JP3392164B2 - 陸上構造物の汚染防止方法 - Google Patents

陸上構造物の汚染防止方法

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JP3392164B2 JP35577192A JP35577192A JP3392164B2 JP 3392164 B2 JP3392164 B2 JP 3392164B2 JP 35577192 A JP35577192 A JP 35577192A JP 35577192 A JP35577192 A JP 35577192A JP 3392164 B2 JP3392164 B2 JP 3392164B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、付着した汚染物質を容
易に除去できる汚染防止方法に関し、さらに詳しくは落
書、煤煙、ほこりなどによって、建造物、構築物、装
置、厨房設備などが汚染されるのを防止するのに有効な
陸上構造物の汚染防止方法に関する。 【0002】 【従来の技術及びその課題】電柱、街路灯、塀、歩道
橋、壁、橋脚、ガードレール、トンネル、門扉、車両、
機械装置、換気扇、排風装置などの陸上構造物は、落
書、ほこり、煤煙、排気ガス、貼紙などによって汚染さ
れやすく、美観を著しく損ねられ、しかもこれらの汚れ
は容易に除去できず、汚れを除去するために莫大な労力
と費用が必要となる。そこで従来より、これら構造物に
シリコンオイル、ワックスなどを添加した常乾形又は熱
硬化形塗料を塗布し、汚染防止塗膜を形成して汚染を防
ぐなどしている。しかしながら最近増えているエアゾー
ルラッカー塗料による落書では、特に該塗膜がアクリル
ウレタン系塗料による場合によく見られることであるが
該塗膜表面がエアゾールラッカー中の溶剤で若干溶解し
てしまったり、また何度もかかる落書をシンナーで拭き
取るあるいは束子で擦るなど繰返すと表面のシリコンオ
イルなどが徐々に消失し汚染防止の効果が低下しやす
い。耐溶剤性の優れるエポキシ系塗料による塗膜に対す
る場合でも同様である。またかかるエアゾールラッカー
塗料による落書塗膜をガムテープなどの粘着テープの着
脱で除去しようとする場合、該落書塗膜の膜厚が薄いと
細部にわたってきれいに除去することが困難であった。 【0003】また一方で、前記シリコンオイルなどを添
加した塗料は、ほとんど現場で塗装されているが、多
量の揮発性有機溶剤に溶解又は分散させて用いるので、
安全衛生上好ましくない、被膜形成のための塗装工程
で多大の労力と時間が必要である、塗装作業性が寒暖
によって異なってくる、天候の差異によって同一性能
の塗膜を得ることが困難であるなどの欠点に加え、塗
装時のスプレー飛沫の、他の塗料への混入、塗装用具や
被塗面への付着などにより、他の塗料を塗装する際に、
塗料のはじきや付着不良をひき起こし易いという重大な
欠点を有している。 【0004】 【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記不具合を解消すべく鋭意検討した結果、プライマーを
介して反応硬化形シリコーン樹脂含有塗料の皮膜をベー
スシート上に付着性良好に形成した貼着シートを、陸上
構造物に貼着せしめることによって上記不具合を解消で
きることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0005】すなわち本発明は、陸上構造物に、下記の
汚染防止貼着シートを貼着せしめることを特徴とする陸
上構造物の汚染防止方法を提供するものである;離型性
シート(A)上に、粘着剤層(B)、ベースシート層
(C)、シリコーン系プライマー層(D)および、樹脂
成分として、反応硬化形シリコーン樹脂(一般式(1)
で表されるシリコーン樹脂を除く)50〜99重量%お
よび下記一般式(1) 【化2】 [式中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、
アリール基又はアラルキル基を表わし、Rはエーテル
基、エステル基又は−NH−を介在してもよい炭素数1
〜40の2価脂肪族炭化水素基を表わし、Rは、水素
原子又は炭素数1〜6の低級アルキル基を表わし、x及
びyはそれぞれ0.01≦x<3.99、0.01≦y
<3.99で且つ0.02≦x+y<4である。] で表わされる数平均分子量250〜30,000及び粘
度20〜50,000センチストークスの、ヒドロキシ
アルキル基又はアルコキシ基を有するシリコーン樹脂1
〜50重量%を含有してなる反応硬化形シリコーン樹脂
含有塗料の硬化被膜層(E)を順次積層してなる構造を
有する汚染防止貼着シート。 【0006】以下、本発明の方法に使用する汚染防止貼
着シートを構成する上記(A)〜(E)層について具体
的に説明する。 【0007】ベースシート層(C):ベースシート層
(C)は後記粘着剤層(B)とプライマー層(D)との
層間にあり、プライマー層(D)や汚染防止のための反
応硬化形シリコーン樹脂含有塗料の硬化被膜層(E)
[以下、「汚染防止被膜層(E)」と略称することがあ
る。]の物理的性能を補強し、支持するためのものであ
って、耐水性、耐寒性、耐熱性、耐収縮性、柔軟性など
が優れていることが好ましい。ベースシートとしては、
例えば、ポリウレタン、ポリイミド、ナイロン、ポリエ
チレン、ポリエステル、ポリカーボネート並びに可塑化
塩化ビニル樹脂などのプラスチックが好ましく、ステン
レス並びにアルミニウムなどの金属も使用できる。 【0008】該ベースシート層(C)の膜厚は1〜1,
000μm 、好ましくは20〜125μm が適してお
り、透明もしくは不透明のいずれでもよい。これらいず
れも目的とする形状や大きさに容易にカッティングでき
るものが好ましい。 【0009】プライマー層(D):ベースシート層
(C)の片面に、かつベースシート層(C)と汚染防止
被膜層(E)との層間に形成されており、該両層間の密
着性を向上させる機能を有しているシリコーン系プライ
マー層であって汚染防止被膜層(E)やベースシート層
(C)の種類に応じて適宜選択できる。プライマー層
(D)としては、アルコキシシリル基又はシラノール基
を有するシリコン化合物又はシリコン樹脂を含有するプ
ライマーから塗膜形成して得られるシリコン系のプライ
マー層が上記両層間の密着性向上の点から好ましい。 【0010】上記シリコン系のプライマー層としては、
例えばアルコキシシリル基を含有するシリコン化合物
を縮合させたプライマー層、エポキシ樹脂を基体樹脂
とし、2個以上の活性水素基を有するアミノアルコキシ
シラン化合物を硬化剤とする塗料組成物(特開平3−2
47673号公報参照)を塗布、硬化させてなるプライ
マー層、アルコキシシリル基および/又はシラノール
基含有ビニル単量体とオキシラン基含有ビニル単量体と
を単量体成分として含有する共重合体(以下、「共重合
体A」と略称することがある。)、又はアルコキシシリ
ル基および/又はシラノール基含有ビニル単量体を単量
体成分として含有する重合体(以下、「重合体B」と略
称することがある。)とオキシラン基含有ビニル単量体
を単量体成分として含有する重合体(以下、「重合体
C」と略称することがある。)との共重合体混合物を基
体樹脂とし、アルミニウムキレート化合物などの金属キ
レート化合物を硬化剤とする組成物(特開昭63−10
8048号、同63−108049号、同63−221
123号公報参照)を塗布、硬化させてなるプライマー
層などを挙げることができる。 【0011】上記において、アルコキシシリル基を含
有するシリコン化合物としては、分子中に珪素原子に結
合した2個以上のアルコキシル基を有する化合物が挙げ
られる。代表例としては、ジメトキシジメチルシラン、
ジメトキシジエチルシラン、ジメトキシジフェニルシラ
ン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシ
ラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジプロポキシジメ
チルシラン、ジプロポキシジエチルシラン、ジプロポキ
シジプロピルシラン、ジプロポキシジフェニルシラン、
ジブトキシジメチルシラン、ジブトキシジエチルシラ
ン、ジブトキシジブチルシラン、ジブトキシジフェニル
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシ
ラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル
メチルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン;ト
リメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、
トリメトキシプロピルシラン、トリメトキシブチルシラ
ン、トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシメチル
シラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシブチ
ルシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリプロポキ
シメチルシラン、トリプロポキシプロピルシラン、トリ
プロポキシフェニルシラン、トリブトキシフェニルシラ
ン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどの
トリアルコキシシラン;テトラメトキシシラン、テトラ
エトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブト
キシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、テトラフェ
ノキシシランなどのテトラアルコキシシランなどが挙げ
られる。また、これらのアルコキシシランの1種又は2
種以上の混合物の部分縮合物、ならびにこれらの部分縮
合物と上記ジ−、トリ−、テトラ−アルコキシシランと
の混合物もアルコキシシリル基を含有するシリコン化合
物に包含される。 【0012】上記アルコキシシリル基を含有するシリコ
ン化合物は塗布され空気中の水分などによって加水分
解、縮合して硬化するものであり、通常、乾燥膜厚が5
μm 以下、好ましくは0.1〜3μm 程度となるよう塗
布される。上記シリコン化合物の加水分解、縮合反応を
促進するため、酸触媒、錫化合物などの硬化触媒を配合
しておいてもよい。 【0013】上記において、基体樹脂として使用しう
るエポキシ樹脂は、従来から公知のものが広く適用で
き、一般に数平均分子量が約350〜約4,000、好
ましくは約900〜約3,000で、エポキシ当量が1
50〜3,800、好ましくは450〜2,100の範
囲内にある常温で固体又は液体のエポキシ樹脂が挙げら
れ、かかるエポキシ樹脂としては、硬化塗膜の機械的性
質、層(E)および層(C)との接着性、防食性等の点
から、多価フェノール(例えばビスフェノール類)−エ
ピハロヒドリン縮合型エポキシ樹脂、フェノールホルム
アルデヒド縮合型エポキシ樹脂、重合脂肪酸型エポキシ
樹脂等が好適である。 【0014】上記多価フェノール−エピハロヒドリン縮
合物型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール
A、ビスフェノールF、ハロゲン化ビスフェノールAと
エピクロルヒドリンとの縮合物[例:シェル化学社製エ
ピコート828、エピコート1001、エピコート10
02、エピコート1004、エピコート1007、エピ
コート1009など]が用いられ;フェノール−ホルム
アルデヒド縮合物型エポキシ樹脂としては、例えばグリ
シジルエーテル化ノボラック型エポキシ樹脂[例:シェ
ル化学社製、エピコート152、154など]が挙げら
れ;また、重合脂肪酸型エポキシ樹脂としては、例え
ば、ダイマー酸型エポキシ樹脂[例:シェル化学社製、
エピコート872など]が用いられる。 【0015】本発明方法においては、多価フェノール−
エピハロヒドリン縮合物型エポキシ樹脂が特に適してい
る。これらエポキシ樹脂はそれぞれ単独で使用すること
ができ、或いは2種又はそれ以上組合わせて用いること
ができる。また低級の多価アルコールやポリエステルポ
リオールのグリシジルエーテル類等比較的低分子量のも
のも合わせて使用することができる。 【0016】またにおいて、硬化剤として用いられる
アミノアルコキシシラン化合物の代表例としては、γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリブトキシシラン、p−ア
ミノフェニルトリメトキシシランなどの1級アミノ基を
有するシラン化合物;N−(2−アミノエチル)−γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノ
エチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−(2−アミノエチル)−γ−アミノブチルトリ
メトキシシラン、N−(2−アミノフェニル)−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエト
キシシラン、N−(2−アミノフェニル)−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシランなどの1級アミノ基と2級
アミノ基とを有するシラン化合物;N−(2−ウレイド
エチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(東
レシリコーン社製、AX43−031)、N−(2−ウ
レイドエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−(2−ウレイドフェニル)−γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシランなどのウレイド基と2級アミノ基
とを有するシラン化合物;N,N′−ビス(トリメトキ
シシリルプロピル)エチレンジアミン、N,N′−ビス
(トリエトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、
N,N′−ビス(トリメトキシシリルプロピル)p−フ
ェニレンジアミン、N,N′−ビス(トリブトキシシリ
ル)エチレンジアミンなどの2級アミノ基を2個有する
シラン化合物などが挙げられる。 【0017】これらのうち、1級アミノ基と2級アミノ
基とを有するシラン化合物が好ましく、なかでもN−
(2−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシランが好ましい。 【0018】において、前記エポキシ樹脂とアミノア
ルコキシシラン化合物の配合比は、該エポキシ樹脂中の
エポキシ基に対する該アミノアルコキシシラン化合物中
の活性水素基の当量比が0.4〜3.6、特に0.6〜
2.4の範囲内であることが好ましい。ここで活性水素
基とはアミノ基など窒素原子に結合している反応性の水
素原子のことを意味する。 【0019】において硬化剤として上記アミノアルコ
キシシラン化合物を単独で使用しうることはもちろんで
あるが、エポキシ樹脂の硬化剤として般用されている種
々のポリアミド樹脂や第1級ポリアミン類付加物等を上
記アミノアルコキシシラン化合物と併用してもさしつか
えない。 【0020】前記において、アルコキシシリル基およ
び/又はシラノール基含有ビニル単量体は、1分子中
に、重合性不飽和結合と少なくとも1個のシラノール基
又はアルコキシシリル基を含有する化合物又はシロキサ
ン系マクロモノマーである。 【0021】上記化合物としては、下記一般式(2)で
示されるものが挙げられる。 【0022】 【化3】 【0023】[式中、Aはカルボニルオキシ基又はフェ
ニレン基を、R3 は水素原子、メチル基を、R4 は炭素
数1〜6の脂肪族炭化水素基を、R5は同一又は異なっ
てフェニル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜
6のアルコキシル基、水酸基を、R6 は水素原子、炭素
数1〜6のアルキル基を、nは1〜20の整数を示
す。] 【0024】一般式(2)の化合物の内、Aがカルボニ
ルオキシ基であるものとしては、例えばγ−(メタ)ア
クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリプロ
ポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイル
オキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)
アクリロイルオキシプロピルメチルジプロポキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキ
シシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジ
エトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェ
ニルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプ
ロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロキシプロピルフェニルメチルメトキシシラン、γ
−(メタ)アクリロキシプロピルフェニルメチルエトキ
シシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリシラ
ノール、 【0025】 【化4】【0026】などを挙げることができる。 【0027】また一般式(2)の化合物のうち、Aがフ
ェニレン基であるものとしては、例えば下記一般式で示
される化合物を挙げることができる。 【0028】 【化5】 【0029】前記シロキサンマクロモノマーとしては、
前記一般式(2)で示される化合物と下記一般式(3)
で示される化合物とを縮合反応させて得られる反応生成
物を挙げることができる。 【0030】 【化6】 【0031】[式中、R7 は炭素数1〜8の脂肪族炭化
水素基、フェニル基を、R8 は同一又は異なって水酸
基、炭素数1〜4のアルコキシル基を示す。] 【0032】前記一般式(2)で示される化合物と上記
一般式(3)で示される化合物との反応は、両化合物が
有する水酸基、又はアルコキシル基が加水分解して生ず
る水酸基が脱水縮合することにより行なわれる。この
際、反応条件によっては脱水縮合のみではなく、一部脱
アルコール縮合も起こる。この反応は、無溶媒でも行な
うことができるが、両者を溶解できる有機溶媒、又は水
を溶媒として行なうことが好ましい。 【0033】前記一般式(2)で示される化合物と前記
一般式(3)で示される化合物との反応では、反応温度
は、通常20〜180℃程度が適当であり、好ましくは
50〜120℃程度である。また、反応時間は、通常1
〜40時間程度とするのが適当である。また、この反応
において、必要に応じて、重合禁止剤を添加してもよ
い。また両者の化合物がSiに結合するアルコキシル基
を有するときには、縮合に先立って加水分解させるのが
好ましく、通常、水及び触媒の存在下で加熱撹拌するこ
とにより加水分解反応及び縮合反応を連続して行なうこ
とができる。 【0034】かくして得られるシロキサン系マクロモノ
マーは、分子中に、重合性不飽和結合、シロキサン結合
及びアルコキシシラン基を有する長鎖状、梯子状又はこ
れらの混合物からなる。これらのシロキサン系マクロモ
ノマーの中でも1分子中に、平均0.2〜1.9個、好
ましくは0.6〜1.4個の重合性不飽和結合、平均2
個以上のアルコキシ基及び主骨格がシロキサン結合によ
って構成される数平均分子量が約400〜100,00
0、好ましくは約1,000〜20,000範囲のポリ
シロキサン系マクロモノマーであることが適している。 【0035】において、オキシラン基含有ビニル単量
体は、1分子中に、1個以上のオキシラン基と1個の重
合性不飽和結合を有するものである。該オキシラン基含
有ビニル単量体としては、例えば下記の各一般式で示さ
れる脂環式オキシラン基含有ビニル単量体を挙げること
ができる。 【0036】 【化7】【0037】[各一般式中、R9 は水素原子又はメチル
基を示す。R10は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化
水素基を示す。] 【0038】また、脂環式以外のオキシラン基含有ビニ
ル単量体の代表的なものとしては、例えば下記一般式で
表わされるもの等を挙げることができる。 【0039】 【化8】 【0040】[式中、R9 及びR10は前記に同じ。]上
記したオキシラン基含有ビニル単量体の中でも殊に、脂
環式オキシラン基を含有するビニル単量体を用いるのが
硬化性等の点から好ましい。 【0041】共重合体Aは前記したアルコキシシラン基
含有ビニル単量体とオキシラン基含有ビニル単量体と単
量体成分として用いてなるビニル共重合体である。該共
重合体Aでは、必要に応じて、上記単量体成分以外に、
他の重合性ビニル単量体を単量体成分として用いること
もできる。 【0042】この様な他の重合性ビニル単量体として
は、望まれる性能に応じて広範に選択することができ
る。斯かる不飽和単量体の代表例を示せば次の通りであ
る。 【0043】(イ)アクリル酸又はメタクリル酸のエス
テル:例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イ
ソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシ
ル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等の
アクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキ
ルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸
メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリ
ル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタ
クリル酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル
酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル:ア
リルアクリレート、アリルメタクリレート等のアクリル
酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のアルケニルエステ
ル:ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチル
メタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメ
タクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステ
ル:アリルオキシエチルアクリレート、アリルオキシメ
タクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数
3〜18のアルケニルオキシアルキルエステル。 【0044】(ロ)ビニル芳香族化合物:例えば、スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロ
ルスチレン。 (ハ)ポリオレフィン系化合物:例えば、ブタジエン、
イソプレン、クロロプレン。 (ニ)その他:アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニルベオバモ
ノマー(シェル化学製品)、ビニルプロピオネート、ビ
ニルピバレート等。 【0045】重合体Bとしては、前記アルコキシシラン
基含有ビニル単量体の単独重合体もしくはアルコキシシ
ラン基含有ビニル単量体と前記他の重合性ビニル単量体
との共重合体が使用できる。重合体Cとしては、前記オ
キシラン基含有ビニル単量体の単独重合体もしくはオキ
シラン基含有ビニル単量体と前記他の重合性ビニル単量
体との共重合体が使用できる。前記重合体B及び重合体
Cは混合して使用されるが、該重合体の混合比率は、通
常、両者の合計比率で重合体B5〜95重量%、重合体
C95〜5重量%の範囲である。 【0046】上記重合体Bと重合体Cの混合物又は共重
合体Aを硬化させるための硬化剤である金属キレート化
合物としては、アルミニウムキレート、チタニウムキレ
ート、ジルコニウムキレートが挙げられる。これらのキ
レート化合物の内、ケト・エノール互変異性体を構成し
得る化合物を安定なキレート環を形成する配位子として
含むキレート化合物が好ましい。 【0047】上記金属キレート化合物の代表例として
は、ジイソプロピレートエチルアセトアセテートアルミ
ニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウ
ム、トリス(n−プロピルアセトアセテート)アルミニ
ウム、トリス(イソプロピルアセトアセテート)アルミ
ニウム、トリス(n−ブチルアセトアセテート)アルミ
ニウム、イソプロポキシビスエチルアセトアセテートア
ルミニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテート
アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニ
ウム、トリス(エチルアセトナト)アルミニウム、ジイ
ソプロピレートエチルアセトナトアルミニウム等のアル
ミニウムキレート化合物:ジイソプロポキシ・ビス(エ
チルアセトアセテート)チタネート、ジイソプロポキシ
・ビス(アセチルアセテート)チタネート、ジイソプロ
ポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタネート等のチ
タニウムキレート化合物:テトラキス(アセチルアセト
ナト)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセト
アセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセ
トナート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトア
セテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合
物を挙げることができる。 【0048】上記金属キレート化合物の配合量は、前記
共重合体A又は重合体Bと重合体Cとの合計100重量
部に対して0.01〜30重量部程度とするのが適当で
ある。 【0049】上記、又はのプライマー層形成のた
めに用いられるプライマー組成物には、必要に応じて着
色顔料(例:酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、
アルミ粉、フタロシアニンブルーなど)、体質顔料
(例:炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー
など)、防錆顔料(例:鉛丹、塩基性クロム酸鉛、ジン
ククロメート、モリブデン酸亜鉛、リン酸アルミ、亜鉛
粉末など)や、また、通常の塗料製造に使用されうるタ
レ防止剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤などの塗料
用添加物を配合することができ、硬化触媒も必要に応じ
て使用することができる。プライマー層(D)の膜厚は
乾燥後において、1〜50μm の範囲であることが好ま
しい。 【0050】汚染防止被膜層(E):汚染防止被膜層
(E)は本発明に使用する貼着シートの最表層に位置
し、プライマー層(D)の上に形成されている層であっ
て、陸上構造物の汚染を防止する機能を有するものであ
る。汚染防止被膜層(E)は、樹脂分として、反応硬化
形シリコーン樹脂50〜99重量%および前記一般式
(1)で表わされる数平均分子量250〜30,000
及び粘度20〜50,000センチストークスの、ヒド
ロキシアルキル基又はアルコキシ基を有するシリコーン
樹脂(以下、「変性シリコーン樹脂」と略称する。)1
〜50重量%を含有する反応硬化形シリコーン樹脂含有
塗料をプライマー層(D)上に塗布、硬化させることに
よって得ることができる。 【0051】上記反応硬化形シリコーン樹脂は、室温
で、もしくは加熱によって硬化するか、又は紫外線(ま
たは電子線)照射などによって化学的に反応して硬化す
るものであり、該反応硬化形シリコーン樹脂としては、
硬化反応性官能基および有機基がSiに直接結合したオ
ルガノポリシロキサンが挙げられる。硬化反応性官能基
としては水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基などがあ
り、有機基としてはメチル基、エチル基、ビニル基、γ
−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、ハロアルキ
ル基、フェニル基などが挙げられる。 【0052】また上記反応硬化形シリコーン樹脂として
は、上記オルガノポリシロキサンに、加水分解可能な基
(例えばアセトキシ基、ケトキシム基など)を有する多
官能シラン化合物などの架橋剤や、亜鉛、鉄、コバル
ト、スズなどのオクチル酸塩、ナフテン酸塩、過酸化
物、有機アミンなどの硬化触媒を含有したものも包含さ
れる。 【0053】また、上記オルガノポリシロキサンとし
て、ビニル基、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ル基などの重合性不飽和基を有するものを用いた場合に
は電子線または紫外線の照射により硬化させることがで
きる。紫外線照射の場合は光重合開始剤を添加する必要
がある。 【0054】上記反応硬化形シリコーン樹脂の具体例と
しては、KE42RTV、KE44RTV、KR270
6、KE45TS(これらはいずれも信越化学工業
(株)製商品名)、SE9140、SH237(これら
は東レダウコーニングシリコーン社製商品名)、FSX
R−2622(Dow. Corning社製商品名)等が挙げられ
る。 【0055】一方、上記変性シリコーン樹脂は、250
〜30,000、好ましくは1,000〜20,000
の範囲の数平均分子量を有するものであり、また0.1
〜15重量%の範囲のアルコキシ基又は水酸基(−OR
2 基)含有量であることが好ましい。さらにこのアルコ
キシ基としてはメトキシ基又はエトキシ基であることが
好ましい。R1 の好ましい例としてポリオキシエチレン
構造やポリオキシプロピレン構造を有するものが挙げら
れる。 【0056】上記変性シリコーン樹脂の市販品として
は、例えば、KF3516、KF353(これらはいず
れも信越化学工業(株)製商品名)をはじめ、SH37
49、BX16−034、SH8400(東レダウコー
ニングシリコーン社製商品名)やXF3940、XF3
949(東芝シリコーン(株)製商品名)などがあげら
れる。 【0057】前記反応硬化形シリコーン樹脂と上記変性
シリコーン樹脂との配合割合は樹脂成分中、前者が50
〜99重量%、後者が1〜50重量%であることが必須
であり、さらには前者が70〜97重量%、後者が3〜
30重量%の範囲であることが好ましい。該配合割合の
範囲をはずれると、汚染防止性能に悪影響を及ぼすこと
となるので好ましくない。 【0058】汚染防止被膜層(E)を形成する塗料は、
上記樹脂成分以外に必要に応じて塩素化パラフィン、固
形パラフィン、流動パラフィン等を該塗料不揮発分10
0重量部に対し約10重量部以下の範囲で配合すること
ができ、さらに、要求される塗膜性能に応じて、体質顔
料、着色顔料、防食顔料等の顔料類;可塑剤、タレ止め
剤及び塗面調整剤等を配合することができる。 【0059】汚染防止被膜層(E)は良好な汚染防止性
を長期間保持し、しかもプライマー層(D)との付着
性、柔軟性、耐水性、耐薬品性に優れた塗膜である。こ
れは汚染防止被膜層(E)が、反応硬化型シリコーン樹
脂と一般式(1)で表わされる変性シリコーン樹脂を含
有する塗料から得られるので、その硬化被膜が、微細で
しかも均一な親水/疎水、疎水/疎水のミクロモザイク
構造を呈するため、その表面への汚染物質の吸着を抑制
する効果を有し、更に該吸着を長期間阻止できるのであ
る。 【0060】プライマー層(D)上への上記塗料の塗装
は、例えばスプレー塗り、ナイフコータ、ロールコー
タ、スクリーン印刷など公知の塗装手段を利用すること
ができる。通常、乾燥膜厚が1〜200μm 、好ましく
は50〜100μm の範囲内になるように塗装し、常温
〜130℃の範囲内の温度で乾燥することによって良好
な汚染防止被膜層(E)を形成することができる。 【0061】また必要に応じて、汚染防止被膜層(E)
の保護のためにポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルムなどの保護フィルムを汚染防止被膜層(E)の
上に積層してもよい。この保護フィルムは、使用に際し
て取除かれる。 【0062】本発明方法における汚染防止被膜層(E)
は、シリコーン樹脂による低表面エネルギーの表面を有
していることによって、汚染物質に対し非常に顕著な付
着防止効果を発揮するものである。 【0063】粘着剤層(B):粘着剤層(B)は、プラ
イマー層(D)および汚染防止被膜層(E)を形成した
ベースシート(C)を目的とする物体表面に貼着可能な
らしめるためのものであり、後記離型性シート(A)と
ベースシート(C)との層間に介在する。具体的には、
それ自体すでに公知の恒久粘着剤を主成分としており、
耐水性の良好なものであって、例えば、天然ゴム、スチ
レン−ブタジエン共重合ゴム、ポリイソブチレン、アク
リル樹脂、ポリビニルエーテル、ポリビニルイソブチル
エーテルなどの粘着剤があげられ、このうち、ポリブチ
ルアクリレートやポリ−2−エチルヘキシルアクリレー
トなどのガラス転移温度が−10〜−60℃のアクリル
樹脂が好ましい。さらに、粘着付与剤としてロジン、ロ
ジンエステル、クマロン樹脂、テルペン樹脂、炭化水素
樹脂、油溶性フェノール樹脂が、軟化剤として脂肪酸エ
ステル、動植物油脂、ワックス、石油重質留分が、主成
分の上記粘着剤との相溶性によって適宜必要に応じて併
用される。これ以外に充てん剤、顔料、老化防止剤、安
定剤なども配合できる。 【0064】これらの粘着剤を必須成分として、これら
を有機溶剤に溶解もしくは分散せしめ、ナイフコータ、
ロールコータ、スクリーン印刷もしくはグラビアコータ
などを用いてベースシート層(C)の片面(プライマー
層(D)を形成する面と反対の面)に塗装し、有機溶剤
などの揮発性物質を揮散させることによって粘着剤層
(B)が形成できる。該粘着剤層(B)の厚さは1〜5
00μm 、特に20〜40μm が好ましい。有機溶剤を
用いないで、粘着剤を溶融して塗装することもさしつか
えない。 【0065】本発明方法の貼着シートの貼着時の環境温
度が低いときは、ガラス転移温度の低い粘着剤層(B)
に調製することが望ましい。 【0066】離型性シート(A):離型性シート(A)
は粘着剤層(B)の表面に貼着する離型シートであり、
粘着剤層(B)から容易に剥離できるものであって、本
発明の無毒防汚性粘着シートを使用するにあたっては離
型シート層(A)を剥離して用いる。該離型性シート
(A)は、シリコン、ワックス並びに弗素樹脂などの離
型剤を塗布もしくは含浸した紙もしくはプラスチックフ
ィルム、又は上記離型剤を含まずそれ自体離型性を有す
るポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂フィルム
等の従来公知の離型性シートが用いられる。 【0067】本発明方法に用いられる汚染防止貼着シー
トは、離型性シート(A)上に、粘着剤層(B)、ベー
スシート層(C)、プライマー層(D)および汚染防止
被膜層(E)、さらに必要に応じて保護フィルムを順次
積層してなる構造を有するものである。各層の積層方法
は特に限定されるものではなく、例えばベースシートの
片面に粘着剤を塗布し粘着剤層を形成し、この層の上に
離型性シートを貼着し、次いで上記ベースシートの離型
性シートとの反対の面にプライマーを塗布してプライマ
ー層を形成した後、この層上に反応硬化形シリコーン樹
脂含有塗料を塗布し、汚染防止被膜を形成する方法など
が挙げられる。上記方法で粘着剤層を形成する前にプラ
イマー層を形成してもよく、適宜積層順序をかえること
ができる。 【0068】本発明の方法は、上記の如き得られた汚染
防止貼着シートの離型性シート(A)および必要に応じ
て保護フィルムを剥離し、汚染防止を目的とする陸上構
造物の表面に、直接もしくは下地処理を行なったのち、
粘着剤層(B)が面するように貼着すればよく、容易に
陸上構造物の表面の汚染を防止することができる。 【0069】本発明において陸上構造物とは、電柱、街
路灯、塀、建造物の壁、門扉、鳥居、歩道橋、橋脚、ガ
ードレール、トンネル、車両、機器設備、換気扇、排風
装置、厨房設備などの汚染しやすい陸上の建築構築物、
装置、設備などを総称したものであり、本発明の方法は
これらすべてに適用できる。 【0070】 【作用および発明の効果】本発明の方法で汚染防止貼着
シートの使用にあたっては、目的とする形状と大きさに
裁断(カッティング)し、この貼着シートから離型性シ
ートを剥離して、汚染防止を望む陸上構造物の部位に貼
着することによって容易に良好な密着性を有する汚染防
止被膜を該構造物上に形成することができ、その部分で
は落書、煤煙などの汚染物質の付着が長期間防止され、
また特にエアゾールラッカーなどが塗着しても容易に除
去することができる。 【0071】本発明の技術的効果を列挙すると以下のと
おりである。 現場での塗装作業が不要となり、基材上に汚染防止被
膜を形成するための労力および時間を節約することがで
きる。 現場で施工する際、塗料を使用しないので、溶剤の揮
散などがなく安全衛生面、作業環境などが著しく改善さ
れる。 【0072】汚染防止被膜層(E)は、良好な汚染防
止性能を長時間保持し、しかもプライマー層(D)との
付着性、柔軟性、耐水性、耐薬品性に優れており、ベー
スシート(C)、プライマー層(D)と一体となった複
層として良好な性能を示す。 【0073】粘着剤層(B)および汚染防止被膜層
(E)のそれぞれの機能保持期間を施工目的に応じてほ
ぼ一致させておくと、補修施工を効率的に行なうことが
できる。 施工時、シリコーン樹脂塗料の飛散などによる他塗料
への混入や被塗面への付着が起こらないため、他塗料塗
装時に、はじき発生や付着不良などの重大欠点を起こす
原因となることがない。 【0074】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、本発明の範囲は実施例に限定されるも
のではない。以下において、「部」および「%」はそれ
ぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。 【0075】汚染防止貼着シートの作成 膜厚約50μm のウレタン樹脂ベースシートの片面に、
後記表1の組成の各種プライマーを表1に示す乾燥膜厚
となるように塗布、硬化させてプライマー層を形成し
た。プライマーP−1、P−2およびP−3は塗布後、
室温で7日間放置によって硬化させた。プライマーP−
4およびP−5は塗布後、室温で1日放置によって硬化
させた。プライマーP−6は塗布後、80℃で30分間
焼付けて硬化させた。プライマーP−7は塗布後、10
0℃で30分間焼付けて硬化させた。 【0076】次いで得られたプライマー硬化膜上に後記
表2に示す各種反応硬化形シリコーン樹脂含有塗料を乾
燥膜厚が75μm となるように塗布し、室温で7日間硬
化させて汚染防止被膜層を形成した。プライマー層と汚
染防止被膜層との組合せは後記表3のとおりとした。 【0077】次いでベースシート、プライマー層および
汚染防止被膜層からなるシートのベースシート面上に膜
厚約25μm のポリブチルアクリレート粘着剤層を形成
し、さらにこの上に、シリコーンコーティングした離型
性クラフト紙を貼着して汚染防止貼着シートを作成し
た。 【0078】なお、表1における(註)は以下のとおり
である。 (注1)エポキシ樹脂塗料ベースA:スチールボールミ
ルにエピコート1001(シェル化学社製、商品名、エ
ポキシ当量450〜490、数平均分子量約900)の
エポキシ樹脂をトルエン/メチルイソブチルケトン/セ
ロソルブ=3/2/1の混合溶剤に溶解した固形分60
%ワニスを500部、ベンガラ100部、タルク150
部、ターレン5200(共栄社油脂社製タレ止め剤)2
0部及び希釈用シンナー(キシレン/n−ブチルアルコ
ール/セロソルブ=3/1/1)230部を仕込み10
時間分散してエポキシ樹脂塗料ベースAを得た。 【0079】(注2)エポキシ樹脂塗料ベースB:DE
R664(ダウケミカル社製、商品名、エポキシ当量8
75〜975のエポキシ樹脂)とDEN439(ダウケ
ミカル社製、商品名、エポキシ当量191〜210のエ
ポキシ樹脂)を固形分重量比で3/1の割合に混合した
樹脂混合物をトルエン/メチルイソブチルケトン/セロ
ソルブ=3/2/1の混合溶剤に溶解した固形分60%
ワニスを600部、タルク100部、シリカ100部、
チタン白50部、シアニンブルー10部、ベントン20
部及び希釈用シンナー(キシレン/n−ブチルアルコー
ル/セロソルブ=3/1/1)120部を仕込み10時
間分散してエポキシ樹脂塗料ベースBを得た。 【0080】(注3)シリコーン樹脂D:FM−442
1(チッソ社製、シラノール基を有し、ジメチルポリシ
ロキサン鎖を主鎖とするシリコーン樹脂、商品名) (注4)シリコーン樹脂E:FZ−3701(日本ユニ
カー社製、珪素原子に結合するアルコキシル基を有し、
ジメチルポリシロキサン鎖を主鎖とするシリコーン樹
脂、商品名)。 【0081】 (注5)塗料組成物F: フェニルトリシラノール 7,800g(50モル) γ−アクリロイルオキシプロピルトリシラノール 200g( 1モル) トルエン 4,500g これらの混合物を117℃で3時間反応させ、脱水し
た。得られたポリシロキサン系マクロモノマーの数平均
分子量は7,000、平均的に1分子当り1個のビニル
基と5〜10個の水酸基を有していた。このマクロモノ
マー100g と 2−ヒドロキシエチルアクリレート 100g 3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート 200g 2−エチルヘキシルメタクリレート 600g アゾイソブチロニトリル 10g の混合物をブタノールとキシレンの等重量混合物1,0
00g 中に120℃で滴下、重合し、透明な共重合体を
得た。数平均分子量は約40,000であった。この樹
脂溶液200g とチタン白顔料(樹脂100g に対して
50g 配合)とを混合・分散した後、このものに0.3
g のテトラキス(アセチルアセトン)ジルコニウムを添
加して塗料組成物Fを得た。該組成物は密閉状態で1年
間貯蔵を行なっても増粘、ゲル化は認められなかった。 【0082】 (注6)塗料組成物G: メチルトリメトキシシラン 3,958g(29.1モル) β−アクリロキシエチルトリエトキシシラン 236g( 0.9モル) 脱イオン水 1,620g 60%塩酸 2.9g ハイドロキノン 1.4g これらの混合物を80℃で5時間反応させてポリシロキ
サン系マクロモノマー溶液を得た。得られたポリシロキ
サン系マクロモノマーの数平均分子量は約15,000
で、平均的に1分子当り、1個のビニル基とメトキシ基
を5〜10個有していた。このマクロモノマー400g
と スチレン 80g グリシジルメタクリレート 100g n−ブチルメタクリレート 420g アゾビスイソブチロニトリル 20g の混合物をキシレン1,000g 中に120℃で滴下、
重合し、透明な共重合体溶液を得た。得られた共重合体
の数平均分子量は約70,000であった。この樹脂溶
液200g とチタン白顔料(樹脂100g に対して50
g 配合)とを混合・分散した後、このものに10g のテ
トラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムを添
加して塗料組成物Gを得た。該組成物は密閉状態で1年
間貯蔵を行なっても増粘、ゲル化は認められなかった。 【0083】表2における(註)は以下のとおりであ
る。 (注7)KE42RTV:信越化学工業(株)製、反応
硬化形シリコーン樹脂、商品名。 (注8)SH237:東レダウコーニングシリコーン社
製、反応硬化形シリコーン樹脂、商品名。 (注9)KF96H−10万:信越化学工業(株)製、
非反応性ストレートシリコーンオイル、商品名。 【0084】(注10)KF3561:信越化学工業
(株)製、アルコキシル基含有シリコーン樹脂、前記一
般式(1)に相当する樹脂、商品名。 (注11)SH8400:東レダウコーニングシリコー
ン社製、アルコキシル基含有シリコーン樹脂、前記一般
式(1)においてR1 部分がポリオキシエチレン構造を
有する樹脂、商品名。 【0085】(注12)SF8428:東レダウコーニ
ングシリコーン社製、水酸基を含有するシリコーン樹
脂、商品名。 (注13)ISI4700:東芝シリコーン社製、アミ
ノ基を含有するシリコーン樹脂、商品名。 (注14)XI42−411:東芝シリコーン社製、カ
ルボキシル基を含有するシリコーン樹脂、商品名。 (注15)エロジル#200:日本アエロジル社製、シ
リカ微粉末、商品名。 【0086】 【表1】 【0087】 【表2】 【0088】実施例1〜12および比較例1 サンドブラスト処理鋼板に、刷毛塗りでJIS K−5
621の一般用さび止め塗料を乾燥膜厚30μm となる
よう塗装し5時間乾燥させた。これを被塗板として、
前記の如く作成した各汚染防止貼着シートから離型性ク
ラフト紙を剥離して、シートの粘着剤層面を押しあて圧
貼して汚染防止塗板を得た。 【0089】実施例13〜16 実施例1において、被塗板をそれぞれ次に示す被塗板
〜とする以外は実施例1と同様にして各汚染防止塗
板を得た。 【0090】被塗板:木材の表地を研摩紙(番手18
0番)で研摩してから油変性形ポリウレタンクリヤーを
塗布量100g/m2の割合で塗布し、2時間乾燥させた後
再び研摩紙で研摩したもの; 被塗板:下地調整済みのコンクリート板; 被塗板:清浄な磁器タイル; 被塗板:脱脂したアルミニウム板。 【0091】比較例2 被塗板に、KPX356(信越化学工業(株)製、シ
リコンオイル、商品名)を樹脂固形分100部に対し3
0部配合したSDホルス白(アルキド樹脂系調合ペイン
ト、関西ペイント(株)製、商品名)を乾燥膜厚で35
μm となるよう塗装し、室温で7日間放置して乾燥硬化
させた。 【0092】比較例3 被塗板に、YF3818(東芝シリコーン(株)製、
シリコンオイル、商品名)を樹脂固形分100部に対し
40部配合したレタンNo. 4000白(アクリル変性ポ
リウレタン塗料、関西ペイント(株)製、商品名)を乾
燥膜厚で35μm となるよう塗装し、室温で1日放置し
て乾燥硬化させた。 【0093】性能試験 上記実施例及び比較例で得られた試験塗板を用いて汚染
防止性能を作成直後と6ケ月屋外暴露後のそれぞれにつ
いて調べた。結果を表3に示す。 【0094】 【表3】【0095】上記表3における性能試験方法は下記のと
おりである。 (*1)汚れ除去性:試験塗板に、エアロン黒(カンペ
ハピオ(株)製、エアゾールラッカー、商品名)で塗面
に落書をした。これを6ケ月間放置した後、下記の各除
去方法で該落書を容易に除去できるかどうかについて調
べた。 【0096】除去方法 I:シンナーをガーゼにしみこませて拭きとった II:ガムテープの着脱で除去した。 III :束子でこすりながら水洗した。 【0097】汚れ除去性の評価基準は次のとおりであ
る。 ◎:汚れが全て除去された。 〇:汚れが若干残る程度。 △:汚れの約半分が除去できた。 ×:汚れの約1/3が除去できた。 ××:汚れを殆ど除去できなかった。 【0098】(*2)塗面状態:上記(*1)のI〜II
I の汚れ除去方法によって処理した後の塗面状態を観察
した。 ◎:平滑性にすぐれ、何らの異常が認められない。 〇:平滑性が低下 △:平滑性、ツヤともに低下。 ×:ツヤが低下し、凹凸部分が多く認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C09D 183/06 C09D 183/06 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 3/00 B32B 7/06 B32B 27/00 - 27/42 E04F 13/00 - 13/18 C09D 183/06

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 陸上構造物に、下記の汚染防止貼着シー
    トを貼着せしめることを特徴とする陸上構造物の汚染防
    止方法。離型性シート(A)上に、粘着剤層(B)、ベ
    ースシート層(C)、シリコーン系プライマー層(D)
    および、樹脂成分として、反応硬化形シリコーン樹脂
    (一般式(1)で表されるシリコーン樹脂を除く)50
    〜99重量%および下記一般式(1) 【化1】 [式中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、
    アリール基又はアラルキル基を表わし、Rはエーテル
    基、エステル基又は−NH−を介在してもよい炭素数1
    〜40の2価脂肪族炭化水素基を表わし、Rは、水素
    原子又は炭素数1〜6の低級アルキル基を表わし、x及
    びyはそれぞれ0.01≦x<3.99、0.01≦y
    <3.99で且つ0.02≦x+y<4である。] で表わされる数平均分子量250〜30,000及び粘
    度20〜50,000センチストークスの、ヒドロキシ
    アルキル基又はアルコキシ基を有するシリコーン樹脂1
    〜50重量%を含有してなる反応硬化形シリコーン樹脂
    含有塗料の硬化被膜層(E)を順次積層してなる構造を
    有する汚染防止貼着シート。
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