JP3404107B2 - 射出成形用樹脂および射出成形用樹脂組成物 - Google Patents

射出成形用樹脂および射出成形用樹脂組成物

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JP3404107B2
JP3404107B2 JP02559294A JP2559294A JP3404107B2 JP 3404107 B2 JP3404107 B2 JP 3404107B2 JP 02559294 A JP02559294 A JP 02559294A JP 2559294 A JP2559294 A JP 2559294A JP 3404107 B2 JP3404107 B2 JP 3404107B2
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ethylene
copolymer
injection molding
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孝二 山本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スパイラルフロー等の
成形性が良好で、優れた透明性や、常温又は低温におい
て優れた衝撃強度、引張強度を持ちながら、耐熱性が良
好で、強度と剛性のバランスの良好な射出成形体に好適
な樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、タッパーウェアー(登録商
標)等の柔軟性樹脂製食品容器に使用されてきた材料と
しては高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、高圧法低
密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどが挙げ
られる。高密度ポリエチレンは、柔軟性、透明性が劣る
という欠点がある。透明性が悪いと容器内の内容物が見
えなかったり見えにくかったりして、実用上の商品価値
が低下したり用途が限定されたりする。
【0003】一方、ポリプロピレンは透明性は比較的良
好で、常温では力学的性質も良好であるが、低温におい
ての強度が足りず、冷凍保存用途では、局部的ストレス
が加わったときなどに亀裂や白化が起こり易いといった
欠点があった。また、柔軟性に欠けるため、容器を大き
く曲げたりすると白い筋が残ったり、元の形に戻りにく
くなったりする等の欠点もあった。
【0004】また、高圧法低密度ポリエチレンも透明性
は比較的良好であるが、耐熱性がないため、電子レンジ
用などの用途には使用できなかったり、また耐環境(応
力)亀裂(ESCR)も良好ではなく、耐酸性及び耐塩
基性や耐油/耐薬品性が要求される分野に適していなか
ったりして用途が限定されるという問題点を残してい
た。
【0005】これらの樹脂の問題点を解決する樹脂とし
て導入されてきたのが線状低密度ポリエチレンである
が、これもやはり透明性が市場要求レベルには到達でき
ず、柔軟性も今一つであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、スパイラル
フロー等の成形性が良好で、しかも優れた透明性や、常
温又は低温においての優れた衝撃強度や引張強度を持ち
ながら、耐熱性が良好で、強度と剛性バランスの良好な
射出成形体に好適な樹脂組成物を提供する事を目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】[発明の概要] 本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討し
た結果、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体及び
高圧法低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物を使用す
ることで上記目的が達成されることを見出し、本願発明
を完成した。
【0008】すなわち、本願の第一の発明は、以下に示
す成分Aおよび成分Bからなることを特徴とする柔軟性
樹脂製食品容器射出成形用樹脂組成物である。 成分A: 下記に示す(a)〜(c)の性状を有するエ
チレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体
50〜95重量% (a) MFR(190℃、2.16kg荷重)10
〜120g/10分 (b) 密度が0.915g/cm3 以下 (c) 温度上昇溶離分別(TREF)によって得られ
る溶出曲線のピークが1つ存在し、該ピーク温度が85
℃以下である 成分B: 下記に示す(a)〜(c)の性状を有する高
圧法低密度ポリエチレン5〜50重量%(a) MFR(190℃、2.16kg荷重)が1〜
50g/10分 (b) 密度が0.915〜0.93g/cm 3 (c) ME(3g)が1.3以上
【0009】また、本願の第二の発明は、上記第一の発
明の組成物を射出成形して得られる、ヘイズが70%以
下、曲げ弾性率が1500kgf/cm 2 以下である射
出成型品である。
【0010】[発明の具体的な説明] [I]構成成分 (1)エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共
重合体 (a)性状 本発明における、詳細には上記第1の発明に係る射出成
形用樹脂及び上記第2の発明に係る射出成形用樹脂組成
物の成分Aには、エチレンと炭素数4以上のα−オレフ
ィンとの共重合体(以下、この共重合体を「本発明に用
いるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重
合体」という。)のうち、以下の〜の性状、好まし
くはさらに〜の性状を有するものを用いる
【0011】MFR 本発明に用いるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィ
ンとの共重合体のJIS−K7210によるMFR(メ
ルトフローレート:Melt Flow rate:溶
融流量、190℃、2.16kg荷重)は、10〜12
0g/10分、特に好ましくは10〜100g/10
分、最も好ましくは10〜70g/10分、殊更好まし
くは30〜70g/10分である。MFRが高すぎると
強度が低下するので好ましくない。また、MFRが低す
ぎると成形が困難となるので好ましくない。
【0012】密度 本発明に用いるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィ
ンとの共重合体のJIS−K7112による密度は、
0.915g/cm3 以下、好ましくは0.860〜
0.912g/cm3 、特に好ましくは0.870〜
0.910g/cm3である。密度が高すぎると透明性
が低下し、また柔軟性も低下するので好ましくない。ま
た、低すぎると成形品にした場合にその表面にベタつき
成分が多くなり好ましくない。
【0013】温度上昇溶離分別による溶出曲線の測定 温度上昇溶離分別(Temperature Rising Elution Fract
ionation:TREF)による測定は、「Journal of A
pplied Polymer Science. Vol.26, 4217-4231(198
1)」および「高分子討論会予稿集 2P1C09(1985年)」
に記載されている原理に基づき、以下のようにして行わ
れる。まず、測定の対象とするポリマーを溶媒中で完全
に融解する。その後、冷却して不活性坦体表面に薄いポ
リマー層を形成させる。かかるポリマー層は結晶しやす
いものが内側(不活性担体表面に近い側)に、結晶しに
くいものが外側に形成されてなるものである。次に、温
度を連続又は段階的に上昇させると、低温度段階では対
象のポリマー組成中の非晶部分すなわちポリマーの持つ
短鎖分岐の分岐度の多いものから溶出し、温度が上昇す
るとともに徐々に分岐度の少ないものが溶出し、最終的
に分岐のない直鎖状の部分が溶出し測定は終了するので
ある。かかる各温度での溶出成分の濃度を検出し、その
溶出量と溶出温度によって描かれるグラフによってポリ
マーの組成分布を見ることができるものである。
【0014】本発明に用いるエチレンと炭素数4以上の
α−オレフィンとの共重合体は、温度上昇溶離分別(T
REF)によって得られる溶出曲線のピークが1つ存
し、かつピーク温度が85℃以下、好ましくは75℃
以下、特に好ましくは60℃以下である。ピーク温
が85℃を超えると、柔軟性、透明性が悪化するので好
ましくない。
【0015】温度上昇溶離分別による40℃における
溶出量 本発明に用いるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィ
ンとの共重合体は、温度上昇溶離分別(TREF)によ
る40℃における溶出量(Y:エチレンと炭素数4以上
のα−オレフィンとの共重合体全量に対する重量%)が
以下の条件を満たすものであることが好ましい。すなわ
ち、Y≦−3600D+3304(D:エチレンと炭素
数4以上のα−オレフィンとの共重合体の密度、ただ
し、Y≦100)であり、好ましくは、Y≦−3800
D+3482(ただし、Y≦100)である。上記範囲
から外れると、製品の表面にブリードアウトが起こり易
くなり、製品の食品衛生面で問題となってくるので、好
ましくない。
【0016】ヘイズ(HAZE) 本発明に用いるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィ
ンとの共重合体は、射出成形したシート(厚さ2mm)
を用いて、JIS−K7105に従って測定されるヘイ
ズ(HAZE)が以下のものであることが望ましい。す
なわち、70%以下、好ましくは50%以下、特に好ま
しくは40%以下、最も好ましくは30%である。
【0017】曲げ弾性率 本発明に用いるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィ
ンとの共重合体は、JIS−K7203に従って測定さ
れる曲げ弾性率は、以下のものであることが望ましい。
すなわち、1500kgf/cm2 以下、好ましくは1
200kgf/cm2下、特に好ましくは1000k
gf/cm2 以下である。曲げ弾性率が上記範囲を
ると柔軟性に欠けるということなので好ましくない。
【0018】(b)エチレンと炭素数4以上のα−オレ
フィンとの共重合体の製造 本発明に用いるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィ
ンとの共重合体の製造法は、特開昭58−19309
号、同59−95292号、同60−35005号、同
60−35006号、同60−35007号、同60−
35008号、同60−35009号、同61−130
314号、特開平3−163088号の各公報、ヨーロ
ッパ特許出願公開第420436号明細書、米国特許第
5055438号明細書及び国際公開公報WO91/0
4257号明細書などに記載されている方法である。
なわち、本発明に用いるエチレンと炭素数4以上のα−
オレフィンとの共重合体の製造法は、メタロセン触媒、
特にメタロセン・アルモキサン触媒、または例えば、国
際公開公報WO92/04257号等に開示されている
ようなメタロセン化合物と以下に述べるメタロセン化合
物と反応して安定なイオンとなる化合物からなる触媒を
使用して、主成分のエチレンと、従成分の炭素数4以上
のα−オレフィンとを共重合させる方法である。
【0019】上述のメタロセン化合物と反応して安定な
イオンとなる化合物とは、カチオンとアニオンのイオン
対から形成されるイオン性化合物あるいは親電子性化合
物であり、メタロセン化合物と反応して安定なイオンと
なって重合活性種を形成するものである。
【0020】このうちイオン性化合物は下記式〔I〕で
表わされる。 〔I〕 〔Q〕m 〔Y〕m- (mは1以上の整数) Qはイオン性化合物のカチオン成分であり、カルボニウ
ムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチ
オン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、
ホスホニウムカチオン等があげられ、さらには、それ自
身が還元され易い金属の陽イオンや有機金属の陽イオン
などもあげられる。これらのカチオンは特表平1−50
1950号公報などに開示されているようなプロトンを
与えることができるカチオンだけではなく、プロトンを
与えないカチオンでも良い。これらのカチオンの具体例
としては、トリフェニルカルボニウム、ジフェニルカル
ボニウム、シクロヘプタトリエニウム、インデニウム、
トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、
トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウ
ム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモ
ニウム、トリフェニルホスホニウム、トリメチルホスホ
ニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリ
(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルスルホ
ニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチルオキソ
ニウム、ピリリウム、また、銀イオン、金イオン、白金
イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウ
ムイオン等があげられる。
【0021】また、Yはイオン性化合物のアニオン成分
であり、メタロセン化合物と反応して安定なイオンとな
る成分であって、有機ホウ素化合物アニオン、有機アル
ミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオ
ン、有機リン化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオ
ン、有機アンチモン化合物アニオンなどがあげられ、具
体的にはテトラフェニルホウ素、テトラキス(3,4,
5−トリフルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,
5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ素、テト
ラキス(3,5−(t−ブチル)フェニル)ホウ素、テ
トラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、テトラフ
ェニルアルミニウム、テトラキス(3,4,5−トリフ
ルオロフェニル)アルミニウム、テトラキス(3,5−
ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アルミニウム、テ
トラキス(3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)アルミ
ニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミ
ニウム、テトラフェニルガリウム、テトラキス(3,
4,5−トリフルオロフェニル)ガリウム、テトラキス
(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ガリウ
ム、テトラキス(3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)
ガリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリ
ウム、テトラフェニルリン、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)リン、テトラフェニルヒ素、テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ヒ素、テトラフェニルアン
チモン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アンチ
モン、デカボレート、ウンデカボレート、カルバドデカ
ボレート、デカクロロデカボレート等があげられる。
【0022】また、親電子性化合物としては、ルイス酸
化合物として知られるもののうち、メタロセン化合物と
反応して安定なイオンとなって重合活性種を形成するも
のであり、種々のハロゲン化金属化合物や固体酸として
知られている金属酸化物などがあげられる。具体的に
は、ハロゲン化マグネシウムやルイス酸性無機酸化物な
どが例示される。
【0023】α−オレフィン ここでα−オレフィンとしては、炭素数4以上のα−オ
レフィン、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘ
キセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチルペン
テン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチル
ペンテン−1等が挙げられる。これらα−オレフィンの
中で好ましくは炭素数4〜12、特に好ましくは6〜1
0の1種または2種以上のα−オレフィン2〜60重量
%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜
30重量%と、エチレン40〜98重量%、好ましくは
50〜95重量%、特に好ましくは70〜90重量%と
を共重合させるのが好ましい。
【0024】共重合 重合方法としては、気相法、スラリー法、溶液法、高圧
イオン重合法などを挙げることができる。これらの中で
は溶液法および高圧イオン重合法が好ましく、特に高圧
イオン重合法で製造することが好ましい。なお、この高
圧イオン重合法とは、特開昭56−18607号、特開
昭58−225106号の各公報に記載されている、圧
力が100kg/cm2 以上、好ましくは300〜20
00kg/cm2 、温度が125℃以上、好ましくは1
30〜250℃、特に150〜200℃の反応条件下に
行われるエチレン系重合体の製造法である。
【0025】(2)射出成形用樹脂組成物 配合用樹脂 本発明の射出成形用樹脂組成物の成分Bの重合体は、高
圧重合法によって得られる高圧法低密度ポリエチレン
ある。また、後記、の樹脂を併用することもでき
る。
【0026】高圧法低密度ポリエチレン 前記エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重
合体に、高圧法低密度ポリエチレンを配合して射出成形
用樹脂組成物とする場合の高圧法低密度ポリエチレン
(成分B)は、以下の性状(a)〜(c)を有するもの
であり、さらに性状(d)〜(e)のものを使用するこ
とが望ましい。
【0027】(a)MFR JIS−K7210によるMFR(メルトフローレー
ト:Melt Flowrate:溶融流量、190
℃、2.16kg荷重)が、1〜50g/10分、特に
好ましくは10〜50g/10分の物性を示すものが望
ましい。MFRが高すぎると強度が低下するので好まし
くない。また、MFRが低すぎると成分Aと混ざりにく
くなるので好ましくない。
【0028】(b)密度 JIS−K7112による密度が、0.915〜0.9
3g/cm3 、好ましくは0.918〜0.927g/
cm3 、特に好ましくは0.919〜0.923g/c
3 の物性を示すものであることが望ましい。密度が高
すぎると透明性が悪化し好ましくない。また、低すぎる
と成形品にした場合にその表面にベタつき成分が多くな
り好ましくない。
【0029】(c)ME(Memory Effect :復元効果) ME(3g)(Memory Effect :復元効果)が、1.3
以上、好ましくは1.6以上、特に好ましくは1.8以
上の物性を示すものであることが望ましい。該MEが上
記値より小さすぎると成形性改良効果が少なく好ましく
ない。なお、上記ME(3g)の測定は、JIS−K7
210で使用されるメルトインデクサーを使用し、測定
条件をシリンダー温度240℃、定速押出量3g/分に
設定して、以下のように実施される。装置にサンプルを
充填し、ピストンのみを乗せ、6分後に規定の押出速度
をかける。次に、エチルアルコールを入れたメスシリン
ダーをオリフィス直下に置き、真っ直ぐな押出物を採取
する。採取した押出物の直径(D)をマイクロメーター
で測定し、ダイスのオリフィス径をD0 として、次式に
よりMEが求められる。 ME=D/D0
【0030】(d) Q値 当該高圧法低密度ポリエチレンは、サイズ排除クロマト
グラフィー(Size Exclusion Chromatography : SEC) に
よって求められるQ値(重量平均分子量/数平均分子
量)が、5以上、好ましくは7以上、特に好ましくは9
以上の物性を示すものが好ましい。該Q値が低すぎると
成形性改良効果が小さく好ましくない。
【0031】(e) 活性化エネルギー(Ea) 当該高圧法低密度ポリエチレンの粘度から求めた剪断速
度(Shear Rate) が24sec -1のときの活性化エネルギ
ー(Ea)は、5KJ/mol以上、好ましくは8KJ/mol以
上、特に好ましくは12KJ/mol以上である。活性化エネ
ルギーが小さいとスパイラルフローの改良効果が少なく
好ましくない。この活性化エネルギーは、「レオロジ
ー」(みすず書房刊、中川鶴太郎、神戸博太郎著 604
頁)、「講談社現代の科学シリーズ18 レオロジー」
(講談社刊、林静男著 160 〜161 頁)等の文献に記載
されている粘性率と温度の関係を表すアレニウス(Arrh
enius )の式又はアンドレード(Andrade )の式より活
性化エネルギーを計算する方法で求める。具体的には、
キャピログラフ型粘度測定装置にて測定温度は160℃
(433k)、190℃(463k)、230℃(50
3k)とし、各温度で測定した粘度カーブ(剪断速度に
対する粘度の依存曲線)より剪断速度は24sec -1の時
の剪断粘度(η)を求める。次に、1/T(T=測定温
度:k)を横軸に、logηを縦軸にしたグラフにより
切片:logAを求める。求めた各値を次式に代入し、
活性化エネルギー(Ea)を計算する。 η=Ae-Ea/RT → logη=logA−Ea/RT (η:剪断粘度(poise)、A:頻度因子、Ea:活性化
エネルギー(KJ/mol)、R:気体定数(8.3145J/K・mol)、
T:絶対温度(k))
【0032】(f) 高圧法低密度ポリエチレンの具体例 当該高圧法低密度ポリエチレンは、市販品の中から上記
物性を示すものを適宜選択して使用することができる。
【0033】プロピレン系重合体 前記エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重
合体(成分A)及び高圧法低密度ポリエチレン(成分
B)にプロピレン系重合体を配合して射出成形用樹脂組
成物とする場合のプロピレン系重合体は、プロピレンの
単独重合体あるいはプロピレンと少量のα−オレフィン
とのランダム又はブロツク共重合体である。その製造法
は特に限定されるものではなく、一般的には、いわゆる
チタン含有固体状遷移金属成分と有機成分を組み合わせ
て用いるチーグラー・ナツタ触媒、特には遷移金属成分
がチタン、マグネシウムおよびハロゲンを必須成分と
し、電子供与性化含物を任意成分とする固体成分または
三塩化チタンとし、有機金属成分が有機アルミニウム化
合物とする触媒を用いて、スラリー重合、気相重合、バ
ルク重合、溶液重合など又はこれらを組み合わせた重合
法で、一段又は多段で、プロピレンを単独重合すること
によって得られるプロピレン単独重合体、又はプロピレ
ンと炭素数2又は4〜12のα−オレフィン、好ましく
はエチレンとを一段又は多段で共重合させることによっ
て得られるプロピレン・エチレン共重合体である。ま
た、これらのプロピレン系重合体は、ランダム重合体で
もブロック重合体でもよいが、好ましくはブロック重合
体である。なお、これらのプロピレン系重合体は2種以
上のものを用いても良い。上記プロピレン系重合体は、
以下の性状を有していることが好ましい。
【0034】(a) MFR 当該プロピレン重合体のJIS−K7210(230
℃、2.16kg荷重)によるMFRは、1〜100g/
10分、好ましくは5〜50g/10分、特に好ましく
は10〜40g/10分である。MFRが高すぎると強
度が低下して好ましくない。またMFRが低すぎるとス
パイラルフローが悪化するので好ましくない。
【0035】(b) 活性化エネルギー(Ea) 当該プロピレン系重合体の粘度から求めた剪断速度(Sh
ear Rate) が24sec -1のときの活性化エネルギー(E
a)は、8KJ/mol以上、好ましくは10KJ/mol以上、特
に好ましくは12KJ/mol以上である。該活性化エネルギ
ーが小さすぎるとスパイラルフロー改良効果が少なく好
ましくない。該活性化エネルギーの測定法は、粘度の測
定温度を190℃(463k)、230℃(503
k)、260℃(533k)とした以外は、前述したと
おりである。
【0036】(c) α−オレフィン含量 当該プロピレン系重合体が、プロピレン・α−オレフィ
ン共重合体である場合のα−オレフィン含量は、ブロッ
ク共重合体のときは1〜40重量%、好ましくは1〜2
5重量%、特に好ましくは2〜20重量%、最も好まし
くは3〜15重量%である。また、ランダム共重合体の
場合は、10重量%以下、好ましくは0.5〜7重量%
である。
【0037】(d) パルス法NMRによる特性 当該プロピレン系重合体は、「Multiple-Pulse Nuclear
Magnetic Resonanceon Some Crystalline Polymers
(Polymer Journal, Vol 3, No.4, pp 448-462(1972);
K.Fujimoto, T.Nishi and R.Kado) に記載のパルス法N
MR法で求めた、結晶成分(I) 、拘束された非晶成分(I
I)および拘束されていない非晶成分(III) のそれぞれの
比率が、(I) /(II)が重量比で1.5〜4、好ましくは
2〜3.5で、かつ(III) が3〜30重量%、好ましく
は5〜20重量%である。(I) /(II)が上記範囲より小
さいと耐熱性が劣り好ましくない。上記範囲を越えると
引張伸び特性が不足となり、好ましくない。(III) が上
記範囲より小さいと耐衝撃性が劣り好ましくない。上記
範囲を越えると成形品表面に傷が付きやすくなり、製品
価値を低下させるので好ましくない。
【0038】(e) プロピレン系重合体の具体例 当該プロピレン系重合体は、市販品の中から上記物性を
示すものを適宜選択して用いることができる。
【0039】線状低密度ポリエチレン 前記エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重
合体(成分A)及び高圧法低密度ポリエチレン(成分
B)に、線状低密度ポリエチレンを配合して射出成形用
樹脂組成物とする場合の線状低密度ポリエチレンは、エ
チレンと他のα−オレフィンとの共重合体であり、エチ
レンと例えばプロピレン、l−ブテン、l−ペンテン、
l−へキセン、l−オクテン、l−へプテン、4−メチ
ルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジ
メチルペンテン−l等を共重合させることにより製造さ
れる。これらのα−オレフィンの中で、好ましくは炭素
数4〜12のα−オレフィンであり、中でもl−へキセ
ンが特に好ましい。製造法は特に限定されないが、具体
的には、いわゆるチーグラー系触媒を使用して気相法、
スラリー法、溶液法、高圧イオン重合法等の方法で製造
することができる。上記線状低密度ポリエチレンは、以
下の性状を有していることが好ましい。
【0040】(a) MFR 当該線状低密度ポリエチレンのJIS−K7210(1
90℃、2.16kg荷重)によるMFRは、1〜100
g/10分、好ましくは1〜50g/10分、特に好ま
しくは10〜40g/10分である。MFRが高すぎる
と強度が低下して好ましくない。またMFRが低すぎる
とスパイラルフローが悪化するので好ましくない。
【0041】(b)密度 当該線状低密度ポリエチレンのJIS−K7112によ
る密度が、0.90〜0.935g/cm3 、好ましく
は0.91〜0.93g/cm3 、特に好ましくは0.
915〜0.925g/cm3 の物性を示すものである
ことが望ましい。密度が高すぎると透明性を阻害し好ま
しくない。また、低すぎると成形品にした場合にその表
面にベタつき成分が多くなり好ましくない。
【0042】(c) 温度上昇溶離分別(TREF)による
溶出曲線のピーク 当該線状低密度ポリエチレンの溶出曲線のピークは、1
つ以上、好ましくは2つ以上であり、そのうち少なくと
も1つのピーク温度は90℃以上である。
【0043】(d) Q値 当該線状低密度ポリエチレンのQ値が、好ましくは2.
5〜6、特に好ましくは2.7〜4である。
【0044】配合割合 上記の成分Aと成分Bとからなる樹脂組成物における各
成分の配合割合は、成分A:成分B=50:50〜9
5:5重量%、好ましくは60:40〜90:10重量
%、特に好ましくは70:30重量%〜90:10重量
%である。成分Bの配合割合が多すぎると柔軟性や衝撃
強度等の物性バランスが劣り好ましくない。成分Bの配
合割合が少なすぎると成形性改良効果が少なく好ましく
ない。
【0045】(3)その他の付加的成分 射出成形体を製造する際、一般に樹脂添加剤として用い
られている補助添加成分、例えば、酸化防止剤、熱安定
剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、また
必要であれば顔料などを本発明の効果を著しく損なわな
い範囲で添加することができる。
【0046】(4)樹脂組成物の物性 本発明の射出成形用樹脂組成物は、射出成形したシート
(厚さ2mm)を用いて、JIS−K7105に従って
測定したHAZE(ヘイズ)が70%以下、好ましくは
50%以下、特に好ましくは40%以下、最も好ましく
は30%以下、殊更25%以下が好ましい。である。ま
た、本発明の射出成形用樹脂組成物のMFRは、好まし
くは5〜100g/10分、特に好ましくは5〜50g
/10分である。また、本発明の射出成形用樹脂組成物
のME(メモリーエフェクト)は、好ましくは1.1以
上、特に好ましくは1.2以上である。
【0047】〔II〕射出成形体の製造法 本発明の樹脂および樹脂組成物は、一軸または二軸の押
出機、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラ
フ、バンバリーミキサー、ロール等によって溶融混練し
てペレット化する。このペレットを用いて射出成形機に
より成形体とする。射出成形は通常の射出成形機を用い
一般的な条件にて行うが、本願発明においては射出成形
の条件等で特に制限を受けるものではない。
【0048】
【実施例】以下に本発明の実施例を記載し、本発明を具
体的に説明する。 (1)物性の測定方法と評価方法 実施例及び比較例に用いられる測定方法は次のとおりで
ある。 MFR:JIS K7210に準拠 (エチレン系重合体 :190℃、2.16kg荷重) (プロピレン系重合体:230℃、2.16kg荷重) 密度:JIS K7112に準拠 溶出曲線の測定:本発明における温度上昇溶離分別
(TemperatureRising Elution Fractionation:TRE
F)による溶出曲線のピークは、一度高温にてポリマー
を完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄い
ポリマー層を生成させ、次いで、温度を連続又は段階的
に昇温して、溶出した成分を回収し、その濃度を連続的
に検出して、その溶出量と溶出温度によって描かれるグ
ラフ(溶出曲線)のピークで、ポリマーの組成分布を測
定するものである。
【0049】該溶出曲線の測定は、以下のようにして行
った。測定装置としてクロス分別装置(三菱油化(株)
製 CFC T150A)を使用し、付属の操作マニュ
アルの測定法に従って行った。このクロス分別装置は、
試料を溶解温度の差を利用して分別する温度上昇溶離分
別(TREF)機構と、分別された区分を更に分子サイ
ズで分別するサイズ排除クロマトグラフ(Size Exclusi
on Chromatography :SEC)をオンラインで接続した
装置である。
【0050】まず、測定すべきサンプル(共重合体)を
溶媒(o−ジクロロベンゼン)を用い、濃度が4mg/
mlとなるように、140℃で溶解し、これを測定装置
内のサンプルループ内に注入する。以下の測定は設定条
件に従って自動的に行われる。サンプルループ内に保持
された試料溶液は、溶解温度の差を利用して分別するT
REFカラム(不活性担体であるガラスビーズが充填さ
れた内径4mm、長さ150mmの装置付属のステンレ
ス製カラム)に0.4ml注入される。次に、該サンプ
ルを1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却
し、上記不活性担体にコーティングさせる。このとき、
高結晶性成分(結晶しやすいもの)から低結晶性成分
(結晶しにくいもの)の順で不活性担体表面にポリマー
層が形成される。TREFカラムが0℃で更に30分間
保持された後、0℃の温度で溶解している成分2ml
が、1ml/分の流速でTREFカラムからSECカラ
ム(昭和電工社製 AD80M/S 3本)へ注入され
る。
【0051】SECで分子サイズでの分別が行われてい
る間に、TREFカラムでは次の溶出温度(5℃)に昇
温され、その温度に約30分間保持される。SECでの
各溶出区分の測定は39分間隔で行われた。溶出温度は
以下の温度で段階的に昇温される。 0,5,10,15,20,25,30,35,40,
45,49,52,55,58,61,64,67,7
0,73,76,79、82,85,88、91,9
4,97,100,102,120,140℃
【0052】該SECカラムで分子サイズによって分別
された溶液は、装置付属の赤外分光光度計でポリマーの
濃度に比例する吸光度が測定され(波長3.42μ,メ
チレンの伸縮振動で検出)、各溶出温度区分のクロマト
グラムが得られる。内蔵のデータ処理ソフトを用い、上
記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベ
ースラインを引き、演算処理される。各クロマトグラム
の面積が積分され、積分溶出曲線が計算される。また、
この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が計
算される。計算結果の作図はプリンターに出力される。
出力された微分溶出曲線の作図は、横軸に溶出温度を1
00℃当たり89.3mm、縦軸に微分量(全積分溶出
量を1.0に規格し、1℃の変化量を微分量とした)
0.1当たり76.5mmで行った。
【0053】Q値:サイズ排除クロマトグラフィー(S
ize Exclusion Chromatography : SEC) を用いて、以下
に示す測定条件下で測定し、重量平均分子量/数平均分
子量よりQ値を求めた。なお、単分散ポリスチレンでユ
ニバーサルな検量線を作成し、直鎖のポリエチレンの分
子量として計算した。 機種:Waters Model 150C GPC 溶媒:o−ジクロロベンゼン 流速:1m1/分 温度:140℃ 測定濃度:2mg/ml 注入量:200μl カラム:昭和電工社製 AD80M/S 3本
【0054】ME(Memory Effect :復元効果) JIS−K7210で使用されるメルトインデクサーを
使用し、測定条件をシリンダー温度240℃、定速押出
量3g/分に設定して、以下のように実施される。装置
にサンプルを充填し、ピストンのみを乗せ、6分後に規
定の押出速度をかける。次に、エチルアルコールを入れ
たメスシリンダーをオリフィス直下に置き、真っ直ぐな
押出物を採取する。採取した押出物の直径(D)をマイ
クロメーターで測定し、ダイスのオリフィス径をD0
して、次式によりMEが求められる。 ME=D/D0
【0055】活性化エネルギー(Ea):東洋精機製
作所製「キャピログラフ1B PMD−C」を使用し、
キャピラリーは径1mm、長さ10mmを使用し、押出
速度を2.5、5、10、20、50、100、200
m/分でオートスピードセットして、各温度での粘度を
測定し、前記の活性化エネルギー(Ea)の計算方法に
よって算出した。
【0056】パルス法NMR:日本電子製「JEOL
−GSX270」を使用し、30℃の試料に対して90
℃のパルス幅、1.8μsでソリッドエコーの測定を行
う。得られた磁化減衰曲線を対数プロットし、前記した
文献「Multiple-Pulse Nuclear Magnetic Resonance on
Some Crystalline Polymers (Polymer Journal,Vol
3, No.4, pp 448-462(1972); K.Fujimoto, T.Nishi and
R.Kado) に記載の方法で成分分離を行い、各成分の分
率を求める。
【0057】(2)評価方法 スパイラルフロー:以下の条件で射出成形し、金型は
スパイラル状で流路寸法は厚み2mm、金型固定面の幅
6mm、対面の幅4mmで流路面に5mm間隔のスケー
ルを浅く刻み、試験片に転写する。転写した目盛から試
料が金型を流れた距離を測定する。 機 種:東芝IS−90B シリンダー温度:240℃ 金型温度:40℃ 射出圧力:800kg/cm2 スクリュー回転数:70rpm クッション量:5mm
【0058】曲げ弾性率:JIS K7203に準拠 ヘイズ(HAZE):JIS K7105に準拠 引張破断点強度(kg/cm2 ):JIS K711
3に準拠 引張破断点伸度(%):JIS K7113に準拠
【0059】引張衝撃強度(kg/cm2 ):試験機
は次の性能を有するものを使用する。 容量:20kgfcm 打撃強度:3.4m/sec ハンマー持上角度:150° つかみ具:クロスヘッド プレスシート(温度160℃、徐冷法、厚み0.5m
m)より、以下の寸法のダンベル試験片をて打ち抜き、
その厚さを測定する。 (寸法)長さ:50mm、巾:10mm(中央部最小
巾:3mm) 試験機で空試験を行った後、試験片を取り付け、ハンマ
ーで打撃して引張衝撃エネルギー(E)を読み取る。次
式により、引張衝撃強度を求める。 (式)引張衝撃強度=(E−F)/(a×b) 式中E:引張衝撃エネルギー(kgfcm) F:空試験値(kgfcm) a:厚み(cm) b:幅(cm)
【0060】IZOD衝撃強度:JIS K7110
に準拠(測定温度:−30℃) 脆化温度:電通研法に準拠(ノッチ深さ:0.3m
m) ロックウェル硬度:ASTM D785 A法(R硬
さ)に準拠
【0061】<製造例1>エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体
の製造 触媒の調製は、特開昭61−130314号公報に記載
された方法で実施した。すなわち、錯体エチレンビス
(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニ
ウムジクロライド2.0ミリモルに、東洋ストウファー
製メチルアルモキサンを上記錯体に対し1000モル倍
加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調
製し、以下の重合を行った。内容積1.5リットルの撹
拌式オートクレーブ型連続反応器に、エチレンと1−ヘ
キセンの組成が83重量%となるように供給し、反応器
内の圧力を1500kg/cm 2 に保ち、180℃の温
度で反応を行った。反応終了後、MFRが31g/10
分、密度が0.892g/cm3 のエチレン・1−ヘキ
セン共重合体(1−ヘキセン含量28重量%)を得た。
【0062】成形 得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体を40mmφ
単軸押出機にて温度160℃で溶融し、ペレットとし
た。このペレットを用いてプレスシートを作成し、脆化
温度を測定した。上記ペレットを名機製作所製の射出成
形機SJ−45(15oz−150t,45mmφイン
ラインスクリュウ式)に投入し、以下の条件でインジェ
クションシートに成形した。 金型:JIS2号 成形温度:200℃、 金型温度(冷却温度):40℃ スクリュウ回転数:80rpm 射出圧力:型締圧力 95〜105kg/cm2 1次射出圧 400kg/cm2 2次射出圧 300kg/cm2 射出時間:1次射出 5sec 2次射出 10sec 冷却 20sec 得られたシートを用いて評価を行った。評価の結果は表
1に示す通りである。
【0063】<製造例2〜5、参考例1〜3> MFRに関しては、重合時に温度と圧力を調節し、密度
に関してはα−オレフィンの供給量を変えることによっ
て調節して、表1と表3に示す物性を示す共重合体を製
造し、製造例1と同様に成形し、評価した。評価の結果
は、表1と表3に示すとおりである。
【0064】<製造例6>製造 例1におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の
α−オレフィンを1−ブテンとし、反応器への供給量を
78重量%にし以外は製造例1と同様の条件でエチレ
ン・1−ブテン共重合体(1−ブテン含量20重量%)
を製造した。該共重合体を製造例1と同様に成形し、評
価した。評価の結果は表1に示すとおりである。
【0065】<実施例製造 例1のエチレン・α−オレフィン共重合体に、表2
に示す物性の高圧法低密度ポリエチレンを、表2に示す
割合で配合して樹脂組成物とした以外は製造例1と同様
に成形し、評価した。評価の結果は表2に示すとおりで
ある。
【0066】<参考例4>製造 例1のエチレン・α−オレフィン共重合体の代わり
に、表3に示す物性の高圧法低密度ポリエチレンを用い
た以外は製造例1と同様に成形し、評価した。評価の結
果は表3に示すとおりである。
【0067】<参考例5>製造 例1のエチレン・α−オレフィン共重合体の代わり
に、チーグラー触媒を用いて製造された表3に示す物性
の、エチレン・α−オレフィン共重合体を用いた以外は
製造例1と同様に成形し、評価した。評価の結果は表3
に示すとおりである。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】<実施例実施例3〜6および比較例1〜5に用いた成分A(エ
チレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体)
の製造 触媒の調製は、特開昭61−130314号公報に記載
された方法で実施した。すなわち、錯体エチレンビス
(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニ
ウムジクロライド2.0ミリモルに、東洋ストウファー
製メチルアルモキサンを上記錯体に対し1000モル倍
加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調
製し、以下の重合を行った。内容積1.5リットルの撹
拌式オートクレーブ型連続反応器に、エチレンと1−ヘ
キセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が83重量%と
なるように供給し、反応器内の圧力を1600kg/c
2に保ち、165℃の温度で反応を行った。反応終了
後、MFRが13g/10分、密度が0.898g/c
3 、TREF溶出曲線のピークが1つであり、ピーク
温度が55℃、ピーク以外の溶出量が存在し、40℃溶
出量が15%のエチレン・1−ヘキセン共重合体(1−
ヘキセン含量20重量%)(C2−C6)を得た。
【0072】成分B:実施例および比較例
に用いた成分B(高圧法低密度ポリエチレン)、プロ
ピレン系重合体および線状低密度ポリエチレンは、各
々、以下の物性を示すものである。 (a)高圧法低密度ポリエチレン(HPLD):MF
R=20g/10分、密度=0.918g/cm3 、M
E=1.5、Q値=7、Ea=16KJ/mol
【0073】(b) 高圧法低密度ポリエチレン(HPLD
):MFR=40g/10分、密度=0.923g/
cm3 、ME=1.3Q値=11、Ea=19KJ/m
ol
【0074】(c) 高圧法低密度ポリエチレン(HPLD
):MFR=1g/10分、密度=0.923g/c
3 、ME=2.0Q値=7、Ea=10KJ/mol
【0075】(d) プロピレン・エチレンブロック共重合
体(PP):MFR=10g/10分、Ea=12K
J/mol、α−オレフィン含量=2重量%、パルス法
NMRによる成分(I) /成分(II)=2.5、成分(III)
=6重量%
【0076】(e) プロピレン・エチレンブロック共重合
体(PP):MFR=30g/10分、Ea=16K
J/mol、α−オレフィン含量=4重量%、パルス法
NMRによる成分(I) /成分(II)=2.5、成分(III)
=8重量%
【0077】(f) プロピレン単独重合体(PP):M
FR=11g/10分、Ea=13KJ/mol、パル
ス法NMRによる成分(I) /成分(II)=2.4、成分(I
II) =5重量%
【0078】(g) 線状低密度ポリエチレン(チーグラー
系触媒を使用して製造されたエチレン・1−ブテン共重
合体:LLDPE):MFR=30g/10分、密度
=0.919g/cm3 、TREFピーク数=2、ピー
ク温度=78℃および92℃、Q値=4、Ea=12K
J/mol
【0079】コンパウンド・成形 成分Aと成分Bをドライブレンドし、得られた組成物を
40mmφ単軸押出機にて温度160℃で溶融し、ペレ
ットとした。このペレットを用いてプレスシートを作成
し、引張衝撃強度を測定した。上記ペレットを名機製作
所製の射出成形機SJ−45(15oz−150t,4
5mmφインラインスクリュウ式)に投入し、以下の条
件でインジェクションシートに成形し、成形品について
評価を行った。評価結果を表4に示す。 金型:JIS2号 成形温度:200℃、 金型温度(冷却温度):40℃ スクリュウ回転数:80rpm 射出圧力:型締圧力 95〜105kg/cm2 1次射出圧 400kg/cm2 2次射出圧 300kg/cm2 射出時間:1次射出 5sec 2次射出 10sec 冷却 20sec
【0080】<実施例、比較例6〜8> 成分A及び成分Bを表に示すものを使用し、配合割合等
を代えた以外は、実施例と同様に成形し、評価を行っ
た。評価結果を表4〜7に示す。
【0081】<比較> 実施例で得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体
(C2−C6)のみを、実施例と同様の方法で成形
し、評価した。結果を表6に示す。
【0082】<比較例9、10> 成分Aの代わりにチーグラー系触媒を使用して製造され
た線状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度=0.
922g/cm3 、MFR=16g/10分)を使用し
た以外は、実施例と同様に成形し、評価を行った。結
果を表8に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
【0087】
【表8】
【0088】本発明の射出成形用樹脂組成物は、透明性
に優れ、常温又は低温においての強度に優れ、強度と剛
性のバランスが良好であり、タッパーウェア(登録商
標)等の柔軟性樹脂製食品容器などの材料として極めて
有用であるばかりでなく、塩化ビニル樹脂と同等の高透
明性を持ち、かつ低温での強度に優れる材料であるた
工業的に極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−372637(JP,A) 特開 昭61−130314(JP,A) 特開 平5−310847(JP,A) 特開 平5−5051(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36 B65D 85/50 C08F 210/00,210/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下に示す成分Aおよび成分Bからなるこ
    とを特徴とする柔軟性樹脂製食品容器射出成形用樹脂組
    成物。 成分A: 下記に示す(a)〜(c)の性状を有するエ
    チレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体
    50〜95重量% (a) MFR(190℃、2.16kg荷重)10
    〜120g/10分 (b) 密度が0.915g/cm3 以下 (c) 温度上昇溶離分別(TREF)によって得られ
    る溶出曲線のピークが1つ存在し、該ピーク温度が85
    ℃以下である 成分B: 下記に示す(a)〜(c)の性状を有する高
    圧法低密度ポリエチレン5〜50重量%(a) MFR(190℃、2.16kg荷重)が1〜
    50g/10分 (b) 密度が0.915〜0.93g/cm 3 (c) ME(3g)が1.3以上
  2. 【請求項2】成分Aが、メタロセン触媒を使用して得ら
    れたものである請求項に記載の組成物。
  3. 【請求項3】請求項又はに記載の組成物を射出成形
    して得られる、ヘイズが70%以下、曲げ弾性率が15
    00kgf/cm2 以下である射出成型品。
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