JP3368413B2 - 高Crフェライト系耐熱鋼の製造方法 - Google Patents
高Crフェライト系耐熱鋼の製造方法Info
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系耐熱鋼に関するものであり、さらに詳しくは高温にお
けるクリ−プ破断特性および靭性の優れたフェライト系
Cr含有ボイラ鋼管用鋼の製造方法に関するものであ
る。
させる観点から蒸気条件の高温高圧化が進められ、現行
の超臨界圧条件から中間スッテプを経て超々臨界圧条件
に引き上げる計画が推進されている。このような発電条
件の動向に伴い、ボイラ管等の材料選択において、耐酸
化性と高温強度の観点から現在使用されている2.25
Cr−1Mo鋼では適用が難かしい。一方、オーステナ
イト系耐熱鋼の適用が考えられるが、コストアップ等の
問題がある。したがって、この二者の間に位置する高強
度高靭性のフェライト系耐熱鋼の開発が望まれている。
従来材を大幅に上回る新しい鋼種が開発され提案が行な
われている。これまで9Cr−1Mo鋼および9Cr−
2Mo鋼などの高Crフェライト系耐熱鋼が提案されて
いるが、これらは何れも上記の超々臨界圧蒸気条件では
クリープ破断強度の点から適用が難しい。
れ、(Mo+W)とNb量の関係を定めクリ−プ特性と
靭性の向上を図り、また、クリ−プ強度の向上に最適範
囲のW、Nb添加が有効なことが知られている。しかし
ながら、焼ならし、焼戻し処理に代表される従来の熱処
理方法においては、十分な特性を引き出すことができて
いなかった。
属間化合物の析出による強度・靱性の向上が開示されて
いる。しかし、長時間の熱処理により金属間化合物のみ
ならず炭化物も析出し粗大化するため大幅な強度の向上
は期待できず、靱性の低下も懸念されるとともに、コス
トアップにもつながる。
入れまたは焼ならし後に低温で中間熱処理を行い残留オ
ーステナイトを完全に分解させて、焼もどしで炭窒化物
を分散させ高温強度を向上させる方法が開示されている
が、残留オーステナイトの完全分解のみでは高温強度の
向上は期待できない。
気タービン部材において熱処理により結晶粒界およびマ
ルテンサイトラス境界ならびにマルテンサイトラス内部
に2.5〜7%の析出物を析出させ高温強度を向上させ
る方法が開示されているが、粒界あるいは境界に析出す
る場合は大幅な高温強度の向上は期待できないとともに
靱性の低下が懸念される。
な従来の欠点を改良して、超々臨界圧ボイラなどで使用
できるよう金属組織の構成比を制御することにより、靭
性としてはシャルピー衝撃試験における0℃の衝撃吸収
エネルギーおよびクリープ破断強度を向上させた高Cr
フェライト系耐熱鋼を提供することを目的としている。
成するために、合金成分の最適化をはかり、MoとW量
の添加量を適正化すると同時に、Ni,CoおよびCu
の積極的な利用等により、δフェライトの生成を抑制
し、熱処理条件の適正化により金属組織の構成比を制御
し、高温強度と靭性のすぐれたフェライト系耐熱鋼を提
供するものである。
下、O:0.015%以下に制限し、さらに必要に応じ
てB:0.001〜0.030%を含有し、さらにN
i:0.01〜3.00%、 Co:0.01〜5.0
0%、Cu:0.01〜5.00%の1種以上を含み、
かつ上記成分範囲のCr,Ni,CoおよびCuが Cr−2Ni−2Co−Cu≦9 の関係式を満足し、さらに上記成分範囲の Ni/59+Co/59+N/(Nb+V)≧Mo/9
6+W/184 の関係式を満足し、残部がFeおよび不可避の不純物よ
りなる鋼を熱間加工後、[Ac3 点+50℃]以上に保
定し室温まで降温する焼きならしを行った後、Ac1 点
以上[Ac1 点+40℃]以下の温度範囲で中間熱処理
を行った後、650℃以上730以下の温度範囲で焼戻
しを行うことを特徴とするフェライト系耐熱鋼の製造方
法である。上記鋼において、Ac1 およびAc3 は下記
式によって計算できる。 Ac1 =723+16.9Cr+29.1Si+6.38W−15Mn −250C−250N−60Ni−20Co−15Cu Ac3 =910+50Si+45Mo+40W+120V+400Al −11Cr−30Mn−15Ni−20Cu−100C−5Co
を導入することにより、靭性の優れた高クリープ破断強
度を有する高Crフェライト系耐熱鋼の製造方法を提供
するものである。本発明者らは火力発電ボイラのヘッダ
ー等に使用される高Crフェライト系耐熱鋼の熱処理特
性に着目し、焼ならしと焼戻しの間の中間熱処理の実施
により、中間熱処理後に未焼戻しマルテンサイトを一部
導入することにより、金属組織の構成比を変えてクリー
プ破断強度を向上させることが可能なことを見い出し
た。
ならびに靭性の改善のため、δフェライトが存在しない
マルテンサイト単相組織とするためにCr,Ni,Co
およびC量の適正バランスが規定される。本発明者らは
本発明成分範囲内のCr,Ni,CoおよびCuが、 Cr−2Ni−2Co−Cu≦9 を満足すればδフェライトの生成を抑制してクリープ強
度ならびに靭性を改善できることを見いだした。
6+W/184 の関係式を満足することにより、中間熱処理により、未
焼戻しマルテンサイトを導入できることを見いだした。
とく限定した理由を以下に述べる。焼きならしによる元
素の固溶化の効果を十分に得るために、焼きならしの下
限温度を[Ac3 点+50℃]以上とした。また、マル
テンサイト変態を完全に終了させマルテンサイト単相組
織とするために冷却温度完了を室温とした。
ルテンサイト組織を5%から20%導入すると同時に焼
戻しマルテンサイト中に析出物を析出させるために中間
熱処理の保定温度をAc1 点以上[Ac1 点+40℃]
以下の温度範囲とした。この温度範囲以下の場合、すべ
て焼もどしマルテンサイト組織となり、未焼戻しマルテ
ンサイト組織が導入されず、従来のクリープ破断特性お
よび靱性しか得られない。また、未焼戻しマルテンサイ
トの構成比の増加に伴いクリープ破断強度も向上する
が、この温度範囲以上の場合、未焼戻しマルテンサイト
の構成比が20%を超えて靱性の低下が生じるため、上
限温度を[Ac1 点+40℃]以下とした。
る析出物および金属間化合物を微細にかつ多量に析出さ
せるために650℃以上730℃以下の温度範囲とし
た。
前記のごとく限定した理由を以下に述べる。Cは主にM
C(Mは合金元素を指す、以下も同じ)およびM23C6
型の炭物として析出し、強度及び靭性に大きな影響を及
ぼす。0.01%未満では析出量が少なく、析出強化に
不十分であり、0.15%超では靭性が低下するとも
に、炭化物の凝集粗大化が促進され、高温長時間側のク
リープ破断強度を低下させるので、0.01〜0.15
%に限定する。
のために添加されるが、靭性に悪影響を及ぼす元素であ
る。したがって脱酸,強度,耐酸化性の点から下限を
0.01%とし、靭性の点から上限を0.80%とし
た。Mnは脱酸のためのみでなく強度の改善に必要な元
素であり、最低0.05%以上の添加が必要である。し
かし、過剰な添加は高温強度および靭性を低下させるた
め上限を1.50%とした。
不可欠な元素であり、マトリックス中へM23C6 型炭化
物を析出させる効果を有し、高温強度を高めている。
8.0%未では高温での耐酸化性が不足となり、高温強
度も低下する。一方、13.0%以上ではδフェライト
の抑制が難しくなり、強度と靭性の低下が生じるので、
Cr量を8.0〜13.0%に限定する。
C6 を安定化させ、高温強度をさせる。0.05%未満
では効果が小さく、1.50%超ではδフェライトの生
成を促進すると同時に、M6 CとLaves相の析出お
よび凝集粗大化を促進させるので、0.05〜1.50
%とした。
すると同時に、炭化物の凝集粗大化を抑制し、高温長時
間側のクリープ破断強度を著しく向上させる。最低0.
05%以上が必要であるが、4.0%を越えると、δフ
ェライトと粗大なLaves相が生成しやすくなり、高
温強度と靭性を低下させるため、0.05〜4.0%と
した。
析出し、高温強度を高める。0.05%未満では効果が
不十分であり、0.50%超ではV(C,N)の粗大化
を招くだけではなく、M23C6 として析出しうるC量を
減少させ、高温強度を低下させるので、0.05〜0.
50%に限定する。
高めるとともに、組織微細化の作用により靭性を改善す
るため、最低0.02%が必要である。しかし0.15
%を超えて過剰添加すると、焼きならし温度ではマトリ
ックスに完全に固溶しきれず、十分な強化効果が得られ
ないので、0.02〜0.15%に限定する。
温強度を高める重要な元素の一つである。0.01%以
上の添加により効果を発揮するが、0.11%を超える
と、窒化物の粗大化と靭性の低下をもたらすだけではな
く、製造上も困難となるため、0.01〜0.11%に
限定する。
結晶粒径や機械的性質に大きな影響を及ぼす。0.00
2%未満では脱酸材として不十分で、0.05%超では
クリープ破断強が低下するので、0.002〜0.05
0%に限定する。
悪影響を及ぼすため上限を0.030%とした。Sは靭
性劣化,異方性および再熱割れ感受性の増大の原因とな
るので上限を0.010%とした。Oは靭性に悪影響を
及ぼす酸化物の生成の原因となるので上限を0.015
%とした。
フェライトの生成を抑制する効果を有し、靭性の改善に
も有効であり、最低0.01%が必要である。しかし、
3.00%超では析出物の凝集粗大化をまねき、長時間
側のクリープ破断強度が低下するため上限を3.00%
とした。
の一つである。Coはオーステナイト生成元素であり、
δフェライトの生成を抑制すると同時に、析出物を安定
化させ、高温強度を高める。0.01%未満では効果が
小さく、また5.00%超ではコストが高く、脆化も起
こりやすくなるので、0.01〜5.00%に限定す
る。
フェライトの生成を抑制する。0.01%未満では効果
が小さく、また5.00%超では脆化も起こりやすくな
るので、0.01〜5.00%に限定する。
および薄板の形で提供することも可能であり、熱処理を
施した板を用いて種々の耐熱材料の形状で使用すること
が可能である。また、この発明鋼の熱間加工の例として
圧延が挙げられるが、発明の効果は鍛造等でも変わら
ず、熱間加工の手法にはよらない。
を真空炉で溶解し、熱間圧延にて板厚15mmの板を製造
し、図1,図2および表2に示す条件で熱処理を行っ
た。尚、図1は本発明熱処理方法を、図2は従来熱処理
方法を示す図面である。
部より試験片を採取し、クリープ破断試験および衝撃試
験を実施した。図3は600℃×1 万時間までのデータ
で直線外挿して求めた600℃×10万時間クリ−プ破
断推定強度に与える熱処理条件の影響を示す。本発明方
法で鋼を製造するとクリ−プ破断強度が低下することは
なく、目標値の150MPaを上回っている。
のフェライト系耐熱鋼に比べ、装置の高温化,高圧化に
対応できる高温強度の増大を達成した鋼であり、靭性等
実用上の特性も優れており、超々臨界圧火力発電、原子
力発電など多くの分野への適用ができ、産業界に貢献す
るところが極めて大きい。
度を比較して示す図表である。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で C :0.01〜0.15%、 Si:0.01〜0.80%、 Mn:0.05〜1.50%、 Cr:8.00〜13.00%、 Mo:0.05〜1.50%、 W :0.05〜4.00%、 V :0.05〜0.50%、 Nb:0.02〜0.15%、 Al:0.002〜0.050%、 N :0.010〜0.110% を含有し、 P :0.030%以下、 S :0.010%以下、 O :0.015%以下 に制限し、さらに Ni:0.01〜3.00%、 Co:0.01〜5.00%、 Cu:0.01〜5.00% の1種以上を含み、残部がFeおよび不可避の不純物よ
りなり、かつ上記成分範囲のCr,Ni,CoおよびC
uが、 Cr−2Ni−2Co−Cu≦9 の関係式を満足し、さらに上記成分範囲の Ni/59+Co/59+N/(Nb+V)≧Mo/9
6+W/184 の関係式を満足し、残部がFeおよび不可避の不純物よ
りなる鋼を熱間加工後、[Ac3 点+50℃]以上に保
定し室温まで降温する焼きならしを行った後、Ac1 点
以上[Ac1 点+40℃]以下の温度範囲で中間熱処理
を行った後、650℃以上730以下の温度範囲で焼戻
しを行うことを特徴とするフェライト系耐熱鋼の製造方
法。 - 【請求項2】重量%で C :0.01〜0.15%、 Si:0.01〜0.80%、 Mn:0.05〜1.50%、 Cr:8.00〜13.00%、 Mo:0.05〜1.50%、 W :0.05〜4.00%、 V :0.05〜0.50%、 Nb:0.02〜0.15%、 Al:0.002〜0.050%、 N :0.010〜0.110% を含有し、 P:0.030%以下、 S:0.010%以下、 O:0.015%以下 に制限し、さらに B:0.001〜0.030% を含有し、さらに Ni:0.01〜3.00%、 Co:0.01〜5.00%、 Cu:0.01〜5.00% の1種以上をも含み、残部がFeおよび不可避の不純物
よりなり、かつ上記成分範囲のCr,Ni,Coおよび
Cuが、 Cr−2Ni−2Co−Cu≦9 の関係式を満足し、さらに上記成分範囲の Ni/59+Co/59+N/(Nb+V)≧Mo/9
6+W/184 の関係式を満足し、残部がFeおよび不可避の不純物よ
りなる鋼を熱間加工後、[Ac3 点+50℃]以上に保
定し室温まで降温する焼きならしを行った後、Ac1 点
以上[Ac1 点+40℃]以下の温度範囲で中間熱処理
を行った後、650℃以上730以下の温度範囲で焼戻
しを行うことを特徴とするフェライト系耐熱鋼の製造方
法。
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JP10488796A JP3368413B2 (ja) | 1996-04-25 | 1996-04-25 | 高Crフェライト系耐熱鋼の製造方法 |
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JPH09291308A JPH09291308A (ja) | 1997-11-11 |
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