク毎の情報として入力されるようになっている。例え
ば、 （１）時間に関係するもの（「月末に混む」、「五・十
日に混む」など） （２）他の道路の状況に関係するもの（「首都高が混む
ときに混む」など） （３）当該リンク周辺でのイベントに関係するもの
（「競馬があると混む」など）のような情報が入力され
る。

【００２３】こうして入力されたヒューリスティクス
は、道路状況推測装置３０を介してヒューリスティクス
メモリ３２に記憶されるようになっている。その際、道
路状況推測装置３０は、上記ヒューリスティクスを各リ
ンク毎の旅行時間で渋滞度合として表現してヒューリス
ティクスメモリ３２に記憶するようになっている。

【００２４】上記道路状況推測装置３０は、ヒューリス
ティクスメモリ３２に記憶されたヒューリスティクスか
ら現在の渋滞状況を推測し、その推測結果を経路計画装
置１６に出力するようになっている。

【００２５】上記経路計画装置１６は、最適走行経路計
画の際における走行経路ロス算出のための上記各リンク
毎のコスト設定に当たり、該リンクの旅行時間として外
部情報受信装置２６で受信された渋滞情報を用いるが、
該リンクの渋滞情報がまだ受信されていない場合あるい
は該リンクについての渋滞情報が元々提供されていない
場合には、上記ヒューリスティクスから道路状況推測装
置３０により推測された渋滞状況を用いるようになって
いる。また、ある種のヒューリスティクスから推測され
た渋滞状況については、外部情報受信装置２６で受信さ
れた渋滞情報と共に用いられるようになっている。

【００２６】次に、本実施例に係る経路誘導装置におけ
る最適走行経路の計画およびこれに基づく経路誘導の具
体例について説明する。

【００２７】まず、経路誘導装置のシステムが起動した
直後のように、まだ外部情報受信装置２６で渋滞情報が
受信されていない場合には、上記（１）および（３）の
ヒューリスティクスから推測された渋滞状況に基づいて
各リンクの旅行時間を決定し、各リンク毎のコスト設定
に供する。そして、これに基づいて、自車現在位置から
走行目的地までの走行経路ロスが最小となる最適走行経
路の計画を行い、この最適走行経路に従って経路誘導を
行う。この経路誘導開始後、外部情報受信装置２６によ
り渋滞情報が受信されたときには、この渋滞情報と上記
（２）のヒューリスティクスから推測された渋滞状況と
に基づいて各リンクの旅行時間を決定し、各リンク毎の
コスト設定を行う。その結果、上記計画された最適走行
経路が走行経路ロスが最小となる走行経路ではないもの
となれば、最適走行経路の再計画を行い、この再計画さ
れた最適走行経路に従って経路誘導を行う。

【００２８】以上詳述したように、本実施例において
は、外部からの渋滞情報のみならずヒューリスティクス
メモリ３２に記憶された渋滞状況に関するヒューリステ
ィクスから推測された現在の渋滞状況をも加味して走行
経路計画を行うようになっているので、外部からの渋滞
情報が得られている場合には、該渋滞情報およびヒュー
リスティクスから推測された渋滞状況を加味して走行経
路計画を行うことにより、一方、外部からの渋滞情報が
得られていない状況下においては、あるいは外部から渋
滞情報が入手できないリンクについては、ヒューリステ
ィクスから推測された渋滞状況を加味して走行経路計画
を行うことにより、常に渋滞状況を的確に把握した上
で、最適走行経路を得ることができる。

【００２９】このように本実施例によれば、たとえ外部
から交通情報を入手できない場合であっても実際の道路
状況に即応した最適走行経路を得ることができる。

【００３０】ところで、上記ヒューリスティクスに誤っ
た情報が含まれているためにこれから推測された道路状
況が実際の道路状況とは異なっている場合や、ヒューリ
スティクスが記憶された時点の道路状況に対して現在の
道路状況が変化してしまっているような場合がある。こ
のような場合には、ヒューリスティクスから推測された
道路状況を加味して走行経路計画を行うと、実際の道路
状況に即応しない走行経路しか得られないという事態も
生じ得る。

【００３１】しかしながら、上記ヒューリスティクス入
力装置２８から渋滞状況に関するヒューリスティクスを
できるだけ頻繁に入力するようにすれば、誤った情報を
淘汰することが可能である。すなわち、もしヒューリス
ティクスに誤った情報が含まれているとすれば、ヒュー
リスティクスメモリ３２に蓄積された各ヒューリスティ
クス相互間に矛盾が生じるので、この場合、入力頻度の
高い方のヒューリスティクスを正しいものと判定するよ
うにすれば、誤った情報を淘汰することができる。

【００３２】さらに、上記道路状況推測装置３０に、ヒ
ューリスティクスから推測された渋滞状況と自車を実際
に走行させたときの渋滞状況とを比較してヒューリステ
ィックスの信頼性を評価する機能を付与するようにして
もよい。このようにすれば、ヒューリスティクスをその
信頼性の程度を明らかにした上で渋滞状況の推測に用い
ることができる。例えば、推測された渋滞状況と実際の
渋滞状況とが明らかに異なる結果を引き起こすような信
頼性の低いヒューリスティクスが記憶されている場合に
は、そのヒューリスティクスを廃棄して信頼性の高いヒ
ューリスティクスに置き換えればよいし、ヒューリステ
ィクスの信頼性が微妙な場合には、これから導かれる渋
滞状況のコスト設定への寄与率を少し下げるようすれば
よい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る自動車の経路誘導装置の一実施例
を示すブロック図

【符号の説明】

１２ 地図データベース １４ 定位装置 １６ 経路計画装置（走行経路計画手段） １８ データ処理装置（経路誘導手段） ２０ 画像出力装置 ２２ 音声出力装置 ２４ データ入力装置 ２６ 外部情報受信装置 ２８ ヒューリスティクス入力装置 ３０ 道路状況推測装置（道路状況推測手段）（信頼
性評価手段） ３２ ヒューリスティクスメモリ（ヒューリスティク
ス記憶手段）

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地図データベースを用いて自車現在位置
   から所定の走行目的地までの走行経路の計画を行う走行
   経路計画手段と、この計画された走行経路に基づいて自
   車の経路誘導を行う経路誘導手段と、を備えた自動車の
   経路誘導装置であって、 道路状況に関するヒューリスティクスを記憶するヒュー
   リスティクス記憶手段と、 前記ヒューリスティクスから現在の道路状況を推測する
   道路状況推測手段とを備え、 前記走行経路計画手段は、走行経路に関する渋滞情報が
   外部情報受信装置によって受信されていない場合に、前
   記道路状況推測手段によりヒューリスティクスに基づい
   て推測された道路状況を用いて走行経路計画を行う一
   方、前記外部情報受信装置で渋滞情報が受信されている
   場合は、この渋滞情報に前記推測された道路状況を加味
   して前記走行経路計画を行うように構成されている、こ
   とを特徴とする自動車の経路誘導装置。
2. 【請求項２】 前記推測された道路状況と自車を実際に
   走行させたときの道路状況とを比較して前記ヒューリス
   ティクスの信頼性を評価する信頼性評価手段を備えてい
   る、ことを特徴とする請求項１記載の自動車の経路誘導
   装置。
3. 【請求項３】 前記ヒューリスティクスは、地図データ
   ベースにおける走行路のリンク毎に経験的に得られた時
   間に関係する渋滞情報を入力したものである、ことを特
   徴とする請求項１記載の自動車の経路誘導装置。
4. 【請求項４】 前記ヒューリスティクスは、地図データ
   ベースにおける走行路のリンク毎に、その周辺のイベン
   トに関係する経験的に得られた渋滞情報を入力したもの
   である、ことを特徴とする請求項１記載の自動車の経路
   誘導装置。
5. 【請求項５】 前記ヒューリスティクスは、地図データ
   ベースにおける走行路のリンク毎に、走行経路以外の他
   の道路の状況に関係する経験的に得られた渋滞情報を入
   力したものである、ことを特徴とする請求項３又は４の
   いずれかに記 載の自動車の経路誘導装置。