JP3392526B2 - 機器の保守管理支援装置 - Google Patents

機器の保守管理支援装置

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JP3392526B2
JP3392526B2 JP17867794A JP17867794A JP3392526B2 JP 3392526 B2 JP3392526 B2 JP 3392526B2 JP 17867794 A JP17867794 A JP 17867794A JP 17867794 A JP17867794 A JP 17867794A JP 3392526 B2 JP3392526 B2 JP 3392526B2
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永年 岡部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば火力発電プラン
ト等に適用されるガスタービン等の高温機器について、
使用に伴う構成部材の劣化または損傷等に対する補修の
必要性等を監視する機器の保守管理支援装置に係り、特
に、劣化・損傷の理論的予測に基づき補修コストまたは
部品交換コスト等を最適化するための機器の保守管理支
援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エネルギー有効利用と地球環境保
護の観点から、発電プラント等における効率を高めるた
め、ガスタービン等の原動機の高温化や大型化が急速に
進んでおり、原動機構造部材の使用条件はますます苛酷
さを増している。特に高温流体にさらされる主要高温部
材には、金属組織の劣化や亀裂、変形などの損傷が比較
的短期間のうちに生じるため、定期的な検査に基づく補
修や交換の適切な判定が危機の安定運用を確保する上で
不可欠である(参考:吉岡、「ガスタービン材料の劣化
挙動」日本機械学会No.920-6講習会教材:高温危機の構
造強度設計−新素材の開発から寿命評価まで−1992.1東
京)。
【0003】従来、機器の構造部材の補修判定は、部品
の設計情報や過去の経験情報に基づき補修許容値を設定
しておき、この許容値と劣化・損傷計測量とを比較して
行うことが一般的である。部品の交換は、補修不可能な
場合や、補修コストと新部品交換コストとの比較の上で
判定される。点検間隔、補修基準および部品交換基準
は、使用環境や燃料の種類、機器の起動停止パターンな
どによって変化するため、これらの代表的な使用パター
ンごとに機器をグループ分けし、同一グループ機器の部
品群に同一の保守管理処置を施している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、各部品に生じ
る劣化・損傷の形態は多岐にわたり、かつその進行度合
が一様でない場合も多く、グループ管理では、交換部品
費も含めて補修コストが高くなる原因となり得る。ま
た、同時期に運開したユニットの部品交換時期が一致す
ることは保守管理予算計画上好ましくないため、できる
だけ補修コスト発生時期を平準化する必要がある。
【0005】ガスタービン部材に生じる劣化・損傷予測
を定量的に予測する技術は、部品の補修や交換に合理的
な根拠を与える基盤技術として重要であり、これまでに
シミュレーション技術や傾向解析技術など部品の劣化・
損傷の特徴に応じた技術が開発されてきているが(例:
特願平4−312327,斎藤、「火力発電用高温機器
経年劣化の非破壊評価と寿命診断」日本機械学会No.930
-30 講習要旨集P1〜10)、その最適保守管理への活
用はまだ端緒についたばかりである。
【0006】本発明が解決しようとする課題は、効率向
上に伴い使用条件が過酷化している原動機等の構造部材
の補修・交換コストをできる限り低減し、かつその発生
時期を平準化するための合理的な手法を確立することで
ある。
【0007】即ち、本発明の目的は、所定の運転時間を
確保しながら、運転パターンや補修・部品交換時期を最
適化して最も効率良くかつ低コストとなる保守管理方法
を部品単位、機器単位またはプラント単位等で提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、機器
の構造部材に生じる劣化の度合または損傷量を計測する
劣化・損傷計測手段と、前記機器の運転、補修、劣化・
損傷計測その他の履歴を記録する運転履歴記録手段と、
これらの各手段から得られるデータを管理するデータ管
理手段と、前記機器の将来の予想運転条件を設定する運
転条件設定手段と、前記データ管理手段および運転条件
設定手段からデータを入力し、前記劣化・損傷量データ
を初期値として前記予想運転条件に基づく計算を行い、
前記構造部材の劣化・損傷量の進行を予測する劣化・損
傷量予測手段と、これにより求められた予測劣化・損傷
量に基づいて前記構造部材の補修時期、補修量および
修期間を計算するとともに、前記補修量と補修期間に比
例する部分の和を含む補修コストの計算ならびに補修コ
ストの高低と補修コスト発生時期の判定を行なう補修コ
スト等算定手段と、その算定結果を出力する表示手段と
を備えたことを特徴とする。
【0009】請求項2の発明は、請求項1記載の機器の
保守管理支援装置における劣化・損傷量予測手段および
補修コスト等算定手段に代え、または加えて、劣化・損
傷計測履歴データに基づいて劣化・損傷量の推移傾向を
解析する劣化・損傷量傾向解析手段、将来の予想運転条
件に基づいて構造部材の劣化・損傷量の推移傾向を予測
する劣化・損傷量傾向予測手段、およびその劣化・損傷
量の推移傾向に基づいて前記構造部材の補修時期、補修
量、補修期間および補修コストの推移傾向を予測し、補
修コストの高低と補修コスト発生時期の判定を行なう
修コスト等傾向予測手段を備えたことを特徴とする。
【0010】請求項3の発明は、請求項1または2記載
の機器の保守管理支援装置における劣化・損傷量予測手
段、劣化・損傷量傾向解析手段、補修コスト等算定手
段、劣化・損傷傾向予測手段および補修コスト等傾向予
測手段に代え、または加えて、検査ごとに得られる離散
的な劣化・損傷データに基づいて劣化・損傷の生起確率
の変化傾向を補完して定める劣化・損傷生起確率算定
段と、劣化・損傷生起確率の変化傾向に基づいて将来の
確率の推移傾向を予測する劣化・損傷生起確率予測手段
と、補修コストの期待値を計算し、補修コストの高低と
補修コスト発生時期の判定を行なう補修コスト期待値算
定手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】請求項4の発明は、請求項1記載の機器の
保守管理支援装置における劣化・損傷量予測手段に代
え、劣化・損傷量履歴データと予測劣化・損傷推定量と
の比較に基づいて構造部材の温度ならびに応力条件を逆
推定する温度・応力推定手段と、その温度・応力推定値
に基づいて現在の劣化・損傷計測データを初期値として
将来の運転条件に対応した前記構造部材の劣化または損
傷量の進行を予測する劣化・損傷量予測手段とを備えた
ことを特徴とする。
【0012】請求項5の発明は、請求項1記載の機器の
保守管理支援装置における劣化・損傷量予測手段および
補修コスト等算定手段に代え、将来の運転パターンと補
修時期または期間との組合せに応じた劣化・損傷予測を
行う劣化・損傷シミュレーション手段と、その劣化・損
傷シミュレーション予測結果における補修時期または期
間が適合する想定運転パターンを選択する適合運転条件
判定手段と、選択した運転パターンについて補修コスト
その他の計算を行い、補修コストの高低と補修コスト発
生時期の判定を行なう補修コスト等算定手段とを備えた
ことを特徴とする。
【0013】請求項6の発明は、請求項1記載の機器の
保守管理支援装置において、前記機器は劣化または損傷
の形態もしくは進行度合の異なる複数の部品を有する構
成とされており、運転履歴記録手段およびデータ管理手
段は前記各部品毎に履歴の記録およびデータ管理が可能
とされており、かつ前記データ管理手段から得られる過
去の運転、使用、劣化または損傷の各履歴データに基づ
いて前記各部品に応じた劣化・損傷予測に必要なモデル
の定数を確定する劣化・損傷予測モデル設定手段と、こ
の劣化・損傷予測モデル設定手段で設定した各部品につ
いての劣化・損傷予測モデルに対し、前記データ管理手
段から得られた今回の点検時点での劣化・損傷状態を初
期状態としてセットし、この初期状態から運転条件設定
手段で設定した運転パターンを用いて次回点検以降の劣
化・損傷状態を予測して、許容値に至る前の点検時点で
の補修または交換の判定を行う劣化・損傷量予測手段
と、この劣化・損傷量予測手段で部品の補修または交換
を行う旨の判定がなされた場合に部品ユニット毎に補修
コストまたは交換部品のコストを計算し、補修コストの
高低と補修コスト発生時期の判定を行なうユニット補修
コスト等算定手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】請求項7の発明は、請求項6記載の機器の
保守管理支援装置において、前記機器は発電用その他の
プラントであって、劣化・損傷量予測手段は、プラント
を構成する全ユニットまたは全部品を対象として構成さ
れる運転、使用、劣化・損傷の各履歴データベースを有
し、かつユニット補修コスト等算定手段に代え、プラン
トの各ユニットの運転パターンの組合せに応じた補修コ
ストおよびその経時変化を求め、補修コストの高低およ
び補修コスト発生時期の平準化の程度を判定するプラン
ト補修コスト等算定手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
【作用】請求項1の発明では、例えば運転条件を所定の
条件内で変化させて補修コストを計算し、補修コストの
高低と補修コスト発生時期を判定して表示する。
【0016】請求項2の発明では、例えば現行部品を交
換せず補修する場合の補修コストと新部品を投入したと
きの部品コストおよび補修コストとを計算して比較し、
補修コストの高低と補修コスト発生時期を判定して表示
する。
【0017】請求項3の発明では、例えば運転条件を所
定の拘束条件の下で変化させて補修コスト期待値を計算
し、補修コストの高低と補修コスト発生時期を判定して
表示する。
【0018】請求項4の発明では、例えば運転条件を所
定の拘束条件の下で変化させて補修コストを計算し、補
修コストの高低と補修コスト発生時期を判定して表示す
る。
【0019】請求項5の発明では、例えば劣化・損傷シ
ミュレーション予測結果における補修時期・期間が適合
する想定運転パターンを選択し、選択した運用パターン
について補修コスト計算を行い、補修コストの高低と補
修コスト発生時期を判定して表示する。
【0020】請求項6の発明では、例えば将来の運転パ
ターンおよび補修時期・期間の組合せに応じた劣化・損
傷予測を行い、劣化・損傷予測結果における補修時期・
期間が適合する想定運転パターンを選択し、選択した運
用パターンについて補修コスト計算を行うとともに、新
品投入に伴う部品コストと補修コストを計算し、運転パ
ターンの違いおよび部品交換に伴うプラント全体として
の補修コストの高低と補修コスト発生時期を判定して表
示する。
【0021】請求項7の発明では、例えば将来の運転パ
ターンおよび補修時期・期間の組合せに応じた劣化・損
傷予測を行い、補修時期・期間が適合する運転パターン
について補修コスト計算を行うとともに、新品投入に伴
う部品コストと補修コストを計算し、運転パターンの違
いおよび部品交換に伴う補修コストの高低および補修コ
スト発生時期の平準化の程度を判定して表示する。
【0022】
【実施例】以下、本発明に係る機器の保守管理支援装置
の実施例を図面を参照して説明する。
【0023】実施例1(図1〜図4) 本実施例は請求項1の発明に対応するものである。図1
は概略構成図、図2〜図4は作用説明図である。
【0024】図1に示すように、本実施例の機器の保守
管理支援装置は、機器の構造部材に生じる劣化の度合ま
たは損傷量を計測する劣化・損傷計測手段1と、計測デ
ータを計算処理用に変換するデータ変換手段2と、機器
の運転、補修、劣化・損傷計測その他の履歴を記録する
運転履歴記録手段3と、これらの各手段1,2,3から
得られるデータを記憶・管理するデータ管理手段4と、
機器の将来の予想運転条件を設定する運転条件設定手段
5と、データ管理手段4および運転条件設定手段5から
データを入力し、劣化・損傷量データを初期値として予
想運転条件に基づく計算を行い、構造部材の劣化・損傷
量の進行を予測する劣化・損傷量予測手段6と、これに
より求められた予測劣化・損傷量に基づいて補修可否を
判定し、構造部材の補修時期、補修量、補修期間および
補修コスト等を計算する補修コスト等算定手段7と、そ
の算定結果を出力する表示手段とを備えて構成されてい
る。
【0025】そして、図2に示すように、劣化・損傷計
測手段1では、機器、例えばガスタービンの点検時に構
造部材としての動翼材、静翼材または焼結器材に見られ
る金属組織の劣化や、亀裂、変形およびボイド、剥離な
どの損傷を、画像入力、レプリカ観察、硬さ計測、寸法
計測、超音波計測、電磁気計測、分極計測などの非破壊
的計測法により計測する。
【0026】ここで金属組織の劣化は、例えば図3
(a)〜(c)にミクロ組織の模式図として示すよう
に、複雑な析出物により高温強度を向上させたガスター
ビン用超合金において、高温で使用している間に析出物
が粗大化などの変化を起こし、クリープ強度や靭性など
の材料寿命に関する特性が製造時の状態から変化する現
象である。
【0027】ミクロ組織は、レプリカによって転写し、
顕微鏡観察画像を画像処理することにより、面積率・体
積率や個数密度などのパラメータに定量化できる。ま
た、電気化学的方法により、析出物の溶解電流から劣化
度を検出する方法として分極法などの方法も用いること
ができる(参考:斎藤、「火力発電用高温機器経年劣化
の非破壊評価と寿命診断」日本機械学会No.930-30 講習
要旨集P1〜10)。
【0028】微小な空隙が成長して亀裂に至る損傷であ
るクリープボイドも同様の方法により計測できるが、部
材内部に発生したものを非破壊的に検出する手段として
は、超音波法などの方法が適用できる。亀裂は、主に目
視観察によるが、画像入力手段を用いると正確な入力が
できる。
【0029】これらの情報を数値演算可能なデジタルデ
ータとしてデータ変換手段2により変換し、データ管理
手段4に伝送するものである。
【0030】運転履歴記録手段3では、例えば図4
(a),(b),(c)に示すように、負荷、回転数ま
たはガス温度の推移データが制御盤においてモニタされ
る。そして、過去の起動停止回数、起動停止パターン、
定常運転時間および点検期間に関するデジタルデータと
して、データ管理手段4に伝送される。また、この他に
手入力で、部品補修・交換の有無や部品が組込まれた機
器の変遷などの履歴情報もデータ管理手段4に伝送され
る。
【0031】データ管理手段4では、これらのデータ
を、「運転履歴テーブル」、「使用履歴テーブル」、
「劣化・損傷テーブル」、「参照情報テーブル」として
ファイル化し、「機器No.」,「部品No.」,「部
位No.」,「点検No.」などにより検索して、各デ
ータの相互関連をとることができるリレーショナルデー
タベースを構築する。
【0032】次に、劣化・損傷量予測手段6では、構造
部材の過去の劣化・損傷の推移傾向または劣化・損傷発
達の物理則と、温度・応力などの使用条件をもとに、今
回点検によって得られた劣化・損傷計測量から、将来の
予想運転条件に対応した劣化・損傷予測を行う。
【0033】劣化・損傷予測法としては、既に特願平4
−312327で提案された傾向解析法およびシミュレ
ーション解析法などの手法が用いられる。次回点検時ま
でに劣化・損傷量が所定の許容値に達すると予測される
場合には今回補修することと判定し、今回補修後の状態
を初期値として次回点検時までの劣化・損傷量を予測す
る。
【0034】補修コスト算定手段7では、劣化・損傷量
予測手段6において予測された補修時期iにおける劣化
・損傷量Dから補修量Rを計算する。即ち、
【数1】 R=f(D) (式1) さらに補修量から補修期間Lを計算する。即ち、
【数2】 L=g(R) (式2) 補修コストは、固定費部分Cと、補修量Rと補修期
間Lに比例する部分の和および交換部品費Cの和と
して計算される。
【0035】
【数3】 C=C+αR+βL+C (式3) ここで、Cは、分解費、運搬費、検査費、再組立費の
和であり、αは、補修材料費、補修工事費に係わるコス
ト係数、βは運転停止に伴う損失コスト係数である。
【0036】(式3)は、1グループの部品群について
次式となる。
【0037】
【数4】
【0038】以上の補修コスト計算手順を、運転条件設
定手段5において、運転条件を所定の拘束条件(所用発
電時間など)を満たす範囲で変化させ、繰返し計算す
る。将来の運転条件の第1として、データ管理手段4に
おける過去の運転履歴から容易に計算される平均的な運
転時間および起動停止回数が用いられる。その他の運転
パターンは、この標準パターンから変化させたもの、あ
るいは人為的に設定されたものを用いる。
【0039】以上の計算結果は、今後の補修コストの推
移傾向図として表示手段8において補修コストの高低と
補修コストの発生時期が一目で判別できるように表示さ
れる。
【0040】以上の実施例1の構成によれば、機器部材
の劣化・損傷履歴データに基づいて、部品の保守管理コ
ストとその発生時期を劣化・損傷状態に応じて的確に予
測でき、誰にでも的確なコスト評価が容易に行える効果
が奏される。
【0041】実施例2(図5〜図10) 本実施例は、請求項2の発明を、ガスタービン静翼の熱
疲労亀裂損傷の補修コスト傾向予測に適用したものであ
る。図5は本実施例の概略構成図、図6は具体的構成例
を示す図、図8〜図10は作用説明図である。
【0042】本実施例の機器の保守管理装置は、図5に
示すように、前記実施例1記載の保守管理支援装置にお
ける劣化・損傷量予測手段6および補修コスト等算定手
段7に代え(または加えて)、劣化・損傷計測履歴デー
タに基づいて劣化・損傷量の推移傾向を解析する劣化・
損傷量傾向解析手段9と、将来の予想運転条件に基づい
て構造部材の劣化・損傷量の推移傾向を予測する劣化・
損傷量傾向予測手段10と、その劣化・損傷量の推移傾
向に基づいて構造部材の補修時期、補修量、補修期間お
よび補修コストの推移傾向を予測する補修コスト等傾向
予測手段11とを備えた構成とされている。
【0043】本実施例において、劣化・損傷計測手段1
は、図6(a)に示すように、亀裂画像スキャン入力装
置12とされている。この亀裂画像スキャン入力装置1
2は、検査対象となる部品13に沿って移動する計測ヘ
ッド14を有する。計測ヘッド14は同図(b)に示す
ように、位置計測ローラ15とCCD撮像装置16とを
有する構成とされている。
【0044】データ変換手段2は図6(a)に示すよう
に、AD変換器17と画像処理装置18とによって構成
されている。
【0045】運転履歴記録手段3は、プラントの中央制
御盤に装備されているモニタ装置にデータ通信ケーブル
で結合されている図示しない通信機能付き計算機および
ソフトウエアである。また、データ管理手段4は、磁気
ディスクとその制御装置およびリレーショナルデータベ
ースソフトで構成される。運転条件設定手段5、劣化・
損傷量傾向解析手段9、劣化・損傷量傾向予測手段10
および補修コスト傾向予測手段11は計算機およびソフ
トウエアである。表示手段8はCRTなどの表示装置で
ある。
【0046】このような構成の実施例2においては、ま
ず、入力部としての図6に示す亀裂画像スキャン入力装
置12の計測ヘッド14を、対象とする部品13の形状
に沿って移動させ、亀裂の位置および寸法をAD変換器
17を通して画像処理装置18に入力する。
【0047】図7は、入力された画像の処理作用を示し
ている。即ち、入力画像Aからノイズaを消し、細線化
処理を行った後、亀裂bの存在領域部位A1,A2,A
3を区分し、亀裂に例えば1,2,3の如く付番する。
各亀裂の長さは、亀裂両端を結ぶ直線の長さで代表さ
せ、この直線と基準線とのなす角度θを亀裂角度とし、
さらに亀裂の外接長方形C1,C2,C3を設定し、そ
の面積を計算する。これらの計算値は、図5のデータ管
理手段4内において、図8(c)に示すように、「亀裂
テーブル」の形でファイル保存される。
【0048】図5の運転履歴記録手段3からは、負荷、
回転数およびガス温度の推移がデータとして伝送され、
データ管理手段4内において図8(a)に示すように、
「運転履歴テーブル」としてファイル保存される。その
他の部品補修・交換および部品が組込まれた機器の変遷
などの使用履歴データは、図8(b)に示す「使用履歴
テーブル」としてファイル保存される。
【0049】次に劣化・損傷傾向解析手段9の作用につ
き、図9を用いて説明する。静翼に生じる多重亀裂長さ
lの分布は、対数正規分布で良く近似される。亀裂長さ
の平均と分散は、同図に示すように起動停止回数が増え
ると増加する傾向にあり、亀裂個数も同時に増加する。
これらは次の関係式で表わされる。
【0050】
【数5】μ=A1N+A2(式5)
【数6】V=B1N+B2(式6)
【数7】n=C1N(式7) 但し、μ:亀裂長さの対数の平均、V:亀裂長さの対数
の分散、n:亀裂個数、N:起動停止回数、A1,A
2,B1,B2,C1:定数(式5)〜(式7)の定数
値は、データ管理手段4からの運転履歴データと亀裂デ
ータに対して最適近似を適用して計算される。
【0051】(式5)〜(式7)より、亀裂損傷パラメ
ータとして、総亀裂長さが、長さ真数平均×個数として
求められる。また、分散の値を用いて、その予測幅を計
算することもできる。次回定検時までの起動停止回数に
も揺らぎがあることを想定し、総亀裂長さの分布と合成
した確率が最も高い所を予測する。図9中の等高線d
は、次回点検時の起動停止回数および亀裂損傷パラメー
タの等確率線を示す。一方、起動停止回数が指定され、
揺らぎを想定しない場合は、亀裂損傷パラメータの分布
のみを考慮する。
【0052】さらに図10を参照して、運転条件設定手
段5および劣化・損傷量傾向予測手段10から表示手段
8に至るまでの作用について説明する。
【0053】劣化・損傷量傾向予測手段10では、今回
の劣化・損傷計測量をもとに次回点検時の劣化・損傷量
を上述の傾向解析法により予測する。この予測値が、所
定の許容値を超えない場合は、さらに次々回点検時の予
測を行い、この計算を予測値が許容値を超えるまで繰返
し、次回で許容値を超える場合に、今回補修するものと
判定する。補修判定の場合には、補修後の状態を初期値
として劣化・損傷予測を行う。
【0054】補修コスト等傾向予測手段11は、補修時
期iにおける補修量Riを、前記劣化・損傷量予測手段
6において(式5)〜(式7)によって計算された一定
以上の長さのj番目の亀裂を囲む長方形の面積Sと板
厚bとの積に、所定の補正係数ηを掛けたものの総和
として計算する。
【0055】
【数8】 R=Ση・S(N,t)・b (式8) さらに補修量から補修期間Lを計算する。補修期間は
補修溶接における亀裂除去工数と溶接工数であり、R
に比例する。即ち、
【数9】 L=ζR (式9) 1部品あたりの補修コストは、固定費部分Cと、補修
量Rと補修期間Lに比例する部分の和および交換部
品費Cの和として(式10)により計算される。
【0056】
【数10】 1ユニットのガスタービンに組込まれた1グループの部
品群については、
【数11】 一方、定検時に新部品を投入したと仮定して、その後の
劣化・損傷の発達を劣化・損傷量傾向予測手段10にお
いて上述の方法を用いて同一の予想運転条件に対して予
測し、補修コスト等傾向予測手段11において補修量、
補修時期および補修コストを計算する。
【0057】以上の計算結果を表示手段8に表示し、新
部品を投入しない場合と、投入する場合とについて補修
コストの高低および補修コスト発生時期が一目で分かる
ように表示する。
【0058】以上の構成を有する実施例2によると、機
器部材の劣化・損傷履歴データに基づいて、部品の保守
管理コストとその発生時期を劣化・損傷状態に応じて的
確に予測でき、かつ新部品に交換した場合と比較して、
誰にでも的確なコスト評価が容易に行える効果がある。
【0059】実施例3(図11〜図18) 本実施例は、請求項3の発明を、ガスタービン燃焼器ラ
イナの混合空気孔溶接部の熱疲労亀裂損傷に適用したも
のである。図11は本実施例の概略構成図、図12は具
体的構成例を示す図、図13〜図18は作用説明図であ
る。
【0060】本実施例は、前記実施例1または2記載の
機器の保守管理支援装置における劣化・損傷量予測手段
6、劣化・損傷量傾向解析手段9、補修コスト等算定手
段7、劣化・損傷傾向予測手段10および補修コスト等
傾向予測手段11に代え(または加えて)、検査ごとに
得られる離散的な劣化・損傷データに基づいて劣化・損
傷の生起確率の変化傾向を補完して定める劣化・損傷生
起確率算定手段19と、その劣化・損傷生起確率の変化
傾向に基づいて将来の確率の推移傾向を予測する劣化・
損傷生起確率予測手段20と、補修コストの期待値を計
算する補修コスト期待値算定手段21とを備えた構成と
されている。
【0061】なお、本実施例において、劣化・損傷計測
手段1は、亀裂の目視観察または浸透探傷検査であり、
データ変換手段2は、亀裂発生位置および寸法入力をデ
ジタルデータ化する計算機とソフトウエアである。運転
履歴記録手段3は実施例2と同一のものであり、データ
管理手段4、運転条件設定手段5、劣化・損傷生起確率
算定手段19、劣化・損傷生起確率予測手段20および
補修コスト期待値算定手段21は、計算機およびソフト
ウエアである。表示手段8はCRTなどの表示装置であ
る。
【0062】図12は、燃焼器ライナ22の外観と亀裂
発生状況の概略図を示している。図示の例では、亀裂2
3が混合空気孔カラー24の溶接部に発生している。一
つの混合空気孔25に一つの亀裂23が対応するため、
特定の混合空気孔25に対して、亀裂23の発生した燃
焼器ライナ22であるか否かの情報が損傷情報となる。
【0063】劣化・損傷計測手段1では、この亀裂23
を目視により検出し、亀裂発生位置と亀裂長さとを入力
する。
【0064】データ変換手段2は、この入力をデジタル
データとしてデータ管理手段4に伝送する。また、運転
履歴データと使用履歴データとは、運転履歴記録手段3
により実施例2と同様にデータ管理手段4に伝送され
る。
【0065】データ管理手段4では、図13(a),
(b),(c)に示すように、「運転履歴テーブル」、
「使用履歴テーブル」、および「亀裂発生テーブル」が
用意される。
【0066】次に、劣化・損傷生起確率算定手段19の
作用を図14を参照しながら説明する。図14に、履歴
データベースおよび今回の点検情報に基づく所定部位
(例えば、特定の混合空気孔25)で亀裂23が発生し
た燃焼器ライナ22の累積損傷台数と、亀裂発見時の起
動停止回数との関係を示している。
【0067】ここで、プロットした点検時において既に
亀裂が発生していた事象のデータ(損傷データ)は、
「前回の点検と今回の点検との間のいずれかの時点で亀
裂が発生した」という情報を与えるのみで、正確な亀裂
発生時点は特定できない。したがって、このデータは実
際の亀裂発生起動停止回数より大きく見積るため、亀裂
発生確率を過少に見積ることになる。
【0068】そこで、損傷データに基づく亀裂発生時期
の推定結果と、点検時には未だ亀裂が発生していなかっ
た事象のデータ(健全データ)とを併せて統計解析し、
損傷生起確率分布を計算して、亀裂発生抑制を推定す
る。
【0069】図15は、同一点検で発見された亀裂発生
データを割付ける方法を示している。すなわち、i回目
の点検とi+1回目の点検との間にn個の燃焼器ライナ
22の所定位置に亀裂が発生したとすると、j番目のラ
イナの亀裂発生起動停止回数の推定値Nは次式により
計算される。
【0070】
【数12】 ここで、ライナの累積亀裂発生確率の予測値Fo(N)
は、起動停止回数Nに比例すると仮定する。
【0071】
【数13】Fo(N)=Ao・N (式13) ただし、Ao:定数 (式13)から、(式12)は次式となる。
【数14】
【0072】図16は上述のようにして求めた推定亀裂
発生起動停止回数と、累積亀裂発生回数との関係を示し
ている。
【0073】一方、健全データは、「ある特定の時期ま
で亀裂が発生していない」という情報を含んでおり、こ
れを無視するときには亀裂発生確率を過大に評価するこ
とになる。損傷データに基づく推定亀裂発生起動停止回
数データと健全データとに対して、ランダム打切りデー
タの統計処理手法として提案されているJohnson 法を用
いて累積亀裂発生確率を割付ける。この方法では、 1)損傷データと打切りデータ(全データ個数をnとす
る)とを併せて昇順に並べ、1〜nまでの番号をデータ
に割付ける。ただし、最も小さいデータが打切りデータ
である場合にはこれを省く。割付けた自然数をiとす
る。 2)損傷データのみを昇順に並べ、1)と同様に付番す
る。この数を以下jとする。 3)損傷データについて、次の数値を計算する。
【数15】 4)求めたXを損傷データの順位数とみなして、打切
りのない場合と同様にデータに損傷確率を割り付ける。
【0074】ここでは、損傷確率Fの割り付けに、ミー
ンランク法を用いた。すなわち、
【数16】F=X/(n+1) (式16) 但し、F:累積損傷確率
【0075】図17は、以上のようにして求めた起動停
止回数と累積亀裂発生確率の関係を示す。
【0076】ここで得られた損傷確率分布を、事前予測
損傷確率とみなして再度上記手段を繰り返すことによ
り、より高精度な確率分布の算出が可能である。また、
累積損傷発生確率の事前予測ができない場合も、(式1
3)を事前予測損傷確率の第一次近似として上記手順で
求めた損傷確率分布を再び事前予測損傷確率とすること
により、損傷確率分布を求めることができる。
【0077】次に、図18によって運転条件設定手段5
から劣化・損傷生起確率予測手段20、補修コスト期待
値算定手段および表示手段8に至るまでの作用について
説明する。
【0078】損傷確率分布fは、累積損傷確率Fから次
式によって算出できる。
【数17】f=dF/dN (式17)
【0079】上記損傷確率分布から、次回の点検時に部
品に損傷が発見される確率を次のようにして算出する。
【0080】任意の起動停止回数Nにおける起動停止回
数1回あたりの損傷確率λは次式で表わされる。
【数18】λ(N)=f/(1−F) (式18) 本実施例では、
【数19】F(N)=aN (式19) ただし、a:定数 であるから、
【数20】λ(N)=a/(1−aN) (式20) となる。さらに、起動停止回数Noの時点で点検が行わ
れ、この点検では亀裂が発生せず次回点検までΔN回起
動停止を行なうものとすると、次回点検時に亀裂が発生
している確率FNo(ΔN)は、
【数21】 となる。
【0081】1台のガスタービン当りのライナ台数をm
個とすると、次回点検でq個のライナに同時に亀裂が発
生する確率Pは次のようにして求められる。 1)n個のライナからq個を取出す全ての組合せを考え
る。 2)それぞれの組合せにつきFNo(ΔN)の積を求め
る。 3)PをFNo(ΔN)の積の総和として求める。 特に、m個のライナが同一の運転履歴、補修履歴を有す
る場合には、
【数22】 P(q)=mCqFNoq (ΔN) (式22) となる。
【0082】補修コスト期待値算定手段21は、上記劣
化・損傷生起確率予測手段20により求めた損傷確率P
(q)からライナの補修コストCの期待値E(C)を次
のようにして算出する。
【0083】ライナの補修コストCは、分解、組立て、
運搬などの固定コストCcと、亀裂発生台数に比例する
コストCv・qの和で表わされるため、ライナの補修コ
ストの期待値E(C)の計算は次式により計算される。
【数23】
【0084】また、補修後のライナは未補修のライナと
ともに継続使用されるが、補修によりライナの損傷は完
全に除去され、補修後のライナの亀裂発生確率も未使用
ライナと同等になるため、補修ライナは補修時からの運
転履歴の差分をもって次回のコスト評価を行う。
【0085】本実施例では、このようにして求めた補修
コストの期待値を、補修コスト期待値評価結果として補
修コスト発生時期とともに表示手段8に出力する。
【0086】上記の構成を有する実施例3によれば、劣
化・損傷事象に関する離散的な点検情報から、その生起
確率を予測し、これに基づいて補修コスト期待値の推移
を予測し、補修コスト期待値の高低およびその発生時期
を的確に予測することが可能となった。また、本実施例
では過去の点検情報から劣化・損傷生起確率を求めてい
るため、部品材料のロットの違いや、運用状況を反映し
た的確な予測ができる効果がある。
【0087】実施例4(図19〜図25) 本実施例は、請求項4の発明を、ガスタービンのトラン
ジションピースのクリープ変形の補修コスト算出に適用
したものである。図19は本実施例の概略構成図、図2
0〜図25は作用を示している。
【0088】本実施例は、図19に示すように、前記実
施例1の保守管理支援装置における劣化・損傷量予測手
段6に代え、劣化・損傷量履歴データと予測劣化・損傷
推定量との比較に基づいて構造部材の温度ならびに応力
条件を逆推定する温度・応力推定手段26と、その温度
・応力推定値に基づいて現在の劣化・損傷計測データを
初期値として将来の運転条件に対応した前記構造部材の
劣化または損傷量の進行を予測する劣化・損傷量予測手
段27と、を備えた構成としたものである。
【0089】本実施例において、劣化・損傷計測手段1
は、画像入力装置であり、データ変換手段2はAD変換
器および画像処理装置である。データ管理手段4は実施
例1と同様である。温度・応力推定手段26、劣化・損
傷量予測手段27、運転条件設定手段5および補修コス
ト等算定手段7は計算機とソフトウエアである。表示手
段8はCRTなどの表示装置である。
【0090】図20は、トランジションピース28の劣
化・損傷プロセスを示している。この図20において、
トランジションピース28の寿命を支配する因子の一つ
である軸方向または周方向変形は、高温クリープによる
時間依存の現象であるが、高温では材料の金属組織にお
いて強化析出物の粗大化や劣化相の生成が進むため、変
形抵抗が減少しクリープが加速することにより変形も加
速する傾向にある。したがって、長期使用に伴って補修
間隔が短くなり、補修コストも嵩む傾向にある。
【0091】しかも、遮熱のためのセラミックコーティ
ングが劣化により剥離すると、金属温度が上昇し、クリ
ープ変形もさらに加速する。したがって劣化が進行した
場合、設計温度・応力を補正して実際の温度・応力を正
確に把握することも重要である。そこで、トランジショ
ンピース28の変形については、その加速傾向を金属組
織観察をもとに温度・応力の使用条件も併せて推定し補
修コストを予測する。
【0092】図21および図22は、トランジションピ
ース28への劣化・損傷計測手段1の適用状況を示して
いる。本体から採取したレプリカを顕微鏡により観察
し、この観察画像を画像入力してデータ変換手段2によ
りノイズ消しを行い、さらに結晶粒界に存在する炭化物
と結晶粒内に存在する炭化物の画像を区別して抽出す
る。
【0093】この画像から、粒界析出物の粒界被覆率
(粒界長さに占める析出物長さの割合)ρと、粒内析出
物の体積率Vとを計算する。
【0094】また、コーティングの剥離状態も画像入力
され、剥離位置と面積とが計算されるが、これは以下に
述べる温度・応力推定において、コーティング剥離部で
は遮熱性能が劣化し、設計温度よりも過昇温することの
根拠として利用される。
【0095】さらに、トランジションピース28の軸方
向の変形と半径方向の変形とが、寸法測定装置29によ
り測定され、データ入力される。この寸法計測装置29
は、基準位置を決める計測ベッドと、距離を図るマイク
ロメータまたは非接触式のレーザ光距離計測器などを用
い、そのデータが直接信号としてまたは入力装置により
入力される。
【0096】これらのデータは、データ管理手段4にお
いて、図23(a),(b),(c),(d)に示すよ
うに、「運転履歴テーブル」、「使用履歴テーブル」、
「変形テーブル」および「組織テーブル」としてファイ
ル化され、リレーショナルデータベース化される。
【0097】
【外1】
【0098】
【数24】
【0099】一方、組織データからは、クリープ速度が
次式により推定される(参考:耐熱金属材料第123委
員会研究報告Vol.34.No.2,P155〜163)。
【数25】
【外2】
【数26】
【外3】
【0100】
【外4】
【数27】
【0101】次回点検時までにΔが許容値を超えると判
定されたときは、今回変形修正を行うものとし、この変
形修正後の寸法を初期値として変形予測を行う。
【0102】補修コスト算定手段7では、前記劣化・損
傷予測手段5において予測された補修時期iにおける変
形量Δに変形修正量Rが比例するとして計算する。
【数28】R=μΔ (式28) ただし、μ:定数
【0103】さらに補修期間Liは、変形修正量Riに
比例する(式9)を用いて計算する。
【0104】補修コストは、補修後の熱処理コストも含
む固定費部分Coと、変形修正量Rと補修期間L
比例する部分の和として1部品について(式10)によ
り、また、1ユニットに組込まれている1グループの部
品群については、(式11)により計算される。劣化・
損傷予測および補修コストの計算には、必要に応じてコ
ーティング剥離補修量に伴うコスト算出とコーティング
補修による温度・応力の変化が変形速度に及ぼす影響に
ついても考慮して計算する。
【0105】以上の手順を、運転条件を所定の目標発電
量の範囲で変化させ、繰返し計算を行い、それぞれの補
修コストを計算する。この計算結果の時間的推移を表示
手段8において表示し、補修コストの高低と補修コスト
発生時期が一目で分かるように表示する。
【0106】以上の構成を有する実施例によれば、劣化
・損傷の発達に伴い、温度などの発達速度が変化する場
合についても、その加速傾向を考慮して劣化・損傷予測
ができ、補修コストの高低とその発生時期を的確に予測
することが可能となる。
【0107】実施例5(図26〜図29) 本実施例は、請求項5の発明を、ガスタービン静翼の熱
疲労亀裂損傷に適用したものである。図26は本実施例
の概略構成図、図27〜図29は作用を示している。
【0108】本実施例は図26に示すように、前記実施
例1の保守管理支援装置における劣化・損傷量予測手段
6に代え、将来の運転パターンと補修時期または期間と
の組合せに応じた劣化・損傷予測を行う劣化・損傷シミ
ュレーション手段30と、その劣化・損傷シミュレーシ
ョン予測結果における補修時期または期間が適合する想
定運転パターンを選択する適合運転条件判定手段31と
を備えた構成とされている。
【0109】本実施例において、劣化・損傷計測手段
1、データ変換手段2、データ管理手段4は、前記実施
例1と同じものである。劣化・損傷シミュレーション手
段30、適合運転条件判定手段31、運転条件設定手段
5および補修コスト等算定手段7は、計算機およびソフ
トウエアである。表示手段8はCRTなどの表示装置で
ある。
【0110】将来、運転パターンの大きな変化が予想さ
れる場合、起動停止パターンの順序や組合せの違いを考
慮することが劣化・損傷予測において重要となる。そこ
で本実施例では、起動停止パターンの順序効果を考慮し
た劣化・損傷予測に基づく補修評価の作用について説明
する。
【0111】まず、劣化・損傷計測手段1、データ変換
手段2、運転履歴記録手段3およびデータ管理手段4の
作用は、前記実施例1と同じである。
【0112】図27は、運転条件設定手段5、劣化・損
傷シミュレーション手段30および適合運転条件判定手
段31による処理手順を示している。
【0113】まず、データ管理ファイル4からの運転履
歴、使用履歴および亀裂データに基づき、現点検時の亀
裂分布状態を再現する。この手順の詳細を図28に示し
ている。即ち、データ管理手段4の中の亀裂テーブルか
ら、亀裂長さaの統計分布形Fを決める。即ち、累積確
率Pは、
【数29】P=F(a) (式29)
【0114】次に、この分布形に基づく乱数r(0≦r
≦1)を亀裂の個数nだけ次式により発生させる。
【数30】a=F-1(r) (式30)
【0115】さらに、亀裂の分布座標位置xについて
は、亀裂長さa、温度T、応力σの関数として
【数31】x=x(a,T,σ) (式31) により分布させる。これにより、亀裂分布の初期状態が
定まる。
【0116】次に、運転条件設定手段5において、想定
運用パターンPを発生させる。これは、所定の発電量に
対応する「年間運転時間」と、「日間起動回数」、「週
末停止回数」、「点検・補修時期」とその「期間」など
の拘束条件を与えて、その生起順序を変えた運転パター
ンモデルをいくつか生成する。
【0117】そして、それぞれの運用パターンモデルに
対応して、前述の初期状態から、亀裂発生・成長の多重
亀裂シミュレーションを行う。このシミュレーション
は、対象とする材料領域を離散的な要素点の集合として
表わし、それぞれの要素点にランダムな亀裂発生抵抗R
iおよび亀裂成長抵抗Rgを与える。この抵抗に対し
て、各点で応力の繰返しに対応した損傷Dの発達式を
式で与える
【0118】
【数32】
【0119】運転パターンに従ってシミュレーション領
域の各点において(式32)より損傷発達を計算し、各
点でD=1に至った時点で亀裂発生または成長が起きる
とする。このようにして実行した静翼翼面のシミュレー
ション例を図29(a),(b),(c)に示してい
る。
【0120】なお、図27において、適合運転条件判定
手段31では、上記のようにして得られた亀裂損傷量
(例えば総亀裂長さ)が許容値に達する時期を予測し、
これに伴って決まる補修時期を設定した運用パターンモ
デルと比較して、両者が一致しないときには運用パター
ンモデルを棄却し、一致するときにはその運用パターン
における亀裂損傷計算量とそれによって決まる補修量と
補修期間を計算する。
【0121】補修コスト計算は亀裂周りに外接長方形を
設定し、実施例2と同様の方法で計算する。表示手段8
では、以上の選択によって残った運用パターンの候補に
対して、補修コストの高低と補修時期が一目で分かるよ
うに実施例2に示したように表示する。
【0122】以上のように構成した実施例5によると、
将来の運用パターンが大きく変化する場合においても、
パターンの組合せを順序を考慮して、所定の条件のもと
最適な運用パターンを選定し補修コストの高低と補修コ
ストの発生時期を的確に予測することができる。
【0123】実施例6(図30,31) 本実施例は、請求項6の発明を、ガスタービンユニット
に適用したものである。
【0124】本実施例では、劣化または損傷の形態もし
くは進行度合の異なる複数の部品を対象としており、運
転履歴記録手段3およびデータ管理手段4は各部品毎に
履歴の記憶およびデータ管理が可能とされている。ま
た、前記データ管理手段4から得られる過去の運転、使
用、劣化または損傷の各履歴データに基づいて各部品に
応じた劣化・損傷予測に必要なモデルの定数を確定する
劣化・損傷予測モデル設定手段32と、この劣化・損傷
予測モデル設定手段32で設定した各部品についての劣
化・損傷予測モデルに対し、データ管理手段4から得ら
れた今回の点検時点での劣化・損傷状態を初期状態とし
てセットし、この初期状態から運転条件設定手段5で設
定した運転パターンを用いて次回点検以降の劣化・損傷
状態を予測して、許容値に至る前の点検時点での補修ま
たは交換の判定を行う劣化・損傷量予測手段33と、こ
の劣化・損傷予測手段33で部品の補修または交換を行
う旨の判定がなされた場合に部品ユニット毎に補修コス
トまたは交換部品のコストを計算するユニット補修コス
ト等算定手段34とを備えた構成とされている。
【0125】本実施例において、劣化・損傷計測手段1
とデータ変換手段2とは、実施例1と同じものである。
データ管理手段4は、データベース構造として、ガスタ
ービン1ユニットを構成する各部品グループについての
テーブルを備えている。劣化・損傷予測モデル設定手段
32および劣化・損傷量予測手段6、運転条件設定手段
5およびユニット補修コスト算定手段34は計算機とソ
フトウエアである。表示手段8は前記実施例1と同様で
ある。
【0126】ガスタービン1ユニットを構成する部品の
うち、頻繁に補修を必要とする部品は過酷な高温ガス条
件で使用される動翼、静翼、燃焼器ライナおよびトラン
ジションピースなどである。これらの部品の劣化・損傷
因子はそれぞれ異なっており、劣化・損傷の運転パター
ン依存性も異なる。そこで、各部品の結果・損傷形態の
違いと劣化・損傷程度の違いを考慮して補修コストおよ
び予備品コストの高低およびその発生時期を判定・表示
する。この作用を以下に説明する。
【0127】まず、劣化・損傷計測手段1およびデータ
変換手段2は、部品ごとの劣化・損傷形態に応じた手段
を組合せて用いる。静翼の損傷は実施例2および実施例
5に示したように多重亀裂損傷であることから、静翼の
損傷計測手段としては図6に示した画像入力・画像処理
装置12〜18を用いる。燃焼器ライナの損傷は、実施
例3に示したように、空気孔の亀裂であることから、ラ
イナの損傷については亀裂発生位置の入力装置を用い
る。
【0128】動翼とトランジションピースの損傷は、金
属組織の劣化を伴うクリープであることから、実施例4
に示した金属組織の観察装置と画像処理装置を用いる。
動翼については、コーティング層内部の状態を外部から
非破壊的に判定するため、超音波法等の非破壊的方法も
必要に応じ適用し、トランジションピースについては変
形計測装置を併用する。運転履歴記録手段3およびデー
タ管理手段4の作用は実施例2と同じである。
【0129】劣化・損傷予測モデル設定手段32は、各
部品に応じた劣化・損傷予測法を選択し、データ管理手
段4から得られる過去の運転、使用、劣化・損傷の各履
歴データに基づき予測に必要なモデルの定数を確定す
る。静翼については、実施例5または実施例2の方法、
燃焼器ライナについては実施例3の方法、トランジショ
ンピースには実施例4の方法が適用できる。動翼につい
ては、コーティングの劣化シミュレーションと基材の金
属組織定量化に基づく温度・応力の逆推定とクリープ損
傷の予測であり、トランジションピースと同様の方法が
適用できる。
【0130】図31は、運転条件設定手段5、劣化・損
傷量予測手段6およびユニット補修コスト算定手段34
による処理手順を示している。
【0131】まず、運転条件設定手段5において、想定
運用パターンを発生させる。即ち、今後対象とするガス
タービンユニットに課せられた発電要求量を満たす起動
停止と100%負荷および部分負荷での運転パターンの
候補をいくつか設定する。
【0132】次に、劣化・損傷量予測手段6において、
動翼、静翼、ライナ、トランジションピースの各部品に
ついて選定した前記劣化・損傷予測モデルに対して、デ
ータ管理手段4から得られた今回点検時の劣化・損傷手
段を初期状態としてセットする。この初期状態から、運
転条件設定手段5において設定された運用パターンを用
いて次回点検以降の劣化・損傷状態を予測し、許容値に
至る手前の点検時に補修または交換を行うと判定する。
【0133】補修を行うものと判定された場合には、そ
の部品の補修量を計算して補修コストを計算し、部品交
換の場合には交換部品コストを計算する。ユニットとし
ての補修時期i、運転パターンkにおける補修コストC
U (i,k)は、次式で計算される。
【数33】
【0134】動翼1グループの補修コストは、次式で表
わされる。
【数34】 静翼、ライナ、トランジションピースについてもそれぞ
れ同様の評価式を用いる。
【0135】以上の補修コスト計算を各想定運転パター
ンに対して実行し、補修コスト計算結果を表示手段8に
おいて、各部品ごとおよびユニット総和のグラフとして
表示し、コストの高低が一目で分かるように表示する。
【0136】以上の構成を有する実施例6によれば、複
数の部品からなるガスタービンユニットについて、所定
の発電量を確保しながら補修コストが最小となる運転条
件を的確かつ誰でも容易に判定することができる。
【0137】実施例7(図32,33) 本実施例は、請求項7の発明を複数のガスタービンで構
成される発電プラントに適用したものである。
【0138】本実施例の保守管理支援装置では、劣化・
損傷量予測手段6が、プラントを構成する全ユニットま
たは全部品を対象として構成される運転、使用、劣化・
損傷の各履歴データベースを有し、かつプラントの各ユ
ニットの運転パターンの組合せに応じた補修コストおよ
びその経時変化を求めるプラント補修コスト等算定手段
35を備えた構成とされている。
【0139】本実施例において、劣化・損傷計測手段1
とデータ変換手段2とは、図2と同じものである。デー
タ管理手段4は前述と同様であるが、プラントを構成す
る各ユニットの各部品についてテーブルが用意される。
劣化・損傷予測モデル設定手段32および劣化・損傷量
予測手段6、運転条件設定手段5およびプラント補修コ
スト算定手段35は計算機とソフトウエアである。表示
手段8は前述と同様である。
【0140】複数台のガスタービンユニットによりプラ
ントを運用する場合、補修時期や部品交換時期を平準化
するための本発明の作用について説明する。プラント全
体としての総発電時間と起動停止パターンが決められて
おり、その運転パターンをどのユニットに分担させるか
については未定であるとする。
【0141】図32における劣化・損傷計測手段1、デ
ータ変換手段2、運転履歴記録手段3、データ管理手段
4、劣化・損傷予測モデル設定手段32および劣化・損
傷量予測手段6における作用は、実施例6と略同様であ
るが、運転、使用、劣化・損傷の各履歴データベース
は、プラントを構成する全ユニット、全部品を対象とし
て構成される。
【0142】次に、運転条件設定手段5、劣化・損傷量
予測手段6、プラント補修コスト算定手段35および表
示手段8の作用を図33を用いて説明する。
【0143】運転条件設定手段5では、プラントの発電
計画を満たすように各ガスタービンユニットの運転時間
および起動停止パターンの組合せを作り、想定運用パタ
ーンとして設定する。
【0144】次に、劣化・損傷量予測手段6において、
動翼、静翼、ライナ、トランジションピースの各部品に
ついて選定した前記劣化・損傷予測モデルに対して、デ
ータ管理手段4から得られた今回点検時の劣化・損傷状
態を初期状態としてセットする。
【0145】この初期状態から、運転条件設定手段5に
おいて設定された運用パターンを用いて次回点検以降の
劣化・損傷状態を予測し、許容値に至る手前の点検時に
補修または交換を行うと判定する。
【0146】補修を行うものと判定された場合には、そ
の部品の補修量を計算して補修コストを計算し、部品交
換の場合には交換部品コストを計算する。
【0147】プラントとしての補修時期i、運転パター
ンkにおける補修コストCP (i,k)は、次式で計算
される。
【数35】
【0148】以上の補修コスト計算を各想定運転パター
ンに対して実行し、補修コスト計算結果を表示手段8に
おいて、各ユニット毎およびプラント総和のグラフとし
て表示し、コストの高低が一目で分かるように表示す
る。
【0149】以上の構成を有する実施例7によると、プ
ラントの各ユニットの運転パターンの組合せに応じた補
修コストおよびその経時変化を表示し、補修コストの高
低と補修コスト発生時期が平準化する運転パターンを容
易に判定することができる。このシステムは1プラント
のみならず多プラントの場合にも適用でき、さらに大き
な効果を得ることができる。
【0150】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、劣化・
損傷の発生状態とそれに伴う補修・交換時期が異なる複
数の部品で構成される機器、および複数の機器で構成さ
れるプラントについて、補修コストをできる限り低く
し、かつ補修コスト発生時期を平準化して必要な稼働率
を保ちながら最適保守管理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の構成を示す図。
【図2】実施例1の作用を示す図。
【図3】(a),(b),(c)は、実施例1における
ガスタービン高温部材に生じる金属組織劣化の状態を示
す説明図。
【図4】(a),(b),(c)は、実施例1における
運転パターンの例を示す模式図。
【図5】本発明の実施例2の構成を示す図。
【図6】(a),(b)は、実施例2における亀裂画像
スキャン入力装置の外観と機能を示す説明図。
【図7】実施例2における亀裂入力画像の画像処理手順
を示す図。
【図8】(a),(b),(c)は、実施例2における
履歴データテーブルの概略を示す図。
【図9】実施例2における劣化・損傷量傾向解析の手順
を示す図。
【図10】実施例2における劣化・損傷傾向予測に基づ
く補修コスト傾向予測手順を示す図。
【図11】本発明の実施例3の構成を示す図。
【図12】実施例3における燃焼器ライナの混合空気孔
に生じる亀裂を示す図。
【図13】(a),(b),(c)は、実施例3におけ
る履歴データテーブルの概略を示す図。
【図14】実施例3における亀裂が発生したライナの累
積損傷台数と亀裂発見時の起動停止回数の関係を示すグ
ラフ。
【図15】実施例3における亀裂発生データを割付ける
方法を示す図。
【図16】実施例3における推定亀裂発生起動停止回数
と累積亀裂発生回数の関係を示すグラフ。
【図17】実施例3における起動停止回数と累積亀裂発
生確率の関係を示す図。
【図18】実施例3における損傷生起確率予測に基づく
補修コスト期待値予測手順を示す図。
【図19】本発明の実施例4の構成を示す図。
【図20】実施例4におけるガスタービントランジショ
ンピースに生じる劣化・損傷プロセスを示す説明図。
【図21】実施例4におけるトランジションピースの劣
化と変形を計測する方法を示す図。
【図22】実施例4におけるトランジションピースの劣
化と変形を計測する方法を示す図。
【図23】(a),(b),(c),(d)は、実施例
4における履歴データテーブルの概略を示す図。
【図24】実施例4におけるトランジションピースの金
属組織と変形履歴から温度・応力を推定する方法を示す
図。
【図25】実施例4における変形予測に基づく補修コス
ト予測手順を示す図。
【図26】本発明の実施例5の構成を示す図。
【図27】実施例5における亀裂成長シミュレーション
に基づく適合運転パターンと補修コスト判定の手順を示
す図。
【図28】実施例5におけるシミュレーションにおいて
亀裂初期分布を再現する方法を示す図。
【図29】(a),(b),(c)は、実施例5におけ
る静翼翼面の亀裂成長シミュレーションの例を示す図。
【図30】本発明の実施例6の構成を示す図。
【図31】実施例6における予測と補修コスト計算の手
順を示す図。
【図32】本発明の実施例7の構成を示す図。
【図33】実施例7における補修コスト手順を示す図。
【符号の説明】 1 劣化・損傷測定手段 2 データ変換手段 3 運転履歴記録手段 4 データ管理手段 5 運転条件設定手段 6 劣化・損傷量予測手段 7 補修コスト等算定手段 8 表示手段 9 劣化・損傷量傾向解析手段 10 劣化・損傷量傾向予測手段 11 補修コスト等傾向予測手段 12 亀裂画像スキャン入力装置 13 部品 14 計測ヘッド 15 位置計測ローラ 16 CCD撮像装置 17 AD変換器 18 画像処理装置 19 劣化・損傷生起確率算定手段 20 劣化・損傷生起確率予測手段 21 補修コスト期待値算定手段 22 燃焼器ライナ 23 亀裂 24 混合空気孔カラー 25 混合空気孔 26 温度・応力推定手段 27 劣化・損傷量予測手段 28 トランジションピース 29 寸法測定装置 30 劣化・損傷シミュレーション手段 31 適合運転条件判定手段 32 劣化・損傷予測モデル設定手段 33 劣化・損傷量予測手段 34 ユニット補修コスト等算定手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 大蔵 神奈川県横浜市鶴見区末広町2の4 株 式会社東芝 京浜事業所内 (72)発明者 吉岡 洋明 神奈川県横浜市鶴見区末広町2の4 株 式会社東芝 京浜事業所内 (56)参考文献 特開 平6−180281(JP,A) 特開 平4−370741(JP,A) 特開 平4−265425(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 23/00 - 23/02 G01N 17/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機器の構造部材に生じる劣化の度合また
    は損傷量を計測する劣化・損傷計測手段と、前記機器の
    運転、補修、劣化・損傷計測その他の履歴を記録する運
    転履歴記録手段と、これらの各手段から得られるデータ
    を管理するデータ管理手段と、前記機器の将来の予想運
    転条件を設定する運転条件設定手段と、前記データ管理
    手段および運転条件設定手段からデータを入力し、前記
    劣化・損傷量データを初期値として前記予想運転条件に
    基づく計算を行い、前記構造部材の劣化・損傷量の進行
    を予測する劣化・損傷量予測手段と、これにより求めら
    れた予測劣化・損傷量に基づいて前記構造部材の補修時
    期、補修量および補修期間を計算するとともに、前記補
    修量と補修期間に比例する部分の和を含む補修コストの
    計算ならびに補修コストの高低と補修コスト発生時期の
    判定を行なう補修コスト等算定手段と、その算定結果を
    出力する表示手段とを備えたことを特徴とする機器の保
    守管理支援装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の機器の保守管理支援装置
    における劣化・損傷量予測手段および補修コスト等算定
    手段に代え、または加えて、劣化・損傷計測履歴データ
    に基づいて劣化・損傷量の推移傾向を解析する劣化・損
    傷量傾向解析手段、将来の予想運転条件に基づいて構造
    部材の劣化・損傷量の推移傾向を予測する劣化・損傷量
    傾向予測手段、およびその劣化・損傷量の推移傾向に基
    づいて前記構造部材の補修時期、補修量、補修期間およ
    び補修コストの推移傾向を予測し、補修コストの高低と
    補修コスト発生時期の判定を行なう補修コスト等傾向予
    測手段を備えたことを特徴とする機器の保守管理支援装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の機器の保守管理
    支援装置における劣化・損傷量予測手段、劣化・損傷量
    傾向解析手段、補修コスト等算定手段、劣化・損傷傾向
    予測手段および補修コスト等傾向予測手段に代え、また
    は加えて、検査ごとに得られる離散的な劣化・損傷デー
    タに基づいて劣化・損傷の生起確率の変化傾向を補完し
    て定める劣化・損傷生起確率算定手段と、劣化・損傷生
    起確率の変化傾向に基づいて将来の確率の推移傾向を予
    測する劣化・損傷生起確率予測手段と、補修コストの期
    待値を計算し、補修コストの高低と補修コスト発生時期
    の判定を行なう補修コスト期待値算定手段とを備えたこ
    とを特徴とする機器の保守管理支援装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の機器の保守管理支援装置
    における劣化・損傷量予測手段に代え、劣化・損傷量履
    歴データと予測劣化・損傷推定量との比較に基づいて構
    造部材の温度ならびに応力条件を逆推定する温度・応力
    推定手段と、その温度・応力推定値に基づいて現在の劣
    化・損傷計測データを初期値として将来の運転条件に対
    応した前記構造部材の劣化または損傷量の進行を予測す
    る劣化・損傷量予測手段とを備えたことを特徴とする機
    器の保守管理支援装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の機器の保守管理支援装置
    における劣化・損傷量予測手段および補修コスト等算定
    手段に代え、将来の運転パターンと補修時期または期間
    との組合せに応じた劣化・損傷予測を行う劣化・損傷シ
    ミュレーション手段と、その劣化・損傷シミュレーショ
    ン予測結果における補修時期または期間が適合する想定
    運転パターンを選択する適合運転条件判定手段と、選択
    した運転パターンについて補修コストその他の計算を
    い、補修コストの高低と補修コスト発生時期の判定を行
    なう補修コスト等算定手段とを備えたことを特徴とする
    機器の保守管理支援装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の機器の保守管理支援装置
    において、前記機器は劣化または損傷の形態もしくは進
    行度合の異なる複数の部品を有する構成とされており、
    運転履歴記録手段およびデータ管理手段は前記各部品毎
    に履歴の記録およびデータ管理が可能とされており、か
    つ前記データ管理手段から得られる過去の運転、使用、
    劣化または損傷の各履歴データに基づいて前記各部品に
    応じた劣化・損傷予測に必要なモデルの定数を確定する
    劣化・損傷予測モデル設定手段と、この劣化・損傷予測
    モデル設定手段で設定した各部品についての劣化・損傷
    予測モデルに対し、前記データ管理手段から得られた今
    回の点検時点での劣化・損傷状態を初期状態としてセッ
    トし、この初期状態から運転条件設定手段で設定した運
    転パターンを用いて次回点検以降の劣化・損傷状態を予
    測して、許容値に至る前の点検時点での補修または交換
    の判定を行う劣化・損傷量予測手段と、この劣化・損傷
    量予測手段で部品の補修または交換を行う旨の判定がな
    された場合に部品ユニット毎に補修コストまたは交換部
    品のコストを計算し、補修コストの高低と補修コスト発
    生時期の判定を行なうユニット補修コスト等算定手段と
    を備えたことを特徴とする機器の保守管理支援装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の機器の保守管理支援装置
    において、前記機器は発電用その他のプラントであっ
    て、劣化・損傷量予測手段は、プラントを構成する全ユ
    ニットまたは全部品を対象として構成される運転、使
    用、劣化・損傷の各履歴データベースを有し、かつユニ
    ット補修コスト等算定手段に代え、プラントの各ユニッ
    トの運転パターンの組合せに応じた補修コストおよびそ
    の経時変化を求め、補修コストの高低および補修コスト
    発生時期の平準化の程度を判定するプラント補修コスト
    等算定手段を備えたことを特徴とする機器の保守管理支
    援装置。
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