JP3377749B2 - 織機の開口制御装置 - Google Patents

織機の開口制御装置

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JP3377749B2 JP18123198A JP18123198A JP3377749B2 JP 3377749 B2 JP3377749 B2 JP 3377749B2 JP 18123198 A JP18123198 A JP 18123198A JP 18123198 A JP18123198 A JP 18123198A JP 3377749 B2 JP3377749 B2 JP 3377749B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、織機の綜絖枠を
専用の駆動モータによって駆動するに際し、織段の発生
を有効に防止することができる織機の開口制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】織機において、再起動時に経糸の開口量
を定常時よりも小さくし、織段の発生を防止する織段防
止方法が知られている(たとえば特開平9−29144
0号公報)。
【0003】この方法は、起動時の綜絖枠の開口量を定
常時のそれより小さくし、起動から最初の筬打ちまでの
経糸張力を小さくすることによって、経糸の伸びを抑制
して織り前の移動量を小さくし、織段の発生を防止して
いる。すなわち、織機は、起動時から少なくとも最初の
筬打ち時までの期間において回転が十分に立ち上ってい
ないため、開口動作による大きな経糸張力が定常時より
も長い期間に亘って生じ、それが織段の原因となること
があるので、その影響を補償して織段を防止することが
できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術による
ときは、起動時の開口量は、織機の起動から最初の筬打
ちまでの経糸の伸び量のみに基づいて設定され、織機が
停止してから起動するまでの織機の停止時間中に発生す
る経糸の大きな伸縮量が全く考慮されていないため、織
段の発生を十分に防止することができないという問題が
あった。すなわち、経糸は、停止時間中において、定常
運転中と異なる張力が長時間に亘って負荷され、大きく
伸縮して織り前が移動してしまうから、再起動時に最初
の筬打ち時までの経糸の伸び量に着目して開口量を修正
しても、織り前の修正量が不十分であるからである。
【0005】そこで、この発明の目的は、かかる従来技
術の問題に鑑み、定常パターン設定器の他に起動パター
ン設定器、パターン選択器を設けることによって、織機
の再起動時に発生する織段を一層有効に防止することが
できる織機の開口制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの発明の構成は、織機の起動時に対応する起動パター
ンを設定する起動パターン設定器と、起動後の定常状態
に対応する定常パターンを設定する定常パターン設定器
と、起動パターン設定器、定常パターン設定器に接続す
るパターン選択器とを備えてなり、起動パターン設定器
に設定する起動パターンは、定常パターン設定器に設定
する定常パターンと異なるパターンであり、パターン選
択器は、織機の起動時において起動パターン設定器から
の起動パターンを選択し、起動から所定期間後に定常パ
ターン設定器からの定常パターンを選択することをその
要旨とする。
【0007】なお、起動パターン設定器に設定する起動
パターンは、定常パターン設定器に設定する定常パター
ンに対し、綜絖枠の開口量、ドエル期間、閉口時期の少
なくともいずれかを異ならせることができる。
【0008】また、起動パターン設定器は、パターン番
号ごとに起動パターンを記憶してもよい。
【0009】なお、起動パターン設定器は、織機の停止
から起動までの経糸の伸縮量に関連するパラメータに対
応して起動パターンを設定することができ、少なくとも
織機の停止から起動までの停止時間を経糸の伸縮量に関
連するパラメータとして採用することができる。
【0010】また、起動に先き立って、起動パターンに
基づく起動時の開口量にまで綜絖枠を駆動する移動指令
手段を設けてもよい。
【0011】
【作用】かかる発明の構成によるときは、パターン選択
器は、織機の起動時に起動パターン設定器からの起動パ
ターンを選択し、起動から所定期間が経過すると、定常
パターン設定器からの定常パターンを選択する。そこ
で、綜絖枠は、起動時において起動パターンに従って駆
動し、起動から所定期間が経過すると、定常パターンに
従って駆動することができ、したがって、織機の停止か
ら起動までの間に織り前が大きく移動しても、起動パタ
ーンによりそれを適位置に修正し、織段の発生を確実に
防止することができる。
【0012】一般に、織り前の位置は、経糸張力が大き
いときに経糸側に移動し、経糸張力が小さいときに織布
側に移動する。そこで、起動パターンは、少なくとも起
動後の最初の筬打ち時の経糸張力が適切となり、織り前
を適位置に修正するように定めるものとする。ただし、
織り前の適位置とは、起動後の最初の筬打ち力が定常時
のそれより小さくなりがちであることの他、使用する経
糸・緯糸の種類や、織布の組織等をも考慮して、織段が
最も発生し難くなる位置をいう。なお、起動パターン
は、織段が発生しなくなる時点以降の所定期間後におい
て、定常パターンに滑らかに移行させればよい。
【0013】定常パターンに対し、綜絖枠の開口量、ド
エル期間、閉口時期の少なくともいずれかを異ならせて
設定する起動パターンは、経糸の種類、織布の組織等に
応じて、織段を一層有効に防止することができる。
【0014】すなわち、開口量を異ならせるときは、最
大開口量と綜絖枠の移動速度との双方を同時に変更する
ことができ、前者によって最初の筬打ち時の開口量を適
切に設定し、そのときの経糸張力を適切にして織り前を
適位置に修正することができ、後者によって経糸の開口
速度を適切に設定し、経糸の捌きをよくし、または、経
糸の張力変動を緩やかにして経糸の損傷を少なくするこ
とができる。また、上下の綜絖枠の開口量を違わせるこ
とによって上下の経糸張力を異ならせ、緯糸密度が大き
い織布に対して緯糸を打ち込み易くすることができる。
【0015】ドエル期間を異ならせるときは、最大開口
量を変更することなく、最初の筬打ち時の開口量を変え
ることができる。すなわち、ドエル期間を異ならせるこ
とにより、綜絖枠の移動速度が変わり、最初の筬打ち時
の開口量を適切に設定することができるとともに、最大
開口量が変わらないため、過大な経糸張力を発生するこ
ともない。
【0016】閉口時期を異ならせるときは、最大開口量
と綜絖枠の移動速度とを変えることなく、最初の筬打ち
時の開口量を適切に設定することができる。
【0017】なお、起動時において綜絖枠がドエル期間
にある場合、ドエル期間、閉口時期を異ならせても、最
初の筬打ち時の開口量を変えることができない場合があ
る。そこで、そのような綜絖枠は、最大開口量を変える
起動パターンを用いるものとする。すなわち、織機に搭
載する複数の綜絖枠は、それぞれの状態に応じて最適の
起動パターンを使い分けることができる。
【0018】パターン番号ごとに起動パターンを記憶す
る起動パターン設定器は、起動時において、パターン番
号を指定することにより、織布の組織に適合する起動パ
ターンを出力することができる。ただし、パターン番号
とは、所定の織布の組織を実現するために、定常パター
ンに従って織機の各サイクルごとに綜絖枠の開口パター
ンを指定する番号であって、起動パターンは、起動時の
サイクル番号(織布の組織の1リピートを構成する複数
のサイクルの順序番号をいう、以下同じ)により、定常
パターンと同一のパターン番号によって指定するものと
する。
【0019】起動パターン設定器は、使用する経糸・緯
糸の種類、緯糸の打込み密度、織布の組織等の製織条件
や、織機の停止原因、停止時間等の変動条件に基づき、
起動時のパターン番号に対応して最適の起動パターンを
選択し、または演算して生成することができる。なお、
このときの起動パターンは、起動時のパターン番号に対
応する定常パターンを修正してもよく、蓄積した過去の
データに基づき、条件に最も適合するものを選択しても
よく、あるいは、それをさらに修正してもよい。また、
起動パターンは、適当な計算方式を確立することによ
り、製織条件、変動条件の一方または双方に基づき、自
動的に演算してもよい。
【0020】なお、このようにして、起動パターン設定
器により選択し、または演算して生成する起動パターン
は、織機の停止から起動までの停止時間中における経糸
の伸縮量に関連するパラメータに対応させることによ
り、織り前を一層精密に適位置に修正することができ
る。起動時における織り前の移動量は、停止時間中の経
糸の伸縮量によって決まるからである。ただし、このと
きのパラメータは、経糸の伸縮量を決定する経糸張力や
停止時間等を使用する他、経糸の伸縮量自体の実測値を
使用してもよい。
【0021】移動指令手段は、起動に先き立って、起動
パターンに基づく起動時の開口量にまで綜絖枠を移動さ
せることにより、起動後の綜絖枠を起動パターンに従っ
て円滑に駆動することができる。すなわち、起動の際の
綜絖枠の開口量が起動パターンの開口量に一致していな
い場合、移動指令手段は、起動に先き立って綜絖枠を起
動パターンの開口量に一致させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を以って発明の実施の
形態を説明する。
【0023】織機の開口制御装置は、定常パターン設定
器13a、起動パターン設定器13b、パターン選択器
14を含む開口パターン指定手段10と、移動指令手段
20とを備えてなる(図1)。なお、開口パターン指定
手段10の出力は、位置指令手段30、位置制御手段4
0を介し、綜絖枠51を駆動する専用の駆動モータMに
接続されている。
【0024】開口パターン指定手段10は、サイクル番
号発生器11、パターン番号発生器12を縦続し、定常
パターン設定器13a、起動パターン設定器13b、パ
ターン選択器14を備えている。パターン番号発生器1
2の出力は、定常パターン設定器13a、起動パターン
設定器13bを介し、パターン選択器14に個別に接続
されている。
【0025】サイクル番号発生器11、パターン選択器
14には、図示しない織機主軸の回転角、すなわちクラ
ンク角θを示すパルス列信号S1 が分岐入力されるとと
もに、サイクル番号発生器11には、外部からのサイク
ル番号指定信号S2 が入力されている。また、起動パタ
ーン設定器13b、パターン選択器14には、図示しな
い織機制御回路からの起動信号S3 が分岐入力されてい
る。パターン選択器14の出力は、位置指令手段30に
接続され、位置指令手段30には、パルス列信号S1 が
併せ入力されている。
【0026】移動指令手段20は、移動量設定器21、
パルス発振器22を縦続して形成されている。移動量設
定器21には、起動信号S3 が分岐入力されるととも
に、定常パターン設定器13a、起動パターン設定器1
3bの各出力が個別に分岐接続されている。
【0027】位置指令手段30、パルス発振器22の出
力は、オアゲート30aを介して位置制御手段40に接
続されている。位置制御手段40の出力は、駆動モータ
Mに接続されており、位置制御手段40には、駆動モー
タMに連結するエンコーダENからのパルス列信号S5
として駆動モータMの回転量Pf が帰還されている。ま
た、位置制御手段40からは、起動準備完了信号S6 が
織機制御回路に出力されている。
【0028】駆動モータMは、クランク機構52、連結
杆52aを介して綜絖枠51に連結されている。ただ
し、綜絖枠51は、一般に複数枚を組み合わせて使用す
るが、ここでは、その1枚分のみが図示されている。
【0029】サイクル番号発生器11は、パルス列信号
S1 を入力し、クランク角θに基づいてサイクル番号n
(n=1、2…)を特定して出力することができる。な
お、サイクル番号発生器11は、織機主軸を正転させる
とき、織機主軸の1回転ごとにサイクル番号nを1ずつ
加算し、サイクル番号nが織布の組織の1リピートを構
成するサイクル数を超えるとサイクル番号n=1にリセ
ットする。また、織機主軸を逆転するとき、サイクル番
号nを1ずつ減算し、n=0になると、1リピートを構
成するサイクル数にリセットする。ただし、サイクル番
号発生器11は、外部からのサイクル番号指定信号S2
によりサイクル番号n1 が指示されると、サイクル番号
n=n1 に修正し、以下同様の動作を続行する。
【0030】パターン番号発生器12には、サイクル番
号nに対応させてパターン番号Kp(Kp =1、2…)
が記憶されている。パターン番号発生器12は、サイク
ル番号発生器11からのサイクル番号nが与えられる
と、それに対応するパターン番号Kp を出力することが
できる。
【0031】定常パターン設定器13aは、織機の定常
運転時における1サイクルごとの定常パターンKri(i
=1、2…)がパターン番号Kp に対応して記憶されて
おり、パターン番号発生器12からのパターン番号Kp
に対応して定常パターンKriを出力する。また、起動パ
ターン設定器13bは、織機の起動時における起動パタ
ーンKsi(i=1、2…)がパターン番号Kp に対応し
て記憶されており、起動パターンKsiを定常パターンK
riに移行させる起動から所定期間後の移行クランク角θ
c が併せて記憶されている。そこで、起動パターン設定
器13bは、起動信号S3 を入力すると、パターン番号
Kp に対応する起動パターンKsiと、それに付随する移
行クランク角θc とを出力することができる。
【0032】パターン選択器14は、起動信号S3 がな
いとき、定常パターン設定器13aからの定常パターン
Kriを選択して出力し、起動信号S3 を入力すると、起
動パターン設定器13bからの起動パターンKsiを選択
して出力する。また、このときのパターン選択器14
は、起動から所定期間後のクランク角θ=θc において
定常パターン設定器13aからの定常パターンKriを選
択して出力する。ただし、移行クランク角θc は、起動
時のサイクルから1サイクル以上経過した後の特定のサ
イクルのクランク角θ=θc であってもよいものとし、
パターン選択器14は、このような移行クランク角θc
によって特定されるサイクルのクランク角θ=θc に対
応して作動するものとする。
【0033】位置指令手段30は、パターン選択器14
が選択する起動パターンKsi、定常パターンKriに従っ
て駆動モータMを駆動するために、オアゲート30aを
介してクランク角θに対応する目標回転量Po をパルス
列信号S4 として位置制御手段40に出力する。ただ
し、パルス列信号S4 は、目標回転量Po に応じた疎密
のパルス列であり、駆動モータMの停止時にはパルスを
発生しないものとする。
【0034】位置制御手段40は、位置指令手段30か
らのパルス列信号S4 に基づいて駆動モータMを駆動
し、駆動モータMの回転量Pf が目標回転量Po に追従
するように、駆動モータMを回転制御することができ
る。また、位置制御手段40は、パルス発振器22から
のパルス列信号S8 に基づいて駆動モータMを駆動す
る。
【0035】移動量設定器21は、起動信号S3 を入力
すると、定常パターン設定器13aからの定常パターン
Kri、起動パターン設定器13bからの起動パターンK
siを対比し、起動時における綜絖枠51の開口量hを後
者に一致させるために必要な移動調整量Ps を算出し、
作動信号S7 としてパルス発振器22に出力する。パル
ス発振器22は、作動信号S7 を入力すると、移動調整
量Ps に相当するパルス列信号S8 を出力し、織機の起
動に先き立って、綜絖枠51を起動パターンKsiに基づ
く起動時の開口量hにまで駆動することができる。な
お、このときの位置制御手段40は、パルス列信号S8
に基づいて駆動モータMを駆動し、綜絖枠51が起動パ
ターンKsiに基づく開口量hに移動することにより、起
動準備完了信号S6 を織機制御回路に出力する。そこ
で、織機制御回路は、起動準備完了信号S6 により織機
を起動することができる。
【0036】いま、織機が定常運転中であると、サイク
ル番号発生器11は、クランク角θに基づいてサイクル
番号nを特定し、パターン番号発生器12は、サイクル
番号nに対応するパターン番号Kp を出力する(図1、
図2)。ただし、図2は、綜絖枠51を3/1の綾組織
に従って駆動するときの定常パターンKriを例示してい
る。なお、パターン番号Kp は、図2に拘らず、織布の
組織の1リピートTに含まれる複数のサイクルに対し、
同一の定常パターンKriを繰り返して指示し、反覆して
使用させることができ、この場合は、Kp ≠nとなり得
る。
【0037】定常パターン設定器13aは、パターン番
号Kp によって指示される特定の定常パターンKriをパ
ターン選択器14を介して位置指令手段30に送出す
る。そこで、駆動モータMは、位置指令手段30からパ
ルス列信号S4 として出力される目標回転量Po に従っ
て回転駆動され、綜絖枠51を所定の定常パターンKri
に従って開口動作させることができる。なお、定常運転
中は、起動信号S3 が存在せず、起動パターン設定器1
3b、移動量設定器21は、いずれも作動を停止してお
り、パターン選択器14は、定常パターン設定器13a
からの定常パターンKriのみを位置指令手段30に出力
する。
【0038】織機の定常運転中にサイクル番号n=xに
おいて緯入れ不良が発生すると(図3、図4のクランク
角θ=θ2 、以下、単に(θ=θ2 )のように記す)、
織機は、約1サイクルの惰性運転の後、サイクル番号n
=x+1において停止する(θ=θ3 )。ただし、図3
は、x=2の場合を図示している。その後、織機は、逆
転口出し動作(不良緯糸を経糸開口内に口出しするた
め、織機を逆転して綜絖枠51をサイクル番号n=xの
最大開口位置にすることをいう(θ=θ1 ))、不良緯
糸の除去、起動準備(不良緯糸の除去後、さらに織機を
逆転してサイクル番号n=x−1の所定の起動クランク
角θs にすることをいう(θ=θs ))を経て、起動信
号S3 の発生を待って再起動される。なお、この間の綜
絖枠51は、定常運転中と全く同様にして、織機主軸の
逆転に伴い、駆動モータMを介して定常パターンKriに
従って駆動されている。
【0039】起動パターン設定器13bは、織機制御回
路からの起動信号S3 が発生すると、このときのサイク
ル番号n=x−1=1に対応するパターン番号Kp =1
に基づき、起動パターンKsi=Ks1と、それに付随する
移行クランク角θc とを出力することができる。なお、
起動パターンKsiは、織機の停止から起動までの停止時
間中における織り前CFの移動量dや、起動後の最初の
筬打ち時における筬打ち力の不足等に起因する織段を解
消するように、綜絖枠51の開口量hが設定されている
(図3、図5)。
【0040】図5(A)において、織布Fに連なる上下
の経糸Wa 、Wb は、それぞれ別の綜絖枠51を介し、
サイクル番号n=x−1=1に対応する定常パターンK
r1に従って、最初の筬打ち時においてワープラインWL
の上下に開口量h=h1 に開口されているが(同図の一
点鎖線)、このときの織り前CFは、移動量dだけ織布
F側に移動している。一方、筬Rは、筬打ち時におい
て、筬打ち位置BPにまでしか前進しない。そこで、起
動パターンKsi=Ks1は、起動後の最初の筬打ち時にお
いて、開口量h=h2 >h1 として織り前CFを移動量
d1 ≒dだけ経糸Wa 、Wb 側に後退させ(同図(B)
の一点鎖線)、織り前CFを適位置に修正することがで
きる。なお、このような起動パターンKsi=Ks1は、ク
ランク角θ=θs 〜θc において、クランク角θの関数
として開口量hが設定されており(図3)、対応する定
常パターンKri=Kr1、Kr2に対し、最大開口量hm が
大きく設定されている。
【0041】起動パターンKsiは、図3に例示した3/
1の綾組織に対し、起動時のサイクル番号n=x−1=
1、2…4ごとに、たとえば図6(A)〜(D)のよう
に設定すればよい。ただし、同図(A)の起動パターン
Ks1は、図3のそれと全く同一である。
【0042】移動量設定器21は、起動信号S3 ととも
に起動時のパターン番号Kp に基づく定常パターンKr
i、起動パターンKsiを入力し、起動クランク角θs に
おける両者の開口量hが一致するとき(図6(A)、
(B))、移動調整量Ps を出力しない。そこで、この
ときの位置制御手段40は、直ちに起動準備完了信号S
6を出力し、織機を起動させることができる。また、起
動後の綜絖枠51は、クランク角θ=θs 〜θc におい
て起動パターンKsiに従って駆動され、その後、定常パ
ターンKriに移行する。パターン選択器14は、クラン
ク角θ=θs 〜θcにおいて起動パターンKsiを選択
し、その後、定常パターンKriを選択するからである。
【0043】移動量設定器21は、起動時のパターン番
号Kp に基づく定常パターンKri、起動パターンKsiの
起動クランク角θs における開口量hが一致しないとき
(図6(C)、(D))、移動量調整量Ps を出力し、
パルス発振器22、位置制御手段40、駆動モータMを
介して綜絖枠51の開口量hを起動パターンKsiのそれ
に一致させる。位置制御手段40は、綜絖枠51の移動
が完了すると、起動準備完了信号S6 を出力し、織機を
起動させることができる。なお、このときの綜絖枠51
も、クランク角θ=θs 〜θc において起動パターンK
siに従って駆動され、その後、定常パターンKriに移行
する。
【0044】織機の停止原因が経糸切断の場合、織機が
惰性運転後に停止すると(θ=θ3)、クランク角θに
対する同期関係を解除し、駆動モータMを介して綜絖枠
51のみを移動させてすべての経糸Wa 、Wb をワープ
ラインWL上に一致させ、作業者の到着を待った上、経
糸を修復するとともに織り込まれた複数本の緯糸を抜き
取るという作業者による一連の修復作業を行なうことが
あり、このときは、修復作業を終了した状態のサイクル
番号n1 とクランク角θに基づくサイクル番号nとが一
致しないのが普通である。そこで、作業者は、起動信号
S3 を出力して織機を起動させる前に、サイクル番号指
定信号S2 を介して、修復作業を終了した状態のサイク
ル番号n1 をサイクル番号発生器11に入力し、サイク
ル番号発生器11は、サイクル番号n=n1 に修正して
作動することができる。
【0045】
【他の実施の形態】起動パターンKsiは、定常パターン
Kriに対し、最大開口量hm を小さくするように設定す
ることができる(図7)。ただし、図7は、図6(A)
に対応しており、同図(B)〜(C)に対応する他の起
動パターンKsiも、同様に定常パターンKriに対して最
大開口量hm を小さく設定するものとする。起動パター
ンKsiは、起動後の最初の筬打ち時における開口量h=
h2 を小さくすることによって、織機の停止時間中に織
り前CFが経糸Wa 、Wb 側に移動することにより発生
する厚段を有効に防止することができる。
【0046】起動パターンKsiは、起動後の最初の筬打
ち時における上下の経糸Wa 、Wbの開口量h=h2a、
h2bを違わせて設定することができる(図8の一点鎖
線)。緯糸の打込み密度が大きい織物の場合、経糸Wa
、Wb の一方の経糸張力を他方のそれより小さくする
ことにより、緯糸の打込みを容易にして織段を防止する
ことができる。なお、図8において、起動パターンKsi
による上下の開口量h2a、h2bは、定常パターンKriに
よる開口量h1 、h1 に対し、h2a+h2b>h1 +h1
であってもよく、h2a+h2b<h1 +h1 であってもよ
い。
【0047】起動パターンKsiは、定常パターンKriに
対し、ドエル期間θd を変更することができる(図
9)。ただし、同図(A)、(B)は、定常パターンK
riのドエル期間θd =θd1より起動パターンKsiのドエ
ル期間θd =θd2を大きくし、同図(C)、(D)は、
前者より後者を小さくする例である。
【0048】起動パターンKsiは、ドエル期間θd を変
えることにより、最大開口量hm を変更することなく、
起動後の最初の筬打ち時の開口量h=h2 を定常パター
ンKriの開口量h=h1 と異ならせることができる。な
お、このとき、起動パターンKsiは、起動後の綜絖枠5
1の移動速度も変えることができる。
【0049】起動パターンKsiは、定常パターンKriに
対し、閉口時期θk を異ならせてもよい(図10)。た
だし、同図(A)、(B)は、起動パターンKsiの閉口
時期θk を定常パターンKriのそれより早めており、同
図(C)、(D)は、遅らせている。このときの起動パ
ターンKsiは、綜絖枠51の移動速度や開口量hを定常
パターンKriと同一に維持しながら、起動後の最初の筬
打ち時の開口量h=h2 ≠h1 を実現することができ
る。
【0050】なお、起動パターンKsiは、定常パターン
Kriに対し、図6、図7、図9、図10を任意に組み合
わせることにより、綜絖枠51の開口量h、ドエル期間
θd、閉口時期θk の少なくともいずれかを異ならせて
設定することができる。
【0051】起動パターン設定器13bは、外部からの
条件信号S9 に基づき、起動時のパターン番号Kp に対
応させて起動パターンKsiを生成することができる(図
11)。ただし、条件信号S9 は、使用する経糸・緯糸
の種類、緯糸の打込み密度、織布の組織等の製織条件、
織機の停止原因、停止時間等の変動条件の一方または双
方を示し、前者は、たとえば織機制御回路を介して外部
から与えることができ、後者は、たとえば適当な織機モ
ニタシステムを介して検出することができる。
【0052】すなわち、起動パターン設定器13bは、
使用する製織条件ごとに起動パターンKsiを記憶して蓄
積し、条件信号S9 を介して与えられる製織条件に応じ
て、蓄積済みのデータから最適の起動パターンKsiを選
択してもよい。なお、このときの起動パターン設定器1
3bは、製織条件とともに与えられる変動条件を考慮し
て、蓄積済みのデータを適宜修正して最適の起動パター
ンKsiを見出してもよい。
【0053】なお、起動パターン設定器13bは、定常
パターン設定器13aからの定常パターンKriを転送
し、製織条件のみ、または製織条件、変動条件の双方に
基づいて定常パターンKriを修正することにより、起動
パターンKsiを算出してもよい。さらに、起動パターン
設定器13bは、適切な計算方式を確立することによ
り、製織条件、変動条件の一方または双方に基づき、最
適な起動パターンKsiを自動的に演算してもよい。
【0054】起動パターン設定器13bは、織機の停止
から起動までの停止時間中における経糸の伸縮量に関連
するパラメータに対応して起動パターンKsiを設定して
もよい。このときのパラメータは、条件信号S9 によっ
て与えることができ、たとえば、使用する経糸の種類や
経糸張力、織機の停止原因や停止時間などを使用する
他、図示しないセンサによって実測する経糸の伸縮量自
体の実測値を使用することができる。ただし、経糸の伸
縮量以外の条件は、重要度の大きい順に選ぶ1または2
以上を採用すればよい。なお、その場合であっても、織
機の停止から起動までの停止時間は、必ず採用すること
が好ましい。織機の停止時間は、経糸の伸縮量に決定的
な影響を有することがわかっているからである。
【0055】起動パターンKsiは、クランク角θ=θs
〜θc において複数の筬打ちを含むように設定してもよ
い(図12)。ただし、同図は、図3の定常パターンK
riに対する起動パターンKsiの変形例を例示している。
また、同図において、移行クランク角θc は、起動時の
サイクルn=x−1から3サイクル後のサイクルn=x
+2のクランク角θ=θc に設定されている。なお、同
図において、起動後の各筬打ち時における定常パターン
Kri、起動パターンKsiの開口量hの差δhi(i=
1、2…)は、すべて等量に設定してもよく、起動後の
サイクル番号nごとに順に小さく設定してもよい。
【0056】以上の説明において、起動パターンKsi、
定常パターンKriは、クランク角θに対して開口量hを
直線的に変化させるに代え、滑らかな曲線に沿って変化
させてもよい。また、起動パターンKsiに従って綜絖枠
51を駆動するとき、巻取ロール、送出ロールの一方ま
たは双方を駆動し、織り前CFを前後に積極的に移動さ
せてもよい。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、起動パターン設定器、定常パターン設定器と、開口
パターン選択器とを設けることによって、起動パターン
設定器は、適切な起動パターンを設定して起動後の綜絖
枠を駆動させ、織機の停止から起動までの間に織り前が
大きく移動しても、それを適位置に確実に修正すること
ができるから、織機の再起動時に発生する織段を一層有
効に防止することができ、高品質の織布を生産すること
ができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全体構成ブロック系統図
【図2】 動作説明線図(1)
【図3】 動作説明線図(2)
【図4】 織機の動作説明図(1)
【図5】 織機の動作説明図(2)
【図6】 動作説明線図(3)
【図7】 他の実施の形態を示す動作説明線図(1)
【図8】 他の実施の形態を示す図5相当図
【図9】 他の実施の形態を示す動作説明線図(2)
【図10】 他の実施の形態を示す動作説明線図(3)
【図11】 他の実施の形態を示す要部ブロック系統図
【図12】 他の実施の形態を示す動作説明線図(4)
【符号の説明】
Wa 、Wb …経糸 h…開口量 θd …ドエル期間 θk …閉口時期 Kp …パターン番号 Kri…定常パターン Ksi…起動パターン 13a…定常パターン設定器 13b…起動パターン設定器 14…パターン選択器 20…移動指令手段 51…綜絖枠

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 織機の起動時に対応する起動パターンを
    設定する起動パターン設定器と、起動後の定常状態に対
    応する定常パターンを設定する定常パターン設定器と、
    前記起動パターン設定器、定常パターン設定器に接続す
    るパターン選択器とを備えてなり、前記起動パターン設
    定器に設定する起動パターンは、前記定常パターン設定
    器に設定する定常パターンと異なるパターンであり、前
    パターン選択器は、織機の起動時において前記起動パ
    ターン設定器からの起動パターンを選択し、起動から所
    定期間後に前記定常パターン設定器からの定常パターン
    を選択することを特徴とする織機の開口制御装置。
  2. 【請求項2】 前記起動パターン設定器に設定する起動
    パターンは、前記定常パターン設定器に設定する定常パ
    ターンに対し、綜絖枠の開口量、ドエル期間、閉口時期
    の少なくともいずれかが異なることを特徴とする請求項
    1記載の織機の開口制御装置。
  3. 【請求項3】 前記起動パターン設定器は、パターン番
    号ごとに起動パターンを記憶することを特徴とする請求
    項1または請求項2記載の織機の開口制御装置。
  4. 【請求項4】 前記起動パターン設定器は、織機の停止
    から起動までの経糸の伸縮量に関連するパラメータに対
    応して起動パターンを設定することを特徴とする請求項
    1ないし請求項3のいずれか記載の織機の開口制御装
    置。
  5. 【請求項5】 前記起動パターン設定器は、少なくとも
    織機の停止から起動までの停止時間を経糸の伸縮量に関
    連するパラメータとして採用することを特徴とする請求
    項4記載の織機の開口制御装置。
  6. 【請求項6】 起動に先き立って、起動パターンに基づ
    く起動時の開口量にまで綜絖枠を駆動する移動指令手段
    を設けることを特徴とする請求項1ないし請求項5のい
    ずれか記載の織機の開口制御装置。
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