JP3364263B2 - 束に積重ねられた紙のシートを分離する方法及びこの方法を実施する装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、特に印刷済みシート、
好ましくは公債紙等のシートの束を分離するために湾曲
面によって束を湾曲変形させることにより、束に積重ね
られたシート束を分離する方法、並びに、この方法を実
施する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術と発明が解決しようとする課題】特許ＤＥ
−Ｂ ２，６４１，２１４号には、シート束を分離する
ためのそのような装置が記載されている。この装置は、
束の経路に取着され、その間にギャップを形成する少な
くとも１対の搬送ローラを有し、シート束は、そのギャ
ップを通過する。このギャップの幅は、束の厚さよりも
小さい。それらのローラの少なくとも１つは、弾力性材
料でライニングが為されている。

【０００３】印刷工場の紙の取り扱いは、装置の生産性
の増加とつながる問題を持ち出す。様々の印刷段階にお
ける改善に関して相当の努力が為されたが、他の処理装
置又は印刷機の送りまで運ばれる前にシート束を分離す
る操作は、革新の貧弱な関係の間に留まっていた。従っ
て、最近の印刷機は、日毎にトンで計測される紙の量を
人手で処理している。

【０００４】様々の操作の間において、大小の寸法のバ
ッファ・ストックは一般的に、典型的には２５０、５０
０又は１０００のシートから成る束又は堆積の形式で構
築される。１処理装置から次へのシート束の移送は一般
的に、幾つかの束を有するパレットの上で為される。従
来技術として、自動パレタイジング、キャリッジ案内、
及び自動倉庫システムが公知である。従って、最近の紙
シートの処理装置の組織を自動化する主たる困難の１つ
は、特に公債紙シートを分離しながら、パレットから送
り装置に束を移送する場合の紙の処理から発生する。最
近この作動は、他の処理装置又は印刷ユニットの送りを
提供する前に、縁部を曲げることによってシート束を相
互に分離し、それらを通風し、手で微動送りする作業者
によって実施される。

【０００５】本発明の目的は、分離動作の自動化を可能
にすることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的は、積重ねられ
た紙のシートの束を分離するために前記束を湾曲面によ
って湾曲変形させる前記シートの束を分離する方法にお
いて、前記束を前記湾曲面に対して押圧するために、前
記湾曲面の母線に平行な少なくとも二つの圧力付与線に
沿って前記束へ押圧力をもたらす押圧段階と、前記圧力
付与線を前記湾曲面の母線に垂直に前記束に沿って移動
させる移動段階と、前記圧力付与線が縁部を越えること
によって前記押圧力から解放された前記束における各シ
ートが前記押圧力によって前記湾曲面上に残る前記シー
トの束から順次離脱するように、前記移動段階における
前記圧力付与線の移動速度を調整する調整段階と、順次
離脱した前記シートによって再び形成された平坦な束を
微動送りする微動送り段階、とを有することを特徴とす
る方法によって達成される。

【０００７】上記方法を達成するための本発明に係る装
置は、請求項６の特徴によって画成される。本方法及び
装置の好適実施態様は、独立した請求項に記載されてい
る。従って、本発明に係る装置は、ボード上への束の設
置後において、次の機能を保証する。

【０００８】変形シリンダに対した押圧された束の変形
の間において、シートが互いにスライドすることにより
完全な束（典型的には５００又は１０００シート）のシ
ートを分離すること、分離ローラがシートを順次解放す
る時及びそれらがボード上に着地する時に、紙を通風す
ること、ボードのリムに対して微動送りすることにより
束を仕上げること。

【０００９】不規則な外形の束として着地したシートの
束の仕上げは、ボードの傾動並びに液圧システム又はカ
ムあるいは公知技術の微動送り装置による微動送りによ
って実施され得る。

【００１０】

【実施例】微動テーブルは、固定要素１１，１２、可動
要素１３，１４，１５，１６から成るボード１を有す
る。ボード中央において、可動要素１３及び１４は、図
１に示されるように、シートの束Ｒのための連続的なサ
ポートを形成するために要素１１，１２、及び１５と整
列する位置につくことができ、あるいは、空き領域１７
（図２及び３）から離れるために固定要素１１，１２の
下方側に移動することができる。ボード１の中央下に
は、ピストン２の形式の引っ込み自在の部分があり、こ
の部分の両側には、２つのローラ６１及び６２がある。
空き領域１７は、垂直方向に移動可能なこのピストン２
及びこれらのローラ６１，６２が通過し得るようにする
ために十分な大きさである。可動要素１５，１６は、そ
れらの垂直位置において、ボードの側壁を形成する。全
ボード１は、固定要素１２を下降させる水圧ジャッキ
（図５）によって傾けられ得る。

【００１１】固定要素１１の下方側に固定され且つボー
ド１を振動させる不均衡な質量体６を駆動するモータ５
は、図５に示されたような位置において、分離動作後
に、束を微動させるために設けられる。分離装置４は、
フレーム４２（図６）に取着された変形シリンダ４１を
有し、フレーム４２は、シリンダ４１の一方側におい
て、ピストンロッド４８，４９（図５，６）を具えた２
つのジャッキ４４，４５を支持し、シリンダ４１の他方
側において、ピストンロッド４８′，４９′（図６）を
具えた２つのジャッキ４４′，４５′を支持する。総て
のこれらのジャッキは、シリンダ４１の軸線４３に同軸
的な、同一軸線の周りに回転し得るようにフレーム４２
に取着され、また、この目的のため、対応ロッド４８，
４８′及び４９，４９′の軸線にそれぞれ垂直であり且
つ対応ジャッキのケーシングと共に単一構成要素を形成
するジャーナル部４６，４６′及び４７，４７′をそれ
ぞれ具備する。

【００１２】ジャーナル部４６及び４７は、フレーム４
２内に収容され、ローラ軸受け５０，５１、及び５２に
よって回動自在であり、中間の軸受け５１は、２つのジ
ャッキ４４，４５に共通である。シリンダ４１の他方側
において、ジャーナル４６′及び４７′はフレーム４２
内に収容され、ローラ軸受け５０′，５１′、及び５
２′によって回動自在であり、中間の軸受け５１′は、
２つのジャッキ４４′，４５′に共通である。

【００１３】ジャッキのロッド４８，４８′、及び４
９，４９′は、図５及び６に従い、シリンダ４１の軸線
４３に平行に延び且つそれらの軸線６３及び６４の周り
に回動自在である分離ローラ６１及び６２をそれぞれ支
持している。この目的のため、分離ローラ６１は、ロッ
ド４８及び４８′に設けられる軸受けによって回動し得
るように収容されるジャーナル部６５，６５′を両側に
具備する。

【００１４】同形式で、分離ローラ６２は、（ジャーナ
ル部６５，６５′によって隠れる）図６に示されていな
いジャーナル部を具備し、これらのジャーナル部は、ジ
ャッキ４５，４５′のロッド４９，４９′の軸受けに収
容されている。フレーム４２の上部にそれぞれ固定され
た２つのモータ５５及び５６は、ジャッキ４４，４
４′、及び４５，４５′を回転駆動するために設けられ
る。

【００１５】ジャッキ４４，４４′のジャーナル部４
６，４６′は、第１のモータ５５のベルト５４，５４′
によって駆動される２つのプーリ５３，５３′の分だけ
延長されている。この形式において、モータ５５は、シ
リンダ４１の周りを回転する分離ローラ６１を駆動する
ジャッキ４４，４４′をシリンダ４１の軸線周りに駆動
し得る。問題の例において、モータ５５の作動は、ベル
ト５４，５４′を受けるプーリ５９，５９′がその端部
に固定される伝達シャフト６７及び２つのベベルギヤ６
８によってベルト５４，５４′に伝えられる。同一の駆
動システムは、分離ローラ６２を駆動する軸線４３の周
りのジャッキ４５，４５′の回転のために設けられる。
このシステムは、ジャーナル部４７，４７′に固定され
る２つのプーリ５７，５７′、２つのベルト５８，５
８′、及びモータ５６を有する。同様に、ベルト５８，
５８′に対するモータ５６の動作の伝達は、プーリ６
０，６０′をその端部で支持する伝達シャフト６９及び
２つのベベルギヤ７０によって遂行される。

【００１６】この構造により、ローラ６１，６２は、一
方においては、ジャッキ４４，４４′、及び４５，４
５′の効果の下でシリンダ４１に関して半径方向に移動
し得ると共に、他方においては、シリンダ４１と同軸で
あり且つシリンダの表面に平行である軌道の角度方向に
シリンダ４１周りに移動し得る。シリンダ４１周りのロ
ーラの動作は、同時であり、好ましくは反対方向に対称
的であり、あるいは相互に独立しており、この動作は、
連続的に実施され得る。

【００１７】分離、通風、及び微動の操作の本質的な面
は、図１〜６に連続的に示される。図１において、ボー
ド１の要素１３，１４及び１５は固定要素１１及び１２
に整列される。ピストン２並びにローラ６１及び６２
は、低い位置にある。シートの束Ｒは、プッシャーＰに
より上昇要素１６に対して矢印Ｆ方向に押圧され、これ
により、シリンダ４１の軸線４３の概ね下方に中心位置
決めされる。

【００１８】図２に示されたように、プッシャーＰが引
き戻され且つ要素１５が上昇された後、要素１３及び１
４は、降下され且つボード１の下側で相互に離隔され
る。同時に、支持面として作用するピストン２は、２つ
のローラ６１及び６２の上昇の案内として役立ち、シリ
ンダ４１に対して束Ｒを支持する（図２）。次いで、ロ
ーラ６１及び６２は、ジャッキ４４，４４′；４５，４
５′の作動の下で束Ｒを持ち上げ、シリンダ４１に対し
て一定の力で束を押圧する。２つのローラ６１及び６２
が束を支持するとき、ピストン２は、再度降下される
（図３）。モータ５５，５６の作用下で、ローラ６１
は、矢印Ｆ１の方向にローラ６２から離れ、他方、ロー
ラ６２は、矢印Ｆ２の方向に対称的に移動する（図
４）。変形の効果の下で、束のシートは、最初から最後
のシートまでに変化する湾曲半径の差のために、表面同
士がスライドする。従って、各シートの縁部は、オフセ
ットしており、このオフセットは、ローラ６１，６２の
母線及びシリンダ４１の母線に平行である。

【００１９】ローラ６１，６２が最後のシートの縁部を
越えて行くと、最後のシートは、図４に示されるよう
に、シリンダ上の束から離れ、ボード方向に着地する。
ローラの作動が連続するので、シートは、シリンダ上の
残るシートの束から次から次に分離される。同時に、あ
るいは、時間的に遅延して、第２のローラの作動の効果
の下で、同一の現象が他方側で起きる。シート中央部の
下降高さが、図４に示されるように、シート両端部に対
して低いので、シートは、不規則ではあるが実質的に矩
形状の堆積を再形成するようにボード１上に着地する。
この方法は、加速され得るし、シリンダ４１に対して押
圧されている束の残りから引き離された後に、シート間
への図４の矢印Ｆ３，Ｆ４の方向のノズル７及び８を介
しての散布空気によってシートの通風が改善される。

【００２０】同時に、あるいはシートが降下した後にお
いて、ボード１は、ジャッキ３により一方側に降下さ
れ、要素１３，１４は、閉じられる。モータ５によって
回転駆動される不均衡質量体６によって創成される振動
及び傾き効果の下で、束Ｒは、図５に示されたように、
均一形成された上昇リム１５に対して微動送りされる。
次に、束は、例えば印刷機へ送るために送りテーブルの
入口方向Ｆ（図１）に垂直な方向Ｆ′にプッシャーＰ′
（図６）によって押圧される。

【００２１】本発明は、添付図面に示され且つ上記実施
例に制限されない。その範囲は、同一機能を提供する別
の実施例に及ぶ。 非制限的な例として：図に示されたシリンダ４１は、紙
シートの寸法よりも僅かに大きい外周の回転円柱であ
る。束の最初と最後との間の湾曲半径の差を提供する円
柱面の（円、楕円、放物線等の断片）準線の他の形状が
用いられ得る。

【００２２】ローラ６１及び６２は、立体のローラとし
て示され、その直径は、束の厚さよりも小さい。それら
は、他の形状を有することができ、例えば、離れようと
するシートに空気を接線方向に散布し得る横断方向溝を
具備することができる。ローラ６１及び６２は、スクリ
ュウジャッキによって作動され得る。それらの角度的移
動は、同心軸の周りの複数の独立したモータ又は多伝送
モータによって実施され得る。それらは、湾曲した束の
縁部を連続的に棒が越えるように棒が回転又は摺動する
ようにした機械装置によって置換され得る。

【００２３】プッシャーＰ，Ｐ′は、操縦アーム又は適
当な搬送システムによって置換され得る。当業者は、請
求された保護の範囲を逸脱することなく装置の別の実施
態様を発展させ得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、微動テーブルのボード上への束の到着
段階におけるシートを分離するための装置の図解図であ
る。

【図２】図２は、分離ローラの動作の開始及び変形シリ
ンダに対する束の押圧中の同装置を示す図である。

【図３】図３は、分離ローラの連続動作を示す図であ
る。

【図４】図４は、ボード上へのシートの着地及び最終位
置に近付いた分離ローラを示す図である。

【図５】図５は、ローラを駆動するための機構を具えた
微動動作中の装置を示す図である。

【図６】図６は、送りテーブル上に再形成された束の搬
送中における装置を図５の矢印Ｆ１の方向において示す
図である。

【符号の説明】

１…微動テーブル ２…ピストン ３…液圧ジャッキ ４…分離装置 ５…モータ １７…開き自在領域 ４１…変形シリンダ ４２…フレーム ４４，４４′；４５，４５′…ジャッキ ４６，４６′；４７，４７′…ジャーナル部 ４８，４８′；４９，４９′…ピストンロッド ５０，５０′；５１，５１′；５２，５２′…ローラ軸
受け ５５，５６…モータ

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 積重ねられた紙のシートの束を分離する
   ために前記束を湾曲面によって湾曲変形させる前記シー
   トの束を分離する方法において、前記束を前記湾曲面に
   対して押圧するために、前記湾曲面の母線に平行な少な
   くとも二つの圧力付与線に沿って前記束へ押圧力をもた
   らす押圧段階と、前記圧力付与線を前記湾曲面の母線に
   垂直に前記束に沿って移動させる移動段階と、前記圧力
   付与線が縁部を越えることによって前記押圧力から解放
   された前記束における各シートが前記押圧力によって前
   記湾曲面上に残る前記シートの束から順次離脱するよう
   に、前記移動段階における前記圧力付与線の移動速度を
   調整する調整段階と、順次離脱した前記シートによって
   再び形成された平坦な束を微動送りする微動送り段階、
   とを有することを特徴とする方法。
2. 【請求項２】 前記湾曲面は、凸面、好ましくは円柱面
   であることを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 【請求項３】 前記移動段階において、前記二つの圧力
   付与線は、前記束の中央領域から互いに反対方向に移動
   されることを特徴とする請求項１又は２に記載の方法。
4. 【請求項４】 前記積重ねられた紙のシートの束はボー
   ド上に位置し、前記押圧段階において、前記押圧力は、
   前記束の上方に位置する前記湾曲面に対して前記ボード
   の下方から前記束へもたらされ、前記調整段階におい
   て、前記シートは、前記平坦な束を前記ボード上に形成
   するように互いに重なって着地し、前記微動送り段階に
   おいて、機械的な微動手段が前記ボード上に形成された
   前記束を微動送りすることを特徴とする請求項１から３
   のいずれか一つに記載の方法。
5. 【請求項５】 前記調整段階において、前記押圧力から
   解放される際に前記シートの縁部の間には空気が散布さ
   れることを特徴とする請求項１から４のいずれか一つに
   記載の方法。
6. 【請求項６】 中央に空き自在領域（１７）を有する微
   動テーブル（１）であって前記微動テーブル上に前記積
   重ねられた紙のシートの束が位置する微動テーブルと、 前記微動テーブルの平面に実質的に平行な母線を有し、
   前記微動テーブルの上方側に所定距離を持って配置され
   て前記湾曲面として使用される変形シリンダ（４１）
   と、 少なくとも二つの回転且つ移動自在の分離ローラ（６
   １，６２）を有して前記押圧段階と、前記移動段階と、
   前記調整段階をもたらすための可動圧力手段であって、
   前記分離ローラの回転軸線（６３，６４）が、前記変形
   シリンダ（４１）の母線に平行であり、前記分離ローラ
   が、前記空き自在領域（１７）内における前記束（Ｒ）
   の下方側の初期位置から前記変形シリンダの母線に垂直
   で前記変形シリンダの表面に平行な軌道にわたって前記
   変形シリンダに関して移動され得るように、また、前記
   変形シリンダに関して半径方向に移動され得るように取
   着されている可動圧力手段と、前記束に対して前記押圧段階と、前記移動段階と、前記
   調整段階とがもたらされるように 前記分離ローラ（６
   １，６２）の移動を制御するための制御手段（４４，４
   ４′；４５，４５′；５６，５６′）と、 前記押圧力から解放された前記変形シリンダの母線に平
   行な前記シートの縁部に対して向けられるように空気を
   散布する手段と、前記微動送り段階がもたらされるように、前記微動テー
   ブル上に形成された前記平坦な束を微動送りする 微動手
   段（３）と、 を有する請求項１に記載の方法を実施するための装置。
7. 【請求項７】 前記可動圧力手段は、二つの前記分離ロ
   ーラ（６１，６２）がそれぞれに連結されて前記変形シ
   リンダ（４１）の軸線（４３）の周りに回動し得るよう
   に取着された二つのジャッキ（４４，４４′；４５，４
   ５′）を具備することを特徴とする請求項６に記載の装
   置。
8. 【請求項８】 前記微動テーブル（１）の空き自在領域
   （１７）内には、ピストンの形式の引っ込み自在の部分
   （２）が設けられ、前記引っ込み自在の部分（２）は、
   低位置と、前記押圧段階において前記二つの圧力付与線
   に沿って前記束へ前記押圧力がもたらされる前に前記束
   の下面を前記変形シリンダに対して押圧する高位置との
   間を移動自在であることを特徴とする請求項６又は７に
   記載の装置。