JP3398907B2 - バイアス電流制御装置 - Google Patents

バイアス電流制御装置

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JP3398907B2 JP13001696A JP13001696A JP3398907B2 JP 3398907 B2 JP3398907 B2 JP 3398907B2 JP 13001696 A JP13001696 A JP 13001696A JP 13001696 A JP13001696 A JP 13001696A JP 3398907 B2 JP3398907 B2 JP 3398907B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は増幅器のバイアス電
流制御装置に関するものであり、特に音響用電力増幅器
のバイアス電流制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の音響用電力増幅器においては、N
PNトランジスタ及びPNPトランジスタの両方のトラ
ンジスタにより構成された対称な出力回路を有するもの
が多くの場合に使用されている。このような出力回路の
無入力信号時のバイアス電流を大きく設定すると、周囲
温度が上昇した時にバイアス電流が増加し熱暴走を引き
起こし、また小さく設定すると、出力電流が大きくなっ
た場合、電流を供給していない方のトランジスタがカッ
トオフになりゼロクロス歪を生じる要因になっていた。
このため、出力回路のバイアス電流は、温度による依存
性を小さくしかつその設定には各装置ごとに調整を必要
としていた。
【0003】この種のバイアス電流制御装置には、NP
NトランジスタとPNPトランジスタと抵抗によって構
成し、トランジスタのベース・エミッタ間電圧の実数倍
の電圧を出力回路に加えるのが一般的であった。
【0004】図8は、従来のバイアス電流制御装置の回
路図を示し、図8において、6は電圧増幅器であり、非
反転入力端子1,反転入力端子2,反転出力端子3及び
非反転出力端子4を有する。10は電力増幅器であり、ト
ランジスタ11〜16及び抵抗17〜19からなっている。20は
バイアス回路であり、トランジスタ24,25及び抵抗21〜
23からなっている。この電力増幅器10は、電圧増幅器6
の非反転入力端子1に電圧源7を接続し、電圧増幅器6
の反転入力端子2と出力端子5が接続される構成にして
ある。
【0005】なお、電圧増幅器6は、非反転入力端子1
の電圧が反転入力端子2の電圧より高くなったとする
と、非反転出力端子4の出力は変化せず反転出力端子3
の電圧が低くなるように動作する。一方、非反転入力端
子1の電圧が反転入力端子2の電圧より低くなったとす
ると、反転出力端子3の出力は変化せず非反転出力端子
4の電圧が高くなるように動作する。また、無信号入力
時には反転出力端子3及び非反転出力端子4に接続され
る負荷抵抗を駆動するための適切なバイアス電圧が加わ
るようになっている。
【0006】次に、上記図8の動作を説明する。
【0007】[無信号入力時]:電圧源7の出力がゼロ
の場合、すなわち無信号入力時は出力端子5に接続され
た負荷抵抗8への電流供給がない状態では、電圧増幅器
6の出力端子3及び4の出力は、トランジスタ15及び16
のコレクタ電流Ic15及びIc16を等しくするように動作
する。従って、トランジスタ15及び16を駆動するトラン
ジスタ13及び14のコレクタ電流もそれぞれ等しくなり、
トランジスタ11及び12のコレクタ電流も同じになり平衡
状態に保たれる。トランジスタ11及び12のコレクタ電流
Ic11及びIc12は、バイアス回路20に流れ込む電流と、
トランジスタ13のベース電流及びトランジスタ14のベー
ス電流になっている。バイアス回路20に流れ込んだ電流
は、トランジスタ24と25のコレクタ電流Ic24(=Ic25)
と抵抗21,22,23に流れる。
【0008】ここで、トランジスタのhfeが十分に大
きいとしてトランジスタのベース電流を無視して考える
と、バイアス回路20の抵抗21,22及び抵抗23には同じ電
流が流れ、バイアス回路20の両端の端子電圧Vbiasは抵
抗21,22及び抵抗23の端子電圧の和に等しくなり、バイ
アス回路20の端子電圧Vbiasを求めると以下のようにな
る。
【0009】抵抗22の両端の電圧V22はトランジスタ24
とトランジスタ25のベース・エミッタ間電圧の和にな
り、(数1)で表される。
【0010】
【数1】V22=Vbe24+Vbe25 但し、V22 :抵抗22の端子電圧 Vbe24:トランジスタ24のベース・エミッタ間電圧 Vbe25:トランジスタ25のベース・エミッタ間電圧 よって、抵抗22に流れる電流は抵抗22の端子電圧V22を
抵抗値R22で除した電流値I22になり、(数2)で表され
る。
【0011】
【数2】I22=V22/R22 但し、R22:抵抗22の抵抗値,I22:抵抗22に流れる電
流値 この電流I22は、抵抗21と抵抗23に流れ、最終的にバイ
アス回路20の両端の電圧Vbiasは(数3)で表される。
【0012】
【数3】 Vbias=V22+I22×(R21+R23) =(Vbe24+Vbe25){1+(R21+R23)/R22} =m×(Vbe24+Vbe25) 但し、R21:抵抗21の抵抗値,R23:抵抗23の抵抗値 m :比例定数(m={1+(R21+R23)/R22}) (数3)において、第1項はトランジスタ24及び25のベー
ス・エミッタ間電圧の和になり、第2項は抵抗比で表さ
れた比例定数になるので、最終的にバイアス電圧Vbias
はベース・エミッタ間電圧を比例定数のm倍した電圧に
なる。また、この場合、抵抗22の抵抗値R22を可変する
ことにより、抵抗22に流れる電流値I22を可変すること
ができ、バイアス電圧Vbiasを可変調整することができ
る。
【0013】このバイアス回路20のバイアス電圧Vbias
が電力増幅器10に加えられたとすると、バイアス電圧V
biasはトランジスタ13と14のベース・エミッタ間電圧と
トランジスタ15と16のベース・エミッタ間電圧と抵抗18
と19の電圧降下分になり、(数4)で表される。
【0014】
【数4】 Vbias=Vbe13+Vbe15+V18+V19+Vbe16+Vbe14 =4×Vbe+V18+V19 但し、Vbe13:トランジスタ13のベース・エミッタ
間電圧 Vbe15:トランジスタ15のベース・エミッタ間電圧 Vbe16:トランジスタ16のベース・エミッタ間電圧 Vbe14:トランジスタ14のベース・エミッタ間電圧 V18 :抵抗18に加わる電圧(=Ic15×R18 但し、R
18は抵抗18の抵抗値) V19 :抵抗19に加わる電圧(=Ic16×R19 但し、R
19は抵抗19の抵抗値) (数3)と(数4)よりトランジスタ15及びトランジスタ16
に流れるコレクタ電流を求めると(数5)のようになる。
【0015】
【数5】 Vbias=4×Vbe+V18+V19 =4×Vbe+Ic15×R18+Ic16×R19 Ic15 =(Vbias−4×Vbe)/(2×R18) 但し、Ic15=Ic16,R18=R19 Vbe=Vbe13=Vbe14=Vbe15=Vbe16 これより、バイアス電圧Vbiasを可変調整することによ
りトランジスタ15及びトランジスタ16のベース・エミッ
タ間電圧を可変することができ、コレクタ電流Ic15及
びIc16を設定することができる。
【0016】このようにして、バイアス回路20の抵抗22
の抵抗値R22を調整することにより端子電圧Vbiasを可
変することができ、無信号入力時のバイアス回路20の出
力段トランジスタ15及び16のコレクタ電流(以下、バイ
アス電流とする)Ic15及びIc16を設定することができ
る。
【0017】[信号入力時]:電圧源7の出力が接地電
位より高くなった場合、すなわち電圧増幅器6の非反転
入力端子1の電圧が反転入力端子2の電圧より高くなっ
たとする。すると、電圧増幅器6の反転出力端子3の出
力電圧が低くなり、トランジスタ11のベース・エミッタ
間電圧を増加させ、コレクタ電流Ic11を増加させる。
このコレクタ電流Ic11は、トランジスタ13のベースに
流れ込み、トランジスタ13のコレクタ電流Ic13を増加
させ、トランジスタ15のベース電流を増加させる。これ
により、トランジスタ15のコレクタ電流Ic15を増加さ
せ、負荷抵抗8に電流を流し込むので出力端子5の電圧
を高くし、電圧増幅器6の反転入力端子2の電圧も高く
させる。
【0018】一方電圧源7の出力が接地電位より低くな
った場合、すなわち、電圧増幅器6の非反転入力端子1
の電圧が反転入力端子2の電圧より低くなったとする。
すると、電圧増幅器6の非反転出力端子4の出力電圧が
高くなり、トランジスタ12のベース・エミッタ間電圧を
増加させ、コレクタ電流Ic12を増加させる。このコレ
クタ電流Ic12は、トランジスタ14のベースから電流を
引き込み、トランジスタ14のコレクタ電流Ic14を増加
させ、トランジスタ16のベース電流を増加させる。これ
により、トランジスタ16のコレクタ電流Ic16を増加さ
せ、負荷抵抗8から電流を引き込むように流れるので出
力端子5の電圧を低くし、電圧増幅器6の反転入力端子
2の電圧も低くさせる。このような負帰還の動作をする
ことにより、最終的には電圧増幅器6の非反転入力端子
1と反転入力端子2の電圧は等しくなるように動作す
る。
【0019】また、この時のバイアス電圧Vbiasは抵抗
22に流れる電流I22がトランジスタ24及び25のベース・
エミッタ間電圧でクランプされているので変化せず、バ
イアス電圧Vbiasも一定値を保ったままになる。
【0020】以上のように、図8の電力増幅器10におい
ても従来のバイアス回路20により出力段トランジスタの
バイアス電流を設定することができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の電力増幅器10においては、出力段トランジスタのバ
イアス電流は、(数5)で表されるように出力段トランジ
スタのベース・エミッタ間電圧とバイアス回路20のトラ
ンジスタのベース・エミッタ間電圧の差に比例している
ので、バイアス回路のトランジスタと出力段トランジス
タに流れる電流値が異なることによりトランジスタのベ
ース・エミッタ間接合部上昇温度が異なり、バイアス電
流も変化してしまう第1の課題があった。
【0022】また、上記従来の電力増幅器10では、バイ
アス電圧Vbiasが入力信号によらず一定になっているの
で、出力電流が増加すると出力段トランジスタのエミッ
タと出力端子間に接続された抵抗18又は19での電圧降下
が大きくなり、負荷に電流を供給していない方のトラン
ジスタがカットオフになってしまう。このカットオフ状
態になったトランジスタが動作状態に戻るまでに動作遅
れ(以下、ゼロクロス歪という)が生じるという第2の課
題があった。
【0023】また、上記従来のバイアス回路20では、出
力段トランジスタのバイアス電流の調整をバイアス回路
20の抵抗22の抵抗値を可変することで行なっているが、
バイアス電圧Vbiasの変動に対するバイアス電流の変動
が大きいので調整が難しく製造工程での製造コストが高
くなる第3の課題があった。
【0024】本発明の第1の目的は、上記第2及び第3
の課題を解決するもので、出力段トランジスタのバイア
ス電流が簡単に設定でき、さらに出力段トランジスタを
カットオフにしないようにバイアス電圧を制御するバイ
アス電流制御装置を提供するものである。
【0025】本発明の第2の目的は、上記第1の課題を
解決するもので、出力段トランジスタのバイアス電流が
周囲温度や出力電流の増加に伴う出力段トランジスタの
接合部温度の上昇等によらず一定になるようにしたバイ
アス電流制御装置を提供するものである。
【0026】本発明の第3の目的は、バイアス電流制御
装置に電力増幅器での高電圧が加わらないようにしIC
化やモジュール化が低耐圧の部品で構成できるようにし
たバイアス電流制御装置を提供するものである。
【0027】本発明の第4の目的は、出力段のNPNト
ランジスタ及びPNPトランジスタのコレクタ電流の小
さい方を検出できるようにし、バイアス電流の設定を1
つの電流源又は電圧源により設定できるようにしたバイ
アス電流制御装置を提供するものである。
【0028】本発明の第5の目的は、電力増幅器のバイ
アス回路の部品点数を削減できるようにしたバイアス電
流制御装置を提供するものである。
【0029】第1の発明によれば、電力増幅器の出力段
トランジスタのエミッタと出力端子間に接続した抵抗の
端子電圧を電圧電流変換回路によって電流に変換して
出し、その検出電流が設定電流より小さくならないよう
に制御したものある。さらに、設定電流を温度依存性の
小さい電流にしたものである。従って、出力段トランジ
スタのバイアス電流を設定でき、出力段トランジスタを
カットオフすることなく動作させること、さらにバイア
ス電流の温度依存性を小さくするができる。
【0030】
【0031】第の発明によれば、出力段トランジスタ
のコレクタ電流を検出し、その検出電流が設定電流より
小さくならないようにコレクタ電流の増加した方のバイ
アス電圧が大きくするよう制御したものである。従っ
て、バイアス電流制御装置の電力増幅器での高電圧が加
わらないのでIC化やモジュール化が低耐圧の部品で構
成できる。
【0032】第の発明によれば、出力段トランジスタ
のコレクタ電流の小さい方を検出し、その小さい方の電
流が設定電流より小さくならないようにバイアス回路の
両端の電圧を制御するようにしたものである。従って、
バイアス電流の設定を1つの電流源又は電圧源により設
定できる。
【0033】第の発明によれば、出力段トランジスタ
のコレクタ電流の小さい方を検出し、その検出電流が設
定電流より小さくならないようにバイアス回路のトラン
ジスタのベース・エミッタ間電圧を可変し、電力増幅器
のベース電流を制御するようにしたものである。従っ
て、バイアス回路の部品点数を削減し得る。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1記載の発明は、
第1のトランジスタと、第1のトランジスタのベースと
コレクタ間に接続された第1の抵抗と、第1のトランジ
スタのエミッタにエミッタが接続された第2のトランジ
スタと、第1のトランジスタのベースと第2のトランジ
スタのベース間に接続された第2の抵抗と、第2のトラ
ンジスタのベースとコレクタ間に接続された第3の抵抗
から構成された電力増幅器のバイアス回路と、及び電力
増幅器の出力段トランジスタのエミッタに片端が接続さ
れ他端が第1の演算増幅器の反転入力端子に接続された
第4の抵抗と、第1の演算増幅器の出力にベースが接続
されエミッタが第1の演算増幅器の反転入力に接続され
コレクタを出力とする第3のトランジスタと、第3のト
ランジスタのコレクタと負電源間に接続された第1のダ
イオードと、電流発生手段と負電源間に接続された第2
のダイオードと、第3のトランジスタのコレクタに反転
入力が接続され電流発生手段に非反転入力が接続された
比較手段と、比較手段の出力にベースが接続されエミッ
タが負電源に接続されコレクタを装置出力とする第4の
トランジスタから構成された第1のバイアス制御回路
と、前記第1のバイアス制御回路を正負対象にした第2
のバイアス制御回路とを有し、前記電力増幅器の出力段
トランジスタのコレクタ電流の大きさに応じて電力増幅
器のバイアス電圧を制御するものであり、出力段トラン
ジスタのコレクタ電流が設定電流より小さくならないよ
うにバイアス回路の両端の電圧を制御することにより、
温度依存を小さくしたバイアス電流を設定することがで
き、さらに出力段トランジスタをカットオフさせること
なく動作させることができるという作用を有する。
【0035】
【0036】
【0037】本発明の請求項記載の発明は、第1のト
ランジスタと、第1のトランジスタのベースとコレクタ
間に接続された第1の抵抗と、第1のトランジスタのエ
ミッタにエミッタが接続された第2のトランジスタと、
第1のトランジスタのベースと第2のトランジスタのベ
ース間に接続された第2の抵抗と、第2のトランジスタ
のベースとコレクタ間に接続された第3の抵抗から構成
された電力増幅器のバイアス回路と、及び電力増幅器の
出力段トランジスタのエミッタに片端が接続され他端が
第1の演算増幅器の反転入力端子に接続された第4の抵
抗と、第1の演算増幅器の出力にベースが接続されエミ
ッタが第1の演算増幅器の反転入力に接続されコレクタ
を出力とする第3のトランジスタと、第3のトランジス
タのコレクタと負電源間に接続された第1のダイオード
と、電流発生手段と負電源間に接続された第2のダイオ
ードと、第3のトランジスタのコレクタに反転入力が接
続され電流発生手段に非反転入力が接続された比較手段
と、比較手段の出力にベースが接続されエミッタが正電
源に接続されコレクタを装置出力とする第4のトランジ
スタから構成された第1のバイアス制御回路と、前記第
1のバイアス制御回路を正負対象にした第2のバイアス
制御回路とを有し、前記電力増幅器の出力段トランジス
タのコレクタ電流の増加する方向にバイアス電圧を増加
させるようにしたものであり、出力段トランジスタのコ
レクタ電流が設定電流より小さくならないようにバイア
ス回路の両端の電圧を制御することにより、出力段トラ
ンジスタをカットオフすることなく動作させることがで
き、バイアス電流の温度依存性を小さくすることがで
き、さらにバイアス制御装置に電力増幅器での高電圧が
加わらないように信号の検出,制御信号出力を電流で行
っているのでIC化やモジュール化が低耐圧の部品で構
成できるという作用を有する。
【0038】本発明の請求項記載の発明は、第1のト
ランジスタと、第1のトランジスタのベースとコレクタ
間に接続された第1の抵抗と、第1のトランジスタのエ
ミッタにエミッタが接続された第2のトランジスタと、
第1のトランジスタのベースと第2のトランジスタのベ
ース間に接続された第2の抵抗と、第2のトランジスタ
のベースとコレクタ間に接続された第3の抵抗から構成
された電力増幅器のバイアス回路と、及び電力増幅器の
出力段トランジスタのエミッタに片端が接続され他端が
第1の演算増幅器の反転入力端子に接続された第4の抵
抗と、第1の演算増幅器の出力にベースが接続されエミ
ッタが第1の演算増幅器の反転入力に接続されコレクタ
を出力とする第3のトランジスタと、第3のトランジス
タのコレクタにベースとコレクタが接続されエミッタが
負電源に接続された第4のトランジスタと、第4のトラ
ンジスタとカレントミラー回路を構成しコレクタを出力
とする第5のトランジスタから構成される第1の電流検
出手段と、電力増幅器の出力段トランジスタのエミッタ
に片端が接続され他端が第2の演算増幅器の反転入力端
子に接続された第5の抵抗と、第2の演算増幅器の出力
にベースが接続されエミッタが第2の演算増幅器の反転
入力に接続されコレクタを出力とする第6のトランジス
タから構成される第2の電流検出手段と、第1の電流検
出手段の出力と正電源間に接続された第1のダイオード
と、第2の電流検出手段の出力と正電源間に接続された
第2のダイオードと、第1の電流検出手段の出力にベー
スが接続されエミッタが第1の電流発生手段に接続され
た第7のトランジスタと、第2の電流検出手段の出力に
ベースが接続されエミッタが第1の電流発生手段に接続
された第7のトランジスタとエミッタが共通になってい
る第8のトランジスタからなる電流比較手段と、第3の
ダイオードと第9のトランジスタと第2の電流発生手段
と第3の電流発生手段からなる基準電圧発生手段と、電
流比較手段の出力と基準電圧発生手段の出力を比較する
比較手段と、比較手段の出力にベースが接続されコレク
タを第1の装置出力とする第10のトランジスタと、比較
手段の出力にベースが接続されコレクタを出力とする第
11のトランジスタと、第11のトランジスタのコレクタに
ベースとコレクタが接続されカレントミラー回路の入力
になっている第12のトランジスタと、第12のトランジス
タとカレントミラー回路を構成しコレクタを第2の装置
出力とする第13のトランジスタから構成されたバイアス
制御回路を有し、前記電力増幅器の出力段トランジスタ
の小さい方を検出しその電流が設定電流より小さくなら
ないようにバイアス回路の電圧を制御するものであり、
出力段トランジスタのコレクタ電流が設定電流より小さ
くならないようにバイアス回路の両端の電圧を制御する
ことにより、出力段トランジスタをカットオフすること
なく動作させることができ、バイアス電流の温度依存性
を小さくすることができ、さらに出力段のNPNトラン
ジスタ及びPNPトランジスタのコレクタ電流の小さい
方を検出できるようにしてあるので1つの電流源又は電
圧源でバイアス電流を設定でき部品点数を少なく構成で
きるという作用を有する。
【0039】本発明の請求項記載の発明は、第1のト
ランジスタと、第1のトランジスタのベースとコレクタ
間に接続された第1の抵抗と、第1のトランジスタのエ
ミッタにエミッタが接続された第2のトランジスタと、
第1のトランジスタのベースと第2のトランジスタのベ
ース間に接続された第2の抵抗と、第2のトランジスタ
のベースとコレクタ間に接続された第3の抵抗から構成
された電力増幅器のバイアス回路と、及び電力増幅器の
出力段トランジスタのエミッタに片端が接続され他端が
第1の演算増幅器の反転入力端子に接続された第4の抵
抗と、第1の演算増幅器の出力にベースが接続されエミ
ッタが第1の演算増幅器の反転入力に接続されコレクタ
を出力とする第3のトランジスタと、第3のトランジス
タのコレクタにベースとコレクタが接続されエミッタが
負電源に接続された第4のトランジスタと、第4のトラ
ンジスタと第1のカレントミラー回路を構成しコレクタ
を出力とする第5のトランジスタから構成される第1の
電流検出手段と、電力増幅器の出力段トランジスタのエ
ミッタに片端が接続され他端が第2の演算増幅器の反転
入力端子に接続された第5の抵抗と、第2の演算増幅器
の出力にベースが接続されエミッタが第2の演算増幅器
の反転入力に接続されコレクタを出力とする第6のトラ
ンジスタから構成される第2の電流検出手段と、第1の
電流検出手段の出力と正電源間に接続された第1のダイ
オードと、第2の電流検出手段の出力と正電源間に接続
された第2のダイオードと、第1の電流検出手段の出力
にベースが接続されエミッタが第1の電流発生手段に接
続された第7のトランジスタと、第2の電流検出手段の
出力にベースが接続されエミッタが第1の電流発生手段
に接続された第7のトランジスタとエミッタが共通にな
っている第8のトランジスタからなる電流比較手段と、
第3のダイオードと第9のトランジスタと第2の電流発
生手段と第3の電流発生手段からなる基準電圧発生手段
と、電流比較手段の出力と基準電圧発生手段の出力を比
較する比較手段と、比較手段の出力にベースが接続され
コレクタを出力とする第10のトランジスタと、比較手段
の出力にベースが接続されコレクタを出力とする第11の
トランジスタと、電流比較手段の第8のトランジスタの
コレクタを入力とする第2のカレントミラー回路と、第
2のカレントミラー回路の出力を入力とする第3のカレ
ントミラー回路と、第3のカレントミラー回路の出力と
比較増幅器に接続された第11のトランジスタのコレクタ
を入力とする第4のカレントミラー回路と、第4のカレ
ントミラー回路の出力を入力とする第5のカレントミラ
ー回路と、電流比較手段の第9のトランジスタのコレク
タを入力とする第6のカレントミラー回路と、第6のカ
レントミラー回路の出力を入力とする第7のカレントミ
ラー回路と、第7のカレントミラー回路の出力と比較増
幅器に接続された第10のトランジスタのコレクタを入力
とする第8のカレントミラー回路から構成されたバイア
ス制御回路を有し、前記第5のカレントミラー回路の出
力を第1の装置出力とし、第8のカレントミラー回路の
出力を第2の装置出力として、出力段トランジスタの小
さい方を検出しその電流が設定電流より小さくならない
ようにバイアス回路の電圧を出力段トランジスタのコレ
クタ電流の増加する方向にバイアス電圧を増加させるよ
うに制御するようにしたものであり、出力段トランジス
タをカットオフすることなく動作させることができ、バ
イアス電流の温度依存性を小さくすることができ、さら
に出力段のNPNトランジスタ及びPNPトランジスタ
のコレクタ電流の小さい方を検出できるようにしてある
ので1つの電流源又は電圧源でバイアス電流を設定で
き、しかもバイアス制御回路には高電圧が加わることが
ないので低耐圧の部品で部品点数を少なく構成できると
いう作用を有する。
【0040】本発明の請求項記載の発明は、第1のト
ランジスタと、第1のトランジスタのエミッタにエミッ
タが接続された第2のトランジスタと、第1のトランジ
スタのベースと第2のトランジスタのベース間に接続さ
れた第1の抵抗から構成された電力増幅器のバイアス回
路と、電力増幅器の出力段トランジスタのエミッタに片
端が接続され他端が第1の演算増幅器の反転入力端子に
接続された第2の抵抗と、第1の演算増幅器の出力にベ
ースが接続されエミッタが第1の演算増幅器の反転入力
に接続されコレクタを出力とする第3のトランジスタ
と、第3のトランジスタのコレクタにベースとコレクタ
が接続されエミッタが負電源に接続された第4のトラン
ジスタと、第4のトランジスタと第1のカレントミラー
回路を構成しコレクタを出力とする第5のトランジスタ
から構成される第1の電流検出手段と、電力増幅器の出
力段トランジスタのエミッタに片端が接続され他端が第
2の演算増幅器の反転入力端子に接続された第3の抵抗
と、第2の演算増幅器の出力にベースが接続されエミッ
タが第2の演算増幅器の反転入力に接続されコレクタを
出力とする第6のトランジスタから構成される第2の電
流検出手段と、第1の電流検出手段の出力と正電源間に
接続された第1のダイオードと、第2の電流検出手段の
出力と正電源間に接続された第2のダイオードと、第1
の電流検出手段の出力にベースが接続されエミッタが第
1の電流発生手段に接続された第7のトランジスタと、
第2の電流検出手段の出力にベースが接続されエミッタ
が第1の電流発生手段に接続された第7のトランジスタ
とエミッタが共通になっている第8のトランジスタから
なる電流比較手段と、第3のダイオードと第9のトラン
ジスタと第2の電流発生手段と第3の電流発生手段から
なる基準電圧発生手段と、電流比較手段の出力と基準電
圧発生手段の出力を比較する比較手段と、比較手段の出
力にベースが接続されコレクタを出力とする第10のトラ
ンジスタと、比較手段の出力にベースが接続されコレク
タを出力とする第11のトランジスタと、電流比較手段の
第8のトランジスタのコレクタを入力とする第2のカレ
ントミラー回路と、第10のトランジスタの出力を入力と
する第3のカレントミラー回路から構成されたバイアス
制御回路を有し、前記電力増幅器の出力段トランジスタ
の小さい方を検出しその電流が設定電流より小さくなら
ないようにバイアス回路のトランジスタのベース・エミ
ッタ間電圧を制御することにより電流増幅器のトランジ
スタに流れるベース電流を制御するようにしたものであ
り、前記請求項記載の発明に比べてバイアス回路の部
品点数を削減できるという作用を有する。
【0041】以下、本発明の各実施の形態について図1
から図7を用いて説明する。
【0042】(実施の形態1) 図1は、本発明の実施の形態を説明するための参考例1
におけるバイアス電流制御装置の回路図であり、これは
電力増幅器の出力電流に応じてバイアス電圧を制御する
ようにしたものである。ここで、従来例の図8と同じ機
能,動作するものには同じ符号を付してある。図8にお
いて、100はバイアス制御回路であり、新たに付加され
たものである。このバイアス制御回路100は、比較増幅
器101,102と、電圧源103,104と、トランジスタ105,1
06から構成されている。また、電圧源103と104の電圧は
同じ電圧値VBに設定されている。
【0043】次に図1のバイアス制御回路100の動作に
ついて説明する。比較増幅器101は電力増幅器10の出力
段トランジスタ15のエミッタと出力端子5の間に接続さ
れた抵抗18の端子電圧V18と電圧源103の電圧値VBの
電圧値を比較し、端子電圧V18が電圧値VBより低いと
きは比較増幅器101の出力は高くなりトランジスタ105の
ベース・エミッタ間電圧を大きくしコレクタ電流Ic105
を増加させ、端子電圧V18が電圧値VBより高くなると
比較増幅器101の出力は低くなりトランジスタ105のコレ
クタ電流Ic105を減少させるように動作する。また、比
較増幅器102は、電力増幅器10の出力段トランジスタ16
のエミッタと出力端子5の間に接続された抵抗19の端子
電圧V19と電圧源104の電圧値VBの電圧値を比較し、
端子電圧V19が電圧値VBより低いときは比較増幅器10
2の出力は低くなりトランジスタ106のベース・エミッタ
間電圧を大きくしコレクタ電流Ic106を増加させる。端
子電圧V19が電圧値VBより高くなると比較増幅器102
の出力は高くなりトランジスタ106のコレクタ電流Ic10
6を減少させるように動作する。
【0044】次に、このように動作するバイアス制御回
路100を付加した場合の電力増幅器10の動作について無
入力信号時と信号入力時にわけて説明する。
【0045】[無信号入力時]電圧源7の出力がゼロの
場合、すなわち無信号入力時の出力端子5に接続された
負荷抵抗8へ電流供給のない状態では、電圧増幅器6の
出力端子3及び4の出力は、トランジスタ15及び16のコ
レクタ電流Ic15及びIc16を等しくするように動作す
る。従って、トランジスタ15及び16を駆動するトランジ
スタ13及び14のコレクタ電流もそれぞれ等しくなり、ト
ランジスタ11及び12のコレクタ電流も同じになり平衡状
態に保たれる。このような状態での出力段トランジスタ
15及び16のコレクタ電流とバイアス電圧の関係は、前出
の(数5)で求められたようになる。
【0046】ここで、この出力段トランジスタのバイア
ス電流が小さく抵抗18及び19の端子電圧V18及びV19が
バイアス制御回路100の電圧VBより小さくなっている
場合を考える。この場合、バイアス制御回路100のトラ
ンジスタ105及び106が動作しコレクタ電流Ic105及びI
c106を出力している。この出力電流Ic105は電力増幅器
10のバイアス回路20の抵抗21に流れ、出力電流Ic106は
電力増幅器10のバイアス回路20の抵抗23に流れ込むよう
になる。これより、抵抗21にはバイアス制御回路100か
らの出力電流Ic105と抵抗22に流れる電流I22が流れ、
抵抗23にはバイアス制御回路100からの出力電流Ic106
と抵抗22に流れる電流I22が流れる。従って、バイアス
制御回路100からの出力電流Ic105及びIc106によって
抵抗21及び抵抗23の端子電圧を大きくするように働くの
でバイアス回路20の端子電圧Vbiasは大きくなり(数6)
で表されるようになる。
【0047】
【数6】 Vbias=V22+I22×(R21+R23)+Ic105×R21+Ic106×R23 =(Vbe24+Vbe25){1+(R21+R23)/R22}+Ic105×R21+Ic106×R23 =m×(Vbe24+Vbe25)+Ic105×R21+Ic106×R23 但し、m:比例定数(m={1+(R21+R23)/R22}) 従って、バイアス回路20の端子電圧Vbiasが大きくなる
ことにより、電力増幅器10に加わる電圧値を大きくし出
力段トランジスタ15及び16のバイアス電流を大きくし、
抵抗18及び19の端子電圧V18及びV19を大きくするよう
に働く。
【0048】一方、出力段トランジスタのバイアス電流
が大きく抵抗18及び19の端子電圧V18及びV19がバイア
ス制御回路100の電圧VBより大きくなっている場合を
考える。この場合、バイアス制御回路100のトランジス
タ105及び106はカットオフになり、バイアス制御回路10
0からの出力電流Ic105及びIc106がなくなるので抵抗2
1及び抵抗23の端子電圧は(数3)で求めた電圧値にな
り、バイアス回路20の端子電圧Vbiasは(数6)よりも小
さくなるように働く。従って、バイアス回路20の端子電
圧Vbiasが小さくなることにより、電力増幅器10に加わ
る電圧値が小さくなり出力段トランジスタ15及び16のバ
イアス電流を小さくし、抵抗18及び19の端子電圧V18及
びV19を小さくするようになる。
【0049】ここで、バイアス制御回路100からの出力
電流Ic105とIc106がない状態でバイアス回路20の端子
電圧Vbiasでは、バイアス電流による抵抗18及び19の端
子電圧が電圧VBより小さくなるようにしておけば、バ
イアス制御回路100によって上記のような負帰還動作を
行うことにより、最終的に抵抗18及び19の端子電圧V18
及びV19は電圧VBと等しくなるところで安定し、その
時のバイアス電流は電圧VBを抵抗18及び19の抵抗値R
18,R19で除した電流値になり、(数7)で表される。
【0050】
【数7】Ic15=Ic16=VB/R18(=R19) これより、バイアス制御回路100の電圧VBによって、
出力段トランジスタのバイアス電流を設定することがで
きる。
【0051】[信号入力時]電圧源7の出力が接地電位
より高くなった場合、すなわち電圧増幅器6の非反転入
力端子1の電圧が反転入力端子2の電圧より高くなり、
トランジスタ15のコレクタ電流Ic15を増加させ、負荷
抵抗8に電流を流し込み出力端子5の電圧を高くし、電
圧増幅器6の反転入力端子2の電圧も高くさせるように
動作した場合を考える。この場合、トランジスタ15のコ
レクタ電流Ic15が大きくなるので、抵抗18に流れる電
流も大きくなり端子電圧V18が大きくなる。よって、バ
イアス制御回路100の比較増幅器101の出力は低くなりト
ランジスタ105をカットオフ状態にする。
【0052】また、このとき抵抗18の端子電圧V18が大
きくなった分トランジスタ16のベース・エミッタ間電圧
が小さくなる。従って、トランジスタ16のコレクタ電流
Ic16が小さくなるので、抵抗19に流れる電流も小さく
なり端子電圧V19が大きくなる。よって、バイアス制御
回路100の比較増幅器102の出力は低くなりトランジスタ
106のベース・エミッタ間電圧を大きくし、トランジス
タ106のコレクタ電流Ic106を大きくし、(数6)よりバ
イアス回路20の端子電圧Vbiasが大きくなり、出力段ト
ランジスタ16のコレクタ電流Ic16を大きくするように
動作する。
【0053】このように、抵抗18の端子電圧V18が大き
くなってもバイアス制御回路100によって電圧V19が電
圧源104と同じ電圧値になるようにトランジスタ16のコ
レクタ電流Ic16を流すよう働くので、トランジスタ16
がカットオフすることなく一定のバイアス電流を流すよ
うになる。
【0054】一方、電圧源7の出力が接地電位より低く
なった場合、すなわち電圧増幅器6の非反転入力端子1
の電圧が反転入力端子2の電圧より低くなり、トランジ
スタ16のコレクタ電流Ic16を増加させ、負荷抵抗8か
ら電流を吸い込み出力端子5の電圧を低くし、電圧増幅
器6の反転入力端子2の電圧も低くさせるように動作し
た場合を考える。この場合、トランジスタ16のコレクタ
電流Ic16が大きくなるので、抵抗19に流れる電流も大
きくなり端子電圧V19が大きくなる。よって、バイアス
制御回路100の比較増幅器102の出力は高くなりトランジ
スタ106のカットオフ状態にする。
【0055】また、このとき抵抗19の端子電圧V19が大
きくなった分トランジスタ15のベース・エミッタ間電圧
が小さくなりトランジスタ15のコレクタ電流Ic15が小
さくなる。従って、抵抗18に流れる電流も小さくなり端
子電圧V18が大きくなる。よって、バイアス制御回路10
0の比較増幅器101の出力は高くなりトランジスタ105の
ベース・エミッタ間電圧を大きくし、トランジスタ105
のコレクタ電流Ic105を大きくし、(数6)よりバイアス
回路20の端子電圧Vbiasが大きくなり、出力段トランジ
スタ15のコレクタ電流Ic15を大きくするように動作す
る。
【0056】このように、抵抗19の端子電圧V19が大き
くなっても、バイアス制御回路100によって端子電圧V1
8が電圧源103と同じ電圧値になるようにトランジスタ15
のコレクタ電流Ic15を流すよう働くので、トランジス
タ15のカットオフすることなく一定のバイアス電流を流
すようになる。
【0057】以上のように、比較増幅器101,102と、電
圧源103,104と、トランジスタ105,106で構成したバイ
アス制御回路100によれば、出力段トランジスタのエミ
ッタと出力端子5間に接続してある抵抗18及び抵抗19の
端子電圧を検出し、その端子電圧がバイアス制御回路10
0の電圧源103及び104の電圧VBより小さくならないよ
うにバイアス電圧Vbiasを制御することにより、無信号
時に流れる出力段トランジスタのバイアス電流は電圧V
Bを抵抗値R18(=R19)で除した電流値に設定すること
ができ、さらに、信号が入力された場合でも出力段トラ
ンジスタをカットオフさせることなく動作させることが
できる。
【0058】なお、バイアス制御回路100の電圧源103及
び104の電圧値を温度に依存しない、バンドギャップ電
圧源等を用いれば、抵抗18及び19の端子電圧が温度に依
存しなくなり、バイアス電流は抵抗18及び19の温度特性
のみに依存することになる。温度依存性の小さい抵抗を
用いることによりバイアス電流の温度依存性は小さくす
ることができる。
【0059】また、バイアス制御回路100の出力にトラ
ンジスタを用いているが、CMOS等の他の素子を用い
ても構わない。
【0060】また、バイアス制御回路100は同じ機能を
有するものであれば他の構成にしても構わない。
【0061】また、バイアス回路20の抵抗22を省いても
構わず、その場合の動作は上記(数6)のI22がゼロにな
り、その分トランジスタ105及び106のコレクタ電流が増
加するだけで、バイアス電流の設定は上記参考例1と変
わらない。
【0062】2は本発明の実施の形態におけるバイ
アス電流制御装置の回路図であり、これは電力増幅器の
出力電流に応じてバイアス電圧を制御するようにしたも
のである。ここで従来例と同じ機能・動作するものには
同じ符号を付してある。
【0063】図2において、210と220はバイアス制御回
路であり、このバイアス制御回路が新たに付加されてい
る以外は、従来例と同じ構成になっている。
【0064】バイアス制御回路210と220は正負対称の構
成をしており、ここでは、正側のバイアス制御回路210
に付いて記載する。バイアス制御回路210は、抵抗211と
演算増幅器212と、トランジスタ213と、ダイオード21
4,215と、電流源216と、比較増幅器217と、トランジス
タ218から構成されている。
【0065】次に図2のバイアス制御回路210の動作に
ついて説明する。演算増幅器212は、反転入力端子の電
圧が高くなると演算増幅器212の出力は低くなりトラン
ジスタ213のコレクタ電流を増加させる。また、反転入
力端子の電圧が低くなると演算増幅器212の出力は高く
なりトランジスタ213のコレクタ電流を増加させる。従
って、出力段トランジスタ15のコレクタ電流が大きくな
りエミッタ電圧が高くなり演算増幅器212の反転入力端
子の電圧が高くなると抵抗211に流れる電流が大きくな
り反転入力端子の電圧を低くし、また、出力段トランジ
スタ15のコレクタ電流が小さくなりエミッタ電圧が低く
なり演算増幅器212の反転入力端子の電圧が低くなると
抵抗211に流れる電流が小さくなり反転入力端子の電圧
を高くする。最終的には、反転入力端子の電圧は非反転
入力端子の電圧と等しくなるところで安定するようにな
る。この時トランジスタ213に流れる電流は、電力増幅
器10の出力段トランジスタ15のエミッタ電圧と演算増幅
器212の非反転入力端子(=出力端子)の間の電圧を抵抗2
11の抵抗値R211で除した電流値になり(数8)で表され
る。
【0066】
【数8】Ic213=Ic15×R18/R211 但し、Ic213:トランジスタ213のコレクタ電流値, Ic15 :トランジスタ15のコレクタ電流値, R18 :抵抗18の抵抗値,R211:抵抗211の抵抗値 このように、トランジスタ213のコレクタ電流Ic213は
出力段トランジスタ15のコレクタ電流Ic15に比例した
電流になる。この電流Ic213は、ダイオード214に流れ
込み、比較増幅器217の反転入力端子に入力される。ま
た、電流源216の電流I216はダイオード215に流れ込み
比較増幅器217の非反転入力端子に入力される。比較増
幅器217は、反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電
圧を比較し、反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電
圧より大きい場合は比較増幅器217の出力電圧は低くな
りトランジスタ218のコレクタ電流を減少させる。ま
た、反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧より小
さい場合は比較増幅器217の出力電圧は高くなりトラン
ジスタ218のコレクタ電流を増加させるように動作す
る。
【0067】すなわち、電力増幅器10の出力段トランジ
スタ15のコレクタ電流Ic15が増加すると、トランジス
タ213のコレクタ電流Ic213が増加するのでダイオード2
14の電圧が高くなり、比較増幅器217よりトランジスタ2
18のコレクタ電流Ic218を減少させるようになる。ま
た、電力増幅器10の出力段トランジスタ15のコレクタ電
流Ic15が減少すると、トランジスタ213のコレクタ電流
Ic213が減少するのでダイオード214の電圧が低くな
り、比較増幅器217によりトランジスタ218のコレクタ電
流Ic218を増加させるように動作する。最終的には、出
力段トランジスタ15のコレクタ電流に比例した電流Ic2
13が電流源216の電流値I216と同じ電流値になるところ
で安定するようになる。
【0068】このような、バイアス制御回路210は、図
1のバイアス制御回路100と入出力の関係は同じにな
り、バイアス制御回路100との相違点は出力段トランジ
スタ15のコレクタ電流Ic15が電流値I211で設定される
点である。
【0069】このように動作するバイアス制御回路210
を付加した場合の電力増幅器の動作は、図1と同様の動
作をし、同様の特性が得られる。従って、図1と同様
に、出力段トランジスタ15,16のエミッタと出力端子5
の間に接続してある抵抗18及び抵抗19の端子電圧に比例
した電流を検出し、その検出した電流がバイアス制御回
路210の電流源216の電流値I216より小さくならないよ
うに制御することにより、無信号時に流れる出力段トラ
ンジスタのバイアス電流を設定することができ、さら
に、信号が入力された場合でも出力段トランジスタをカ
ットオフさせることなく動作させることができるので、
従来の第2及び第3の課題を解決することができる。
【0070】さらに、図2では、出力段トランジスタの
コレクタ電流の検出において、抵抗18と抵抗211の比の
形になるので、抵抗の温度特性が相殺することができる
ので、バイアス電流設定の電流I211の温度特性をなく
すことによりバイアス電流の温度特性もなくすことがで
きる。
【0071】なお、トランジスタ213の電流値と電流I2
11の比較においてダイオード214,215を用いているが、
抵抗等のその他の回路素子を用いても構わない。
【0072】また、バイアス制御回路210は同じ機能を
有するものであれば他の構成にしても構わない。
【0073】3は本発明の実施の形態を説明するため
の参考例2におけるバイアス電流制御装置の回路図であ
り、これは電力増幅器の出力電流に応じてバイアス電圧
を制御するようにしたものであり、図1との相違点は、
バイアス電圧を制御するバイアス制御回路の出力電流の
極性を反転させ、出力段トランジスタのコレクタ電流の
増加する方のバイアス電圧を大きくするようにしたもの
である。ここで、従来例と同じ機能,動作するものには
同じ符号を付してある。
【0074】図3において、300はバイアス制御回路で
あり、このバイアス制御回路が新たに付加されている以
外は、従来例と同じ構成になっている。
【0075】バイアス制御回路300は、比較増幅器301,
302と、電圧源303,304と、トランジスタ305,306から
構成されている。また、電圧源303と304の電圧は同じ電
圧値VBに設定されている。
【0076】次に図3のバイアス制御回路300の動作に
ついて説明する。比較増幅器301は、電力増幅器10の出
力段トランジスタ15のエミッタと出力端子5の間に接続
された抵抗18の端子電圧V18と電圧VBを比較し、端子
電圧V18が電圧VBより低いときは比較増幅器301の出
力は低くなりトランジスタ305のデータ・エミッタ間電圧
を大きくしコレクタ電流Ic305を増加させる。また端子
電圧V18が電圧VBより高くなると比較増幅器301の出
力は高くなりトランジスタ305のコレクタ電流Ic305を
減少させるように動作する。
【0077】また、比較増幅器302は、電力増幅器10の
出力段トランジスタ16のエミッタと出力端子5の間に接
続された抵抗19の端子電圧V19と電圧VBを比較し、端
子電圧V19が電圧VBより低いときは比較増幅器302の
出力は高くなりトランジスタ306のベース・エミッタ間
電圧を大きくしコレクタ電流Ic306を増加させる、端子
電圧V19が電圧VBより高くなると比較増幅器302の出
力は低くなりトランジスタ306のコレクタ電流Ic306を
減少させるように動作する。
【0078】また、バイアス回路20のバイアス電圧Vbi
asにおいて図1との相違点は、バイアス制御回路300の
比較増幅器301の出力によって出力電流Ic305が抵抗23
に流れるようになり、また比較増幅器302の出力によっ
て出力電流Ic306が抵抗21に流れるようになった点であ
る。これによって、バイアス電圧Vbiasは(数9)で表わ
されるようになる。
【0079】
【数9】 Vbias=V22+I22×(R21+R23)+Ic305×R23+Ic306×R21 =(Vbe24+Vbe25){1+(R21+R23)/R22}+Ic305×R23+Ic306×R21 =m×(Vbe24+Vbe25)+Ic305×R23+Ic306×R21 このように動作するバイアス制御回路300を付加した場
合の電力増幅器の動作について説明する。
【0080】[無信号入力時]電圧源7の出力がゼロの
場合、即ち無信号入力時で出力端子5に接続された負荷
抵抗8への電流供給がない状態では、電圧増幅器6の出
力端子3及び4の出力は一定のバイアス電圧が加えられ
ているとすると、負荷に流れる電流がないのでトランジ
スタ15及び16のコレクタ電流Ic15及びIc16は等しくな
る。このような状態での出力段トランジスタ15及び16の
コレクタ電流とバイアス電圧の関係は、(数5)で求めら
れたようになる。
【0081】ここで、この出力段トランジスタのバイア
ス電流が小さく抵抗18及び19の端子電圧V18及びV19が
バイアス制御回路300の電圧VBより小さくなっている
場合を考える。この場合、バイアス制御回路300のトラ
ンジスタ305及び306はトランジスタ305,306のコレクタ
電流Ic305及びIc306を増加させるように動作する。こ
のコレクタ電流Ic305は電力増幅器10のバイアス回路20
の抵抗23に流れ、コレクタ電流Ic306は電力増幅器10の
バイアス回路20の抵抗21に流れ込むので、バイアス制御
回路300からの出力電流Ic305及びIc306によって抵抗2
1及び抵抗23の端子電圧を大きくするように働き、バイ
アス回路20の端子電圧Vbiasは大きくなり、(数10)で表
されるようになる。
【0082】
【数10】 Vbias=V22+I22×(R21+R23)+Ic305×R23+Ic306×R21 =(Vbe24+Vbe25){1+(R21+R23)/R22}+Ic305×R23+Ic306×R21 =m×(Vbe24+Vbe25)+Ic305×R23+Ic306×R21 但し、m:比例定数(m={1+(R21+R23)/R22}) このように、抵抗18及び19の端子電圧V18及びV19がバ
イアス制御回路300の電圧VBより小さい場合は、バイ
アス制御回路300によってバイアス回路20の端子電圧Vb
iasを大きくするので、電力増幅器10に加わる電圧値を
大きくし出力段トランジスタ15及び16のバイアス電流を
大きくし、抵抗18及び19の端子電圧V18及びV19を大き
くするように働く。
【0083】一方、出力段トランジスタのバイアス電流
が大きく抵抗18及び19の端子電圧V18及びV19がバイア
ス制御回路100の電圧VBより大きくなっている場合を
考える。この場合、バイアス制御回路300のトランジス
タ305及び306のコレクタ電流は小さくなるように動作す
るので、バイアス回路20の端子電圧Vbiasが小さくなる
ことになり、電力増幅器10に加わる電圧値が小さくなり
出力段トランジスタ15及び16のバイアス電流を小さく
し、抵抗18及び19の端子電圧V18及びV19を小さくする
ようになる。このように、バイアス制御回路300が負帰
還動作を行うことにより、最終的に抵抗18及び19の端子
電圧V18及びV19は電圧VBと等しくなるところで安定
し、その時のバイアス電流は電圧VB抵抗18及び19の抵
抗値R18及びR19で除した電流値になり、(数11)で表さ
れる。
【0084】
【数11】Ic15=Ic16=VB/R18(=R19) これより、バイアス制御回路300の電圧VBによって、
出力段トランジスタのバイアス電流を設定することがで
きる。
【0085】[信号入力時]電圧源7の出力が接地電位
より高くなった場合、すなわち電圧増幅器6の非反転入
力端子1の電圧が反転入力端子2の電圧より高くなり、
トランジスタ15のコレクタ電流Ic15を増加させ、負荷
抵抗8に電流を流し込み出力端子5の電圧を高くし、電
圧増幅器6の反転入力端子2の電圧も高くなるように動
作した場合を考える。この場合、トランジスタ15のコレ
クタ電流Ic15が大きくなるので、抵抗18に流れる電流
も大きくなり端子電圧V18が大きくなる。よって、バイ
アス制御回路300の比較増幅器301の出力は低くなりトラ
ンジスタ305をカットオフ状態にする。
【0086】また、このとき抵抗18の端子電圧V18が大
きくなった分トランジスタ16のベース・エミッタ間電圧
が小さくなる。従って、トランジスタ16のコレクタ電流
Ic16が小さくなるので、抵抗19に流れる電流も小さく
なり端子電圧V19が小さくなる。よって、バイアス制御
回路300の比較増幅器302の出力は低くなりトランジスタ
306のベース・エミッタ間電圧を大きくし、トランジス
タ306のコレクタ電流Ic306を大きくし、(数9)よりバ
イアス回路20の端子電圧Vbiasが大きくし、出力段トラ
ンジスタ16のコレクタ電流Ic16を大きくするように動
作する。従って、このときトランジスタ306のコレクタ
電流Ic306は、出力電流によって抵抗18の電圧降下が上
昇した分と、トランジスタ305がカットオフになり、抵
抗23の電圧降下が減少した分だけ、抵抗21の両端の電圧
を上昇させるように動作するようになる。
【0087】一方、電圧源7の出力が接地電位より低く
なった場合、すなわち電圧増幅器6の非反転入力端子1
の電圧が反転入力端子2の電圧より低くなり、トランジ
スタ16のコレクタ電流Ic16を増加させ、負荷抵抗8か
ら電流を吸い込み出力端子5の電圧を低くし、電圧増幅
器6の反転入力端子2の電圧も低くさせるように動作し
た場合を考える。この場合、トランジスタ16のコレクタ
電流Ic16が大きくなるので、抵抗19に流れる電流も大
きくなり端子電圧V19が大きくなる。よって、バイアス
制御回路300の比較増幅器302の出力は高くなりトランジ
スタ306のカットオフ状態にする。
【0088】また、このとき抵抗19の端子電圧V19が大
きくなった分トランジスタ15のベース・エミッタ間電圧
が小さくなりトランジスタ15のコレクタ電流Ic15が小
さくなる。従って、抵抗18に流れる電流も小さくなり端
子電圧V18が大きくなる。よって、バイアス制御回路30
0の比較増幅器301の出力は高くなりトランジスタ305の
ベース・エミッタ間電圧を大きくし、トランジスタ305
のコレクタ電流Ic305を大きくし、(数9)よりバイアス
回路20の端子電圧Vbiasが大きくし、出力段トランジス
タ15のコレクタ電流Ic15を大きくするように動作す
る。従って、このときトランジスタ305のコレクタ電流
Ic305は、出力電流によって抵抗19の電圧降下が上昇し
た分と、トランジスタ306がカットオフになり抵抗の電
圧降下が減少した分だけ、抵抗23の両端の電圧を上昇さ
せるように動作するようになる。
【0089】このように、抵抗18の端子電圧V18が大き
くなっても、バイアス制御回路300によって端子電圧V1
9が電圧VBと同じ電圧値になるように働くので、トラ
ンジスタ16はカットオフすることなく一定のバイアス電
流を流すようになり、また、抵抗19の端子電圧V19が大
きくなっても、バイアス制御回路300によって電圧V18
が電圧VBと同じ電圧になるように働くので、トランジ
スタ15がカットオフすることなく一定のバイアス電流を
流すように動作する。
【0090】このようなバイアス制御回路300の入力に
なる抵抗18及び19の端子電圧と出力のトランジスタ305
及び306のコレクタの電圧について考える。
【0091】まず、入力の抵抗18及び19の端子電圧は、
一般的に電力増幅器10の出力インピーダンスを低くする
ために、出力段の抵抗18及び19は低抵抗(0.15〜0.47Ω)
を用いるため、出力段トランジスタの最大コレクタ電流
を20Aと考えると抵抗18及び19の端子電圧は、最大でも
10V程度までしか上昇しないことになる。
【0092】また、無信号入力時はトランジスタ15,16
のコレクタ電流が等しくなるように動作するので、バイ
アス制御回路300の出力電流Ic306とIc305も等しくな
るので、バイアス回路20の中点電位が出力端子5の電圧
と同じになる。ここで、バイアス回路20の中点は、バイ
アス制御回路300の出力電流Ic306とIc305が等しいと
すると、トランジスタ24のエミッタとトランジスタ25の
エミッタの結合部になる。従って、バイアス制御回路30
0の出力トランジスタ305のコレクタ電圧Vc305は出力端
子5の電圧VOからトランジスタ25のベース・エミッタ
間電圧を引いた電圧になり、トランジスタ306のコレク
タ電圧Vc306は出力端子5の電圧VOからトランジスタ2
4のベース・エミッタ間電圧を足した電圧になり、それ
ぞれ(数12),(数13)で表される。
【0093】
【数12】Vc305=VO−Vbe25
【0094】
【数13】Vc306=VO+Vbe24 一方、信号が入力された場合のバイアス制御回路300の
出力トランジスタ305及び306のコレクタ電圧Vc305及び
Vc306を求めると以下のようになる。バイアス回路20の
両端の電圧をそれぞれVb13及びVb14とすると、Vb13
は出力端子5の電圧VOから抵抗18の端子電圧V18とト
ランジスタ15と13のベース・エミッタ間電圧を足した電
圧になり(数14)で表され、またVb14は出力端子5の電
圧VOから抵抗19の端子電圧V19とトランジスタ16と14
のベース・エミッタ間電圧を引いた電圧になり(数15)で
表される。
【0095】
【数14】Vb13=VO+Ic15×R18+Vbe15+Vbe13
【0096】
【数15】Vb14=VO−Ic16×R19−Vbe16−Vbe14 これより、トランジスタ305及び306のコレクタ電圧Vc3
05及びVc306は、Vb13とVb14と抵抗21及び23の電圧降
下分を考慮した電圧になり、(数16),(数17)で表され
る。
【0097】
【数16】 Vc306=Vb13−Ic306×R21 =VO+Ic15×R18+Vbe15+Vbe13−Ic306×R21
【0098】
【数17】 Vc305=Vb14+Ic305×R23 =VO−Ic16×R19−Vbe16−Vbe14+Ic305×R23 ここで、電力増幅器10の出力段トランジスタ15のコレク
タ電流Ic15が増加した場合はバイアス回路300の出力電
流Ic305が増加し、電力増幅器10の出力段トランジスタ
16のコレクタ電流Ic16が増加した場合はバイアス制御
回路300の出力電流Ic306が増加する。その時の抵抗18
及び19の電圧の増加分と抵抗21及び23の電圧降下の増加
分がほぼ同じとすると、ΔIc15×R18≒−ΔIc306×
R21及びΔIc16×R19≒−ΔIc305×R23となる。従
って、トランジスタ15及び16のコレクタ電流が変化して
も、トランジスタ305及び306のコレクタ電圧Vc305とV
c306は、(数14),(数15)からVoを基準にしてほぼ同じ
電圧を保ったままになるので、(数12),(数13)と同じ電
圧になる。
【0099】以上のように、比較増幅器301,302と、電
圧源303,304と、トランジスタ305,306で構成したバイ
アス制御回路300によれば、出力段トランジスタのエミ
ッタと出力端子5の間に接続してある抵抗18及び19の端
子電圧を検出し、その端子電圧がバイアス制御回路300
の電圧源303及び304の電圧値VBより小さくならないよ
うに制御することにより、無信号時に流れる出力段トラ
ンジスタ15,16のバイアス電流を設定することができ、
さらに、信号が入力された場合でも出力段トランジスタ
をカットオフさせることなく動作させることができる。
【0100】さらに、バイアス制御回路300の出力は出
力段トランジスタの電流の増加した方のバイアス電圧を
増加させるように動作させているので、入力と出力端に
加わる電圧は、最大でも10V程度の電圧になり、電力増
幅器で使用する電源電圧(例えばVcc=70V,Vee=−7
0V)の高電圧が加わらない構成になっているので、バイ
アス制御回路300は耐圧の低い部品素子を使用すること
ができ、モノシリックIC等が容易にできる効果を合わ
せ持っている。
【0101】なお、バイアス制御回路300の電圧源303及
び304の電圧値を温度に依存しない、バンドギャップ電
圧源等を用いていれば、抵抗18及び19の端子電圧が温度
に依存しなくなり、バイアス電流は抵抗18及び19の温度
特性のみに依存することになる。温度依存性の小さい抵
抗を用いることによりバイアス電流の温度依存性は小さ
くすることができる。
【0102】また、バイアス回路300の出力にトランジ
スタを用いているが、CMOS等の他の素子を用いても
構わない。
【0103】また、バイアス制御回路300は同じ機能を
有するものであれば他の構成にしても構わない。
【0104】(実施の形態) 図4は本発明の実施の形態におけるバイアス電流制御
装置の回路図であり、これは電力増幅器の出力電流に応
じてバイアス電圧を制御するようにしたものである。図
3との相違点は、出力段トランジスタ15,16のコレクタ
電流の検出を出力段トランジスタのエミッタと出力端子
5の間に接続してある抵抗18及び19の端子電圧に比例し
た電流として検出している点である。ここで、従来例と
同じ機能,動作するものは同じ符号を付してある。
【0105】図4において、400及び450はバイアス制御
回路であり、このバイアス制御回路が新たに付加されて
いる以外は、従来例と同じ構成になっている。
【0106】バイアス制御回路400と450は正負対称の構
成をしており、ここでは、正側のバイアス制御回路400
に付いて記載する。バイアス制御回路400は、抵抗411
と、演算増幅器412と、トランジスタ413と、ダイオード
414,415と、電流源416と、比較増幅器417と、トランジ
スタ418から構成されている。
【0107】次に図4のバイアス制御回路400の動作に
ついて説明する。演算増幅器412は、反転入力端子の電
圧が高くなると演算増幅器412の出力は低くなりトラン
ジスタ413のコレクタ電流を増加させる。また、反転入
力端子の電圧が低くなると演算増幅器412の出力は高く
なりトランジスタ413のコレクタ電流を増加させる。従
って、出力段トランジスタ15のコレクタ電流が大きくな
りエミッタ電圧が高くなり演算増幅器412の反転入力端
子の電圧が高くなると抵抗411に流れる電流が大きくな
り反転入力端子の電圧を低くし、また、出力段トランジ
スタ15のコレクタ電流が小さくなりエミッタ電圧が低く
なり演算増幅器412の反転入力端子の電圧が低くなると
抵抗411に流れる電流が小さくなり反転入力端子の電圧
を高くする。最終的には、反転入力端子の電圧は非反転
入力端子の電圧と等しくなるところで安定するようにな
る。このときトランジスタ213に流れる電流は、電力増
幅器の出力段トランジスタ15のエミッタ電圧と演算増幅
器412の非反転入力端子(=出力端子)の間の電圧を抵抗4
11の抵抗値R411で除した電流値になり(数18)で表され
る。
【0108】
【数18】Ic413=Ic15×R18/R411 但し、Ic413:トランジスタ413のコレクタ電流値, Ic15 :トランジスタ15のコレクタ電流値, R18 :抵抗18の抵抗値,R411:抵抗411の抵抗値 このように、トランジスタ413のコレクタ電流は出力段
トランジスタ15のコレクタ電流Ic15に比例した電流に
なる。この電流Ic413は、ダイオード414に流れ込み、
比較増幅器417の反転入力端子に入力される。また、電
流源416の電流I416はダイオード415に流れ込み、比較
増幅器417の非反転入力端子に入力される。比較増幅器4
17は、反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧を比
較し、反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧より
大きい場合は比較増幅器417の出力電圧は高くなりトラ
ンジスタ418のコレクタ電流を減少させる。また、反転
入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧より小さい場合
は比較増幅器417の出力電圧は低くなりトランジスタ418
のコレクタ電流を増加させるように動作する。
【0109】すなわち、電力増幅器10の出力段トランジ
スタ15のコレクタ電流Ic15が増加すると、トランジス
タ413のコレクタ電流Ic413が増加するのでダイオード4
14の電圧が高くなり、比較増幅器417よりトランジスタ4
18のコレクタ電流Ic418を減少させるようになる。ま
た、電力増幅器10の出力段トランジスタ15のコレクタ電
流Ic15が減少すると、トランジスタ413のコレクタ電流
Ic413が減少するのでダイオード414の電圧が低くな
り、比較増幅器417によりトランジスタ418のコレクタ電
流Ic418を増加させるように動作する。最終的には、出
力段トランジスタ15のコレクタ電流に比例した電流Ic4
13が電流源416の電流値I416と同じ電流値になるところ
で安定するようになる。
【0110】このような、バイアス制御回路400は、図
3のバイアス制御回路300と入出力の関係は同じにな
り、図3のバイアス制御回路300との相違点は出力段ト
ランジスタ15のコレクタ電流Ic15が電流値I411で設定
される点である。
【0111】このように動作するバイアス制御回路400
を付加した場合の電力増幅器10の動作は、図3と同様の
動作をし、同様の特性が得られる。従って、図3と同様
に、出力段トランジスタのエミッタと出力端子5の間に
接続してある抵抗18及び抵抗19の端子電圧に比例した電
流を検出し、その検出した電流がバイアス制御回路400
の電流源416の電流値I416より小さくならないように制
御することにより、無信号時に流れる出力段トランジス
タのバイアス電流を設定することができ、さらに、信号
が入力された場合でも出力段トランジスタをカットオフ
させることなく動作させることができるので、第2及び
第3の課題を解決することができる。また、図3と同様
にバイアス制御回路400の入力と出力端に加わる電圧
は、最大でも10V程度の電圧になり、電力増幅器で使用
する電源電圧(例えばVcc=70V,Vee=−70V)の高電
圧が加わらない構成になっているので、バイアス制御回
路400は耐圧の低い部品素子を使用することができ、モ
ノシリックIC化等が容易にできる効果を合わせ持って
いる。
【0112】さらに、図4では、出力段トランジスタの
コレクタ電流の検出において、抵抗18と抵抗411の比の
形になるので、抵抗の温度特性が相殺することができる
ので、バイアス電流設定の電流I411の温度特性をなく
すことによりバイアス電流の温度特性もなくすことがで
きる。
【0113】(実施の形態) 図5は本発明の実施の形態におけるバイアス電流制御
装置の回路図であり、これは電力増幅器の出力段トラン
ジスタのコレクタ電流の小さい方を検出してそのコレク
タ電流に応じてバイアス電圧を制御するようにしたもの
であり、従来例と同じ機能,動作するものには同じ符号
を付してある。
【0114】図5において、500はバイアス制御回路で
あり、このバイアス制御回路500は、演算増幅器501と抵
抗503とトランジスタ505からなるトランジスタ15のコレ
クタ電流検出回路と、演算増幅器502と抵抗504とトラン
ジスタ506からなるトランジスタ16のコレクタ電流検出
回路と、トランジスタ507,508からなるカレントミラー
回路と、ダイオード509,510とトランジスタ511,512と
電流源515からなる電流比較回路と、ダイオード513とト
ランジスタ514と電流源516,517からなる基準電圧発生
手段と、比較増幅器518とトランジスタ519,520と、ト
ランジスタ521,522からなるカレントミラー回路から構
成されている。
【0115】次に図5のバイアス制御回路の動作につい
て説明する。
【0116】まず、比較増幅器518の反転入力端子の電
圧V3を求めると以下のようになる。演算増幅器501
は、反転入力端子の電圧が高くなると演算増幅器501の
出力は低くなりトランジスタ505のコレクタ電流を増加
させる。また、反転入力端子の電圧が低くなると演算増
幅器501の出力は高くなりトランジスタ505のコレクタ電
流を増加させる。従って、出力段トランジスタ15のコレ
クタ電流が大きくなりエミッタ電圧が高くなり演算増幅
器501の反転入力端子の電圧が高くなると抵抗503に流れ
る電流が大きくなり反転入力端子の電圧を低くし、ま
た、出力段トランジスタ15のコレクタ電流が小さくなり
エミッタ電圧が低くなり演算増幅器501の反転入力端子
の電圧が低くなると抵抗503に流れる電流が小さくなり
反転入力端子の電圧を高くする。最終的には、反転入力
端子の電圧は非反転入力端子の電圧と等しくなるところ
で安定するようになる。このときトランジスタ505に流
れる電流は、電力増幅器の出力段トランジスタ15のエミ
ッタ電圧と演算増幅器501の非反転入力端子(=出力端
子)間の電圧を抵抗503の抵抗値R503で除した電流値に
なり(数19)で表される。
【0117】
【数19】Ic505=Ic15×R18/R503 但し、Ic505:トランジスタ505のコレクタ電流値 R503 :抵抗503の抵抗値 この電流Ic505は、トランジスタ507,508からなるカレ
ントミラー回路を介してダイオード510に流れ込む。
【0118】一方、演算増幅器502は、反転入力端子の
電圧が高くなると演算増幅器502の出力は高くなりトラ
ンジスタ506のコレクタ電流を増加させる。また、反転
入力端子の電圧が低くなると、演算増幅器502の出力は
低くなりトランジスタ506のコレクタ電流を増加させ
る。従って、出力段トランジスタ16のコレクタ電流が大
きくなりエミッタ電圧が高くなり演算増幅器502の反転
入力端子の電圧が高くなると抵抗504に流れる電流が大
きくなり反転入力端子の電圧を低くし、また、出力段ト
ランジスタ16のコレクタ電流が小さくなりエミッタ電圧
が低くなり演算増幅器502の反転入力端子の電圧が低く
なると抵抗504に流れる電流が小さくなり反転入力端子
の電圧を高くする。最終的には、反転入力端子の電圧は
非反転入力端子の電圧と等しくなるところで安定するよ
うになる。このときトランジスタ506に流れる電流は、
電圧増幅器の出力段トランジスタ16のエミッタ電圧と演
算増幅器502の非反転入力端子(=出力端子)間の電圧を
抵抗504の抵抗値R504で除した電流値になり(数20)で表
され、この電流Ic506はダイオード509に流れ込むよう
になる。
【0119】
【数20】Ic506=Ic16×R19/R504 但し、Ic506:トランジスタ506のコレクタ電流値 R504 :抵抗504の抵抗値 ダイオード509に電流Ic506が流れ込んだときのダイオ
ード509の電圧V1は、(数21)のように表され、ダイオ
ード510に電流Ic505が流れ込んだ時のダイオード510の
電圧V2は、(数22)のように表される。
【0120】
【数21】V1=VH−Vt×1n(Ic506/Id)
【0121】
【数22】V2=VH−Vt×1n(Ic505/Id) 但し、VH:バイアス制御回路500の電源電圧値 Id :ダイオードの逆飽和電流 Vt :Vt=k×T/q(k:ボルツマン定数,T:絶
対温度, q:電子の電荷) また、V1にベースが接続されているトランジスタ511
のエミッタとV2にベースが接続されているトランジス
タ512のエミッタがそれぞれ電流源515に接続されている
点の電圧V3とすると、電圧V3と電流Ic505,Ic50
6,Ic511及びIc512は以下のような関係になる。
【0122】
【数23】 V3=V1−Vt×ln(Ic511/Is) =VH−Vt×ln(Ic506/Id)−Vt×ln(Ic511/Is)
【0123】
【数24】 V3=V2−Vt×ln(Ic512/Is) =VH−Vt×ln(Ic505/Id)−Vt×ln(Ic512/Is) 但し、Id:ダイオードの逆飽和電流また、Ic511とIc
512は、電流源515の電流I515がトランジスタ511と512
に分流した電流値なので、Ic511とIc512の和は、電流
源515の電流I515と等しくなり、(数25)のように表され
る。
【0124】
【数25】I515=Ic511+Ic512 一方、比較増幅器518の非反転入力端子の電圧V4を求
めると以下のようになる。比較増幅器518の非反転入力
端子の電圧V4は、バイアス制御回路500の電源電圧V
Hからダイオード513の端子電圧Vd513とトランジスタ5
14のベース・エミッタ間電圧Vbe514を引いた電圧にな
り、ダイオード513及びトランジスタ514に流れる電流は
それぞれ電流源516及び517によって設定されるので、電
圧V4は(数26)で表される。
【0125】
【数26】V4=VH−Vt×ln(I516/Id)−Vt×
ln(I517/Is) 次に、比較増幅器518の動作について説明する。
【0126】比較増幅器518は、反転入力端子の電圧V
3と非反転入力端子V4を比較し、V3がV4より高く
なった時は比較増幅器518の出力の電圧は低くなりトラ
ンジスタ519及び520のベース・エミッタ間電圧を大きく
しコレクタ電流Ic519及びIc520を増加させる。コレク
タ電流Ic519はバイアス回路20の抵抗23に流れ込み、コ
レクタ電流Ic520はトランジスタ521,522からなるカレ
ントミラー回路を介してバイアス回路20の抵抗21に流れ
込む。よって、V3がV4より高くなりコレクタ電流I
c519及びIc520が増加すると、バイアス回路20のバイア
ス電圧Vbiasを大きくするように動作する。
【0127】一方、V3がV4より低くなったときは比
較増幅器518の出力の電圧は高くなりトランジスタ519及
び520のベース・エミッタ間電圧を小さくしコレクタ電
流Ic519及びIc520を減少させるので、バイアス回路20
のバイアス電圧Vbiasを小さくするように動作する。従
って、比較増幅器518は電圧V3がV4より低くなった
時、バイアス電圧Vbiasを小さくするので出力段トラン
ジスタ15及び16のコレクタ電流は小さくなり、トランジ
スタ15及び16の電流に比例して電流のIc505及びI
c506も小さくなるので、(数23)及び(数24)より電圧
V3を高くするように働く。
【0128】一方、比較増幅器518はV3がV4より高
くなったとき、バイアス電圧Vbiasを小さくするので出
力段トランジスタ15及び16のコレクタ電流は大きくな
り、出力段トランジスタ15及び16のコレクタ電流に比例
した電流Ic505及びIc506も大きくなるので、(数23)及
び(数24)より電圧V3を低くするように働く。このよう
な負帰還動作を行わせることにより、最終的に電圧V3
と電圧V4を等しくなるところで安定するようになる。
【0129】ここで、電圧V3とV4を等しいとする
(数23)と(数26)より(数27)が導き出され、(数24)と(数2
6)より(数28)が導き出される。
【0130】
【数27】Ic506×Ic511=I516×I517
【0131】
【数28】Ic505×Ic512=I516×I517 この(数27),(数28)と(数25)からIc511とIc512を消去
すると(数29)のようになる。
【0132】
【数29】Ic505×Ic506/(Ic505+Ic506)=I516
×I517/I515 電圧源7の出力がゼロの場合、即ち無信号入力時で出力
端子5に接続された負荷抵抗8への電流供給がなくトラ
ンジスタ15及び16のコレクタ電流Ic15及びIc16に比例
した電流Ic505及びIc506も等しい状態になる。従っ
て、(数29)においてIc505=Ic506とすると(数30)のよ
うな関係になる。
【0133】
【数30】Ic505/2=I516×I517/I515 但し、Ic505=Ic506 これより、無信号入力時のバイアス電流は、電流源51
5,516,517の電流値によって設定することができる。
【0134】一方、電圧源7の出力が接地電位より高く
なった場合、すなわち電圧増幅器6の非反転入力端子1
の電圧が反転入力端子2の電圧より高くなり、トランジ
スタ15のコレクタ電流Ic15を増加させ、負荷抵抗8に
電流を流し込み出力端子5の電圧を高くし、電圧増幅器
6の反転入力端子2の電圧も高くなるように動作した場
合を考える。トランジスタ15のコレクタ電流Ic15が大
きくなるのでIc15に比例した電流Ic505がトランジス
タ16のコレクタ電流Ic16に比例した電流Ic506より十
分に大きい Ic505≫Ic506の関係になる。よってダイ
オード509の流れる電流Ic506が小さくなり、ダイオー
ド510の流れる電流Ic505が大きくなるので、電圧V1
は高くなり電圧V2は低い電圧になり、トランジスタ51
1とトランジスタ512のベース・エミッタ間電圧の関係は
エミッタ電圧が共通になっているので、Vbe511≫Vbe5
12の関係になる。従って、トランジスタ511のコレクタ
電流Ic511の方に電流源515の電流I515がほとんど流れ
るようになり、エミッタ電圧V3は(数31)で表されるよ
うになる。
【0135】
【数31】V3=Vt×ln(Ic506/Id)+Vt×ln
(I515/Is) このように、電圧V3は出力段トランジスタのコレクタ
電流の小さい方の電流に比例した電圧になる。この電圧
V3は、比較増幅器518によって電圧V4と等しくなる
ように動作するので(数31)と(数26)より(数32)のような
関係になる。
【0136】
【数32】Ic506×I515=I516×I517 Ic506=I516×I517/I515 これより、電圧源7の出力が接地電位より高くなり、ト
ランジスタ15のコレクタIc15が増加して負荷抵抗8に
電流を流し込み出力端子5の電圧が高くなった場合で
も、バイアス制御回路500によれば、出力段トランジス
タのコレクタ電流の小さい方の電流を検出し、その電流
値が、電流源515,516,517で設定される電流より小さ
くならないよう動作するので、出力段トランジスタ16を
カットオフすることなく一定のバイアス電流を流すよう
になる。
【0137】また、電圧源7の出力が接地電位より低く
なった場合、すなわち電圧増幅器6の非反転入力端子1
の電圧が反転入力端子2の電圧より低くなり、トランジ
スタ16のコレクタ電流Ic16を増加させ、負荷抵抗8か
ら電流を引き込み出力端子5の電圧が低くし、電圧増幅
器6の反転入力端子2の電圧も低くなるように動作した
場合を考える。トランジスタ16のコレクタ電流Ic16が
大きくなるので、Ic16に比例した電流Ic506がトラン
ジスタ15のコレクタ電流Ic15に比例した電流Ic505よ
り十分に大きい Ic506≫Ic505の関係になる。よって
ダイオード510の流れる電流Ic505が小さくなり、ダイ
オード509の流れる電流Ic506が大きくなるので、電圧
V1は低くなり電圧V2は高い電圧になり、トランジス
タ511とトランジスタ512のベース・エミッタ間電圧の関
係はエミッタ電圧が共通になっているので、Vbe512≫
Vbe511の関係になる。従って、トランジスタ512のコレ
クタ電流Ic512の方に電流源515の電流I515がほとんど
流れるようになり、エミッタ電圧V3は(数33)で表され
るようになる。
【0138】
【数33】V3=Vt×ln(Ic505/Id)+Vt×ln
(I515/Is) この電圧V3は、比較増幅器518によって電圧V4と等
しくなるように動作するので、(数33)と(数26)より(数3
4)のような関係になる。
【0139】
【数34】Ic505×I515=I516×I517 Ic505=I516×I517/I515 これより、電圧源7の出力が接地電位より低くなり、ト
ランジスタ16のコレクタ電流Ic16が増加して負荷抵抗
8から電流を引き込み出力端子5の電圧が低くなった場
合でも、バイアス制御回路500によれば、出力段トラン
ジスタのコレクタ電流の小さい方の電流を検出し、その
電流値が、電流源515,516,517で設定される電流より
小さくならないよう動作するので、出力段トランジスタ
15をカットオフすることなく一定のバイアス電流を流す
ようになる。
【0140】以上のように、トランジスタ15のコレクタ
電流検出回路と、トランジスタ16のコレクタ電流検出回
路と、トランジスタ507,508からなるカレントミラー回
路と、電流比較回路と、基準電圧源と、比較増幅器518
と、トランジスタ519,520と、トランジスタ521,522か
らなるカレントミラー回路から構成されているバイアス
制御回路500によれば、出力段トランジスタのコレクタ
電流の小さい方を検出し、その電流値が電流源515〜517
で設定される電流より小さくならないように制御するこ
とにより、無信号時に流れる出力段トランジスタのバイ
アス電流を設定することができ、さらに、信号が入力さ
れた場合でも出力段トランジスタをカットオフさせるこ
となく動作させることができるので、第2及び第3の課
題を解決することができる。
【0141】また、図4に比べ電流の小さい方を検出す
る電流比較回路を設けることにより、比較増幅器及びバ
イアス電流設定用の電流源をそれぞれ1つ省くことがで
き回路が簡素化できる。
【0142】また、この場合バイアス電流の設定が電流
源の電流値の比の形になっており、モノシリックIC化
する場合には電流バラツキの相対精度になるので、絶対
バラツキを小さくすることができる。
【0143】なお、比較増幅器518及びトランジスタ51
9,520の構成は、同様の機能,動作をするものであれば
他の構成にしても構わず、特に限定するものではない。
【0144】(実施の形態) 図6は本発明の実施の形態におけるバイアス電流制御
装置の回路図であり、これは電力増幅器の出力段トラン
ジスタのコレクタ電流の小さい方を検出してそのコレク
タ電流に応じてバイアス電圧を制御するようにしたもの
である。ここで従来例と同じ機能,動作するものには同
じ符号を付してある。
【0145】図6において、600はバイアス制御回路で
あり、このバイアス制御回路600は、演算増幅器601と抵
抗603とトランジスタ605からなるトランジスタ15のコレ
クタ電流検出回路と、演算増幅器602と抵抗604とトラン
ジスタ606からなるトランジスタ16のコレクタ電流検出
回路と、トランジスタ607,608からなる第1のカレント
ミラー回路と、ダイオード609,610とトランジスタ61
1,612と電流源615からなる電流比較回路と、ダイオー
ド613とトランジスタ614と電流源616,617からなる基準
電圧発生手段と、比較増幅器618と、トランジスタ651と
652からなる第2のカレントミラー回路と、トランジス
タ653と654からなる第3のカレントミラー回路と、トラ
ンジスタ655と656からなる第4のカレントミラー回路
と、トランジスタ657と658からなる第5のカレントミラ
ー回路と、トランジスタ661と662からなる第6のカレン
トミラー回路と、トランジスタ663と664からなる第7の
カレントミラー回路と、トランジスタ665と666からなる
第8のカレントミラー回路と、トランジスタ619と620か
ら構成されている。
【0146】次に図6のバイアス制御回路の動作を説明
する。電力増幅器10の出力段トランジスタ15及び16のコ
レクタ電流検出回路及び電流比較回路については図5と
同様の構成をしており、同様の動作をするようになって
いる。従って、電流比較回路の電圧V1〜V3は図5と
同様にして求めると以下のようになる。
【0147】ダイオード609に電流Ic606が流れ込んだ
ときのダイオード609の電圧V1は、(数35)のように表
され、ダイオード610に電流Ic605が流れ込んだ時のダ
イオード610の電圧V2は、(数36)のように表される。
【0148】
【数35】V1=VH−Vt×ln(Ic506/Id)
【0149】
【数36】V2=VH−Vt×ln(Ic505/Id) 但し、VH:バイアス制御回路500の電源電圧値 V1にベースが接続されているトランジスタ611のエミ
ッタをV2にベースが接続されているトランジスタ612
のエミッタがそれぞれ電流源615に接続されている点の
電圧をV3とすると、電圧V3と電流Ic605,Ic606,
Ic611及びIc612の関係は、以下のようになる。
【0150】
【数37】 V3=V1−Vt×ln(Ic611/Is) =VH−Vt×ln(Ic606/Id)−Vt×ln(Ic611/Is)
【0151】
【数38】 V3=V3−Vt×ln(Ic612/Is) =VH−Vt×ln(Ic605/Id)−Vt×ln(Ic612/Is) 但し、Id:ダイオードの逆飽和電流 また、Ic611とIc612は、電流源615の電流I615がトラ
ンジスタ611と612に分流した電流値なので、(数39)に示
すように、Ic611とIc612の和は電流源615の電流I615
と等しくなる。
【0152】
【数39】I615=Ic611+Ic612 一方、比較増幅器618の非反転入力端子の電圧V4を求
めると以下のようになる。
【0153】比較増幅器618の非反転入力端子の電圧V
4は、バイアス制御回路600の電源電圧VHからダイオ
ード613の端子電圧Vd613とトランジスタ614のベース・
エミッタ間電圧Vbe614を引いた電圧になり、ダイオー
ド613及びトランジスタ614に流れる電流はそれぞれ電流
源616及び617によって設定されるので、電圧V4は(数4
0)で表わされる。
【0154】
【数40】V4=VH−Vt×ln(Ic616/Id)−Vt×
ln(I617/Is) 次に、比較増幅器618の動作について説明する。比較増
幅器618は、非反転入力端子の電圧V3と反転入力端子
の電圧V4を比較し、V3がV4より高くなったときは
比較増幅器618の出力の電圧は高くなりトランジスタ619
及び620のベース・エミッタ間電圧を小さくしコレクタ
電流Ic619及びIc620を減少させる。これにより、第8
のカレントミラー回路に入力される電流が増加し出力の
トランジスタ666にコレクタ電流Ic666も増加するの
で、バイアス回路20に流れ込む電流が増加する。また、
第4のカレントミラー回路に入力される電流も増加し出
力のトランジスタ656のコレクタ電流Ic656も増加する
ので、第4のカレントミラー回路を介してバイアス回路
20に流れ込む電流が増加する。よって、V3がV4より
高くなりコレクタ電流Ic619及びIc620が減少すると、
バイアス回路20に流れ込む電流が増加しバイアス回路20
のバイアス電圧Vbiasを大きくするように動作する。
【0155】一方V3がV4より低くなったときは比較
増幅器618の出力の電圧は低くなりトランジスタ619及び
620のベース・エミッタ間電圧を大きくしコレクタ電流
Ic619及びIc620を増加させる。これにより、第8のカ
レントミラー回路に入力される電流が減少し出力トラン
ジスタ666のコレクタ電流Ic666も減少するので、バイ
アス回路20に流れ込む電流が減少する。また、第4のカ
レントミラー回路に入力される電流も減少し出力トラン
ジスタ656のコレクタ電流Ic656も減少するので、第5
のカレントミラー回路を介してバイアス回路20に流れ込
む電流が減少する。よって、V3がV4より低くなりコ
レクタ電流Ic619及びIc620が増加すると、バイアス回
路20に流れ込む電流が減少しバイアス回路20のバイアス
電圧Vbiasを小さくするように動作する。
【0156】従って比較増幅器618は電圧V3がV4よ
り高くなった時、バイアス電圧Vbiasを大きくするので
出力段トランジスタ15と16のコレクタ電流は増加し、ト
ランジスタ15及び16のコレクタ電流に比例した電流のI
c605及びIc606も増加するので、(数37)及び(数38)より
電圧V3を低くするように働く。一方、比較増幅器618
は電圧V3がV4より低くなった時、バイアス電圧Vbi
asを小さくするので出力段トランジスタ15及び16のコレ
クタ電流は小さくなり、トランジスタ15及び16のコレク
タ電流に比例した電流のIc605及びIc606も減少するの
で、(数37)及び(数38)より電圧V3を高くするように働
く。このような負帰還動作を行わせることにより、最終
的に電圧V3がV4が等しくなるところで安定するよう
になる。
【0157】ここで、電圧V3と電圧V4を等しいとす
ると(数37)と(数40)より(数41)が導きだされ、(数38)と
(数40)より(数42)が導き出される。
【0158】
【数41】Ic606×Ic611=I616×I617
【0159】
【数42】Ic605×Ic612=I616×I617 この(数41),(数42)と(数39)からIc611とIc612を消去
すると(数43)のようになる。
【0160】
【数43】Ic605×Ic606/(Ic605+Ic606)=I616
×I617/I615 これは、図5と同様に出力段トランジスタのコレクタ電
流の小さい方を検出し、その電流値が電流源615〜617で
設定される電流より小さくならないように制御すること
により、無信号時に流れる出力段トランジスタのバイア
ス電流を設定することができ、さらに、信号が入力され
た場合でも出力段トランジスタをカットオフさせること
なく動作させることができる。
【0161】ここで、電流比較回路のトランジスタ611
のコレクタ電流Ic611を第2のカレントミラー回路〜第
5のカレントミラー回路を介してバイアス回路20の抵抗
21に流れ込み、またトランジスタ612のコレクタ電流Ic
612を第6のカレントミラー回路〜第8のカレントミラ
ー回路を介してバイアス回路20の抵抗21に流れ込むよう
になっている。
【0162】これによって、電圧増幅器6の非反転入力
端子1の電圧が反転入力端子2の電圧より高くなり、ト
ランジスタ15のコレクタ電流Ic15を増加させ、負荷抵
抗8に電流を流し込み出力端子5の電圧を高くし、電圧
増幅器6の反転入力端子2の電圧も高くならないように
動作させた場合、トランジスタ15のコレクタ電流Ic15
が大きくなるので、Ic15に比例した電流Ic605がトラ
ンジスタ16のコレクタ電流Ic16に比例した電流Ic606
より十分に大きい Ic605≫Ic606の関係になる。よっ
て、ダイオード609の流れる電流Ic606が小さくなり、
ダイオード610の流れる電流Ic605が大きくなるので、
電圧V1は高くなり電圧V2は低い電圧になり、トラン
ジスタ611とトランジスタ612のベース・エミッタ間電圧
の関係はエミッタ電圧が共通になっているので Vbe611
≫Vbe612の関係になるので、電流源615の電流I615の
ほとんどはトランジスタ611のコレクタ電流Ic611にな
り、トランジスタ612にはほとんど電流が流れなくな
る。従って、バイアス制御回路600からの出力電流はバ
イアス回路20の抵抗21に流れる電流になる。
【0163】一方、電圧増幅器6の非反転入力端子1の
電圧が反転入力端子2の電圧より低くなり、トランジス
タ16のコレクタ電流Ic16を増加させ、負荷抵抗8に電
流源から電流を引き込み出力端子5の電圧を低くし、電
圧増幅器6の反転入力端子2の電圧も低くなるように動
作させた場合、トランジスタ16のコレクタ電流Ic16が
大きくなるので、Ic16に比例した電流Ic606がトラン
ジスタ15のコレクタ電流Ic15に比例した電流Ic605よ
り十分に大きい Ic606≫Ic605の関係になる。よっ
て、ダイオード610の流れる電流Ic605が小さくなり、
ダイオード609の流れる電流Ic606が大きくなるので、
電圧V1は低くなり電圧V2は高い電圧になり、トラン
ジスタ612とトランジスタ611のベース・エミッタ間電圧
の関係はエミッタ電圧が共通になっているので、 Vbe6
12≫Vbe611の関係になるので、電流源615の電流I615
のほとんどはトランジスタ612のコレクタ電流Ic612に
なり、トランジスタ611にはほとんど電流が流れなくな
る。従って、バイアス制御回路600からの出力電流は、
バイアス回路20の抵抗23に流れる電流になる。
【0164】以上のように、上記記載のバイアス制御回
路によれば、出力段トランジスタのコレクタ電流の小さ
い方を検出し、その電流値が電流源615から617で設定さ
れる電流より小さくならないように制御することによ
り、無信号時に流れる出力段トランジスタのバイアス電
流を設定することができ、さらに、信号が入力された場
合でも出力段トランジスタをカットオフさせることなく
動作させることができるので、図5と同様の効果を持っ
ている。
【0165】さらに、バイアス制御回路600は、電流比
較回路によって出力段トランジスタの電流の増加した方
のバイアス電圧を増加させるように動作させているの
で、入力と出力端に加わる電圧は、最大でも10V程度の
電圧になり、電力増幅器で使用する電源電圧(例えばVc
c=70V,Vee=−70V)の高電圧が加わらない構成にな
っているので、バイアス制御回路600は耐圧の低い部品
素子を使用することができ、バイアス制御回路600のモ
ノシリックIC化が容易にできる効果を合わせ持ってい
る。
【0166】(実施の形態) 図7は本発明の実施の形態におけるバイアス電流制御
装置の回路図であり、図7において、700はバイアス制
御回路であり、この実施の形態はバイアス回路20が従来
のものから抵抗21及び23を省いた形になっている。
【0167】バイアス制御回路700は、入出力の関係を
反転させている以外は、図5と同様の構成をしている。
【0168】第7のバイアス制御回路の動作を説明す
る。このバイアス制御回路700は、図5と同様の構成を
しており、同様の動作をするようになっている。従っ
て、バイアス制御回路700の動作は、電圧V3がV4よ
り高くなったときは比較増幅器718の出力の電圧は低く
なりトランジスタ719及び720のベース・エミッタ間電圧
を大きくしコレクタ電流Ic719及び720を増加させる。
コレクタ電流Ic719はトランジスタ721,722からなるカ
レントミラー回路を介してバイアス回路20の抵抗22に流
れ、コレクタ電流Ic720はバイアス回路20の抵抗22に流
れ込む。従って、コレクタ電流Ic719はトランジスタ72
1,722からなるカレントミラー回路を介してバイアス回
路20の抵抗22に流れ、コレクタ電流I720によって吸い
込まれるようになる。
【0169】コレクタ電流Ic719及びIc720が増加し、
抵抗22の端子電圧が大きくなるとバイアス回路20のトラ
ンジスタ24及び25のベース・エミッタ間電圧が大きくな
りコレクタ電流Ic24及びIc25が増加する。これによ
り、電力増幅器10のトランジスタ13及び14のベース電流
を減少させるように働くので、出力段トランジスタ15及
び16のコレクタ電流も減少するようになる。一方、電圧
V3がV4より低くなったときは比較増幅器718の出力
の電圧は高くなりトランジスタ719及び720のベース・エ
ミッタ間電圧を小さくしコレクタ電流Ic719及びIc720
を減少させる。すると、抵抗22に流れる電流が減少する
ので、抵抗22の端子電圧が小さくなりバイアス回路20の
トランジスタ24及び25のベース・エミッタ間電圧が小さ
くなり、コレクタ電流Ic24及びIc25が減少する。
【0170】これにより、電力増幅器10のトランジスタ
13及び14のベース電流を増加させるように働くので、出
力段トランジスタ15及び16のコレクタ電流も増加するよ
うになる。このように動作するバイアス制御回路700に
よれば、電流比較回路によって出力段トランジスタのコ
レクタ電流の小さい方を検出し、その電流値が電流源71
5〜717で設定される電流より小さくならないように制御
するので、無信号時に流れる出力段トランジスタのバイ
アス電流を設定することができ、さらに、信号が入力さ
れた場合でも出力段トランジスタをカットオフさせるこ
となく動作させることができる。
【0171】以上のように、バイアス制御回路700によ
れば、出力段トランジスタのコレクタ電流の小さい方を
検出し、その電流値が電流源715〜717で設定される電流
より小さくならないように制御することにより、無信号
時に流れる出力段トランジスタのバイアス電流を設定す
ることができ、さらに、信号が入力された場合でも出力
段トランジスタをカットオフさせることなく動作させる
ことができるので、第2及び第3の課題を解決すること
ができる。
【0172】さらに、図5に比べ図7では、バイアス回
路20のトランジスタ24及び25のコレクタ電流を制御する
ようになるので、バイアス回路20の抵抗21及び23を省く
ことができ、部品点数を削減することができる。
【0173】
【発明の効果】このように、上記発明の各実施の形態の
構成のバイアス電流制御装置で得られる効果をまとめる
と、以下のようになる。
【0174】(1)出力段トランジスタのエミッタと出力
端子間に接続してある抵抗の端子電圧を電圧電流変換回
路によって電流に変換して検出し、その設定電流が設定
電流より小さくならないように制御することにより、無
信号時に流れる出力段トランジスタのバイアス電流を設
定することができ、信号が入力された場合でも出力段ト
ランジスタをカットオフさせることなく動作させられ
る。
【0175】(2)出力段トランジスタのエミッタと出力
端子間に接続してある抵抗の端子電圧と比較する基準電
圧を、温度に依存しないバンドギャップ電圧源等を用い
れば、バイアス電流は出力段トランジスタのエミッタと
出力端子間に接続してある抵抗の温度特性のみに依存す
ることになり、温度依存性の小さい抵抗を用いることに
よりバイアス電流の温度依存性は小さくすることができ
る。
【0176】(3)出力段トランジスタのコレクタ電流の
検出において、コレクタ電流を抵抗の比に比例した電流
として検出しているので、抵抗の温度特性が相殺するこ
とができる。
【0177】(4)出力段トランジスタの電流の増加した
方向にバイアスを増加させるように制御させているの
で、入力と出力端に加わる電圧は電力増幅器で使用する
電源電圧(例えばVcc=70V,Vee=−70V)の高電圧が
加わらない構成になり、バイアス制御回路は耐圧の低い
部品素子を使用することができ、モノシリックIC化等
が容易にできる効果を持っている。
【0178】(5)出力段トランジスタのコレクタ電流の
小さい方を検出し、その電流値が電流源の電流比で決ま
る設定値より小さくならないように制御することによ
り、設定値が電流源の電流値の比の形になっているの
で、モノシリックIC化する場合には電流バラツキの相
対精度になるので、絶対バラツキを小さくすることがで
きる。
【0179】(6)バイアス回路に流す電流値を制御する
構成にすることにより、バイアス回路の抵抗を2つ省く
ことができ、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための参考例1
におけるバイアス電流制御装置の回路図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるバイアス電流制
御装置の回路図である。
【図3】本発明の実施の形態を説明するための参考例2
におけるバイアス電流制御装置の回路図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるバイアス電流制
御装置の回路図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるバイアス電流制
御装置の回路図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるバイアス電流制
御装置の回路図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるバイアス電流制
御装置の回路図である。
【図8】従来のバイアス電流制御装置の回路図である。
【符号の説明】
5…出力端子、 6…電圧増幅器、 8…負荷抵抗、
10…電力増幅器、 20…バイアス回路、 100,220,30
0,400,450,500,600,700…バイアス制御回路。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のトランジスタと、第1のトランジ
    スタのベースとコレクタ間に接続された第1の抵抗と、
    第1のトランジスタのエミッタにエミッタが接続された
    第2のトランジスタと、第1のトランジスタのベースと
    第2のトランジスタのベース間に接続された第2の抵抗
    と、第2のトランジスタのベースとコレクタ間に接続さ
    れた第3の抵抗から構成された電力増幅器のバイアス回
    路と、及び電力増幅器の出力段トランジスタのエミッタ
    に片端が接続され他端が第1の演算増幅器の反転入力端
    子に接続された第4の抵抗と、第1の演算増幅器の出力
    にベースが接続されエミッタが第1の演算増幅器の反転
    入力に接続されコレクタを出力とする第3のトランジス
    タと、第3のトランジスタのコレクタと負電源間に接続
    された第1のダイオードと、電流発生手段と負電源間に
    接続された第2のダイオードと、第3のトランジスタの
    コレクタに反転入力が接続され電流発生手段に非反転入
    力が接続された比較手段と、比較手段の出力にベースが
    接続されエミッタが負電源に接続されコレクタを装置出
    力とする第4のトランジスタから構成された第1のバイ
    アス制御回路と、前記第1のバイアス制御回路を正負対
    象にした第2のバイアス制御回路とを有し、前記電力増
    幅器の出力段トランジスタのコレクタ電流の大きさに応
    じて電力増幅器のバイアス電圧を制御することを特徴と
    するバイアス電流制御装置。
  2. 【請求項2】 第1のトランジスタと、第1のトランジ
    スタのベースとコレクタ間に接続された第1の抵抗と、
    第1のトランジスタのエミッタにエミッタが接続された
    第2のトランジスタと、第1のトランジスタのベースと
    第2のトランジスタのベース間に接続された第2の抵抗
    と、第2のトランジスタのベースとコレクタ間に接続さ
    れた第3の抵抗から構成された電力増幅器のバイアス回
    路と、及び電力増幅器の出力段トランジスタのエミッタ
    に片端が接続され他端が第1の演算増幅器の反転入力端
    子に接続された第4の抵抗と、第1の演算増幅器の出力
    にベースが接続されエミッタが第1の演算増幅器の反転
    入力に接続されコレクタを出力とする第3のトランジス
    タと、第3のトランジスタのコレクタと負電源間に接続
    された第1のダイオードと、電流発生手段と負電源間に
    接続された第2のダイオードと、第3のトランジスタの
    コレクタに反転入力が接続され電流発生手段に非反転入
    力が接続された比較手段と、比較手段の出力にベースが
    接続されエミッタが電源に接続されコレクタを装置出
    力とする第4のトランジスタから構成された第1のバイ
    アス制御回路と、前記第1のバイアス制御回路を正負対
    象にした第2のバイアス制御回路とを有し、前記電力増
    幅器の出力段トランジスタのコレクタ電流の増加する方
    向にバイアス電圧を増加させるように制御することを特
    徴とするバイアス電流制御装置。
  3. 【請求項3】 第1のトランジスタと、第1のトランジ
    スタのベースとコレクタ間に接続された第1の抵抗と、
    第1のトランジスタのエミッタにエミッタが接続された
    第2のトランジスタと、第1のトランジスタのベースと
    第2のトランジスタのベース間に接続された第2の抵抗
    と、第2のトランジスタのベースとコレクタ間に接続さ
    れた第3の抵抗から構成された電力増幅器のバイアス回
    路と、及び電力増幅器の出力段トランジスタのエミッタ
    に片端が接続され他端が第1の演算増幅器の反転入力端
    子に接続された第4の抵抗と、第1の演算増幅器の出力
    にベースが接続されエミッタが第1の演算増幅器の反転
    入力に接続されコレクタを出力とする第3のトランジス
    タと、第3のトランジスタのコレクタにベースとコレク
    タが接続されエミッタが負電源に接続された第4のトラ
    ンジスタと、第4のトランジスタとカレントミラーを構
    成しコレクタを出力とする第5のトランジスタから構成
    される第1の電流検出手段と、電力増幅器の出力段トラ
    ンジスタのエミッタに片端が接続され他端が第2の演算
    増幅器の反転入力端子に接続された第5の抵抗と、第2
    の演算増幅器の出力にベースが接続されエミッタが第2
    の演算増幅器の反転入力に接続されコレクタを出力とす
    る第6のトランジスタから構成される第2の電流検出手
    段と、第1の電流検出手段の出力と正電源間に接続され
    た第1のダイオードと、第2の電流検出手段の出力と正
    電源間に接続された第2のダイオードと、第1の電流検
    出手段の出力にベースが接続されエミッタが第1の電流
    発生手段に接続された第7のトランジスタと、第2の電
    流検出手段の出力にベースが接続されエミッタが第1の
    電流発生手段に接続された第7のトランジスタとエミッ
    タが共通になっている第8のトランジスタからなる電流
    比較手段と、第3のダイオードと第9のトランジスタと
    第2の電流発生手段と第3の電流発生手段からなる基準
    電圧発生手段と、電流比較手段の出力と基準電圧発生手
    の出力を比較する比較手段と、比較手段の出力にベー
    スが接続されコレクタを第1の装置出力とする第10のト
    ランジスタと、比較手段の出力にベースが接続されコレ
    クタを出力とする第11のトランジスタと、第11のトラン
    ジスタのコレクタにベースとコレクタが接続されカレン
    トミラーの入力になっている第12のトランジスタと、第
    12のトランジスタとカレントミラーを構成しコレクタを
    第2の装置出力とする第13のトランジスタから構成され
    たバイアス制御回路を有し、前記電力増幅器の出力段ト
    ランジスタの小さい方を検出しその電流が設定電流より
    小さくならないようにバイアス回路の電圧を制御する
    うにしたことを特徴とするバイアス電流制御装置。
  4. 【請求項4】 第1のトランジスタと、第1のトランジ
    スタのベースとコレクタ間に接続された第1の抵抗と、
    第1のトランジスタのエミッタにエミッタが接続された
    第2のトランジスタと、第1のトランジスタのベースと
    第2のトランジスタのベース間に接続された第2の抵抗
    と、第2のトランジスタのベースとコレクタ間に接続さ
    れた第3の抵抗から構成された電力増幅器のバイアス回
    路と、及び電力増幅器の出力段トランジスタのエミッタ
    に片端が接続され他端が第1の演算増幅器の反転入力端
    子に接続された第4の抵抗と、第1の演算増幅器の出力
    にベースが接続されエミッタが第1の演算増幅器の反転
    入力に接続されコレクタを出力とする第3のトランジス
    タと、第3のトランジスタのコレクタにベースとコレク
    タが接続されエミッタが負電源に接続された第4のトラ
    ンジスタと、第4のトランジスタと第1のカレントミラ
    ーを構成しコレクタを出力とする第5のトランジスタか
    ら構成される第1の電流検出手段と、電力増幅器の出力
    段トランジスタのエミッタに片端が接続され他端が第2
    の演算増幅器の反転入力端子に接続された第5の抵抗
    と、第2の演算増幅器の出力にベースが接続されエミッ
    タが第2の演算増幅器の反転入力に接続されコレクタを
    出力とする第6のトランジスタから構成される第2の電
    流検出手段と、第1の電流検出手段の出力と正電源間に
    接続された第1のダイオードと、第2の電流検出手段の
    出力と正電源間に接続された第2のダイオードと、第1
    の電流検出手段の出力にベースが接続されエミッタが第
    1の電流発生手段に接続された第7のトランジスタと、
    第2の電流検出手段の出力にベースが接続されエミッタ
    が第1の電流発生手段に接続された第7の トランジスタ
    とエミッタが共通になっている第8のトランジスタから
    なる電流比較手段と、第3のダイオードと第9のトラン
    ジスタと第2の電流発生手段と第3の電流発生手段から
    なる基準電圧発生手段と、電流比較手段の出力と基準電
    圧発生手段の出力を比較する比較手段と、比較手段の出
    力にベースが接続されコレクタを出力とする第10のトラ
    ンジスタと、比較手段の出力にベースが接続されコレク
    タを出力とする第11のトランジスタと、電流比較手段の
    第8のトランジスタのコレクタを入力とする第2のカレ
    ントミラー回路と、第2のカレントミラー回路の出力を
    入力とする第3のカレントミラー回路と、第3のカレン
    トミラー回路の出力と比較増幅器に接続された第11のト
    ランジスタのコレクタを入力とする第4のカレントミラ
    ー回路と、第4のカレントミラー回路の出力を入力とす
    る第5のカレントミラー回路と、電流比較手段の第9の
    トランジスタのコレクタを入力とする第6のカレントミ
    ラー回路と、第6のカレントミラー回路の出力を入力と
    する第7のカレントミラー回路と、第7のカレントミラ
    ー回路の出力と比較増幅器に接続された第10のトランジ
    スタのコレクタを入力とする第8のカレントミラー回路
    から構成されたバイアス制御回路を有し、前記第5のカ
    レントミラー回路の出力を第1の装置出力とし、第8の
    カレントミラー回路の出力を第2の装置出力として、出
    力段トランジスタの小さい方を検出しその電流が設定電
    流より小さくならないようにバイアス回路の電圧を出力
    段トランジスタのコレクタ電流の増加する方向にバイア
    ス電圧を増加させるように制御するようにしたことを特
    徴とするバイアス電流制御装置。
  5. 【請求項5】 第1のトランジスタと、第1のトランジ
    スタのエミッタにエミッタが接続された第2のトランジ
    スタと、第1のトランジスタのベースと第2のトランジ
    スタのベース間に接続された第1の抵抗から構成された
    電力増幅器のバイアス回路と、電力増幅器の出力段トラ
    ンジスタのエミッタに片端が接続され他端が第1の演算
    増幅器の反転入力端子に接続された第の抵抗と、第1
    の演算増幅器の出力にベースが接続されエミッタが第1
    の演算増幅器の反転入力に接続されコレクタを出力とす
    る第3のトランジスタと、第3のトランジスタのコレク
    タにベースとコレクタが接続されエミッタが負電源に接
    続された第4のトランジスタと、第4のトランジスタと
    カレントミラーを構成しコレクタを出力とする第5のト
    ランジスタから構成される第1の電流検出手段と、電力
    増幅器の出力段トランジスタのエミッタに片端が接続さ
    れ他端が第2の演算増幅器の反転入力端子に接続された
    の抵抗と、第2の演算増幅器の出力にベースが接続
    されエミッタが第2の演算増幅器の反転入力に接続され
    コレクタを出力とする第6のトランジスタから構成され
    る第2の電流検出手段と、第1の電流検出手段の出力と
    正電源間に接続された第1のダイオードと、第2の電流
    検出手段の出力と正電源間に接続された第2のダイオー
    ドと、第1の電流検出手段の出力にベースが接続されエ
    ミッタが第1の電流発生手段に接続された第7のトラン
    ジスタと、第2の電流検出手段の出力にベースが接続さ
    れエミッタが第1の電流発生手段に接続された第7のト
    ランジスタとエミッタが共通になっている第8のトラン
    ジスタからなる電流比較手段と、第3のダイオードと第
    9のトランジスタと第2の電流発生手段と第3の電流発
    生手段からなる基準電圧発生手段と、電流比較手段の出
    力と基準電圧発生手段の出力を比較する比較手段と、比
    較手段の出力にベースが接続されコレクタを第1の装置
    出力とする第10のトランジスタと、比較手段の出力にベ
    ースが接続されコレクタを出力とする第11のトランジス
    タと、第11のトランジスタとコレクタが接続されカレン
    トミラーの入力になっている第12のトランジスタと、第
    12のトランジスタとカレントミラーを構成しコレクタを
    第2の装置出力とする第13のトランジスタから構成され
    たバイアス制御回路を有し、前記電力増幅器の出力段ト
    ランジスタの小さい方を検出しその電流が設定電流より
    小さくならないようにバイアス回路の電圧を制御するよ
    うにしたことを特徴とするバイアス電流制御装置。
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