JP3365207B2 - 真空蒸着装置 - Google Patents

真空蒸着装置

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JP3365207B2
JP3365207B2 JP12950496A JP12950496A JP3365207B2 JP 3365207 B2 JP3365207 B2 JP 3365207B2 JP 12950496 A JP12950496 A JP 12950496A JP 12950496 A JP12950496 A JP 12950496A JP 3365207 B2 JP3365207 B2 JP 3365207B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子フィルムに
薄膜を形成する真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の磁気記録分野においては、高記録
密度化、小型化とともに省資源、低コスト化などの時代
要請があり薄膜磁性層を持つ高密度磁気記録媒体の応用
範囲が広がっている。
【0003】現在、高密度磁気記録媒体の製法の一つと
して、円筒キャンに高分子フィルムを沿わせて酸素ガス
を介在介入させながら磁性材料を電子ビームで蒸着する
斜め蒸着法がある。しかし、この方式では、蒸発した磁
性材料のごく一部しか高分子フィルム上に付着させるこ
とができず、省資源、高生産性の観点から蒸発物の付着
効率を改善する方法として、高分子フィルムを円筒キャ
ンでなくエンドレスキャリアベルトにより搬送する方式
が試みられてきた。
【0004】以下に従来の蒸着装置について説明する。
図3は従来の真空蒸着装置の構造を示すものであり、特
開平6−145982号公報、特開平6−231457
号公報に開示されている。図3において、1は高分子フ
ィルム、2,3は冷却ローラ、4はエンドレスキャリア
ベルト、5は耐火容器、6は蒸発材料、7は蒸気流、8
は電子ビーム、9はマスクである。
【0005】以上のように構成された真空蒸着装置につ
いて、以下その動作について説明する。
【0006】まず、加速された電子ビーム8により蒸発
材料6を加熱し蒸気流7を生じせしめる。この蒸気流は
磁気テープの製造時によく用いられる高分子フィルム1
への入射角度を限定するマスク9により一部さえぎられ
移動する高分子フィルム1に付着する。高分子フィルム
1は蒸発材料6の輻射熱及び蒸気流7の持つ熱によって
耐熱温度以上に温度上昇しないようにエンドレスキャリ
アベルト4に沿わせることにより冷却し、更に、エンド
レスキャリアベルト4を冷却ローラ2、3に密着させる
ことにより冷却させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来の構成では、冷却ローラとエンドレスキャリアベルト
を密着させて冷却しているが、一般的に冷却ローラとエ
ンドレスキャリアベルトは金属であり、完全に密着せず
にエンドレスキャリアベルトの冷却が不十分になり磁気
テープの性能に影響があった。また、エンドレスキャリ
アベルトのつなぎ部分、使用による経時劣化での形状変
化、また蒸着処理の時間の経過と共に蒸発材料6の輻射
熱及び蒸気流7の持つ熱によってエンドレスキャリアベ
ルトの幅方向の形状変形等で、エンドレスキャリアベル
トと冷却ローラに隙間が大きくなり、エンドレスキャリ
アベルトの冷却効率が低下して温度が上昇し、高分子フ
ィルムが耐熱温度以上の温度となって劣化変形したり溶
断するなどの問題点があった。
【0008】本発明は、上記従来の問題点を解決するも
ので、高付着効率で長尺の蒸着ができる巻取り式真空蒸
着装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明の真空蒸着装置は、真空槽内で高分子フィル
ムを搬送するエンドレスキャリアベルトに直接冷却媒体
を密着させることにより、エンドレスキャリアベルトの
冷却効率を上げることを特徴としたものである。
【0010】または、真空槽内で高分子フィルムを搬送
するエンドレスキャリアベルトと冷却ローラの隙間にゲ
ル状態の物質を介在させることにより、エンドレスキャ
リアベルトと冷却ローラの伝熱面積を広げエンドレスキ
ャリアベルトの冷却効率を上げることを特徴としたもの
である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、真空槽内で、高分子フィルムを搬送するエンドスレ
キャリアベルトを使用した蒸着装置において、エンドレ
スキャリアベルトを直接冷却媒体に接触させながら冷却
する機能を有することを特徴とする真空蒸着装置とした
ものであり、これにより、エンドレスキャリアベルトの
冷却効果を上げ蒸着中の高分子フィルムの温度上昇を低
く抑えることができ、長尺の蒸着が可能な巻取り式真空
蒸着装置を実現できるものである。
【0012】以下本発明の実施の形態について、図1か
ら図2を用いて説明する。 (実施の形態1)図1は本発明における真空蒸着装置の
構造を示すものである。図1において、1は高分子フィ
ルム、2,3は冷却ローラ、4はエンドレスキャリアベ
ルト、5は耐火容器、6は蒸発材料、7は蒸気流、8は
電子ビーム、9はマスク、10はゲル状の冷却媒体であ
る。
【0013】以上のように構成された真空蒸着装置につ
いて、その動作を説明する。まず、加速された電子ビー
ム8により蒸発材料6を加熱し蒸気流7を生じせしめ
る。この蒸気流は磁気テープの製造時によく用いられる
高分子基板1への入射角度を限定するマスク9により一
部さえぎられ、エンドレスキャリアベルト4に密着して
移動する高分子フィルム1に付着する。エンドレスキャ
リアベルト4の内側には、冷却媒体10を塗布してある
ために、エンドレスキャリアベルト4の使用による劣
化、熱等による変形のため、冷却ローラ2,3との間に
隙間が生じても、その隙間にゲル状物質の媒体があるた
めにエンドレスキャリアベルト4の熱伝面積が広がり冷
却効果は得られる。
【0014】ゲル状物質としてシリコングリスをエンド
レスキャリアベルト4の内側に塗布した実施の形態1に
よる真空蒸着装置と従来の真空蒸着装置の比較を、高記
録密度に適した蒸着磁気テープを試作することにより比
較した。
【0015】高分子フィルム厚み6μm、長さ5000
mのポリエチレンテレフタレートフィルムを120m/
分の速度で移動させ、この高分子フィルム上にCo80
%−Ni20%からなる厚さ0.2μmの磁性層を形成
するという試作を行った。
【0016】その結果、比較例では蒸着開始後5〜10
分後にエンドレスキャリアベルトが変形し、8〜15分
後にポリエチレンテレフタレートフィルムが温度上昇に
より溶断した。
【0017】それに対し、本実施の形態1では、41分
間でポリエチレンテレフタレートの溶断は生じなかった
が、テープ長手方向で性能にバラツキが生した。
【0018】以上のように本実施の形態1によれば、エ
ンドレスキャリヤベルトと冷却ローラ間にゲル状物質を
塗布することにより、従来の蒸着装置よりエンドレスキ
ャリアベルトの冷却効率は改善された。
【0019】(実施の形態2)次に本発明の実施の形態
2について図面を参照しながら説明する。図2におい
て、1は高分子フィルム、2,3は冷却ローラ、4はエ
ンドレスキャリヤベルト、5は耐火容器、6は蒸発材
料、7は蒸気流、8は電子ビーム、9はマスク、11は
高熱伝導物の粉とゲル状物の混合物媒体である。
【0020】以上のように構成された真空蒸着装置につ
いて、以下その動作について説明する。
【0021】まず、加速された電子ビーム8により蒸発
材料6を加熱し蒸気流7を生じせしめる。この蒸気流は
磁気テープの製造時によく用いられる高分子基板1への
入射角度を限定するマスク9により一部さえぎられ、エ
ンドレスキャリヤベルト4に密着して移動する高分子フ
ィルム1に付着する。このときの蒸発材料6からの輻射
熱、また、使用によるエンドレスキャリアベルト4の劣
化等による変形のため、従来は冷却ローラ2,3との間
に隙間が生じエンドレスキャリアベルト4の冷却効率が
悪化するがその隙間にゲル状態の高熱伝導率の媒体が介
在するために、エンドレスキャリアベルト4と冷却ロー
ラ2,3の伝熱面積は変化せずにエンドレスキャリアベ
ルト4の冷却効果は得られる。
【0022】実施の形態2では、ゲル状態の高熱伝導率
の媒体は、シリコングリスと銅粉を1:3に混合させた
物をエンドレスキャリアベルト4の内側に塗布すること
により、実施の形態1と同様の蒸着条件で処理を行った
結果、蒸着処理時間41分以上、処理長5000mの長
尺の蒸着が可能となり、性能面でも問題ないテープが生
産できた。
【0023】
【発明の効果】以上のように本発明は、真空槽内に、高
分子フィルムを搬送するエンドレスキャリアベルトと冷
却ローラの間に液体冷却媒体、高熱伝導物の粉とゲル状
物の混合物を介在させることにより、エンドレスキャリ
アベルトの冷却効果を上げ蒸着中の高分子フィルムの温
度上昇を低く抑えることができ、長尺の蒸着が可能な巻
取り式真空蒸着装置を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における真空蒸着装置の
構成図
【図2】本発明の実施の形態2における真空蒸着装置の
構成図
【図3】従来の真空蒸着装置の構成図
【符号の説明】
1 高分子フィルム 2,3 冷却ローラ 4 エンドレスキャリアベルト 5 耐火容器 6 蒸発材料 7 蒸気流 8 電子ビーム 9 マスク 10 ゲル状態の媒体 11 高熱伝導物の粉とゲル状物の混合物媒体
フロントページの続き (72)発明者 嶋崎 智章 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−150083(JP,A) 特開 平6−145982(JP,A) 特開 昭62−83466(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 15/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽内で、高分子フィルムを搬送する
    金属製のエンドレスキャリアベルトを使用した蒸着装置
    であって、 前記エンドレスキャリアベルトを搬送するローラを前記
    エンドレスキャリアベルトのループ内側に複数個有し、
    前記複数のローラのうち少なくとも1つは冷却ローラで
    あり、 前記エンドレスキャリアベルトの内側全周にわたってゲ
    ル状物質を直接塗布したことを特徴とする蒸着装置。
  2. 【請求項2】 前記ゲル状物質が、シリコングリスと金
    属粉を混合したものであることを特徴とする請求項1に
    記載の蒸着装置。
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