JP3349219B2 - 化粧品基材 - Google Patents

化粧品基材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、毛髪や皮膚に対する親
和性がよく、良好な使用感、仕上り感を与える低粘度カ
チオン化ヒドロキシアルキルガラクトマンナンからなる
化粧品基材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】化粧品基材として、天然物およびその誘
導体の使用が一般化しつつあり、セルロース誘導体や澱
粉をカチオン変性して得られた水溶性高分子化合物の利
用が注目されている。例えば、特公昭47−20635
公報にはシャンプーや毛髪化粧料に、第4級窒素を導入
したセルロース誘導体があげられている。また、特公昭
60−42763号公報には第4級窒素を導入したカチ
オン化ヒドロキシアルキル澱粉が、シャンプー、リン
ス、クリームなどに用いらることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらのカチオン変性
ポリマーの中で、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキ
シプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテルや
グアーガムヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム
クロリドエーテルは、現在使用されているが、十分満足
できるものではない。例えば、これらを用いたシャンプ
ーや毛髪化粧料は洗髪時、すすぎ時のぬめり感、しっと
り感、柔らかさは付与されるものの、毛髪を乾燥させる
過程で不快なべたつきを生じたり、乾燥につれ、カチオ
ン変性ポリマーと界面活性剤のコンプレックスが固化
し、ごわつきを生じるなど乾燥後の髪に好ましい感触が
得られないなどの理由でいまだ満足できるものではなか
った。このような事情に鑑み、本発明は従来使用されて
きた原料では困難であった良好な使用感、仕上り感を与
える化粧品基材を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の目的を達
成すべく種々検討した結果、MS値0.1〜1.8のガ
ラクトマンナンのヒドロキシアルキルエーテルにグリシ
ジルトリアルキルアンモニウム塩または3−ハロゲノ−
2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を
第4級窒素含有率0.2〜3重量%含有するように反応
させる前、同時または後に低分子化処理し、30%水溶
液の30℃粘度が3〜500cpsである低粘度カチオ
ン化ヒドロキシアルキルガラクトマンナンを用いること
により、本発明の目的を達成する各種の化粧料を製造す
ることができることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0005】ガラクトマンナンはマンノースを構成単位
とする主鎖にガラクトース単位が側鎖として構成される
中性多糖類であって自然界には主として豆科植物の種子
に多く含有されており、特にグア豆を原料とするグアガ
ム、ローカストビーンを原料とするローカストビーンガ
ムが代表的なガラクトマンナンを主成分とする植物ガム
質である。ここでガラクトマンナンのヒドロキシアルキ
ルエーテル化の程度を示すMSとはガラクトマンナンの
アンヒドロ糖単位当り付加したアルキレンオキサイドの
モル数を示す数値である。ガラクトマンナンのヒドロキ
シアルキルエーテルは、ガラクトマンナンに炭素数2〜
4の1・2−アルキレンオキシド、すなわちエチレンオ
キシド、1・2−プロピレンオキシド、1・2−ブチレ
ンオキシドが用いられる。これらのアルキレンオキシド
はMS値が0.1〜1.8好ましくは0.3〜1.0の
範囲になるように付加される。
【0006】本発明において使用される低粘度カチオン
化ヒドロキシアルキルガラクトマンナンは、ガラクトマ
ンナンヒドロキシアルキルエーテルに下記化2で示され
る一般式(II)または下記化3で示される一般式(I
II)で示される化合物を窒素含有率0.2〜3重量%
になるよう反応させることによって製造することができ
る。
【化2】
【化3】 このカチオン化反応は公知のエーテル化方法に従って行
うことができる。例えば、アルカリ触媒の存在下で、ガ
ラクトマンナンヒドロキシアルキルエーテルの水性ある
いはアルコール性の懸濁液または溶媒の少ない乾式の状
態に前記一般式(II)または(III)の化合物を加
えて、加熱反応させ、反応終了後中和することにより行
うことができる。前記一般式(II)または(III)
の化合物としては、グリシジルトリアルキルアンモニウ
ム塩および3−ハロ−2−ヒドロキシプロピルトリアル
キルアンモニウム塩例えばグリシジルトリメチルアンモ
ニウムクロリド、グリシジルトリエチルアンモニウムク
ロリド,グリシジルトリプロピルアンモニウムクロリ
ド,グリシジルエチルジメチルアンモニウムクロリド、
グリシジルジエチルメチルアンモニウムクロリドおよび
これらに対応する臭化物、ヨウ化物や、3−クロロ−2
−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリ
ド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルア
ンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロ
ピルトリプロピルアンモニウムクロリド、3−クロロ−
2−ヒドロキシプロピルエチルジメチルアンモニウムク
ロリドおよびこれらに対応する臭化物、ヨウ化物があげ
られる。
【0007】本発明において使用される低粘度カチオン
化ヒドロキシアルキルガラクトマンナンは、ガラクトマ
ンナンヒドロキシアルキルエーテルをカチオン化反応さ
せる前、同時または後にガラクトマンナンを低分子化さ
せることによって得られる。低分子化の方法としては、
塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、酢酸などの酸、ガラクトマン
ナン分解酵素、次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素、過硫酸
アンモニウム、過硫酸カリウムなどの酸化剤を用いてガ
ラクトマンナン分子を加水分解することによって得られ
る。これらの低分子化反応は公知の方法に従って行うこ
とができる。例えば、ガラクトマンナンヒドロキシアル
キルエーテルの水性あるいはアルコール性の懸濁液また
は溶媒の少ない乾式の状態に、酸、分解酵素、酸化剤な
どを加えて、加熱反応させ反応終了後中和することによ
って得られる。低分子化には酸、分解酵素、酸化剤のい
ずれを用いてもよいが、カチオン化反応と同時に低分子
化させるには、高アルカリ条件下でも作用する酸化剤が
好ましい。低分子化の程度は、30%水溶液の30℃粘
度が3〜500cps、好ましくは10〜400cps
になるまで低分子化される。
【0008】本発明において使用されるガラクトマンナ
ンヒドロキシアルキルエーテルのMS値は、0.1未満
では皮膚や毛髪を被覆するフィルムの柔軟性が乏しくな
るため、感触、くし通りが悪くなるし、またこの付加モ
ル数が1.8を越えると吸水性が増大し使用後にベトつ
く感じを与えるようになるので好ましくない。またカチ
オン化反応によって導入される窒素の含有率は0.2重
量%未満ではこれを化粧料に配合して毛髪や皮膚に対す
る親和性が低くなるし、またそれが3重量%を越える
と、化粧料の使用時にべとつく感じを与えるようになる
ので好ましくない。窒素含有率の特に好ましい範囲は
0.5〜2.0重量%である。さらに、低分子化の程度
は、30%水溶液の30℃粘度が3cps未満では、こ
れをシャンプーなどに配合したとき、ぬめり感が不足
し、500cpsを越えると毛髪を乾燥させる過程で不
快なべたつきを生じたり、乾燥につれ、界面活性剤との
コンプレックスが固化しごわつきを生ずる。粘度の好ま
しい範囲は10〜400cpsである。
【0009】この低粘度カチオン化ヒドロキシアルキル
ガラクトマンナンを、公知の処方の毛髪化粧料、皮膚化
粧料などに所要量配合することによって、本発明の化粧
料が得られる。化粧料としては上記のものに限らないが
特に好ましいのは、シャンプー、リンス、クレンジング
クリームなどの使用時に水で洗い流す化粧料である。本
発明の化粧品基材を用いる化粧料中の他の成分は特に限
定されず、通常の化粧品用担体、希釈剤または添加物
〔例、各種の界面活性剤、油性物質(例、長鎖脂肪酸エ
ステル、炭化水素など)、加水分解タンパク質、ラノリ
ン、脂質、香料、紫外線吸収剤、ハイドロトロープな
ど〕が使用できる。また、ビタミン類や他の栄養学的ま
たは医薬的に有効な成分を添加してもよい。
【0010】本発明の化粧品基材の配合量は、用途など
に応じて異なるが通常0.1〜7重量%の範囲が好まし
い。0.1重量%未満では効果が十分に発揮されず、7
重量%を越えると好ましくない感触となる場合がある。
【0011】
【実施例】つぎに実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。以下の実施例で用いる「部」は、特に示さない限り
重量部を示す。 実施例1 水26g、メタノール100gに苛性ソーダ3gを入れ
たガラス製耐圧反応器に、グアーガム60gを撹拌しな
がら加える。次いてエチレンオキシド35gを、窒素を
用いて1.5kg/cmの圧力で導入したのち50℃
で反応させる。反応の進行とともに、系内の圧力の低下
が観察された。圧力の低下が認められなくなったのち、
さらに50℃で1時間反応させ、反応系の圧を抜き、グ
リシジルトリメチルアンモニウムクロリド40gを水溶
液として加え、さらに35%過酸化水素水25gを加え
50℃で5時間反応させる。反応終了後10%塩酸水溶
液30gを加え、室温で1時間中和を行う。中和終了後
多量のメタノール中に反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿
させ▲ろ▼別した。得られた沈殿物を、各500gのメ
タノールで3回洗浄したのち、減圧下で乾燥し、反応物
103gを得た。このようにして得られた低粘度カチオ
ン化ヒドロキシアルキルグアーガムの付加されたエチレ
ンオキシドのMS値は1.2、窒素含有率2.4重量
%、30%水溶液の30℃粘度は320cpsであっ
た。(試料番号1)
【0012】実施例2 実施例1の方法に準じてアルキレンオキシド、第4級窒
素含有率および粘度の異なる低粘度カチオン化ヒドロキ
シアルキルグアーガムおよび低粘度カチオン化ヒドロキ
シアルキルローカストビーンガムを合成した。この結果
を表1、表2および表3に示した。
【表1】
【表2】
【表3】
【0013】実施例3 実施例1および実施例2で得た低粘度カチオン化ヒドロ
キシアルキルグアーガムまたは低粘度カチオン化ヒドロ
キシアルキルローカストビーンガムを用いて、表4に示
した組成(A)のシャンプーを調製した。なお組成
(B)は比較のために調製した、低粘度カチオン化ヒド
ロキシアルキルガラクトマンナンを配合しない組成物で
ある。
【表4】 低粘度カチオン化ヒドロキシアルキルガラクトマンナン
として、実施例2の試料の中から試料番号1、2、4、
5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、
15、18、20、21および22の18種類を選ん
だ。この18種類のシャンプーに組成(B)のものを併
せた19種類のシャンプーそれぞれを、15名の女性に
使用させて、泡立ち、ぬめり感、使用後の髪の柔らかさ
などの性能を比較した。この結果を表5、表6および表
7に示した。これらの表に示した数値は組成(A)が優
れているとした人数から組成(B)が優れているとした
人数を差し引いた値である。
【表5】
【表6】
【表7】 この表5の結果よりアルキレンオキシド付加のMS値が
0.1以上であれば、使用時、使用後とも感触が改善さ
れることがわかる。(表5の試料番号2に対する1、
4、5、6、7の比較より)また、表6の結果より窒素
含有率が0.2重量%以上であれば、シャンプーの性能
が改善されるが、窒素含有率が3重量%以上になると、
使用後のべとつきが大きくなり、総合的な好みにおいて
マイナス要因となることがわかる。(表6の試料番号8
に対する9,10、11、12、13の比較より)さら
に、表7の結果より30%水溶液の30℃粘度が3cp
sより低いときはぬめり感が不足し、500cpsより
高いときはべとつき感があることがわかる。(試料番号
14,22に対する15,18,20,20,21の比
較より)
【0014】実施例4 本発明で用いる低粘度カチオンヒドロキシアルキルガラ
クトマンナンと比較するために、エチレンオキシドの付
加MS値1.65、窒素含有率1.8重量%、30%水
溶液の30℃粘度が20万cps以上(5%で3万cp
s)のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースを用い
て実施例3の表4に示した組成(A)のシャンプーを作
成した。そして同様に15名の女性によるテストをした
結果、本発明の基材はカチオン変性ヒドロキシエチルセ
ルロースより使用後のべとつきのなさやくし通りの良さ
の点で優れているということがわかった。
【0015】実施例5 本発明の化粧品基材として表1の試料番号1、表2の試
料番号11、表3の試料番号17を用い下記表8の組成
のクリームタイプのヘアリンスを調製した。
【表8】 このヘアーリンスは、本発明の化粧品基材を配合しない
ものに比べて、使用時および使用後の風合が優れてい
た。
【0016】実施例6 本発明の化粧品基材として実施例5の同じ試料を用いて
下記表9の組成のクレンジングクリームを調製した。
【表9】 このクレンジングクリームは、本発明の化粧品基材を配
合しないものに比べて伸びがよく、使用中の油性感が優
れていた。
【0017】実施例7 本発明の化粧品基材として実施例5と同じ試料を用いて
下記表10の組成の中性クリームを調製した。
【表10】 この中性クリームは、本発明の化粧品基材を配合しない
ものに比べて滑らかさおよびしっとり感に優れ、しかも
その効果は長時間持続した。
【0018】
【発明の効果】本発明の化粧品基材は、以下の利点があ
る。 (1)毛髪や皮膚への親和性が良好で、フィルム形成性
も良く、それらへの吸着性が優れる。 (2)保温性が優れ、毛髪や皮膚をしっとりさせ、毛髪
に腰のある柔軟性を与え、毛髪のつやを向上させる。し
かもこれらの効果は持続性がある。 (3)毛髪や皮膚に平滑性を付与するので、使用後の感
触が滑らかとなり、シャンプーに用いた場合には毛髪の
くし通りが良くなり、きしみ感がなくなり、クリームな
どに用いた場合には良好な使用感と仕上感を付与するこ
とができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−306245(JP,A) 欧州特許出願公開529883(EP,A 1) 欧州特許出願公開530974(EP,A 1) 国際公開93/6205(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MS値0.1〜1.8のガラクトマンナ
    ンのヒドロキシアルキルエーテルにおいて、その中のヒ
    ドロキシル基の一部が下記化1の一般式(I)で示され
    る残基で置換された構造を有し、かつ窒素含有率が0.
    2〜3重量%で30%水溶液の30℃粘度が3〜500
    cpsである酸処理カチオン化ヒドロキシアルキルガラ
    クトマンナンからなる化粧品基材。 【化1】
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