JP3364297B2 - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

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JP3364297B2
JP3364297B2 JP29318393A JP29318393A JP3364297B2 JP 3364297 B2 JP3364297 B2 JP 3364297B2 JP 29318393 A JP29318393 A JP 29318393A JP 29318393 A JP29318393 A JP 29318393A JP 3364297 B2 JP3364297 B2 JP 3364297B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録再生装置の磁
気ヘッドに関するものであり、特に磁気光学効果を用い
た再生ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録再生装置の高密度化に対
する要求は著しい。従来広く用いられている誘導型の再
生ヘッドは再生出力が、トラック幅あるいは磁気記録媒
体との相対速度に依存するために、高密度化に対し大き
な制約を与えていた。そこで、その課題を解決する手段
として磁気光学効果を用いた磁気ヘッドが提案されてい
る(例えば、特公昭56−33781号公報)。以下、従来の磁
気光学効果を用いた磁気ヘッドについて図面を参照しな
がら説明する。
【0003】図9は従来の磁気光学効果を用いた磁気ヘ
ッドの構成図である。図9において、11は磁気記録媒体
1に対接し透明な材質からなる基板である。基板11の磁
気記録媒体1に対接する面に連続する一側面に、パーマ
ロイからなる磁性薄膜12が成膜されており、さらにその
上に非磁性の反射層13が成膜されている。光源20から放
射された入射光30は偏光子21で直線偏光とされた後、前
記磁性薄膜12に入射している。前記磁性薄膜12からの反
射光31は検光子22によって前記入射光30に直角な偏光成
分のみが選択された後、光検出器23によって強度が検出
される。すなわち前記偏光子21と検光子22とは、いわゆ
る直交ニコルの関係となっている。
【0004】以上のように構成された従来の磁気光学効
果を用いた磁気ヘッドは、以下のように動作する。はじ
めに、磁気記録媒体1からの磁界によって磁性薄膜12が
磁化される。磁化の向きは膜面内である。磁性薄膜12の
磁化と入射光30との相互作用によって反射光31は僅かに
偏光方向あるいは楕円率が変化する。検光子22は入射光
30の偏光方向と直交する方向の偏光成分のみを分離透過
するために、偏光面の回転あるいは楕円率の変化が生じ
ると、それが光量の変化となって光検出器23で検出され
る。以上の動作によって磁気記録媒体1に記録されてい
る磁化情報は光検出器23からの再生信号に変換される。
以上のように磁気光学効果を用いた再生ヘッドは、原理
的に再生出力がトラック幅あるいは磁気記録媒体との相
対速度に依存しないため、磁気記録再生装置の高密度化
に適している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成では、光検出器で検出できる光量変化が微弱で
あり、十分な再生感度が得られないという課題を有して
いた。すなわち、上記構成において光検出器で検出でき
る光量変化は、入射光量を1として僅か10~6オーダであ
る。そのような微細な信号に対しては雑音の影響が顕著
となり、再生信号のS/Nを確保するためには、精密な
微弱光検出装置か高出力の光源を必要とするという課題
を有していた。本発明は上記課題に鑑み、磁気記録媒体
からの磁界を高感度で検出できる磁気ヘッドを提供する
ことを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の磁気ヘッドは、透明基板と磁性薄膜との少
なくとも2層を有する多層体と、前記磁性薄膜に対して
前記透明基板側から所定の入射角で直線偏光を入射する
光源と、前記磁性薄膜からの反射光を所定の成分の偏光
に分離する検光子と、前記検光子によって分離された光
束の強度を電気信号に変換する光検出器とを備えた磁気
ヘッドであって、前記透明基板の屈折率をn、前記磁性
薄膜に前記透明基板と反対側で接する媒質の屈折率をm
としたときに、(数1)を満足する角度αに対して、前記
入射角がαの0.9倍から1.1倍までの範囲にあり、さらに
前記磁性薄膜の厚さが前記光源の波長の0.005倍から0.1
倍までの範囲にあるという構成を備えたものである。
【0007】
【数1】sinα=m/n
【0008】
【作用】本発明は上記した構成によって、磁気光学効果
を有効に生じせしめ、再生感度を向上するものである。
磁気光学効果とは狭義で偏光に対する磁気の効果の総称
であり、本発明では強磁性体に光を入射したときに磁化
の方向に応じて反射光の偏光が変化する効果を用いる。
この効果は強磁性体の磁化とそれに入射した光との相互
作用の結果生ずるもので、その相互作用は磁化の方向と
光の進行方向が平行に近いほど、また相互作用長が長い
ほど強くなる。従来の構成で、磁化の方向と光の進行方
向を平行に近づけるには入射角を大きくすることが必要
であるが、その場合、光が磁性薄膜内に侵入し難くなり
相互作用長が減少するというように、両者は相反する要
件となっていた。そこで本発明は、透明な基板の上に光
が透過可能な厚さに磁性薄膜を成膜し、さらに基板と、
磁性薄膜に基板と反対側で接する媒質との間の臨界角の
近傍に入射角を設定することによって、磁性薄膜の磁化
と光の進行方向を平行に近づけるとともに、相互作用長
を長くすることを実現している。したがって、従来例に
比べ強力に相互作用が生じ、その結果、反射光の偏光は
大きく変化することとなる。よって光検出器で検出され
る光量変化は増大され、磁気記録媒体に記録された情報
は高感度で再生されることとなる。
【0009】
【実施例】以下、本発明による第1の実施例の磁気ヘッ
ドについて図面を参照しながら説明する。図1は本発明
の第1の実施例における磁気ヘッドの構成図である。図
1において、11は光学ガラスSF11(屈折率1.78)からな
る基板である。基板11の一側面には、5×10~5mmHgでパ
ーマロイを厚さ20nm蒸着し、磁性薄膜12が成膜されてい
る。さらにその上にはフッ化マグネシウム(屈折率1.38)
からなる保護層14が、後述する光源の波長に比べ十分に
厚く積層されている。以上の基板11,磁性薄膜12,保護
層14を含む構造体を多層体10と総称する。多層体10は前
記成膜が完了した後に、底面10aが光学研磨されてい
る。前記底面10aは磁気記録媒体1に対向しており、磁
性薄膜12はその一端で磁気記録媒体1と磁気的に結合し
ている。前記磁性薄膜12には基板11側から入射光30が入
射している。20は入射光30を放射する光源であり、レー
ザダイオード(波長680nm)と集光レンズを備えている。
入射光30は前記磁性薄膜12上で直径数μmのビームウエ
ストを形成している。また入射角θは52度、偏光は電界
ベクトルが入射面にある直線偏光(P偏光)となってい
る。22は磁性薄膜12からの反射光31の1偏光成分のみを
選択透過するための検光子である。前記検光子22の透過
容易軸は入射面に対して垂直となっている。すなわち、
前記入射光30に対して直交ニコルの関係となっている。
検光子22を透過した光束はフォトダイオードを備えた光
検出器23に入射している。25は前記磁性薄膜12上のビー
ムウエストと前記光検出器23の受光面を共焦点とするた
めのレンズである。なお、前記磁性薄膜12は単一磁区と
なっており、磁気記録媒体1がない状態で磁化ベクトル
の方向は膜面と入射面との交線に対して、膜面内で概略
45度回転した方向となっている。
【0010】以上のように構成された本発明第1の実施
例の磁気ヘッドについて、以下その動作を説明する。本
発明は、磁気記録媒体1と磁気的に結合した磁性薄膜12
の磁化の向きを磁気光学効果を利用して検知することに
よって、磁気記録媒体1に記録されている磁化情報を再
生するものである。本発明では強磁性体に光を入射した
ときに磁化の方向に応じて反射光の偏光が変化する効果
を用いる。磁気記録媒体1からの磁界によって磁性薄膜
12の磁化ベクトルが膜面内で回転する。その回転角は磁
界の向きと大きさに依存する。入射光30はP偏光成分の
みを有しているが、磁性薄膜12で反射される際に上記効
果によって偏光面の変換が生じ、反射光31にはS偏光成
分が現れる。検光子22は入射光30の偏光方向と直交する
方向の偏光成分のみを分離透過するよう設定されている
ために、上記効果によって生じたS偏光成分のみが光検
出器23に到達し、その強度が電気信号に変換される。S
偏光成分の大きさは前記磁性薄膜12の磁化の方向に依存
しており、磁化の向きが入射面に垂直のとき最小、磁化
の向きが入射面に平行のとき最大、その間で単調増加と
なる。したがって、磁気記録媒体1からの磁界の向きと
大きさに応じて光検出器23から信号が出力される。以上
の動作によって、磁気記録媒体1に記録されている磁化
情報は光検出器23からの再生信号に変換される。
【0011】次に第1の実施例の構成によって、従来例
に比べ再生感度が向上する動作について説明する。図2
は本発明の第1の実施例における入射角依存性を示した
特性図である。図2において縦軸の検出光量とは、光検
出器23で検出できる最大の光量変化を入射光量を1とし
て規格化したものである。換言すれば、入射光量を1と
したときの偏光面の変換効率を表しているといえる。横
軸は磁性薄膜12への入射角θである。図2において、a
は前述した本実施例の構成における特性曲線である。ま
た、bは従来例の構成における特性曲線である。従来例
においては磁性薄膜12の厚さを大きくするほど検出光量
は大きくなり、光源波長に比べ十分厚くなると一定値に
収束するため、図2にはその収束値を示してある。ただ
し、同一の条件で本実施例と従来例とを比較するため
に、従来例の基板11と磁性薄膜12は本実施例と同一の材
料とした。何故ならば、本発明は材料に依存するもので
はなく、多層体10の構成、特に磁性薄膜12の厚さと入射
角を適切に設定することがその本質であるからである。
したがって、本発明の優位性を明らかにするには同一の
材料を用いた上での比較評価が肝要である。図2より、
本実施例の特性曲線aは、従来例の特性曲線bに比べ著
しく検出光量が大きい領域があることが分かる。前述の
ように実施例では入射角を52度としており、図中にAで
示した点の特性を用いている。いま、基板11の屈折率を
n、保護層14の屈折率をmとしたとき、αを(数2)で定
義する。
【0012】
【数2】sinα=m/n αは磁性薄膜12がないときの臨界角に相当する。前述の
ように本実施例において、nは1.78、mは1.38であるか
らαは50.8度となる。図2に、このαを併せて示すと、
本実施例の特性曲線aはαの近傍で最大値を有している
ことが分かる。入射角θがαより大きい領域を全反射領
域と称するが、全反射領域であっても入射角によっては
従来例を上回るとは限らず、また全反射領域でなくとも
従来例より検出光量の大きい入射角は存在する。したが
って、全反射領域か否かが重要なのではなく、臨界角の
近傍に入射角を設定することが本効果を実現するための
必要条件である。図2より、本実施例の特性曲線aは、
入射角が41度から74度までの範囲で従来例の特性曲線b
より検出光量が大きい。すなわち、入射角θは(数3)の
条件を満たすことが必要である。
【0013】
【数3】0.81α<θ<1.45α ただし、入射角がこの条件を満たすだけでは十分ではな
く、以下に示すように磁性薄膜12の膜厚に対しても条件
が必要である。図3は本発明の第1の実施例における膜
厚依存性を示した特性図である。図3において、縦軸は
図2と同様の検出光量であり、横軸は磁性薄膜12の膜厚
dである。入射角θは52度である。図3より膜厚dを大
きくしていくと20nm程度までは検出光量は増加するが、
それを超えると減少し始め、100nm以上でほぼ一定値に
収束する。この収束値は図2に示した従来例の特性曲線
bと同一の値である。図3より、本発明の効果を得るた
めには、磁性薄膜12の膜厚dが3nm以上であることが必
要であることが分かる。また80nmを超えると効果は乏し
くなる。したがって、本発明の効果を実現するために
は、光源の波長をλとしたときに膜厚dが(数4)の条件
を満たすことが必要である。
【0014】
【数4】0.005λ<d<0.1λ 本実施例は前述のように、入射角θが52度、膜厚dが20
nmと上記の2つ条件を満足しており、従来例に比べて5
倍以上検出光量が増大している。
【0015】なお、本実施例では多層体10として基板1
1,磁性薄膜12,保護層14の3層を有する構成とした
が、その中で保護層14は本発明を実施する上で必須の要
素ではなく、基板と磁性薄膜の2層構造の多層体を用い
ても同様の効果が得られる。前述した多層体10を製造す
るとき保護層を積層しなかったものを第2の多層体と称
する。保護層がない以外は前述の多層体10と同じ材料お
よび膜厚である。図4は本発明の第1の実施例における
第2の多層体の入射角依存性を示した特性図である。図
4は図2と定性的に同様な特徴を示している。第2の多
層体において、磁性薄膜に基板と反対側で接する誘電体
は空気(屈折率1)であり、αは34.2度である。図4より
図2と同様にαの近傍のみで、従来例に対して著しく検
出光量が向上していることが分かる。従来例より検出光
量が大きくなるのは、入射角が(数5)の条件を満たすと
きである。
【0016】
【数5】0.88α<θ<1.16α なお、膜厚依存性は図3と同様であった。さらに、本発
明によると、基板の材料および磁性薄膜の材料にかかわ
らず同様の効果を得ることができる。基板の屈折率ある
いは保護層の有無、ある場合はその屈折率によって、検
出光量が増大する入射角は異なる。しかしながら、上記
で定義したαを基準とすると、(数6)の範囲であれば、
いずれの場合も従来例に比べ大きな光量変動が得られ
る。
【0017】
【数6】0.9α<θ<1.1α さらに本実施例において、検光子22の透過容易軸を入射
面に対して所定の角度だけ回転させることによって検出
光量を増大することができる。その角度を45度に設定し
たとき、すなわち前記入射光30に対して直交ニコルの状
態から45度検光子を回転させたときに最大の光量変化が
得られる。光検出器23の検出光量は、従来例が10~6オー
ダ、本実施例で検光子22の透過容易軸を入射面に垂直に
設定した場合が10~5オーダであるのに対して、この構成
によると10~3オーダが得られる。ただし、光量変化は大
きいが変調率が低下するため、S/Nという観点から出
力の安定した光源を用いることが望ましい。なお、この
ときの磁性薄膜12の磁化ベクトルの方向は、磁気記録媒
体がない状態で膜面内で入射面に直角な方向にするのが
最適である。
【0018】次に本発明の第2の実施例について図面を
参照しながら説明する。図5は本発明の第2の実施例に
おける磁気ヘッドの構成図である。図5において、後述
する偏光ビームスプリッタ26,第1の光検出器27,第2
の光検出器28,差動増幅器40を除く構成要素は、前述し
た第1の実施例と材料,構成とも全く同様であり、同一
の符号を付し、その説明は割愛する。偏光ビームスプリ
ッタ26は反射光31を直交する2つの直線偏光に分岐する
ものであり、透過軸は磁性薄膜12への入射面に対して45
度の角度を有している。27,28は前記偏光ビームスプリ
ッタ26で選択分岐された2つの直線偏光をそれぞれ受光
し光量に応じた電気信号を発生する第1の光検出器,第
2の光検出器である。40は第1の光検出器27,第2の光
検出器28の出力を差動増幅する差動増幅器である。な
お、前記磁性薄膜12は単一磁区となっており、磁気記録
媒体1がない状態で、磁化ベクトルの方向は入射面に垂
直な方向となっている。
【0019】以上のように構成された本発明の第2の実
施例の磁気ヘッドについて、以下その動作を説明する。
本実施例において、磁気光学効果によって反射光31にS
偏光成分が生じる動作までは前述の第1の実施例と全く
同様である。第1の実施例はS偏光成分の強度を直接検
出する構成であるため、S偏光成分の生じる原因が偏光
角の変化によるものか、楕円率の変化によるものか問わ
なかった。本実施例はそのうちで偏光角の変化に着眼
し、それを高感度で検出するものである。前述のように
偏光ビームスプリッタ26の透過軸は、磁性薄膜12への入
射面に対して45度の角度を有している。したがって、反
射光31は電界ベクトルが前記入射面に対して45度の偏光
成分をもつ光束と、−45度の偏光成分をもつ光束に分別
される。入射光30は入射面内に偏光しており、偏光ビー
ムスプリッタ26で分別された2つの光束の光量がほぼ等
しくなるよう調整しておく。すなわち、分別された2つ
の光束は個々には、第1の実施例で検光子を45度回転さ
せた配置と等価な状態にある。このとき反射光31に偏光
面の回転が生じると2つ光束で逆相の光量変化が生じ
る。それに対して光源20の光量変動、あるいはその他の
光学的雑音は同相となる。したがって、差動増幅器40で
差動増幅すると光量変動など同相の雑音は削除され、逆
相の偏光面の回転による光量変化は加算され2倍とな
る。したがって、ショットノイズリミットの極めて高S
/Nの再生信号が得られる。検出光量は、従来例が10~6
オーダであるのに対して、本実施例では10~3オーダが得
られる。
【0020】さらに本実施例は、前述の第1の実施例と
同様に、磁性薄膜12への入射角θと膜厚dを適切に設定
することによって、従来例に比べ大きな偏光面の回転を
実現するものである。図6は本発明の第2の実施例にお
ける入射角依存性を示した特性図である。図6において
縦軸の性能指数とは、偏光面の回転角と反射率の平方根
を乗算したものである。これはショットノイズを考慮し
たときの再生信号のS/Nを評価する指標である。横軸
は、磁性薄膜12への入射角である。図6において、aは
前述した本実施例の構成における特性曲線である。ま
た、bは従来例の構成における特性曲線である。第1の
実施例で述べたのと同様の理由によって従来例の基板11
と磁性薄膜12は本実施例と同一の材料を用い比較評価し
ている。図6より、本実施例の特性曲線aは従来例の特
性曲線bに比べ著しく性能指数が大きい領域があること
が分かる。前述のように実施例では入射角を52度として
おり、図中にAで示した点の特性を用いている。第1の
実施例と同様にαを定義すると、(数7)を満たす範囲
で、本実施例の特性曲線aは従来例の特性曲線2bに比
べ大きな性能指数が得られている。
【0021】
【数7】0.79α<θ<1.19α ただし、第1の実施例と同様に、入射角がこの条件を満
たすだけでは十分ではなく、磁性薄膜12の膜厚に対して
も条件が必要である。図7は本発明の第2の実施例にお
ける膜厚依存性を示した特性図である。図7において、
縦軸は図6と同じ性能指数であり、横軸は磁性薄膜12の
膜厚dである。入射角θは52度である。図7より膜厚d
を大きくしていくと20nm程度までは光量変化は増加する
が、それを超えると減少し始め、100nm以上でほぼ一定
値に収束する。この収束値は図6に示した従来例の特性
曲線bと同一の値である。図7より、膜厚dに関しては
前述の第1の実施例と同様で、光源の波長をλとしたと
き(数8)の条件を満たすことが必要である。
【0022】
【数8】0.005λ<d<0.1λ 本実施例は前述のように、入射角θが52度、膜厚dが20
nmと上記の2つ条件を満足しており、従来例に比べて2.
5倍以上性能指数が増大している。したがって、S/N
を8dB以上向上できる。なお、本実施例は入射光30をP
偏光としたが、本発明によると、S偏光を入射する場合
でも同様の効果が得られる。図8は本発明の第2の実施
例においてS偏光を入射したときの入射角依存性を示し
た特性図である。図6とほぼ同様な特性を示しており、
(数9)を満足する範囲で従来例に比べ大きな性能指数が
得られる。
【0023】
【数9】0.79α<θ<1.24α さらに、本発明によると、基板の材料および磁性薄膜の
材料にかからわず同様の効果を得ることができる。基板
の屈折率あるいは保護層の有無、ある場合はその屈折率
によって、検出光量が増大する入射角は異なる。しかし
ながら、上記で定義したαを基準とすると、(数10)の範
囲であれば、いずれの場合も従来例に比べ大きな性能指
数が得られる。
【0024】
【数10】0.9α<θ<1.1α
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明は、透明基板と磁性
薄膜との少なくとも2層を有する多層体と、前記磁性薄
膜に対して前記透明基板側から所定の入射角で直線偏光
を入射する光源と、前記磁性薄膜からの反射光を所定の
成分の偏光に分離する検光子と、前記検光子によって分
離された光束の強度を電気信号に変換する光検出器とを
備えた磁気ヘッドであって、前記透明基板の屈折率を
n、前記磁性薄膜に前記透明基板と反対側で接する媒質
の屈折率をmとしたときに、sinα=m/nを満足する
角度αに対して、前記入射角がαの0.9倍から1.1倍まで
の範囲にあり、さらに前記磁性薄膜の厚さが前記光源の
波長の0.005倍から0.1倍までの範囲にあるというという
特徴を備えることにより、磁性薄膜の磁化方向の変化を
高効率で光の変調に変換することができる。したがっ
て、磁気記録媒体からの磁界を高感度で検出でき、高密
度の磁気記録再生装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における磁気ヘッドの構
成図である。
【図2】本発明の第1の実施例における入射角依存性を
示した特性図である。
【図3】本発明の第1の実施例における膜厚依存性を示
した特性図である。
【図4】本発明の第1の実施例における第2の多層体の
入射角依存性を示した特性図である。
【図5】本発明の第2の実施例における磁気ヘッドの構
成図である。
【図6】本発明の第2の実施例における入射角依存性を
示した特性図である。
【図7】本発明の第2の実施例における膜厚依存性を示
した特性図である。
【図8】本発明の第2の実施例においてS偏光を入射し
たときの入射角依存性を示した特性図である。
【図9】従来の磁気光学効果を用いた磁気ヘッドの構成
図である。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体、 10…多層体、 11…基板、 12…
磁性薄膜、 13…反射層、 14…保護層、 20…光源、
21…偏光子、 22…検光子、 23,27,28…光検出
器、 26…偏光ビームスプリッタ、 40…差動増幅器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−30255(JP,A) 特開 昭58−139345(JP,A) 特公 昭56−33781(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/10 - 11/105

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板と磁性薄膜との少なくとも2層
    を有する多層体と、前記磁性薄膜に対して前記透明基板
    側から所定の入射角で直線偏光を入射する光源と、前記
    磁性薄膜からの反射光より所定の偏光成分を分離する検
    光子と、前記検光子によって分離された光束の強度を電
    気信号に変換する光検出器とを備え 前記透明基板の屈
    折率をn、前記磁性薄膜に前記透明基板と反対側で接す
    る媒質の屈折率をmとしたときに、sinα=m/nを満
    足する角度αに対して、前記入射角がαの0.9倍から1.1
    倍までの範囲にあり、さらに前記磁性薄膜の厚さが前記
    光源の波長の0.005倍から0.1倍までの範囲にあることを
    特徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 透明基板と磁性薄膜との少なくとも2層
    を有する多層体と、前記磁性薄膜に対して前記透明基板
    側から所定の入射角で直線偏光を入射する光源と、前記
    磁性薄膜からの反射光を直交する2つの直線偏光に分離
    する偏光分離器と、前記偏光分離器によって分離された
    2つの光束の強度を各々電気信号に変換する2つの光検
    出器と、前記2つの光変換器の信号を差動検出する差動
    検出器(増幅器)とを備え 前記透明基板の屈折率をn、前記磁性薄膜に前記透明基
    板と反対側で接する媒質の屈折率をmとしたときに、si
    nα=m/nを満足する角度αに対して、前記入射角が
    αの0.9倍から1.1倍までの範囲にあり、さらに前記磁性
    薄膜の厚さが前記光源の波長の0.005倍から0.1倍までの
    範囲にある ことを特徴とする磁気ヘッド。
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