JP3397330B2 - 打抜き性に優れたNi−Cr−Fe系軟質磁性合金 - Google Patents

打抜き性に優れたNi−Cr−Fe系軟質磁性合金

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裕 川合
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高透磁率が要求される
磁気シールド部材,各種鉄心等に使用され、プレス加工
時の打抜き性が良好なNi−Cr−Fe系軟質磁性合金
に関する。
【0002】
【従来の技術】Ni−Cr−Fe系軟質磁性合金は、特
願平1−227445号,特願平2−78215号でも
説明されているように、Ni−Fe系軟質磁性合金とし
て代表的なものである45%パーマロイ(JIS−P
B)よりも高く、Mo,Cu等を含有する80%Niパ
ーマロイ(JIS−PC)に匹敵する磁気特性を呈す
る。しかも、Niを多量に含有しないことから安価な材
料である。この長所を活かして、磁気ヘッドのケース材
やカバー材等の磁気シールド部材,ステーター材やコア
材等の各種鉄心材料として広く使用されるようになって
きている。
【0003】しかし、Ni−Cr−Fe系合金をプレス
加工等による打抜きを行うとき、靭性が高い材質である
ことからバリ等が発生し易い。バリ発生等の欠陥は、特
に高速で精密部品を連続的に打ち抜く作業にあっては大
きな問題となり、高精度の打抜き作業を迅速に行う上で
の支障となっている。
【0004】ところで、Ni−Fe系合金の打抜き性を
向上させることに関しては、数μm程度のMn,S系介
在物をマトリックス中に微細に且つ均一に分散させるこ
とが知られている。たとえば、特公昭64−11094
号公報では、0.05〜1.00重量%のMn及び0.
003〜0.025重量%のSを含有させると共に、M
n,Si,Al,Zr,Ca,Mg,稀土類元素等の窒
化物,炭化物,酸化物,硫化物等の非金属介在物の大き
さを特定することによって、Ni−Fe系合金の打抜き
性及び切断加工性を向上させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】Mn,S系介在物の調
整によって打抜き性を改善する方法をNi−Cr−Fe
系軟質磁性合金に適用すると、打抜き性の向上はみられ
るものの、磁気特性が大きく低下する。しかも、Mn,
S系介在物をマトリックスに分散させるため、Sを合金
成分として添加する必要がある。添加されたSは、粒界
に偏析し易く、合金の熱間加工性や磁気特性を著しく低
下させる。特に、不純物含有量の如何による特性劣化
は、Ni−Fe系合金に比較しNi−Cr−Fe系合金
の場合に大きく現れる。
【0006】この点に関連し、本発明者等はS,B,O
等の不純物含有量を規制することによって磁気特性の向
上を図ったNi−Cr−Fe系軟質磁性合金を開発し、
特願平2−78215号として出願している。すなわ
ち、Ni−Cr−Fe系合金では、不純物を低減させる
ことにより磁気特性が向上する。しかし、Mn,S系介
在物を分散させることは、これに逆行するものである。
【0007】このようなことから、磁気特性の劣化を伴
うMn,S系介在物の調整を行うことなく、他の手段で
Ni−Cr−Fe系軟質磁性合金の打ち抜き加工性を改
善することが望まれている。
【0008】本発明は、この要求に応えるべく案出され
たものであり、Caの添加及びS,O,B等の不純物含
有量の規制により、最大透磁率μm の値が100,00
0以上を満足し、且つ打抜き性に優れたNi−Cr−F
e系軟質磁性合金を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のNi−Cr−F
e系軟質磁性合金は、その目的を達成するため、3×
(Ni%)−5×(Cr%)≦80の条件で35〜40
重量%のNi及び5〜14重量%のCrを含有するNi
−Cr−Fe系合金、或いは50≦(Ni%)+4×
(Cr%)≦60の条件で40〜52重量%のNi及び
0.5〜5重量%のCrを含有するNi−Cr−Fe系
合金において、0.0020〜0.0150重量%のC
aを含有させ、S≦0.0030重量%,O≦0.00
50重量%,B≦0.0050重量%で且つS+B+O
≦0.0080重量%を満足するようにS,O及びBの
含有量を規制したことを特徴とする。
【0010】なお、これらのNi−Cr−Fe系合金に
おいては、脱酸剤として使用されるSi,Alや脱酸脱
硫剤として使用されるMn等を総量で2重量%以下含有
することができる。
【0011】
【作 用】本発明者等は、Ni−Cr−Fe系軟質磁性
合金の打抜き性に与えるCaの影響について研究を重ね
た。その結果、0.0020〜0.0150重量%のC
aを含有させ、且つS含有量,O含有量及びB含有量を
それぞれS≦0.0030重量%,O≦0.0050重
量%及びB≦0.0050重量%に規制するとき、打抜
き性が飛躍的に向上することを見出した。しかも、S,
O,B含有量の規制と相俟つて、最大透磁率μm が10
0,000以上の高い値を示すことを見出した。
【0012】以下、本発明で規定した合金成分の含有量
について説明する。 Ni:透磁率を向上させるために、必要な合金元素であ
る。Ni含有量が35重量%未満では、最大透磁率μm
100,000以上の高い透磁率が得られない。また、
Niの含有量が52重量%を超えるものにあっては、合
金のコストを上げることは勿論、飽和磁束密度及び最大
透磁率が低下する傾向を示す。このようなことから、本
発明においては、Niの含有量を35〜52重量%の範
囲に設定した。
【0013】Cr:透磁率を向上させる上で必要な合金
元素である。最大透磁率μm を100,000以上とす
るためには、Niが35〜40重量%の範囲では5〜1
4重量%のCrを必要とし、且つCrとNiとの間に3
×(Ni%)−5×(Cr%)≦80の関係を維持す
る。また、Niが40〜52重量%の範囲では0.5〜
5重量%のCrを必要とし、且つCrとNiとの間に5
0≦(Ni%)+4×(Cr%)≦60の関係を維持さ
せる。
【0014】Ca:Ni−Cr−Fe系合金の打抜き性
を改善する上で最も重要な合金成分である。Caの添加
によって打抜き性が改善される理由は、マトリックス中
にCaが均一に固溶することにより、マトリックスの靭
性が低下することに由来するものと推察される。すなわ
ち、Caの添加により、素材が脆くなり、打抜き破面生
成時の破面近傍の塑性流動がほとんど起こらなくなり、
バリの発生が抑制されると推察される。このような効果
を得るためには、図1に示すように、0.0020重量
%以上のCa含有量が必要であることが実験的に確かめ
られた。しかし、Ca含有量が0.0150重量%を超
えるとき、打抜き性に与える作用が飽和すると共に、最
大透磁率μm が100,000を下回る。そのため、C
a含有量は、0.0020〜0.0150重量%の範囲
に規定した。
【0015】S,O,B:不純物元素であるS,O,B
は、可能な限り低減させることが好ましい。Sは、M
n,S系介在物を形成してマトリックスに分散し、最大
透磁率μm を低下させる。また、O及びBは、磁気焼鈍
時に結晶粒の成長及び配向性を阻害し、最大透磁率μm
を低下させる。これら不純物による悪影響を無くすた
め、S≦0.0030重量%,O≦0.0050重量%
及びB≦0.0050重量%で且つS+O+B≦0.0
080重量%となるように、S,O及びBの含有量を規
制することが必要である。
【0016】
【実施例】以下、実施例によって、本発明を具体的に説
明する。表1及び表2に示した組成を持つ合金を真空溶
解し、得られたインゴットに熱間圧延及び冷間圧延を施
して板厚0.5mmの冷延板を製造した。
【0017】この冷延板から、外径45mm,内径33
mmの環状試験片を切り出した。そして、各試験片を1
100℃の水素雰囲気中で1時間加熱する磁気焼鈍を行
った後、JIS C2531に基づいて各試験片の最大
透磁率μmを測定した。打抜き性は、次のようにして評
価した。すなわち、図2に示すように、試験片1を打抜
き金型2の上に載置し、上方からポンチ3で試験片1を
打ち抜いた。打抜き後、図3に示すように、試験片1の
打抜き部断面における剪断部4の長さ,破断部5の長さ
及びバリ6の有無を調査した。調査結果を、表3及び表
4に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】表3及び表4から明らかなように、本発明
例1〜9及び21〜27の試験片にあっては、打抜き時
にバリ等の発生がなく、良好な打抜き性を示している。
また、図1は、38%Ni−8%Cr−Fe系合金に対
して、同様な方法によってCa含有量が打抜き加工性に
与える影響を調べた結果を表したグラフである。表3,
4及び図1から、Ni−Fe系合金及びNi−Cr−F
e系合金の打抜き加工性改善には、0.0020重量%
以上のCa含有が必要であることが判る。
【0023】これに対して、Ca含有量が0.0020
重量%未満の比較例10〜14,18,30,31及び
34の試験片では、バリの発生がみられた。また、Ca
含有量が0.0150重量%を超える比較例17及び3
3の試験片にあっては、打抜き加工性に関する限り本発
明例の試験片と同様な傾向を示したが、熱間圧延したと
きの形状が不規則になる等の熱間加工性の劣化がみられ
た。更に、S,O,B,S+O+Bの何れかが本発明で
規定した範囲を外れる比較例14,15,18,29及
び34の試験片では、Ni及びCr含有量が本発明で規
定した範囲にあっても、表3或いは表4に示すように低
い最大透磁率μm をもっていた。
【0024】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、0.0020〜0.0150重量%のCaを含有さ
せると共に、S,O,B含有量及びS+O+Bを規制す
ることにより、Ni−Cr−Fe系合金の打抜き加工性
を改善している。この打抜き加工性改善は、特公昭64
−11094号公報記載のような磁気特性等に悪影響を
及ぼすMn,S系介在物の調整によるものではないた
め、最大透磁率μm が100,000以上で打ち抜き加
工性に優れたNi−Cr−Fe系軟質磁性合金が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Ca含有量が最大透磁率μm 及び打抜き加工
性に与える影響を示したグラフ
【図2】 本発明実施例で打抜き試験に使用した打抜き
金型及びポンチを示す斜視図
【図3】 同じく打抜かれた後の試験片の打抜き部分を
示した断面図
【符号の説明】
1 試験片 2 打抜き金型
3 ポンチ 4 剪断部 5 破断部
6 バリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川合 裕 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新 製鋼株式会社鉄鋼研究所内 (72)発明者 衣笠 雅晋 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株 式会社鉄鋼研究所内 (56)参考文献 特開 平3−90546(JP,A) 特開 平3−277748(JP,A) 特開 昭50−116323(JP,A) 特開 昭52−17316(JP,A) 特開 昭60−255953(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 303 H01F 1/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3×(Ni%)−5×(Cr%)≦80
    の条件で35〜40重量%のNi,5〜14重量%のC
    r及び0.0020〜0.0150重量%のCaを含有
    し、S≦0.0030重量%,O≦0.0050重量
    %,B≦0.0050重量%で且つS+B+O≦0.0
    080重量%を満足するようにS,O及びBの含有量を
    規制したことを特徴とする打抜き性に優れたNi−Cr
    −Fe系軟質磁性合金。
  2. 【請求項2】 50≦(Ni%)+4×(Cr%)≦6
    0の条件で40〜52重量%のNi,0.5〜5重量%
    のCr及び0.0020〜0.0150重量%のCaを
    含有し、S≦0.0030重量%,O≦0.0050重
    量%,B≦0.0050重量%で且つS+B+O≦0.
    0080重量%を満足するようにS,O及びBの含有量
    を規制したことを特徴とする打抜き性に優れたNi−C
    r−Fe系軟質磁性合金。
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FR2836155B1 (fr) * 2002-02-15 2005-01-07 Imphy Ugine Precision Alliage magnetique doux pour horlogerie

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