JP3395930B2

JP3395930B2 - 金属成形体用射出成形装置

Info

Publication number: JP3395930B2
Application number: JP06318595A
Authority: JP
Inventors: 昇克甲斐; 一也坂本; 篤鈴木; 宣正浜添; 弘水谷
Original assignee: Honda Motor Co Ltd
Current assignee: Honda Motor Co Ltd
Priority date: 1995-03-22
Filing date: 1995-03-22
Publication date: 2003-04-14
Anticipated expiration: 2018-04-14
Also published as: JPH08257730A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属成形体を製造する
ための射出成形装置に係る。特に本発明は、成形材料の
母材である金属インゴットの加熱部分を含む供給部をな
す上半部と、射出機、保温部等の下半部との間に発生す
る熱膨張や、射出機の射出作動による衝撃等を効果的に
吸収する吸収構造を、簡素に得、且つ熱膨張、衝撃等の
吸収作用を、確実に行わせるようにした技術に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】本出願人は、先に特開平５―２８５６２
５号公報において「金属成形体用射出成形装置」を提案
した。この技術によれば、連続的にインゴットを半凝固
スラリ化し、生産性を高めることができる。この技術の
概要を図６で説明する。図６は、従来の金属成形体用射
出成形装置の全体概略図である。金属成形体用射出成形
装置１００は、スクリュー式射出機１０１と、材料供給
室１０２とからなる。材料供給室１０２は、上から下に
インゴット導入室１０３、加熱室１０４、保温室１０
５、カッター１０６を備えたチョップ室１０７とで構成
される。材料供給室１０２は、真空、又は不活性ガス雰
囲気に維持され、各室１０３，１０４，１０５間は、シ
ャッタ１０８，１０９で仕切る構造である。

【０００３】以上の従来技術は、金属成形材料であるイ
ンゴット１１０を加熱室１０４で加熱し、適宜保温室１
０５に移し、カッター１０６で破砕し、破砕材蓄積室１
０７を介してスクリュー１１１で直接、又は間接的に金
型１１２のキャビティ１１３に射出する。インゴット１
１０は金属であり、加熱室１０４で加熱することにより
半溶融状態となり、この状態で射出することに特徴があ
る。この技術においては、加熱室１０４で加熱し、保温
室１０５へ移し、カッター１０６で破砕するため、連続
処理が可能となり、生産性が高い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】以上の金属成形体用射
出成形装置は、装置全体が、射出機、材料破砕手段、保
温室等の下半部と、材料供給部、材料加熱部、材料導入
等の装置上半部とからなる。装置下半部に載せられた装
置上半部は、支持基台等で支持する必要がある。支持し
た結果、装置上半部は固定された状態で保持される。一
方、装置下半部は、上半部から供給された材料の保温、
破砕、射出機内への導入、射出機内での保温、蓄積、必
要に応じのて加熱、射出作動を行う。

【０００５】このため、固定的であり、又低温である装
置上半部に対し、保温された装置下半部は、高さ方向に
熱膨張作用で伸張し、装置上半部と装置下半部との連結
部で競ってしまい、干渉が発生する虞がある。又射出機
の射出作動時に衝撃が発生し、この衝撃は、連結された
保温部等を通じて装置上半部に伝達され、装置上半部が
振動したりする虞がある。この結果、装置上半部に収容
された成形材料であるインゴットを、損傷する虞があ
る。

【０００６】本発明者等は、このような課題を解決すべ
く本発明をなしたものである。本発明は、上記した装置
下半部の熱膨張に起因する装置上半部との間の干渉を未
然に防止し、又装置下半部の射出機の作動に起因する、
衝撃の装置上半部への伝達、波及を防止することがで
き、装置上半部に供給されるインゴットの損傷を防止す
ることができる。このような熱膨張の吸収と、衝撃吸収
を、簡素な構造で、しかも確実に行うことができる。本
発明は、このような利点がある金属成形体用射出成形装
置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めの手段は、保温された射出機、この上の破砕手段、こ
の上の金属インゴット材の保温室等からなる装置下半部
と、インゴット材の導入部、この導入部上の加熱室、こ
の上のインゴット供給部等とからなる装置上半部とから
なり、装置上半部と装置下半部とを連通、接続させた金
属成形体用射出成形装置において、装置上半部と装置下
半部との間を、密封可撓部材により連通、接続した金属
成形体用射出成形装置である。又前記密封可撓部材は、
筒状であり、且つ伸縮自在であり、更に前記密封可撓部
材は、耐熱性を有する金属製の蛇腹部材であり、この蛇
腹部材の内側には、前記インゴットガイドを配設し、更
に又、前記インゴットガイドは、上半部の下部から、下
半部の上部間に設けた蛇腹部材内側に、且つ蛇腹部材の
高さ方向の略々全長に亘り、筒状に垂下するようにした
ことである。

【０００８】

【作用】上記手段によれば、保温され、必要に応じて加
熱される装置下半部は、熱膨張で上方に伸張し、一方、
外部的は低温の装置上半部は通常は固定状態にあり、装
置下半部と装置上半部との連結部には、熱膨張の影響で
上方への伸びが発生する虞がある。この連結部に、蛇腹
等の伸縮自在な密封可撓部材を介設したので、これら熱
膨張に起因する伸びは吸収することができる。又蛇腹等
の伸縮自在な可撓部材を装置下半部と装置上半部との間
に介設したので、射出機の射出作動等に起因する装置下
半部の衝撃は、蛇腹等の可撓部材で吸収することがで
き、装置上半部への衝撃、振動等の伝達、波及は防止さ
れる。

【０００９】

【実施例】以下に本発明の一実施例を、添付した図面に
従って詳述する。図１は本発明に係る金属成形体用射出
成形装置の要部破断側面図、図２は図１の２―２線断面
図、図３は本発明の要部を構成する可撓部材及びインゴ
ットガイドの分解縦断側面図、図４は図１の要部の拡大
断面図で本発明の要部を構成する可撓部材による装置上
半部、装置下半部の連結部分の拡大縦断側面図、図５は
装置下半部の上方への伸びで、連結部分を構成する可撓
部材が、図４の状態から縮んだ状態を示す図である。

【００１０】金型、その他については、全体構成として
前記図６で説明したので省略し、要部のみを説明する。
図１は、本発明に係る金属成形体用射出成形装置１の要
部を破断した縦断側面図で、スクリューシャフト２、及
びこれを嵌合、内装したシリンダ３とからなる射出機４
を備える。スクリューシャフト２は、外周にスパイラル
溝２ａを備え、回転して半溶融金属材料を攪拌、混練し
てスラリ状にし、軸方向に進退動する。スクリューシャ
フト２は、回転で材料をシリンダ３の先部に送り込み、
この部分に材料を蓄積しつつ後退動し、蓄積後前方に移
動して成形材料の射出作動を行い、金型１１２へ射出す
る。

【００１１】シリンダ３は、前記スクリューシャフト２
を嵌合する内筒３ａと、外側の外筒３ｂとからなる。外
筒３ｂの外側は、シリンダ３を保温し、必要に応じて加
熱するためのヒータ５で囲橈する。このヒータ５の外側
を断熱材６で囲橈し、射出機４を構成する。尚図中７…
（…は複数個を示す。以下同様。）は、シリンダ温度を
検出する温度センサである。以上のシリンダ３のシリン
ダ後部３ｃは、支持基台８に支持されており、また前記
スクリューシャフト２の後端部２ｂは、回転、及び進退
動する軸９にジョイント部９ａを介して連結されてい
る。

【００１２】図１、図２で示すように、射出機４の中間
部後部には、シリンダ３内に連通する成形材料の導入口
１０を開口する。この導入口１０は、上方に起設された
金属内筒部材１１、この外周の保温ヒータ１２、外側の
断熱材等からなる破砕材蓄積室１３に連通する。破砕材
蓄積室１３には、上下にセンサ１４，１５が設けられ、
破砕材料の蓄積量を検出する。破砕材蓄積室１３の上に
は、半溶融状態の金属インゴットＷを破砕する破砕手段
としてのカッター１６，１６を連通するように配設す
る。カッター１６，１６のハウジング１７は金属で、外
側を保温ヒータ１８で囲み、その外側を断熱材１９で囲
み、破砕室２０を構成する。カッター１６，１６は、互
いに逆向きに回転し、インゴットを破砕する。

【００１３】破砕室２０の上には、保温室２１を設け、
保温室２１は筒状で、上下に高さを有し、インゴットＷ
をカッター１６，１６の上流で保温、保持する。保温室
２１内のインゴットＷは、下の破砕室２０内のカッター
１６，１６へ供給され、前記したようにカッター１６，
１６でインゴットＷを破砕する。破砕材は、下の破砕材
蓄積室１３に供給され、シリンダ３内に導入口１０から
破砕材は導入、供給され、既述したように、スクリュー
シャフト２の回転でスパイラル溝２ａの作用により、シ
リンダ３の先部に送られ、蓄積され、金型１１２内に射
出される。保温室２１は、金属筒状の内筒部材２２、外
側の保温ヒータ２３、外側の断熱材２４等からなる。こ
の保温室２１の下部には、材料の有無を検出する検出
器、例えば、受発光機器等からなる検出器２５，２５を
備える。

【００１４】保温室２１の上には、上部室２６が連通、
接続され、上部室２６は、前記と同様に内筒部材２７、
外側の保温ヒータ２８、外側の断熱材２９等からなる。
上部室２６は、真空・不活性ガス配管３０に連通、接続
され、この配管３０で各室内の真空排気、不活性ガスの
供給を行う。上部室２６の内筒部材２７の上端部には、
径方向外方に突出する受けフランジ部２７ａが形成さ
れ、後述する密封可撓部材６２の下部フランジ６５に接
合する。

【００１５】以上の射出機４、これの外周の一部と上下
方向に連通する破砕材蓄積室１３、、この破砕材蓄積室
１３上に設けられ、これと連通するカッター１６を含む
破砕室２０、破砕室２０上で、これと連通する保温室２
１、この保温室２１上の上部室２６で、装置下半部３１
を構成する。尚、前記したカッター１６，１６は、駆動
軸１６ａ、自在軸３２、二軸ギアケース３３、減速機３
４を介してモーター３５に連結されている。これ等でカ
ッター１６の駆動手段３７を構成し、駆動手段３７は、
支持基台８上に配設されている。

【００１６】支持基台８の前後に起設した脚８ａ，８ｂ
の間にはブリッジ３８を架設する。上部フレーム４１
は、先端部を金型１１２のプラテン部１１２ａにピンジ
ョイント３９にて支持し、又後端部を、キャスタ４０を
介して前記ブリッジ３８上に支持した上部フレーム４１
上に支持する。上部フレーム４１上には、レール４２，
４２を設け、この上にローラ４３…で装置上半部４４を
配設する。

【００１７】装置上半部４４は、図２のように上にＭｇ
合金等のインゴット供給部４５を備え、インゴットＷが
上から通過するように通路４６を内部に備える。インゴ
ット供給部４５の下方には、加熱室４８を連通、接続す
るように設ける。加熱室４８は、内部に筒状のセラミッ
クホルダー４９を縦設し、外周には誘導加熱コイル５０
が巻回されており、これ等で誘導加熱装置を構成し、ホ
ルダー４９内のインゴットＷを加熱する。

【００１８】前記ホルダー４９の軸方向上下端部は、上
下のガイド筒５１，５２により縦向きに支持する。前記
ホルダー４９内のインゴットＷは、下端面をストッパー
５３で支持されてホルダー４９内に保持され、ストッパ
ー５３は、図１のアクチュエータ５４で図２中反時計方
向に揺動し、ストッパー５３による拘束を解除し、加熱
後のインゴットＷを下方へ導出する。加熱室４８は、前
記誘導加熱装置を内装した密閉真空加熱容器により構成
する。加熱室４８は、内側の磁気シールド材５５、及び
外筒５６からなる。

【００１９】外筒５６の上板５６ａは、前記した上のガ
イド筒５１の頂部を支持し、ガイド筒５１、通路４６と
連通する開口部５６ｃを備える。この開口部５６ｃの上
方にはシャッター４７が摺動式に設けられ、このシャッ
ター４７の開閉で、インゴット供給部４５の通路４６
と、下方のガイド筒５１、従って誘導加熱装置のホルダ
ー４９とが連通し、導入室４５から投入されるインゴッ
トＷの、ホルダー４９内への供給を行う。又外筒５６の
下板５６ｂは、前記した下のガイド筒５２の下端面を支
持し、且つガイド筒５２と連通する開口部５６ｄを備え
る。

【００２０】インゴットＷの加熱は、加熱室４８内を真
空にし、不活性ガスを内部に供給し、不活性ガス雰囲気
で加熱処理が行われる。加熱室４８の真空引き、不活性
ガスの供給、導入は、加熱室４８の下位に設けた配管５
７で行う。この配管５７の上方に、インゴットＷの所定
温度への加熱を外からモニターする放射温度計５８が設
けられている。従って、内部に誘導加熱装置を備える加
熱室４８の表面は低温に維持され、外部温度は装置下半
部３１に比較して低温である。

【００２１】加熱室４８の外筒５６の下板５６ｂには、
ガイド筒５２内と連通し、装置下半部３１へインゴット
Ｗを導入するためのインゴット導入部６０を設ける。イ
ンゴット導入部６０は、上半部を大径とし、下半部をテ
ーパー状として上から導入されるインゴットＷの導入姿
勢を正常に保持するように配慮されている。このインゴ
ット導入部６０は、加熱室４８の外筒５６の下板５６ｂ
に、筒状部材６１を垂下して縦通、連設することにより
構成する。前記したガイド筒５２と、下方のインゴット
導入部６０を連通、接続させる開口部５６ｄの下面に
は、シャッター５９を設け、このシャッター５９の開閉
で、インゴットＷをインゴット導入部６０に導入させ
る。このインゴット導入部６０を構成する筒状部材６１
は、加熱室４８の下板５６ｂに垂下、固定されている。

【００２２】装置上半部４４は通常は、上部フレーム４
１上に固定状態で配設され、装置上半部４４の下端部
は、インゴット導入部６０をなす筒状部材６１で構成さ
れる。以上の装置上半部４４の下端部をなす筒状部材６
１と、装置下半部の上端部をなす上部室２６との間に、
密封可撓部材６２を介設する。

【００２３】この部分の詳細は、図３に示す如くで、密
封可撓部材６２は、具体的は、例えば、耐熱性に優れた
ステンレス鋼板材で形成された蛇腹部材６３により構成
する。蛇腹部材６３は、上下方向に多数の蛇腹部を備
え、上端部６３ａは上部フランジ６４に接合され、下端
部６３ｂは同様の下部フランジ６５に接合され、ユニッ
ト化されている。

【００２４】上部フランジ６５は、図４に示す如く、筒
状部材６１の下端面６１ａに当接し、例えば、筒状部材
６１の下端部周にＬ断面の取付フランジ６６を設け、上
部フランジ６４と取付フランジ６６とをボルト・ナット
６７…で結合、固着する。ところで、図３の分解図で明
らかように、蛇腹部材６３の内側には、筒状のインゴッ
トガイド６８を嵌合、配設する。

【００２５】インゴットガイド６８は、筒状部６８ａ
を、伸張状態の蛇腹部材６３の長さと略同じ長さとす
る。筒状部６８ａの上端部には、径方向外方へのフラン
ジ部６８ｂを一体に備える。このフランジ部６８ｂは、
蛇腹部材６３の上部フランジ６４と上下にラップさせ、
前記したボルト・ナット６７で、フランジ部６８ｂが
上、上部フランジ６４が下の状態で、取付フランジ６６
を介してインゴット導入部６０をなす筒状部材６１の下
面に取り付け、固着する。従って、蛇腹部材６３の上部
の取り付けは、上から取付フランジ６６、インゴットガ
イド６８のフランジ部６８ｂ、上部フランジ６４の、所
謂３枚フランジで取り付けられる。

【００２６】蛇腹部材６３の下部フランジ６５は、前記
した装置下半部３１の最上部を構成する上部室２６の、
内筒部材２７の上端部に設けたフランジ部２７ａに、上
から重ね合せ、ボルト・ナット６９…で取り付け、固着
する。以上により、蛇腹部材６３は、装置上半部４４の
下部を構成するインゴット導入部６０の筒状部材６１下
端部と、装置下半部３１の上部を構成する保温室２１上
部の上部室２６の上端部との間に、この間を密封した状
態で取り付け、介装されることとなる。

【００２７】この状態で、インゴットガイド６８は、筒
状部６８ａが蛇腹部材６３の内側に位置し、上部室２６
の通路の一部を構成する。このため、上からインゴット
Ｗが上部室２６を通って下方の保温室２１内の通路に導
入される際、インゴットＷの姿勢が斜めとなった場合に
おいて、インゴットＷが蛇腹部材６３に干渉しようとし
ても、インゴットガイド６８の筒状部６８ａ内壁に接触
し、下方へガイドされ、導かれる。このため、インゴッ
トＷの装置下半部３１への投入に際し、インゴットＷは
蛇腹部材６３に直接接触することが無く、蛇腹部材６３
を傷つけるような事態は、一切発生しない。

【００２８】以上において、図４は蛇腹部材６３の伸張
状態を示す。従って、射出成形装置１は稼働されていな
い状態下にある。ところで、射出成形装置１が稼働した
状態では、装置上半部４４のインゴット供給部４５か
ら、インゴットＷが、シャッター４７の開動作で連通す
る下位の加熱室４８のセラミックホルダー４９内に投入
され、不活性ガス雰囲気で加熱される。

【００２９】所定温度に加熱されたインゴットＷは、ス
トッパー５３の解除、シャッター５９の開で、インゴッ
ト導入部６０を通って装置下半部３１の上部室２６に到
り、この下の保温室２１に臨む。保温室２１の下方に
は、カッター１６，１６が配置されており、この部分で
インゴットＷは破砕され、破砕材は、下方の破砕材蓄積
室１３内に順次蓄積され、成形材料の導入口１０からシ
リンダ３内に導入される。爾後、スクリューシャフト２
の回転で材料は攪拌、混練されつつ、スラリ状態でシリ
ンダ前方に送られる。シリンダ３の前部への材料の所定
量蓄積後、後退したスクリューシャフト２の前進、射出
作動で、金型１１２の図示しないキャビティ内に材料を
射出、充填し、成形を行う。

【００３０】ところで、装置上半部４４は、インゴット
Ｗを加熱する加熱室４８を備えるが、この部分は、外部
的には低温に維持され、又これの下方に設けた筒状部材
６１も外部的には低温に維持される。これ等は、装置下
半部３１の上に、上部フレーム４１等で固定的に保持さ
れており、従って、固定側を構成する。

【００３１】一方、装置下半部３１は、最下部の射出機
４が保温状態にあり、又この上のカッター１６を内装し
た破砕室２０も、インゴットＷの半溶融状態を維持する
ため、保温状態にある。更に、この上の保温室２１も、
インゴットＷの半溶融状態での破砕を円滑に行わせるべ
く、保温状態にあり、この上の上部室２６も保温状態に
維持されている。このため、装置下半部３１は、装置上
半部４４に比較して高温となる。従って、装置下半部を
なす破砕材蓄積室１３、破砕室２０、上部室２６等の系
は、熱膨張で上方に伸張する。

【００３２】この熱膨張に起因する装置下半部３１の上
方への伸びは、保温状態にある上部室２６の上端部と、
外部的に低温であり、固定側としての装置上半部４４の
下端部である前記筒状部材６１、との間に介装された前
記密封可撓部材６２を構成する蛇腹部材６３の、軸方向
収縮動により、吸収されることとなる。この状態を図５
で示した。従って、装置下半部３１が、保温、必要に応
じた加熱により、熱膨張で上方に伸びても、この伸び
は、蛇腹部材６３の上方固定による反作用としての軸方
向収縮作用で吸収される。熱膨張による吸収作用は、蛇
腹部材６３の前記した収縮作用でで行われるので、円滑
に、確実になされる。

【００３３】一方、射出機４は、射出成形作動時のスク
リューシャフト２の射出動で衝撃が発生する。衝撃は、
装置下半部３１の構成部分を通して装置上半部４４に伝
達される。この衝撃は、インゴット供給部位等にも伝達
されることとなり、インゴットを損傷させる原因ともな
りかねない。このような、装置下半部３１の成形時に発
生する衝撃は、前記した蛇腹部材６３で構成される密封
可撓部材６２で吸収され、装置上半部４４への伝達は、
遮断され、又大幅に減衰されることとなる。従って、熱
膨張による装置下半部３１の伸びの吸収を行い、併せて
衝撃、振動の装置上半部４４への伝達を防止し、装置の
円滑な稼働を保障することができることとなる。

【００３４】

【発明の効果】以上で明らかなように本発明によれば、
金属成形体用射出成形装置において、低温部の装置上半
部に対し、これより高温となる装置下半部との間で、夫
々の下端部、上端部との接合部を、蛇腹部材の如き密封
可撓部材で連通、接続したので、装置下半部の保温部
が、上方に熱膨張で伸びても、この伸びを可撓部材で吸
収することができる。従って、装置上半部への装置下半
部の熱的影響を防止し、円滑な射出成形作動を保障する
ことができる。

【００３５】又本発明は、装置下半部の射出機に作動に
起因する衝撃の装置上半部への伝達を、可撓性蛇腹部材
の部分で効果的に防止することができ、従って、装置上
半部に設けられるインゴット供給部でのインゴットへの
衝撃の付与、インゴットの振動の発生、これによるイン
ゴットの損傷等、の不都合な事態の発生を未然に防止す
ることができ、インゴットの安定した、且つ円滑な供
給、正常なインゴットの供給を保障することができる。

【００３６】特に本発明は、蛇腹部材で装置上半部と、
装置下半部とを密封連結したので、熱膨張の吸収がこれ
の伸縮で円滑、確実に行える。しかも、密封、効果的な
熱膨張の吸収、効果的な衝撃、振動吸収構造が、双方の
突き当部に蛇腹部材を介設するだけで行える。従って、
簡素な構造、安価な部材により、熱膨張、衝撃吸収構造
を得ることができる。

【００３７】又本発明は、前記蛇腹部材の内側に、これ
の高さ方向の略々全長に亘り、筒状のインゴットガイド
を設けたので、インゴットの上方からの供給に際し、イ
ンゴットが蛇腹内側に接触したりする等の干渉を未然に
回避することができ、インゴットの供給上極めて有利で
あり、しかも、蛇腹部材の損傷防止上も効果的であり、
簡素な構造で蛇腹部材の保護を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る金属成形体用射出成形装置の要部
の破断側面図である。

【図２】図１の２―２線断面図である。

【図３】本発明の要部を構成する可撓部材、及びインゴ
ットガイドの分解縦断側面図である。

【図４】図１の要部の拡大断面図で、本発明の要部を構
成する可撓部材による装置上半部、装置下半部の連結部
分の拡大縦断側面図である。

【図５】装置下半部の上方への伸びで、連結部分を構成
する可撓部材が、図４の状態から縮んだ状態を示す図で
ある。

【図６】従来の金属成形体用射出成形装置の概略を示す
縦断面図である。

【符号の説明】

１…金属成形体用射出成形装置、４…射出機、１６…破
砕手段（カッター）、２１…インゴットの保温室、３１
…装置下半部、４４…装置上半部、４５…インゴット供
給部、４８…加熱室、６０…インゴット導入部、６２…
密封可撓部材、６３…蛇腹部材、６８…インゴットガイ
ド、Ｗ…インゴット（金属インゴット）。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者浜添宣正埼玉県狭山市新狭山１丁目10番地１ホンダエンジニアリング株式会社内 (72)発明者水谷弘埼玉県狭山市新狭山１丁目10番地１ホンダエンジニアリング株式会社内 (56)参考文献特開平５−285625（ＪＰ，Ａ) 特開昭51−76762（ＪＰ，Ａ) 実開平４−4048（ＪＰ，Ｕ) 特表平６−509512（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B22D 17/00 B22D 17/20 B22D 17/28 B22D 17/30 C21D 1/02 - 1/84

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】保温された射出機、この上の破砕手
段、この上の金属インゴット材の保温室等からなる装置
下半部と、インゴット材の導入部、この導入部上の加熱
室、この上のインゴット供給部等とからなる装置上半部
とからなり、装置上半部と装置下半部とを連通、接続さ
せた金属成形体用射出成形装置において、前記装置上半
部と装置下半部との間を、密封可撓部材により連通、接
続した、ことを特徴とする金属成形体用射出成形装置。
【請求項２】前記密封可撓部材は、筒状であり、且つ
伸縮自在である請求項１記載の金属成形体用射出成形装
置。
【請求項３】前記密封可撓部材は、耐熱性を有する金
属製の蛇腹部材であり、この蛇腹部材の内側には、下方
へ移動するインゴットをガイドするインゴットガイドを
配設したことを特徴とする請求項１又は請求項２記載の
金属成形体用射出成形装置。
【請求項４】前記インゴットガイドは、装置上半部の
下部から、装置下半部の上部間に設けた蛇腹部材内側
で、且つ蛇腹部材の高さ方向の略々全長に亘り、筒状に
垂下した請求項３記載の金属成形体用射出成形装置。