JP3366153B2 - 塩化ビニル系プラスチゾル組成物 - Google Patents

塩化ビニル系プラスチゾル組成物

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JP3366153B2
JP3366153B2 JP11044495A JP11044495A JP3366153B2 JP 3366153 B2 JP3366153 B2 JP 3366153B2 JP 11044495 A JP11044495 A JP 11044495A JP 11044495 A JP11044495 A JP 11044495A JP 3366153 B2 JP3366153 B2 JP 3366153B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は自動車車体等のシーリン
グ用組成物、アンダーコート用組成物、耐チッピング塗
料等として使用される塩化ビニル系プラスチゾル組成物
に関するものであり、特に、塗料粕の微粉末を充填剤と
して含む塩化ビニル系プラスチゾル組成物に関するもの
である。 【0002】 【従来の技術】従来より、例えば、電着塗装後の自動車
車体の鋼板接合部や鋼板エッジ部等には、それらの部分
を水密または気密しまた防錆性を高めるために、仕上げ
塗装に先立ってシーリング用組成物を塗布し、被覆する
ことが行われている。また、車体のフロア下部やホイル
ハウス等には、防錆性と耐チッピング性の向上のため
に、アンダーコート用組成物や耐チッピング塗料が塗布
されている。 【0003】そして、これらのシーリング用またはアン
ダーコート用組成物、或いは耐チッピング塗料として
は、防錆性に優れ、また比較的厚い塗膜を形成すること
ができ、耐チッピング性にも優れる等の理由から、ま
た、汎用性やコストの点からも、塩化ビニル系のプラス
チゾル組成物が従来から一般に使用されている。このプ
ラスチゾル組成物は、塩化ビニルの単独重合体、または
酢酸ビニル等との共重合体からなる塩化ビニル系樹脂と
可塑剤とを主剤とし、これに充填剤、その他の添加剤等
を配合したものである。 【0004】ところで、このような塩化ビニル系プラス
チゾル組成物は、塩化ビニル系樹脂の結晶性が高いため
に、被塗物に対する塗膜の密着性(接着性)が比較的低
い傾向がある。特に、カチオン型の電着塗装面に対して
は十分な接着性を得ることが困難な傾向にある。そのた
め、このシーリング用等に使用される塩化ビニル系プラ
スチゾル組成物には、それの密着性を向上するために、
添加剤として接着性付与剤が一般に配合されている。 【0005】この接着性付与剤としては、エポキシ樹脂
系、フェノール樹脂系の他にも、ポリアミド系、アクリ
ル系、ブロックイソシアネート系等の種々のものが知ら
れている。そしてこれらの中でも、活性水素(アミノ
基)を含有するアミノ化合物であるポリアミドと、ポリ
イソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック化
剤でブロックしたブロックイソシアネートとを併用した
接着性付与剤は、最も一般に使用されている。このポリ
アミド成分とブロックイソシアネート成分との併用系に
よれば、加熱焼付時の温度でブロック化剤が解離され、
再生されたイソシアネート化合物のイソシアネート基が
ポリアミドの活性水素(アミノ基)と反応し、重合硬化
して接着性を発現する。そのため、カチオン型の電着塗
装面に対しても優れた接着性を示すだけでなく、比較的
低温度の焼付条件で接着性を発現することができると共
にプラスチゾル組成物の貯蔵安定性にも優れている。 【0006】このようなポリアミド成分とブロックイソ
シアネート成分との併用系からなる接着性付与剤を含む
塩化ビニル系プラスチゾル組成物については、例えば、
特開昭56−24435号公報(特公昭63−6103
号公報)に開示されている。そしてここでは、ポリアミ
ド成分としては脂肪酸ダイマーとポリアミンとの反応生
成物(ポリアミドポリアミン)が挙げられ、また、ブロ
ックイソシアネート成分のイソシアネート化合物として
は脂肪族または芳香族ジイソシアネートが挙げられてい
る。また、特公昭59−52901号公報に記載のもの
では、ブロックイソシアネート成分のイソシアネート化
合物は、ポリオールと脂肪族または芳香族ジイソシアネ
ートとのイソシアネート基末端のウレタンプレポリマか
らなっている。更に、例えば、特開昭59−78279
号公報、特開昭59−131669号公報には、ポリア
ミド成分として水酸基を有するアミノ化合物の併用が開
示されている。 【0007】なお、接着性付与剤としてこのポリアミド
成分とブロックイソシアネート成分との併用系を用いる
場合、それらの両成分の配合割合は、ポリアミド成分中
の活性水素(アミノ基)の個数とブロックイソシアネー
ト成分中の(解離後の)イソシアネート基の個数とが等
しくなるような割合、即ち、活性水素とイソシアネート
基とが当量比(モル比)で1:1になるような割合、と
することが原則的である。これによって、プラスチゾル
組成物を塗布し焼付硬化した際、形成された塗膜には未
反応の活性水素(アミノ基)またはイソシアネート基が
理論的には残らないことになる。この活性水素個数とイ
ソシアネート基個数が等しい場合のポリアミド成分とブ
ロックイソシアネート成分との配合重量比は、ポリアミ
ドの活性水素(アミノ基)当量とブロックイソシアネー
トのイソシアネート基当量との比に一致し、更に、56
(水酸化カリウムの分子量)/アミン価×10-3と42
(イソシアネート基の分子量)/イソシアネート含有%
×10-2との比に一般に一致する。ただ、実際には、イ
ソシアネート基は反応性が高く、未反応で塗膜中に残留
することはないので、ポリアミド成分とブロックイソシ
アネート成分との混合割合は、イソシアネート基が少し
だけ多くなるような割合(活性水素が少しだけ少ない割
合)、即ち、活性水素とイソシアネート基とが当量比で
1:1.0〜1.2となるような割合、に調整すること
が一般的である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】このように、自動車車
体等のシーリング用またはアンダーコート用組成物、或
いは耐チッピング塗料としては、塩化ビニル系プラスチ
ゾル組成物が一般に使用されている。そして、このプラ
スチゾル組成物には、接着性付与剤として、活性水素
(アミノ基)を含有するアミノ化合物、具体的にはポリ
アミドと、ブロックイソシアネートとの併用系が一般に
用いられている。 【0009】ところで近年では、資源保護及び環境保護
の観点から、従前ではそのまま廃棄処理されていた種々
の廃棄材料についてもそのリサイクルが再検討され、例
えば、廃棄プラスチック部品等についてはその分別回収
と再利用とが図られている。そして最近では、自動車の
塗装工程で排出される塗料粕についてもそのリサイクル
が図られている。この塗料粕は、自動車の塗装時に付着
しなかった塗料が集積されたもので、一般に塗装ブース
の水洗水からスラッジとして回収される。なお、この塗
料粕が1台の車両の塗装時に生じる量は僅かであるが、
何台もの車両を塗装した場合にはこの塗料粕は比較的多
量に生じるものである。そして、回収された塗料粕は、
粘着性がなくなるように処理または硬化し、また乾燥し
た後、微粉状に粉砕して、塗料粕の乾燥微粉末として再
利用される。 【0010】この塗料粕の微粉末は、プラスチック材料
の充填剤として、既に一部において一般に利用されてい
る。しかし、この塗料粕は種々に着色された塗料の混合
物からなり、また他の不純物も含まれるために、全体が
灰色がかった暗い(汚れた)色調を呈している。そのた
め、この塗料粕の微粉末をプラスチック材料の充填剤と
して利用する場合にも、その用途は自ずと限定されたも
のとなっている。そこで、この塗料粕微粉末を、上記の
シーリング用またはアンダーコート用組成物、或いは耐
チッピング塗料として使用される塩化ビニル系プラスチ
ゾル組成物において、その充填剤の少なくとも一部とし
て利用することが検討された。即ち、これらの組成物ま
たは塗料は外観性が余り問題とならない個所に施され、
また下塗として施されるために、塗料粕の色調は外観上
目立たず、または表面に表れないからである。 【0011】ところが、この塗料粕の微粉末を実際に上
記の塩化ビニル系プラスチゾル組成物に配合して試験し
てみると、これを塗布し、焼付硬化することによって形
成された塗膜には、新たに不具合が生じることが見出だ
された。その一つは、ある程度予測されたことではある
が、塗膜の密着性の低下である。そして、この塗膜の密
着性の低下は、特に、調製したプラスチゾル組成物を長
時間放置した場合に著しくなるものであった。また、も
う一つは、全く予想されなかったことであるが、焼付時
に塗膜の内部に発泡が生じることである。この塗膜の発
泡は、塗膜の密着性の低下についても同様であるが、接
着性付与剤のポリアミド成分とブロックイソシアネート
成分の種類を変えても同様に生じ、また、塗料粕粉の配
合量を多くするほど顕著になるものであった。そして、
このように塗膜に発泡が生じると、シール性、防錆性が
著しく低下し、また耐チッピング性も低下する。 【0012】そのため、塗装工程で排出される塗料粕を
シーリング用等のこの塩化ビニル系プラスチゾル組成物
に有効に再利用するためには、これらの不具合、特に塗
膜の発泡が解決されることが必要である。 【0013】そこで、本発明は、塗膜の発泡と密着性の
低下を防止し、塗料粕を有効に再利用することができる
塩化ビニル系プラスチゾル組成物の提供を課題とするも
のである。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、塩化ビニ
ル系プラスチゾル組成物に塗料粕の微粉末を配合した場
合に生じる上記の塗膜の発泡と接着性の低下について試
験と検討を重ねた結果、その原因は、塗料粕に含まれる
硬化触媒、遊離の酸或いはカルボキシル基等にあり、こ
れらが接着性付与剤の一方の成分であるアミノ化合物
(ポリアミド)の活性水素(アミノ基)と塩またはキレ
ートを作り、その活性が低下または阻害されるためであ
ると推測した。つまり、アミノ化合物の活性が低下また
は阻害されることにより、これと接着性付与剤のもう一
方の成分であるブロックイソシアネートとの重合硬化反
応が抑制され、塗膜の密着性が低下すると共に、焼付時
に解離したイソシアネート基は水分或いはカルボキシル
基と反応してCO2 を発生し塗膜が発泡する、というこ
とである。そこで、本発明者等は、接着性付与剤のアミ
ノ化合物成分とブロックイソシアネート成分との配合割
合に着目して更に試験と検討を重ねた結果、その配合割
合を、アミノ化合物成分中の活性水素(アミノ基)の個
数がブロックイソシアネート中のイソシアネート基の個
数よりも一定の範囲で多くなるような割合とすることに
よって、上記の塗膜の発泡と接着性の低下とが、簡単に
また有効に防止できることを見出だし、また確認した。 【0015】即ち、本発明にかかる塩化ビニル系プラス
チゾル組成物は、塩化ビニル系樹脂及び可塑剤と、塗料
粕の微粉末を含む充填剤と、活性水素を含有するアミノ
化合物成分とブロックイソシアネート成分との併用系か
らなる接着性付与剤であって、そのアミノ化合物成分中
に含まれる活性水素の個数NA とそのブロックイソシア
ネート成分中に含まれるイソシアネート基の個数NI と
の比NA /NI が1.1〜5.0となる割合で混合され
た接着性付与剤とを必須成分とするものである。 【0016】なお、この比NA /NI において、その下
限値は1.2以上であることが好ましく、また1.5以
上であることがより好ましい。また、その上限値は3.
2以下であることが好ましく、また2.5以下であるこ
とがより好ましい。 【0017】 【作用】このように、接着性付与剤におけるアミノ化合
物成分とブロックイソシアネート成分との配合割合を、
アミノ化合物成分中に含まれる活性水素(アミノ基)の
個数NA が、ブロックイソシアネート成分中に含まれる
イソシアネート基の個数NI よりも多くなるような割合
とすることによって、後述の実施例の試験結果のよう
に、塗料粕の微粉末を充填剤として使用する場合の塗膜
の密着性の低下と発泡とを防止することができる。この
理由については、塗膜の密着性の低下と発泡の原因を含
めて、次のように推測される。 【0018】即ち、塗料粕には、樹脂基剤及び顔料の他
にも種々の添加剤が含まれており、例えば、スズ化合物
等のその塗料の硬化のための触媒、ステアリン酸、サリ
チル酸系等の酸性物質が含まれている。また、樹脂基剤
自体にも遊離のカルボキシル基等が含まれている。更
に、塗料粕の微粉末は乾燥されたものではあるが、炭酸
カルシウム等の通常の充填剤に比べて、比較的多くの水
分を含んでいる。 【0019】そのため、アミノ化合物における活性水
素、即ちアミノ基は、それらの触媒や酸等と塩或いはキ
レートを作り、その活性が低下または阻害される。ま
た、そのアミノ化合物自体も、それによって相溶性が悪
化し、組成物中で部分的に偏りを生じる。このように、
塗膜の密着性の低下は、ブロックイソシアネートから解
離したイソシアネート化合物がアミノ化合物と良好に重
合硬化反応できないためであると考えられる。そして、
この傾向は、塗料粕の微粉末の配合量を多くする程、ま
た組成物を調製後長時間放置する程、塗料粕から滲出す
る触媒等の量も多くなるため、より顕著になる。ところ
でまた、イソシアネート基の活性水素に対する反応性
は、一般に、脂肪族NH2 >芳香族NH2 >1級OH>
2 O>2級OH>3級OH>カルボキシル基、の順で
ある。そのため、塗膜の発泡は、上記のようにアミノ化
合物のアミノ基の活性が低下されまたは阻害される結
果、イソシアネート基が塗料粕の水分またはカルボキシ
ル基と反応して、炭酸ガスCO2 を発生するために生じ
るものと考えられる。 【0020】そして、本発明においては、アミノ化合物
成分中に含まれる活性水素(アミノ基)の個数NA がブ
ロックイソシアネート成分中に含まれるイソシアネート
基の個数NI よりも多くされているので、その活性水素
のうちのいくらかの活性が塗料粕に含まれる触媒等によ
り低下または阻害されても、イソシアネート化合物とア
ミノ化合物との重合硬化反応が良好に維持される。即
ち、塗膜の密着性と発泡が抑制され、防止される。 【0021】これは推測ではあるが、塗膜の密着性と発
泡はこのように防止されると考えられ、また試験結果と
も一致する。そのため、アミノ化合物成分中に含まれる
活性水素(アミノ基)の個数NA は、ブロックイソシア
ネート成分中に含まれるイソシアネート基の個数NI よ
りも多くする程、より確実に塗膜の密着性と発泡を防止
することができる。したがって、比NA /NI は、塗料
粕の微粉末の配合量及び接着性付与剤全体の配合量にも
よるが、一般に1.1以上であることが好ましく、1.
2以上であることがより好ましい。更には、1.5以上
であることが最も好ましい。しかし、この比NA /NI
が余り大きく、活性水素(アミノ基)が過剰になると、
未反応のアミノ基またはアミノ化合物が塗膜中に多く残
留することになり、塗膜の耐水性が低下し、密着性が反
って悪化する。そのため、比NA/NI は、一般に5.
0以下であることが好ましく、3.2以下であることが
より好ましい。更には、2.5以下であることが最も好
ましい。 【0022】なお、この比NA /NI を特定の値にする
ためのアミノ化合物成分とブロックイソシアネート成分
の実際の混合割合(重量)は、アミノ化合物成分の活性
水素(アミノ基)当量EA とブロックイソシアネート成
分のイソシアネート基当量EI とから、簡単に求めるこ
とができる。即ち、アミノ化合物成分の重量部をWA、
ブロックイソシアネート成分の重量部をWI とすると、
NA :NI =WA /EA :WI /EI であるから、比N
A /NI の値をkとする場合、比WA /WI はk・EA
/EI (比WI /WA はEI /k・EA )となる。そこ
で、WA とWIのいずれかを先ず決め(一般にはWI
)、次いで他方を計算によって求めればよい。 【0023】なおここで、イソシアネート基当量EI
は、ブロックイソシアネート化合物の推定構造式を基礎
にして算出することができ、42/NCO含有率(重量
%)×10-2に等しい。また、活性水素(アミノ基)当
量EA は、56/アミン価×10-3に一般にほぼ等しい
が、アミノ化合物の種類等によっては大幅に異なる場合
もあるため、より正確には、合成後に得られたアミノ化
合物の推定構造式を基礎にして算出される。なお、これ
らのアミノ化合物成分とブロックイソシアネート成分
は、実際の取扱上においては、可塑剤または溶剤等で稀
釈されたものとして使用される。そこで、配合時の計量
性等の点から、EI とEA は、これらの可塑剤または溶
剤等を含めたものとして算出することもできる。 【0024】以下、本発明にかかるこの塩化ビニル系プ
ラスチゾル組成物の各成分について、詳細に説明する。
ただ、この組成物において、塗料粕の微粉末を充填剤と
して配合し、また、接着性付与剤のアミノ化合物成分と
ブロックイソシアネート成分とを特定の割合で併用する
点以外は、基本的に従来と同じである。 【0025】主剤としての塩化ビニル系樹脂は、塩化ビ
ニルの単独重合体または酢酸ビニル等の他のビニル系モ
ノマとの共重合体であり、これらはそれぞれ単独で、或
いは混合して用いることができる。また、この塩化ビニ
ル系樹脂としてはそのペーストレジンを一般に使用する
ことができるが、これにブレンド用レジン或いは更にそ
の他のレジンを併用することもできる。そして、その具
体的組成または配合は、所望の塗膜性能を得るために適
宜に定めることができるが、ペーストレジンとブレンド
用レジンとを混合して使用する場合、その比率は重量比
で一般に4/1〜2/3が好ましい。なお、この塩化ビ
ニル系樹脂の組成物全体における配合割合は、一般に1
0〜40重量%が好ましく、更には20〜30重量%が
より好ましい。 【0026】また、可塑剤としては、塩化ビニル系樹脂
のプラスチゾルを形成するために一般に使用されている
任意のものを用いることができる。そのような可塑剤と
しては、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタ
ル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル
(DINP)等のフタル酸エステル、ジ−2−エチルヘ
キシルアジペート(DOA)、トリオクチルトリノリテ
ート(TOTN)、セバチン酸エステル、アゼライン酸
エステル等の芳香族及び脂肪族のジ及びトリカルボン酸
エステル、或いはポリエステル、リン酸トリフェニル、
リン酸トリクレシル等のリン酸エステル、エポキシ化大
豆油等のエポキシ系可塑剤、等が挙げられる。そしてこ
れらの可塑剤は、所望のプラスチゾルの粘度、硬化性等
の物性に応じて適宜選択して、また適宜な量で使用する
ことができる。なお、可塑剤は、その一部を有機溶剤等
に変えることができる。そのような溶剤としては、脂肪
族系炭化水素、芳香族系炭化水素等の可塑剤と同程度ま
たはそれ以上の高沸点の溶剤が好ましい。 【0027】充填剤として配合する塗料粕の微粉末は、
前述のように、塗装工程で排出された塗料粕を固化また
は硬化し、また乾燥して、これを微細な粉末状に粉砕し
たものである。そして、その粒子径は、形成される塗膜
の平滑性の点からは小さい程好ましい。しかし、微細に
粉砕することには限界があると共に、製造コストも高く
なる。そのため、この塗料粕の微粉末の粒子径は、一般
に30〜150μm程度が好ましい。また、これの配合
量は任意に定めることができ、多く配合することによっ
て、その分資源と環境の保護に寄与することができる。
ただ、余り多過ぎる配合は、耐チッピング性等を若干低
下させる傾向があるため、好ましくはない。したがっ
て、塗料粕の微粉末は、炭酸カルシウム等の一般に配合
される無機質充填剤の一部として使用されることが好ま
しく、充填剤全体の50重量%以下の割合で、そして組
成物全体の固形分に対して1〜30重量%程度の割合で
配合することが好ましい。しかし、これは限定的なもの
ではなく、塗料粕のリサイクルの観点から、より多くの
配合も可能である。 【0028】また充填剤としては、上記の塗料粕の微粉
末と共に、通常の無機質充填剤を使用することができ
る。それによって、プラスチゾル組成物を増量し、また
その流動性を調整すると共に、形成される塗膜に適度な
強度等の物性を与えることができる。そのような充填剤
としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バ
リウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩及び硫酸塩、マイ
カ、シリカ、タルク、珪藻土、カオリン等を挙げること
ができ、これらは、それぞれ単独で、または適宜組合わ
せて使用することができる。 【0029】接着性付与剤は、活性水素を含有するアミ
ノ化合物成分とブロックイソシアネート成分との併用系
からなる。ここで、アミノ化合物はそのアミノ基によっ
てブロックイソシアネートの解離促進剤として作用する
と共に、硬化剤として作用する。また、アミノ基はカチ
オン電着塗膜上の残存極性基(−NH2 、−OH等)と
の水素結合による密着性をも発現させることができる。
そして、この活性水素を含有するアミノ化合物成分は、
活性水素を含有するものであればどのようなアミノ化合
物またはそれらの混合物であってもよく、例えば、脂肪
族ジアミン、芳香族ジアミン等も挙げることができる。
しかし、脂肪族ジアミン等は揮発性があり毒性もあるた
め、アミノ化合物としては、ポリアミド、代表的には、
リノール酸等の不飽和脂肪酸を熱重合したダイマー酸ま
たはトリマー酸等の重合脂肪酸とポリアミンとの反応生
成物であるポリアミドポリアミン、が好ましい。また、
このようなポリアミドによれば、配合当量が多いため、
秤量が容易であり、またプラスチゾル組成物中に均一に
配合し易くなる。 【0030】また、ブロックイソシアネートは、分子中
にイソシアネート基を一般に2または3以上有する化合
物を、ブロック化剤でブロックしたものである。このポ
リイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシア
ネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の
脂肪族ジイソシアネート、水添TDI、イソホロンジイ
ソシアネート、水添MDIなどの脂環式ジイソシアネー
ト等が挙げられる。そして、これらは単独で使用するこ
ともできるが、単独では蒸気圧も高いため、そのビュー
レット体またはイソシアネート体として、更には、多価
アルコール等との付加体(アダクト体)として使用する
ことが好ましい。 【0031】また、ポリイソシアネート化合物としてよ
り好ましいのは、TDI等のジイソシアネートまたはポ
リイソシアネートを、ポリエーテルポリオール、ポリエ
ステルポリオール、ポリマーポリオール等のポリオール
と反応させて得られるイソシアネート基末端のウレタン
プレポリマである。これによれば、安定性がよく、また
カチオン型電着塗装面に対して優れた接着性を有する。
なお、これの分子量は、その重合度を変えることによっ
て、プラスチゾル組成物に対する相溶性を損なわない範
囲で適宜に調整することができ、一般に600〜250
0程度が好ましい。 【0032】また、これらのイソシアネート化合物のブ
ロック化剤としては、メチルエチルケトオキシム(ME
KO)等のケトオキシム、アセチルアセトン、アセト酢
酸エステル等の活性メチレン化合物、ε−カプロラクタ
ム等のラクタム類、或いはオキシベンゾイックアシッド
エステル、アルキルフェノール等を使用することができ
る。そして、これらの中でも、MEKOは最も代表的で
あり、またp−オキシベンゾイックアシッド−2−エチ
ル−ヘキシルエステルまたはノニルフェノールは、塩化
ビニル系樹脂、可塑剤との相溶性がよいため特に好まし
い。 【0033】そして、これらの活性水素を含有するアミ
ノ化合物成分とブロックイソシアネート成分とからなる
接着性付与剤は、それらの種類及び当量等に応じて、任
意の割合で添加することができる。一般には、組成物全
体に対して0.1〜10重量部の割合である。 【0034】なお、これらの成分からなる塩化ビニル系
プラスチゾル組成物には、従来と同様に、水分吸収剤、
タレ止め剤、レベリング剤、顔料、その他の添加剤を適
宜に添加し、配合することができる。 【0035】水分吸収剤としては、一般に、酸化カルシ
ウムCaOを使用することができる。そして、これを添
加することによって、炭酸カルシウム等の充填剤や塩化
ビニル系樹脂に含まれる残存水分を捕捉して、焼付時の
塗膜の発泡を防止することができる。また、プラスチゾ
ル組成物が塗布後に放置された場合等において、吸湿に
よる焼付時の塗膜の発泡を防止することができる。更
に、塗料粕中に比較的多く含まれる水分も、この水分吸
収剤によって吸収することができる。 【0036】またタレ止め剤は、他の成分とのバランス
を取りながら組成物の粘度(チキソ性)を調整して、塗
布膜のタレを防止するために使用され、コロイド状の超
微粒子炭酸カルシウム、微粒子シリカ等を、充填剤を兼
ねて好適に使用することができる。他方、レベリング剤
は塗布膜のレベリング性を向上するために使用され、例
えばシリコン樹脂、或いは、高粘度型または低粘度型の
ダイマー酸変性エポキシ樹脂等を使用することができ
る。ただし、これを余り多く添加するとタレ性が悪化す
る。また、顔料としては任意の顔料を使用することがで
きるが、塗料粕の微粉末が暗色であるため、有彩色の顔
料は不向きであり、体質顔料を兼ねたカーボンブラック
等が好ましい。更に、その他の添加物としては、エポキ
シ系安定剤、金属石ケン類、鉛等の金属の無機酸塩類、
有機金属化合物等のプラスチゾル安定剤、有機ベントナ
イト等の増粘剤等が挙げられ、これらも必要に応じて使
用することができる。 【0037】そして、このような塩化ビニル系プラスチ
ゾル組成物は、例えば、スプレーガン、吐出ガン等を使
用して、任意の厚さ及び塗布形態で車体等の被塗物表面
に塗布することができる。ただし、塗料粕が比較的大き
な粒子であるため、その厚さは比較的厚いことが好まし
く、平滑な塗膜を形成するためには500μm以上であ
ることが好ましい。そして、塗布したプラスチゾル組成
物の焼付硬化は、塗布膜の厚さ等にもよるが、例えば、
80〜150℃またはそれ以上の温度で仮焼付した後、
中塗塗料または上塗塗料の焼付乾燥と合わせて行うこと
ができる。 【0038】 【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明する。 【0039】図1乃至図3は本発明の実施例と比較例の
塩化ビニル系プラスチゾル組成物の配合組成と評価試験
結果とを示す表図である。ただし、図1にはそれらの実
施例及び比較例の一部だけを示し、また、全部の実施例
及び比較例をそれぞれ示す図2及び図3では、主要な成
分(塗料粕微粉末と接着性付与剤)の配合組成のみを示
し、その他の成分の記載を省いている。 【0040】〔組成物の調製〕図1乃至図3に示す配合
(重量部)で、本発明の実施例1乃至実施例12の塩化
ビニル系プラスチゾル組成物を調製した。また対比のた
めに、比較例1乃至比較例11の塩化ビニル系プラスチ
ゾル組成物も合わせて調製した。このプラスチゾル組成
物は、具体的には、アンダーコート用組成物として適用
されるもので、自動車車体の電着塗装塗膜と中塗塗装塗
膜との間に、耐チッピング性と防錆性を向上するために
施される。ただしここでは、主に評価試験を目的とする
ために、通常では使用されるタレ止め剤、レベリング剤
等の添加剤の配合は省略した。 【0041】図1のように、これらの実施例及び比較例
の塩化ビニル系プラスチゾル組成物は、いずれも塩化ビ
ニル系樹脂、可塑剤、充填剤、添加剤を含み、これらは
各実施例及び比較例において同じ配合割合で配合されて
いる。即ち、塩化ビニル系樹脂は20重量部、可塑剤は
25重量部、充填剤は30重量部、添加剤は4重量部で
ある(図2及び図3では、これらの成分の記載は省かれ
ている。)。 【0042】ここで、塩化ビニル系樹脂としては、具体
的には、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体からなるペ
ーストレジン(『ゼオン38J』日本ゼオン社製)10
重量部と、同じく塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体か
らなるブレンド用レジン(『ゼオン121』日本ゼオン
社製)10重量部との等量混合物を使用した。可塑剤と
しては、DINP(フタル酸ジイソノニル)を使用し
た。充填剤としては、コロイダル炭酸カルシウム(『カ
ルシーズP』神島化学社製)15重量部と重質炭酸カル
シウム(『NS−100』日東粉化工業)15重量部と
の等量混合物を使用した。なお、このコロイダル炭酸カ
ルシウムはタレ止め剤として兼用されている。また添加
剤は、水分吸収剤である酸化カルシウム(CaO)3重
量部と、鉛系安定剤1重量部とからなっている。 【0043】そして、本実施例では、このような塩化ビ
ニル系プラスチゾル組成物に対して、塗装工程で排出さ
れた塗料粕の乾燥微粉末である塗料粕微粉末を、充填剤
として更に配合している。この塗料粕微粉末は、具体的
には、自動車車体の中上塗り塗装工程で排出される中上
塗塗料(アクリル−メラミン系)を主成分とするもの
で、その塗装工程で洗浄水と共に排出された塗料粕のス
ラッジを乾燥硬化後、微細に粉砕したものであり、平均
粒子径は約30〜50μmである。そしてこの塗料粕微
粉末は、各実施例において、配合量を変えて配合されて
いる。即ち、実施例1では4重量部、実施例3と実施例
9では14重量部、その他の実施例では9重量部であ
り、これらは、組成物全体の約5重量%、約14重量
%、及び約10重量%にそれぞれ相当する。また、比較
例においては、従来例に相当する比較例1では無配合と
し、比較例2では4重量部、比較例4では14重量部、
その他の比較例では9重量部それぞれ配合している。 【0044】また、接着性付与剤として、ブロックイソ
シアネート成分と、活性水素(アミノ基)を含有するア
ミノ化合物であるポリアミド成分との2成分からなる併
用系を使用している。ここで、ブロックイソシアネート
としては、イソシアネート基当量の異なる3種類のウレ
タン系ブロックイソシアネート(ブロックウレタンプレ
ポリマ)、即ち、ジイソシアネート化合物とポリオール
とのプレポリマからなり末端にイソシアネート基を有す
るウレタンプレポリマをブロック化剤でブロックしたブ
ロックイソシアネート、が使用されている。そして、ブ
ロックイソシアネートAはイソシアネート基当量が37
0(NCO含有量11.35%)、ブロックイソシアネ
ートBはイソシアネート基当量が900(NCO含有量
4.67%)、ブロックイソシアネートCはイソシアネ
ート当量が1390(NCO含有量3.02%)であ
る。また、ポリアミドとしては、活性水素(アミノ基)
当量が異なる3種類のポリアミド、即ち、リノール酸等
の不飽和脂肪酸のダイマーまたはトリマー等の多塩基酸
と、脂肪族ジアミン等のポリアミンとの反応生成物から
なるポリアミドまたはその変性物、が使用されている。
そして、ポリアミドAは活性水素当量が350、ポリア
ミドBは活性水素当量が150、ポリアミドCは活性水
素当量が94である。 【0045】これらのブロックイソシアネート成分とポ
リアミド成分とは、添加量と組合せを変えて配合されて
いるが、各実施例においては、ブロックイソシアネート
成分中に含まれるイソシアネート基(ブロック化剤でブ
ロックされているが、その解離後のイソシアネート基)
の個数NI よりも、ポリアミド成分中に含まれる活性水
素(アミノ基)の個数NA の方が多くなるような割合で
配合されている。即ち、これらの個数比NA /NI は、
図2のように、実施例1では1.1、実施例2では1.
2、実施例3では1.5、実施例4では1.4、実施例
5では1.5、実施例6では1.6、実施例7では1.
5、実施例8では2.0、実施例9では2.0、実施例
10では2.5、実施例11では3.2、そして実施例
12では5.0である。 【0046】なお、個数NI とNA は、ブロックイソシ
アネート成分の配合重量をWI (g)、ポリアミド成分
の配合重量をWA (g)とすれば、それぞれ「WI /使
用するブロックイソシアネートのイソシアネート基当
量」、「WA /使用するポリアミドの活性水素当量」で
ある。したがって、個数比NA /NI は、「WA /WI
・イソシアネート基当量/活性水素当量」に等しい。 【0047】また、比較例は従来の一般的な配合に従っ
たものであり、図3のように、個数比NA /NI がいず
れも1.0またはそれ以下となる割合で、ブロックイソ
シアネート成分とポリアミド成分とが配合されている。 【0048】そして、以上の成分材料の配合からなる各
実施例及び比較例の塩化ビニル系プラスチゾル組成物の
調製は、プラネタリーミキサを用いて材料を均一に混合
した後、60分間真空脱泡撹拌することによって行っ
た。 【0049】[評価試験]次いで、以上の配合で調製し
た実施例1〜12及び比較例1〜11の各プラスチゾル
組成物について、塗膜の密着性と焼付時の発泡性に関す
る評価試験を行った。 【0050】〈密着性〉塗膜の密着性については、調製
した各実施例及び比較例のプラスチゾル組成物を実質的
に放置しないで、直ちに塗布し焼付して形成した塗膜の
場合(「ゾル調製直後」)と、そのように形成した塗膜
を温水中に長時間浸漬した後の塗膜の場合(「温水浸漬
後」)と、調製した各実施例及び比較例のプラスチゾル
組成物を長時間(7日間)放置した後、塗布し焼付して
形成した塗膜の場合(「ゾル放置後」)とについて、そ
れぞれ評価試験を行った。これらの試験は、具体的には
次のものである。 【0051】「ゾル調製直後」・・・予めカチオン型の
電着塗装を施した金属板を試験片とし、この試験片の表
面に、調製した各実施例及び比較例のプラスチゾル組成
物を実質的に放置することなく、直ちに幅20×長さ5
0×厚さ3mmに塗布し、次いで130℃×20分間加
熱して、焼付を行った。その後室温に一晩放置して放冷
した後、爪で塗膜を剥がす爪剥離試験を行い、その塗膜
の剥れの状態から電着塗装面に対する密着性を調べて評
価した。 【0052】「温水浸漬後」・・・上記と同様に、各実
施例及び比較例のプラスチゾル組成物を試験片に塗布
し、焼付した後、形成された塗膜を40℃の温水に10
日間浸漬した。そして、この温水浸漬試験後の塗膜につ
いて、同様の爪剥離試験を行い、その密着性を評価し
た。 【0053】「ゾル放置後」・・・調製した各実施例及
び比較例のプラスチゾル組成物を、容器中に密閉した状
態で、40℃の雰囲気下で7日間放置した。そして、そ
れらの組成物を上記と同様に試験片に塗布し焼付した
後、形成された塗膜の爪剥離試験を行い、その密着性を
評価した。 【0054】なお、密着性の評価基準は以下のとおりで
ある。 ○:完全な凝集破壊。 △:部分的に界面破壊が生じる痕跡破壊。 ▽:凝集破壊が部分的である痕跡破壊。 ×:完全な界面破壊。 【0055】ここで、凝集破壊はそのプラスチゾル組成
物の塗膜が電着塗装面に凝着して、爪で剥離しても剥れ
ないことであり、また、界面破壊はその塗膜が爪で剥離
した場合に電着塗装面との界面から剥がれることであ
る。したがって、塗膜の密着性は、凝集破壊である場合
が良好であり、また、界面破壊である場合が不良であ
る。この塗膜の密着性に関する評価試験結果を、図1乃
至図3に合わせて示す。 【0056】〈焼付時発泡性〉また、焼付時発泡性につ
いては、上記の密着性の場合と同様にカチオン型の電着
塗装を施した金属板を試験片とし、この表面に調製した
各実施例及び比較例のプラスチゾル組成物を幅20×長
さ50×厚さ5mmに塗布し、次いでオーブン中で16
0℃×90分間加熱し、焼付を行った。なお、この加熱
条件は、塗布後のプラスチゾル組成物の塗膜がその後の
中塗塗装または上塗塗装の焼付乾燥時に受ける加熱条件
の最大条件を想定したものである。そして、これを室温
に一晩放置して放冷した後、塗膜を表面と直角に切断
し、塗膜内部の発泡の有無を目視にて観察して発泡性の
評価を行った。 【0057】この焼付時の塗膜の発泡性の評価基準は、
以下のとおりである。 ○:発泡がない(異常なし)。 △:微細な発泡が僅かに有る。 ▽:微細な発泡が多く有る。 ×:発泡が有る。 この焼付時の発泡性の評価試験の結果を、図1乃至図3
に合わせて示す。 【0058】〔試験結果〕図3のように、比較例1は従
来の一般的な塩化ビニル系プラスチゾル組成物であり、
接着性付与剤のブロックイソシアネート成分とポリアミ
ド成分とはNA /NI が1.0となる割合で配合された
ものであるが、これによれば、密着性と焼付時発泡性と
は共に良好である。しかし、これに塗料粕微粉末を配合
した場合には、比較例2乃至比較例4のように、塗膜の
密着性が低下すると共に、焼付時に塗膜に発泡が生じ
る。そして、この傾向は、塗料粕微粉末の配合量が多い
程増大することが分かる。またこの傾向は、ブロックイ
ソシアネート成分とポリアミド成分との種類を変えた比
較例5乃至比較例11においても同様であり、しかも、
NA /NI の値が小さくなる程増大している。 【0059】これらの比較例に対して、ポリアミド成分
の配合を増加した実施例1乃至実施例12では、いずれ
も塗膜の密着性と発泡性に関して良好な結果が得られて
いる。例えば、実施例1を比較例2と対比すれば、ポリ
アミド成分の配合を増加しNA /NI を1.1とするこ
とによって、ゾル放置後の塗膜の密着性が向上すると共
に、塗膜の発泡が完全に防止されている。そして、これ
らの結果から、塗料粕微粉末を配合した場合に生じる塗
膜の密着性の低下と塗膜の発泡とは、ブロックイソシア
ネート成分とポリアミド成分とからなる接着性付与剤に
おいて、そのポリアミド成分中に含まれる活性水素(ア
ミノ基)個数NA とブロックイソシアネート成分中に含
まれるイソシアネート基個数NI との比NA /NI が
1.1以上となる割合で配合することによって、容易に
防止できることが分かる。 【0060】また、各実施例の相互の対比から、この比
NA /NI の値が大きい程、特に塗膜の発泡を防止する
上ではより好ましいことも分かり、1.2以上であるこ
とがより好ましく、1.5以上であることが最も好まし
い。しかし、この比NA /NI の値が余り大きく、NA
の絶対量が過剰になると、実施例10及び実施例11の
ように、温水浸漬後の塗膜の密着性が低下する傾向が見
られる。そのため、NA /NI は、5.0以下であるこ
とが好ましく、また、3.2以下がより好ましく、最も
好ましいのは2.5以下であることが分かる。なお、実
施例7ではゾル放置後の密着性が僅かに低いが、これは
ポリアミド成分の配合量が少なく、NAの絶対量が比較
的少ないためと考えられる。また、実施例9で温水浸漬
後の密着性が僅かに低いのは、逆にNA の絶対量が比較
的多いためと考えられる。 【0061】なお、本発明の塩化ビニル系プラスチゾル
組成物について、自動車車体のアンダーコート用組成物
として具体化した実施例を比較例と共に説明したが、本
発明を実施する場合には、この例に限定されるものでは
なく、塩化ビニル系樹脂、可塑剤、充填剤等の成分の種
類と配合割合は種々に変更することができる。また、ア
ンダーコート用組成物としてだけでなく、鋼板接合部等
のシーリング用組成物、或いは耐チッピング塗料組成物
等としても、好適に適用することができる。更に、これ
らのプラスチゾル組成物は自動車車体だけでなく、例え
ば、鉄道等の自動車以外の車両、或いは家電機器等にも
有利に適用することができる。 【0062】 【発明の効果】以上のように、本発明にかかる塩化ビニ
ル系プラスチゾル組成物は、塩化ビニル系樹脂及び可塑
剤と、充填剤全体の50重量%以下で、微粉末粒子径が
30〜150μm程度の塗料粕の微粉末を含む充填剤
と、活性水素を含有するアミノ化合物成分と、ビューレ
ット体、イソシアネート体、多価アルコールとの付加体
(アダクト体)の何れかからなるブロックイソシアネー
ト成分との併用系からなる接着性付与剤であって、前記
アミノ化合物成分中に含まれる活性水素の個数NAと前
記ブロックイソシアネート成分中に含まれるイソシアネ
ート基の個数NI との比NA /NI が1.2〜5.0と
なる割合で配合された接着性付与剤とを必須成分とする
ものである。 【0063】したがって、接着性付与剤の活性水素を含
有するアミノ化合物成分とブロックイソシアネート成分
とが、NA /NI が1.2〜5.0となる割合で配合さ
れているので、塗料粕の微粉末を配合した場合に生じる
塗膜の発泡と密着性の低下を防止することができる。そ
のため、塗装工程で排出される塗料粕を充填剤全体の5
0重量%以下で有効に再利用することができ、それによ
って、資源と環境の保護に資することができる。更に、
微粉末粒子径が30〜150μm程度と塗料粕の微粉末
を使用することにより、製造コストを高くしないという
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】 【図1】 図1は本発明の実施例1〜3及び比較例1〜
4の塩化ビニル系プラスチゾル組成物の組成と評価試験
結果とを示す表図である。 【図2】 図2は本発明の実施例1〜12の塩化ビニル
系プラスチゾル組成物の主要成分の組成と評価試験結果
とを示す表図である。 【図3】 図3は比較例1〜11の塩化ビニル系プラス
チゾル組成物の主要成分の組成と評価試験結果とを示す
表図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 稔久 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 中島 光夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−24435(JP,A) 特開 昭53−61627(JP,A) 特開 昭54−39438(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/06 C08L 75/02 C09D 127/06

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂及び可塑剤と、充填剤全体の50重量%以下で、微粉末粒子径が30〜
    150μm程度の 塗料粕の微粉末を含む充填剤と、 活性水素を含有するアミノ化合物成分と、ビューレット
    体、イソシアネート体、多価アルコールとの付加体(ア
    ダクト体)の何れかからなるブロックイソシアネート成
    分との併用系からなる接着性付与剤であって、前記アミ
    ノ化合物成分中に含まれる活性水素の個数NA と前記ブ
    ロックイソシアネート成分中に含まれるイソシアネート
    基の個数NI との比NA /NI が1.2〜5.0となる
    割合で配合された接着性付与剤とを必須成分とすること
    を特徴とする塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
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