JP3379482B2 - アルミニウム材の電解着色法 - Google Patents

アルミニウム材の電解着色法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、陽極酸化皮膜処
理を施されたアルミニウム又はアルミニウム合金からな
るアルミニウム材(以下、単に「アルミニウム材」とい
う)の電解着色法に係り、詳しくは、アルミニウム材の
電解着色処理時に、同一通電ロット内での色調のバラツ
キだけでなく、各通電ロット間で発生し易い色調のバラ
ツキをも抑制し、均一な色調に着色されたアルミニウム
材を製造することができるアルミニウム材の電解着色法
に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム材は、加工性や耐蝕性等に
優れていることから、建材、車両部品、家具等の多くの
分野で頻繁に使用されており、その際に、アルミニウム
材の意匠的効果を高める等を目的に、Ni、Co、C
u、Sn等の可溶性金属塩を含む電解液中で電解し、こ
れら金属塩の電解生成物を多孔質の陽極酸化皮膜中に析
出させてアルミニウム材に着色を施す電解着色が行なわ
れている。
【0003】そして、このアルミニウム材を電解着色す
るための処理方法としては、電解液に交流を通電して電
解する交流電解着色処理(浅田法)と、電解液に直流を
通電して電解する直流電解着色処理とが知られており、
後者の直流電解着色処理によれば、特に黒色等の濃色系
の電解着色を施す場合に、十分に均一な着色が得られる
ことが知られている。
【0004】一方、前者の交流電解着色処理の方法に
は、特にアルミニウム材が複雑な形状を有するような場
合、その窪み部と突出部とにおいて着色ムラが発生する
という問題がある。そこで、従来においても、この問題
を解決するための種々の方法が提案されており、例え
ば、アルミニウム材に交流電解着色処理を施す前に、同
じ電解着色処理浴中でアルミニウム材を陽極として直流
を通電する着色前処理を行なう方法があり、直流電流の
電圧値を一定に保ちながら一定時間通電する定電圧電解
(特公昭 54-23,664号公報等)が知られている。
【0005】この定電圧電解による着色前処理は、一定
の電圧値を有する直流を一定時間通電することにより、
アルミニウム材の陽極酸化皮膜が有する各部の皮膜抵抗
値を均一にし、これによって次の交流電解着色処理の際
に皮膜に比較的均一な電流が流れるようにして着色ムラ
を解消しようとするものであり、アルミニウム材に比較
的濃い色調の電解着色を施す場合には工業的に許容でき
る方法である。
【0006】また、別の方法として、アルミニウム材に
電解着色を施す際に、通電と停止とを複数段に亘って断
続的に繰り返すと共に、この際に次段の処理電圧を前段
の処理電圧より順次高く設定することにより、安定した
色調を達成することが提案されている(特開平8-41,685
号公報)。この方法では、安定した色調は勿論、黒色着
色時間を短縮でき、微量不純物の影響を抑制して白筋不
良を防止できるとされている。
【0007】しかしながら、上記何れの方法も、同一通
電ロット内での色調のバラツキについては比較的安定し
た色調を達成できるが、各通電ロット間で発生する色調
のバラツキについては完全に抑制することができず、各
通電ロット間において均一な色調に着色されたアルミニ
ウム材を製造することは困難である。この傾向は、比較
的濃い色調の電解着色を施す場合にはそれほど問題には
ならないが、比較的淡い色調の電解着色を施す場合には
顕著に現れ、電解着色されたアルミニウム材を工業的に
生産する上で問題になっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、アルミニウム材の交流電解着色処理の際に各通電ロ
ット間で発生する着色ムラを可及的に防止して均一な色
調に着色されたアルミニウム材を安定的に製造すること
ができる方法について鋭意検討した結果、交流電解着色
処理に先駆けて行なう着色前処理を予め設定した最終到
達電圧値及び最終到達電流値まで行なうことにより、比
較的淡い色調の電解着色を施す場合であっても各通電ロ
ット間において均一な色調を達成し得ることを見出し
た。
【0009】すなわち、本発明者らの調査・研究によれ
ば、アルミニウム材に交流電解着色処理を施す際に、各
通電ロット間で色調のバラツキが発生するのは以下のよ
うな理由によると考えられる。例えば、アルミニウム材
の交流電解着色処理を行なう際にその着色前処理として
同じ電解着色処理浴中で定電流電解による着色前処理を
施す場合、この着色前処理における電解電圧は、当該電
解着色処理浴の温度やpH、更にはこの電解着色処理浴
中に浸漬されるアルミニウム材が陽極酸化皮膜処理後の
水洗工程で水洗された時の水洗時間や水洗浴のpH等
(以下、これらの条件をまとめて「浴条件」という)の
影響を受け、これら浴条件の変動に応じて変動する。
【0010】ところで、定電流電解による着色前処理に
おいて、その電解電圧は、主として電解着色処理浴の抵
抗とこの電解着色処理浴中に浸漬したアルミニウム材表
面の陽極酸化皮膜の抵抗とで定まるが、このうち各通電
ロット間における電解着色処理浴の抵抗の変動は、相当
電圧に換算して、最大でも0.1〜0.2V程度とそれ
ほど大きくなく、着色前処理における電解電圧の変動
は、主として皮膜の抵抗に起因すると考えられる。そし
て、このアルミニウム材表面の陽極酸化皮膜は、アルミ
ニウム材のアルミニウム基質の上に形成された緻密なア
ルミナ質からなる、いわゆる「バリアー層」と、このバ
リアー層の上に形成された多孔質層とからなるが、この
皮膜の抵抗は、そのほとんどがバリアー層に依存する。
【0011】また、定電流電解による着色前処理におい
てバリアー層が生成する効率は、電流効率を100%と
した理論生成量に対するバリアー層の溶解を考慮した実
際の増加量の割合で表した見掛け効率(増加量/理論生
成量)が60%程度であると考えられており、しかも、
この見掛け効率は、バリアー層の化学的溶解速度が浴条
件の変動により影響を受けることから、上記着色前処理
における電解電圧と同様に、この浴条件の影響を受けて
変動し、結果としてアルミニウム材表面の皮膜の抵抗が
各通電ロット間で変動することになる。
【0012】しかるに、直流電流の電流値を一定に保ち
ながら一定時間通電する従来の定電流電解による着色前
処理では、上述した浴条件の変動に起因して発生する
「着色前処理での電解電圧の変動」や「アルミニウム材
表面の皮膜の抵抗の変動」による影響を受け、通電時間
内で電解電圧が変動し、結果としてアルミニウム材表面
におけるバリアー層の生成を完全には制御できず、アル
ミニウム材の皮膜が有する電流分布を均一にすることが
できなかった。
【0013】そこで、各通電ロット間で均一な色調を得
るためには、上述した浴条件を厳密に管理し、この浴条
件の影響を解消することが考えられるが、実際にはこの
浴条件を工業的に厳密に管理することは困難であり、管
理範囲内で浴条件の変動は避けられず、特に比較的淡い
色調の電解着色を施す場合に各通電ロット間で色調のバ
ラツキを完全に抑制することは不可能である。
【0014】本発明者らは、この問題を工業的に如何に
解決するかについて検討した結果、着色前処理で生成し
て調整される陽極酸化皮膜のバリアー層の厚さが、この
着色前処理において最終的に到達する電圧値及び電流値
に依存し、例えば定電流電解による着色前処理の場合に
は最終到達電圧値に比例し、結果としてこのバリアー層
の厚さが交流電解着色処理によりアルミニウム材に付与
される電解着色の色調に直接関係することを見出し、本
発明を完成したものである。
【0015】従って、本発明の目的は、アルミニウム材
の交流電解着色処理の際に、1回の通電ロット内だけで
なく、各通電ロット間で発生する着色ムラをも可及的に
防止し、均一な色調に着色されたアルミニウム材を工業
的にかつ安定的に製造することができるアルミニウム材
の電解着色法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、可
溶性金属塩を含む電解着色処理浴中に陽極酸化皮膜処理
を施したアルミニウム又はアルミニウム合金からなるア
ルミニウム材を浸漬し、このアルミニウム材を陽極とし
て直流波形を通電する着色前処理を行い、次いで同じ電
解着色処理浴中で交流電解着色処理を行なうアルミニウ
ム材の電解着色法において、上記着色前処理を予め設定
した最終到達電圧値及び最終到達電流値まで行なう、ア
ルミニウム材の電解着色法である。
【0017】本発明において、電解着色処理が施される
アルミニウム材としては、特に制限されるものではな
く、従来の陽極酸化皮膜処理の場合と同様に、電解浴と
して硫酸、しゅう酸、スルホン酸、クロム酸等の酸水溶
液を使用し、通常のアルミニウム又はアルミニウム合金
からなるアルミニウム素材を陽極とし、これに直流又は
交流若しくは直流に交流を重畳した電流を流し、アルミ
ニウム素材の表面に陽極酸化皮膜を生成せしめることに
より得られる。
【0018】また、このようにして得られたアルミニウ
ム材に着色前処理及び交流電解着色処理を施すための可
溶性金属塩を含む電解着色処理浴についても、特に制限
はなくて従来の電解着色処理浴と同様でよく、例えば可
溶性金属塩として、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、
銅(Cu)、錫(Sn)、クロム(Cr)、マグネシウム(M
g)、鉄(Fe)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、マ
ンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、
バナジウム(Ba)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)等の金属の硫
酸塩、硝酸塩、リン酸塩、塩酸塩、クロム酸塩等の無機
酸塩や、シュウ酸塩、酢酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩等
を挙げることができる。
【0019】また、この電解着色処理浴には、更に着色
度向上等を目的に、必要に応じて亜二チオン酸ナトリウ
ム、亜二チオン酸亜鉛等の亜二チオン酸塩や、チオ硫酸
アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム等のチオ硫酸塩や、
亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩や、亜硫酸、亜
硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩や、チオグリコール酸、チ
オグリコール酸アンモニウム等のチオグリコール酸塩等
の強還元性化合物を始めとする添加剤を添加してもよ
い。
【0020】本発明において、交流電解着色処理に先駆
けて行なわれる着色前処理は、電解着色処理浴中にアル
ミニウム材を浸漬し、このアルミニウム材を陽極として
直流波形(すなわち、直流又は交直重畳波)を通電し、
この時の電圧値(直流波形が交直重畳波の場合にはその
ピーク電圧値)及び電流値が予め設定した最終到達電圧
値及び最終到達電流値に達したところで終了する。
【0021】この着色前処理を実施する具体的方法とし
ては、例えば、一定電流値の電流を通電して行なう定電
流電解の場合には、電流値を予め設定した最終到達電流
値に保ちながら直流を通電し、この時の電圧値が予め設
定した最終到達電圧値に達したところでこの着色前処理
を終了するのがよい。この定電流前処理においては、通
電初期にはアルミニウム材の皮膜のバリアー層が比較的
薄くて抵抗の小さい部分及び陰極からの距離が近くて浴
の抵抗が小さい部分に優先的に電流が流れ、この部分の
バリアー層の厚さが補償され、又は、その他の部分に比
べて抵抗の差に相当する分だけ相対的に厚くなり、最終
到達電圧値に到達した時には均一な陽極電流分布が得ら
れる。
【0022】一方、この着色前処理を一定電圧値の電流
を通電して定電圧電解で行なう場合には、通常、通電初
期に始めから予め設定した最終到達電圧値の電流を流す
と過電流が流れる危険がある。そこで、この過電流が流
れるのを防止するため、通電初期には予め設定した最終
到達電圧値より低い電圧値で直流波形の通電を開始し、
その後、電流値が落ち着いてきた段階で電圧値を最終到
達電圧値に切り換え、予め設定した最終到達電流値に達
するまでこの定電圧電解を継続する。
【0023】ここで、着色前処理における最終到達電圧
値及び最終到達電流値の設定は、製品としてどのような
色調のアルミニウム材を得る必要があるかにより異な
り、比較的淡い色調の電解着色を行う場合には、最終到
達電圧値を30〜50Vに設定するのがよく、反対に、
比較的濃い色調の電解着色を行う場合には、最終到達電
圧値を20〜30Vに設定するのがよく、また、最終到
達電流値については20〜50A/m2 の範囲で設定す
るのがよい。
【0024】このようにして着色前処理が終了した後、
本発明においては、同じ電解着色処理浴をそのまま使用
し、アルミニウム材に交流又は交直重畳波形を通電して
交流電解着色処理を行なう。この場合、交流電解着色処
理の方法については、特に制限はなく、従来の方法と同
様にして行なうことができるが、使用する交流又は交直
重畳波形のピーク電圧については、以下の理由から、好
ましくは着色前処理で予め設定した最終到達電圧の0.
55〜0.8倍、より好ましくは最終到達電圧の0.6
5〜0.75倍に設定するのがよい。この使用する交流
又は交直重畳波形のピーク電圧が、着色前処理で予め設
定した最終到達電圧の0.55倍より低いと、着色しな
いか、若しくは着色速度が極めて遅くなり、また、0.
8倍を超えて高いと、交流電解着色処理時の電流値を一
定に維持することが困難になり、処理時間を一定にして
も均一な色調を得ることができなくなる。
【0025】この点については、本発明者らの研究によ
ると、次のように理解することができる。すなわち、電
解着色処理においては、還元反応によって浴中の金属種
が皮膜中に析出することで色調が与えられる。従って、
色調を均一にするということは、アルミニウム材を陰極
として電解着色処理を行う際に、このアルミニウム材の
電流分布を均一にすることにほかならない。
【0026】アルミニウム材を陽極として最終電圧を規
制した電流制御着色前処理を行った場合、各部の浴抵抗
に対応した皮膜抵抗が形成されることから、着色前処理
終了時点においてアルミニウム材の電流分布を均一にす
ることができる。
【0027】しかるに、その後、交流波形を通電して交
流電解着色処理を行う場合に、この交流波形のピーク電
圧が電流制御着色前処理時の最終電圧と同等若しくはそ
れより高いと、着色前処理終了時点においてアルミニウ
ム材の電流分布が均一になっているにもかかわらず、交
流電解着色処理時のアルミニウム材の電流分布は均一に
ならず、色調が不均一になる。これは、皮膜抵抗自体
が、電流方向によりその抵抗値に差異が生じるという性
質を持ち、アルミニウム材が陰極となる場合の抵抗値は
陽極である場合に比べて減少するためである。
【0028】そして、本発明者らは、この問題について
検討した結果、交流電解着色処理時における皮膜抵抗の
変化が、電流制御着色前処理時の最終電圧と交流電解着
色処理時の交流波形のピーク電圧との間の比に依存し、
密接な関係があることを見出した。すなわち、先ず、最
終電圧を規制して直流を通電する電流制御着色前処理を
行い、引き続いて同じ電解着色処理浴中で上記電流制御
着色前処理時の最終電圧の0.55〜0.8倍のピーク
電圧を有する電圧制御交流波形を通電して交流電解着色
処理を行うことにより、着色前処理終了時の皮膜抵抗の
変化に対応した均一な電流分布を得ることが可能とな
り、均一な色調を得ることができる。
【0029】実際の操業においては、生産性の向上を図
るために、この最終電圧の0.55〜0.8倍の範囲内
でなるべく高い電圧を選択することが必要であり、この
色調の均一性と生産性向上の両者を満足するために、よ
り好ましくは、電解着色処理浴中に配置された電流制御
着色前処理後のアルミニウム材に交流電圧を走査し、得
られた電圧−電流曲線における平坦領域及び立上り領域
の各延長線の交点が与える境界電圧E0 を求め、交流電
解着色処理時のピーク電圧をこの境界電圧E0に設定す
るのが望ましい。この境界電圧E0 は、通常電流制御着
色前処理で予め設定した最終到達電圧の0.65〜0.
75倍程度になり、着色前処理条件やその他の条件(陽
極酸化皮膜処理の差異の条件やその後の水洗条件等)に
より若干変動するが、最終的に最適な交流又は交直重畳
波形のピーク電圧として一義的に決定される。
【0030】本発明方法によれば、着色前処理の初期及
び中期においては、対極に近い部分で電流が流れ易いた
めにバリアー層が優先的に成長し、このバリアー層の成
長に伴って皮膜の抵抗が増加し、これによってこの部分
における電流の流れ易さが抑制される。すなわち、着色
前処理で電流の流れ易い部分においてバリアー層の成長
が優先的に生起するので、交流電解着色処理において位
置に起因する電流の流れ易さの差が解消され、同一通電
ロット内においてアルミニウム材の表面全域を均一な電
流分布で電流が流れるようになり、同一通電ロット内で
の色調のバラツキが解消される。
【0031】また、本発明方法においては、上記着色前
処理を予め設定した最終到達電圧値及び最終到達電流値
まで行なうので、たとえ浴条件が各通電ロット間で変動
しても、この着色前処理によって最終的に調整されるバ
リアー層の状態が各通電ロット間で均一になり、各通電
ロット間においてアルミニウム材の表面全域を均一な電
流分布で電流が流れるようになり、各通電ロット間での
色調のバラツキが解消される。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、試験例及び実施例並びに比
較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に
説明する。
【0033】実施例1 アルミニウム素材としてA6063S−T5を使用し、
20%H2 SO4 、100A/m2 ×30分の条件で陽
極酸化皮膜処理をしてアルミニウム素材の表面に膜厚1
0μmの陽極酸化皮膜を生成せしめ、次いでpH1の酸
性浴で5分間水洗し、アルミニウム材を得た。
【0034】次に、CuSO4 :25g/リットル及び
2 SO4 :5g/リットルの組成を有する電解着色処
理浴を建浴し、上記アルミニウム材を陽極として電流密
度25A/m2 、浴温度25℃、及び最終到達電圧20
Vの条件で電流制御着色前処理を行なった。この際の処
理時間は約20秒であった。
【0035】このようにして電流制御着色前処理が終了
したのち、同じ電解着色処理浴中で0Vを起点として1
V/秒の速度で交流ピーク電圧を上昇させて走査し、電
圧−電流曲線を求めた。結果は、図1に示すとおりであ
り、その平坦領域及び立上り領域の各延長線の交点から
境界電圧E0 を求めたところ、この境界電圧E0 は14
Vであった。
【0036】更に、同じ電解着色処理浴中で商用交流の
ピーク電圧をこの境界電圧E0 の14Vに設定し、10
0秒間通電して交流電解着色処理を行い、ピンク色に電
解着色されたアルミニウム材を得た。得られた電解着色
アルミニウム材について測色し、同一通電ロット内での
色調の均一性(色差:ΔE* ab)を求めた。
【0037】また、上記と同じ条件で陽極酸化皮膜処
理、電流制御着色前処理、及び交流電解着色処理を繰り
返し、上記と同様にして得られた電解着色アルミニウム
材を測色し、各通電ロット間での色調の均一性(色差:
ΔE* ab)を求めた。結果を表1に示す。
【0038】実施例2 電流制御着色前処理の処理条件及び交流電解着色処理に
おける商用交流のピーク電圧を表1に示す条件で行なっ
た以外は、上記実施例1と同様にして、電流制御着色前
処理及び交流電解着色処理を行い、電解着色されたアル
ミニウム材を得た。得られた電解着色アルミニウム材に
ついて、実施例1と同様にして色調の均一性を調べた。
結果を表1に示す。
【0039】実施例3 実施例1と同じ材料及び方法で陽極酸化皮膜処理を施し
たアルミニウム材を用い、また、実施例1と同じ電解着
色処理浴を用い、アルミニウム材を陽極として初期電圧
15Vの直流を通電し、その後、電流密度が32A/m
2 に降下した時点で電圧を20Vに切り換え、最終電流
密度が25A/m2 になるまで定電圧着色前処理を行っ
た。
【0040】このようにして定電圧着色前処理が終了し
たのち、同じ電解着色処理浴中で実施例1と同様にして
商用向流電圧を走査させ、電圧−電流曲線を求めた。結
果は、実施例1と同様であって、その平坦領域及び立上
り領域の各延長線の交点から求められる境界電圧E0
14Vであった。
【0041】更に、同じ電解着色処理浴中で商用交流の
ピーク電圧をこの境界電圧E0 の14Vに設定し、10
0秒間通電して交流電解着色処理を行い、ピンク色に電
解着色されたアルミニウム材を得た。得られた電解着色
アルミニウム材について測色し、各時間毎に同一通電ロ
ット内での色調の均一性(色差:ΔE* ab)を求めた。
結果を表1に示す。
【0042】比較例1 電流制御着色前処理をしないで実施例1と同じ条件で交
流電解着色処理を行い、電解着色されたアルミニウム材
を得た。得られた電解着色アルミニウム材について、実
施例1と同様にして色調の均一性を調べた。結果を表1
に示す。
【0043】比較例2〜3 電流制御着色前処理の処理条件及び交流電解着色処理に
おける商用交流のピーク電圧を表1に示す条件で行なっ
た以外は、上記実施例1と同様にして、電流制御着色前
処理及び交流電解着色処理を行い、電解着色されたアル
ミニウム材を得た。得られた電解着色アルミニウム材に
ついて、実施例1と同様にして色調の均一性を調べた。
結果を表1に示す。
【0044】比較例4 電解電圧30V及び処理時間30秒の条件で定電圧着色
前処理を行い、次いで実施例2と同じ条件で交流電解着
色処理を行い、電解着色されたアルミニウム材を得た。
得られた電解着色アルミニウム材について、実施例1と
同様にして色調の均一性を調べた。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウム材の交流
電解着色処理の際に、同一通電ロット内での色調の均一
性は勿論、各通電ロット間で発生する着色ムラを可及的
に防止し、均一な色調に着色されたアルミニウム材を工
業的にかつ安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1で境界電圧E0 を求めたと
きの電圧−電流曲線を示すグラフ図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−331688(JP,A) 特許3266084(JP,B2) 特公 昭54−23664(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 11/22

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可溶性金属塩を含む電解着色処理浴中に
    陽極酸化皮膜処理を施したアルミニウム又はアルミニウ
    ム合金からなるアルミニウム材を浸漬し、このアルミニ
    ウム材を陽極として直流波形を通電する着色前処理を行
    い、次いで同じ電解着色処理浴中で交流電解着色処理を
    行なうアルミニウム材の電解着色法において、上記着色
    前処理を、電圧及び電流を変化させて、予め設定した最
    終到達電圧値及び最終到達電流値まで行なうことを特徴
    とするアルミニウム材の電解着色法。
  2. 【請求項2】 着色前処理は、電圧値を予め設定した最
    終到達電圧値より低い値で直流波形の通電を開始し、次
    いで最終到達電圧値に切り換えて直流波形を通電する定
    電圧電解であり、この定電圧電解を予め設定した最終到
    達電流値に達するまで行なう請求項1に記載のアルミニ
    ウム材の電解着色法。
  3. 【請求項3】 電解着色処理浴中に配置された着色前処
    理後のアルミニウム材に交流電圧を走査し、得られた電
    圧−電流曲線における平坦領域及び立上り領域の各延長
    線の交点が与える境界電圧E 0 を求め、交流電解着色処
    理時のピーク電圧をこの境界電圧E 0 以下に制御する請
    求項2に記載のアルミニウム材の電解着色法。
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